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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158816
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/37 20200101AFI20241031BHJP
   D06F 33/57 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F33/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074367
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 隆紀
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA01
3B167AA11
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA48
3B167BA69
3B167FB01
3B167FB05
3B167HA11
3B167KA23
3B167KA84
3B167LA24
3B167LE05
3B167LF30
3B167LG11
3B167MA03
(57)【要約】
【課題】液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促す洗濯機を提供する。
【解決手段】液剤の自動投入機能を有する洗濯機は、液剤を収容する液剤タンクを備え、洗濯機の電源ON時に、液剤の基準量の設定操作をユーザに対して促す基準量設定通知を所定の頻度にて発生させる。また、洗濯機は、液剤タンクへの液剤補充において、液剤タンクが空になってから別種の液剤が補充されている可能性を判定し、別種の液剤が補充されている可能性がある場合には、基準量設定通知の発生頻度を高くする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤の自動投入機能を有する洗濯機であって、
液剤を収容する液剤タンクを備え、
当該洗濯機の電源ON時に、液剤の基準量の設定操作をユーザに対して促す基準量設定通知を所定の頻度にて発生させるものであり、
前記液剤タンクへの液剤補充において、前記液剤タンクが空になってから別種の液剤が補充されている可能性を判定し、
別種の液剤が補充されている可能性がある場合には、前記基準量設定通知の発生頻度を高くすることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記液剤タンクへの液剤補充において、前回と同種の液剤が補充されている可能性を判定し、
同種の液剤が補充されている可能性がある場合には、前記基準量設定通知の発生頻度を低くすることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前回運転時に、前記液剤タンクから洗濯槽への液剤投入を行うための供給経路を洗浄する経路洗浄が行われているか否かを判定し、
前回運転時に経路洗浄が行われていると判定した場合には、前記基準量設定通知を行うことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記液剤タンクの残量検知において、前回の検知結果が「なし」であり、今回の検知結果が「あり」の場合に、別種の液剤が補充されている可能性があると判定することを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機であって、
前記液剤タンクの残量検知において、前回の検知結果が「少量」であり、今回の検知結果が「あり」の場合に、同種の液剤が補充されている可能性があると判定し、
同種の液剤が補充されている可能性がある場合には、前記基準量設定通知の発生頻度を低くすることを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1に記載の洗濯機であって、
ネットワークに接続可能であり、当該洗濯機と所定の端末機器とを対応付けて記憶するサーバと前記ネットワークを介して通信可能であり、
ユーザが前記端末機器から前記ネットワークを介して液剤の購入を行ったときに、液剤購入済フラグをONとし、かつ、今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在登録されている液剤と同種であるか否かを確認可能であり、
当該洗濯機の電源ON時に、液剤購入済フラグがONである場合、
今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在登録されている液剤と別種であれば、前記基準量設定通知の発生頻度を高くすることを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯機であって、
今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在登録されている液剤と同種であれば、前記基準量設定通知の発生頻度を低くすることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液剤の自動投入機能を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
全自動洗濯機において、洗濯槽への液剤(液体洗剤や柔軟剤等)の自動投入機能が一般的となっている。液剤の自動投入機能では、
・洗濯槽に投入された洗濯物の重量計測
・洗濯物の重量に基づく投入水量の決定
・投入水量に基づく液剤投入量の決定
・液剤タンクからの液剤の自動計量および自動投入
といった手順で液剤の自動投入が行われる。
【0003】
ここで、洗濯槽への液剤投入量の決定には、洗濯機において、液剤の基準量(通常、水30Lに対する使用量)が設定されている必要がある。但し、液剤の基準量は、製品ごとに異なる。例えば、液剤洗剤では、洗剤成分の濃い製品があり、そのような製品は(洗剤成分の薄い)他の製品に比べて基準量は少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-224486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが液剤タンクに入れる液剤を変え、これによって基準量が変化する場合には、洗濯機において液剤の基準量を設定しなおす必要がある。しかしながら実際には、ユーザが液剤の基準量設定を忘れる場合もある。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促す洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の洗濯機は、液剤の自動投入機能を有する洗濯機であって、液剤を収容する液剤タンクを備え、当該洗濯機の電源ON時に、液剤の基準量の設定操作をユーザに対して促す基準量設定通知を所定の頻度にて発生させるものであり、前記液剤タンクへの液剤補充において、前記液剤タンクが空になってから別種の液剤が補充されている可能性を判定し、別種の液剤が補充されている可能性がある場合には、前記基準量設定通知の発生頻度を高くすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の洗濯機は、液剤タンクに対してこれまでとは別種の液剤が補充される場合、基準量設定通知の発生頻度を高くすることで液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促すことができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の洗濯機の外観例を示す斜視図である。
図2】洗濯機における小蓋を開いて液剤タンクを取り出した状態を示す部分斜視図である。
図3】第1実施形態の洗濯機における基準量設定通知の制御フローを示すフローチャートである。
図4】洗濯機を含むネットワーク構成を説明するブロック図である。
図5】第2実施形態の洗濯機における基準量設定通知の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明において、「洗濯機」とは、被洗濯物に対して洗濯等の各種処理を行う機器全般を意味する。洗濯機は、被洗濯物の処理としては、例えば、洗いや乾燥、脱臭、除菌等が挙げられる。被洗濯物は、特に限定されない。被洗濯物としては、例えば、布製品が挙げられる。被洗濯物の具体例としては、例えば、衣服な、帽子、手袋等の衣類、靴、カバン、ハンカチ、タオル等の持ち物、カーテン、毛布、タオルケット、布団カバー等の寝具、カーペト、ぬいぐるみ等が挙げられる。また、図1では、縦型洗濯機を例示しているが、液剤の自動投入機能を有する全自動洗濯機であれば、本発明における洗濯機の種類は特に限定されるものではない。例えば、本発明の洗濯機は、ドラム式洗濯機であってもよい。
【0011】
図1は、本開示の洗濯機1の外観例を示す斜視図である。図2は、洗濯機1における小蓋20を開いて液剤タンク30を取り出した状態を示す部分斜視図(図1における一点鎖線囲み部)である。図1に示すように、洗濯機1の上面には、蓋10と小蓋20とが設けられている。蓋10は洗濯機1の洗濯槽を覆う蓋である。小蓋20は、洗濯機1に対して着脱可能な液剤タンク30(図2参照)を覆う蓋である。
【0012】
洗濯機1では、図2に示すように、小蓋20を開いた状態で液剤タンク30の着脱が可能である。尚、洗濯機1では、液剤タンク30として、液体洗剤を収容する洗剤タンク30Aと柔軟剤を収容する柔軟剤タンク30Bとが備えられており、これらを区別しない場合に液剤タンク30と称する。
【0013】
洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有しており、洗い工程において洗剤タンク30Aから液体洗剤の自動投入を行うことができ、濯ぎ工程において柔軟剤タンク30Bから柔軟剤の自動投入を行うことができる。洗濯機1において自動投入機能が使用されると、液剤タンク30に収容されている液剤量が減少するため、液剤タンク30には液剤の補充が必要となる。液剤タンク30への液剤の補充には、タンクが空になる前に同種の液剤を「継ぎ足し」する場合と、タンクが空になってから液剤を補充する場合とがある。タンクが空になってから液剤を補充する場合には、前と同種(同製品)の液剤を「継続」補充することもできるが、前とは異なる別種(別製品)の液剤を補充することもできる。以下、タンクが空になってから別種の液剤を補充することを液剤の「交換」と称する。また、洗濯機1は、液剤タンク30における液剤残量の検知機能を有しており、残量の多い順から「あり」、「少量」および「なし」の少なくとも3段階の検知が可能である。
【0014】
液剤タンク30の液剤の補充では、液剤の「交換」が生じる場合がある。液剤の「交換」が生じた場合には、液剤の基準量がそれまでとは変わる可能性があり、その場合は洗濯機1における基準量の設定をしなおす必要がある。本開示の洗濯機1は、液剤の基準量設定を最適なタイミングでユーザに促し、液剤の「交換」が生じた場合であっても基準量の設定忘れを防止できるようにするものである。以下の、この特徴について詳細に説明する。
【0015】
尚、本実施形態において、基準量設定の通知方法は特に限定されるものではないが、好適例として、洗濯機1にメッセージ(例えば、『洗剤・柔軟剤の種類を変えるときは基準量の設定を行ってください』とのメッセージ)を発話させる方法がある。通知を受けたユーザが基準量の設定を行う方法は、洗濯機1の操作パネルからの直接入力によって設定を行う方法であってもよく、あるいは端末機器2から無線通信(好ましくはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信)を介して設定入力を行う方法であってもよい。
【0016】
また、洗濯機1における基準量設定通知は、基本的には洗濯機1の電源ON時に所定の頻度にて発生させるものであるが、本実施形態では、その発生頻度を変更させることで液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促すことができる。また、基準量設定通知は、所定の頻度(確率)で発生するものであれば、周期的に発生するものであってもよく、あるいは非周期的(ランダム)に発生するものであってもよい。尚、本実施形態では、基準量設定通知の発生頻度として、頻度の低い順から「低」、「標準」および「高」の3段階の設定が可能である。
【0017】
通知タイミングをランダムに決定する具体例としては、洗濯機1が乱数を生成し、その乱数をタイミング決定テーブルに入力することで通知タイミングを決定するといった手法がある。乱数の生成は、公知の乱数生成プログラムを用いることができ、本実施形態では、洗濯機1における運転回数や電源ON回数等を入力パラメータとして乱数を生成することができる。また、タイミング決定テーブルを変えることで、基準量設定通知の発生頻度を容易に変更できる。
【0018】
図3は、本実施形態の洗濯機1における基準量設定通知の制御フローを示すフローチャートである。尚、以下のフローは、洗濯機1に含まれる制御部で実施される。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなプロセッサ、および記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置は、例えば、データおよびコンピュータープログラムを記憶する。例えば、記憶装置は、制御部の各処理に必要なデータを一時的に記憶可能である。記憶装置は、主記憶装置および補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置は、例えば、不揮発メモリーやハードディスクドライブ等を含んでいてもよい。
【0019】
本実施形態では、洗濯機1の電源ONの時点(S1)で、基準量設定通知の発生頻度は「標準」に設定されている。図3の制御フローでは、洗濯機1の電源がONされると(S1)、前回運転時における経路洗浄の有無が確認される(S2)。ここでの経路洗浄とは、液剤タンク30から洗濯槽への液剤投入を行う場合の、液剤の供給経路を洗浄する動作である。この経路洗浄は、ユーザが洗濯機1に対して経路洗浄を行わせる操作を行うことで実施される。
【0020】
経路洗浄があった場合(S2でYES)は、洗濯機1は、ユーザに対して基準量の設定を促す通知を行う(S9)。これは、ユーザが経路洗浄の操作を行うタイミングは、液剤タンク30の補充として「交換」を行う直前が多いと想定されるためである。このため、前回運転時に経路洗浄がされていた場合は、その直後に液剤タンク30において液剤の「交換」が生じている可能性が高いと見なし、洗濯機1がユーザに対して基準量の設定を促す通知を行う。
【0021】
経路洗浄がなかった場合(S2でNO)は、液剤タンク30の残量検知において、検知結果が「あり」であるか否かが確認される(S3)。このときの検知結果が「あり」でない場合(S3でNO)、すなわち検知結果が「少量」または「なし」の場合には、処理はS8に移行する。S8の処理は、所定の頻度で基準量設定通知を行うにあたって、今回が基準量設定通知を行うタイミングであるか否かを判定するステップである。S3からS8に移行した場合には、検知結果が「少量」または「なし」であることから、液剤タンク30に対する液剤の補充が行われていない(すなわち、液剤の「交換」も生じていない)と判断されるため、基準量設定通知の発生頻度の変更は行われない。
【0022】
S3の処理で検知結果が「あり」の場合(S3でYES)は、液剤タンク30の前回の残量検知において検知結果が「少量」であったか否かが確認される(S4)。前回の検知結果が「少量」であった場合(S4でYES)には、基準量設定通知の発生頻度を「低」として(S5)、その後、処理はS8に移行する。S4からS5を介してS8に移行した場合には、検知結果が「少量」から「あり」に変化していることから、この間に液剤タンク30に対する液剤の補充が行われており、その補充は「継ぎ足し」であると判断される。「継ぎ足し」による補充では、液剤の種類が変更されることは考えにくく、液剤の基準量を設定しなおすことも不要であると考えられる。このため、基準量設定通知の発生頻度を「低」とすることで、ユーザに対して必要以上の基準量設定通知が行われることを回避できる。
【0023】
S4での判定がNOの場合には、液剤タンク30の前回の残量検知において検知結果が「なし」であったか否かが確認される(S6)。前回の検知結果が「なし」であった場合(S6でYES)には、基準量設定通知の発生頻度を「高」として(S7)、その後、処理はS8に移行する。S6からS7を介してS8に移行した場合には、検知結果が「なし」から「あり」に変化していることから、この間に液剤タンク30に対する液剤の補充が行われており、その補充は「交換」の可能性があると判断される。「交換」による補充では、液剤の基準量設定が必要となることもあるため、基準量設定通知の発生頻度を「高」とすることで、ユーザに対して適切なタイミング基準量設定通知が行えるようになる。また、基準量設定通知の発生頻度を「高」に変更した直後に関しては、基準量設定通知のタイミング判定を行う最初の機会において基準量設定通知を必ず行うようにしてもよい。
【0024】
S6での判定がNOの場合には、処理はS8に移行する。S6からS7を介さずにS8に移行した場合には、検知結果が「あり」のままで変化しておらず、液剤タンク30に対する液剤の補充が行われていないと判断されるため、基準量設定通知の発生頻度は「標準」のまま変更は行われない。
【0025】
S8で、今回が基準量設定通知を行うタイミングであると判定された場合(S8でYES)は、基準量設定を促す通知を行い(S9)、基準量設定通知を行うタイミングではないと判定された場合(S8でNO)は、そのまま処理を終了する。
【0026】
尚、上述の図3の制御フローにおいて、基準量設定通知の発生頻度設定は、洗濯機1の運転のたびに毎回判断するものとされている。例えば、S5またはS7で基準量設定通知の発生頻度が「低」または「高」に変更された場合、その設定は洗濯機1の電源OFFに伴ってリセットしてもよい。これにより、洗濯機1の電源ON時において、基準量設定通知の発生頻度は「標準」となる。但し、「低」または「高」に設定変更された発生頻度を「標準」に戻すタイミングはこれに限定されるものではなく、洗濯機1の運転中の適切なタイミング(例えば、図3のフローのS3またはS6でNO判定された直後のタイミング)で発生頻度を「標準」に設定してもよい。
【0027】
また、洗濯機1においてユーザによる基準量の設定操作が最後に行われてからの洗濯機1の運転回数または電源ON回数が所定回数に達したか、または所定日数が経過したかによって発生頻度を調整してもよい。例えば、ユーザによる基準量の設定操作が最後に行われてから30回未満では、発生頻度をさらに半分とし、30回~99回では発生頻度の調整は行わず、100回以上では、発生頻度を倍にする、などとしてもよい。また、液体タンクの残量検知を使用せずに、上記の回数や日数によって、発生頻度自体を設定してもよい。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る洗濯機1は、経路洗浄の有無、または液剤タンク30の残量検知結果に基づいて、液剤タンク30への液剤補充における「交換」の可能性を判定し、「交換」の可能性がある場合には基準量設定通知の発生頻度を高める制御を行っている。これにより、液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促すことができ、ユーザによる基準量の設定忘れを防止できる。また、液剤の基準量を設定してからの運転回数や経過日数によって基準量設定通知の発生頻度を高める制御とすることで、液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促すことができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
本実施形態の洗濯機1は、ネットワーク機能に対応している。図4は、洗濯機1を含むネットワーク構成を説明するブロック図である。図3に示すように、洗濯機1は、インターネット等の公共通信網であるネットワーク4に接続可能であり、ネットワーク4を介して端末機器2やサーバ3と通信可能である。
【0030】
端末機器2は、洗濯機1のユーザが所有するスマートフォン等の通信機器である。端末機器2は、所定のアプリケーションをインストールすることで、洗濯機1と連動させたネットワーク機能を使用できる。サーバ3は、洗濯機1にネットワーク機能を用いたサービス(ネットワークサービス)を提供するためのサーバであり、例えば洗濯機1のメーカによって準備される。
【0031】
洗濯機1のネットワークサービスを利用しようとするユーザは、洗濯機1の識別番号と端末機器2のメールアドレスを対応づけてサーバ3への登録を行う。すなわち、サーバ3は、登録された洗濯機1の識別番号と端末機器2のメールアドレスを記憶する。
【0032】
洗濯機1において提供可能なネットワークサービスとしては、例えば、以下のようなサービスが挙げられる。無論、洗濯機1では、これ以外のネットワークサービスが利用可能であってもよい。
・洗濯機1の運転状況がサーバ3に送信され、サーバ3から端末機器2へ通知される。ユーザは、端末機器2への通知によって洗濯機1の運転状況を認識できる。
・ユーザは、端末機器2から洗濯機1で使用する消耗品(洗剤や柔軟剤)等のネット購入を行うことができる。サーバ3では、ユーザによる購入履歴が記憶される。また、ユーザが、端末機器2のアプリから洗濯機1で現在使用中の液剤の種類を登録設定することが可能であってもよい。
【0033】
本実施形態の洗濯機1は、ユーザが後者のサービス(液剤のネット購入)を利用した場合に、その結果を用いてユーザに対して液剤の基準量設定を促す通知を行う。
図5は、本実施形態の洗濯機1における基準量設定通知の制御フローを示すフローチャートである。
【0034】
図5の制御フローでは、洗濯機1の電源がONされると(S11)、液剤購入済フラグがONされているか否かが確認される(S12)。尚、液剤購入済フラグは、ユーザが端末機器2からネットワークサービスで液剤の購入(アプリ購入)を行ったときにONとなるフラグであり、洗濯機1の記憶装置において記録される。ユーザが液剤のアプリ購入を行うと、サーバ3からネットワーク4を介して洗濯機1に通知され、洗濯機1において液剤購入済フラグがONされる。尚、ONとなった液剤購入済フラグは、洗濯機1の運転回数または電源ON回数が所定回数(例えば、10回)に到達したタイミングで、あるいは所定期間が経過したタイミングでOFFに戻されるものとする。
【0035】
液剤購入済フラグがOFFの場合(S12でNO)は、処理はS16,S17へと進む。この場合のS16,S17の処理は、図3におけるS8,S9と同様の処理である。
【0036】
液剤購入済フラグがONの場合(S12でYES)は、今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在洗濯機1に設定された自動投入用の液剤と同じ種類(同製品)であるか否かが確認される(S13)。尚、S13における確認は、サーバ3に記憶される購入履歴や洗濯機1またはサーバ3に記憶される現在の登録液剤の情報によって行える。また、S13における確認は、洗濯機1からサーバ3への問い合わせによって行われてもよく、あるいは、ユーザがアプリ購入を行った際にサーバ3から洗濯機1に通知され、洗濯機1で記憶されるものであってもよい。
【0037】
今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在登録されている液剤と同じ種類(同製品)であった場合(S13でYES)、基準量設定通知の発生頻度を「低」として(S14)、その後、処理はS16に移行する。S13からS14を介してS16に移行した場合には、ユーザによって同種の液剤がアプリ購入されていることから、その後、洗濯機1の液剤タンク30に補充が行われても、その補充が「交換」となる可能性は低い。このため、基準量設定通知の発生頻度を「低」とすることで、ユーザに対して必要以上の基準量設定通知が行われることを回避できる。
【0038】
一方、今回購入した液剤が前回購入した液剤または現在登録されている液剤と異なる種類(別製品)であった場合(S13でNO)、基準量設定通知の発生頻度を「高」として(S15)、その後、処理はS16に移行する。S13からS15を介してS16に移行した場合には、ユーザによって別種の液剤がアプリ購入されていることから、その後、洗濯機1の液剤タンク30に補充が行われるとき、その補充が「交換」となる可能性が高い。このため、基準量設定通知の発生頻度を「高」とすることで、ユーザに対して適切なタイミング基準量設定通知が行えるようになる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る洗濯機1は、ユーザによる液剤のアプリ購入の結果に基づいて、液剤タンク30への液剤補充における「交換」の可能性を判定し、「交換」の可能性がある場合には基準量設定通知の発生頻度を高める制御を行っている。これにより、液剤の基準量設定を適切なタイミングでユーザに促すことができ、ユーザによる基準量の設定忘れを防止できる。
【0040】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0041】
1 洗濯機
20 小蓋
30 液剤タンク
30A 洗剤タンク
30B 柔軟剤タンク
2 端末機器
3 サーバ
4 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5