(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158792
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074320
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田所 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】日比 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】松野 恵莉
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB08
2G051AC21
2G051CA04
2G051EA08
2G051EB01
2G051ED03
(57)【要約】
【課題】1度の撮影で、接着剤の幅方向と厚み方向とを撮影できる技術を提供する。
【解決手段】対象物に塗布された接着剤の塗布状態を検査する検査装置は、接着剤が対象物に塗布される塗布工程を撮影する3次元カメラと、3次元カメラが撮影した接着剤の塗布前の対象物の第1撮像画像と3次元カメラが撮影した接着剤の塗布後の対象物の第2撮像画像との接着剤に相当する差分と、予め用意した接着剤に関する基準画像とを用いて、接着剤の塗布位置と接着剤の厚みと接着剤の幅とを含む塗布状態の良否判断を行う画像処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に塗布された接着剤の塗布状態を検査する検査装置であって、
前記接着剤が前記対象物に塗布される塗布工程を撮影する3次元カメラと、
前記3次元カメラが撮影した前記接着剤の塗布前の前記対象物の第1撮像画像と前記3次元カメラが撮影した前記接着剤の塗布後の前記対象物の第2撮像画像との前記接着剤に相当する差分と、予め用意した前記接着剤に関する基準画像とを用いて、前記接着剤の塗布位置と前記接着剤の厚みと前記接着剤の幅とを含む前記塗布状態の良否判断を行う画像処理部と、を備える、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造過程において、接着剤を塗布する工程が行われる場合に、カメラの撮像画像を用いて接着剤の塗布状態を検査する技術が知られている。特許文献1では、接着剤が塗布された対象物の表面を撮影した撮影画像の明暗により接着剤の塗布位置を求め、塗布位置の良否を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着剤が塗布された対象物の表面を撮影した撮影画像を用いて、接着剤の塗布の厚みの良否を判定することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、対象物に塗布された接着剤の塗布状態を検査する検査装置が提供される。この検査装置は、前記接着剤が前記対象物に塗布される塗布工程を撮影する3次元カメラと、前記3次元カメラが撮影した前記接着剤の塗布前の前記対象物の第1撮像画像と前記3次元カメラが撮影した前記接着剤の塗布後の前記対象物の第2撮像画像との前記接着剤に相当する差分と、予め用意した前記接着剤に関する基準画像とを用いて、前記接着剤の塗布位置と前記接着剤の厚みと前記接着剤の幅とを含む前記塗布状態の良否判断を行う画像処理部と、を備える。
この形態の検査装置によれば、3次元カメラを用いて対象物を撮影するため、1度の撮影で、接着剤の幅方向と厚み方向とを撮影できる。そのため、2次元カメラで複数方向から撮影を行う場合に比べて、接着剤の塗布位置と厚みと幅とを含む塗布状態の良否判断に要する時間を低減できる。
【0007】
なお、本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、検査装置を有する塗布装置や、検査装置を用いた検査方法等の態様で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】検査処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における塗布装置100の概要を示す模式図である。塗布装置100は、対象物200へ接着剤を塗布する塗布工程を行う装置である。塗布装置100は、制御部10と、アーム20と、塗布部30と、3次元カメラ40と、画像処理部50とを備える。3次元カメラ40と画像処理部50とを合せて、検査装置110ともいう。
【0010】
制御部10は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROM等により構成されたコンピュータからなり、制御部10の記憶領域に予めインストールされたプログラムを実行することによって、アーム20や塗布部30、3次元カメラ40、画像処理部50の制御を実現する。ただし、これらの制御の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。
【0011】
アーム20は、制御部10の制御によって、駆動されるロボットである。本実施形態において、アーム20は、垂直多関節ロボットである。アーム20は、垂直多関節ロボットに限らず、例えば、水平多関節ロボットや直交ロボットでもよい。
【0012】
塗布部30は、接着剤を塗布する装置である。塗布部30は、アーム20の先端に取り付けられている。本実施形態において、塗布部30は、ノズルを介して対象物200に接着剤を線状に塗布する。また、本実施形態において、接着剤は、対象物200に塗布された後の線状の形態が保持できる程度の粘性を有する。
【0013】
3次元カメラ40は、三次元画像を撮影できるカメラである。3次元カメラ40は、塗布工程を立体的に撮影する。すなわち、3次元カメラ40は、一方向からの撮影によって、対象物200における接着剤の幅と厚みとを撮影できる。3次元カメラ40は、ステレオ方式、ToF(Time of Flight)方式、光切断方式、構造化照明のいずれの方式も採用できる。本実施形態において、3次元カメラ40は、光切断方式を用いて対象物200を撮影する。3次元カメラ40は、アーム20の先端に取り付けられ、塗布部30の走査に追従して移動し、線レーザによって対象物200を高速で連写する。
【0014】
画像処理部50は、3次元カメラ40が撮影した画像を用いて、塗布状態の良否判断を行う。より具体的には、画像処理部50は、3次元カメラ40が撮像した接着剤の塗布前の対象物200の第1撮像画像と3次元カメラ40が撮影した接着剤の塗布後の対象物200の第2撮像画像との接着剤に相当する差分と、予め用意した接着剤に関する基準画像とを用いて、塗布状態の良否判断を行う。基準画像は、塗布状態が良好である接着剤を示す画像である。基準画像は、例えば、画像処理部50の記憶領域に記憶されている。塗布状態は、対象物200における接着剤の塗布位置と接着剤の厚みと接着剤の幅とを含む、接着剤の塗布の状態である。
【0015】
図2は、検査処理の一例を示すフローチャートである。検査処理は、対象物200に塗布された接着剤の塗布状態を検査装置110が検査する処理である。本実施形態において、この処理は、塗布工程の開始と同時に行われる。ステップS100において、3次元カメラ40は、対象物200を撮像する。
【0016】
ステップS110において、画像処理部50は、ステップS100において3次元カメラ40が撮像した画像から、接着剤に相当する差分画像を生成する。
【0017】
ステップS120において、画像処理部50は、ステップS110において生成した差分画像と、基準画像とを用いて、塗布状態の良否判断を行う。より具体的には、画像処理部50は、差分画像と基準画像とを比較して、接着剤の位置および幅、接着剤の厚みの差分が、それぞれ予め定められた閾値以下である場合に、塗布状態が良好であると判断する。各閾値は、例えば、基準画像における接着剤の各値の2%以上であり5%以下の値である。
【0018】
以上で説明した本実施形態の検査装置110によれば、3次元カメラ40を用いて対象物200を撮影するため、1度の撮影で、接着剤の幅方向と厚み方向とを撮影できる。そのため、2次元カメラで複数方向から撮影を行う場合に比べて、接着剤の塗布位置と厚みと幅とを含む塗布状態の良否判断に要する時間を低減できる。また、2次元カメラで接着剤の幅方向と厚み方向とを撮影する場合、対象物200の上面および側面から撮影できるように、塗布装置100の動作との干渉が生じない姿勢や2次元カメラの取り付け位置が制限される。3次元カメラ40は、例えば、対象物200の上面からの撮影で接着剤の幅方向と厚み方向とを撮影できるため、塗布装置100の姿勢や3次元カメラ40の取り付け位置の制限が抑制される。
【0019】
B.他の実施形態:
(B1)上述した実施形態において、3次元カメラ40は、対象物200を連射している。これに限らず、3次元カメラ40は、接着剤の塗布前と、接着剤の塗布完了後のみ対象物200を撮影してもよい。
【0020】
(B2)上述した実施形態において、検査装置110は、塗布工程の開始と同時に検査処理を行っている。これに限らず、検査装置110は、例えば、塗布工程の開始前に、検査処理を開始してもよい。より具体的には、3次元カメラ40は、接着剤の塗布前の対象物200の第1撮像画像を撮影する。
【0021】
C.参考例:
上述した実施形態において、検査装置110は、対象物200に塗布された接着剤の塗布状態の良否判断を行っている。この代わりに、検査装置110は、対象物200の面の品質検査を行ってもよい。検査装置110は、例えば、面の歪みや、割れの有無を判断する。
【0022】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
10…制御部、20…アーム、30…塗布部、40…3次元カメラ、50…画像処理部、100…塗布装置、110…検査装置、200…対象物