(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158844
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発光モジュール、発光モジュールユニット、及び発光装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074408
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】菊地 篤志
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC12
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】LEDモジュールの配置関係に因らず、各LEDモジュールに対してアドレスを自由に設定できるようにする。
【解決手段】LEDモジュール1が、第一データイン端子12に対する入力を全般的に受け付ける動作モード(電源投入後のコマンド待機状態等)にあり、且つ、アドレス登録コマンドが第一データイン端子に入力された場合に、コントローラ20は、動作モードを、第一データイン端子に対する特定のコマンドの入力以外の入力を破棄し、第二データイン端子13に対するデータの入力を受け付ける第二の動作モードに切り替えると共に、第二の動作モードにおいて、複数のアドレスを含むアドレスデータを第二データイン端子を介して受け付けた場合に、コントローラはアドレスデータから自LEDモジュールに設定するべきアドレスを切り出してメモリ22のアドレス格納領域内に格納し、アドレスデータの残部をデータアウト端子14から出力する
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光素子と、コントローラと、を備えた発光モジュールであって、
前記コントローラは、前記発光素子を含む各部の動作を制御する制御部と、データを格納するメモリと、前記発光素子を駆動する駆動部と、を備え、
前記発光モジュールは、外部からデータが入力される第一及び第二データイン端子と、外部へデータを出力するデータアウト端子と、を備え、
前記第一データイン端子に対する入力を全般的に受け付ける動作モードにあり、且つ、アドレス登録コマンドが前記第一データイン端子に入力された場合に、前記コントローラは、動作モードを、前記第一データイン端子に対する特定のコマンドの入力以外の入力を破棄し、前記第二データイン端子に対するデータの入力を受け付ける第二の動作モードに切り替えると共に、
前記第二の動作モードにおいて、複数のアドレスを含むアドレスデータを前記第二データイン端子を介して受け付けた場合に、前記コントローラは前記アドレスデータから自発光モジュールに設定するべきアドレスを切り出して前記メモリのアドレス格納領域内に格納し、前記アドレスデータの残部を前記データアウト端子から出力することを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記コントローラは、前記アドレスデータの入力前に受け付けたアドレスビット数情報に示されたビット数分のデータを前記アドレスデータから切り出すと共に、切り出したデータを前記自発光モジュールに設定するアドレスとして前記アドレス格納領域に格納することを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記コントローラは、動作状態を前記第二の動作モードに切り替えた場合と、前記自発光モジュールに設定するべきアドレスを前記アドレス格納領域に格納した場合と、の少なくとも一方の場合において、前記発光素子を発光させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載された複数の前記発光モジュールを含んで構成された発光モジュールユニットであって、
上位に位置するマスタ装置のデータアウト端子と接続されるデータバスを備え、
前記複数の発光モジュールは、前記第二データイン端子が前記データバスと接続された少なくとも一つの第一発光モジュールと、前記第二データイン端子が他の前記発光モジュールの前記データアウト端子に対して接続された少なくとも一つの第二発光モジュールと、を含み、
前記第一及び第二発光モジュールの前記各第一データイン端子は前記データバスに接続されていることを特徴とする発光モジュールユニット。
【請求項5】
請求項4に記載された少なくとも一つの発光モジュールユニットと、前記マスタ装置と、を備え、
前記マスタ装置は、制御対象となる前記各発光モジュールに設定する1個のアドレスを構成するデータの長さであるアドレスサイズを、設定するべきアドレスの数量に応じて可変させることを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機・パチスロ機等の遊技機に使用される発光モジュール、及び複数の発光モジュールを含んで構成された発光モジュールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機等においてはLED(Light-Emitting Diode)等の光源が多数用いられ、遊技の進行に応じて各光源を点灯させたり、消灯させたりして遊興性を高めている。各光源の発光状態は、各光源に割り当てられたアドレスに基づいて、上位に位置する演出制御装置等からの制御信号によりアドレス毎に制御される。
ここで、遊技機等に用いられる光源の例として、赤色、緑色、青色のLEDと、各LEDを制御するコントローラとが一体化されたLEDモジュール(発光モジュール)が知られている。各LEDモジュールに対するアドレスの割り当て方法には、各LEDモジュールの製造時に静的に(固定的に)アドレスを設定する方法の他、LEDモジュールの設定時にアドレスを動的に設定する方法がある。
【0003】
複数のLEDモジュールを含む光源として特許文献1には、複数のLEDモジュールが直列に接続されたLED光ワイヤが記載されている。この文献には、LED光ワイヤを構成する個々のLEDモジュールに対して動的にアドレスを割り当てる方法が記載されている。
具体的には、入力ポートが他のLEDモジュールと接続されていない末端のLEDモジュールが自身にアドレスとして番号0を割り当てる。末端のLEDモジュールは、先頭方向に隣接するLEDモジュールに対して自身の番号0を通信する。隣接するLEDモジュールは受信した番号0に+1を加算した番号1を自身のアドレスとして割り当てる。以降の各LEDモジュールにおいては、先頭方向に隣接するLEDモジュールに自身のアドレスを通信し、アドレスを受信したLEDモジュールは受信したアドレスに+1を加算した番号を自身のアドレスとして割り当てる、という動作が繰り返される。
この方法によれば、LED光ワイヤ中の任意のLEDモジュールが故障した場合や、LED光ワイヤが切断された場合に、各LEDモジュールに対してアドレスを再度割り当てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において各LEDモジュールは、受信したアドレスに+1を加算したアドレスを自身に付与し、付与したアドレスを隣接するLEDモジュールに出力するため、各LEDモジュールに付与されるアドレスは連続した番号に制限される。また、各LEDモジュールに付与されるアドレスは、LEDモジュール同士の接続関係による制約を受ける。このため、特許文献1においては、各LEDモジュールに対してアドレスを自由に設定できないという問題がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、発光モジュールの配置関係に因らず、各発光モジュールに対してアドレスを自由に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、少なくとも1つの発光素子と、コントローラと、を備えた発光モジュールであって、前記コントローラは、前記発光素子を含む各部の動作を制御する制御部と、データを格納するメモリと、前記発光素子を駆動する駆動部と、を備え、前記発光モジュールは、外部からデータが入力される第一及び第二データイン端子と、外部へデータを出力するデータアウト端子と、を備え、前記第一データイン端子に対する入力を全般的に受け付ける動作モードにあり、且つ、アドレス登録コマンドが前記第一データイン端子に入力された場合に、前記コントローラは、動作モードを、前記第一データイン端子に対する特定のコマンドの入力以外の入力を破棄し、前記第二データイン端子に対するデータの入力を受け付ける第二の動作モードに切り替えると共に、前記第二の動作モードにおいて、複数のアドレスを含むアドレスデータを前記第二データイン端子を介して受け付けた場合に、前記コントローラは前記アドレスデータから自発光モジュールに設定するべきアドレスを切り出して前記メモリのアドレス格納領域内に格納し、前記アドレスデータの残部を前記データアウト端子から出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光モジュールの配置関係に因らず、各発光モジュールに対してアドレスを自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの内部構成を示すブロック図である。
【
図2】マスタ装置と複数のLEDモジュールとが接続された発光装置の一例を示す図である。
【
図3】各LEDモジュールが実行するアドレス登録関連処理を示すフローチャートである。
【
図4】LEDモジュールユニット内におけるアドレス登録関連処理の実行状況を示すシーケンス図である。
【
図5】
図3中のアドレス初期化処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図3中のアドレス登録処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図3中の復帰処理を示すフローチャートである。
【
図8】(a)~(d)は、各LEDモジュールが受信し又は出力するアドレスデータの構成を説明する模式図である。
【
図9】マスタ装置と複数のLEDモジュールとが接続された発光装置の第二の例を示す図である。
【
図10】マスタ装置と複数のLEDモジュールとが接続された発光装置の第三の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
〔LEDモジュール〕
図1は、本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの内部構成を示すブロック図である。
LED(Light-Emitting Diode)モジュール(発光モジュール)1は、複数個が所定の配置で並べられることにより、一つのLEDモジュールが一画素を構成するディスプレイとして機能したり、遊技機等において所望の形状を有する光学的な演出装置として機能する。
LEDモジュール1は、入出力等に関わる端子として、クロック端子(CLK)11、第一データイン端子(DI1)12、第二データイン端子(DI2)13、データアウト端子(DO)14、電源端子(VDD)15、及び、接地端子(GND)16の、合計6つの端子を備える。
LEDモジュール1は、入力された信号に基づいて各部を制御するコントローラ20を備える。コントローラ20は各端子11~16と接続される。
LEDモジュール1はフルカラーの発光装置であり、発光素子(LED)として、赤色のLED30R、緑色のLED30G、青色のLED30Bを備える。LEDモジュール1が備えるLEDの個数及び種類は一例である。各LED30R,30G,30Bの一端は電源端子15と接続され、他端がコントローラ20と接続される。
【0011】
<端子>
クロック端子11は、上位のマスタ装置210(
図2参照)からクロック信号を受信する。
第一データイン端子12と第二データイン端子13は、それぞれデータを受信する端子であり、この点で両端子は同一の機能を発揮しうる端子である。しかし、各端子は何れの信号線(又は端子)と接続されているかに応じて、異なる役割を担う。
本例において第一データイン端子12は、マスタ装置210から直接的にデータを受信するように接続される。
本例において第二データイン端子13は、少なくともアドレスデータ(ADD)を、マスタ装置210から直接的に、又は
図2に示すような接続を行った場合には、自LEDモジュール1の前段に配置された他のLEDモジュール1を介して間接的に受信するように接続される。
データアウト端子14は、LEDモジュール1(のコントローラ20)で処理されたデータを出力する。データアウト端子14は、
図2に示すような接続を行った場合には、他のLEDモジュール1に対して少なくともアドレスデータ(ADD)を出力する。
電源端子15は、LEDモジュール1を駆動する電源(又は電源バス)と接続される。
接地端子16は、回路の基準電位を決定する接地バス等に接続される。
【0012】
<コントローラ>
コントローラ20は、制御部21、メモリ22、及び駆動部23を備える。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を含み構成される。CPUはLEDモジュール1の各部を制御する演算装置である。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。
メモリ22は、データの書き換えが可能な不揮発性の記憶手段であり、例えばNAND型フラッシュメモリ等から構成される。メモリ22には、CPUが実行する制御プログラム、アドレスのデータサイズ(例:ビット数)、及びアドレス等が記憶される。
コントローラ20は、制御部21中のCPUが、メモリ22に記憶された制御プログラムを読み出して制御部21中のRAMに展開して実行することにより、各種の機能を実現する。
駆動部23は、各LED30R,30G,30Bを駆動する手段であり、例えばFET(Field Effect Transistor)等から構成される。例えば、駆動部23は、制御部21からのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号に基づいて所定のデューティ比で各LEDに流れる電流をスイッチング制御する(オン/オフ制御する)。これにより、各LED30R,30G,30Bの発光輝度が調整され、LEDモジュール1全体として輝度や発光色等を変化させることができる。
【0013】
〔LEDモジュールユニット及び発光装置〕
図2は、マスタ装置と複数のLEDモジュール1とが接続された発光装置の一例を示す図である。配線同士が重なる部分の黒丸は配線同士が接続されていることを示す。
発光装置200は、1個のマスタ装置210と、マスタ装置210と接続されたLEDモジュールユニット(発光モジュールユニット)100とを備える。LEDモジュールユニット100は、n個のLEDモジュール1(1),1(2),…1(n)を含む(nはn>1を満たす自然数)。LEDモジュールユニット100中の各LEDモジュール1はマスタ装置210と直接接続される。
【0014】
マスタ装置210(上位装置又は上位CPU)は、各LEDモジュール1の動作を制御するコマンド(命令)やデータを出力する装置である。一例としてマスタ装置210は、各LEDモジュール1の設定を行うコンピュータ装置である。他の例としてマスタ装置210は、パチンコ機・パチスロ機等の遊技機を構成するメインCPUやサブCPU等を含み、遊技機において光学的な演出用のデータを出力する演出制御装置である。
マスタ装置210は、各LEDモジュール1(1),…1(n)の動作タイミングを同期させるためのクロックを出力するクロック端子(CLK)211と、各LEDモジュール1の動作を制御する命令やデータを出力するデータアウト端子(DO)212とを備える。
【0015】
LEDモジュールユニット100は、マスタ装置210のクロック端子211と接続されるクロックバス121と、マスタ装置210のデータアウト端子212と接続されるデータバス122とを備える。LEDモジュールユニット100は、例えば、複数のLEDモジュール1が所定の配置で組み込まれた一つの基板として製造される。
各LEDモジュール1のクロック端子11はクロックバス121に接続され、各LEDモジュール1の第一データイン端子12はデータバス122に接続される。これにより、クロック端子11と第一データイン端子12に関して各LEDモジュール1は、マスタ装置210に対して並列に接続される。
最上段(一段目)に位置するLEDモジュール1(1)の第二データイン端子13は、データバス122と接続される。即ち、LEDモジュール1(1)の第一データイン端子12と第二データイン端子13には、同一のデータが入力される。
【0016】
LEDモジュール1(1)のデータアウト端子14は、その後段(二段目)のLEDモジュール1(2)の第二データイン端子13と接続される。以下、前段のLEDモジュール1(m-1)のデータアウト端子14がその後段のLEDモジュール1(m)の第二データイン端子13に順次接続される(mはm≦nを満たす自然数)。これにより、アドレスデータを取り扱う第二データイン端子13とデータアウト端子14に関して各LEDモジュール1(1),…1(n)は、マスタ装置210に対して直列に接続される。なお、最終段(n段目)のLEDモジュール1(n)のデータアウト端子14に対して信号線123は接続されなくてよい。
このように、LEDモジュールユニット100は、第二データイン端子13がデータバス122と接続されたLEDモジュール1(1)(第一発光モジュール)と、第二データイン端子13が他のLEDモジュール1のデータアウト端子14と接続されたLEDモジュール1(2),…1(n)(第二発光モジュール)と、を含み構成される。
【0017】
〔アドレス登録に関わるフロー及びシーケンス〕
マスタ装置210が各LEDモジュール1を発光制御するに際して、各LEDモジュール1には予めアドレスが付与される。アドレスは、特定のLEDモジュール1を他のLEDモジュールから識別するための識別子でありうる。また、アドレスは、複数のLEDモジュールが属する一のモジュール群を、他のモジュール群から識別するための識別子でありうる。LEDモジュールユニット100内には、同一のアドレスを有する複数のLEDモジュール1が存在してもよい。
【0018】
本例において各LEDモジュール1に対しては、動的にアドレスが付与される。以下、各LEDモジュールのアドレス登録に関わる処理について説明する。
図3は、各LEDモジュールが実行するアドレス登録関連処理を示すフローチャートである。
図4は、LEDモジュールユニット内におけるアドレス登録関連処理の実行状況を示すシーケンス図である。
図5は、
図3中のアドレス初期化処理を示すフローチャートである。
図6は、
図3中のアドレス登録処理を示すフローチャートである。
図7は、
図3中の復帰処理を示すフローチャートである。
【0019】
<電源投入後の動作及びコマンド待機状態>
発光装置200に電源が投入された後、各LEDモジュール1は各部が初期化(リセット)されて、コマンド待機状態となる。
図3は、電源投入後にコマンド待機状態となった後に実行される処理を示す。
【0020】
電源投入後のコマンド待機状態(第一の動作モード)では、第一データイン端子12と第二データイン端子13の双方への入力が有効化(Enable)され、両端子が並列的に機能する。この動作モードでは、各端子に入力されたコマンド等は何らかの形で制御部21によって処理される。各端子に同一のコマンド等が入力された場合に制御部21は、一方の端子に入力されたコマンド等に基づいて必要な処理を実行し、他方の端子に入力されたコマンド等を無視するように動作する。
【0021】
データイン端子への入力が受け付けられる状態とは、データイン端子に入力されたデータを制御部21が何らかの形で処理しうる状態を意味する。
【0022】
<シーケンス>
図3に示すように、各LEDモジュール1は、アドレス登録に関わる処理として、アドレス初期化処理(S100)、アドレス登録処理(S200)、及び、復帰処理(S300)を実行する。
【0023】
図4に示すように、マスタ装置210が初期化コマンドを出力すると(S11)、各LEDモジュール1は、メモリ22中の、アドレスを格納するアドレス格納領域内のデータを初期化する(S100)。各LEDモジュール1は、マスタ装置210がデータアウト端子212から出力した初期化コマンドを、データバス122を介して第一データイン端子12から取得する。このため、各LEDモジュール1においてアドレス初期化処理は並列に実行される。
【0024】
マスタ装置210がアドレス登録コマンドを出力すると(S21)、各LEDモジュール1は事前処理としてアドレス登録処理(S200)のうちステップS201~S209(登録前処理)を実行する。各LEDモジュール1は、マスタ装置210がデータアウト端子212から出力したアドレス登録コマンドを、データバス122を介して第一データイン端子12から取得する。このため、各LEDモジュール1において登録前処理は並列に実行される。この処理以降、各LEDモジュール1は、復帰コマンド等、特定のコマンドを除いて第一データイン端子12への入力を無視し、処理の実行に必要なデータを第二データイン端子13から取得する第二の動作モード(アドレス登録モード)へ移行する。
【0025】
マスタ装置210がアドレス情報(データ)を出力すると(S22)、LEDモジュール1(1)は、アドレス登録処理(S200)のうちステップS211~S213(登録処理)、及びステップS215~S221(判定処理)を実行する。登録処理においてLEDモジュール1(1)は、取得したアドレス情報(データ)から自モジュールに付与する(設定する)べきアドレス情報を切り出す。その後、判定処理において、次段に出力するアドレス情報の有無を判定し、アドレス情報がある場合には残りのアドレス情報(データ)をデータアウト端子14から次段のLEDモジュール1(2)に出力する。
以降は、各LEDモジュール1(2),…1(n-1)において、順番にステップS211~S221の登録処理及び判定処理と、S223のアドレス情報出力が実行される。なお、判定処理にて次段に出力するアドレス情報がないLEDモジュール1(n)においてはステップS211~S221の登録処理及び判定処理が実行された後、S223のアドレス情報出力は省略される。
マスタ装置210がデータアウト端子212から出力したアドレス情報(データ)は、データバス122を介して各LEDモジュール1の第一データイン端子12に到達するが、各LEDモジュール1はアドレス登録コマンドを受信すると、第二の動作モードに移行し、第一データイン端子12への入力データのうち、特定コマンド(復帰コマンド)以外を無視する。このため、アドレス登録処理(S200)のうちステップS211以降の処理は、最前段のLEDモジュール1(1)から最終段のLEDモジュール1(n)に向かって逐次に(順番に、又は直列に)処理される。言い換えれば、ステップS211以降の処理は、非並列処理となる。
【0026】
マスタ装置210が復帰コマンドを出力すると(S31)、各LEDモジュール1は、復帰処理(S300)を実行する。各LEDモジュール1は、第一データイン端子12から復帰コマンドを受信するので、復帰コマンドを無視せずに処理する。このため、各LEDモジュール1において復帰処理は並列に実行される。復帰処理によって各LEDモジュール1は第一データイン端子から入力する全てのコマンドを受け付ける。また各LEDモジュール1は、第二データイン端子を無効化(Disable)するか、或いは第二データイン端子への入力を無視する(第三の動作モード)。
【0027】
<<初期化コマンドの構成>>
ステップS11の初期化コマンドには、LEDモジュールのメモリ中の、アドレス格納領域内のデータを初期化する命令と、割り当てられるアドレスのサイズ(長さ)を示すアドレスサイズ情報と、が含まれる。
アドレスサイズ情報は、1個のアドレス(1個の識別子)を構成するデータの長さを示す情報である。アドレスサイズ情報は、マスタ装置210がステップS22にて出力するアドレスデータに含まれる1個のアドレスが、例えば何ビットで構成されているかを示すアドレスビット数情報である。アドレスサイズ情報は、制御対象となるLEDモジュール1の個数、及び/又は、設定するべきアドレスの数量に応じて、マスタ装置210によって必要な値が指定される。
例えば、制御対象となるLEDモジュール1の個数(直列に接続されるLEDモジュールの個数)が128個以下である場合、アドレス情報は7ビット必要となるので、アドレスサイズ情報として「0111(b)」が指定され、256個以下である場合、アドレスは8ビット必要となるので、アドレスサイズ情報として「1000(b)」が指定され、1024個以下である場合、アドレスは10ビット必要となるので、アドレスサイズ情報として「1010(b)」が指定される。
【0028】
<<アドレス登録コマンドの構成>>
ステップS21のアドレス登録コマンドは、マスタ装置210がアドレス情報(データ)を出力する前の段階で各LEDモジュール1を、これらが順次直列にアドレス情報(データ)を処理可能な状態に移行させるための信号である。アドレス登録コマンドには、第二データイン端子13を有効化(Enable)するか又は第二データイン端子13への入力の受け付けを開始する命令と、第一データイン端子12への復帰コマンド(S31)以外の入力を無視する命令と、が含まれる。即ち、アドレス登録コマンドは第二の動作モードへの移行命令を含む。
【0029】
<<アドレス情報(データ)の構成>>
図8(a)~(d)は、各LEDモジュールが受信し又は出力するアドレス情報(データ)の構成を説明する模式図である。
アドレス情報(データ)は、直列接続関係にある各LEDモジュールに付与するべき全てのアドレス情報が、データ列の先頭(図中右方)から順番に、且つ連続して並べられた構成を有する。各LEDモジュールは、アドレスサイズ情報に基づいて、データ列の先頭からアドレスサイズ情報に示された長さ分のデータを自LEDモジュールに登録するべきアドレス情報として切り出してメモリ22内に格納する。各LEDモジュールは、残ったアドレス情報(データ)を次段のLEDモジュールに出力する。このような動作が各LEDモジュールにおいて順次実行される。図示するアドレス情報(データ)は、1個のアドレスが8ビットで構成される例を示す。
【0030】
図8(a)はマスタ装置210から出力されて最前段のLEDモジュール1(1)が受信するアドレス情報のデータ列である。
図8(b)はLEDモジュール1(1)から出力されて次段のLEDモジュール1(2)が受信するアドレス情報のデータ列である。LEDモジュール1(1)によって8ビットで構成される先頭のアドレスADD1が切り出されるため、残部のADD2以降がLEDモジュール1(2)に出力される。
図8(c)はLEDモジュール1(2)から出力されて次段のLEDモジュール1(3)が受信するアドレス情報のデータ列である。LEDモジュール1(2)によって先頭のアドレスADD2が切り出されるため、残部のADD3以降がLEDモジュール1(3)に出力される。このような動作が順次実行される。
図8(d)はLEDモジュール1(n-1)から出力されて最終段のLEDモジュール1(n)が受信するアドレス情報のデータ列である。アドレス情報には、最終段のLEDモジュール1(n)に付与されるべきアドレスのデータのみが含まれていることが示されている。
このように、第二データイン端子13がデータバス122と接続されている最前段のLEDモジュール1(1)は、マスタ装置210からアドレス情報(データ)を取得し、その他のLEDモジュール1は前段のLEDモジュールからアドレス情報(データ)を取得する。また、最後段のLEDモジュール以外が受信するアドレス情報(データ)には、複数のアドレス情報が含まれる。
【0031】
<<復帰コマンドの構成>>
ステップS31の復帰コマンドは、各LEDモジュールを稼働時のコマンド待機状態に復帰させる命令(第三の動作モードへの移行命令)を含む。復帰コマンドは、各LEDモジュールが移行するべき具体的な状態を示す情報を含んでもよい。例えば、復帰コマンドは、第一データイン端子から入力する全てのコマンドを受け付け、第二データイン端子を無効化(Disable)するか、或いは第二データイン端子への入力を無視する命令を含んでもよい。
【0032】
<サブルーチン>
各LEDモジュールが実行するサブルーチンS100,S200,S300の詳細について
図5乃至
図7に基づいて説明する。
【0033】
<<ステップS100:アドレス初期化処理>>
図5に示すアドレス初期化処理(S100)の詳細は以下の通りである。
ステップS101において、LEDモジュール1の制御部21は、マスタ装置210から初期化コマンドを受信した場合に(ステップS101においてYES)、メモリ22中の、アドレス格納領域内のデータを初期化する(S105)。制御部21は、初期化コマンドを取得した時点において、アドレスを格納している領域(又はアドレスを格納する領域として確保されている領域)の全体を初期化する。例えば、アドレス格納領域として8ビットが確保されている場合に、制御部21はアドレスとして「0000 0000」(b)を格納して、当該領域の全ビットを初期化する。これにより、メモリ22内に格納されていたアドレスがクリアされる。なお、アドレスを格納するために確保される領域のサイズ(例:ビット数)は、アドレス初期化コマンドに含まれるアドレスサイズ情報に基づき判断される。
【0034】
ステップS107において制御部21は、メモリ22内のアドレスビット数情報を格納する領域に、マスタ装置210より取得したアドレスビット数情報を格納する。アドレスを格納するためにメモリ22内に確保される領域は、アドレスビット数情報に応じて拡大又は縮小しうる。
【0035】
ステップS109において制御部21は、以上の処理が正常に実行されたか否かを判定する。処理が正常に実行された場合(ステップS109にてYES)に制御部21は、LED30Rを点灯させるように駆動部23を制御し(ステップS111)、処理が正常に実行されなかった場合(ステップS109にてNO)に制御部21はLED30Rを点滅させるように駆動部23を制御して(ステップS113)、サブルーチンを終了する。
処理が正常に実行されたか否かは、例えば、初期化コマンドを受信してから所定時間経過後までに初期化が完了しているか否かによって判定することができる。なお、ハードウェアの故障等、何らかの理由でサブルーチン内の処理が正常に実行されない場合には、LED30Rが発光しない(点灯も点滅もしない)という事態も起こりうる。
【0036】
<<ステップS200:メモリアドレス登録処理>>
図6に示すメモリアドレス登録処理(S200)の詳細は以下の通りである。
【0037】
<<<ステップS201~S209:登録前処理>>>
ステップS201において、LEDモジュール1の制御部21は、マスタ装置210からアドレス登録コマンドを受信した場合に(ステップS201においてYES)、第二データイン端子13を有効化(Enable)するか、又は第二データイン端子13への以降の入力受付を開始する(S203)。合わせて制御部21は、第一データイン端子12への復帰コマンド(S31)以外の入力を無視するように動作する。即ち、LEDモジュール1は第二の動作モードに移行する。
ステップS205において、制御部21は、アドレスデータの受け付けが可能な状態、言い換えれば、第二データイン端子13に入力されたアドレス情報(データ)を処理可能な状態に移行できたか否かを判定する。移行できた場合(ステップS205にてYES)に制御部21は、LED30Gを点灯させるように駆動部23を制御し(ステップS207)、移行できなかった場合(ステップS1205にてNO)に制御部21はLED30Gを点滅させるように駆動部23を制御して(ステップS209)サブルーチンを終了する。
アドレス情報(データ)の受け付けが可能な状態に移行できたか否かは、例えば、アドレス登録コマンドを受信してから所定時間経過後までに移行が完了しているか否かによって判定することができる。なお、ハードウェアの故障等、何らかの理由でサブルーチン内の処理が正常に実行されない場合には、LED30Gが発光しない(点灯も点滅もしない)という事態も起こりうる。
【0038】
<<<ステップS211~S223>>>
ステップS211において制御部21は、アドレスデータ(
図8)の入力を待機する。アドレスデータが入力された場合(ステップS211にてYES)、ステップS213の処理が実行される。
ステップS213において、制御部21は、メモリ22に格納されたアドレスビット数情報に基づいて、取得したアドレス情報(データ)の先頭からアドレスビット数情報に示されたビット数分のデータを自LEDモジュールに登録するべきアドレスとして切り出してメモリ22内のアドレス格納領域に格納する。
【0039】
ステップS215において制御部21は、アドレスを正常にメモリ22の所定領域に格納できたか否かを判定する。正常に格納できた場合(ステップS215にてYES)に制御部21は、LED30Bを点灯させるように駆動部23を制御する(ステップS217)。正常に格納できなかった場合(ステップS215にてNO)に制御部21は、LED30Bを点滅させるように駆動部23を制御して(ステップS219)、サブルーチンを終了する。
アドレスを正常に格納できたか否かは、例えば、アドレスが入力されてから所定時間経過後までに処理が完了しているか否かによって判定することができる。或いは、切り出したアドレスがメモリ内の所定の領域に格納できない場合や、最後段のLEDモジュール1(n)が受け付けたアドレス情報(データ)が、1個のアドレスを表現するために必要なサイズ(長さ)を有していない場合に、ステップS219が実行される。なお、ハードウェアの故障等、何らかの理由でサブルーチン内の処理が正常に実行されない場合には、LED30Bが発光しない(点灯も点滅もしない)という事態も起こりうる。
【0040】
ステップS221において、制御部21は、データアウト端子14から出力するべきアドレス情報(データ)があるか否かを判定する。出力するべきアドレス情報(データ)がある場合(ステップS221にてYES)に制御部21は、残りのアドレス情報(データ)をデータアウト端子14から出力する。また、出力するべきアドレス情報(データ)がない場合(ステップS221にてNO)に制御部21は、サブルーチンを終了する。
【0041】
<<ステップS300、復帰処理>>
図7に示す復帰処理(S300)の詳細は以下の通りである。
LEDモジュール1の制御部21は、マスタ装置210から復帰コマンドを受信すると(ステップS301においてYES)、LEDモジュール1を、稼働時のコマンド待機状態(第三の動作モード)に移行させる。
即ち、制御部21は、第一データイン端子12への入力を全般的に受け付ける状態に移行する。これにより、第一データイン端子12に入力されたコマンド等が制御部21によって処理されるようになる。また、制御部21は、第二データイン端子を無効化(Disable)するか、或いは第二データイン端子への入力を無視する状態に移行する。
【0042】
<<各動作モードの比較>>
以上説明した各動作モードを比較すれば、以下の通りとなる。
【0043】
〔対象となる通信インターフェース〕
本発明の各実施形態に示した制御を実現可能なLEDモジュールにおける通信インターフェースとしては、SPI(Serial Peripheral Interface)が好適に用いられる。その他の通信インターフェースとしては、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter、ユーアート)、I2C(Inter-Integrated Circuit、アイ・スクエアド・シー)等のシリアル通信を例示できる。
【0044】
〔発光装置におけるLEDモジュールユニットのアドレス設定〕
発光装置200が複数のLEDモジュールユニット100を含んで構成されてもよい。
例えば、遊技機製造工場において、まず複数のLEDモジュール1が所定の配置で組み込まれたLED分割基板(LEDモジュールユニット100)を用意する。LED分割基板ごとに各LEDモジュール1に対してアドレスを設定する。このとき、各LEDモジュール1が持つアドレスの範囲を、LED分割基板ごとに異ならせる。遊技機の組み立て時に、LED分割基板間のクロックバス121同士と、データバス122同士とを接続し、何れかのLED分割基板に属するクロックバス121とデータバス122の開放端を夫々演出制御装置としてのマスタ装置210のクロック端子211とデータアウト端子212に接続する。
これにより、発光装置200を構成する全てのLEDモジュール1に対して異なるアドレスを付与できるので、一のマスタ装置210により、複数のLEDモジュールユニット100内の各LEDモジュール1を一括して個別に制御できる。
【0045】
〔発光装置を用いた演出制御方法〕
マスタ装置210が、そのデータアウト端子212から特定のLEDモジュール1を示すアドレスと共に、LEDの発光に関するデータ(発光命令、発光させるLED、及び各LEDの発光に関するディユーティ比、等)を出力することで、LEDモジュールユニット100を構成する所定のLEDモジュール1を個別に制御できる。
【0046】
〔他の接続例〕
<二次元配置例>
図9は、マスタ装置と複数のLEDモジュールとが接続された発光装置の第二の例を示す図である。本例は、複数のLEDモジュール1を二次元に(例:格子状に)配置した例である。図中l,m,nは、l<m<nを満たす自然数である。
LEDモジュールユニット100は、クロックバス121とデータバス122の長手方向の中間部適所に結節点121a,122a(分岐点)を備える。各結節点121a,122aに接続された各配線には、複数のLEDモジュール1(1),…1(n)の各クロック端子11と各第一データイン端子12とが電気的に接続されている。クロック端子11と第一データイン端子12に関して、各LEDモジュール1(1)は、マスタ装置210に対して並列に接続されている。
【0047】
第二データイン端子13とデータアウト端子14に関して、全てのLEDモジュール1(1),…1(l),…1(m),…1(n)はマスタ装置210に対して順次直列に接続されている。信号線123は全体として見れば、LEDモジュールユニット100内でつづら折り状に(ジグザグ状に)配置されている。
これにより、LEDモジュールユニット100において複数のLEDモジュール1を二次元に(例えば格子状に)配置した場合であっても、各LEDモジュールに固有のアドレスを付与することができる。本例においては、LEDモジュールユニット100を、各LEDモジュールが一画素を構成するディスプレイとして利用できる。
【0048】
<ブロック配置例>
図10は、マスタ装置と複数のLEDモジュールとが接続された発光装置の第三の例を示す図である。
LEDモジュールユニット100は、第二データイン端子13がデータバス122と接続された複数の(図示する例では2個の)LEDモジュール1A(1),1B(1)を備える。言い換えれば、LEDモジュールユニット100は、第一段目として機能する複数の(2個の)LEDモジュール1A(1),1B(1)を備える。
また、各LEDモジュール1A(1),1B(1)の後段には、夫々複数のLEDモジュール1A(2),1B(2)が順次直列に接続されている。このLEDモジュールユニット100は、夫々直列接続関係にあるLEDモジュール1A(1),…1A(n)、LEDモジュール1B(1),…1B(n)から構成される複数のモジュール列101A,101Bを含む。
【0049】
各モジュール列101A,101Bの同一段に位置するLEDモジュール1A(m),1B(m)には、同一のアドレスが付与される(mはm<nを満たす自然数であり、m段目のLEDモジュールを示す)。従って、このLEDモジュールユニット100では、同一のアドレスを持つLEDモジュールが複数個(2個)存在する。同一のアドレスが付与された複数のLEDモジュールは、一のモジュール群102(1),…102(n)を構成する。同一のモジュール群102に属する各LEDモジュールは同一のタイミング及び同一の態様で発光する。
このように、LEDモジュールユニット100は、同一のアドレスが付与された(或いは付与されうる)複数個のLEDモジュールを含んでもよい。モジュール群102を構成する複数のLEDモジュール1の接続態様としては、
図10の例以外にも、一のLEDモジュール1のデータアウト端子14に複数個のLEDモジュール1の第二データイン端子13が信号線123によって接続される構成でもよい。
【0050】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様に係る発光モジュール(LEDモジュール1)は、少なくとも1つの発光素子(LED30)と、コントローラ20と、を備える。
コントローラは、発光素子を含む各部の動作を制御する制御部21と、データを格納するメモリ22と、発光素子を駆動する駆動部23と、を備える。
発光モジュールは、外部からデータが入力される第一及び第二データイン端子12,13と、外部へデータを出力するデータアウト端子14と、を備える。
本態様は、発光モジュールが、第一データイン端子に対する入力を全般的に受け付ける動作モードにあり、且つ、アドレス登録コマンドが第一データイン端子に入力された場合に、コントローラは、動作モードを、第一データイン端子に対する特定のコマンドの入力以外の入力を破棄し、第二データイン端子に対するデータの入力を受け付ける第二の動作モードに切り替えると共に、第二の動作モードにおいて、複数のアドレスを含むアドレスデータを第二データイン端子を介して受け付けた場合に、コントローラはアドレスデータから自発光モジュールに設定するべきアドレスを切り出してメモリのアドレス格納領域内に格納し、アドレスデータの残部をデータアウト端子から出力することを特徴とする。
【0051】
アドレスデータには複数のアドレスが含まれる。アドレスデータに含むアドレスは、アドレスデータのデータ列内で昇順(又は降順)のように整列していなくてもよい。
発光モジュールは、第二の動作モードにおいて第二データイン端子を介してアドレスデータを受け付けた場合に、アドレスデータから自発光モジュール用のアドレスを、例えばアドレスデータの先頭から切り出すと共に、残部をデータアウト端子から出力する。このような動作を直列に接続された発光モジュール間で順次実行させることによって、各発光モジュールは、その接続関係による制限を受けることなく、自由なアドレスを設定される。即ち、各発光モジュールに対しては、その二次元的な(或いは三次元的な)物理的配置に応じて、これらを発光制御しやすいアドレスを付与することができる。発光制御を容易にするアドレスの並び順は、必ずしも発光モジュール間の直列的な配置とは関連していなくてもよい。
本態様によれば、発光モジュールの接続関係に因らず、各発光モジュールに対してアドレスを自由に設定できる。
【0052】
<第二の実施態様>
本態様に係る発光モジュール(LEDモジュール1)においてコントローラ20は、アドレスデータの入力前に受け付けたアドレスビット数情報に示されたビット数分のデータを、例えばアドレスデータの先頭から切り出すと共に、切り出したデータを自発光モジュールに設定するアドレスとしてメモリ22のアドレス格納領域に格納することを特徴とする。
【0053】
アドレスビット数情報は、1個のアドレスを構成するデータの長さ(ビット数)を示す情報である。1個のアドレスを表現するビットの数に応じて、ユニークな値を持つアドレスの数量が可変する。アドレスビット数は、識別するべき発光モジュールの個数に応じて可変させることができる。
本態様によれば、識別するべき発光モジュールの個数に応じてアドレスビット数を可変させた場合であっても、発光モジュールが、アドレスビット数に応じた長さのデータをアドレスデータから切り出して、自身に設定することが可能となる。
【0054】
<第三の実施態様>
本態様に係る発光モジュール(LEDモジュール1)において、コントローラ20は、動作状態を第二の動作モードに切り替えた場合と、自発光モジュールに設定するべきアドレスをメモリ22のアドレス格納領域内に格納した場合と、の少なくとも一方の場合において、発光素子(LED30)を発光させるように制御することを特徴とする。
本態様によれば、発光素子の発光の有無等に基づいて、何らかの理由で不具合の発生した発光モジュールや配線の不備等を発見できる。不具合の見つかった発光モジュールを交換する等の対応を取ることで、不良品を含む完成品の出荷を防止できる。また、発光素子が発光制御されるタイミングに基づいて、発光モジュール中に発生した不良箇所を予測できる。
【0055】
<第四の実施態様>
本態様は、複数の発光モジュール(LEDモジュール1)を含んで構成された発光モジュールユニット(LEDモジュールユニット100)である。
発光モジュールユニットは、上位に位置するマスタ装置210のデータアウト端子212と接続されるデータバス122を備える。
複数の発光モジュールは、第二データイン端子13がデータバスと接続された少なくとも一つの第一発光モジュール(LEDモジュール1(1))と、第二データイン端子が他の発光モジュールのデータアウト端子14に対して接続された少なくとも一つの第二発光モジュール(LEDモジュール1(2),…1(n))と、を含む。第一及び第二発光モジュールの各第一データイン端子12はデータバスに接続されていることを特徴とする。
【0056】
本態様に係る発光モジュールユニットにおいて各発光モジュールは、第一データイン端子に関してはデータバスと並列に接続され、第二データイン端子とデータアウト端子に関してはデータバスと直列に接続されている。このため、第二データイン端子に対するデータの入力を受け付ける第二の動作モードでは、各発光モジュールにおける処理が順次直列に実行される。
ここで、各発光モジュールは、第二の動作モードにおいて複数のアドレスを含むアドレスデータを第二データイン端子を介して受け付けた場合に、アドレスデータから自発光モジュール用のアドレスを、例えばアドレスデータの先頭から切り出すと共に、残部をデータアウト端子から出力する。なお、アドレスデータに含むアドレスは、アドレスデータのデータ列内で昇順(又は降順)のように整列していなくてもよい。
【0057】
このような動作を直列に接続された発光モジュール間で順次実行させることによって、各発光モジュールは、その接続関係による制限を受けることなく、自由なアドレスを設定される。即ち、各発光モジュールに対しては、その二次元的な(或いは三次元的な)物理的配置に応じて、これらを発光制御しやすいアドレスを付与することができる。発光制御を容易にするアドレスの並び順は、必ずしも発光モジュール間の直列的な配置とは関連していなくてもよい。
本態様によれば、発光モジュールの接続関係に因らず、各発光モジュールに対してアドレスを自由に設定できる。
【0058】
<第五の実施態様>
本態様に係る発光装置200は、少なくとも一つの発光モジュールユニット(LEDモジュールユニット100)と、マスタ装置210と、を備える。
マスタ装置は、制御対象となる各発光モジュールに設定する1個のアドレスを構成するデータの長さであるアドレスサイズを、設定するべきアドレスの数量に応じて可変させることを特徴とする。
【0059】
識別可能な発光モジュールの個数はアドレスサイズによって規定される。アドレスサイズが固定的である場合、識別可能な発光モジュールの最大数量は制限される。本態様によれば、識別が必要なアドレスの個数に応じてアドレスサイズを可変させるので、マスタ装置が識別するべき発光モジュールの個数の増減に柔軟に対応できる。
また、第二の実施態様に示したように、発光モジュールは、アドレスサイズに応じた長さのデータをアドレスデータから切り出して自身に設定するので、発光モジュール内のファームウェアの更新等を必要とせずに、ユニークなアドレスの個数の増減に対応できる。
【符号の説明】
【0060】
1,1(n),1A(n),1B(n)…LEDモジュール(発光モジュール)、1(1)…(第一発光モジュール)、1(2)~1(n)…(第二発光モジュール)、11…クロック端子、12…第一データイン端子、13…第二データイン端子、14…データアウト端子、15…電源端子、16…接地端子、20…コントローラ、21…制御部、22…メモリ、23…駆動部、30,30R,30G,30B…LED(発光素子)、100…LEDモジュールユニット(発光モジュールユニット)、101A,101B…(LED)モジュール列、102(n)…(LED)モジュール群、121…クロックバス、121a…結節点、122…データバス、123…信号線、200…発光装置、210…マスタ装置、211…クロック端子、212…データアウト端子