(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158803
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】フィルタ及び粉粒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/60 20220101AFI20241031BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20241031BHJP
B01D 46/04 20060101ALI20241031BHJP
B01D 46/02 20060101ALI20241031BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20241031BHJP
B01D 46/70 20220101ALI20241031BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20241031BHJP
B01J 2/16 20060101ALI20241031BHJP
B01J 2/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01D46/60
B01D46/52 C
B01D46/04 103
B01D46/02 Z
B01D46/24 Z
B01D46/70
B01J2/00 B
B01J2/16
B01J2/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074336
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】長門 琢也
【テーマコード(参考)】
4D058
4G004
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058JA04
4D058JA10
4D058JB03
4D058JB13
4D058JB14
4D058JB22
4D058JB24
4D058JB25
4D058KB11
4D058MA15
4D058SA20
4G004BA02
4G004HA00
4G004KA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】濾過性能に優れていると共に、逆洗気体の供給量や供給時間を低減しつつ、逆洗によって濾過性能を回復させることができるフィルタ、および当該フィルタを用いた粉粒体処理装置を提供する。
【解決手段】金属製の濾材で構成された筒状のメタルフィルタ部11と、可撓性の濾材で構成され、メタルフィルタ部11の外周面11aの側に配置された筒状の可撓性フィルタ部12と、前記フィルタ部11、12を支持するリテーナ13を備え、処理気体Gに混じった粉粒体粒子は、前記フィルタ部を通過する際に分離される。逆洗時、供給されたパルスエアPは、メタルフィルタ部11の内周面11bの側から濾材内部を通過して外周面11aの側に噴出し、可撓性フィルタ部12は、外周面11aの側から噴出するパルスエアPの圧力を受けて径方向に膨張するように変形し、この変形動作によって、可撓性フィルタ部12に付着した粉粒体粒子が払い落とされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固気混合気体から固体粒子を分離するフィルタであって、
金属製の濾材で構成され、前記固気混合気体の流れに対して、流入側となる一面と、流出側となる他面とを有するメタルフィルタ部と、
可撓性の濾材で構成され、前記メタルフィルタ部の一面の側に設けられ、逆洗気体による逆洗時に、前記メタルフィルタ部の他面の側から供給され、前記メタルフィルタ部の一面の側から噴出する前記逆洗気体の圧力により変形する可撓性フィルタ部と、
を備えたことを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記可撓性フィルタ部は、山部と谷部が交互に設けられた樹脂製の濾材で構成されている請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記可撓性フィルタ部は、化学繊維及び天然繊維のうち少なくとも一方を含む繊維の織布又は不織布からなる布製の濾材で構成されている請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記可撓性フィルタの濾材よりも大きな目開き寸法を有する粗目部が前記可撓性フィルタに設けられており、前記逆洗気体による逆洗時に、前記メタルフィルタ部と前記可撓性フィルタ部との間に払い落とされた固体粒子が、前記粗目部を通過して前記フィルタの外部に排出される請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記メタルフィルタ部は、前記可撓性フィルタの前記粗目領域と対向する部位に、通気性のない非通気部を有する請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
粉粒体に処理気体を通気しながら混合、乾燥、造粒、コーティングのうち少なくとも一の処理を行う粉粒体処理装置であって、
前記処理気体の排気経路に請求項1から請求項5の何れか一項に記載のフィルタが配置されていることを特徴とする粉粒体処理装置。
【請求項7】
前記粉粒体を収容する流動層容器を備え、前記流動層容器の内部に前記フィルタが配置されている請求項6に記載の粉粒体処理装置。
【請求項8】
前記粉粒体を収容する回転ドラムと、前記回転ドラムを収容すると共に、前記回転ドラムの内部と連通可能な排気室を有するケーシングとを備え、前記ケーシングの排気室に前記フィルタが配置されている請求項6に記載の粉粒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固気混合気体から固体粒子を分離するフィルタ、および、当該フィルタを用いた粉粒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、粉粒体処理装置の一例として挙げられる流動層装置は、流動層容器に収容した粉粒体を、流動層容器の底部から導入した処理気体によって浮遊流動させつつ、造粒、コーティング、乾燥等の処理を行う装置である。この種の流動層装置では、粉粒体粒子(微粉等)が混じった処理気体の排気から粉粒体粒子を分離するために、流動層容器の上部にフィルタを配置している。フィルタとしては、バグフィルタと呼ばれる布製の濾材で構成されたフィルタの他、樹脂製又は金属製の濾材を筒状に成形してリテーナに保持させたカートリッジフィルタが用いられている(特許文献1~5)。
【0003】
この種のフィルタは、使用により、固気分離された粉粒体粒子が濾材の内部や捕集面(固気混合気体の流れに対して流入側となる面)に付着して濾過性能の低下(目詰まり)をきたすことがあるので、濾材に付着した粉粒体粒子を適時に除去して、濾過性能を回復させる必要がある。特許文献1~5に記載されているカートリッジフィルタでは、濾材の捕集面と反対側の裏面(固気混合気体の流れに対して流出側となる面)の側にパルスエア等の逆洗気体を供給し、濾材の内部を通過させて捕集面の側から噴出させることによって、濾材に付着した粉粒体粒子を払い落として除去している(逆洗)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-193131号公報
【特許文献2】特開2005-313089号公報
【特許文献3】特開2011-36829号公報
【特許文献4】特開2002-58944号公報
【特許文献5】特開平9-187613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属製の濾材で構成されたメタルフィルタは、濾過性能に優れている半面、濾材の剛性が高く、逆洗気体の圧力を受けても変形しないため、濾材に付着した粉粒体粒子が逆洗気体によって十分に除去されず、濾過性能が回復されなかったり、あるいは、濾過性能を回復させるために、逆洗気体の供給量や供給時間が多く必要になったりするという欠点がある。特に、付着凝集性の高い粉粒体粒子を処理する場合、この傾向が顕著である。
【0006】
本発明の課題は、濾過性能に優れていると共に、逆洗気体の供給量や供給時間を低減しつつ、逆洗によって濾過性能を回復させることができるフィルタ、および、当該フィルタを用いた粉粒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、固気混合気体から固体粒子を分離するフィルタであって、金属製の濾材で構成され、前記固気混合気体の流れに対して、流入側となる一面と、流出側となる他面とを有するメタルフィルタ部と、可撓性の濾材で構成され、前記メタルフィルタ部の一面の側に設けられ、逆洗気体による逆洗時に、前記メタルフィルタ部の他面の側から供給され、前記メタルフィルタ部の一面の側から噴出する前記逆洗気体の圧力により変形する可撓性フィルタ部とを備えたフィルタを提供する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明は、処理気体の排気経路に上記のフィルタを配置した粉粒体処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィルタで固気混合気体から固体粒子を分離する過程で、固気混合気体に混じった固体粒子は、まず可撓性フィルタ部で捕集され、可撓性フィルタ部を通過した固体粒子がメタルフィルタ部で捕集される。そのため、メタルフィルタ部の捕集面(固気混合気体の流れに対して流入側となる一面)や濾材内部に固体粒子が付着し難くなり、メタルフィルタ部の良好な濾過性能が維持される。また、逆洗気体による逆洗時は、メタルフィルタ部の裏面(固気混合気体の流れに対して流入側となる他面)側から供給され、濾材の内部を通過して一面の側から噴出する逆洗気体の圧力により可撓性フィルタ部が変形し、この可撓性フィルタ部の変形動作により、可撓性フィルタ部に付着した固体粒子が払い落とされて除去される。これにより、フィルタの濾過性能が回復される。また、フィルタの濾過性能の回復に必要な逆洗気体の供給量や供給時間を少なくすることができる。
【0010】
本発明のフィルタを処理気体の排気経路に配置した粉粒体処理装置は、フィルタの良好な濾過性能とその回復機能により、排気に混じった粉粒体粒子が効果的に分離(捕集)されるので、排気経路に集塵装置を配置する必要がなく、あるいは、排気経路に配置する集塵装置を小型のものにすることができる。これにより、粉粒体処理装置を含む粉粒体製造設備の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るカートリッジフィルタを備えた流動層装置の一構成例を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るカートリッジフィルタの断面図である。
【
図3】第2の実施形態に係るカートリッジフィルタの断面図である。
【
図4】第3の実施形態に係るカートリッジフィルタの断面図である。
【
図5】第4の実施形態に係るカートリッジフィルタの断面図である。
【
図6A】実施形態に係るカートリッジフィルタを備えたドラム型コーティング装置の一構成例を概念的に示す断面図(正面の側から見た図)である。
【
図6B】
図6Aのドラム型コーティング装置の左側面図(一部断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1は、粉粒体処理装置としての流動層装置の一構成例を示している。
【0014】
流動層装置の流動層容器1は、粉粒体の処理、例えば粉粒体の造粒又はコーティングを行う処理室2と、処理室2の上方に設けられたフィルタ室3と、フィルタ室3の上方に設けられた排気室4を備えている。フィルタ室3と排気室4は、仕切壁5によって仕切られている。
【0015】
処理室2の底部には、パンチングメタル等の多孔板(又は金網)で構成された気体分散板2aが配設されている。給気ダクト6から給気チャンバ7に供給された熱風等の処理気体Gは、気体分散板2aを介して流動層容器1内に導入される。また、処理室2には、スプレー液(膜剤液、結合剤液等)を下方に向けて噴霧するスプレーノズル8が設置されている。
【0016】
フィルタ室3には、1又は複数のフィルタ、例えば複数のカートリッジフィルタAが配置されている。各カートリッジフィルタAはそれぞれ仕切壁5に取付けられており、フィルタ室3と排気室4はカートリッジフィルタAを介して相互に連通する。フィルタ室3からカートリッジフィルタAを通過して排気室4に入った処理気体Gは、排気ダクト9を通って装置外部に排気される。また、排気室4の内部には、逆洗気体、例えばパルスエア(パルスジェットエア)PをカートリッジフィルタAに供給して、カートリッジフィルタAを逆洗(浄化)する逆洗装置、例えば逆洗ノズル10が配置されている。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係るカートリッジフィルタAを示している。この実施形態において、カートリッジフィルタAは、金属製の濾材で構成された筒状のメタルフィルタ部11と、可撓性の濾材で構成され、メタルフィルタ部11の外周側に配置された筒状の可撓性フィルタ部12と、メタルフィルタ部11と可撓性フィルタ部12を支持するリテーナ13を備えている。
【0018】
メタルフィルタ部11は、金属網、金属繊維の織物又は不織物、焼結金属等の金属多孔質材からなる濾材を筒状に成形して形成される。
【0019】
可撓性フィルタ部12は、プリーツ加工を施した樹脂製の濾材を筒状に成形して形成され、山部と谷部が円周方向に交互に配列されたプリーツ形態を有する。この可撓性フィルタ部12は、樹脂製の濾材の弾性とプリーツ形態とが相俟って、径方向に膨張・復元収縮可能な可撓性を有する。また、可撓性フィルタ部12は、その下端部に底キャップ12aが装着されている。
【0020】
リテーナ13は、コア13aと、コア13aの上端部に固定されたフランジ13bと、コア13aの下端部に着脱可能に装着されたエンドキャップ13cとで構成される。コア13aは、多数の通気孔が設けられ、上端に開口13a11を有する筒部13a1と、筒部13a1の下端に設けられた軸部13a2と、軸部13aに固定された封止リング13a3を備えている。エンドキャップ13cは、軸部13a2の軸端部に螺合(又は圧入)される。
【0021】
メタルフィルタ部11はコア13aに外挿され、その上端部はフランジ13bに固定され、その下端部は封止リング13aに取り付けられる。メタルフィルタ部11の下端部は封止リング13aと接触することにより、通気孔が封止されて非通気部11cとなる。また、可撓性フィルタ部12はメタルフィルタ部11に外挿され、底キャップ12aは軸部13a2に装着される。底キャップ12aは、軸部13a2の軸端部にOリング14を介して螺合(又は圧入)されたエンドキャップ13cによりフランジ13bの側に押し込まれる。これにより、可撓性フィルタ部12がフランジ13bとエンドキャップ13cとで上下方向から挟持された状態でリテーナ13に保持される。
【0022】
カートリッジリフタAは、仕切壁5に設けられた開口部5aに装着され、環状の膨張シール15によって着脱可能に固定される。詳述すると、膨張シール15は、フランジ13bの外周部に設けられた断面コ字形の装着部13b1に装着されている。また、開口部5aの縁部に下方側に起立したシール壁面5a1が設けられている。膨張シール15がシール壁面5a1と対向するように、カートリッジリフタAを開口部5aに挿入した状態で、膨張シール15に圧縮空気等の圧縮気体を供給すると、膨張シール15が膨張してシール壁面5a1に圧接する。これにより、カートリッジリフタAと開口部5aとの間がシールされると共に、カートリッジフィルタAが開口部5aに固定される。また、膨張シール15から圧縮気体を排出すると、膨張シール15が収縮してシール壁面5a1から離れる。これにより、カートリッジリフタAを開口部5aから取り外すことができる。
【0023】
流動層容器1内を上昇してフィルタ室3に入った処理気体Gは、可撓性フィルタ部12とメタルフィルタ部11を通過してカートリッジフィルタAの内部に流入し、コア13aの筒部13a1を流通して開口13a11から排気室4に流出する。処理気体Gに混じった粉粒体粒子は、可撓性フィルタ部12とメタルフィルタ部11を通過する際に処理気体Gから分離される。このような処理気体Gの流れに対して、メタルフィルタ部11は、その外周面11aが処理気体Gの流入側の面(捕集面)となる。そして、可撓性フィルタ部12は、メタルフィルタ部11の外周面11aを覆うように配置される。一方、逆洗ノズル10は、カートリッジフィルタAに対して、処理気体Gの流れ方向と反対方向にパルスエアPを供給する。具体的には、逆洗ノズル10は、カートリッジフィルタAの上端の開口13a11を介してカートリッジフィルタAの内部にパルスエアPを供給する。カートリッジフィルタAの内部に供給されたパルスエアPは、メタルフィルタ部11の内周面11bの側から濾材内部を通過して外周面11aの側に噴出する。このパルスエアPの噴出によって、メタルフィルタ部11の濾材内部や外周面11aに付着した粉粒体粒子が払い落とされる。また、メタルフィルタ部11の外周面11aの側に配置された可撓性フィルタ部12が、外周面11aの側から噴出するパルスエアPの圧力を受けて径方向に膨張するように変形し、この変形動作によって、可撓性フィルタ部12に付着した粉粒体粒子が払い落とされる。特に、逆洗気体としてパルスエアPを用いると、パルスエアPのON・OFFのタイミングに従って、可撓性フィルタ部12が径方向に膨張・復元収縮の変形動作を繰り返すので、粉粒体粒子の払い落とし効果がより一層高められる。
【0024】
図1において、流動層容器1の処理室2に収容された粉粒体は、気体分散板2aを介して流動層容器1内に導入される処理気体Gによって浮遊流動される。そして、この粉粒体の流動層に向けてスプレーノズル8からスプレー液(膜剤液、結合剤液等)が噴霧される。スプレーノズル8から噴霧されるスプレー液、例えば膜剤液のミストによって粉粒体粒子が湿潤を受けると同時に、膜剤液中に含まれる固形成分が粉粒体粒子の表面に付着し、乾燥固化されて、粉粒体粒子の表面に被覆層が形成される(コーティング)。あるいは、スプレーノズル8から噴霧されるスプレー液、例えば結合剤液のミストによって粉粒体粒子が湿潤を受けて付着凝集し、乾燥されて、所定径の粒子に成長する(造粒)。
【0025】
処理室2内で粉粒体を浮遊流動させた処理気体Gは、粉粒体粒子(微粉等)を含んだ固気混合気体としてフィルタ室3に入り、フィルタ室3に設けられたカートリッジフィルタAの内部を流通して排気室4に入る。処理気体Gに混じった粉粒体粒子は、カートリッジフィルタAの可撓性フィルタ部12とメタルフィルタ部11を通過する際に処理気体Gから分離される。この固気分離の過程で、処理気体Gに混じった粉粒体粒子は、まず可撓性フィルタ部12で捕集され、可撓性フィルタ部12を通過した粉粒体粒子のみがメタルフィルタ部11で捕集される。そのため、メタルフィルタ部11の外周面11aや濾材内部に粉粒体粒子が付着し難くなり、メタルフィルタ部11の良好な濾過性能が維持される。
【0026】
一方、流動層装置の運転時間の経過により、カートリッジフィルタAの濾過性能が低下すると、逆洗ノズル10による逆洗を行う。カートリッジフィルタAの逆洗は、濾過性能の低下を適宜の手段で検知した時点で(例えば、排気ダクト9を通る排気の流量を測定することにより濾過性能の低下を検知することができる。)、あるいは、予め設定されたサイクルタイムが経過した時点で、逆洗ノズル10を自動的に作動させて、パルスエアPをカートリッジフィルタAに供給することによって行うことができる。また、カートリッジフィルタAの逆洗は、流動層装置の運転(粉粒体処理)を継続しながら、あるいは、流動層装置の運転を一旦停した状態で行うことができる。
【0027】
上述のように、逆洗ノズル10からカートリッジフィルタAの内部に供給されたパルスエアPは、メタルフィルタ部11の内周面11bの側から濾材内部を通過して外周面11aの側に噴出する。このパルスエアPの噴出によって、メタルフィルタ部11の濾材内部や外周面11aに付着した粉粒体粒子が払い落とされる。また、パルスエアPのON・OFFのタイミングに従って、可撓性フィルタ部12が径方向に膨張・復元収縮の変形動作を繰り返すことにより、可撓性フィルタ部12に付着した粉粒体粒子が払い落とされる。これにより、カートリッジフィルタAの濾過性能が回復する。
【0028】
図3は、第2の実施形態に係るカートリッジフィルタAを示している。この第2の実施形態のカートリッジフィルタAが上述した第1の実施形態のカートリッジフィルタAと異なる点は、可撓性フィルタ部12を、化学繊維及び天然繊維のうち少なくとも一方を含む繊維の織布又は不織布からなる布製の濾材で構成した点、可撓性フィルタ部12の下端部をOリング14を介してエンドキャップ13cで固定した点にある。布製の濾材で構成された可撓性フィルタ部12は、濾材の柔軟性により、径方向に膨張・復元収縮可能な可撓性を有する。そのため、パルスエアPのON・OFFのタイミングに従って、可撓性フィルタ部12が径方向に膨張・復元収縮の変形動作を繰り返すことにより、可撓性フィルタ部12に付着した粉粒体粒子が効果的に払い落とされる。その他の事項は、上述した第1の実施形態のカートリッジフィルタAについて説明した事項に準じるので、重複する説明を省略する。
【0029】
図4は、第3の実施形態に係るカートリッジフィルタAを示している。この第3の実施形態のカートリッジフィルタAが上述した第1の実施形態のカートリッジフィルタAと異なる点は、可撓性フィルタ部12の下端部、この実施形態では可撓性フィルタ部12の底キャップ12aに、可撓性フィルタ部12の濾材よりも目開き寸法が大きい粗目部12bを設けた点にある。底キャップ12aはゴム等の弾性材で形成され、粗目部12bは、メタルフィルタ部11の非通気部11cと対向する底キャップ12aの部位に、粉粒体粒子が通過可能な目開き寸法を有する多数の開孔を設けることにより形成される。粗目部12bは、常時はメタルフィルタ部11の非通気部11cと接触し、非通気部11cによって封止される。これにより、粉粒体処理時に処理気体Gが粗目部12bを通過してカートリッジフィルタAの内部に流入することが阻止される。一方、パルスエアPによる逆洗時は、メタルフィルタ部11の外周面11aの側から噴出するパルスエアPにより、可撓性フィルタ部12が径方向に膨張し、メタルフィルタ部11と可撓性フィルタ部12との間の空間部の内圧が高まると、底キャップ12aが外径方向に弾性変形して、粗目部12bとメタルフィルタ部11の非通気部11cとの間に隙間ができる。逆洗時に、メタルフィルタ部11から上記空間部に払い落とされた粉粒体粒子や、可撓性フィルタ12から上記空間部に払いとされた粉粒体粒子は、自重の作用と、上記内部空間から粗目部12bを介して流出するパルスエアPの流れを受けて、粗目部12bを通過してカートリッジフィルタAの外部に排出される。その他の事項は、上述した第1の実施形態のカートリッジフィルタAについて説明した事項に準じるので、重複する説明を省略する。
【0030】
図5は、第4の実施形態に係るカートリッジフィルタAを示している。この第4の実施形態のカートリッジフィルタAが上述した第2の実施形態のカートリッジフィルタAと異なる点は、可撓性フィルタ部12の下端部に、可撓性フィルタ部12の濾材よりも目開き寸法が大きい粗目部12cを設けた点にある。粗目部12cは、メタルフィルタ部11の非通気部11cと対向する濾材(可撓性フィルタ部12)の部位の目開き寸法を、他の部位よりも大きくすることにより形成される。粉粒体処理時、粗目部12cは、処理気体Gの流れの圧力を受けてメタルフィルタ部11の非通気部11cと接触し、非通気部11cによって封止される。これにより、粉粒体処理時に処理気体Gが粗目部12cを通過してカートリッジフィルタAの内部に流入することが阻止される。一方、パルスエアPによる逆洗時は、メタルフィルタ部11の外周面11aの側から噴出するパルスエアPにより、可撓性フィルタ部12が径方向に膨張すると、メタルフィルタ部11と可撓性フィルタ部12との間の空間部ができると共に、粗目部12cとメタルフィルタ部11の非通気部11cとの間に隙間ができる。逆洗時に、メタルフィルタ部11から上記空間部に払い落とされた粉粒体粒子や、可撓性フィルタ12から上記空間部に払いとされた粉粒体粒子は、自重の作用と、上記内部空間から粗目部12cを介して流出する逆洗気体の流れを受けて、粗目部12bを通過してカートリッジフィルタAの外部に排出される。その他の事項は、上述した第1及び第2の実施形態のカートリッジフィルタAについて説明した事項に準じるので、重複する説明を省略する。
【0031】
図6A及び
図6は、粉粒体処理装置としてのドラム型コーティングの一構成例を概念的に示している。このコーティング装置は、水平線と平行又は略平行な軸線X回りに回転駆動される通気式の回転ドラム21を備えている。ケーシング22の内部には、回転ドラム21が収容されるドラム室22aと、シール板22bによって仕切られた排気室22cが設けられている。また、回転ドラム21の内部に、膜材液等のスプレー液を粉粒体層に向けて噴霧するスプレーノズル(図示省略)が配置される。
【0032】
回転ドラム21は、多角形(又は円形)の横断面形状を有する周壁部21aと、周壁部21aの一端に連続した端壁部21bと、周壁部21aの他端に連続した端壁部21cとを備えている。周壁部21aは多孔部で形成される通気部を備えており、熱風等の処理気体Gは、周壁部21aの通気部を介して回転ドラム21内に導入される。また、周壁部21aの外周に複数の仕切板21dが円周方向に所定間隔で設けられており、回転ドラム21の回転時、仕切板21dがシール板22bと摺接することにより、回転ドラム21内に導入された処理気体Gが粉粒体層を通って、シール板22bの排気口22b1から排気室22cに排気される。
【0033】
排気室22cには、上述した実施形態のカートリッジフィルタAが1又は複数配置されている。カートリッジフィルタAは排気室22cの天井壁22c1の開口部に取付けられており、排気室22cはカートリッジフィルタAを介して排気ダクト23に連通する。天井壁22c1の上部の空間部には、逆洗気体、例えばパルスエアをカートリッジフィルタAに供給して、カートリッジフィルタAを逆洗する逆洗装置、例えば逆洗ノズル(図示省略)が配置されている。
【0034】
被覆層を形成すべき錠剤等の粉粒体を収容した回転ドラム21が回転駆動されると、内部の粉粒体粒子が攪拌混合されて粉粒体層(転動床)が形成される。そして、粉粒体層に向けて、スプレーノズルからスプレー液が噴霧される。粉粒体層に噴霧されたスプレー液は、回転ドラム21の回転に伴う粉粒体層の攪拌混合作用によって、各粉粒体粒子の表面に展延される。そして、粉粒体粒子の表面に展延されたスプレー液が、回転ドラム21の内部に導入される処理気体Gによって乾燥されて、粉粒体粒子の表面に被覆層が形成される。この処理気体Gは、粉粒体層の中を通過して、粉粒体粒子(微粉等)を含んだ固気混合気体としてシール板22bの排気口22b1から排気室22cに排気され、排気室22cに配置されたカートリッジフィルタAの内部を流通して排気ダクト23に排気される。カートリッジフィルタAの固気分離時および逆洗時の作用効果は上述した実施形態と同じであるので、重複する説明を省略する。尚、排気室22cの下方には、逆洗気体によりカートリッジフィルタAから払い落とされた粉粒体粒子を回収する集塵ダクト24が設けられている。
【0035】
この種のドラムコーティング装置では、排気に混じった粉粒体粒子が外部に流出しないように、排気経路に集塵装置を標準装備しているのが通例である。しかし、カートリッジフィルタAを配置したドラムコーティング装置は、カートリッジフィルタAの良好な濾過性能とその回復機能により、排気に混じった粉粒体粒子が効果的に分離(捕集)されるので、排気経路に集塵装置を配置する必要がなく、あるいは、排気経路に配置する集塵装置を小型のものにすることができる。これにより、ドラムコーティング装置を含む粉粒体製造設備の簡素化とコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0036】
A カートリッジフィルタ
11 メタルフィルタ部
11a 外周面
11b 内周面
11c 非通気部
12 可撓性フィルタ部
12a 底キャップ
12b 粗目部
12c 粗目部
G 処理気体
P パルスエア(逆洗気体)