(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158790
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】異種管接合継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/025 20060101AFI20241031BHJP
F16L 19/03 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F16L19/025
F16L19/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074314
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿汰
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祥人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 大慧
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014CA05
3H014DA01
(57)【要約】
【課題】施工時において、金属継手部と樹脂継手部との分離を抑制するとともに、金属継手部と樹脂継手部との接続部の耐久性を高めた異種管接合継手を提供する。
【解決手段】異種管接合継手1は、金属接続部11、及び金属接続部11に対して、金属接続部11の軸線方向の第1側D1に位置をずらして同軸に連なる筒状部13を有する金属継手部10と、端部が筒状部13内に配置された樹脂接続部21、及び端部から径方向外側に向かって突出する鍔部22を有する樹脂継手部20と、を備え、筒状部13の内周面には、周方向に延びる周溝13cが設けられ、周溝13cには、鍔部22の径方向外側が嵌合する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属接続部、及び前記金属接続部に対して、前記金属接続部の軸線方向の第1側に位置をずらして同軸に連なる筒状部を有する金属継手部と、
端部が前記筒状部内に配置された樹脂接続部、及び前記端部から径方向外側に向かって突出する鍔部を有する樹脂継手部と、
を備え、
前記筒状部の内周面には、周方向に延びる周溝が設けられ、
前記周溝には、前記鍔部の径方向外側が嵌合する、異種管接合継手。
【請求項2】
前記金属継手部と前記樹脂継手部との間隙を封止する封止部材をさらに備える、請求項1に記載の異種管接合継手。
【請求項3】
前記筒状部は、前記周溝を形成するとともに径方向内側を向く第1周面と、前記周溝を形成するとともに前記第1側を向く第1端面と、を備え、
前記鍔部は、径方向外側を向く第2周面と、軸方向の第2側を向く第2端面と、を備え、
前記封止部材は、前記第1周面と前記第2周面との間、および、前記第1端面と前記第2端面との間、のうちの少なくとも一方に配置されている、請求項2に記載の異種管接合継手。
【請求項4】
前記樹脂接続部と前記筒状部との間の前記軸線上に配置され、前記筒状部と嵌め合うとともに、前記鍔部に対して前記軸線方向の前記第1側から接触する袋ナットをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の異種管接合継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種管接合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属管と樹脂管とを接続するために、異種管接合継手が用いられている。異種管接合継手は、金属管に接続される金属接続部を有する金属継手部と、樹脂管に接続される樹脂接続部を有する樹脂継手部と、を備えている。
【0003】
特許文献1には、変換継手に関し、特にたとえば、金属製の部品と合成樹脂製の部品とを接続するために用いられる、変換継手が開示されている。
特許文献2には、合成樹脂管部材(ポリエチレン樹脂管等)と金属管部材(金属ネジ接合部等)という異種の管部材を相対回転可能に接合する異種管接合継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5986861号公報
【特許文献2】特許第4860655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の変換継手では、金属継手部と樹脂継手部との相対的な回転が規制されており、異種管接合継手に送水口などの鋼管を締めこむ際に、金属継手部と共に樹脂継手部が回転する。そのため、樹脂継手部と樹脂管との融着部がねじ切れることで、異種管接合継手の耐久性が低下する虞がある。これに対して、特許文献2に記載の変換継手では、金属継手部と樹脂継手部とが相対回転可能であるため、金属継手部が回転するときに、樹脂継手部は金属継手部の回転に連係しない。よって、前述の融着部がねじ切れ難くなる。
ただし、特許文献2には、金属継手部及び樹脂継手部を互いに接続する袋ナットと、金属接続部が有する筒状部内に、樹脂継手部の樹脂接続部に設けられた鍔部が配置されている異種管接合継手が記載されている。このような異種管接合継手は、公知の工具を用いて、金属接続部に金属管を接続し、樹脂接続部に樹脂管を接続する等により施工される。そのため、施工する際に工具が袋ナットに接触すると、筒状部から袋ナットが外れ、金属継手部と樹脂継手部とが分離する虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、施工時において、金属継手部と樹脂継手部との分離を抑制するとともに、金属継手部と樹脂継手部との接続部の耐久性を高めた異種管接合継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、金属接続部、及び前記金属接続部に対して、前記金属接続部の軸線方向の第1側に位置をずらして同軸に連なる筒状部を有する金属継手部と、端部が前記筒状部内に配置された樹脂接続部、及び前記端部から径方向外側に向かって突出する鍔部を有する樹脂継手部と、を備え、前記筒状部の内周面には、周方向に延びる周溝が設けられ、前記周溝には、前記鍔部の径方向外側が嵌合する、異種管接合継手である。
【0008】
この発明では、金属継手部が有する筒状部内に、樹脂継手部の樹脂接続部の端部に設けられた鍔部が配置されている。そして、筒状部の内周面には、周方向に延びる周溝が設けられ、周溝には、鍔部の径方向外側が嵌合する。これにより、樹脂継手部の金属継手部に対する周方向の回転を許容しつつ、樹脂継手部の金属継手部に対する軸線方向の第1側への離脱が規制される。すなわち、単に鍔部が周溝に嵌合されているだけなので、周方向への回転は許容される。一方、鍔部が周溝に対して第1側に移動しようとした場合には、鍔部が樹脂継手部の内周面に引っ掛かり規制される。よって、施工時において、金属継手部と樹脂継手部との分離を抑制するとともに、金属継手部と樹脂継手部との接続部の耐久性を高めることができる。
【0009】
(2)本発明の態様2は、前記金属継手部と前記樹脂継手部との間隙を封止する封止部材をさらに備える、(1)に記載の異種管接合継手であってもよい。
【0010】
本発明の異種管接合継手では、金属継手部と樹脂継手部との間隙を封止する封止部材を備える。これにより、金属継手部と樹脂継手部との接続部からの漏水を防止することができる。
【0011】
(3)本発明の態様3は、前記筒状部は、前記周溝を形成するとともに径方向内側を向く第1周面と、前記周溝を形成するとともに前記第1側を向く第1端面と、を備え、前記鍔部は、径方向外側を向く第2周面と、軸方向の第2側を向く第2端面と、を備え、前記封止部材は、前記第1周面と前記第2周面との間、および、前記第1端面と前記第2端面との間、のうちの少なくとも一方に配置されている、(2)に記載の異種管接合継手であってもよい。
【0012】
(4)本発明の態様4は、前記樹脂接続部と前記筒状部との間の前記軸線上に配置され、前記筒状部と嵌め合うとともに、前記鍔部に対して前記軸線方向の前記第1側から接触する袋ナットをさらに備える、(1)から(3)のいずれか一項に記載の異種管接合継手であってもよい。
【0013】
この発明によれば、異種管接合継手が、袋ナットをさらに備える。これにより、鍔部の第1側の移動を袋ナットによって規制することができる。よって、施工時において、金属継手部と樹脂継手部との分離をさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、施工時において、金属継手部と樹脂継手部との分離を抑制するとともに、金属継手部と樹脂継手部との接続部の耐久性を高めた異種管接合継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の異種管接合継手の斜視図である。
【
図2】同異種管接合継手を側面視した要部の断面図である。
【
図3】同異種管接合継手の袋ナットの正面図である。
【
図4】同異種管接合継手を施工する手順を説明する断面図である。
【
図5】同異種管接合継手を施工する手順を説明する断面図である。
【
図6】従来の異種管接合継手を側面視した要部の断面図である。
【
図7】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図8】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図9】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図10】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図11】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図12】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【
図13】同異種管接合継手の封止部材の配置の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る異種管接合継手の一実施形態を、
図1から
図6を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の異種管接合継手1は、金属継手部10と、封止部材15と、樹脂継手部20と、袋ナット25と、を備えている。
ここで、金属継手部10、樹脂継手部20、及び袋ナット25は筒状に形成され、封止部材15は環状に形成されている。金属継手部10、封止部材15、樹脂継手部20、及び袋ナット25それぞれの中心軸は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言う。軸線O1に沿う方向を、軸線O1方向と言う。軸線O1に直交する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
金属継手部10に対する樹脂継手部20側を、軸線O1方向の第1側D1(以下では、単に第1側D1とも言う)と言う。軸線O1方向において、第1側D1とは反対側を、軸線O1方向の第2側D2(以下では、単に第2側D2とも言う)と言う。
【0017】
金属継手部10は、金属接続部11と、接続部12と、筒状部13と、を有する。
金属接続部11及び筒状部13は、筒状に形成され、軸線O1上に配置されている。軸線O1は、金属接続部11の軸線でもある。金属接続部11の内周面には、雌ネジ11aが形成されている。
接続部12は、環状に形成され、軸線O1と同軸に配置されている。接続部12は、金属接続部11における第1側D1の端部から、径方向外側及び径方向内側にそれぞれ突出している。接続部12の内径は、金属接続部11の内径よりも小さい。
図2に示すように、接続部12における径方向内側に突出した部分の第1側D1を向く面12aには、溝12bが形成されている。溝12bは、軸線O1回りの全周にわたって形成されている。
【0018】
筒状部13は、接続部12における径方向外側の端部から第1側D1に向かって延びている。
図1に示すように、例えば、筒状部13の外形は、6角形の多角形状である。なお、筒状部13の外形は、6角形の多角形状に限定されず、12角形の多角形状等でもよい。
図1及び
図2に示すように、筒状部13は、金属接続部11に対して、第1側D1に位置をずらして同軸に連なっている。
図2に示すように、筒状部13の内周面には、第1側D1に雌ネジ13aが形成され、第2側D2に周方向に延びる周溝13cが形成されている。周溝13cは、周方向の全周にわたって連続して延びている。筒状部13は、周溝13cを形成するとともに径方向内側を向く第1周面13dと、周溝13cを形成するとともに前記第1側を向く第1端面13eと、周溝13cを形成するとともに前記第2側を向く第3端面13fと、を備える。周溝13cの直径は、雌ネジ13aの直径よりも大きい。
筒状部13の内径は、金属接続部11の内径よりも大きい。筒状部13の外径は、金属接続部11の外径よりも大きい。筒状部13における第1側D1の部分には、筒部貫通孔13bが形成されている。筒部貫通孔13bは、筒状部13を径方向に貫通している。筒部貫通孔13bは、筒状部13における周方向の一部のみに形成されている。
金属継手部10が有する金属接続部11、接続部12、及び筒状部13は、砲金、ステンレス鋼等で一体に形成されている。
【0019】
例えば、封止部材15は、Oリングである。封止部材15は、本実施形態において、接続部12の溝12b内に配置されている。封止部材15に外力が作用しない自然状態では、封止部材15は、接続部12の面12aよりも第1側D1に向かって突出している。
封止部材15は、耐老化性・耐候性・耐オゾン性・耐油性に優れたEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等で形成されている。
【0020】
樹脂継手部20は、樹脂接続部21と、鍔部22と、を有する。
樹脂接続部21は、筒状に形成されている。樹脂接続部21は、軸線O1と同軸に配置されている。樹脂接続部21における第2側D2の端部21aは、筒状部13内に配置されている。樹脂接続部21における第1側D1の端部は、筒状部13よりも第1側D1に突出している。
鍔部22は、環状に形成され、軸線O1と同軸上に配置されている。鍔部22は、樹脂接続部21の端部21aから径方向外側に向かって突出している。鍔部22は、径方向外側を向く第2周面22aと、軸方向の第2側を向く第2端面22bと、軸方向の第1側を向く第4端面22cと、を備える。樹脂接続部21の第2側D2の端面、及び鍔部22の第2端面22bは、互いに面一である。これらの端面は、接続部12の面12aに、面12aの第1側D1から接触している。この際に、自然状態の封止部材15は、軸線O1方向に弾性的に潰れるように変形している。
鍔部22は、筒状部13の筒部貫通孔13bよりも第2側D2に配置されている。鍔部22は、周溝13cに径方向外側が嵌合するように配置されている。
【0021】
樹脂継手部20が有する樹脂接続部21及び鍔部22は、ポリエチレン等の合成樹脂で一体に形成されている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、袋ナット25の外周面には、雄ネジ25aが形成されている。袋ナット25における第1側D1を向く面25bには、
図3に示す組立て穴であるナット貫通孔25cが形成されている。
ナット貫通孔25cは、袋ナット25を軸線O1方向に貫通している。尚、ナット貫通孔25cは、袋ナット25を貫通しない凹部形状であっても良い。
軸線O1方向に見たときに、ナット貫通孔25cは、長円形状を呈している。この例では、袋ナット25に複数のナット貫通孔25cが形成されている。複数のナット貫通孔25cは、軸線O1回りに互いに間隔を空けて配置されている。複数のナット貫通孔25cは、パイプレンチ等の汎用工具ではない、特殊な形状の工具を挿入可能な形状である。複数のナット貫通孔25c内に特殊な形状の工具を挿入して、筒状部13に対して袋ナット25を軸線O1回りに回転させることで、筒状部13から袋ナット25を取外すことができる。
例えば、袋ナット25は、金属継手部10と同一の材料で形成することができる。
なお、袋ナット25に形成されるナット貫通孔25cの数は、1つでもよい。
【0023】
図2に示すように、袋ナット25は、樹脂接続部21と筒状部13との間の軸線O1上に配置されている。袋ナット25の雄ネジ25aは、筒状部13の雌ネジ13aと嵌め合っている。袋ナット25は、鍔部22に対して、鍔部22の第1側D1から接触している。
袋ナット25は、軸線O1方向において筒状部13が配置されている範囲内に配置されている。言い換えると、袋ナット25の第1側D1の端である面25bは、筒状部13の第1側D1の端よりも第2側D2に配置されている。この例では、袋ナット25は、軸線O1方向において筒部貫通孔13bを跨ぐように配置されている。
【0024】
なお、袋ナット25には、ナット貫通孔25cに代えて凹部が形成されてもよい。凹部は、袋ナット25の第1側D1の部分のみに形成される。
袋ナット25の面25b、及び筒状部13の第1側D1の端は、軸線O1方向において同等の位置に配置されてもよい。
なお、異種管接合継手1では、樹脂継手部20に対して金属継手部10が軸線O1回りに回転できる。
【0025】
次に、以上のように構成された異種管接合継手1が施工される手順について説明する。
図4に示すように、例えば、地盤100上に、配管構造110が配置されている場合で説明する。配管構造110は、管材111と、エルボ112と、を有する。
例えば、管材111は、樹脂接続部21と同一の材料で形成されている。管材111は、地盤100上に水平面に沿って配置されている。
【0026】
例えば、エルボ112は、公知の電気融着継手である。エルボ112は、エルボ本体112aと、図示しない電熱線と、一対の端子と、を有する。
エルボ本体112aは、中心角が90°の曲管状に形成されている。電熱線は、エルボ本体112aに埋設されている。一対の端子は、エルボ本体112aの外面に設けられている。一対の端子は、電熱線の端部にそれぞれ接続されている。
管材111の端部は、エルボ112のエルボ本体112aにおける第1端部に接続されている。
【0027】
以上のように構成された配管構造110に対して、以下のように異種管接合継手1を施工する。
配管構造110のエルボ112に、異種管接合継手1の樹脂継手部20の樹脂接続部21を電気融着により接続する。具体的には、エルボ112のエルボ本体112aにおける第1端部とは反対側の第2端部に、樹脂接続部21の第1側D1の端部を挿入する。
公知の電気融着装置(不図示)の一対のケーブルを、エルボ112の一対の端子に接続する。電気融着装置を動作させて、一対のケーブル、一対の端子を介して電熱線に電力を印加する。電熱線が発熱することにより、エルボ本体112a及び樹脂接続部21の第1側D1の端部が互いに融着する。
このときにおいても、樹脂継手部20に対して金属継手部10が軸線O1回りに回転できる。
【0028】
図5に示すように、図示しない公知の工具を用いて、金属管115の雄ネジ115aを異種管接合継手1の金属継手部10の金属接続部11の雌ネジ11aに嵌め合わせる。異種管接合継手1等を適宜、土103により埋めて施工する。
【0029】
図6に示すように、従来の異種管接合継手2は、本実施形態の異種管接合継手1の各構成において、袋ナット25に代えて、袋ナット30を備えている。
袋ナット30は、筒状に形成されている。袋ナット30の外周面には、筒状部13の雌ネジ13aと嵌め合う雄ネジ30aが形成されている。
従来の異種管接合継手2では、袋ナット30が筒状部13よりも第1側D1に突出している。このため、異種管接合継手2を施工する際に、工具が袋ナット30に接触すると、筒状部13から袋ナット30が外れる虞がある。
【0030】
これに対して、本実施形態の異種管接合継手1では、樹脂継手部20の鍔部が、周溝13cに嵌合する。これにより、樹脂継手部20の金属継手部10に対する周方向の回転を許容しつつ、樹脂継手部20の金属継手部10に対する軸方向の第1側D1への離脱が規制される。すなわち、単に鍔部22が周溝13cに嵌合されているだけなので、周方向への回転は許容される。一方、鍔部22が周溝13cに対して第1側D1に移動しようとした場合には、鍔部22の第4端面22cが樹脂継手部20の第3端面13fに引っ掛かり規制される。このため、袋ナット25の有無によらず、金属継手部10と樹脂継手部20との分離を抑制することができる。
【0031】
加えて、本実施形態の異種管接合継手1では、樹脂接続部21と筒状部13との間の軸線O1上に配置され、筒状部13と嵌め合っている袋ナット25が、鍔部22が筒状部13から第1側D1に抜け出さないように鍔部22を保持している。この袋ナット25は、軸線O1方向において筒状部13の範囲内に配置されている。このため、パイプレンチ等の汎用工具が袋ナット25に接触し難くなり、異種管接合継手1の施工時に、金属継手部10から袋ナット25が外れるのを抑制することができる。このため、金属継手部10と樹脂継手部20との分離をより確実に抑制することができる。
【0032】
袋ナット25には、複数のナット貫通孔25cが形成されている。このため、ナット貫通孔25c内に、特殊な形状ではあるが工具等を挿入して袋ナット25を操作することで、筒状部13から袋ナット25を取外しやすくすることができる。
筒状部13には、筒部貫通孔13bが形成されている。筒部貫通孔13bは、図示しない回り止めピンをねじ込むために、筒状部13を貫通するようにねじ切りされている。従って、筒状部13内における袋ナット25は、筒部貫通孔13bを介して回り止めピンで固定することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0034】
封止部材15は、金属継手部10と樹脂継手部20との間隙を封止していればよい。例えば
図7及び
図8に示す異種管接合継手1a、1bのように、封止部材15は、第1周面13dと第2周面22aとの間、および、第1端面13eと第2端面22bとの間、のうちの少なくとも一方に配置されていてもよい。
図7に示す異種管接合継手1aでは、封止部材15は、第1周面13dと第2周面22aとの間に配置されている。
図8に示す異種管接合継手1bでは、封止部材15は、第1端面13eと第2端面22bとの間に配置されている。
また、例えば
図9~
図12に示すように、封止部材15は、樹脂継手部20と袋ナット25との間に配置されていてもよい。
図9及び
図10に示す異種管接合継手1c、1dのように、封止部材15が、袋ナット25と樹脂接続部21との間に配置されていてもよい。
図9に示す異種管接合継手1cでは、封止部材15が、袋ナット25の内周面に配置されている。
図10に示す異種管接合継手1dでは、封止部材15が、樹脂接続部21の外周面に配置されている。
図11に示す異種管接合継手1eのように、封止部材15が、第4端面22cに配置されていてもよい。
図12に示す異種管接合継手1fのように、封止部材15が、袋ナット25のうち、鍔部22の第4端面22cを向く面に配置されていてもよい。
また、例えば
図13に示す異種管接合継手1fのように、接続部12は接続部12から第1側D1に立ち上がり、樹脂継手の端部21aの一部と当接する環状部12cを有していてもよく、封止部材は、樹脂継手の端部21aと環状部12cとの間に配置されていてもよい。
【0035】
例えば、前記実施形態では、袋ナット25には、複数のナット貫通孔25cが形成されていなくてもよい。筒状部13には、筒部貫通孔13bが形成されていなくてもよい。
【0036】
例えば、金属接続部の外径及び筒状部の外径が互いに等しく、金属接続部の内径が筒状部の内径よりも小さい場合等には、金属継手部10は接続部を有さず、金属接続部及び筒状部が互いに直接接続されてもよい。金属接続部は、金属管に接続されるフランジであってもよい。樹脂継手部も、金属接続部と同様である。
異種管接合継手1は、封止部材15を備えなくてもよい。この場合、金属接続部11に溝12bは形成されない。
袋ナット25が、金属接続部11から第1側に突出していてもよい。袋ナット25がなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 異種管接合継手
10 金属継手部
11 金属接続部
13 筒状部
13c 周溝
13d 第1周面
13e 第1端面
20 樹脂継手部
21 樹脂接続部
21a 端部
22 鍔部
22a 第2周面
22b 第2端面
25 袋ナット
25b 面
25c ナット貫通孔
D1 第1側
D2 第2側
O1 軸線