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特開2024-158827ガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法
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  • 特開-ガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158827
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/344 20060101AFI20241031BHJP
   E04B 2/88 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04B1/344 B
E04B2/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074384
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】599093524
【氏名又は名称】旭ビルウォール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(72)【発明者】
【氏名】友枝 勝登
(72)【発明者】
【氏名】島田 大
(72)【発明者】
【氏名】伊勢谷 三郎
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB02
2E002WA19
2E002XA18
(57)【要約】
【課題】支持枠を形成する枠部材が同一平面上ではなくねじれて配されている場合でも、支持枠の各辺がそれぞれ適切に接続されることができるガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法を提供する。
【解決手段】ガラスコールドベント支持枠1は、少なくとも4辺の枠部材2a~2dからなるガラス板3が嵌め込まれるべき支持枠本体2と、隣り合う枠部材2a~2dがボールジョイント構造を有する可動ジョイントで接続されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガラス板が嵌め込まれるべき4辺の枠部材を有する支持枠本体と、
隣り合う前記枠部材がボールジョイント構造を有する可動ジョイントで接続されていることを特徴とするガラスコールドベント支持枠。
【請求項2】
前記支持枠本体は四角形形状を有し、
前記可動ジョイントは少なくとも前記支持枠本体の対角にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項3】
前記可動ジョイントは略球形形状のボール部と、該ボール部から延びる棒形状の軸部と、前記ボール部を覆う貫通孔を有する中空筒形状のカバー部と、該カバー部から延びる棒形状の接続部とを有し、
前記軸部は前記カバー部の一方の端部から突出していることを特徴とする請求項1に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項4】
前記支持枠本体は一方の面側及び該一方の面側に対して反対側の他方の面側を有し、
前記可動ジョイントが配されている前記枠部材の端部であって前記他方の面側は切欠かれて切欠き部が形成されていて、
隣り合う前記枠部材の一方の枠部材に形成されている前記切欠き部には前記可動ジョイントが配されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項5】
前記カバー部の他方の端部は蓋部材にて覆われていて、
前記ボール部はその表面が一部平面に形成されて平面部を有し、
該平面部と前記蓋部材とが密接していることを特徴とする請求項3に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項6】
前記カバー部の一方の端部の前記貫通孔壁面は外方に広がるテーパ形状に形成されたテーパ部を備えていることを特徴とする請求項3に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項7】
前記軸部は軸方向に長さが変化する長さ調節機構を備えていることを特徴とする請求項3に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項8】
前記支持枠本体を同一平面上に位置するように配して前記支持枠本体に前記ガラス板を嵌め込んだ際に、前記ボールジョイント構造の回転支点と前記ガラス板の角部が平面視にて一致していることを特徴とする請求項1に記載のガラスコールドベント支持枠。
【請求項9】
前記可動ジョイントで接続されている箇所を介して隣り合っている前記枠部材が同一平面上に位置しないように配し、
前記可動ジョイントで接続されていない箇所の隣り合う前記枠部材に前記ガラス板を嵌め込み、
前記ガラス板に対して加力して前記支持枠本体の形状に合わせて変形させることを特徴とする請求項1に記載のガラスコールドベント支持枠を用いたコールドベント工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板に熱を加えることなく変形(曲げやねじれ)させてビル等の外壁に設置するためのガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス板を支持枠(以下、フレームともいう)ごと、あるいはガラス板のみを少しずつねじり(曲げ)ながら現場にて建物躯体に取り付けるコールドベント工法が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、ユニットカーテンウォールの面材となるガラス板に対し、フレームで支持させてもよいことが記載されている。フレームで支持した場合には、フレームごとガラス板を変形させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フレーム付きのガラス板をガラスコールドベントとした場合、フレームにはある程度の剛性があるため、ガラス板の曲げに応じてこれに追従することが困難である。これは、コールドベントする際にガラス板の自由な曲げの妨げとなり、ガラス板に部分的な引張応力を過度に与えることに起因し、ガラス板が割れやすくなる。また、フレームの角部では隣り合うフレームを構成する部材(以下、フレーム部材という)の当接部に開きが生じてしまうので、フレーム部材各辺の接続に工夫が必要である。さらに、予め定められたガラスコールドベントの角度がある場合、その角度を目指してフレームごとガラス板を曲げるよりも、先に設定された角度にてフレームが固定されていれば取扱い性や作業性が向上する。なお、フレーム部材は枠部材本体、フレーム部材は枠部材と読み替えられる。
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、支持枠を形成する枠部材が同一平面上ではなくねじれて配されている場合でも、支持枠の各辺がそれぞれ適切に接続されることができるガラスコールドベント支持枠及びこれを用いたコールドベント工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、少なくともガラス板が嵌め込まれるべき4辺の枠部材を有する支持枠本体と、隣り合う前記枠部材がボールジョイント構造を有する可動ジョイントで接続されていることを特徴とするガラスコールドベント支持枠を提供する。
【0007】
好ましくは、前記支持枠本体は四角形形状を有し、前記可動ジョイントは少なくとも前記支持枠本体の対角にそれぞれ設けられている。
【0008】
好ましくは、前記可動ジョイントは略球形形状のボール部と、該ボール部から延びる棒形状の軸部と、前記ボール部を覆う貫通孔を有する中空筒形状のカバー部と、該カバー部から延びる棒形状の接続部とを有し、前記軸部は前記カバー部の一方の端部から突出している。
【0009】
好ましくは、前記支持枠本体は一方の面側及び該一方の面側に対して反対側の他方の面側を有し、前記可動ジョイントが配されている前記枠部材の端部であって前記他方の面側は切欠かれて切欠き部が形成されていて、隣り合う前記枠部材の一方の枠部材に形成されている前記切欠き部には前記可動ジョイントが配されている。
【0010】
好ましくは、前記カバー部の他方の端部は蓋部材にて覆われていて、前記ボール部はその表面が一部平面に形成されて平面部を有し、該平面部と前記蓋部材とが密接している。
【0011】
好ましくは、前記カバー部の一方の端部の前記貫通孔壁面は外方に広がるテーパ形状に形成されたテーパ部を備えている。
【0012】
好ましくは、前記軸部は軸方向に長さが変化する長さ調節機構を備えている。
【0013】
好ましくは、前記支持枠本体を同一平面上に位置するように配して前記支持枠本体に前記ガラス板を嵌め込んだ際に、前記ボールジョイント構造の回転支点と前記ガラス板の角部が平面視にて一致している。
【0014】
さらに、本発明では、前記可動ジョイントで接続されている箇所を介して隣り合っている前記枠部材が同一平面上に位置しないように配し、前記可動ジョイントで接続されていない箇所の隣り合う前記枠部材に前記ガラス板を嵌め込み、前記ガラス板に対して加力して前記支持枠本体の形状に合わせて変形させることを特徴とするガラスコールドベント支持枠を用いたコールドベント工法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、隣り合う枠部材が可動ジョイントで接続されているので、枠部材が同一平面上ではなくねじれて配する場合でも、枠部材同士は適切に接続される。特に、支持枠本体が四角形形状でその対角に可動ジョイントを設ければ、支持枠本体は対角線上にて適切に折れ曲がり、コールドベントガラスを得ることができる。
【0016】
また、枠部材に切欠き部を設けることで、可動ジョイントを支持枠本体の外縁より内側に収まるように配設することができ、さらには隣り合う枠部材の互いの角度が変わったときに互いの枠部材が干渉することはない。
【0017】
また、平面部と蓋部材とを密接させることで、ボール部の軸部とカバー部に設けた接続部の角度が決まり、支持枠本体の形状が定まる。したがって予め設計した所望の形状に支持枠本体を形成することができ、これらを並べてガラスファサードとした際の全体的な外観を設計通りとすることができる。
【0018】
また、カバー部の貫通孔端部にテーパ部を設けることで、軸部がカバー部に干渉することを防止できる。
【0019】
また、軸部に長さ調節機構を設けることで、隣り合う枠部材同士の距離を調節することができ、ガラスコールドベントの最終的な支持枠本体の外形寸法を調整できることになり、ガラスファサードとした場合の1枚1枚のガラスコールドベントの外形寸法の微調整ができるようになる。このため、ガラスファサードの外観が向上する。
【0020】
また、平面視にてボールジョイント構造の回転支点(ボール部の中心)とガラス板の角部とが一致していることで、ガラスコールドベントとする場合にガラス板辺の変位と枠部材の変位を一致させることができ、ガラスの局部変形を防ぐことができる。
【0021】
さらに一旦ガラス板を枠部材の溝部に嵌め込んでその後他の枠部材に合わせるように変形させるので、枠部材とともにガラス板を変形させるよりも作業が容易となり、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るガラスコールドベント支持枠の概略斜視図である。
図2】枠部材の仕口部分を示す概略斜視図である。
図3】コールドベントガラスの概略斜視図である。
図4】外壁面がコールドベントガラスで形成された建物の例を示す概略図である。
図5】可動ジョイントの概略図である。
図6】可動ジョイントの動作説明図である。
図7】可動ジョイントの動作説明図である。
図8】別の可動ジョイントの動作説明図である。
図9】別の可動ジョイントの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、本発明に係るガラスコールドベント支持枠1は、少なくとも4辺の枠部材(図では上枠2a、下枠2b、左枠2c、右枠2dからなる4辺に位置する枠部材を示す。)からなる支持枠本体2を備えている。支持枠本体2は、ガラス板3が嵌め込まれるべきものであり、ガラス板3は本発明に係るガラスコールドベント支持枠1の必須の構成要素ではない。「ガラス板が嵌め込まれるべき」とは、「ガラス板を嵌め込むことができる」という意味として用語を用いている。
【0024】
隣り合う枠部材(例えば上枠2aと右枠2d)はその端部(仕口)にて接続されている。図2に示すように、この仕口には、ボールジョイント構造を有する可動ジョイント5が備わる可動仕口4aと、可動ジョイント5が備わらない不動仕口4bがある。図1の例では、上枠2a及び右枠2dの仕口、下枠2b及び左枠2cの仕口が可動仕口4aであり、上枠2a及び左枠2cの仕口、下枠2b及び右枠2dの仕口が不動仕口4bである。可動仕口4aでは、互いの枠部材(図1の例では上枠2aと右枠2d、下枠2bと左枠2c)はこの可動ジョイント5で接続されている。このように可動ジョイント5で接続されることで、隣り合う枠部材2a及び2d、2b及び2cは互いに角度を変化させて接続可能となる。このため、隣り合う枠部材2a及び2d、2b及び2cを同一平面上ではなくねじれさせて角度を設けて配する場合でも、これら枠部材2a及び2d、2b及び2cは適切に接続されたままとなる。
【0025】
特に図1で示す例では、支持枠本体2は4辺からなる四角形形状であり、この場合、可動ジョイント5は少なくとも支持枠本体2の対角にそれぞれ設けられている(図の例では可動仕口4aは対角に位置する)。このように、支持枠本体2が四角形形状でその対角に可動ジョイント5を設ければ、可動ジョイント5(可動仕口4a)を支点として支持枠本体2を折れ曲がったような形状に変形させることができる(図1の例では下枠2b及び右枠2dの不動仕口4bが上枠2a及び左枠2cの不動仕口4bよりも下側に位置するように対角線を基準として折れ曲がっている)。
【0026】
このような構造からなる本発明に係るガラスコールドベント支持枠1を用いてコールドベントガラス6(図3参照)を製造する際は、以下のようなコールドベント工法にて行われる。まずは、可動ジョイント5で接続されている箇所となる可動仕口4aを介して隣り合っている枠部材(図1の例では上枠2aに対して右枠2d、下枠2bに対して左枠2c)を同一平面上に位置しないように配する。具体的には、図1のように、下枠2b及び右枠2dの不動仕口4bが上枠2a及び左枠2cの不動仕口4bよりも下側に位置するように対角線を基準として折れ曲がったような形状とする。この状態では、可動ジョイント5が配設されないで接続されている(不動仕口4bを介して接続されている)上枠2aと左枠2cは同一平面上にあり、同様に下枠2bと右枠2dも同一平面上にある。
【0027】
次に、不動仕口4bにて隣り合っている枠部材(図1の例では上枠2aと左枠2c)にガラス板3を嵌め込む。ガラス板3は平板形状であるため、このような同一平面上にある枠部材2a及び2cに対して容易に嵌め込むことができる。この後、ガラス板3に対して加力する。具体的には、図1の例では、ガラス板3の下枠2b及び右枠2dの不動仕口4bに対応する位置に加力し、ガラス板3も対角線上にて折れ曲がるような形状、すなわちガラス板3の外縁が支持枠本体2に合った形状に変形させる。これにより、ガラス板3の外縁全体は支持枠本体2の形状に沿い、結果としてガラス板3はガラスコールドベント支持枠1(支持枠本体2)に嵌め込まれる(図3の状態)。これにより、対角にて適切に折れ曲がったようなコールドベントガラス6を得ることができる。このようなコールドベント工法では、一旦ガラス板3を枠部材2a及び2cに嵌め込んでその後他の枠部材2b及び2dに合わせるように変形させるので、加力すべき対象はガラス板3のみとなる。したがって、全ての辺が同一平面上にある枠部材にガラス板3を嵌め込んで、枠部材とともにガラス板3を変形させるよりも作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0028】
このようなコールドベントガラス6は、図4に示すように、外壁面を支持枠本体2で囲まれたガラス板3にて形成したような建物であって、特にその外壁面がうねっているような外壁面(ガラスファサード)としたい場合に適用される。コールドベントガラス6を複数枚並べることで、建物全体としてひねりやうねりがあるような感覚を視る者に与えることができ、斬新なデザインを提供することができる。
【0029】
ここで、図2及び図5に示すように、可動ジョイント5は、略球形形状のボール部7と、このボール部7から延びる棒形状の軸部8と、ボール部7を覆う中空筒形状のカバー部9と、このカバー部9から延びる棒形状の接続部10とを有している。カバー部9は中空筒形状であるため、この筒部分は貫通孔11となっている。ボール部7は貫通孔11内に収まっていて、軸部8はカバー部9の一方の貫通孔端部から突出している。軸部8が突出している貫通孔の端部の直径は、ボール部の直径よりも小さい。ボール部7が回転することにより、軸部8もこれに連動して移動する。一方で、接続部10はカバー部9に固定されている。したがって、図5のように、軸部8が右枠2dに取り付けられていて、接続部10が上枠2aに取り付けられている場合、軸部8の移動とともに右枠2dが上枠2aに対して角度が変化するように回転移動する。なお、可動ジョイント5は高強度鋼材やSUS等の材質で形成すると、仕口を確実に接続することができる。
【0030】
具体的には、図6に示すように、枠部材2a(2c)と枠部材2d(2b)とが接続されている可動仕口4aにて、可動ジョイント5のボール部7が回転することにより(図6の矢印A方向)、これに連動して軸部8のカバー部9に対する突出方向が変化して移動する。これに伴い、図7に示すように、軸部8の軸方向に沿うように枠部材2d(2b)も移動し、枠部材2a(2c)に対する枠部材2d(2b)の角度が変化する。なお、カバー部9の他方の端部(軸部8が突出している端部を一方の端部とした場合の反対側の端部)には、貫通孔11を閉塞するための蓋部材13が配されていて、貫通孔11はこれに覆われている。この蓋部材13は、例えば貫通孔11の壁面と螺合するようにして固定される。ボール部7をカバー部9の貫通孔11の他方の端部から挿入して軸部をカバー部9の貫通孔11の一方の端部から突出させた後、カバー部9の貫通孔11の他方の端部を蓋部材13で閉塞することで貫通孔11内でのボール部7の位置を固定する役割も果たしている。また、ボール部7を様々な方向に回転させることで、枠部材2d(2b)は軸方向を回転中心軸として回転させることもできる。すなわち、枠部材2d(2b)は三次元的に回転できる。
【0031】
図6及び図7を参照すれば明らかなように、カバー部9の一方の端部(軸部8が突出している側の端部)では、貫通孔11の壁面が外方に広がるようなテーパ形状に形成されて、テーパ部14となっている。このようなテーパ部14を設けることで、図7のように軸部8がかなりの角度まで変化するように移動したとしても、軸部8がカバー部9に干渉することを防止できる。すなわち、テーパ部14を設けることで、枠部材2d(2b)の回転角度を広くすることができる。
【0032】
また、上述したように、軸部8は可動仕口4aにて隣り合う枠部材のうち、一方の枠部材を上枠2a又は左枠2cとした場合に他方の枠部材である下枠2b又は右枠2dに差し込まれている。そして、例えば軸部8は右枠2dに差し込まれていた場合、軸部8は軸方向に長さが変化する長さ調節機構を備えている。これは、軸部8をボール部7に対して自在回転するような構成にして軸部8と右枠2dとをねじ接合させて、軸部8の回転とともに右枠2dからの軸部8の露出長さを変更するようにしてもよい(図7の矢印B方向)。このような長さ調節機構を設けることで、結果として隣り合う枠部材(例えば上枠2aと右枠2d)同士の距離を調節することができる。これはすなわち、ガラスコールドベントの最終的な支持枠本体2の外形寸法を調整できることになり、ガラスファサードとした場合の1枚1枚のガラスコールドベントの外形寸法を微調整ができるようになる。このため、ガラスファサードの外観が向上する。なお、同様の理由から接続部10の軸方向長さも変更可能となるように、長さ調節機構を設けてもよい。
【0033】
また、支持枠本体2は平面視にて一方の面である表側とその反対側の他方の面である裏側があり、図2の例では一方の面側にガラス板3が挟持されて配されている。そして、支持枠本体2を構成する枠部材2a~2dの可動仕口4a部分では、その枠部材2a~2dの端部にて他方の面側が切欠かれて切欠き部12が形成されている。可動ジョイント5は可動仕口4aにて一方の枠部材2a(2c)の切欠き部12に収まるように配されている。このように可動ジョイント5が枠部材2a(2c)の外縁よりも内側に収まっていることで、予め設定された支持枠本体2の外寸に影響を与えることがなくなる。また、可動ジョイント5により枠部材2d(2b)が移動しても(互いの角度が変わったりしても)、切欠き部12により枠部材2a(2c)と枠部材2d(2b)の他方の面側が接触することを防止でき、互いが干渉して可動ジョイント5による枠部材2d(2b)の角度変更が妨げられることはない。
【0034】
図8及び図9を参照すれば明らかなように、ボール部7の表面の一部を平坦な平面に形成して平面部15が形成されていてもよい。蓋部材13のボール部7側の表面も平面部15に対応するような平坦の平面に形成されている。図8のような枠部材2a(2c)と枠部材2d(2b)とが直角に配されている場合は、蓋部材13は配設されていない。ここで、図9のように所望の角度まで枠部材2d(2b)を移動させたとき、平面部15が蓋部材13を入れ込んだ際に密接するような位置とする。そうして蓋部材13を貫通孔11内に入れ込むことで、平面部15と蓋部材13は密接するので、ボール部7の角度が決まる(固定される)。これにより、支持枠本体2の全体としての形状が固定されて定まる。したがって予め設計した所望の形状に支持枠本体2を形成することができ、これらを並べてガラスファサードとした際の全体的な外観を設計通りとすることができる。
【0035】
なお、支持枠本体2を同一平面上に位置するように配して支持枠本体2にガラス板3を嵌め込んだ際に、ボール部7の中心(ボールジョイント構造の回転支点)とガラス板3の角部が平面視にて一致していることが好ましい。これにより、ガラス板3に加力した際にはガラス板3の変形する支点が角部になるため、ガラスコールドベントとする場合にガラス板3を辺全体として変化させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1:ガラスコールドベント支持枠、2:支持枠本体、2a:上枠、2b:下枠、2c:左枠、2d:右枠、3:ガラス板、4a:可動仕口、4b:不動仕口、5:可動ジョイント、6:コールドベントガラス、7:ボール部、8:軸部、9:カバー部、10:接続部、11:貫通孔、12:切欠き部、13:蓋部材、14:テーパ部、15:平面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9