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特開2024-158849検査システムのプログラム生成支援装置、および検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158849
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】検査システムのプログラム生成支援装置、および検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20241031BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241031BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G06T7/00 610C
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074420
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊野 希一
(72)【発明者】
【氏名】小島 聖司
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051AC19
2G051AC21
2G051BA20
2G051CA04
2G051EB05
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA05
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】撮影位置を効率よく最適化することができるプログラムを作成可能な、プログラム生成支援装置、および検査システムを提供する。
【解決手段】検査対象物12を撮影する撮影プログラムSPの生成を支援するプログラム生成支援装置10であって、検査対象物12を複数の視点で撮影するカメラ13aと、ベース撮影条件BCにより複数の画像データを撮影するためのプログラムであるベースプログラムBP、複数の良品画像データGD、および複数の不良品画像データBDを記憶する記憶部15と、良品画像データGDと良品画像データGDと同じ視点で撮影された不良品画像データBDとを比較して、良品画像データGDと相違する相違画像データDDを抽出する相違画像データ抽出部19と、ベース撮影条件BCから相違画像データDDが撮影された撮影条件SCを抽出し、撮影条件SCに基づいて撮影プログラムSPを生成するプログラム修正部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の検査を行う検査システムに適用され、検査対象物を撮影する撮影プログラムの生成を支援する検査システムのプログラム生成支援装置であって、
前記検査対象物を複数の視点で撮影することにより複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
ベース撮影条件により前記複数の画像データを撮影するためのプログラムであるベースプログラムと、良品とラベルされた前記検査対象物の画像データである複数の良品画像データと、不良品とラベルされた検査対象物の画像データである複数の不良品画像データと、を記憶する記憶部と、
前記良品画像データと、前記良品画像データと同じ視点で撮影された前記不良品画像データと、を比較して、前記不良品画像データのうち前記良品画像データと相違する相違画像データを抽出する相違画像データ抽出部と、
前記ベース撮影条件から前記相違画像データが撮影された撮影条件を抽出し、前記撮影条件に基づいて前記撮影プログラムを生成するプログラム修正部と、を備えた、検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項2】
さらに、
前記複数の良品画像データに基づいて良品学習モデルを生成する学習モデル生成部を備え、
相違画像データ抽出部は、前記学習モデル生成部により生成された前記良品学習モデルに基づいて、前記不良品画像データから前記相違画像データを抽出する、請求項1に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項3】
さらに、
前記相違画像データを表示する表示装置を備え、
前記相違画像データ抽出部は、前記良品学習モデルと、前記相違画像データとの間のユークリッド距離を計算し、
前記表示装置は、前記相違画像データのうち前記ユークリッド距離が大きいものから順に表示する、請求項2に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項4】
前記プログラム修正部は、
前記撮影条件を、さらに修正することにより前記撮影プログラムを生成する、請求項1に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項5】
前記プログラム修正部は、前記検査対象物と、前記画像データ取得部と、の距離を小さくする修正を行うことにより前記撮影プログラムを生成する、請求項4に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項6】
前記プログラム修正部は、前記検査対象物と、前記画像データ取得部と、の相対的な撮影位置を修正することにより前記撮影プログラムを生成する、請求項4に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項7】
さらに、
前記検査対象物に光を照射する照明装置を備え、
前記プログラム修正部は、前記照明装置の明るさを修正することにより前記撮影プログラムを生成する、請求項4に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項8】
さらに、
前記相違画像データを表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記相違画像データから、前記撮影プログラムを生成するために用いられる最適画像データが選択される入力装置と、を備え、
前記プログラム修正部は、選択された前記最適画像データが撮影された条件に基づいて前記ベースプログラムを修正する、請求項1に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項9】
さらに、
前記複数の良品画像データに基づいて良品学習モデルを生成する学習モデル生成部を備え、
前記相違画像データ抽出部は、前記良品学習モデルと、前記相違画像データとの間のユークリッド距離を計算し、
前記表示装置は、前記相違画像データのうち前記ユークリッド距離が大きいものから順に表示する、請求項8に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項10】
前記検査対象物は自動車部品である、請求項1に記載の検査システムのプログラム生成支援装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の検査システムのプログラム生成支援装置によって生成された前記撮影プログラムに基づいて、前記検査対象物の撮影を実行させる、検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムのプログラム生成支援装置、および検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物を複数の視点で撮影した画像データを用いた検査においては、画像データを撮影する視点を最適化することが行われている。以下に具体的に説明する。
【0003】
(1)まず、検査対象物について、良品サンプルと、不良品サンプルと、を収集する。これらのサンプルは、製品から収集する場合もあれば、サンプルを試作する場合もある。
【0004】
(2)次に、不良品サンプルのうち、不良発生部位の周囲を塗料で囲う等のアノテーションを施す。これにより、不良発生部位を検査装置が識別可能な状態にする。次に、アノテーションを付した不良発生部位が撮影可能な撮影位置を、検査装置に教示し、記憶させる。
【0005】
(3)良品サンプル、および不良品サンプルをカメラ等の画像取得装置によって撮影し、検査装置に画像データを記憶させる。これにより、良品サンプル、および不良品サンプルの画像データを収集する。
【0006】
(4)収集した画像データを作業者が検証し、適切でない画像データを抽出する。例えば、不良品サンプルについて、不良発生部位が他の部材に隠れて判別できない場合、不良発生部位が画像データ内において小さすぎて判別できない場合等、不良発生部位が判別できない画像データや、判別しにくい画像データを抽出する。
【0007】
(5)抽出された画像データを、検査装置に再度教示し、画像取得装置の撮影位置を最適化する。この最適化作業は、作業者が画像データごとに、個別に設定する。
【0008】
上記した、(2)~(5)の操作を繰り返し行うことで、画像データの撮影位置の最適化を行う。
【0009】
なお、検査対象物を撮影した画像データを用いた検査については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2020-187661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
検査対象物を複数の視点で撮影した画像データを用いた検査において、上記した(2)~(5)の操作を繰り返し行うことは、非常に煩わしい。
【0012】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査対象物を複数の視点で撮影する場合に、撮影位置を効率よく最適化することができるプログラムを作成可能な、検査システムのプログラム生成支援装置、および検査システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、
検査対象物の検査を行う検査システムに適用され、検査対象物を撮影する撮影プログラムの生成を支援する検査システムのプログラム生成支援装置であって、
前記検査対象物を複数の視点で撮影することにより複数の画像データを取得する画像データ取得部と、
ベース撮影条件により前記複数の画像データを撮影するためのプログラムであるベースプログラムと、良品とラベルされた前記検査対象物の画像データである複数の良品画像データと、不良品とラベルされた検査対象物の画像データである複数の不良品画像データと、を記憶する記憶部と、
前記良品画像データと、前記良品画像データと同じ視点で撮影された前記不良品画像データと、を比較して、前記不良品画像データのうち前記良品画像データと相違する相違画像データを抽出する相違画像データ抽出部と、
前記ベース撮影条件から前記相違画像データが撮影された撮影条件を抽出し、前記撮影条件に基づいて前記撮影プログラムを生成するプログラム修正部と、を備えた、検査システムのプログラム生成支援装置にある。
【0014】
本発明の他の態様は、
上記の検査システムのプログラム生成支援装置によって生成された前記撮影プログラムに基づいて、前記検査対象物の撮影を実行させる、検査システムにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、同じ視点から撮影された良品画像データと不良品画像データとを比較し、相違する相違画像データが撮影された撮影条件をベース撮影条件から抽出し、抽出された撮影条件に基づいて撮影プログラムを生成することができる。これにより、作業者が、不良箇所のアノテーション、撮影位置の教示、撮影、検証という工程を繰返す必要がないので、検査対象物の撮影位置を効率よく最適化することができる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、検査対象物の撮影位置を効率よく最適化された撮影プログラムに基づいて、検査対象物の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係るプログラム生成支援装置、および検査システムを示すブロック図。
図2】実施形態1の撮影装置を示す一部切欠正面図。
図3】実施形態1に係るプログラム生成支援装置、および検査システムの動作を示すフローチャート。
図4】実施形態1に係るベース撮影条件から、撮影条件を抽出する工程を説明するための表。
図5】実施形態1の画像データ比較処理において、良品画像データと不良品画像データとを比較する工程を説明するための図。
図6】実施形態1の相違画像データ表示処理において表示される表示画面を示す図。
図7】実施形態1の選択処理において、1つの相違画像データが選択された状態を示す図。
図8】実施形態2に係るプログラム生成支援装置、および検査システムを示すブロック図。
図9】実施形態2に係るプログラム生成支援装置、および検査システムの動作を示すフローチャート。
図10】実施形態2の相違画像データ表示処理において表示される表示画面を示す図。
図11】他の実施形態(3)に記載された撮影装置を示す一部切欠正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
1.プログラム生成支援装置10、および検査システム11の構成
図1図2を参照して、本発明のプログラム生成支援装置10を検査システム11に適用した実施形態1について説明する。本形態の検査システム11は、検査対象物12の検査を行う(図2参照)。また、本形態のプログラム生成支援装置10は、検査対象物12を撮影する撮影プログラムSPの生成を支援する。本形態の検査対象物12は特に限定されないが、例えば自動車部品とすることができる。
【0019】
検査システム11、およびプログラム生成支援装置10は、撮影装置13と、制御装置14と、記憶部15と、表示装置16と、入力装置17と、学習モデル生成部18と、相違画像データ抽出部19と、プログラム修正部20と、を備える。撮影装置13は、カメラ13a(画像データ取得部の一例)と、照明装置13bと、サーボモータ13cと、載置台13dと、を備える。
【0020】
図2に示すように、撮影装置13は、ベース21と、ベース21の上側に取付けられて、ベース21の上面を覆うカバー22と、ベース21の上面に配置された載置台13dと、ベース21の上面であって、載置台13dと異なる位置に配置されたロボットアーム13eと、ロボットアーム13eの先端に配置されたカメラ13aと、カメラ13aに取付けられた照明装置13bと、を備える。
【0021】
載置台13dの上面には検査対象物12が載置される。載置台13dは、鉛直方向を軸線として回転可能に構成される。載置台13dの回転角度θは、載置台13dに内蔵されたサーボモータ13cによって制御される。載置台13dの回転角度θの範囲は特に限定されず、任意の範囲に設定される。本形態では、例えば、0°~360°に設定されている。
【0022】
ロボットアーム13eは、基部23と、基部23の上部に配置された第一関節部24と、第一関節部24から延びる第一アーム部25と、第一アーム部25の先端部に配置された第二関節部26と、第二関節部26から延びる第二アーム部27と、第二アーム部27の先端部に配置された第三関節部28と、第三関節部28から延びる第三アーム部29と、を備える。
【0023】
基部23は、鉛直方向を軸線として、回転可能に構成される。基部23の回転角度γは、基部23に内蔵されたサーボモータ13cによって制御される。基部23回転角度γの範囲は特に限定されず、任意の範囲に設定可能である。本形態においては、載置台13dに載置された検査対象物12をロボットアーム13eが走査可能とするため、例えば、0°~90°に設定されている。
【0024】
第二アーム部27は、第二関節部26側の部分と、第三関節部28側の部分と、が相対的に回転可能に構成されている。第二アーム部27の回転角度φは、第二アーム部27に内蔵されたサーボモータ13cによって制御される。第二アーム部27の回転角度φの範囲は特に限定されず、任意の範囲に設定可能である。本形態においては、載置台13dに載置された検査対象物12のうち、載置台13dと対向する面と異なる表面が走査可能とするため、例えば、0°~180°に設定されている。
【0025】
第一関節部24、第二関節部26、および第三関節部28は屈曲可能に構成されている。第一関節部24、第二関節部26、および第三関節部28の屈曲角度は、それぞれ、第一関節部24、第二関節部26、および第三関節部28に内蔵されたサーボモータ13cによって制御される。
【0026】
ロボットアーム13eにより、カメラ13aは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動可能に構成される。また、載置台13dが鉛直方向を軸線として回転可能に構成されるので、載置台13dに載置された検査対象物12について、検査対象物12のうち載置台13dに対向する面を除く部分を、カメラ13aによって撮影可能な構成となっている。
【0027】
ベース21の上面を覆うカバー22により、検査対象物12を撮影する際に、外光を遮断することができる。また、検査対象物12を撮影する際に、検査対象物12と異なる物が画像データ内に写り込むことを抑制することができる。カメラ13aに取付けられた照明装置13bは、検査対象物12に光を照射する。照明装置13bは、カメラ13aから延びる図示しない取付け部材の先端に取付けられている。照明装置13bは、蛍光灯、冷陰極管、LED等、任意の光源を適宜に選択できる。カメラ13aは、CCDカメラ、光学カメラ等、任意の撮影装置13を適宜に選択できる。
【0028】
図1に示すように、記憶部15は、良品画像データGD、不良品画像データBD、ベースプログラムBP、撮影プログラムSP、ベース撮影条件BC、撮影条件SC、良品学習モデルGM、および相違画像データDDを、格納する。
【0029】
良品画像データGDは、不良箇所30を有しない検査対象物12が撮影された画像データである。不良品画像データBDは、不良箇所30を有する検査対象物12が撮影された画像データである。不良品画像データBDには、撮影された視点によって、不良箇所30が写っているものが存在する。
【0030】
ベースプログラムBPは、ベース撮影条件BCに基づいて検査対象物12を撮影装置13によって撮影させるためのプログラムである。ベース撮影条件BCは、検査対象物12を撮影装置13によって撮影する際の、撮影条件SCについてのデータベースである。ベース撮影条件BCには、カメラ13aの位置および姿勢、照明装置13bの明るさ等が含まれる。
【0031】
ベース撮影条件BCにおいては、検査対象物12を撮影する際に、X軸、Y軸、およびZ軸についての移動量が可及的に細かく区分して設定されているとともに、回転角度θ、回転角度φ、および回転角度γについての移動量も、可及的に細かく区分して設定されている。すなわち、ベースプログラムBPは、検査対象物12の撮影に際して、極めて多くの情報または指令を含む。
【0032】
撮影プログラムSPは、プログラム修正部20によって生成されたプログラムである。撮影プログラムSPは、撮影条件SCに基づいて、検査対象物12を撮影装置13によって撮影させるためのプログラムである。撮影条件SCは、プログラム修正部20によってベース撮影条件BCが修正されることによって生成される。
【0033】
撮影条件SCは、ベース撮影条件BCの一部が抽出されることにより生成される。すなわち、撮影条件SCは、ベース撮影条件BCに含まれていた極めて多くの指令または情報の一部により構成される。さらに、撮影条件SCは、ベース撮影条件BCから抽出された指令および情報が修正されることにより生成されても良い。
【0034】
良品学習モデルGMは、学習モデル生成部18によって、良品画像データGDを機械学習することにより形成される。
【0035】
相違画像データDDは、相違画像データ抽出部19によって、不良品画像データBDから、良品画像データGDと異なる画像が抽出されることにより形成される。詳細には、良品画像データGDと、良品画像データGDと同じ視点で撮影された不良品画像データBDと、を比較して、不良品画像データBDのうち良品画像データGDと相違するものが、相違画像データDDとして抽出される。
【0036】
学習モデル生成部18は、記憶部15に記憶された良品画像データGDを機械学習することにより、良品学習モデルGMを生成し、記憶部15に記憶させる。
【0037】
相違画像データ抽出部19は、良品画像データGDと、良品画像データGDと同じ視点で撮影された不良品画像データBDと、を比較して、不良品画像データBDのうち良品画像データGDと相違するものを、相違画像データDDとして抽出し、記憶部15に記憶させる。なお、同じ視点とは、カメラ13aの位置、および姿勢が同じであることを意味する。
【0038】
相違画像データ抽出部19は、良品学習モデルGMと、相違画像データDDとの間のユークリッド距離を計算する。
【0039】
プログラム修正部20は、ベース撮影条件BCから相違画像データDDが撮影された撮影条件SCを抽出し、撮影条件SCに基づいて撮影プログラムSPを生成する。プログラム修正部20は、ベース撮影条件BCから抽出された撮影条件SCを、さらに修正することにより撮影プログラムSPを生成しても良い。
【0040】
プログラム修正部20が行う修正としては、例えば、検査対象物12と、カメラ13aと、の距離を小さくする修正をしても良い。これにより、検査対象物12を拡大して撮影することができるので、不良品の不良箇所30を明瞭に撮影ことができる。
【0041】
また、プログラム修正部20は、検査対象物12と、カメラ13aと、の相対的な撮影位置を修正しても良い。ベース撮影条件BCに基づいて撮影した場合には、不良箇所30が他の部材に隠れて視認できなかった場合に有効である。
【0042】
また、プログラム修正部20は、照明装置13bの明るさを修正してもよい。ベース撮影条件BCに基づいて撮影した場合には、不良箇所30に十分に光が照射されていなかった場合に有効である。
【0043】
表示装置16は、相違画像データDDを表示する。表示装置16は、相違画像データDDのうち、相違画像データ抽出部19が計算したユークリッド距離が大きいものから順に表示する。これにより、作業者は、表示装置16に表示された相違画像データDDについて、良品学習モデルGMからの相違点が大きな相違画像データDDから順に視認することができる。
【0044】
作業者は、表示装置16に表示された相違画像データDDから、撮影プログラムSPを生成するために用いられる最適画像データODを選択し、入力装置17を用いて入力する。これにより、最適画像データODが撮影された条件に基づいてベースプログラムBPを修正することによって撮影プログラムSPを生成することができる。この結果、生成プログラムの精度を向上させることができる。
【0045】
2.プログラム生成支援装置10の動作
図3図7を参照して、本形態のプログラム生成支援装置10および検査システム11の動作について説明する。ただし、プログラム生成支援装置10および検査システム11の動作は以下の説明に限定されない。
【0046】
図3に示すように、プログラム生成支援装置10および検査システム11が起動されると、良品撮影処理(S1)が実行される。良品撮影処理(S1)においては、不良箇所30を有しない複数の検査対象物12が集められ、各検査対象物12が撮影装置13によって撮影される。
【0047】
まず、検査対象物12は載置台13dに載置される。次に、ベース撮影条件BCに基づいたベースプログラムBPに従って、検査対象物12が撮影される。すなわち、ロボットアーム13eの第一関節部24、第二関節部26、第三関節部28、載置台13d、および第二アーム部27がサーボモータ13cによって駆動されることにより、カメラ13aがX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動しつつ、載置台13dがサーボモータ13cによって回転角度θで回転する。X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の移動量は特に限定されず、任意の値に設定可能である。本形態では、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の移動量は300mmに設定されている。また、上記したように、回転角度θは0°~360°、回転角度φは0°~180°、回転角度γは0°~90°に設定されている。
【0048】
X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の送り量は特に限定されず、任意の値に設定される。本形態のベース撮影条件BCにおいては、X軸、Y軸、およびZ軸の送り量は、例えば、10mmに設定されている。また、回転角度θ、回転角度φ、および回転角度γの送り量は特に限定されず、任意の値に設定される。本形態のベース撮影条件BCにおいては、回転角度θ、回転角度φ、および回転角度γの送り量は、例えば、10°に設定されている。
【0049】
続いて、良品学習モデル生成処理(S2)が実行される。良品学習モデル生成処理(S2)においては、学習モデル生成部18が、複数の良品画像データGDに基づいて機械学習を行うことにより、良品学習モデルGMを生成する。
【0050】
次に、不良品撮影処理(S3)が実行される。不良品撮影処理(S3)においては、不良箇所30を有する不良品について、ベース撮影条件BCに基づいたベースプログラムBPに従って、各検査対象物12が撮影される。ベースプログラムBPは良品撮影処理(S1)と同一なので、重複する説明を省略する。
【0051】
図4の表1には、不良品撮影処理によって撮影されたベース撮影条件BCが、一部を省略して記載されている。左端のNO.は、不良品画像データBDの個数である。本形態では、例えば、N個の不良品画像データBDが撮影された。上段に記載された、X、Y、およびZは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の送り量である。X、Y、およびZについては、0mm~300mmまで、10mm刻みで送られている。また、上段に記載された、θ、φ、およびγは、回転角度θ、回転角度φ、および回転角度γの送り量である。回転角度θは0°~360°、回転角度φは0°~180°、回転角度γは0°~90°まで、10°刻みで送られている。
【0052】
次に、図3に戻って、画像データ比較処理(S4)が実行される。画像データ比較処理(S4)において、相違画像データ抽出部19は、良品画像データGDと、当該良品画像データGDと同じ視点で撮影された不良品画像データBDと、を比較する。相違画像データ抽出部19は、良品画像データGDと、不良品画像データBDとが相違する場合、相違した不良品画像データBDを抽出する。一方、相違画像データ抽出部19は、良品画像データGDと、不良品画像データBDと相違しない場合、何も抽出しない。この点について、図5(a)~図5(c)を参照して説明する。
【0053】
図5(a)においては、良品画像データGDと、不良品画像データBDとを比べると、不良品画像データBDには、不良箇所30が写されている。この不良箇所30において、良品画像データGDと、不良品画像データBDと、は相違する。そこで、相違画像データ抽出部19は、この不良品画像データBDを、相違画像データDDとして抽出する。
【0054】
図5(b)においては、良品画像データGDと、不良品画像データBDと、を比べると、この視点においては、不良品画像データBDには不良箇所30が写されていない。このため、この視点においては、良品画像データGDと、不良品画像データBDとは、相違しない。そこで、相違画像データ抽出部19は、不良品画像データBDを抽出しない。
【0055】
図5(c)においては、検査対象物12の一部が拡大して撮影された、良品画像データGDと、不良品画像データBDと、が示される。この視点においては、不良品画像データBDには不良箇所30が写されていない。このため、この視点においては、良品画像データGDと、不良品画像データBDとは、相違しない。そこで、相違画像データ抽出部19は、不良品画像データBDを抽出しない。
【0056】
次に、図3に戻って、相違度判定処理(S5)が実行される。相違度判定処理(S5)においては、相違画像データ抽出部19は、良品学習モデルGMと、抽出された相違画像データDDとの間のユークリッド距離を計算する。
【0057】
次に、表示装置16は、相違画像データ表示処理(S6)において、相違画像データDDのうち、ユークリッド距離が大きいものから順に表示する。図6には、表示装置16に表示された表示画面31が示されている。表示画面31には、1、2、3とラベルが付された相違画像データDDが表示されている。ラベル1が付された相違画像データDDが、良品学習モデルGMとのユークリッド距離が最も大きく、ラベル2が付された相違画像データDDが、ユークリッド距離が2番目に大きく、ラベル3が付された相違画像データDDが、最もユークリッド距離が小さいものである。ただし、表示画面31に表示される相違画像の個数は特に限定されない。
【0058】
次に、図3に戻って、選択処理(S7)が実行される。選択処理(S7)においては、作業者は、表示装置16に表示された複数の相違画像データDDから、1つまたは複数の最適画像データODを選択する。図7に示すように、ラベル1の下方に表示されたチェックボックスがチェックされていることにより、ラベル1が付された相違画像データDDが、最適画像データODとして選択された状態が示される。作業者は、マウス、またはタッチパネル等の入力装置17を用いて、ラベル1と付された相違画像データDDの側方に表示されたチェックボックスをチェックすることにより、ラベル1と付された相違画像データDDを最適画像データODとして選択する。最適画像データODを表示画面31上で選択する方法は任意であり、チェックボックスに限られない。
【0059】
続いて、図3に戻って、ベースプログラム修正処理(S8)が実行される。ベースプログラム修正処理(S8)においては、プログラム修正部20は、ベース撮影条件BCから、相違画像データDDから抽出された最適画像データODが撮影された撮影条件SCを抽出する。図4の表1において、破線で囲まれた数字は、不良品画像データBDのうち、最適画像データODとして選択されたものを示す。図4の表2には、選択された最適画像データODの撮影条件SCを示す。表2においては、3組の撮影条件SCが示されているが、選択された最適画像データODの撮影条件SCは1~2個、または4個以上でも良い。
【0060】
図4の表1と表2に示されるように、表1に示されるベース撮影条件BCから抽出されることにより、表2に示される最適画像データODの撮影条件SCの個数は、表1のベース撮影条件BCの個数よりも少なくなっている。
【0061】
プログラム修正部20は、最適画像データODの撮影条件SCに基づいて、検査対象物12を撮影する撮影プログラムSPを生成する。以上により、プログラム生成支援装置10の動作が終了する。
【0062】
次いで、図3に戻って、プログラム生成支援装置10によって生成された撮影プログラムSPに基づいて、検査システム11によって検査対象物12の検査処理(S9)が実行される。以上により、検査システム11の動作が終了する。
【0063】
3.本形態の作用効果
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態に係る検査システム11のプログラム生成支援装置10は、検査対象物12の検査を行う検査システム11に適用され、検査対象物12を撮影する撮影プログラムSPの生成を支援する。プログラム生成支援装置10は、カメラ13aと、記憶部15と、相違画像データ抽出部19と、プログラム修正部20と、を備える。
【0064】
カメラ13aは、検査対象物12を複数の視点で撮影することにより複数の画像データを取得する。記憶部15は、ベース撮影条件BCにより複数の画像データを撮影するためのプログラムであるベースプログラムBPと、良品とラベルされた検査対象物12の画像データである複数の良品画像データGDと、不良品とラベルされた検査対象物12の画像データである複数の不良品画像データBDと、を記憶する。相違画像データ抽出部19は、良品画像データGDと、良品画像データGDと同じ視点で撮影された不良品画像データBDと、を比較して、不良品画像データBDのうち良品画像データGDと相違する相違画像データDDを抽出する。プログラム修正部20は、ベース撮影条件BCから相違画像データDDが撮影された撮影条件SCを抽出し、撮影条件SCに基づいて撮影プログラムSPを生成する。
【0065】
本形態によれば、作業者が、不良箇所30のアノテーション、撮影位置の教示、撮影、検証という工程を繰返す必要がないので、検査対象物12の撮影位置を効率よく最適化することができる。
【0066】
本形態に係るプログラム生成支援装置10は、複数の良品画像データGDに基づいて良品学習モデルGMを生成する学習モデル生成部18を備える。相違画像データ抽出部19は、学習モデル生成部18により生成された良品学習モデルGMに基づいて、不良品画像データBDから相違画像データDDを抽出する。これにより、良品学習モデルGMに基づいて相違画像データDDを抽出できるので、相違画像データDDの精度を向上させることができる。この結果、撮影プログラムSPに基づいて実行される検査の精度を向上させることができる。
【0067】
本形態によれば、プログラム修正部20は、撮影条件SCを、さらに修正することにより撮影プログラムSPを生成する。ベース撮影条件BCから抽出された撮影条件SCを、さらに修正することにより、撮影プログラムSPに基づいて実行される検査の精度をより向上させることができる。
【0068】
本形態によれば、プログラム修正部20は、検査対象物12と、カメラ13aと、の距離を小さくする修正を行うことにより撮影プログラムSPを生成する。これにより、不良箇所30を拡大して撮影することができるので、不良箇所30が小さい場合に有効である。
【0069】
本形態によれば、プログラム修正部20は、検査対象物12と、カメラ13aと、の相対的な撮影位置を修正することにより撮影プログラムSPを生成する。ベース撮影条件BCに基づいて撮影されたときには不良箇所30が他の部材に隠れている場合に、有効である。
【0070】
本形態に係るプログラム生成支援装置10は、検査対象物12に光を照射する照明装置13bを備える。プログラム修正部20は、照明装置13bの明るさを修正することにより撮影プログラムSPを生成する。ベース撮影条件BCに基づいて撮影されたときには不良箇所30に十分な光が照射されていなかった場合に有効である。
【0071】
本形態に係るプログラム生成支援装置10は、表示装置16に表示された相違画像データDDから、撮影プログラムSPを生成するために用いられる最適画像データODが選択される入力装置17を備える。プログラム修正部20は、選択された最適画像データODが撮影された条件に基づいてベースプログラムBPを修正する。これにより、作業者は、表示された相違画像データDDから、最適画像データODを選択できるので、撮影プログラムSPを生成する工程を省力化できる。
【0072】
(実施形態2)
次に、図8図10を参照して、実施形態2について説明する。図8に示すように、本形態に係る検査システム11a、およびプログラム生成支援装置10aは、入力装置17を有しない点で、実施形態1と異なる。
【0073】
図9に、本形態に係る検査システム11a、およびプログラム生成支援装置10aの動作を示すフローチャートを示す。本形態は、選択処理が省略されている点で実施形態1と相違する。このため、図10に示すように、相違画像データ表示処理(S16)において、表示装置16に表示された表示画面31には、最適画像データODを選択するためのチェックボックスが省略されている。
【0074】
表示画面31には、1、2、3とラベルが付された相違画像データDDが表示されている。ラベルの数字の意味は、実施形態1と同じなので重複する説明を省略する。表示画面31を視認した作業者は、どのような画像データに基づいてプログラムが生成されたかを確認することができる。
【0075】
また、本形態においては、選択処理が省略されていることにより、ベースプログラム修正処理(S18)において、プログラム修正部20は、ベース撮影条件BCから相違画像データDDが撮影された条件を抽出し、この撮影条件SCに基づいて、検査対象物12を撮影するための撮影プログラムSPを生成する。本形態によれば、作業者が画像データを選択する作業を行うことなく、検査対象物12を撮影するための撮影プログラムSPを生成することができるので、作業者の作業工数を減少させることができる。
【0076】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0077】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【0078】
(1)実施形態1および2において、制御装置14は、撮影装置13が備える構成としてもよい。
【0079】
(2)実施形態1および2において、学習モデル生成部18は省略してもよい。
【0080】
(3)図11に示すように、カメラ13aに、回転可能なレボルバ32が取付けられており、レボルバ32に、拡大倍率の異なる複数のレンズ33が取付けられている構成としても良い。レボルバ32は、制御装置14によって回転角度が制御される。レボルバ32が所定の位置に回転することにより、カメラ13aは異なる拡大倍率で検査対象物12を撮影することができる。
【符号の説明】
【0081】
10,10a:プログラム生成支援装置、11,11a:検査システム、12:検査対象物、13a:カメラ、13b:照明装置、15:記憶部、16:表示装置、17:入力装置、18:学習モデル生成部、19:相違画像データ抽出部、20:プログラム修正部、30:不良箇所、BC:ベース撮影条件、BD:不良品画像データ、BP:ベースプログラム、DD:相違画像データ、GD:良品画像データ、GM:良品学習モデル、OD:最適画像データ、SC:撮影条件、SP:撮影プログラム
図1
図2
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図11