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特開2024-158828透明物品の撮像装置及び透明物品の検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158828
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】透明物品の撮像装置及び透明物品の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20241031BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20241031BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01N21/958
G01N21/90 A
G01N21/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074386
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 透
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 正樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA13
2G051AA14
2G051AB02
2G051BA05
2G051BA06
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051CC07
(57)【要約】
【課題】透明な物品の撮像方向における厚みの差に起因する明度の差が小さな画像を取得できる撮像装置及び透明物品の検査装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10は、光が透過可能な透明部分を有する透明な物品17の透明部分に近赤外光NIを照射する第1光源20と、物品17に紫外光UVを照射する第2光源25と、物品17の透明部分を透過した近赤外光NIを入射可能な位置で物品17を撮像する第1カメラ30と、第1カメラ30と物品17との間の光路上に配置される第1光学フィルタ40とを備える。紫外光により励起した物品17が発光する蛍光FRは可視光を含む。第1光学フィルタ40は、第2光源25の紫外光UVを遮断するとともに可視光(蛍光FR)と近赤外光NIとを透過する光学特性を有する。第1カメラ30は、第1光学フィルタ40を透過した光による物品17の像である第1の像Img1を撮像する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過可能な透明部分を有する透明な物品を撮像する透明物品の撮像装置であって、
前記物品の前記透明部分に近赤外光を照射する第1光源と、
前記物品に紫外光を照射する第2光源と、
前記透明部分を透過した前記近赤外光を入射可能な位置で前記物品を撮像する第1カメラと、
前記第1カメラと前記物品との間の光路上に配置される第1光学フィルタと、
を備え、
前記紫外光により励起した前記物品が発光する蛍光は可視光を含み、
前記第1光学フィルタは、前記第2光源の紫外光を遮断するとともに前記可視光と前記近赤外光とを透過する光学特性を有し、
前記第1カメラは、前記第1光学フィルタを透過した光による前記物品の像である第1の像を撮像することを特徴とする透明物品の撮像装置。
【請求項2】
前記第1カメラとは異なる方向から前記物品を撮像する第2カメラと、
前記第2カメラと前記物品との間の光路上に配置される第2光学フィルタと、
を備え、
前記第2光源及び前記第2カメラは、前記物品に対して同じ側に位置し、
前記第2光学フィルタは、前記第1光源の近赤外光及び前記第2光源の紫外光を遮断するとともに前記蛍光に含まれる前記可視光を透過する光学特性を有し、
前記第2カメラは、前記第2光学フィルタを透過した光による前記物品の像である第2の像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の透明物品の撮像装置。
【請求項3】
前記第1光源及び前記第1カメラは、前記近赤外光が前記透明部分を透過する透過方向が反対向きとなる組が少なくとも1組備えられ、
前記第1カメラと前記物品との間の光路上には光機能部材が配置され、
前記透過方向が反対向きとなる前記近赤外光をそれぞれ発光する一対の前記第1光源は、一方の前記第1カメラが前記物品を撮像するのに伴って前記一方の前記第1光源が発光するときに、他方の前記第1光源が消灯し、
前記光機能部材は、他方の前記第1光源の消灯中に、発光中の一方の前記第1光源が発する近赤外光を前記第1カメラに至るように透過又は反射させる機能を有することを特徴とする請求項2に記載の透明物品の撮像装置。
【請求項4】
前記第2光学フィルタは、前記紫外光と前記近赤外光を遮断するとともに青色光波長域の可視光を透過し、
前記第2カメラは、前記第2光学フィルタを透過した前記青色光波長域の可視光の像を撮像することを特徴とする請求項2に記載の透明物品の撮像装置。
【請求項5】
前記物品は、口部を端面に有するとともに軸線に沿って延びる筒状の首部にねじが形成されたねじ部と、前記首部の径よりも大きな径に形成された有底筒状の胴部とを有する容器であり、
前記第1カメラは、前記胴部の側面を撮像する胴部撮像用カメラと、前記ねじ部の側面を撮像するねじ部撮像用カメラとの2台を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の透明物品の撮像装置。
【請求項6】
前記物品は、口部を端面に有するとともに軸線に沿って延びる筒状の首部にねじが形成されたねじ部と、前記首部の径よりも大きな径に形成された胴部とを有する容器であり、
前記第1カメラと前記容器との間の光路上に位置し、前記ねじ部を少なくとも含む前記容器の上部側面の像を投影する第1ミラーと、
前記第1カメラと前記容器との間の光路上に位置し、前記胴部の下部を少なくとも含む前記容器の下部側面の像を投影する第2ミラーと、
前記第1ミラーと前記第2ミラーとのそれぞれの投影角度を調整可能に構成される投影角度調整機構とを備え、
前記第1カメラは、前記第1ミラーが投影した前記容器の上部側面の像と、前記第2ミラーが投影した前記容器の下部側面の像とを撮像することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の透明物品の撮像装置。
【請求項7】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の前記撮像装置と、
前記撮像装置が前記物品を撮像することで得られた画像に基づいて前記物品を検査する検査処理部と
を備えることを特徴とする透明物品の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が透過可能な透明部分を有する物品を撮像する透明物品の撮像装置及び透明物品の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、透光性を有する容器(物品の一例)を複数の異なる方向から撮像する撮像装置が開示されている。この撮像装置は、容器の外周面全体を撮像可能な複数(例えば4つ)のカメラを備える。複数のカメラが撮像した画像に基づいて容器の欠陥等を検査する。また、特許文献2には、光源からの光が透明容器を透過した透過光を受光して透明容器の透過像を撮像するカメラを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置が取得した画像は、透明容器の充填液体中の異物の検出に使用される。
【0003】
また、特許文献3には、透明部を有するフィルムが装着され、かつコロイド粒子を含む液体が充填されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器を検査対象として、フィルムの良否を検査する容器の検査装置が開示されている。この検査装置では、フィルムの透明部を含む対象領域に紫外光を照射して対象領域を照明し、照明された容器の対象領域を撮像する。紫外光はカメラと同じ側から容器に照射される。カメラによる撮像では、紫外光の波長域をフィルタで制限して容器で生じる蛍光に基づく画像を撮像する。検査部は、撮像された対象領域の画像に基づいてフィルムの透明部の良否を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-157121号公報
【特許文献2】特開2002-267613号公報
【特許文献3】特開2022-158454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、透明な物品を光が透過した透過像を撮像した画像において明暗の差が小さい場合は欠点が見つけにくい場合がある。特に、透明な物品における光透過方向に厚みがある部分については、光の減衰、吸収、屈折や反射等により、物品を透過した光がカメラに至る光量が、その他の厚みの薄い部分に比べ相対的に少なくなる。このため、透明な物品においてカメラの撮像方向(光透過方向)に厚みのある部分の明度が暗くなり易く、検査等の特定の処理に適した品質の画像が得られにくい場合がある。
【0006】
なお、特許文献3に記載された検査装置においては、ラベルを検査できるが、容器そのものを検査するものではない。また、照明装置等の光源は、容器に対してカメラと同じ側から紫外光を照射しているので、容器の表面を検査するのに適した画像は得られるものの、容器の材料内部の形態を表す画像ではないので、容器自体を検査するなどの特定の処理には適していない。そのため、物品の撮像方向における厚みの差に起因する明度の差が小さな画像を取得したいという要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する透明物品の撮像装置は、光が透過可能な透明部分を有する透明な物品を撮像する透明物品の撮像装置であって、前記物品の前記透明部分に近赤外光を照射する第1光源と、前記物品に紫外光を照射する第2光源と、前記透明部分を透過した前記近赤外光を入射可能な位置で前記物品を撮像する第1カメラと、前記第1カメラと前記物品との間の光路上に配置される第1光学フィルタと、を備え、前記紫外光により励起した前記物品が発光する蛍光は可視光を含み、前記第1光学フィルタは、前記第2光源の紫外光を遮断するとともに前記可視光と前記近赤外光とを透過する光学特性を有し、前記第1カメラは、前記第1光学フィルタを透過した光による前記物品の像である第1の像を撮像する。
【0008】
この構成によれば、物品を透過した近赤外光による透過像と、物品に照射された紫外光により励起した物品が発光する蛍光による物品の像とが、第1光学フィルタによって紫外光が除去された状態の下で、第1カメラにより撮像される。近赤外光を物品に透過させることで、物品の材料内部の形態を適切に表す画像を取得できる。このとき、物品における撮像方向(光透過方向)に厚みが大きい部分ほど、透過した近赤外光が第1カメラに届く光量が相対的に小さくなるため、画像において厚みが大きい部分ほど暗くなる。その一方で、物品における撮像方向(光透過方向)に厚みが大きい部分ほど蛍光は強い強度で発光するので、物品の厚みがある部分も明るく撮像される。この結果、物品の撮像方向に厚みが小さい部分と厚みが大きい部分とで明度の差が小さな画像を取得できる。よって、物品の撮像方向における厚みの差に起因する明度の差が小さな画像を取得できる。例えば、検査等の特定の処理に適した画像を取得することができる。
【0009】
上記撮像装置は、前記第1カメラとは異なる方向から前記物品を撮像する第2カメラと、前記第2カメラと前記物品との間の光路上に配置される第2光学フィルタと、を備え、前記第2光源及び前記第2カメラは、前記物品に対して同じ側に位置し、前記第2光学フィルタは、前記第1光源の近赤外光及び前記第2光源の紫外光を遮断するとともに前記蛍光に含まれる可視光を透過する光学特性を有し、前記第2カメラは、前記第2光学フィルタを透過した光による前記物品の像である第2の像を撮像してもよい。
【0010】
この構成によれば、第2カメラによって物品が自ら発光した蛍光に含まれる可視光によって表面の形態を適切な明度で撮像できる。このとき、第2光学フィルタにより紫外光及び近赤外光が遮断される。このため、物品の材料内部など表面よりも奥方の形態が近赤外光により映り込んで画像上の表面の形態が損なわれたり、物品の表面で反射した紫外光の反射光が表面に映り込んで画像上の表面の形態が損なわれたりすることを回避できる。また、画像を検査等に用いる場合、物品の表面近くにある欠点は物品が発光する蛍光を透過しにくくその部分が暗くなりやすいので、欠点を識別しやすい。
【0011】
上記撮像装置において、前記第1光源及び前記第1カメラは、前記近赤外光が前記透明部分を透過する透過方向が反対向きとなる組が少なくとも1組備えられ、前記第1カメラと前記物品との間の光路上には光機能部材が配置され、前記透過方向が反対向きとなる前記近赤外光をそれぞれ発光する一対の前記第1光源は、一方の前記第1カメラが前記物品を撮像するのに伴って前記一方の前記第1光源が発光するときに、他方の前記第1光源が消灯し、前記光機能部材は、他方の前記第1光源の消灯中に、発光中の一方の前記第1光源が発する近赤外光を前記第1カメラに至るように透過又は反射させる機能を有する。
【0012】
この構成によれば、一対の第1光源がそれぞれが発光する近赤外光が物品を透過する方向が反対向きであっても、一方の第1光源が発光した近赤外光は光機能部材によって透過又は反射することによって、他方の第1光源に妨げられることなく、第1カメラに至ることができる。よって、一対の第1カメラによって、物品を反対向きに透過する近赤外光を含む光による2つの第1の像を撮像できる。
【0013】
上記撮像装置において、前記第2光学フィルタは、前記紫外光と前記近赤外光を遮断するとともに青色光波長域の可視光を透過し、前記第2カメラは、前記第2光学フィルタを透過した前記青色光波長域の可視光の像を撮像してもよい。この構成によれば、青色光波長域の可視光(青色光)による物品の像を撮像できるので、第2カメラで物品が自ら発する蛍光による第2の像を撮像できる。
【0014】
上記撮像装置において、前記物品は、口部を端面に有するとともに軸線に沿って延びる筒状の首部にねじが形成されたねじ部と、前記首部の径よりも大きな径に形成された有底筒状の胴部とを有する容器であり、前記第1カメラは、前記胴部の側面を撮像する胴部撮像用カメラと、前記ねじ部の側面を撮像するねじ部撮像用カメラとの2台を含んでもよい。
【0015】
この構成によれば、容器における胴部の側面とねじ部の側面とを撮像できる。胴部の側面とねじ部の側面ともに筒状を呈することから、胴部及びねじ部の幅方向の両端部が撮像方向に厚みが大きいものの、厚みの違いに起因する明度の差が小さく抑えられた画像を取得できる。
【0016】
上記撮像装置において、前記物品は、口部を端面に有するとともに軸線に沿って延びる筒状の首部にねじが形成されたねじ部と、前記首部の径よりも大きな径に形成された胴部とを有する容器であり、前記第1カメラと前記容器との間の光路上に位置し、前記ねじ部を少なくとも含む前記容器の上部側面の像を投影する第1ミラーと、前記第1カメラと前記容器との間の光路上に位置し、前記胴部の下部を少なくとも含む前記容器の下部側面の像を投影する第2ミラーと、前記第1ミラーと前記第2ミラーとのそれぞれの投影角度を調整可能に構成される投影角度調整機構とを備え、前記第1カメラは、前記第1ミラーが投影した前記容器の上部側面の像と、前記第2ミラーが投影した前記容器の下部側面の像とを撮像してもよい。
【0017】
この構成によれば、第1ミラーと第2ミラーとのそれぞれの投影角度を調整できるので、容器の上部側面の像と容器の下部側面の像とを1台の第1カメラで撮像できる。また、容器全体を1つのミラーを用いて撮像する場合に比べ、各ミラーで投影された2つの像を容器の上部側面と下部側面とをそれぞれ正面から撮像した画像として取得できる。
【0018】
上記課題を解決する検査装置は、上記撮像装置と、前記撮像装置が前記物品を撮像することで得られた画像に基づいて前記物品を検査する検査処理部とを備える。この構成によれば、撮像装置で得られた画像に基づき物品を検査するので、物品の検査精度を高めることができる。すなわち、撮像方向の厚みが大きい部分の明度を高めることで、撮像方向の厚みの違いに起因する明度の差が小さく抑えられた画像を取得できるので、物品の検査精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、透明な物品の撮像方向における厚みの差に起因する明度の差が小さな画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態における撮像装置を示す模式側面図である。
図2図2は、一組の撮像装置を示す模式側面図である。
図3図3は、撮像システムの構成を示す模式平面図である。
図4図4(a)は透明物品の側面図、図4(b)は透明物品の平面図である。
図5図5は、撮像装置を備える検査装置の構成を示す模式図である。
図6図6は、制御部が撮像制御を行う制御内容を示す制御テーブルである。
図7図7は、カメラの構成図、及びそのイメージセンサの受光波長と相対感度との関係を示すグラフ。
図8図8は、PETの蛍光分光特性を示すグラフである。
図9図9は、光源の発光スペクトルと蛍光の発光スペクトルとを、波長と出力パワーとの関係で示すグラフである。
図10図10は、IRカットフィルタを有しないカラーカメラのB感度特性を、波長と相対出力との関係で示すグラフである。
図11図11は、第1光学フィルタの光透過率特性を示すグラフである。
図12図12は、デュアルバンドパスフィルタよりなる第1光学フィルタの光透過率特性を示すグラフである。
図13図13(a)~図13(c)は、比較例における撮像画像を示す図である。
図14図14(a)~図14(c)は、実施例における容器の口部側面の撮像画像を示す図である。
図15図15(a)~図15(c)は、実施例における容器の口部天面の撮像画像を示す図である。
図16図16(a)~図16(d)は、実施例における容器の口部側面のカラー撮像画像を示す図である。
図17図17(a)~図17(d)は、実施例における容器の口部天面のカラー撮像画像を示す図である。
図18図18は、変更例における撮像装置を示す模式側面図である。
図19図19は、図18と異なる変更例の撮像装置を示す模式側面図である。
図20図20は、図19と異なる変更例の撮像装置を示す模式側面図である。
図21図21は、図20と異なる変更例の撮像装置を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、撮像装置、撮像システム及び検査装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態は、被写体の一例である物品を撮像する撮像装置を1つ単体で使用する構成、複数の撮像装置を備える撮像システム、撮像装置又は撮像システムによる撮像により取得された画像を用いて、特定の処理の一例として、物品の検査を行う検査装置を含む。まず、撮像装置及び検査システムについて説明し、その次に検査装置について説明する。
【0022】
<撮像装置の基本構成>
まず、図1を参照して、撮像装置の基本構成について説明する。ここで、撮像装置を1つ単体で使用してもよいし、撮像装置を、物品の撮像位置を中心とする周方向に所定の角度間隔で複数組配置することで、撮像システムを構成してもよい。所定の角度間隔は、等角度間隔でもよいし不等角度間隔でもよい。まず、撮像装置10(図1参照)の基本構成について説明し、そののち、複数の撮像装置を備える撮像システム100,200(図2図3を参照)について説明する。また、撮像装置10又は撮像システム100,200を構成するカメラ30により撮像された画像を基に検査処理を行って撮像対象を検査する検査装置についても説明する。
【0023】
図1は、光が透過可能な透明部分を有する透明な物品17を撮像する撮像装置10を示す。本実施形態では、全てが透明部分である透明な物品17の例で説明するが、一部に透明部分を有する透明な物品17であってもよい。撮像装置10は、透明な物品17に近赤外光NIを照射する第1光源20と、物品17に紫外光UVを照射する第2光源25と、物品17の透明部分を透過した近赤外光NIを入射可能な位置で物品17を撮像する第1カメラ30と、第1カメラ30と物品17との光路上の間に配置される第1光学フィルタ40とを備える。第1カメラ30は、物品17を挟んで第1光源20と反対側の位置に配置されている。
【0024】
物品17は、照射された紫外光UVにより励起して蛍光FRを発光(励起発光)する。蛍光FRは可視光を含む。第1光学フィルタ40は、第2光源25の紫外光UVを遮断するとともに可視光と近赤外光NIを透過する光学特性を有する。第1カメラ30は、第1光学フィルタ40を透過した光による物品17の像である第1の像Img1を撮像する。つまり、第1の像Img1は、物品17を透過した光(例えば、近赤外光NI)の像である透過像である。
【0025】
また、図1に示すように、撮像装置10は、第1カメラ30とは異なる方向から物品17を撮像する第2カメラ35と、第2カメラ35と物品17との間の光路上に配置される第2光学フィルタ45とを備えてもよい。
【0026】
図1に示すように、第2光源25及び第2カメラ35は、物品17に対して同じ側に位置する。第2光学フィルタ45は、第1光源20の近赤外光NI及び第2光源25の紫外光UVを遮断するとともに紫外光UVにより励起した物品17が発光する蛍光FR(図1では一点鎖線で示す)を透過する光学特性を有する。本例の第2光学フィルタ45は、可視光のうち少なくとも蛍光FRに含まれる部分の可視光を透過する。
【0027】
第2カメラ35は、第2光学フィルタ45を透過した物品17の像である第2の像Img2を撮像する。物品17に照射した紫外光UVの一部は物品17の表面で反射するが、他の一部は物品17の内部に入って物品17を励起させることで物品17が自ら蛍光FRを発する。また、第1光源20から物品17に照射された近赤外光NIの一部が反射又は屈折等により第2カメラ35が位置する方向(例えば上方)に出射される。第2光学フィルタ45により紫外光UV及び近赤外光NIは遮断される。このため、第2の像Img2は、物品17をその軸線の延長線上の位置(例えば上方位置)から第2カメラ35が撮像する、主に物品17自らが発する蛍光FRの像である。
【0028】
第2光学フィルタ45は、紫外光UVと近赤外光NIを遮断するとともに青色光波長域の可視光(青色光)を透過する。第2カメラ35は、第2光学フィルタ45を透過した可視光青領域の光の像を撮像する。
【0029】
<撮像システム100の構成>
次に、図2を参照して、撮像装置を撮像位置SPを中心とする周方向に所定の角度間隔を空けて2組配置することで構成される撮像システム100について説明する。図2に示す撮像システム100では、第1光源20及び第1カメラ30が、物品17を中心とする周方向に間隔をおいて複数組(2組)配置されている。複数の第1光源20は、物品17を挟んで互いに対向する位置に配置される一対の第1光源20(21,22)を少なくとも含む。
【0030】
ここで、撮像システム100を構成する2組の撮像装置10を、第1撮像装置11と第2撮像装置12とする。第1撮像装置11は、第1光源21、第1カメラ31及び第1光学フィルタ41を備える。第2撮像装置12は、第1光源22、第1カメラ32及び第1光学フィルタ42を備える。図2に示す例では、第1光源20の個数が2個であるので、これら2個(一対)の第1光源20が、撮像位置SPにある物品17を挟んで互いに対向する位置に配置されている。
【0031】
図2に示す例では、第1カメラ31と物品17との間の光路上に、他の組に属する第1光源22が位置している。同様に、第1カメラ32と物品17との間の光路上に、他の組に属する第1光源21が位置している。そのため、一対の第1光源21,22のうち一方の第1光源21(22)が対応する第1カメラ31(32)が物品17を撮像するのに伴って発光するときに、他方の第1光源22(21)は消灯させる。第1光源22(21)は、その消灯中に、発光中の一方の第1光源21(22)が発する近赤外光NIを第1カメラ31(32)に至るように透過させる機能を有する光機能部材26を備える。
【0032】
第1光源20は、中央に配置されるとともに特殊加工が施された透明樹脂により形成された窓部と、窓部の周囲から中央に向かって発光可能なLEDよりなる発光部とを有する。発光部が発光する周囲からの光は、窓部を形成する透明樹脂に施された特殊加工面によって面に対して交差する方向に反射する。よって、第1光源20は窓部が発光することで近赤外光NIを出射する。そして、第1光源20が消灯しているときは、その透明樹脂製の窓部が近赤外光NIを透過可能である。本実施形態では、特殊加工が施された透明樹脂製の窓部によって、光機能部材26が構成される。なお、光機能部材26を有する第1光源20の一例として、例えば、シーシーエス株式会社製のフラットドーム照明(商品名)が挙げられる。
【0033】
図2に示すように、2組の撮像装置11,12は、撮像位置SPを中心とする180°の点対称の位置にそれぞれ配置される。物品17に上側から紫外光UVを照明する第2光源25と、第2光源25から紫外光UVが照射された物品17の天面を撮像する第2カメラ35とは、複数組(例えば2組)の撮像装置11,12間で共有される。
【0034】
図2では、2組の撮像装置11,12のみ備える構成であるが、これに限らず、M組(但し、Mは自然数)の撮像装置10を備える撮像システムの構成として一般化すると、M組の撮像装置10を含む撮像システムでは、平面視において、M組の撮像装置10は、撮像位置SPを中心とする360°/Mの点対称となる位置にそれぞれ配置される。この場合、M個ずつの第1光源20、第1カメラ30及び第1光学フィルタ40は、撮像位置SPを中心とする360°/Mの点対称となる位置にそれぞれ配置される。第2光源25、第2カメラ35及び第2光学フィルタ45は、M組の撮像装置10間で共有される。
【0035】
<撮像システム200の構成>
次に、図3を参照して、撮像装置10を撮像位置SPを中心とする周方向に所定の角度間隔を空けて4組配置することで構成される撮像システム200の構成について説明する。つまり、M=4の例である。4組の撮像装置10(11~14)は、撮像位置SPを中心とする90°(=360°/4)の点対称となる4位置にそれぞれ配置される。4組の撮像装置10を、第1撮像装置11、第2撮像装置12、第3撮像装置13、第4撮像装置14とする。M組の撮像装置11~14を特に区別しない場合は、単に撮像装置10と記す。
【0036】
撮像システム200は、4個の第1カメラ31~34(30)、4個の第1光源21~24及び4個の第1光学フィルタ41~44(40)は、撮像位置SPを中心とする90°の点対称となる4位置にそれぞれ配置されている。第2光源25、第2カメラ35及び第2光学フィルタ45は、4組の撮像装置10間で共有される。なお、撮像装置10の組数であるMは、M=1またはM=3でもよいし、4以上であってもよい。
【0037】
図3に示すように、撮像システム200は、物品17を搬送する搬送装置50を備えてもよい。搬送装置50は、物品17を撮像位置SPを通る経路で搬送方向MDに搬送するコンベヤ51を備えてもよい。コンベヤ51は、複数の物品17を一定または不定の間隔を空けた状態で搬送方向MDに搬送する。コンベヤ51は、例えば、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等でもよい。また、コンベヤ51は、物品17を把持して搬送したり、物品17を吊下する状態で搬送したりするものでもよい。なお、コンベヤ51を備えず、物品17を1つずつ撮像位置SPに置くロボットを備えてもよい。さらに、作業者が物品17を撮像位置SPに置く構成でもよい。
【0038】
撮像位置SPを中心とする周方向に所定の角度間隔を空けたM個の位置から物品17をM方向(例えば4方向)から撮像する。M個の第1カメラ30が撮像したM枚(例えば4枚)の画像によって、物品17の全周の画像を取得する。そして、撮像システム200が撮像したM枚(例えば4枚)の画像に基づいて後述する検査処理部70(図5参照)が物品17の全周を検査する。撮像装置10及び撮像システム100,200のうちの1つと、検査処理部70とにより、物品17を検査する検査装置300が構成される。
【0039】
なお、物品17は、少なくとも一部が、光を透過可能な光透過性を有する。ここでいう光透過性とは、第1カメラ30が物品17を透過した光を受光して物品17の少なくとも一部を撮像できる程度に光を透過する性質を有すればよい。物品17は、その大部分(例えば50%以上)が透明な材料で形成されていると望ましい。また、物品17の材質は、合成樹脂、ガラス(非晶質)又は単結晶のセラミック等が挙げられる。要するに、紫外光UVが照射された場合に、紫外光UVよりも波長の長い蛍光FRを発光することが可能な材料であればよい。第1カメラ30が撮像して得られる撮像画像の明度において有意な蛍光FRを発光できる材料であればよい。
【0040】
<物品17の構成>
次に、図4を参照して、物品17について説明する。本実施形態の物品17は、透明容器18(以下、単に「容器18」ともいう。)である。図4において(a)は、容器18の側面図、(b)は容器18の平面図を示す。容器18は、例えば、合成樹脂製の透明な容器18である。容器18は、光透過性を有する透明な材料よりなる透明部分を有すればよく、合成樹脂材料よりなることに限定されない。また、一部に透明部分を有する容器18であってもよい。容器18は、例えば、ガラス(非晶質材料)や結晶質材料等の無機材料よりなるものでもよい。本実施形態の容器18は、樹脂材料がPET(ポリエチレンテレフタレート)よりなる、いわゆるペットボトルである。なお、物品17の樹脂材料は、例えば、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、MA(アクリル)、PC(ポリカーボネイト)、PVC(塩化ビニール)などその他の公知の樹脂材料であってもよい。
【0041】
図4(a),(b)に示すように、容器18は、有底筒状の胴部18aと、胴部18aの上方に胴部18aの径よりも小さな径に形成された筒状の首部18bとを有する。筒状の首部18bは、容器18の軸線に沿って延びている。首部18bの上部外周面上には、ねじを有するねじ部18cが形成されている。ねじ部18cは、不図示のキャップが螺着される部分である。首部18bは端面(天面)にリング状の口部18d(図4(b)も参照)を有する。また、胴部18aは底部18eを有する。なお、容器18において、ねじ部18cを含む上部18f、底部18e、及び胴部18aの下部18gは、軸線と交差する径方向(水平方向)の厚みが相対的に大きい部分である。また、この部分は、樹脂材料に混入した異物や気孔(ボイド)の存在割合が相対的に高い。この部分は、検査の重要対象部位であるが、厚さが大きいことに起因して明度が相対的に暗くなり易いことなどを理由に、画像による検査がしにくい部分でもある。また、容器18の厚みが薄い部分であって、その厚さ方向と交差する方向から撮像される場合、その撮像方向における厚みは大きくなる。
【0042】
<検査装置10の構成>
次に、図5を参照して、撮像装置10を備える検査装置300について説明する。図5は、1組の撮像装置11,12を備える図2に示す撮像システム100の例で示している。図5に示す検査装置300は、物品17を撮像する撮像システム100と、撮像装置11により撮像された撮像結果に基づいて物品17の良否を検査する検査処理部70とを備える。検査装置300は、検査処理部70の検査結果等を表示する表示部71を備えてもよい。なお、図5において、撮像システム100を、図1に示す撮像装置10又は図3に示す撮像システム200に置き換えることで、検査装置300を構成することもできる。
【0043】
撮像システム100は、搬送装置50により搬送される物品17を撮像位置SPで撮像するM組(例えば1組(2つ))の撮像装置11,12を備える。撮像装置11は、撮像位置SPにある物品17に光を照射する第1光源21及び第2光源25と、撮像位置SPにある物品17を撮像する第1カメラ31とを備える。また、撮像装置12は、撮像位置SPにある物品17に光を照射する第1光源22及び第2光源25と、撮像位置SPにある物品17を撮像する第1カメラ32とを備える。1組(2つ)の撮像装置11,12間で、撮像位置SPにある物品17の上方に配置された第2光源25及び第2カメラ35は共通である。撮像システム100は、2つの第1光源21,22、1つの第2光源25、2つの第1カメラ31,32及び1つの第2カメラ35と電気的に接続された制御処理部60を備える。
【0044】
制御処理部60は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えるものに限定されない。例えば、制御処理部60は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものでもよい。すなわち、制御処理部60は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0045】
制御処理部60は、制御部61と信号処理部62とを備える。制御部61は、2M個(例えば2個)の第1光源21,22と1個の第2光源25と、2M個(例えば2個)の第1カメラ31,32と、1個の第2カメラ35を制御する。信号処理部62は、2M個の第1カメラ31,32が出力する撮像信号S1,S2と、第2カメラ35が出力する撮像信号S3とを処理する信号処理部62とを備える。なお、制御部61は、搬送装置50を制御してもよい。この場合、制御部61は、撮像位置SPに到達した物品17を検知するセンサ53からの検知信号に基づいて、2M個の第1光源21,22及び1個の第2光源25と、2M個の第1カメラ31,32及び1個の第2カメラ35を制御する。
【0046】
制御部61は、第1光源21,22を異なる発光タイミングで発光させ、第1カメラ31による第1の像Img1の撮像と第1カメラ32による第1の像Img1の撮像とを発光タイミングに応じた異なる撮像タイミングで行わせる。また、制御部61は、第2光源25を、第1光源21,22と同じ発光タイミングで発光させ、第2カメラ35による第2の像Img2の撮像を、第1カメラ31による第1の像Img1の撮像と同じタイミングで行う。
【0047】
図5に示すように、第1カメラ31,32は、鏡筒30aの外側に配置された光学フィルタ41,42と、鏡筒30a内に配置されたレンズ36と、レンズ36を通った光の像を撮像するイメージセンサ37とを備える。第1カメラ31又は32は、物品17を透過した透過光を、第1光学フィルタ41又は42を介して入射し、その入射光がレンズ36を通してイメージセンサ37上に結像した第1の像Img1を撮像する。このとき、第1光学フィルタ41又は42により紫外光UVが遮断されるので、近赤外光NIと蛍光FRとを含む入射光による像が第1の像Img1としてイメージセンサ37により撮像される。
【0048】
第2カメラ35は、第1カメラ31と同様の構成のカメラにより構成される。第2カメラ35は、物品17から反射した反射光を、第2光学フィルタ45を介して入射し、その入射光がレンズ36を通してイメージセンサ37上に結像した第2の像Img2を撮像する。このとき、第2光学フィルタ45により紫外光UV及び近赤外光NIが遮断されるので、蛍光FRを含む入射光による像が第2の像Img2としてイメージセンサ37により撮像される。
【0049】
第1カメラ31,32は、イメージセンサ37により撮像された第1の像Img1を含む撮像信号S1,S2を出力する。また、第2カメラ35は、イメージセンサ37により撮像された第2の像Img2を含む撮像信号S3を出力する。ここで、各カメラ30(31,32),35は、白黒カメラでもよいし、カラーカメラでもよい。各カメラ30(31,32),35は、白黒カメラである場合、白黒の撮像信号S1~S3を出力する。また、各カメラ30(31,32),35は、カラーカメラである場合、例えば、RGBカラーの撮像信号S1~S3を出力する。なお、第1カメラ30(31,32)の詳細な構成は後述する。
【0050】
信号処理部62は、各カメラ31,32,35から入力した撮像信号S1,S2,S3に信号処理を施す。信号処理部62は、信号処理の結果、第1の像Img1を含む第1画像信号IS1,IS2と、第2の像Img2を含む第2画像信号IS3とを生成する。
【0051】
信号処理部62は、白黒カメラである各カメラ31,32,35から白黒の撮像信号S1,S2,S3を入力する構成である場合、白黒の撮像信号S1,S2,S3に対して、正規化処理、ガンマ補正などの非線形処理による輝度調整や、輪郭強調処理などを必要に応じて実施する。信号処理部62は、処理後の撮像信号S1,S2,S3を1バンドの白黒画像を含む画像信号IS1,IS2,IS3に変換して検査処理部70に出力する。また、信号処理部62は、カラーカメラである各カメラ31,32,35からRGBカラーの撮像信号S1,S2,S3を入力する構成である場合、撮像信号S1,S2,S3に対して、正規化処理、1バンドずつの画像信号R,G,Bに分ける処理、ガンマ補正などの非線形処理による輝度調整や、輪郭強調処理などを必要に応じて実施する。信号処理部62は、RGBカラー画像、R画像、G画像、B画像をそれぞれ含む画像信号IS1,IS2,IS3を検査処理部70に出力する。なお、正規化処理はなくてもよい。
【0052】
検査処理部70は、信号処理部62から入力する各画像信号IS1,IS2,IS3に基づいて物品17の良否を検査する。このとき、検査処理部70は、画像信号IS1、IS2に基づいて物品17の全周のうち1/Mずつの側面領域の良否を判定する検査を行う。検査処理部70は、例えば、容器18のねじ部18cの側面領域と胴部18aの側面領域とのうち少なくとも一方を検査する。さらに、検査処理部70は、1個の画像信号IS3に基づいて物品17の上側から見た端面(天面)の良否を判定する検査を行う。検査処理部70は、例えば、端面の一例として、口部18dの良否を検査する。
【0053】
検査処理部70は、白黒の画像信号IS1~IS3に基づく白黒画像を用いて物品17を検査してもよい。また、検査処理部70は、RGBカラーの画像信号IS1~IS3に基づくRGBカラー画像、R画像、G画像、B画像のうち特定の1つの画像を基に物品17を検査してもよい。また、検査処理部70は、RGBカラー画像、R画像、G画像、B画像のうち2つの差分データを用いて物品17を検査してもよい。検査処理部70は、画像信号IS1,IS2,IS3を輝度レベルの上下限閾値判定により二値化し、二値化画像から抽出された検査対象領域のサイズ及び数に基づき、物品17の良否を判定する。検査処理部70は、全周検査結果及び端面検査結果をそれぞれの画像と共に表示部71に表示する。また、制御処理部60及び検査処理部70は、例えば、コンピュータにより構成される。コンピュータは、入力装置と表示部71とを備える。表示部71は、モニタに限らず、操作盤等に設けられたディスプレイでもよい。
【0054】
<制御部61による制御内容>
図6は、制御部61の制御内容をテーブルで示す制御データCDである。なお、図6では、制御部61によるON・OFF制御において「OFF」を「-」で示している。制御部61は、図6に示す制御データCDに基づいて2M個の撮像装置11,12を制御する。図6の制御データCDは、撮像装置10の2個当たりの制御を示す。M組の撮像装置10を備える場合、制御部61は、撮像位置SPを挟んで対向する2組(2個)の撮像装置10を制御単位として、図6に示す制御データCDに基づいて制御する。すなわち、制御部61は、2組の撮像装置11,12を構成する、第1光源21,22、第2光源25、第1カメラ31,32及び第2カメラ35のそれぞれを、制御データCDに基づいて制御する。詳しくは、制御部61は、第1光源21,22及び第2光源25の発光タイミングを制御するとともに、3つのカメラ31,32,35の撮像タイミングを制御する。制御部61は、1つの物品17に対してM個の第1カメラ30によって順番にM回(例えば2回又は4回)回の撮像を行うことで、物品17の全周を撮像する。また、図3に示すように、撮像方向の異なる第1カメラ31と第1カメラ33との撮像を同時に行ってもよい。
【0055】
図6に示すように、1回目の撮像である第1撮像が行われる際、制御部61は、第1撮像装置11のうち第1カメラ31、第1光源21、第2カメラ35及び第2光源25をONにし、第2撮像装置12のうち第1カメラ32及び第1光源22をOFFにする。
【0056】
2回目の撮像である第2撮像が行われる際、制御部61は、第1撮像装置11のうち第1カメラ31及び第1光源21をOFFにし、第2撮像装置12を含むその他を全てONにする。つまり、制御部61は、第2撮像装置12のうち第1カメラ32、第1光源22、第2カメラ35及び第2光源25をONにし、第1撮像装置11のうち第1カメラ31及び第1光源21をOFFにする。なお、図6は、制御内容の一例を示し、これに限定されるものではない。例えば、第1撮像において、第1カメラ31及び第1光源21をON、第2カメラ35をOFF、第2光源25をON、第1カメラ32及び第1光源22をOFFにする。次の第2撮像において、第1カメラ31及び第1光源21をOFFにし、第2カメラ35、第2光源25、第1カメラ32及び第1光源22をONにする。このように、必要な像Img1,Img2の画像を撮像できる限りにおいて、制御部61による制御内容は適宜変更してもよい。
【0057】
制御部61は、M組(例えば2個又は4個)の撮像装置11,12に対してON・OFF制御を実行することで、2つの第1カメラ31,32又は4つのカメラ31~34によって、物品17の全周の画像を撮像する。こうして、2つ又は4つのカメラ31,32等が物品17を撮像することで、物品17の全周分(360度分)に相当する2枚又は4枚の透過像よりなる第1の像Img1を含む撮像信号S1,S2等が取得される。
【0058】
<第1カメラ30の構成>
次に、図7を参照して、第1カメラ30の構成及びその撮像特性について説明する。図7に示す第1カメラ30は、例えば、白黒画像又はRGBカラー画像を撮像する汎用のカメラをベースとする。汎用のカメラは、鏡筒30aに組み付けられたレンズ36と、近赤外光NIを遮断する近赤外光カットフィルタ201(以下、IRカットフィルタ201ともいう。)と、イメージセンサ37とを備える。第1カメラ30は、汎用のカメラから、図7に二点鎖線で示すIRカットフィルタ201を除去することで構成される。汎用のカメラは、白黒カメラでもよいし、カラーカメラでもよい。つまり、第1カメラ30は、白黒カメラでもよいし、カラーカメラでもよい。なお、図7では、第1カメラ30が、カラーカメラである例を示す。
【0059】
図7に示すイメージセンサ37は、R受光素子37R、G受光素子37G及びB受光素子37Bを備える。R受光素子37Rは、Rフィルタ38Rを透過した赤色光(レッド光)を受光し受光量に応じたR撮像信号を出力する。G受光素子37Gは、Gフィルタ38Gを透過した緑色光(グリーン光)を受光し受光量に応じたG撮像信号を出力する。B受光素子37Bは、Bフィルタ38Bを透過した青色光(ブルー光)を受光し受光量に応じたB撮像信号を出力する。イメージセンサ37において、R受光素子37R、G受光素子37G及びB受光素子37Bは、所定の配列で配置されている。
【0060】
R受光素子37R、G受光素子37G及びB受光素子37Bは、図7の右側のグラフで示されるそれぞれの波長帯の光に感度を有する。このグラフは、横軸が波長を示し、縦軸が相対感度を示す。IRカットフィルタ201を除去することで、イメージセンサ37は、近赤外光NIの波長帯域にも所定値以上の感度を有するRGB撮像特性を有する。すなわち、R受光素子37R、G受光素子37G及びB受光素子37Bは、図7における右側のグラフに示される可視光波長領域VA及び近赤外波長領域NIRAの光に感度を有する。R受光素子37Rは、グラフにRで示されバンドの感度を有し、G受光素子37GはGで示されるバンドの感度を有し、B受光素子37BはBで示されるバンドの感度を有する。各受光素子37R,37G,37Bは、第1光学フィルタ40(図3等を参照)を透過した光のうち、カラーフィルタ38の各フィルタ38R,38G,38Bを透過した光をそれぞれの感度に応じて受光する。イメージセンサ37は、各受光素子37R,37G,37Bの受光量に応じたR値、G値、B値をもつ各撮像信号が、所定の順番でシリアルに並ぶ撮像信号S1,S2(図5参照)を出力する。なお、第1カメラ30は、汎用のカラーカメラをベースにする構成に限定されない。例えば、近赤外光NIを受光可能で近赤外光の波長帯域にも所定値以上の感度を有するRGB撮像特性を有すれば、それ専用に製造された専用カメラでもよい。
【0061】
また、イメージセンサ37を構成するカラーフィルタ38は、RGB原色フィルタに替え、Mg,Ye,Cyの補色フィルタでもよい。また、RGBフィルタ又は補色フィルタに加え近赤外光を選択的に透過させるNIRフィルタが混在してもよい。さらに、RGBフィルタが、R,G1,G2,Bフィルタ、カラーフィルタ38が補色フィルタと原色フィルタを組み合わせた構成でもよい。さらにフィルタを3種類以上組み合わせてもよい。なお、第1カメラ30が白黒カメラである場合、イメージセンサ37は、カラーカメラと共通のイメージセンサでもよいし、白黒撮像専用のイメージセンサであってもよい。前者のイメージセンサ37を備える白黒カメラである場合、第1カメラ30は内蔵する信号処理回路(図示略)による処理により白黒の撮像信号S1~S3を出力する。
【0062】
<物品17の蛍光分光特性>
図8は、樹脂材料がPETである場合を例とする蛍光分光特性を示す。図8に示すグラフにおいて、縦軸が樹脂材料(例えばPET)に入射される入射光の波長である励起波長(nm)であり、横軸が樹脂材料が発する蛍光FRの波長である蛍光波長(nm)である。図8のグラフにおいて、線ULは、励起波長と蛍光波長とが同じ値となるラインを示す。つまり、線ULは、蛍光FRが発生しないときのラインを示す。図8のグラフ中の蛍光分布FDは、紫外光UVを入射した際に樹脂材料が分子レベルで励起することに起因して発光する蛍光FRの波長の分布を示す。この線ULよりも右側(長波長側)に存在する蛍光分布FDは、入射光よりも波長の長い蛍光FRが発生する分布を示す。つまり、図8に示すPETの例では、紫外光UVを入射すると、可視光の波長を含む波長域(青色光波長域)の蛍光FRが発生する。詳しくは、PETは、紫外光UVの入射によって青色の光の波長(約400~500nm)を含む蛍光FRを発光する。このように、樹脂材料に紫外光UVを入射すると、樹脂材料が自ら可視光のうち短波長寄りの例えば青色光を発光する。本実施形態では、物品17に対する光の透過や光の反射とは異なる、物品17の材料が自ら発光する蛍光FRを利用して、検査等の特定の処理に適した画像を取得する。
【0063】
図8では、PETの例を示したが、他の樹脂材料よりなる容器18を含む物品17についても、その物品17を構成する樹脂材料の蛍光分光特性から特定される波長の紫外光UVを物品17に照射する構成を採用できる。すなわち、物品17の樹脂材料の蛍光分光特性から得られる蛍光分布FDで特定される蛍光FRを発光できる紫外光UVの波長を特定し、その特定した波長の紫外光UVを物品17に照射する。そして、第1カメラ30により、物品17を透過した近赤外光NIと物品17が自ら発光する蛍光FRとの透過像を、第1光学フィルタ40で紫外光UVを遮断したうえで撮像する。このように、第2光源25が照射する紫外光UVの波長は、撮像対象の物品17を構成する樹脂材料の蛍光分光特性から特定される蛍光分布FDで示される蛍光FRを発光できる励起波長に選択される。
【0064】
<光源等の発光スペクトル>
図9は、近赤外光源である第1光源20と、紫外光源である第2光源25とを合わせた発光スペクトルを示す。図9に示すグラフにおいて、近赤外光NIを照射する第1光源20の発光スペクトルLS1は、約800~880nmの範囲で出力パワーが0.1以上の値をとる。紫外光UVを照射する第2光源25の発光スペクトルLS2は、約350~390nmの範囲で出力パワーが0.1以上の値をとる。発光スペクトルLS2のピークは、約365nmである。この波長約365nmは、図8に示すPETの蛍光分光特性から特定される所定強度以上の蛍光FRを発光できる値である。このため、PET製の容器18等の物品17に、発光スペクトルLS2の紫外光UVが照射されることで、図9に示す波長約400~500nmの蛍光FRを物品17が自ら発光することによる蛍光スペクトルFLが得られる。蛍光スペクトルFLは、青色光の波長域である青色光波長域にある。
【0065】
<第1カメラのB感度特性>
図10に示すグラフは、第1カメラ30のB感度特性を示す。つまり、このグラフは、第1カメラ30を構成するイメージセンサ37のB受光素子37Bの感度特性を示す。B受光素子37Bは、約400~540nmの範囲で相対出力0.2以上の値をとる感度を有する。また、B受光素子37Bは、約780~960nmの範囲で相対出力0.2以上の値をとる感度を有する。つまり、B受光素子37Bは、青色光波長域と近赤外光波長域とに感度を有する。図8図9に示す蛍光FRは青色光波長域に波長を有するので、B受光素子37Bは、蛍光FRの波長域に感度を有する。
【0066】
<光学フィルタ40,45の分光透過率特性>
図11は、第1光学フィルタ40の光学特性の一例を示す。第1光学フィルタ40は、図11に光透過率特性線F1で示すように、紫外光波長領域UVAに遮断領域を有するとともに、可視光波長領域VA及び近赤外波長領域NIRAに透過領域を有する分光透過率特性をもつ。このため、第1光学フィルタ40は、紫外光UVを遮断するとともに、青色光波長域の蛍光FRと近赤外光NIとの透過を許容する。
【0067】
図12は、図11とは異なる変更例における第1光学フィルタ40の光学特性の一例を示す。第1光学フィルタ40は、図12に光透過率特性線F2で示すように、紫外光波長領域UVAに遮断領域を有するとともに、可視光波長領域VA内の青色光波長域と近赤外波長領域NIRAに透過領域を有する分光透過率特性をもつ。図12に示すグラフの例では、第2光学フィルタ45は、可視光波長領域VAにおける青色光波長域以外の波長域にも遮断領域を有する。このため、第2光学フィルタ45は、紫外光UVを遮断し且つ青色光波長域以外の可視光を遮断するとともに、青色光波長域の蛍光FRと近赤外光NIとの透過を許容する。
【0068】
第2光学フィルタ45は、紫外光波長領域UVAに遮断領域を有し且つ近赤外波長領域NIRAに遮断領域を有するとともに、可視光波長領域VA内の青色光波長域に透過領域を有する分光透過率特性をもつ。第2光学フィルタ45の透過領域は、青色光波長域を含む可視光波長領域VA内の領域であればよい。このため、第2光学フィルタ45は、紫外光UV及び近赤外光NIを遮断するとともに、青色光波長域の蛍光FRの透過を許容する。
【0069】
<実施形態の作用>
次に、撮像装置10及び検査装置300の作用について説明する。
図3図5に示すように、搬送装置50のコンベヤ51によって、被写体である透明な物品17が搬送方向MDに搬送される。センサ53(図5参照)が物品17を検知すると、トリガー信号が制御部61に入力される。トリガー信号を入力した制御部61は、図6に示す制御データCDに基づいて、光源21~25及びカメラ31~35を制御する。
【0070】
物品17には、第1光源20からの近赤外光NIと、第2光源25からの紫外光UVとが異なる方向から照射される。本実施形態では、近赤外光NIが物品17の側方から照射され、紫外光UVが物品17の上方から照射される。近赤外光NIはその大部分が物品17を透過する。一方、紫外光UVは、一部が物品17の表面で反射し、他の一部が物品17の内部に入射する。物品17に入射した紫外光UVによって、物品17を構成する樹脂材料はその分子を構成する電子が励起しその結果として物品17が自ら蛍光FRを発光する。
【0071】
例えば、物品17がPETである場合、図8に示すように、紫外光UVよりも波長が短い青色光波長域の蛍光FRを発光する。紫外光UVの波長が例えば365nmである場合、約400nm~500nmの青色光波長域の蛍光FRを発する。
【0072】
第1カメラ31~34には、物品17を透過した近赤外光NIと物品17が自ら発光する蛍光FRとが入射される。このとき、紫外光UVは第1光学フィルタ41~44により遮断される。このため、第1カメラ31~34は、近赤外光NIと蛍光FRとによる物品17を側方から見た第1の像Img1を撮像する。
【0073】
例えば、2回又は4回の撮像により、4つの第1カメラ31~34はそれぞれ90°異なる方向から物品17を撮像する。このとき、例えば、第1光源21の発光時に第1光源22が消灯しているので、第1光源21からの近赤外光NI及び物品17が自ら発光する蛍光FRは、物品17を透過したのち第1光源22の例えば窓部を透過する。このため、物品17の像である第1の像Img1が第1カメラ31~34により撮像される。第1カメラ31~34は、ねじ部18cの側面の像を第1の像Img1として撮像する。
【0074】
また、第2カメラ35には、物品17が自ら発光する蛍光FRが入射される。このとき、紫外光UV及び近赤外光NIは第2光学フィルタ45により遮断される。第2カメラ35は、物品17を真上から見た端面(天面)の蛍光FRによる像である第2の像Img2を撮像する。第2カメラ35は、例えば、容器18を真上から見た口部18dの像を第2の像Img2として撮像する。
【0075】
第1カメラ31~34及び第2カメラ35が撮像した撮像信号S1~S3は、信号処理部62に入力される。信号処理部62は、撮像信号S1~S3に対して所定の処理を施すことで、画像信号を出力する。例えば、モノクロカメラである場合、信号処理部62は、カメラ31~35からの撮像信号S1~S3に所定の処理を施すことでモノクロ画像を生成する。また、例えば、カラーカメラである場合、信号処理部62は、カメラ31~35からの撮像信号S1~S3に所定の処理を施すことで、RGBカラー画像、R画像、G画像及びB画像を生成する。
【0076】
次に、図13図17を参照して、本実施形態のカメラ31~35が撮像した画像について説明する。まず、モノクロカメラが撮像した画像について説明する。図13は、比較例の画像を示す。図14は、本実施形態の第1カメラ30が撮像したねじ部18cの側面の画像を示す。図15は、本実施形態の第2カメラ35が撮像した口部18dの天面の画像を示す。なお、撮像対象の容器には、黒点で示されるダミーの欠点を付している。
【0077】
図13(a)は、白色光を正面から照明してその反射光を撮像した比較例の画像を示す。この画像では、容器を透けて背景が見えるうえ、ねじ部の表面中央部に光の反射による白色部が映り込んでいる。
【0078】
図13(b)は、白色光を背面から照明してねじ部の透過光を撮像した比較例の画像を示す。この画像では、ねじの厚みの大きい部分の明度が暗くなっており、ねじの部分では黒点で示される欠点を識別しにくい。
【0079】
図13(c)は、白色光を底面から照明して口部の透過光を撮像した比較例の画像を示す。この画像では、容器の軸線方向に厚みがあるため、リング状の口部の明度が相対的に暗くなっており、口部の部分では黒点で示される欠点を識別しにくい。
【0080】
図14(a)は、波長860nmの近赤外光NIを照明して透過光を撮像した画像である。この画像では、ねじの厚みの大きい部分の明度が暗くなっており、ねじの部分では黒点で示される欠点を識別しにくい。
【0081】
図14(b)は、波長860nmの近赤外光NIと波長365nmの紫外光UVを照明して透過光を撮像した画像である。紫外光UVを遮断する第1光学フィルタ40は使用していない。この画像では、ねじ部が白く発光する箇所が見られるが、輝度にばらつきがある。このため、ねじ部の識別及び欠点の識別はできるものの、場合によって識別ミスが発生しうる。
【0082】
図14(c)は、波長860nmの近赤外光NIと波長365nmの紫外光UVを照明して透過光を撮像した画像である。紫外光UVを遮断する第1光学フィルタ40を使用している。この画像では、厚みがあるねじの部分も明度が高く、ねじの識別及び欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。
【0083】
図15(a)は、波長860nmの近赤外光NIを照明して反射光を撮像した画像である。この画像では、容器が全体的に薄灰色を呈し、口部の識別及び欠点の識別が困難である。
【0084】
図15(b)は、波長860nmの近赤外光NIと波長365nmの紫外光UVを照明してその反射光を撮像した画像である。紫外光UVを遮断する第1光学フィルタ40は使用していない。この画像では、口部に白く発光する箇所が見られるが、輝度にばらつきがある。また、紫外光UVの反射が若干認められる。このため、口部の識別及び欠点の識別はできるものの、場合によって識別ミスが発生しうる。
【0085】
図15(c)は、波長860nmの近赤外光NIと波長365nmの紫外光UVを照明してその反射光を撮像した画像である。紫外光UVを遮断する第1光学フィルタ40を使用している。この画像では、口部がほぼ均一に白く発光しており、口部の識別及び欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。
【0086】
次に、カラーカメラが撮像した画像について説明する。図16は、本実施形態の第1カメラ30が撮像したねじ部18cの側面の画像を示す。図17は、本実施形態の第2カメラ35が撮像した口部18dの天面の画像を示す。
【0087】
図16は、波長860nmの近赤外光NIと波長365nmの紫外光UVを照明して透過光を撮像した画像である。紫外光UVを遮断する第1光学フィルタ40を使用している。図16(a)はRGBカラー画像、図16(b)はR画像、図16(c)はG画像、図16(d)はB画像である。
【0088】
図16(a)に示すRGBカラー画像では、ねじの厚みの大きい部分が水色(図では白色)に光っているが、ねじの部分では黒点で示される欠点を識別しにくい。撮像方向に厚みがある部分が蛍光FRの光強度が大きく、ねじ部の左右端部が光っている。
【0089】
図16(b)に示すR画像では、厚みが大きいねじの部分も明るく、厚みが薄い部分との明度の差が小さい。このため、ねじ部の識別及び欠点の識別はできる。
図16(c)に示すG画像では、厚みがあるねじの部分の明度が高く、厚みが薄い部分との明度の差がR画像よりもさらに小さい。ねじ部の幅方向の両端部が若干光っている。これは、G受光素子37Gが、蛍光FRの青色光波長域に少しの感度を有することに起因する。ねじの識別及び欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。
【0090】
図16(d)に示すB画像では、厚みがあるねじの部分の明度が極めて高く白飛びしている箇所が若干存在する。厚みが薄い部分との明度の差がG画像よりもさらに小さく、全体的に一番明るい。白飛びが仮にあっても、欠点がある場合には、蛍光FRのカメラ30,35への入射が遮られるので、欠点は検出可能である。このため、ねじの部分における欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。
【0091】
図17は、波長365nmの紫外光UVを照明して反射光を撮像した画像である。紫外光UV及び近赤外光NIを遮断する第2光学フィルタ45を使用している。図17(a)はRGBカラー画像、図17(b)はR画像、図17(c)はG画像、図17(d)はB画像である。
【0092】
図17(a)に示すRGBカラー画像では、厚みの大きい口部の部分が水色(図では白色)に光っている。口部の部分では黒点で示される欠点を識別できる。なお、口部が水色を呈すると、青系の欠点は類似色となるが、青色の欠点においても、蛍光FRのカメラ30,35への入射が遮られるので、欠点は検出可能である。このため、口部における欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。このように、欠点を対象とする場合には、蛍光FRによる透過光撮像となり、欠点の検出性能は、欠点の透過率特性に依存する。
【0093】
図17(b)に示すR画像では、口部が灰色を呈している。R受光素子37Rが蛍光FRの青色光波長域に感度を有していないことに起因する。このため、口部の識別及び欠点の識別は困難である。
【0094】
図17(c)に示すG画像では、口部が薄灰色を呈する。R画像よりも口部が明るいのは、G受光素子37Gが、蛍光FRの青色光波長域に少しの感度を有することに起因する。口部の識別及び欠点の識別はできるものの、識別ミスが起こりうる。
【0095】
図17(d)に示すB画像では、口部がほぼ均一に白く発光しており、口部の識別及び欠点の識別をほぼミスなく適切に行うことができる。口部が白色を呈するので、青系の欠点を含むどの色の欠点にも対応できる。
【0096】
検査処理部70は、カメラ30,35がモノクロカメラである場合、例えば、図14(c)、図15(c)の画像を基に検査処理を行って、例えば、欠点の有無を判定する。また、検査処理部70は、カメラ30,35がカラーカメラである場合、図16(b),(c),(d)、図17(b),(c),(d)の画像を基に検査処理を行って、例えば、欠点の有無を判定する。なお、検査処理部70が、R画像、G画像、B画像の差分データを検査処理に用いてもよい。
【0097】
制御部61は、物品17が不良品である場合、不図示の排出装置を駆動して不良品の物品17をコンベヤ51上から排除する。
<実施形態の効果>
以上、詳述した実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0098】
(1)撮像装置10は、光が透過可能な透明部分を有する透明な物品17を撮像する。撮像装置10は、物品17の透明部分に近赤外光NIを照射する第1光源20と、物品17に紫外光UVを照射する第2光源25と、物品17の透明部分を透過した近赤外光NIを入射可能な位置で物品17を撮像する第1カメラ30と、第1カメラ30と物品17との間の光路上に配置される第1光学フィルタ40と、を備える。紫外光UVにより励起した物品17が発光する蛍光FRは可視光を含む。第1光学フィルタ40は、第2光源25の紫外光UVを遮断するとともに蛍光FRに含まれる可視光と近赤外光NIとを透過する光学特性を有する。第1カメラ30は、第1光学フィルタ40を透過した光による物品17の像である第1の像Img1を撮像する。この構成によれば、物品17を透過した近赤外光NIによる透過像と、物品17に照射された紫外光UVにより物品17が発光する蛍光FRによる物品17の像とが、第1光学フィルタ40によって紫外光UVが除去された状態の下で、第1カメラ30により撮像される。近赤外光NIを物品17に透過させることで、物品17の材料内部の形態を適切に表す画像を取得できる。このとき、物品17における撮像方向(光透過方向)に厚みが大きい部分ほど、透過した近赤外光NIが第1カメラ30に届く光量が相対的に小さくなるため、画像において厚みが大きい部分ほど暗くなる。その一方で、物品17における撮像方向(光透過方向)に厚みが大きい部分ほど蛍光FRは強い強度で発光するので、物品17の厚みがある部分も明るく撮像される。この結果、物品17の撮像方向に厚みが小さい部分と厚みが大きい部分とで明度の差が小さな画像を取得できる。よって、物品17の撮像方向における厚みの差に起因する明度の差が小さな画像を取得できる。例えば、検査等の特定の処理に適した画像を取得できる。
【0099】
(2)撮像装置10は、第1カメラ30とは異なる方向から物品17を撮像する第2カメラ35と、第2カメラ35と物品17との間の光路上に配置される第2光学フィルタ45と、を備える。第2光源25及び第2カメラ35は、物品17に対して同じ側に位置する。第2光学フィルタ45は、第1光源20の近赤外光NI及び第2光源25の紫外光UVを遮断するとともに蛍光FRに含まれる前記可視光を透過する光学特性を有する。第2カメラ35は、第2光学フィルタ45を透過した光による物品17の像である第2の像Img2を撮像する。この構成によれば、第2カメラ35によって物品17が自ら発光した蛍光FRに含まれる可視光によって表面の形態を適切な明度で撮像できる。このとき、第2光学フィルタ45により紫外光UV及び近赤外光NIが遮断される。このため、物品17の材料内部など表面よりも奥方の形態が映り込んで画像上の表面の形態が損なわれたり、物品17の表面で反射した紫外光UVの反射光が表面に映り込んで画像上の表面の形態が損なわれたりすることを回避できる。また、物品17の表面近くにある欠点は物品17が発光する蛍光を透過しにくくその部分が暗くなるので、欠点を識別しやすい。
【0100】
(3)第1光源20及び第1カメラ30は、近赤外光NIが透明部分を透過する透過方向が反対向きとなる組が少なくとも1組備えられる。第1カメラ30と物品17との間の光路上には光機能部材26が配置される。透過方向が反対向きとなる近赤外光NIをそれぞれ発光する一対の第1光源20は、一方の第1カメラ30が物品17を撮像するのに伴って一方の第1光源20が発光するときに、他方の第1光源20は消灯する。光機能部材26は、他方の第1光源20の消灯中に、発光中の一方の第1光源20が発する近赤外光NIを第1カメラ30に至るように透過又は反射させる機能を有する。この構成によれば、一対の第1光源20がそれぞれが発光する近赤外光NIが物品17を透過する方向が反対向きであっても、一方の第1光源20が発光した近赤外光NIは光機能部材26によって透過又は反射することによって、他方の第1光源20に妨げられることなく、第1カメラ30に至ることができる。よって、一対の第1カメラ30によって、物品17を反対向きに透過する近赤外光NIを含む光による2つの第1の像Img1を撮像できる。
【0101】
(4)第2光学フィルタ45は、紫外光UVと近赤外光NIを遮断するとともに青色光波長域の可視光を透過する。第2カメラ35は、第2光学フィルタ45を透過した青色光波長域の可視光の像を撮像する。この構成によれば、青色光波長域の可視光(青色光)による物品17の像を撮像できるので、第2カメラ35で物品17が自ら発する蛍光FRによる第2の像Img2を撮像できる。
【0102】
(5)検査装置300は、撮像装置10と、撮像装置10が物品17を撮像することで得られた画像に基づいて物品17を検査する検査処理部70とを備える。この構成によれば、撮像装置10で得られた画像に基づき物品17を検査するので、物品17の検査精度を高めることができる。すなわち、撮像方向の厚みが大きい部分の明度を高めることで、撮像方向の厚みの違いに起因する明度の差が小さく抑えられた画像を取得できるので、物品17の検査精度を高めることができる。
【0103】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
図18に示す撮像装置10の構成を採用してもよい。物品17は、口部18dを端面に有するとともに軸線に沿って延びる筒状の首部18bにねじが形成されたねじ部18cと、首部18bの径よりも大きな径に形成された有底筒状の胴部18aとを有する容器18である。図18に示すように、撮像装置10は、2台の第1カメラ30と、ミラー81とを備える。第1カメラ30は、胴部18aの側面を撮像する胴部撮像用カメラ31Aと、ねじ部18cの側面を撮像するねじ部撮像用カメラ31Bとの2台を含む。ミラー81は、2台の第1カメラ30と容器18との間の光路上に位置し、胴部18aの側面の像と、ねじ部18cを含む容器18の上部側面の像とを投影する。この構成によれば、胴部18aの側面の透過像Img11とねじ部18cの側面の透過像Img12とを撮像できる。胴部18aの側面とねじ部18cの側面ともに筒状を呈することから、胴部18a及びねじ部18cの幅方向の両端部が撮像方向に厚みが大きいものの、厚みの違いに起因する明度の差が小さく抑えられた画像を取得できる。また、図18に示すように、第2光源25及び第2カメラ35を備える構成である場合、さらに、容器18の天面(例えば、口部18d)の像である第2の像Img2を適度な明度で撮像できる。
【0104】
図19に示す撮像装置10を採用してもよい。物品17は、前述の容器18である。撮像装置10は、第1ミラー85と、第2ミラー86と、投影角度調整機構87とを備える。第1ミラー85は、第1カメラ30と容器18との間の光路上に位置し、ねじ部18cを少なくとも含む容器18の上部側面の像を投影する。第2ミラー86は、第1カメラ30と容器18との間の光路上に位置し、胴部18aの下部を少なくとも含む容器18の下部側面の像を投影する。投影角度調整機構87は、第1ミラー85と第2ミラー86とのそれぞれの投影角度を調整可能に構成される。第1カメラ30は、第1ミラー85が投影した容器18の上部側面の透過像と、第2ミラー86が投影した容器18の下部側面の透過像とを含む第1の像Img1を撮像する。この構成によれば、第1ミラー85と第2ミラー86とのそれぞれの投影角度を調整できるので、容器18の上部側面の像と容器18の下部側面の像とを1台の第1カメラ30で撮像できる。例えば、容器18全体を1つのミラーで投影して撮像する場合、容器18の上部側面と下部側面との各画像がそれぞれ正面から少し傾いた角度から撮像した画像として取得される。これに対して、図19に示す撮像装置10によれば、各ミラー85,86で投影された2つの像をそれぞれ正面から撮像した画像として取得できる。例えば、ねじ部18cを水平方向から撮像した画像と、容器18の底部を水平方向から撮像した画像とを1台の第1カメラ30で取得できる。
【0105】
・光機能部材は、第1光源20の消灯中に光を透過する光透過機能をもつ光機能部材26に限定されない。光機能部材は、第1光源21の消灯時に光を反射する光反射機能を有するハーフミラーでもよい。例えば、図20に示すように、一方の第1光源21と、物品17を挟んだ反対側には、他方の第1光源22が配置されている。他方の第1光源22の発光面側には、ハーフミラー91が配置されている。ハーフミラー91は、第1光源22の消灯時に第1光源21からの光を反射し、第1光源22の発光時にその発光した近赤外光NIを透過する。第1光源21側のハーフミラー92も同様の機能を有する。第1光源22がハーフミラー91の支持部材を兼ねるとともに、第1光源21がハーフミラー92の支持部材を兼ねている。第1カメラ31が物品17の透過像を撮像するときは、第1光源21を発光させるが、第1光源22は消灯状態とする。第1光源22が消灯していることで、ハーフミラー91の表面がミラーとして機能する。同様の理由により、第1カメラ32が物品17の透過像を撮像するときは、第1光源22を発光させるが、第1光源21は消灯状態とする。第1光源21が消灯していることで、ハーフミラー92の表面がミラーとして機能する。ハーフミラー91で反射した光のうち近赤外光NIと蛍光FRとが光学フィルタ41を透過することで、第1カメラ31は第1の像Img1を撮像する。また、ハーフミラー92で反射した光のうち近赤外光NIと蛍光FRとが光学フィルタ42を透過することで、第1カメラ32は第1の像Img1を撮像する。ここで、第1光源21,22は、それぞれ光を発光可能な発光部27と、発光部27の表面を覆う発光拡散パネル28とをそれぞれ有する。第1光源21,22は、拡散光を面発光する背景板として機能する。第1光源20とハーフミラー91,92との間に可視光カット部材93を設けることで、外光が第1カメラ31,32に入射することを抑制できる。この構成によれば、撮像位置SPにある物品17を挟んで対向する両側に第1光源21,22が配置されても、物品17を対向する両側から撮像できる。
【0106】
・第1光源20は、物品17をどの方向から照明してもよい。例えば、図21に示すように、容器18の底部18e側に第1光源20を配置し、底部18eから口部18dに向かって近赤外光NIを照射してもよい。第1カメラ30は、容器18を軸線方向に透過した近赤外光NIと、紫外光UVの照射により容器18が自ら発光する蛍光FRとによる容器18の透過像である第1の像Img1を撮像する。
【0107】
・物品17を透過した近赤外光NI(透過光)をミラーで反射させて第1カメラ30が撮像する構成において、第1光源20と第1カメラ30とが物品17に対して同じ側に位置してもよい。
【0108】
図1図3図5において、撮像装置10は第2カメラ35を備えなくてもよい。つまり、第1カメラ30が物品17の蛍光FRを利用して物品17の透過像である第1の像Img1のみを撮像する構成でもよい。
【0109】
・第2カメラ35は、IRカットフィルタ201を有する汎用のカラーカメラであってもよい。この場合、近赤外光NIはIRカットフィルタ201により遮断される。この場合、第2光学フィルタ45は、紫外光UVの波長領域のみに遮断領域を有する分光透過率特性を有してもよい。また、紫外光UVの影響が小さい場合は、第2光学フィルタ45を無くしてもよい。
【0110】
・第1カメラ30の個数は、適宜変更してもよく、3個、5個、6個、7個以上であってもよい。
・第2カメラ35の向きは、光路の経路上において物品17を向いており、かつ第1カメラ30と異なる向きであればよい。
【0111】
・第1カメラ30及び第2カメラ35の他、他の方向から物品17を撮像可能な第3カメラを備えてもよい。この場合、第3カメラは、物品17の透過像を撮像してもよいし、物品17の反射像を撮像してもよい。
【0112】
・前記実施形態では、撮像装置10を検査に適した画像の取得を目的に使用したが、検査以外の所定の処理に適した画像を取得するために使用してもよい。例えば、測定、解析、評価、表現などを目的に適した画像を取得するために撮像装置10を利用してもよい。
【0113】
・前記実施形態及び図20に示す撮像装置10では、光機能部材26として、光(近赤外光NI)を透過する光透過機能を有する光透過部材を有する第1光源20を採用したり、光(近赤外光NI)を反射する光反射機能を有する光反射部材を採用したりした。これに替え、物品17を光が透過する光路上から他方の第1カメラ30又は他方の第1光源20をずらして配置してもよい。例えば、180°点対称に替え、150°の角度にずらす変更をしたり、90°点対称に替え、70°又は110°などの角度にずらす変更をしたりしてもよい。
【0114】
・撮像装置10が出力した画像を検査員が視認して検査する構成でもよい。
・イメージセンサ37を構成するカラーフィルタ38の色数は3色又は4色に限定されず、5色、6色でもよい。このうち少なくとも1色が可視光を透過せず近赤外光NI透過するフィルタ(NIRフィルタ)であってもよい。
【0115】
・被写体である物品17は透明又は半透明な部分を有する透明物品であれば、ペットボトルに限定されない。物品17は、例えば、PET以外の樹脂材料よりなるプラスチックボトルや壜等の容器、食器、カップ、可撓性を有するパック、飲料物、ケース、日常用品、部品、部材、液状の原料などでもよい。さらに、物品17は、置き物、ガラス製品、アクリル製品、鑑賞用の水槽、ビーカ、透明又は半透明の袋の中に、透明又は半透明の収容物が入った物品でもよい。さらに、ゼリー等の食品あるいは加工食品などでもよい。
【0116】
・物品17は、空の容器に限定されず、近赤外光NIを透過可能な液体などの内容物が収容された容器でもよい。この場合、液体は、近赤外光NIを透過可能であれば、可視光に対して半透明又は不透明でもよい。
【0117】
・撮像装置10は、検査以外の用途で使用してもよい。つまり、撮像装置10が物品17を撮像した画像を、検査処理以外の特定の処理に使用してもよい。
・イメージセンサ37を構成するカラーフィルタ38の配列パターンは、RGBベイヤ配列に限らず、ストライプ配列など任意の配列パターンでもよい。
【0118】
・撮像装置10又は撮像システム100,200は、搬送装置50を備えなくてもよい。例えば、作業者が、被写体である物品17を撮像位置SPにある撮影用の載置台に置く構成でもよい。
【符号の説明】
【0119】
10…撮像装置、11…第1撮像装置、12…第2撮像装置、13…第3撮像装置、14…第4撮像装置、17…物品、18…物品の一例としての容器、18a…胴部、18b…首部、18c…ねじ部、18d…口部、18e…底部、18f…上部、18g…下部、20,21~24…第1光源、25…第2光源、26…光機能部材、27…発光部、28…発光拡散パネル、30,31~34…第1カメラ、30a…鏡筒、31A…胴部撮像用カメラ、31B…ねじ部撮像用カメラ、35…第2カメラ、36…レンズ、37…カラーイメージセンサ(イメージセンサ)、37R…R受光素子、37G…G受光素子、37B…B受光素子、38…カラーフィルタ、38R…Rフィルタ、38G…Gフィルタ、38B…Bフィルタ、40,41~44…第1光学フィルタ、45…第2光学フィルタ、50…搬送装置、51…コンベヤ、53…センサ、60…制御処理部、61…制御部、62…信号処理部、70…検査処理部、71…表示部、81…ミラー、85…第1ミラー、86…第2ミラー、87…投影角度調整機構、91,92…ハーフミラー、100,200…撮像システム、300…検査装置、201…赤外光カットフィルタ(IRカットフィルタ)、NI…近赤外光、UV…紫外光、FR…蛍光、MD…搬送方向、LS1…第1光源の発光スペクトル、LS2…第2光源の発光スペクトル、FL…蛍光の発光スペクトル、S1,S2,S3…撮像信号、IS1,IS2…第1画像信号(第1画像)、IS3…第2画像信号(第2画像)、UL…線、FD…蛍光分布、UVA…紫外光波長領域、VA…可視光波長領域、NIRA…近赤外波長領域、B…B感度特性線、F1,F2…光学フィルタの光透過率特性線、Img1…第1の像(透過像)、Img2…第2の像、Img11…第1透過像、Img12…第2透過像。
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