(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158831
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】横ガゼット型パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20241031BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20241031BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D30/16 F
B65D33/38
B65D77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074390
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】勝田 翔大郎
(72)【発明者】
【氏名】大澤 誉史
(72)【発明者】
【氏名】深堀 穂高
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA04
3E064GA04
3E064HE03
3E064HG07
3E064HM03
3E064HN05
3E064HN65
3E064HS04
3E064HS07
3E064HU02
3E067AA03
3E067AB26
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB27
3E067EE12
3E067EE15
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】側方マチフィルムの下端連結部付近におけるデラミの発生を抑制する横ガゼット型パウチを提供すること。
【解決手段】左右両側の側方マチフィルム50の少なくとも一方は、下方側傾斜縁部54bが、内容液収容部21内に内容液を充填した時に、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部54b-1と、折れ曲がり誘導部54b-1の下端と下端連結部53aとを接続する下端側接続部54b-2とを有し、下端側接続部54b-2は、上端連結部53bおよび下端連結部53aを通る中央仮想線L1と折れ曲がり誘導部54b-1によって規定される折れ曲がり仮想線L2とが交差する第1仮想交点P1よりも、下端連結部53aが下方側に位置するように、折れ曲がり誘導部54b-1の下端および下端連結部53aを接続している横ガゼット型パウチ10。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側フィルムと、裏側フィルムと、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの間に配置され、サイドシールによって前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムに熱溶着される左右両側の側方マチフィルムとを備えた横ガゼット型パウチであって、
前記側方マチフィルムは、前記サイドシールにおいて前記表側フィルムに熱溶着される表側シール領域と、前記サイドシールにおいて前記裏側フィルムに熱溶着される裏側シール領域と、前記表側シール領域および前記裏側シール領域の内側の領域である非シール領域とを有し、
前記非シール領域は、前記表側シール領域との境界である表側外縁と、前記裏側シール領域との境界である裏側外縁とを有し、
前記表側外縁および前記裏側外縁は、それぞれ、互いに表裏方向に離間して配置されるベース縁部と、前記ベース縁部の上端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の上端同士を連結する上端連結部まで延びる上方側傾斜縁部と、前記ベース縁部の下端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の下端同士を連結する下端連結部まで延びる下方側傾斜縁部とを有し、
左右両側の前記側方マチフィルムの少なくとも一方は、前記下方側傾斜縁部が、内容液収容部内に内容液を充填した時に、前記側方マチフィルムの折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部と、前記折れ曲がり誘導部の下端と前記下端連結部とを接続する下端側接続部とを有し、
前記下端側接続部は、前記上端連結部および前記下端連結部を通る中央仮想線と前記折れ曲がり誘導部によって規定される折れ曲がり仮想線とが交差する第1仮想交点よりも、前記下端連結部が下方側に位置するように、前記折れ曲がり誘導部の下端および前記下端連結部を接続していることを特徴とする横ガゼット型パウチ。
【請求項2】
前記折れ曲がり誘導部は、下方に向かうに従って前記中央仮想線側に寄るように傾斜した直線部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項3】
前記折れ曲がり誘導部は、前記ベース縁部の下端に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項4】
前記下端側接続部は、前記中央仮想線側に凸状の湾曲部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項5】
前記折れ曲がり仮想線と前記ベース縁部とが交差する第2仮想交点と前記第1仮想交点との間の上下方向距離をH1、前記第1仮想交点と前記下端連結部との間の上下方向距離をH2と規定した場合、
前記下端側接続部は、H2/H1が0.1以上になるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項6】
前記側方マチフィルムは、前記中央仮想線に沿って前記側方マチフィルムをパウチ内側に向けて凸状に折り曲げた中央折り曲がり加工部を有していることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項7】
前記側方マチフィルムに装着されるスパウトを更に備え、
前記スパウトは、前記側方マチフィルムのうち、前記表側外縁の前記下方側傾斜縁部および前記裏側外縁の前記下方側傾斜縁部の間の領域以外の領域に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項8】
前記下端連結部は、前記内容液収容部内に内容液を充填しパウチ本体を膨らませた状態で、パウチ底部に位置する部位であることを特徴とする請求項1に記載の横ガゼット型パウチ。
【請求項9】
表側フィルムと、裏側フィルムと、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの間に配置され、サイドシールによって前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムに熱溶着される左右両側の側方マチフィルムとを備えた横ガゼット型パウチであって、
前記側方マチフィルムは、前記サイドシールにおいて前記表側フィルムに熱溶着される表側シール領域と、前記サイドシールにおいて前記裏側フィルムに熱溶着される裏側シール領域と、前記表側シール領域および前記裏側シール領域の内側の領域である非シール領域とを有し、
前記非シール領域は、前記表側シール領域との境界である表側外縁と、前記裏側シール領域との境界である裏側外縁とを有し、
前記表側外縁および前記裏側外縁は、それぞれ、互いに表裏方向に離間して配置されるベース縁部と、前記ベース縁部の上端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の上端同士を連結する上端連結部まで延びる上方側傾斜縁部と、前記ベース縁部の下端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の下端同士を連結する下端連結部まで延びる下方側傾斜縁部とを有し、
左右両側の前記側方マチフィルムの少なくとも一方は、前記上方側傾斜縁部が、内容液収容部内に内容液を充填した時に、前記側方マチフィルムの折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部と、前記折れ曲がり誘導部の上端と前記上端連結部とを接続する上端側接続部とを有し、
前記上端側接続部は、前記上端連結部および前記下端連結部を通る中央仮想線と前記折れ曲がり誘導部によって規定される折れ曲がり仮想線とが交差する第3仮想交点よりも、前記上端連結部が上方側に位置するように、前記折れ曲がり誘導部の上端および前記上端連結部を接続していることを特徴とする横ガゼット型パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右両側のパウチ側部に配置される側方マチフィルムを備えた横ガゼット型パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、飲料水や液体洗剤等の内容液を収容する容器として、特許文献1において、サイドシールによって表側フィルムおよび裏側フィルムに熱溶着される左右両側の側方マチフィルムを備えた横ガゼット型パウチを提案している。
【0003】
この特許文献1に開示される横ガゼット型パウチの側方マチフィルムは、表側フィルムに熱溶着される表側シール領域と、裏側フィルムに熱溶着される裏側シール領域と、表側シール領域および裏側シール領域の内側の領域である非シール領域とを有し、非シール領域は、表側シール領域との境界である表側外縁の下端と裏側シール領域との境界である裏側外縁の下端とを連結する下端連結部を有している。
当該下端連結部は、内容液収容部内に内容液を充填しパウチ本体を膨らませた状態で、パウチ底部に位置する部位になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示される横ガゼット型パウチでは、内容液が充填された状態で横ガゼット型パウチに圧力が掛かった時に、側方マチフィルムの下端連結部付近において、熱溶着されたフィルム間が剥がれる所謂デラミが発生することが確認された。このようなデラミが発生すると、上記のフィルム間のシールに破れが生じ、内容液の漏洩に至るおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、内容液収容部内に内容液を充填しパウチ本体を膨らませた状態でパウチ底部に位置する部位になる、側方マチフィルムの下端連結部付近におけるデラミの発生を抑制する横ガゼット型パウチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、表側フィルムと、裏側フィルムと、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの間に配置され、サイドシールによって前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムに熱溶着される左右両側の側方マチフィルムとを備えた横ガゼット型パウチであって、前記側方マチフィルムは、前記サイドシールにおいて前記表側フィルムに熱溶着される表側シール領域と、前記サイドシールにおいて前記裏側フィルムに熱溶着される裏側シール領域と、前記表側シール領域および前記裏側シール領域の内側の領域である非シール領域とを有し、前記非シール領域は、前記表側シール領域との境界である表側外縁と、前記裏側シール領域との境界である裏側外縁とを有し、前記表側外縁および前記裏側外縁は、それぞれ、互いに表裏方向に離間して配置されるベース縁部と、前記ベース縁部の上端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の上端同士を連結する上端連結部まで延びる上方側傾斜縁部と、前記ベース縁部の下端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の下端同士を連結する下端連結部まで延びる下方側傾斜縁部とを有し、左右両側の前記側方マチフィルムの少なくとも一方は、前記下方側傾斜縁部が、内容液収容部内に内容液を充填した時に、前記側方マチフィルムの折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部と、前記折れ曲がり誘導部の下端と前記下端連結部とを接続する下端側接続部とを有し、前記下端側接続部は、前記上端連結部および前記下端連結部を通る中央仮想線と前記折れ曲がり誘導部によって規定される折れ曲がり仮想線とが交差する第1仮想交点よりも、前記下端連結部が下方側に位置するように、前記折れ曲がり誘導部の下端および前記下端連結部を接続していることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の他の態様は、表側フィルムと、裏側フィルムと、前記表側フィルムと前記裏側フィルムとの間に配置され、サイドシールによって前記表側フィルムおよび前記裏側フィルムに熱溶着される左右両側の側方マチフィルムとを備えた横ガゼット型パウチであって、前記側方マチフィルムは、前記サイドシールにおいて前記表側フィルムに熱溶着される表側シール領域と、前記サイドシールにおいて前記裏側フィルムに熱溶着される裏側シール領域と、前記表側シール領域および前記裏側シール領域の内側の領域である非シール領域とを有し、前記非シール領域は、前記表側シール領域との境界である表側外縁と、前記裏側シール領域との境界である裏側外縁とを有し、前記表側外縁および前記裏側外縁は、それぞれ、互いに表裏方向に離間して配置されるベース縁部と、前記ベース縁部の上端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の上端同士を連結する上端連結部まで延びる上方側傾斜縁部と、前記ベース縁部の下端から、前記表側外縁および前記裏側外縁の下端同士を連結する下端連結部まで延びる下方側傾斜縁部とを有し、左右両側の前記側方マチフィルムの少なくとも一方は、前記上方側傾斜縁部が、内容液収容部内に内容液を充填した時に、前記側方マチフィルムの折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部と、前記折れ曲がり誘導部の上端と前記上端連結部とを接続する上端側接続部とを有し、前記上端側接続部は、前記上端連結部および前記下端連結部を通る中央仮想線と前記折れ曲がり誘導部によって規定される折れ曲がり仮想線とが交差する第3仮想交点よりも、前記上端連結部が上方側に位置するように、前記折れ曲がり誘導部の上端および前記上端連結部を接続していることにより、前記課題を解決するものである。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記折れ曲がり誘導部は、下方に向かうに従って前記中央仮想線側に寄るように傾斜した直線部として形成されていてもよい(または、前記折れ曲がり誘導部は、上方に向かうに従って前記中央仮想線側に寄るように傾斜した直線部として形成されていてもよい)。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記折れ曲がり誘導部は、前記ベース縁部の下端に連続して形成されていてもよい(または、前記折れ曲がり誘導部は、前記ベース縁部の上端に連続して形成されていてもよい)。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記下端側接続部は、前記中央仮想線側に凸状の湾曲部として形成されていてもよい(または、前記上端側接続部は、前記中央仮想線側に凸状の湾曲部として形成されていてもよい)。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記折れ曲がり仮想線と前記ベース縁部とが交差する第2仮想交点と前記第1仮想交点との間の上下方向距離をH1、前記第1仮想交点と前記下端連結部との間の上下方向距離をH2と規定した場合、前記下端側接続部は、H2/H1が0.1以上になるように形成されていてもよい(または、前記折れ曲がり仮想線と前記ベース縁部とが交差する第4仮想交点と前記第3仮想交点との間の上下方向距離をH3、前記第3仮想交点と前記上端連結部との間の上下方向距離をH4と規定した場合、前記下端側接続部は、H4/H3が0.1以上になるように形成されていてもよい)。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記側方マチフィルムは、前記中央仮想線に沿って前記側方マチフィルムをパウチ内側に向けて凸状に折り曲げた中央折り曲がり加工部を有していてもよい。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記側方マチフィルムに装着されるスパウトを更に備え、前記スパウトは、前記側方マチフィルムのうち、前記表側外縁の前記下方側傾斜縁部および前記裏側外縁の前記下方側傾斜縁部の間の領域以外の領域に装着されていてもよい(または、前記スパウトは、前記側方マチフィルムのうち、前記表側外縁の前記上方側傾斜縁部および前記裏側外縁の前記上方側傾斜縁部の間の領域以外の領域に装着されていてもよい)。
上記のいずれかの横ガゼット型パウチでは、前記下端連結部は、前記内容液収容部内に内容液を充填しパウチ本体を膨らませた状態で、パウチ底部に位置する部位であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、内容液収容部内に内容液を充填しパウチ本体を膨らませた状態でパウチ底部に位置する部位になる、側方マチフィルムの下端連結部付近におけるデラミの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る横ガゼット型パウチを載置面上に置いた状態を示す説明図。
【
図2】横ガゼット型パウチを構成する各フィルムを示す説明図。
【
図4】側方マチフィルムの一方の下側部分を示す説明図。
【
図5】側方マチフィルムの一方の上側部分を示す説明図。
【
図7】側方マチフィルムの他方の下側部分を示す説明図。
【
図8】側方マチフィルムの他方の上側部分を示す説明図。
【
図9】横ガゼット型パウチを載置面上に置いた状態を概略的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態である横ガゼット型パウチ10について、図面に基づいて説明する。
【0011】
横ガゼット型パウチ10は、飲料水や液体洗剤等の内容液を収容するものであり、
図1に示すように、左右方向Zにおける左右両側のパウチ側部にマチ部が形成されたパウチとして構成され、パウチ本体20の側部に装着されたスパウト70から内容液を注出するように構成されたものである。
【0012】
横ガゼット型パウチ10は、
図1に示すように、可撓性を有したフィルム30、40、50、60を熱溶着して製袋用シール部を形成することで袋状に形成されたパウチ本体20と、パウチ本体20内に配置される内側フィルム60と、パウチ本体20に装着されたスパウト70とを有している。
【0013】
パウチ本体20は、
図1や
図2に示すように、内容液収容部21を挟んで表裏方向Xに対向して配置される表側フィルム30および裏側フィルム40と、左右方向Zにおけるパウチ側部の両側において表側フィルム30および裏側フィルム40の間に配置され、サイドシール22によって表側フィルム30および裏側フィルム40に熱溶着される左右両側の側方マチフィルム50とを有している。
【0014】
各フィルム30、40、50、60は、少なくともその片面に熱溶着層を有した樹脂フィルムとして形成され、互いに熱溶着される箇所において、熱溶着層同士を対向させるように配置されている。
なお、
図2等では、各フィルム30、40、50、60の各熱溶着領域を塗り潰しで表した。
【0015】
パウチ本体20は、
図1や
図2に示すように、側方マチフィルム50の横方向の両側をフィルム30、40に熱溶着したサイドシール22と、内容液収容部21を挟んでボトムシール24に対向するパウチ本体20の頂部に対応する位置で、フィルム30、40、60を熱溶着したトップシール23と、パウチ本体20のパウチ底部20aに対応する位置で、フィルム30、40、60を熱溶着したボトムシール24と、フィルム30、40と内側フィルム60とを熱溶着した中間シール25とを有している。これらシール22~25は、製袋用シール部を構成する。
【0016】
また、マチ部を形成したパウチ本体20の側部における所定箇所(例えば
図1に示すA箇所)では、側方マチフィルム50を部分的に除去した箇所が形成され、フィルム30、40間が熱溶着されている。これにより、上記所定箇所(例えば
図1に示すA箇所)においてフィルム30、40間が離れることが阻止される。
【0017】
側方マチフィルム50は、
図3や
図6に示すように、サイドシール22において表側フィルム30に熱溶着される表側シール領域51と、サイドシール22において裏側フィルム40に熱溶着される裏側シール領域52と、表側シール領域51および裏側シール領域52の内側の領域である非シール領域53とを有している。
【0018】
非シール領域53は、
図3や
図6に示すように、表側シール領域51との境界である表側外縁54と、裏側シール領域52との境界である裏側外縁55とを有している。
【0019】
表側外縁54および裏側外縁55は、
図3や
図6に示すように、互いに表裏方向Xに離間して配置されるベース縁部54a、55aと、ベース縁部54a、55aの下端から表側外縁54および裏側外縁55の下端同士を連結する下端連結部53aまで延びる下方側傾斜縁部54b、55bと、ベース縁部54a、55aの上端から表側外縁54および裏側外縁55の上端同士を連結する上端連結部53bまで延びる上方側傾斜縁部54c、55cとをそれぞれ有している。
【0020】
ベース縁部54a、55aは、
図3や
図6に示すように、上下方向Yに沿って直線状に延びるように形成されている。なお、ベース縁部54a、55aを直線以外の態様で形成してもよい。
【0021】
下方側傾斜縁部54b、55bは、
図3や
図6に示すように、その全体として、下方に向かうに従って表裏方向Xの内側に寄るように上下方向Yに傾斜して延びる部位である。
【0022】
下方側傾斜縁部54b、55bは、
図4や
図7に示すように、内容液収容部21内に内容液を充填した時に、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1と、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の下端と下端連結部53aとを接続する下端側接続部54b-2、55b-2とを有している。
【0023】
折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1は、内容液収容部21内に内容液を充填した時、すなわち、表裏方向Xにおいて表側フィルム30と裏側フィルム40とが離れるようにパウチ本体20を膨らませた時に、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導する部位である。
この折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1によって、内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた状態で、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1によって規定される折れ曲がり仮想線L2において、側方マチフィルム50に折れ曲がりを生じるように誘導する。
【0024】
折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1は、本実施形態では、
図4や
図7に示すように、ベース縁部54a、55aの下端に連続して形成され、下方に向かうに従って中央仮想線L1側(すなわち、側方マチフィルム50の表裏方向Xの中央を下端連結部53aおよび上端連結部53bを通って上下方向Yに沿って直線状に延びる中央仮想線L1側)に寄るように(本実施形態では45°の傾斜角度で)傾斜した直線部として形成されている。
このように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1を直線部として形成した場合、折れ曲がり仮想線L2は、
図4や
図7に示すように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1を延長させた仮想線になる。
ここで、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1を直線部として形成する場合、側方マチフィルム50の折れ曲がりを良好に誘導するために、
図4や
図7に示すように、表裏方向Xにおける折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の幅寸法W1が、表裏方向Xにおける中央仮想線L1からベース縁部54a、55aまでの幅寸法Wの20%以上になるように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1を形成するのが好ましい。
【0025】
なお、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の具体的態様は、直線部として形成されたものに限定されず、例えば、中央仮想線L1側に凸状の湾曲部として形成されたもの等、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導可能なものであれば、如何なるものでもよい。
また、本実施形態では、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1が、ベース縁部54a、55aの下端に連続して形成されているが、ベース縁部54a、55aと折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1との間に(湾曲部や直線部から成る)他の部位を介在させてもよい。
【0026】
下端側接続部54b-2、55b-2は、
図4や
図7に示すように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の下端と下端連結部53aとを接続する部位であり、中央仮想線L1と折れ曲がり仮想線L2とが交差する第1仮想交点P1よりも、下端連結部53aが下方側に位置するように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の下端と下端連結部53aとを接続している。
【0027】
本実施形態では、下端側接続部54b-2、55b-2は、
図4や
図7に示すように、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1の下端と下端連結部53aとを滑らかに接続する(すなわち、折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1との間の連結箇所に角が形成されないように接続する)、中央仮想線L1(表裏方向Xの内側)側に凸状の湾曲部として形成されている。
このように、下端側接続部54b-2、55b-2を凸状の湾曲部に形成することで、下方側傾斜縁部54b、55bの特定箇所に内容液から受ける負荷が集中してしまうことを抑制しつつ、内容液から受ける負荷を下端側接続部54b-2、55b-2でも良好に受けることができる。
また、下端側接続部54b-2、55b-2全体は、
図4や
図7に示すように、折れ曲がり仮想線L2よりも表裏方向Xの外側に位置している。
【0028】
なお、本実施形態では、下端側接続部54b-2、55b-2が、上述したように凸状の湾曲部として形成されているが、下端側接続部54b-2、55b-2の具体的態様は、これに限定されず、直線部として形成したものや、1つ以上の直線部や1つ以上の湾曲部を組み合わせて形成したもの等、如何なるものでもよい。
【0029】
上方側傾斜縁部54c、55cは、
図3や
図6に示すように、その全体として、上方に向かうに従って表裏方向Xの内側に寄るように上下方向Yに傾斜して延びる部位である。
【0030】
上方側傾斜縁部54c、55cは、
図5や
図8に示すように、内容液収容部21内に内容液を充填した時に、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導する折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1と、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の上端と上端連結部53bとを接続する上端側接続部54c-2、55c-2とを有している。
【0031】
折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1は、内容液収容部21内に内容液を充填した時、すなわち、表裏方向Xにおいて表側フィルム30と裏側フィルム40とが離れるようにパウチ本体20を膨らませた時に、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導する部位である。
この折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1によって、内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた状態で、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1によって規定される折れ曲がり仮想線L3において、側方マチフィルム50に折れ曲がりを生じるように誘導する。
【0032】
本実施形態では、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1は、
図5や
図8に示すように、ベース縁部54a、55aの上端に連続して形成され、上方に向かうに従って中央仮想線L1側(表裏方向Xの内側)に寄るように(本実施形態では45°の傾斜角度で)傾斜した直線部として形成されている。
このように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1を直線部として形成した場合、折れ曲がり仮想線L3は、
図5や
図8に示すように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1を延長させた仮想線になる。
ここで、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1を直線部として形成する場合、側方マチフィルム50の折れ曲がりを良好に誘導するために、
図5や
図8に示すように、表裏方向Xにおける折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の幅寸法W2が、表裏方向Xにおける中央仮想線L1からベース縁部54a、55aまでの幅寸法Wの20%以上になるように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1を形成するのが好ましい。
【0033】
なお、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の具体的態様は、直線部として形成されたものに限定されず、例えば、中央仮想線L1側に凸状の湾曲部として形成されたもの等、側方マチフィルム50の折れ曲がりを誘導可能なものであれば、如何なるものでもよい。
また、本実施形態では、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1が、ベース縁部54a、55aの上端に連続して形成されているが、ベース縁部54a、55aと折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1との間に(湾曲部や直線部から成る)他の部位を介在させてもよい。
【0034】
上端側接続部54c-2、55c-2は、
図5や
図8に示すように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の上端と上端連結部53bとを接続する部位であり、中央仮想線L1と折れ曲がり仮想線L3とが交差する第3仮想交点P3よりも、上端連結部53bが上方側に位置するように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の上端と上端連結部53bとを接続している。
【0035】
本実施形態では、上端側接続部54c-2、55c-2は、
図5や
図8に示すように、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1の上端と上端連結部53bとを滑らかに接続する(すなわち、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1との間の連結箇所に角が形成されないように接続する)、中央仮想線L1(表裏方向Xの内側)側に凸状の湾曲部として形成されている。
このように、上端側接続部54c-2、55c-2を凸状の湾曲部に形成することで、上方側傾斜縁部54c、55cの特定箇所に内容液から受ける負荷が集中してしまうことを抑制しつつ、内容液から受ける負荷を上端側接続部54c-2、55c-2でも良好に受けることができる。
また、上端側接続部54c-2、55c-2全体は、
図5や
図8に示すように、折れ曲がり仮想線L3よりも表裏方向Xの外側に位置している。
【0036】
なお、本実施形態では、上端側接続部54c-2、55c-2が、上述したように凸状の湾曲部として形成されているが、上端側接続部54c-2、55c-2の具体的態様は、これに限定されず、直線部として形成したものや、1つ以上の直線部や1つ以上の湾曲部を組み合わせて形成したもの等、如何なるものでもよい。
【0037】
側方マチフィルム50は、中央仮想線L1を基準として線対称(左右対称)に形成され、言い替えると、表側外縁54および裏側外縁55は、中央仮想線L1を基準として線対称(左右対称)に形成されている。
【0038】
また、側方マチフィルム50の一方は、
図2や
図3に示すように、フィルム厚み方向に貫通して形成された、スパウト70の注出筒部を挿通させるための円形状のスパウト用貫通孔56を有している。
【0039】
左右両側の側方マチフィルム50は、
図3や
図6に示すように、中央仮想線L1に沿って側方マチフィルム50をパウチ内側に向けて凸状に折り曲げた(折り曲げ加工を施された)中央折り曲がり加工部57を有している。
【0040】
内側フィルム60は、少なくともその片面に熱溶着層を有した矩形状(またはほぼ矩形状)かつ可撓性の樹脂フィルムとして形成され、
図1や
図2から分かるように、2つ折りに折り曲げられた状態でパウチ本体20(内容液収容部21)内に配置され、その所定箇所がフィルム30、40に熱溶着されている。
内側フィルム60には、
図2に示すように、フィルム厚み方向に貫通する孔状に形成された複数のフィルム貫通部が形成されている。
【0041】
スパウト70は、合成樹脂等から形成され、パウチ本体20に装着されて内容液の注出口として機能するものである。
スパウト70は、側方マチフィルム50にその一部分(本実施形態では、フランジ部)が熱溶着されることで、左右両側の側方マチフィルム50の一方に装着されている。
【0042】
本実施形態では、スパウト70は、
図3に示すように、左右両側の側方マチフィルム50の一方の、ベース縁部54a、55a間の領域に装着されており、言い換えると、スパウト70は、側方マチフィルム50のうち、表側外縁54の下方側傾斜縁部54bおよび裏側外縁55の下方側傾斜縁部55bの間の領域以外の領域に装着されており、また、スパウト70は、側方マチフィルム50のうち、表側外縁54の上方側傾斜縁部54cおよび裏側外縁55の上方側傾斜縁部55cの間の領域以外の領域に装着されている。
【0043】
また、横ガゼット型パウチ10の頂部側の製袋用シール部においてフィルム30、40、60が重なった部位(トップシール23)には、
図1や
図2に示すように、フィルム30、40、60が重なった部位を貫通して形成された、使用者が手や指を通して横ガゼット型パウチ10を持つための把手孔26が形成されている。
なお、
図2においては、技術理解の便宜上、各フィルム30、40、60間を熱溶着していない状態で、把手孔26が形成されているものとして図示したが、本実施形態においては、各フィルム30、40、60間を熱溶着した後に、所定箇所に打ち抜き加工を施すことで把手孔26を形成する。
【0044】
このようにして得られた本実施形態の横ガゼット型パウチ10では、
図4や
図7に示すように、中央仮想線L1と折れ曲がり仮想線L2とが交差する第1仮想交点P1よりも、下端連結部53aが下方側に位置するように、下端側接続部54b-2、55b-2が形成されている。これにより、内容液が充填された横ガゼット型パウチ10を複数積み上げた場合等、内容液が充填された横ガゼット型パウチ10に対して圧力が掛かった場合であっても、下端連結部53a付近においてデラミ(すなわち、熱溶着されたフィルム30、40、50間の剥がれ)が生じることを抑制し、当該デラミに起因した内容液の漏洩を回避できる。
【0045】
すなわち、内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた時には、側方マチフィルム50の大部分(後述する領域R1、R2以外の部分)については、パウチ本体20の膨らみに伴ってパウチ外側に向けて移動するが、本実施形態の横ガゼット型パウチ10では、
図4や
図7に示すように、下端連結部53aが第1仮想交点P1よりも下方側(すなわち、折れ曲がり仮想線L2よりも外側)に位置するように、下端側接続部54b-2、55b-2を形成することにより、内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた状態でも、側方マチフィルム50のうち折れ曲がり仮想線L2よりも外側(下側)に位置する下端連結部53a付近の領域R1が、パウチ本体20の膨らみに伴って外側に移動することが抑制される(言い換えると、領域R1が奥まった場所に位置することが維持される)ため、上記圧力に起因した負荷が下端連結部53aに集中して掛かることを回避することができ、下端連結部53a付近におけるデラミの発生を抑制できる。
【0046】
また、上述した側方マチフィルム50の領域R1は、中央仮想線L1付近でパウチ内側に凸状となるように折れ曲がった状態になる部位であり、仮に、このような領域R1がパウチ本体20の膨らみに伴ってパウチ外側に向かって凸状になるようにフィルム状態が変化しようとすると、下端連結部53a付近に負担が掛かることになるが、本実施形態の横ガゼット型パウチ10では、上述したように、側方マチフィルム50の領域R1がパウチ本体20の膨らみに伴って外側に移動することを抑制することが可能であるため、この点でも、側方マチフィルム50の下端連結部53a付近に過度な負荷が掛かることを防止して、下端連結部53a付近におけるデラミの発生を抑制できる。
【0047】
また、本実施形態の横ガゼット型パウチ10では、
図5や
図8に示すように、中央仮想線L1と折れ曲がり仮想線L3とが交差する第3仮想交点P3よりも、上端連結部53bが上方側に位置するように、上端側接続部54c-2、55c-2が形成されている。内容液が充填された横ガゼット型パウチ10に対して圧力が掛かった場合であっても、上端連結部53b付近においてデラミが生じることを抑制し、当該デラミに起因した内容液の漏洩を回避できる。
【0048】
ここで、上端連結部53b付近におけるデラミ発生の抑制メカニズムについては、上述した下端連結部53a付近におけるデラミ発生の抑制メカニズムと同様であるため、その具体的な説明を省略する。
なお、
図5や
図8に示す領域R2は、側方マチフィルム50のうち折れ曲がり仮想線L3よりも外側(上側)に位置する上端連結部53b付近の領域である。
【0049】
なお、
図1や
図9に示すように、上述した内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた状態では、側方マチフィルム50の大部分がパウチ本体20の膨らみに伴ってパウチ外側に向けて移動し、
図3、6、9から分かるように、側方マチフィルム50のベース縁部54a、55aの下端間の第4仮想線L4および上端間の第5仮想線L5付近がパウチ外側に向けて凸状に折り曲がることになる。
【0050】
また、
図1や
図9から分かるように、側方マチフィルム50のうち、下方側傾斜縁部54b、55bの間の領域は、内容液収容部21内に内容液を充填しパウチ本体20を膨らませた状態で、横ガゼット型パウチ10を使用や陳列等する時に、載置面上に置かれるパウチ底部20aを構成する部位になる。
また、これに伴い、下端連結部53aは、パウチ底部20aに位置する部位になる。
【0051】
次に、本出願人は、下端側接続部54b-2、55b-2の形成による下端連結部53a付近におけるデラミ発生の防止効果を確認するために、下記の上下方向距離H1に対する上下方向距離H2の割合を様々に変える試験を行った。
【0052】
まず、
図4や
図7に示すように、上下方向距離H1は、折れ曲がり仮想線L2とベース縁部54a、55aとが交差する第2仮想交点P2と第1仮想交点P1との間の上下方向距離であり、上下方向距離H2は、第1仮想交点P1と下端連結部53aとの間の上下方向距離である。
【0053】
本試験では、内容液(水)を充填して膨らませた状態の、H2/H1=0(すなわち、H2=0)となるパウチ、H2/H1=0.10となるパウチ、H2/H1=0.14となるパウチ、H2/H1=0.20となるパウチを用意して、各内容液入りのパウチに圧力を掛けた後、下端連結部53a付近においてデラミが発生しているか否かをパウチ外部からの目視で確認するとともに、目視での確認後に、フィルムをカットする等の手法によってパウチを分解して上記デラミが発生しているか否か確認した。
【0054】
また、本試験では、
図1に示すものと同様の態様から成るパウチを用いた。
また、本試験では、パウチを構成する表側フィルム、裏側フィルム、側方マチフィルムとして、下記のフィルム1を用いて成るパウチ、および、表側フィルム、裏側フィルム、側方マチフィルムとして、下記の透明なフィルム2を用いて成るパウチを用いた。
フィルム1:外層側から順に、厚み12μmのPET、外層側にアルミ蒸着層が形成された厚み12mのPET、厚み15μmのナイロン、厚み150μmのLLDPE(低密度ポリエチレン)を積層して成るフィルム
フィルム2:外層側から順に、厚み12μmのPET、厚み15μmのナイロン、厚み150μmのLLDPE(低密度ポリエチレン)を積層して成るフィルム
なお、試験体として用いた、フィルム1を用いて成るパウチおよびフィルム2を用いて成るパウチの数量は、それぞれ16個である。
【0055】
その結果、以下に示す試験結果から分かるように、下端側接続部54b-2、55b-2を、H2/H1が0.1以上になるように形成するのが好ましく、また、H2/H1が0.2以上になるように形成するのが更に好ましいことが分かった。
なお、上記のフィルム1を用いて成るパウチ、および、上記のフィルム2を用いて成るパウチのいずれでも、同様の結果が得られた。
H2/H1=0 :×
H2/H1=0.10:○
H2/H1=0.14:○
H2/H1=0.20:◎
【0056】
具体的には、H2/H1=0となるパウチについては、幾つかの試験体について、パウチ外部からの目視によって、下端連結部53a付近においてデラミが確認された。
また、H2/H1=0.10となるパウチ、H2/H1=0.14となるパウチについては、全ての試験体について、パウチ外部からの目視によって下端連結部53a付近におけるデラミが確認されず、また、幾つかの試験体について、パウチ分解によって内容液の漏洩に至らない程度の軽微なデラミが発生していることが確認された。
また、H2/H1=0.20となるパウチについては、全ての試験体について、パウチ外部からの目視によって下端連結部53a付近におけるデラミが確認されず、また、全ての試験体について、パウチ分解によってもデラミが確認されなかった。
【0057】
また、上記の試験結果から、同様に、上端側接続部54c-2、55c-2を、H4/H3が0.1以上になるように形成するのが好ましく、また、H4/H3が0.2以上になるように形成するのが更に好ましいことが分かる。
なお、
図5や
図8に示すように、上下方向距離H3は、折れ曲がり仮想線L3とベース縁部54a、55aとが交差する第4仮想交点P4と第3仮想交点P3との間の上下方向距離であり、上下方向距離H4は、第3仮想交点P3と上端連結部53bとの間の上下方向距離である。
【0058】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。また、上述した実施形態や後述する変形例の各構成を、任意に組み合わせて横ガゼット型パウチ10を構成しても何ら構わない。
【0059】
例えば、横ガゼット型パウチ10を、その使用時や陳列時や運搬時に、外装ケース(図示しない)内に収容して運用してもよく、また、外装ケース(図示しない)内に収容することなく、横ガゼット型パウチ10そのものを使用し、又は陳列や運搬を行ってもよい。
【0060】
また、各フィルム30、40、50、60の具体的態様については、低密度ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系やPET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系等の熱溶着性を有する層を少なくとも片面に有するものであれば、熱溶着層の単膜又は熱溶着層に任意の層を積層してもよい。積層を構成する素材は如何なるものでもよく、公知のPETやPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、アルミ箔等を積層することで任意に形成すればよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、パウチ本体20が、フィルム30、40、50の4枚のフィルムから形成されているものとして説明したが、パウチ本体20を構成するフィルムの枚数等の、パウチ本体20の具体的態様は、上記に限定されない。
また、内側フィルム60については設けなくてもよい。
また、上述した実施形態では、横ガゼット型パウチ10が容量2~5Lの大容量パウチとして構成され、また、スパウト70についても、フランジ81の外径が50~70mmの大型スパウトとして構成されているが、横ガゼット型パウチ10やスパウト70の大きさは、これに限定されず、実施形態に応じて任意に設定すればよい。
また、上述した実施形態では、横ガゼット型パウチ10がスパウト70を備えているものとして説明したが、スパウト70を設けなくてもよい。
また、側方マチフィルム50にスパウト70を装着する場合、上述した実施形態では、ベース縁部54a、55a間の領域にスパウト70を装着するものとして説明したが、上方側傾斜縁部54c、55cの間の領域にスパウト70を装着してもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、表側外縁54および裏側外縁55が、中央仮想線L1を基準として線対称(左右対称)に形成されているものとして説明したが、表側外縁54および裏側外縁55が左右非対称に形成されてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、左右両側の側方マチフィルム50の両方において、下方側傾斜縁部54b、55bに折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1および下端側接続部54b-2、55b-2が形成されているものとして説明したが、左右両側の側方マチフィルム50の一方のみにおいて、下方側傾斜縁部54b、55bに折れ曲がり誘導部54b-1、55b-1および下端側接続部54b-2、55b-2を形成してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、左右両側の側方マチフィルム50の両方において、上方側傾斜縁部54c、55cに折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1および上端側接続部54c-2、55c-2が形成されているものとして説明したが、左右両側の側方マチフィルム50の両方において、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1および上端側接続部54c-2、55c-2を形成しなくてもよく、また、左右両側の側方マチフィルム50の一方のみにおいて、折れ曲がり誘導部54c-1、55c-1および上端側接続部54c-2、55c-2を形成してもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、側方マチフィルム50に中央折り曲がり加工部57が形成されているものとして説明したが、(側方マチフィルム50の少なくとも一方において、)中央折り曲がり加工部57を形成しなくてもよく、すなわち、側方マチフィルム50に折り曲げ加工を施さなくてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、左右の側方マチフィルム50間で、外縁54、55の態様や幅寸法W等が同じであるものとして説明したが、左右の側方マチフィルム50間で、外縁54、55の態様や幅寸法W等が異なるようにしてもよい。
【0067】
なお、本明細書内では、「頂部」「底部」「側部」等の上下を示す用語を使用しているが、これら用語は、陳列時や運搬時等における横ガゼット型パウチ10の設置の向きを限定するものではなく、例えば、陳列時や運搬時等に、横ガゼット型パウチ10の側部や頂部を下にして載置面上に横ガゼット型パウチ10を設置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 ・・・ 横ガゼット型パウチ
20 ・・・ パウチ本体
20a ・・・ パウチ底部
21 ・・・ 内容液収容部
22 ・・・ サイドシール
23 ・・・ トップシール
24 ・・・ ボトムシール
25 ・・・ 中間シール
26 ・・・ 把手孔
30 ・・・ 表側フィルム
40 ・・・ 裏側フィルム
50 ・・・ 側方マチフィルム
51 ・・・ 表側シール領域
52 ・・・ 裏側シール領域
53 ・・・ 非シール領域
53a ・・・ 下端連結部
53b ・・・ 上端連結部
54 ・・・ 表側外縁
54a ・・・ ベース縁部
54b ・・・ 下方側傾斜縁部
54b-1 ・・・ 折れ曲がり誘導部
54b-2 ・・・ 下端側接続部
54c ・・・ 上方側傾斜縁部
54c-1 ・・・ 折れ曲がり誘導部
54c-2 ・・・ 下端側接続部
55 ・・・ 裏側外縁
55a ・・・ ベース縁部
55b ・・・ 下方側傾斜縁部
55b-1 ・・・ 折れ曲がり誘導部
55b-2 ・・・ 下端側接続部
55c ・・・ 上方側傾斜縁部
55c-1 ・・・ 折れ曲がり誘導部
55c-2 ・・・ 下端側接続部
56 ・・・ スパウト用貫通孔
57 ・・・ 中央折り曲がり加工部
60 ・・・ 内側フィルム
70 ・・・ スパウト
L1 ・・・ 中央仮想線
L2 ・・・ 折れ曲がり仮想線
L3 ・・・ 折れ曲がり仮想線
L4 ・・・ 第4仮想線
L5 ・・・ 第5仮想線
P1 ・・・ 第1仮想交点
P2 ・・・ 第2仮想交点
P3 ・・・ 第3仮想交点
P4 ・・・ 第4仮想交点
X ・・・ 表裏方向
Y ・・・ 上下方向
Z ・・・ 左右方向