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特開2024-158826情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158826
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20241031BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241031BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W50/14
B60W40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074383
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳久
(72)【発明者】
【氏名】木村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】永冶 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 智弥
(72)【発明者】
【氏名】江波 康文
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA50
3D241BA60
3D241BB58
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DB10Z
(57)【要約】
【課題】車両に対する外部からの衝撃の判定精度を向上する。
【解決手段】情報処理装置は、複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることを実行する。情報処理装置は、受け付けた要求加速度を調停することを実行する。情報処理装置は、要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することを実行する。情報処理装置は、車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することを実行する。情報処理装置は、検出値に加え、目標加速度に基づいて、車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることを実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、
受け付けた前記要求加速度を調停することと、
前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、
前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、
前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、
を実行する
情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の速度である車速を取得すること、
を実行可能であり、
前記車速が予め定められた規定車速以下である場合に限って、前記第1判定処理を実行する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記目標加速度に依らずに前記検出値に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第2判定処理をすること、
を実行可能であり、
前記目標加速度に基づいて前記アクチュエータが制御されていることを条件に、前記第1判定処理を実行し、
前記車両の運転者の操作に基づいて前記アクチュエータが制御されていることを条件に、前記第2判定処理を実行する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記検出値及び前記目標加速度の差に基づいて、前記車両に加わった衝撃の大きさを推定すること、
を実行可能である
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車両のユーザに対して前記車両に外部から衝撃が加わった旨の報知をすること、
を実行可能である
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記車両が備える車輪の回転速度である車輪速を取得することと、
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車輪速に基づいて、前記車輪の脱輪が生じたか否かを判定することと、
を実行可能である
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車両に外部から衝撃が加わったときに前記車両が位置する地点の位置情報を外部に送信すること、
を実行可能である
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置に、
複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、
受け付けた前記要求加速度を調停することと、
前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、
前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、
前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、
を実行させる
情報処理プログラム。
【請求項9】
情報処理装置が、
複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、
受け付けた前記要求加速度を調停することと、
前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、
前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、
前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、
を実行する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両は、複数の車輪と、複数の加速度センサと、制御装置とを備えている。加速度センサは、車輪に加わった加速度を検出するためのセンサである。こうした加速度センサは、例えば、複数の磁石と、センサ本体とを含んでいる。各磁石は、車輪に取り付けられている。また、複数の磁石は、車輪の周方向に並んでいる。センサ本体は、サスペンション部品等に取り付けられている。そして、センサ本体は、車輪が回転したときに、磁石の回転による磁束の変化に基づいて車輪の回転速度を検出する。制御装置は、センサ本体により検出された車輪の回転速度に基づいて車輪に加わった加速度を算出する。その結果、制御装置は、車輪に加わった加速度を、加速度センサによる検出値として取得可能である。また、制御装置は、取得した検出値が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、制御装置は、取得した検出値が予め定められた閾値を超えた場合に、車輪に衝撃が加わったと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-075315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両において加速度センサの検出値が大きい場合であっても、必ずしも車両に外部からの衝撃が加わったとは限らない。例えば、車両が急加速した場合には、加速度センサの検出値が変化する。この場合、車両は正常に走行しているので、車両に対して外部から衝撃が加わったわけではない。つまり、特許文献1の制御装置のように加速度センサの検出値に基づくのみでは、車両に外部から衝撃が加わったことを正確に判定できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための情報処理装置は、複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、受け付けた前記要求加速度を調停することと、前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、を実行する。
【0006】
上記課題を解決するための情報処理プログラムは、情報処理装置に、複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、受け付けた前記要求加速度を調停することと、前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、を実行させる。
【0007】
上記課題を解決するための情報処理方法は、情報処理装置が、複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、受け付けた前記要求加速度を調停することと、前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、実際に検出された加速度の大きさだけでなく、車両に要求されている運動に伴って検出されるべき加速度の大きさを加味して、車両に対して外部からの衝撃が加わったか否かの判定が行われる。これにより、車両に対する外部からの衝撃の判定精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムの概略構成図である。
図2】運動マネージャの基本構成を示す機能ブロック図である。
図3】判定制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<情報処理システムの概略構成>
以下、本発明の一実施形態を図1図3にしたがって説明する。先ず、情報処理システムISの概略構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システムISは、車両100を備えている。車両100は、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73を備えている。
【0012】
パワートレイン装置71は、エンジン、モータジェネレータ、及びトランスミッション等を含んでいる。エンジンは、トランスミッションを介して車両100の駆動輪へと駆動力を付与可能である。また、モータジェネレータは、トランスミッションを介して車両100の駆動輪へと駆動力を付与可能である。
【0013】
ステアリング装置72の一例は、ラック&ピニオン式の電動ステアリング装置である。ステアリング装置72は、図示しないラック及びピニオンを制御することにより、車両100の転舵輪の向きを変更可能である。
【0014】
ブレーキ装置73は、車両100の車輪を機械的に制動する、いわゆる機械式のブレーキ装置である。本実施形態において、ブレーキ装置73の一例は、ディスクブレーキである。
【0015】
図1に示すように、車両100は、セントラルECU10、パワートレインECU20、ステアリングECU30、ブレーキECU40、及び先進運転支援ECU50を備えている。また、車両100は、第1外部バス61、第2外部バス62、第3外部バス63、第4外部バス64、及び第5外部バス65を備えている。なお、「ECU」は、Electronic Control Unitの略称である。
【0016】
セントラルECU10は、車両100の全体を統括して制御する。セントラルECU10は、実行装置11、及び記憶装置12を備えている。実行装置11の一例は、CPUである。記憶装置12は、読み出しのみが可能なROMと、読み出し及び書き込みが可能な揮発性のRAMと、読み出し及び書き込みが可能な不揮発性のストレージとを含んでいる。記憶装置12は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。実行装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより、各種の処理を実現する。
【0017】
パワートレインECU20は、第1外部バス61を介してセントラルECU10と通信可能である。パワートレインECU20は、パワートレイン装置71に制御信号を出力することにより、パワートレイン装置71を制御する。パワートレインECU20は、実行装置21、及び記憶装置22を備えている。実行装置21の一例は、CPUである。記憶装置22は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置22は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置22は、各種のプログラムの一つとして、パワートレインアプリ23Aを予め記憶している。パワートレインアプリ23Aは、パワートレイン装置71を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置21は、記憶装置22に記憶されたパワートレインアプリ23Aを実行することにより、後述するパワートレイン制御部23としての機能を実現する。
【0018】
ステアリングECU30は、第2外部バス62を介してセントラルECU10と通信可能である。ステアリングECU30は、ステアリング装置72に制御信号を出力することにより、ステアリング装置72を制御する。ステアリングECU30は、実行装置31、及び記憶装置32を備えている。実行装置31の一例は、CPUである。記憶装置32は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置32は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置32は、各種のプログラムの一つとして、ステアリングアプリ33Aを予め記憶している。ステアリングアプリ33Aは、ステアリング装置72を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置31は、記憶装置32に記憶されたステアリングアプリ33Aを実行することにより、後述するステアリング制御部33としての機能を実現する。
【0019】
ブレーキECU40は、第3外部バス63を介してセントラルECU10と通信可能である。ブレーキECU40は、ブレーキ装置73に制御信号を出力することにより、ブレーキ装置73を制御する。ブレーキECU40は、実行装置41、及び記憶装置42を備えている。実行装置41の一例は、CPUである。記憶装置42は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置42は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置42は、各種のプログラムの一つとして、ブレーキアプリ43Aを予め記憶している。ブレーキアプリ43Aは、ブレーキ装置73を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。さらに、記憶装置42は、各種のプログラムの一つとして、運動マネージャアプリ45Aを予め記憶している。運動マネージャアプリ45Aは、複数の運動要求を調停するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置41は、記憶装置42に記憶されたブレーキアプリ43Aを実行することにより、後述するブレーキ制御部43としての機能を実現する。また、実行装置41は、記憶装置42に記憶された運動マネージャアプリ45Aを実行することにより、後述する運動マネージャ45としての機能を実現する。本実施形態において、ブレーキECU40は、情報処理装置である。また、運動マネージャアプリ45Aは、情報処理プログラムである。すなわち、ブレーキECU40の実行装置41は、運動マネージャアプリ45Aを実行することにより、情報処理方法における各種の処理を実行する。
【0020】
先進運転支援ECU50は、第4外部バス64を介してセントラルECU10と通信可能である。先進運転支援ECU50は、各種の運転支援を実行する。先進運転支援ECU50は、実行装置51、及び記憶装置52を備えている。実行装置51の一例は、CPUである。記憶装置52は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置52は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。各種のプログラムは、第1支援アプリ56A、第2支援アプリ57A、及び第3支援アプリ58Aを含んでいる。第1支援アプリ56Aの一例は、車両100への衝突の被害を軽減させるために自動的に制動をかける衝突被害軽減ブレーキ、いわゆるAEB(Autonomous Emergency Braking)用のアプリケーションソフトウェアである。第2支援アプリ57Aの一例は、車両100が走行している車線の維持を行う車線維持支援、いわゆるLKA(Lane Keeping Assist)用のアプリケーションソフトウェアである。第3支援アプリ58Aの一例は、車両100の運転者が操作を行わなくても自動で走行可能、いわゆる自動運転用のアプリケーションソフトウェアである。本実施形態において、第1支援アプリ56A、第2支援アプリ57A、及び第3支援アプリ58Aのそれぞれは、車両100の運転支援機能を実現するアプリケーションソフトウェアである。実行装置51は、記憶装置52に記憶された第1支援アプリ56Aを実行することにより、後述する第1支援部56としての機能を実現する。また、実行装置51は、記憶装置52に記憶された第2支援アプリ57Aを実行することにより、後述する第2支援部57としての機能を実現する。実行装置51は、記憶装置52に記憶された第3支援アプリ58Aを実行することにより、後述する第3支援部58としての機能を実現する。
【0021】
図1に示すように、車両100は、加速度センサ81、車輪速センサ82、及びGNSS受信機83を備えている。また、車両100は、アクセル操作量センサ86、舵角センサ87、及びブレーキ操作量センサ88を備えている。
【0022】
加速度センサ81は、いわゆる三軸センサである。すなわち、加速度センサ81は、前後加速度GX、左右加速度GY、及び上下加速度GZを検出可能である。前後加速度GXは、車両100の前後軸に沿う加速度である。左右加速度GYは、車両100の左右軸に沿う加速度である。上下加速度GZは、車両100の上下軸に沿う加速度である。
【0023】
車輪速センサ82は、車両100の車輪の回転速度である車輪速WSを検出する。車輪速センサ82は、車両100の各車輪の近傍に位置している。本実施形態において、車両100は、当該車両100が備える4つの車輪に対応して4つの車輪速センサ82を備えている。なお、図1では、1つの車輪速センサ82のみを代表して図示している。
【0024】
GNSS受信機83は、図示しないGNSS用の衛星との通信により車両100が位置する地点の座標である位置座標PCを検出する。なお、「GNSS」は、Global Navigation Satellite Systemの略称である。
【0025】
アクセル操作量センサ86は、運転者が操作するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量ACCを検出する。舵角センサ87は、運転者が操作するステアリング軸の角度位置である舵角RAを検出する。ブレーキ操作量センサ88は、運転者が操作するブレーキペダルの操作量であるブレーキ操作量BRAを検出する。
【0026】
パワートレインECU20は、アクセル操作量センサ86からアクセル操作量ACCを示す信号を取得する。ステアリングECU30は、舵角センサ87から舵角RAを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、加速度センサ81から前後加速度GX、左右加速度GY、及び上下加速度GZを示す信号を取得する。また、ブレーキECU40は、GNSS受信機83から位置座標PCを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、4つの車輪速センサ82から4つの車輪速WSを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、ブレーキ操作量センサ88からブレーキ操作量BRAを示す信号を取得する。なお、ブレーキECU40は、セントラルECU10を介して、アクセル操作量ACC及び舵角RAを含む各種の値を取得可能である。
【0027】
ブレーキECU40は、予め定められた制御周期毎に、車両100の速度である車速SPを算出する。例えば、ブレーキECU40は、4つの車輪速WSの平均値に予め定められた係数を乗算することにより車速SPを算出する。
【0028】
図1に示すように、車両100は、DCM91、及びディスプレイ92を備えている。DCM91は、第5外部バス65を介してセントラルECU10と接続している。DCM91は、通信ネットワークNWを介して車両100の外部の機器と無線通信可能である。なお、「DCM」は、Data Communication Moduleの略称である。ディスプレイ92は、セントラルECU10と接続している。ディスプレイ92は、セントラルECU10から出力される画像データに基づき各種の情報を表示可能である。
【0029】
図1に示すように、情報処理システムISは、データセンタ200を備えている。データセンタ200の一例は、いわゆるサーバである。データセンタ200は、実行部210、記憶部220、及び通信部230を備えている。通信部230は、通信ネットワークNWを介してデータセンタ200の外部の機器と通信可能である。
【0030】
<運動マネージャに関する基本構成>
次に、図2を参照して、運動マネージャ45に関する基本的な構成を説明する。図2に示すように、運動マネージャ45は、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58と互いに通信可能である。また、運動マネージャ45は、パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43と互いに通信可能である。
【0031】
第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58は、各種の制御を実行するにあたって、運動マネージャ45に対して運動要求を出力する。このとき、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58は、例えば各種の制御が必要になってからその制御が必要でなくなるまで運動要求の出力を継続する。ここで、運動要求は、車両100の前後軸に沿う加速度を制御するための要求前後加速度GXR等を含んでいる。本実施形態において、要求前後加速度GXRは、アプリケーションソフトウェアから受け付ける要求加速度の一例である。
【0032】
運動マネージャ45は、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58からの運動要求として要求前後加速度GXRを受け付ける。また、運動マネージャ45は、受け付けた要求前後加速度GXRを調停する。例えば、運動マネージャ45が複数の支援部から要求前後加速度GXRを受け付けたときには、運動マネージャ45は、受け付けたタイミングが最も早かった要求前後加速度GXRを調停結果として選択する。また、例えば、運動マネージャ45が複数の支援部から要求前後加速度GXRを受け付けたときには、運動マネージャ45は、最も小さい要求前後加速度GXRを調停結果として選択する。このように、運動マネージャ45は、車両100の運転状況に応じて予め定められたルールに従って、運動要求を調停する。そして、運動マネージャ45は、調停結果として選択した要求前後加速度GXRを、目標前後加速度GXTとする。本実施形態において、目標前後加速度GXTは、要求加速度の調停結果である目標加速度に相当する。
【0033】
運動マネージャ45は、目標前後加速度GXTに基づいて、各種のアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号を生成する。ここで、各種のアクチュエータは、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73等である。例えばパワートレイン装置71を制御させる場合、運動マネージャ45は、パワートレイン制御部23に対して動作要求の指示信号を出力する。そして、パワートレイン制御部23は、動作要求の指示信号に基づいて、パワートレイン装置71に制御信号を出力する。このように、運動マネージャ45が出力した指示信号は、制御しようとするアクチュエータに対応する制御部に受信され、当該制御部によりアクチュエータが制御される。
【0034】
パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43の各々は、運動マネージャ45からの動作要求の指示信号に加えて、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信可能である。そして、パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43は、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信している場合、その車両100の運転者からの動作要求の指示信号に基づいて、アクチュエータに制御信号を出力する。つまり、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信している場合、各制御部は、運動マネージャ45からの動作要求の指示信号を無効にする。なお、パワートレイン制御部23は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、アクセル操作量センサ86からのアクセル操作量ACCを受信可能である。また、ステアリング制御部33は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、舵角センサ87からの舵角RAを受信可能である。さらに、ブレーキ制御部43は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、ブレーキ操作量センサ88からのブレーキ操作量BRAを受信可能である。
【0035】
<判定制御>
次に、図3を参照して、運動マネージャ45が実行する判定制御について説明する。本実施形態において、運動マネージャ45は、車両100が走行していることを条件に、判定制御を繰り返し実行する。
【0036】
図3に示すように、運動マネージャ45は、判定制御を開始すると、ステップS11の処理を実行する。ステップS11において、運動マネージャ45は、予め定められた前提条件を満たしているか否かを判定する。ここで、前提条件は、例えば、車両100が駐車場から道路へと進入するような車両100が走り始めた状況を検出するための条件である。本実施形態において、前提条件は、車速SPが予め定められた規定車速以下という条件である。規定車速の一例は、数km/h~十数km/h程度である。ステップS11において、前提条件を満たしていないと運動マネージャ45が判定した場合(S11:NO)、運動マネージャ45は、今回の判定制御を終了する。そして、運動マネージャ45は、再び処理をステップS11に進める。一方、ステップS11において、前提条件を満たしていると運動マネージャ45が判定した場合(S11:YES)、運動マネージャ45は、処理をステップS12に進める。換言すると、運動マネージャ45は、車速SPが予め定められた規定車速以下である場合に限って、処理をステップS12に進める。
【0037】
ステップS12において、運動マネージャ45は、アプリケーションソフトウェアによりアクチュエータが制御されているか否かを判定する。具体的には、運動マネージャ45は、アプリケーションソフトウェアから受け付ける運動要求に対応した目標前後加速度GXTに基づいて、アクチュエータが制御されているか否かを判定する。例えば、目標前後加速度GXTに基づいて、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73の全てが制御されている場合、運動マネージャ45は、目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていると判定する。一方、車両100の運転者の操作に基づいて、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73の1以上が制御されている場合、運動マネージャ45は、目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていないと判定する。ステップS12において、アプリケーションソフトウェアによりアクチュエータが制御されていると運動マネージャ45が判定した場合(S12:YES)、運動マネージャ45は、処理をステップS21に進める。換言すると、運動マネージャ45は、目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていることを条件に、処理をステップS21に進める。
【0038】
ステップS21において、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。具体的には、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTの差の絶対値が予め定められた第1規定値A以上である場合に、車両100に外部から衝撃が加わったと判定する。ここで、第1規定値Aは、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTの差の絶対値が許容できないほど大きいか否かを判定するための閾値である。したがって、例えば、目標前後加速度GXTが正の値、すなわち車両100が加速しようとする状況であるにも拘わらず、前後加速度GXが負の値、すなわち車両100が減速した場合等に、運動マネージャ45は、車両100に外部から衝撃が加わったと判定する。本実施形態において、ステップS21の処理は、第1判定処理である。ステップS21において、車両100に外部から衝撃が加わっていないと運動マネージャ45が判定した場合(S21:NO)、運動マネージャ45は、今回の判定制御を終了する。そして、運動マネージャ45は、再び処理をステップS11に進める。一方、ステップS21において、車両100に外部から衝撃が加わったと運動マネージャ45が判定した場合(S21:YES)、運動マネージャ45は、処理をステップS22に進める。
【0039】
ステップS22において、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて、車両100に加わった衝撃の大きさである衝撃値GAを推定する。具体的には、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTの差の絶対値を、衝撃値GAとして推定する。ステップS22の後、運動マネージャ45は、処理をステップS41に進める。
【0040】
一方、上述したステップS12において、アプリケーションソフトウェアによりアクチュエータが制御されていないと運動マネージャ45が判定した場合(S12:NO)、運動マネージャ45は、処理をステップS31に進める。換言すると、運動マネージャ45は、車両100の運転者の操作に基づいてアクチュエータが制御されていることを条件に、処理をステップS31に進める。
【0041】
ステップS31において、運動マネージャ45は、前後加速度GXに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。換言すると、運動マネージャ45は、目標前後加速度GXTに依らずに前後加速度GXに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。具体的には、運動マネージャ45は、前後加速度GXの絶対値が予め定められた第2規定値B以上である場合に、車両100に外部から衝撃が加わったと判定する。ここで、第2規定値Bは、前後加速度GXの絶対値が許容できないほど大きいか否かを判定するための閾値である。例えば、車両100に対して後方から他車両が追突したり、車両100の車輪の脱輪が生じたりする場合には、車両100の加速度が一時的に非常に大きくなり得る。第2規定値Bは、このような状況を検出できる値として定められている。本実施形態において、ステップS31の処理は、第2判定処理である。ステップS31において、車両100に外部から衝撃が加わっていないと運動マネージャ45が判定した場合(S31:NO)、運動マネージャ45は、今回の判定制御を終了する。そして、運動マネージャ45は、再び処理をステップS11に進める。一方、ステップS31において、車両100に外部から衝撃が加わったと運動マネージャ45が判定した場合(S31:YES)、運動マネージャ45は、処理をステップS32に進める。
【0042】
ステップS32において、運動マネージャ45は、前後加速度GXに基づいて、車両100に加わった衝撃の大きさである衝撃値GAを推定する。具体的には、運動マネージャ45は、前後加速度GXの絶対値を、衝撃値GAとして推定する。ステップS22の後、運動マネージャ45は、処理をステップS41に進める。
【0043】
したがって、本実施形態では、ステップS21の第1判定処理で車両100に外部から衝撃が加わったと判定された場合、又はステップS31の第2判定処理で車両100に外部から衝撃が加わったと判定された場合に、処理がステップS41に進められる。
【0044】
ステップS41において、運動マネージャ45は、車輪速WSに基づいて、車両100の車輪の脱輪が生じたか否か判定する。具体的には、運動マネージャ45は、4つの車輪速WSの最大値と最小値との差の絶対値が予め定められた基準値C以上である場合に、車両100の脱輪が生じたと判定する。ここで、基準値Cは、実験及びシミュレーション等により脱輪を判定するための閾値として定められている。例えば、車両100において、ある車輪が脱輪すると、その車輪に対する路面からの反力が小さくなることで、その車輪の車輪速WSが高くなる。そして、4つの車輪速WSの最大値と最小値との差の絶対値が大きくなる。その結果、運動マネージャ45は、車両100の脱輪が生じたと判定する。なお、ここでいう「脱輪」は、例えば道路の近傍に存在する排水溝などに車両100の車輪が落ちるなど、一部の車輪が接地していない状況全般をいう。ステップS41において、車両100の車輪の脱輪が生じていないと運動マネージャ45が判定した場合(S41:NO)、運動マネージャ45は、今回の判定制御を終了する。そして、運動マネージャ45は、再び処理をステップS11に進める。一方、ステップS41において、車両100の車輪の脱輪が生じたと運動マネージャ45が判定した場合(S41:YES)、運動マネージャ45は、処理をステップS42に進める。
【0045】
ステップS42において、運動マネージャ45は、車輪速WSに基づいて、脱輪が生じた車輪を推定する。具体的には、運動マネージャ45は、4つの車輪速WSのうち最大値の車輪速WSに対応する車輪を、脱輪が生じた車輪として推定する。また、運動マネージャ45は、車輪毎に、脱輪が生じた累積回数を示す情報を、記憶装置42に記憶する。ステップS42の後、運動マネージャ45は、処理をステップS43に進める。
【0046】
ステップS43において、運動マネージャ45は、車両100のユーザに対して車両100に外部から衝撃が加わったことを報知する。具体的には、運動マネージャ45は、ディスプレイ92に制御信号を出力することにより、ディスプレイ92において車両100のユーザに報知する。同様に、運動マネージャ45は、車両100のユーザに対して車輪の脱輪が生じたことを報知する。さらに、運動マネージャ45は、車両100のユーザに対して脱輪が生じた車輪を報知する。また、運動マネージャ45は、車両100のユーザに対して衝撃値GAを報知する。ステップS43の後、運動マネージャ45は、処理をステップS44に進める。
【0047】
ステップS44において、運動マネージャ45は、車両100の衝撃の判定に関する判定データDIをデータセンタ200に送信する。本実施形態において、判定データDIは、車両100に外部から衝撃が加わったときの位置座標PCの情報、車両100に外部から衝撃が加わったときの日時の情報、脱輪が生じた車輪の情報、及び衝撃値GAの情報を含んでいる。なお、車両100に外部から衝撃が加わったときの位置座標PCの情報は、車両100に外部から衝撃が加わったときに車両100が位置する地点の位置情報に相当する。ステップS44の後、運動マネージャ45は、今回の判定制御を終了する。そして、運動マネージャ45は、再び処理をステップS11に進める。
【0048】
<本実施形態の作用>
例えば、第3支援アプリ58Aなどのアプリケーションソフトウェアから受け付ける運動要求に対応した目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されることにより、車両100が走行しているとする。このように車両100が走行している場合、図3に示すように、運動マネージャ45は、判定制御を実行する。そして、例えば、第3支援アプリ58Aによる制御下において車両100が駐車場から道路へと進入する状況であったとする。このような状況において、道路の近傍に存在する排水溝などに車両100の車輪のうちの駆動輪が落ちる、いわゆる車両100の駆動輪の脱輪が生じたとする。このような脱輪が生じると、例えば、車両100が加速しようとする状況、すなわち目標前後加速度GXTが正の値であっても、脱輪により車両100が急減速することで前後加速度GXが負の値になる。その結果、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTの差の絶対値が予め定められた第1規定値A以上になる。すると、ステップS21において、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったと判定する。
【0049】
<本実施形態の効果>
(1)本実施形態によれば、加速度センサ81の検出値である前後加速度GXに加え、実現したい車両100の運動状態を示す目標前後加速度GXTを加味して、車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定が行われる。換言すると、実際に加速度センサ81に検出された加速度の大きさだけでなく、車両100に要求されている運動に伴って検出されるべき加速度の大きさを加味して、車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定が行われる。これにより、車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定の精度を向上できる。
【0050】
(2)一般的に、車両100が駐車場から道路へと進入するような車両100が走り始めた状況では、排水溝などの近くを車両100が通過する機会が多くなる。そして、車両100の車輪の脱輪が生じる可能性が高くなりやすい。したがって、車両100が駐車場から道路へと進入するような車両100が走り始めた状況では、車両100の車輪の脱輪に起因して車両100に外部から衝撃が加わる可能性が高い。
【0051】
本実施形態において、運動マネージャ45は、車速SPが予め定められた規定車速以下である場合に限って、ステップS12以降の処理を実行する。そして、運動マネージャ45は、ステップS21の第1判定処理及びステップS31の第2判定処理の一方により、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。換言すると、車両100に外部から衝撃が加わる可能性が高い状況に限って、ステップS21の第1判定処理及びステップS31の第2判定処理の一方が実行される。これにより、例えば車速SPに拘わらずステップS21の第1判定処理及びステップS31の第2判定処理を実行する場合に比べて、その判定処理に伴うブレーキECU40の実行装置41の処理負荷を抑制できる。
【0052】
(3)例えば、車両100の運転者の操作に基づいてアクチュエータが制御されている場合には、車両100に外部から衝撃が加わっていなくても、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTが一致しない可能性が高い。そのため、上記の場合において、仮に、ステップS21の第1判定処理、すなわち前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定すると、その判定の精度が低下しやすい。
【0053】
本実施形態において、運動マネージャ45は、アプリケーションソフトウェアによりアクチュエータが制御されている場合に、すなわち目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていることを条件に、処理をステップS21に進める。そして、運動マネージャ45は、ステップS21の第1判定処理、すなわち前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。一方、運動マネージャ45は、車両100の運転者の操作に基づいてアクチュエータが制御されていることを条件に、処理をステップS31に進める。そして、運動マネージャ45は、ステップS31の第2判定処理、すなわち目標前後加速度GXTに依らずに前後加速度GXに基づいて、車両100に外部から衝撃が加わったか否かを判定する。これにより、車両100の運転者の操作に基づいてアクチュエータが制御されている場合において、車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定の精度が低下することは抑制できる。
【0054】
(4)運動マネージャ45は、ステップS21の第1判定処理において車両100に外部から衝撃が加わったと判定したことを条件に、処理をステップS22に進める。そして、ステップS22において、運動マネージャ45は、前後加速度GX及び目標前後加速度GXTに基づいて、車両100に加わった衝撃の大きさである衝撃値GAを推定する。これにより、例えば車両100のユーザ等が衝撃値GAを把握できれば、その車両100のユーザ等は、車両100のメンテナンスの必要性を判断しやすい。
【0055】
なお、ステップS32において、運動マネージャ45は、前後加速度GXに基づいて、車両100に加わった衝撃の大きさである衝撃値GAを推定する。したがって、上と同様に、例えば車両100のユーザ等が衝撃値GAを把握できれば、その車両100のユーザ等は、車両100のメンテナンスの必要性を判断しやすい。
【0056】
(5)運動マネージャ45は、ステップS21の第1判定処理及びステップS31の第2判定処理の一方により車両100に外部から衝撃が加わったと判定したことを条件に、処理をステップS41に進める。ステップS41において、運動マネージャ45は、車輪速WSに基づいて、車両100の車輪の脱輪が生じたか否か判定する。そして、脱輪が生じた場合に、運動マネージャ45は、車輪速WSに基づいて脱輪が生じたと判定する。これにより、例えば車両100のメンテナンスを行う作業者等は、脱輪が生じたことを把握することでメンテナンスを行うべき箇所を特定しやすい。
【0057】
(6)ステップS42において、運動マネージャ45は、車輪速WSに基づいて、脱輪が生じた車輪を推定する。このように脱輪が生じた車輪が推定されれば、例えば車両100のメンテナンスを行う作業者等は、脱輪が生じた車輪を把握することでメンテナンスを行うべき箇所をより詳細に特定しやすい。
【0058】
(7)運動マネージャ45は、ステップS21の第1判定処理及びステップS31の第2判定処理の一方により車両100に外部から衝撃が加わったと判定したことを条件に、処理をステップS43に進める。そして、ステップS43において、運動マネージャ45は、車両100のユーザに対して車両100に外部から衝撃が加わったことを報知する。これにより、例えば車両100のユーザ等が車両100に外部から衝撃が加わったことを把握できれば、その車両100のユーザ等は、車両100のメンテナンスの必要性を判断しやすい。
【0059】
(8)ステップS44において、運動マネージャ45は、車両100の衝撃の判定に関する判定データDIをデータセンタ200に送信する。ここで、判定データDIは、車両100に外部から衝撃が加わったときの位置座標PCの情報等を含んでいる。これにより、例えば収集された位置座標PCの情報を分析することで、車両100に衝撃が加わりやすい場所を特定できたり、車両100の脱輪が頻発している場所を特定できたりする。
【0060】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・上記実施形態において、判定制御は変更してもよい。
例えば、判定制御を実行する条件は変更してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、車両100が走行しているか否かに拘わらず、判定制御を実行してもよい。
【0062】
・例えば、ステップS11における前提条件は変更してもよい。具体例として、前提条件は、車速SPが予め定められた規定車速以下であるという要件に加えて、又は代えて、車速SPがゼロよりも大きくなってから一定期間経過するまでであるという要件を含んでいてもよい。さらに、具体例として、前提条件は、車両100が駐車場から道路へと進入するような車両100が走り始めた状況を検出するための条件に限らず、車両100が道路から駐車場へと進入するような車両100が走り終わる状況を検出するための条件でもよい。すなわち、前提条件としては、車両100に外部から衝撃が加わる可能性が高い状況を検出するために他の条件を採用してもよい。
【0063】
・例えば、ステップS11の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、判定制御を開始したときに、ステップS12の処理を実行してもよい。なお、ステップS11の処理を省略しても、ブレーキECU40の実行装置41の処理負荷が過度に増大することは考えにくい。
【0064】
・例えば、ステップS12の判定の仕方は変更してもよい。具体例として、目標前後加速度GXTに基づいて、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73の1以上が制御されている場合、運動マネージャ45は目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていると判定してもよい。一方、車両100の運転者の操作に基づいて、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73の全てが制御されている場合、運動マネージャ45は目標前後加速度GXTに基づいてアクチュエータが制御されていないと判定してもよい。
【0065】
・例えば、ステップS21の判定の仕方は変更してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58からの運動要求として、要求前後加速度GXRに加えて、又は代えて、車両100の左右軸に沿う加速度を制御するための要求左右加速度を受け付けることがある。そして、運動マネージャ45は、調停結果として選択した要求左右加速度を、目標左右加速度とすることがある。この場合、ステップS21において、運動マネージャ45は、左右加速度GY及び目標左右加速度の差の絶対値が予め定められた規定値以上である場合に、車両100に外部から衝撃が加わったと判定してもよい。なお、同様に、ステップS21において、運動マネージャ45は、上下加速度GZ及び目標上下加速度の差の絶対値が予め定められた規定値以上である場合に、車両100に外部から衝撃が加わったと判定でき得る。すなわち、ステップS21において用いる目標加速度は、目標前後加速度GXTに限らず変更してもよい。
【0066】
・例えば、ステップS22の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、ステップS21において肯定判定した場合に、処理をステップS41に進めてもよい。なお、ステップS22の処理を省略しても、車両100のユーザ等は、例えば実際に体感した衝撃に基づいて、車両100のメンテナンスの必要性を判断でき得る。同様に、ステップS32の処理を省略してもよい。
【0067】
・例えば、ステップS31の処理を省略してもよい。なお、ステップS31の処理を省略しても、ステップS21の処理により車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定を実行できる。この場合、運動マネージャ45は、ステップS11において肯定判定した場合に、処理をステップS21に進めればよい。なお、この構成では、ステップS12、ステップS31、及びステップS32の処理を省略できる。
【0068】
・例えば、ステップS42の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、ステップS41において肯定判定した場合に、処理をステップS43に進めればよい。なお、ステップS42の処理を省略しても、ステップS41において車両100の車輪の脱輪が生じたか否かが判定されれば、例えば車両100のメンテナンスを行う作業者等は、脱輪が生じたか否かを把握することでメンテナンスを行うべき箇所を特定でき得る。
【0069】
・例えば、ステップS41の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、ステップS22の後、又はステップS32の後に、処理をステップS43に進めればよい。なお、ステップS41の処理を省略しても、ステップS21及びステップS31の一方の処理において車両100に外部から衝撃が加わったか否かが判定されるため、車両100のユーザ等は、車両100のメンテナンスの必要性を判断でき得る。
【0070】
・例えば、ステップS43における報知内容は変更してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、車両100に外部から衝撃が加わったことの報知を省略した上で、車両100のユーザに対して車輪の脱輪が生じたこと等を報知してもよい。
【0071】
・例えば、ステップS43の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、ステップS42の後に、処理をステップS44に進めてもよい。なお、ステップS43の処理を省略しても、ステップS21及びステップS31の一方の処理により車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定自体は実行できる。
【0072】
・例えば、ステップS44における判定データDIは変更してもよい。具体例として、判定データDIは、車両100に外部から衝撃が加わったときの位置座標PCの情報、車両100に外部から衝撃が加わったときの日時の情報、脱輪が生じた車輪の情報、衝撃値GAの情報のうちの一部のみを含んでいてもよい。
【0073】
・例えば、ステップS44の処理を省略してもよい。具体例として、運動マネージャ45は、ステップS43の後に、今回の判定処理を終了してもよい。なお、ステップS44の処理を省略しても、ステップS21及びステップS31の一方の処理により車両100に外部から衝撃が加わったか否かの判定自体は実行できる。
【0074】
・上記実施形態において、車両100の構成は変更してもよい。
例えば、運動マネージャ45の機能を実現するECUは、ブレーキECU40以外であってもよい。具体例として、ブレーキECU40に代えて、セントラルECU10の実行装置11は、記憶装置12に記憶された運動マネージャアプリ45Aを実行することにより、運動マネージャ45の機能を実現してもよい。すなわち、セントラルECU10、パワートレインECU20、ステアリングECU30、ブレーキECU40、及び先進運転支援ECU50は、情報処理装置として採用でき得る。
【0075】
<その他の技術的思想>
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(付記1)
複数のアプリケーションソフトウェアのそれぞれから、車両の運動要求の1つとして要求加速度を受け付けることと、
受け付けた前記要求加速度を調停することと、
前記要求加速度の調停結果である目標加速度に基づいて、前記車両のアクチュエータを制御するための制御装置に指示信号を出力することと、
前記車両に搭載された加速度センサからの検出値を取得することと、
前記検出値に加え、前記目標加速度に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第1判定処理をすることと、
を実行する
情報処理装置。
【0076】
(付記2)
前記車両の速度である車速を取得すること、
を実行可能であり、
前記車速が予め定められた規定車速以下である場合に限って、前記第1判定処理を実行する
付記1に記載の情報処理装置。
【0077】
(付記3)
前記目標加速度に依らずに前記検出値に基づいて、前記車両に外部から衝撃が加わったか否かを判定する第2判定処理をすること、
を実行可能であり、
前記目標加速度に基づいて前記アクチュエータが制御されていることを条件に、前記第1判定処理を実行し、
前記車両の運転者の操作に基づいて前記アクチュエータが制御されていることを条件に、前記第2判定処理を実行する
付記1又は付記2に記載の情報処理装置。
【0078】
(付記4)
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記検出値及び前記目標加速度の差に基づいて、前記車両に加わった衝撃の大きさを推定すること、
を実行可能である
付記1~付記3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【0079】
(付記5)
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車両のユーザに対して前記車両に外部から衝撃が加わった旨の報知をすること、
を実行可能である
付記1~付記4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【0080】
(付記6)
前記車両が備える車輪の回転速度である車輪速を取得することと、
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車輪速に基づいて、前記車輪の脱輪が生じたか否かを判定することと、
を実行可能である
付記1~付記5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【0081】
(付記7)
前記第1判定処理で前記車両に外部から衝撃が加わったと判定されたことを条件に、前記車両に外部から衝撃が加わったときに前記車両が位置する地点の位置情報を外部に送信すること、
を実行可能である
付記1~付記6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0082】
IS…情報処理システム
NW…通信ネットワーク
10…セントラルECU
20…パワートレインECU
30…ステアリングECU
40…ブレーキECU
41…実行装置
42…記憶装置
43…ブレーキ制御部
43A…ブレーキアプリ
45…運動マネージャ
45A…運動マネージャアプリ
50…先進運転支援ECU
71…パワートレイン装置
72…ステアリング装置
73…ブレーキ装置
81…加速度センサ
82…車輪速センサ
83…GNSS受信機
86…アクセル操作量センサ
87…舵角センサ
88…ブレーキ操作量センサ
91…DCM
92…ディスプレイ
100…車両
200…データセンタ
図1
図2
図3