(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158850
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】シート収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D83/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074421
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴貴
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB01
3E014LB03
3E014MC07
(57)【要約】
【課題】樹脂フィルムを用いなくても、シートの取出性に優れるシート収納箱を提供すること。
【解決手段】積層された複数枚のシートを収容する箱体と、前記箱体の天面に開口し、前記天面の長手方向に延びる取出口と、を有する、シート収納箱であって、前記取出口の中央部に配置され、前記取出口の幅方向の周縁から延びて、前記取出口の幅方向に対向する一対のフラップを有し、前記フラップの基端に第1ミシン目が設けられている、シート収納箱。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する箱体と、
前記箱体の天面に開口し、前記天面の長手方向に延びる取出口と、を有する、シート収納箱であって、
前記取出口の中央部に配置され、前記取出口の幅方向の周縁から延びて、前記取出口の幅方向に対向する一対のフラップを有し、
前記フラップの基端に第1ミシン目が設けられている、シート収納箱。
【請求項2】
前記第1ミシン目が、並列に延びる2本のミシン目で構成されている、請求項1に記載のシート収納箱。
【請求項3】
前記フラップは、前記取出口の幅方向に凸となる少なくとも1つの凸部を有する、請求項1に記載のシート収納箱。
【請求項4】
前記フラップは、
前記取出口の長手方向に並ぶ2つの前記凸部と、
前記2つの凸部間に構成される凹部と、を有する、請求項3に記載のシート収納箱。
【請求項5】
前記凸部は、前記フラップの前記基端から先端までの距離が、前記取出口の最大幅に対して、20~45%である、請求項3に記載のシート収納箱。
【請求項6】
前記取出口の長手方向において、前記長手方向の端縁から前記凸部までの最短距離が、前記取出口の前記長手方向の長さに対して、20~50%である、請求項4に記載のシート収納箱。
【請求項7】
開裂すると前記取出口を形成し、且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する、第2ミシン目を有し、
前記第2ミシン目は、前記第1ミシン目から離間して設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート収納箱。
【請求項8】
開裂すると前記取出口を形成し、且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する、第2ミシン目を有し、
前記第1ミシン目のタイカット比が、前記第2ミシン目のタイカット比より大きい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート収納箱。
【請求項9】
開裂すると前記取出口を形成し、且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する、第2ミシン目を有し、
前記第2ミシン目は、前記第1ミシン目に最も近接するカットの長さが他のカットの長さより長い、請求項8に記載のシート収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート収納箱は、ティシューペーパーなどのシートが、厚紙等で作られた箱(いわゆるカートン)に収納され、該箱の天面にシートを取り出すための取出口が設けられている。また、取出口の裏面には、樹脂製のフィルム(いわゆる窓貼フィルム)が貼り付けられており、該フィルムに形成されたスリットを通じてシートが引き出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年のCO2排出に伴う地球温暖化対策として化石燃料の使用削減やマイクロプラスチック等の海洋汚染を抑制する観点から、プラスチックの使用を抑制する動きがある。これに対して、樹脂製のフィルムを使用しないシート収納箱(いわゆるフィルムレスカートン)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4142238号公報
【特許文献2】特許第6554284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂フィルムを使用しないシート収納箱では、引き出されるシートが取出口の周縁に引っ掛かり、シートが引き出しにくい場合がある。また、引き出されるシートが取出口に支持されず、箱の内部に落ち込む場合がある。このように、樹脂フィルムを使用しないシート収納箱には、シートの取出性に劣るという課題がある。
【0006】
本発明の課題は、樹脂フィルムを用いなくても、シートの取出性に優れるシート収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートを収容する箱体と、前記箱体の天面に開口し、前記天面の長手方向に延びる取出口とを有する、シート収納箱であって、前記取出口の中央部に配置され、前記取出口の幅方向の周縁から延びて、前記取出口の幅方向に対向する一対のフラップを有し、前記フラップの基端に第1ミシン目が設けられている、シート収納箱を提供する。
【0008】
本明細書において、取出口の中央部とは、取出口の図心(仮想の中心)を含む取出口の全領域の30%~60%の領域または範囲を示す。
【0009】
第1の態様では、取出口の幅方向の周縁から延びる一対のフラップを取出口の中央部に配置し、各フラップの基端にミシン目を設けることで、各フラップが基端を起点に上下方向に傾斜可能となる。
【0010】
これにより、取出口からシートを引き出す際にシートがフラップに接触してもフラップが上方に傾斜し、引き出されるシートに対してフラップが抵抗になりにくい。そのため、取出口に一対のフラップが設けられていても、引き出されるシートが取出口に引っ掛かりにくく、シートが引き出しやすい。
【0011】
また、取出口からシートが引き出された後は、フラップが元の状態に戻り、次に引き出されるシートは、フラップに支持される。そのため、取出口にこのような一対のフラップを設けることで、取出口に支持されたシートが箱の内部に落ち込むことを防ぐことができる。
【0012】
本発明に係る第2の態様は、第1ミシン目が、並列に延びる2本のミシン目で構成されている、第1の態様に記載のシート収納箱を提供する。第2の態様では、フラップの基端に設けられたミシン目が、並列に延びる2本のミシン目で構成されていることで、各フラップが基端を起点に傾斜する動作が滑らかになる。
【0013】
これにより、取出口からシートを引き出す際にシートがフラップに接触してもシートをスムーズに引き出すことができる。また、フラップの基端が変形しにくいため、フラップが傾斜する動作を最後のシートが引き出されるまで維持することができる。
【0014】
本発明に係る第3の態様は、フラップは、前記取出口の幅方向に凸となる少なくとも1つの凸部を有する、第1または第2の態様に記載のシート収納箱を提供する。第3の態様では、各フラップが取出口の幅方向に凸となる少なくとも1つの凸部を有することで、取出口に支持されるシートがフラップの凸部に係止されやすくなる。そのため、取出口に支持されたシートの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る第4の態様は、前記フラップは、前記取出口の長手方向に並ぶ2つの前記凸部と、前記2つの凸部間に構成される凹部とを有する、第3の態様に記載のシート収納箱を提供する。
【0016】
第4の態様では、各フラップが、取出口の長手方向に並ぶ2つの凸部を有することで、引き出されるシートがフラップの2つの凸部にバランスよく接触するため、シートをスムーズに引き出すことができる。取出口に支持されるシートは、フラップの2つの凸部にバランスよく支持されるため、取出口に支持されたシートの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0017】
また、各フラップが、2つの凸部間に構成される凹部を有することで、この凹部から箱の内部に指先を挿入してシートを摘まむことができる。そのため、最初のシートや落ち込んだシートでも容易に引き出すことができる。
【0018】
本発明に係る第5の態様は、前記凸部は、前記フラップの前記基端から先端までの距離が、前記取出口の最大幅に対して、20~45%である、第3または第4の態様に記載のシート収納箱を提供する。第5の態様では、フラップの基端から先端までの距離を、取出口の最大幅に対して20~45%にすることで、フラップの凸部には、引き出されるシートが引っ掛かりにくく、次に引き出されるシートは支持されやすくなる。
【0019】
また、フラップの基端から先端までの距離を、取出口の最大幅に対して20~45%にすることで、フラップの2つの凸部間に凹部を確実に形成することができる。そのため、凹部から箱の内部に指先を挿入することができ、最初のシートや落ち込んだシートでも容易に引き出すことができる。
【0020】
本発明に係る第6の態様は、前記取出口の長手方向において、前記長手方向の端縁から前記凸部までの最短距離が、前記取出口の前記長手方向の長さに対して、20~50%である、第4または第5の態様に記載のシート収納箱を提供する。第6の態様では、取出口の長手方向の端縁から凸部までの最短距離を、取出口の長手方向の長さに対して20~50%にすることで、取出口の長手方向に並ぶ2つの凸部をフラップにバランスよく配置することができる。
【0021】
これにより、引き出されるシートがフラップの2つの凸部にバランスよく接触するため、シートをさらにスムーズに引き出すことができる。また、取出口に支持されるシートは、フラップの2つの凸部にバランスよく支持されるため、取出口に支持されたシートの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0022】
本発明に係る第7の態様は、開裂すると前記取出口を形成し、且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する、第2ミシン目を有し、前記第2ミシン目は、前記第1ミシン目から離間して設けられている、第1乃至第6の態様のいずれか一つに記載のシート収納箱を提供する。
【0023】
第7の態様では、開裂すると取出口を形成し且つ一部がフラップの自由端部を形成する第2ミシン目を有することで、この第2ミシン目を開裂するだけで、一対のフラップが設けられた取出口を形成することができる。また、第2ミシン目が第1ミシン目から離間して設けられていることで、第2ミシン目を開裂したときに、第1ミシン目が開裂することを防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る第8の態様は、開裂すると前記取出口を形成し且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する第2ミシン目を有し、前記第1ミシン目のタイカット比が、前記第2ミシン目のタイカット比より大きい、第1乃至第7の態様のいずれか一つに記載のシート収納箱を提供する。
【0025】
第8の態様でも、開裂すると取出口を形成し且つ一部がフラップの自由端部を形成する第2ミシン目を有することで、この第2ミシン目を開裂するだけで、一対のフラップが設けられた取出口を形成することができる。また、第8の態様では、第1ミシン目のタイカット比が第2ミシン目のタイカット比より大きいことで、第1ミシン目に対して第2ミシン目が開裂しやすくなるため、第2ミシン目を開裂した際の第1ミシン目の開裂を抑制することができる。
【0026】
本発明に係る第9の態様は、開裂すると前記取出口を形成し、且つ一部が前記フラップの自由端部を形成する、第2ミシン目を有し、前記第2ミシン目は、前記第1ミシン目に最も近接するカットの長さが他のカットの長さより長い、第1乃至第8の態様のいずれか一つに記載のシート収納箱を提供する。
【0027】
第9の態様でも、開裂すると取出口を形成し且つ一部がフラップの自由端部を形成する第2ミシン目を有することで、この第2ミシン目を開裂するだけで、一対のフラップが設けられた取出口を形成することができる。また、第9の態様では、第2ミシン目の第1ミシン目に最も近接するカットの長さが他のカットの長さより長いことで、第2ミシン目では、第1ミシン目に最も近接する部分が最も開裂しやすくなるため、第2ミシン目を開裂した際の第1ミシン目の開裂を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、樹脂フィルムを用いなくても、シートの取出性に優れるシート収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係るシート収納箱を示す図である。
【
図2】シート収納箱に収容されるシート積層体を示す図である。
【
図5】
図3において第2ミシン目の一部を拡大した図である。
【
図6】
図3において第1ミシン目(一方の側面側)の一部を拡大した図である。
【
図7】
図3において第1ミシン目(他方の側面側)の一部を拡大した図である。
【
図8】
図3において第1ミシン目に対する第2ミシン目の最近接部を拡大した図である。
【
図9】
図3において第1ミシン目に対する第2ミシン目の最近接部を拡大した図である。
【
図10】
図3において第1ミシン目に対する第2ミシン目の最近接部を拡大した図である。
【
図11】
図3において第1ミシン目に対する第2ミシン目の最近接部を拡大した図である。
【
図13】第2実施形態に係るシート収納箱の取出口を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係るシート収納箱において取出口を開口した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本明細書では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート収納箱の長手方向をX方向とし、短手方向(奥行き方向)をY方向とし、高さ方向をZ方向とする。
【0031】
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート収納箱を示し、
図2は、シート収納箱に収容されるシート積層体を示す。なお、本実施形態は、シート収納箱を構成する箱体10にシートSが収納された態様である。
【0032】
本実施形態に係るシート収納箱100は、
図1に示すように、略直方体(立方体を含む)状に形成された箱体10で構成されている。箱体10は、天面11、底面12、一対の側面13、14および一対の妻面15、16を有する。なお、天面11と底面12は、高さ方向(Z方向)に対向し、一対の側面13、14は短手方向(Y方向)に対向し、一対の妻面15、16は長手方向(X方向)に対向する。
【0033】
箱体10の材質は、限定されず、例えば、パルプを主原料とする原紙が用いられる。ここで、原紙は、箱体10を組み立てるための材料となる堅くて厚い紙を示す。原紙のパルプ組成は、特に限定されず、例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。本実施形態では、原紙としてバージンパルプ、古紙パルプなどを原料とするコートボール紙が用いられている。
【0034】
また、原紙の坪量は、限定されないが、使用に耐え得る十分な強度を確保する観点から、原紙の坪量が200g/m2以上500g/m2以下であり、好ましくは230g/m2以上450g/m2以下であり、より好ましくは270g/m2以上430g/m2以下である。なお、本明細書において、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準じて測定される。
【0035】
原紙の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、原紙がコートボール紙の場合、原紙の紙厚は、0.1mm以上3mm以下にすることができ、好ましくは0.3mm以上2mm以下、より好ましくは0.5mm以上1mm以下である。
【0036】
箱体10の寸法は、限定されず、収納されるシートSの量や寸法などにより定めることができる。例えば、箱体10の長手方向(X方向)の長さは、100mm以上300mm以下にすることができ、好ましくは150mm以上280mm以下にする。
【0037】
また、箱体10の短手方向(Y方向)の幅は、100mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは100mm以上130mm以下にする。さらに、箱体10の高さ方向(Z方向)の高さは、30mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは40mm以上100mm以下にする。
【0038】
箱体10には、積層された複数枚のシートSが収容されている。本実施形態では、箱体10に収容される複数枚のシートSは、複数枚のシートSが積層方向(Z方向)に積層されたシート積層体SLで構成されている(
図1、
図2)。
【0039】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙のシート(以下、紙シートという)である。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。パルプの配合割合は、例えば、50質量%以上にすることができ、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。
【0040】
また、シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m2以上80g/m2以下、不織布の場合は20g/m2以上100g/m2以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0041】
また、シートSの厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSを構成する紙シートの紙厚は、1プライ(2プライの場合は2プライあたり)、50μm以上500μm以下にすることができ、好ましくは60μm以上330μm以下である。
【0042】
シートSの形態は、特に限定されず、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、キッチンペーパー、ベビー用または介護用の紙おむつ、生理用ナプキン等の物品に適用可能である。なお、ペーパータオル、ティシューペーパー等の衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。また、シートSの用途は、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できる。
【0043】
シートSのプライ数は、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、1プライまたは2プライのシートが折り畳まれた状態の形状が平面視で長方形であることが好ましい。
【0044】
シートSの寸法は、例えば、ティシューペーパーの場合、上面および底面の寸法が60~130mm×150~250mm、高さが20~110mm以下である。また、プライ数は、1プライ以上が好ましく、2プライがより好ましい。
【0045】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体SL)、複数枚(または複数組)のシートSが単に積層されたもの、各シートSが折り畳まれた状態で積層されたもの等が挙げられる。なお、シートSを1枚または1組ずつ引き出す観点から、シート積層体SLの形態は、ポップアップ式のシート積層体SLが好ましい。
【0046】
シート積層体SLの寸法は、例えば、ペーパータオルの場合、長手方向(X方向)の長さが80mm以上280mm以下であり、短手方向(Y方向)の長さが60mm以上130mm以下であり、積層方向(Z方向)の高さ20mm以上140mm以下である。このようなシート積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0047】
シート収納箱100は、箱体10の天面11に開口する取出口20を有する。取出口20は、箱体10に収容されているシートSを天面11側から引き出さすことができる形状になっている。取出口20は、箱体10の長手方向(X方向)に延びる輪郭形状を有する。具体的には、天面11の中心Gに形成され、略長方形状または略楕円形状の開口を構成する。
【0048】
本実施形態では、シート収納箱100の使用時に、取出口20を通じて、箱体10に収容されているシートSが外部へ取り出される。なお、取出口20の長手方向(X方向)の長さや短手方向(Y方向)の幅は、シート略長方形状または略楕円形状に形成されているが、これに限定されず、シートSを取り出すことができれば、他の形状でもよい。
【0049】
シート収納箱100は、使用前の段階では、取出口20を覆う蓋部が、ミシン目M1を介して天面11に接続されている。蓋部は、両端部21、22と中央部23で構成されている。蓋部の両端部21、22には、それぞれ半円状の切込で形成されたトリガー50、60が設けられていてもよい(
図3、4)。
【0050】
使用時には、蓋部のトリガー50またはトリガー60に指を掛け、ミシン目M1を開裂して蓋部を切り離すと、天面11に開口する取出口20が形成される。これにより、箱体10内のシートSは、取出口20から上方に取り出すことができる。
【0051】
ミシン目M1は、使用時において蓋部を切り離すための切目線である(
図1、
図3参照)。ミシン目M1は、カットC1とタイT1が交互に配置され、タイT1が破断すると両隣のカットC1が連続したカットになる(
図5)。なお、タイは、2つのカット間のカットされていない部分を示す。
【0052】
ミシン目M1において、各カットC1の長さは、1mm以上20mm以下とすることができ、好ましくは3mm以上15mm以下であり、より好ましくは5mm以上10mm以下である。また、各タイT1の長さは、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
【0053】
ミシン目M1のタイカット比(カットC1の長さに対するタイT1の長さの比)は、特に限定されないが、0.05以上0.3以下にすることができ、好ましくは0.07以上0.25以下、より好ましくは0.1以上0.2以下である。
【0054】
シート収納箱100では、ミシン目M1を開裂すると、上述のように、取出口20が形成され、且つ一部が後述するフラップ30、40の自由端部(先端32、42)を形成する。すなわち、ミシン目M1が開裂することで、後述するフラップ30(F1)、40(F2)が形成される(
図3、
図12)。なお、ミシン目M1は、本実施形態のシート収納箱における第2ミシン目の一例である。
【0055】
また、ミシン目M1(第2ミシン目)は、後述するミシン目M2、M3(第1ミシン目)から離間して設けられている。本実施形態では、ミシン目M2、M3にそれぞれ最も近接するミシン目M1の一部(最近接部)CC(両端部21、22と中央部23との間の角部B1、B2、B3、B4)が、ミシン目M2、M3のカットC2(C21、C22)、C3(C31、C32)に接続しない位置に設けられている(
図4、
図8~
図11)。
【0056】
本実施形態に係るシート収納箱100では、取出口20の幅方向(Y方向)に対向する一対のフラップ30、40が設けられている。一対のフラップ30、40は、取出口20の中央部Gに配置され、取出口20の幅方向(Y方向)の周縁20A、20Bから延びる(
図3、4)。
【0057】
ここで、取出口20の中央部Gは、取出口20の図心(仮想の中心または天面11の中心G)を含む取出口20の全領域の30%~60%の領域または範囲を示す。
【0058】
シート収納箱100では、さらに、フラップ30、40の基端31、41にミシン目M2、M3がそれぞれ設けられている。ミシン目M2、M3は、本実施形態のシート収納箱における第1ミシン目の一例である。
【0059】
ミシン目M2、M3(第1ミシン目)は、開裂を目的としない切目線であり、開裂用のミシン目M1(第2ミシン目)とは機能が異なる(
図1、
図3参照)。ミシン目M2の態様は、特に限定されず、例えば、ミシン目M1と同じ1本のミシン目で構成することができるが(
図5)、並列に延びる2本のミシン目で構成することが好ましい。
【0060】
ミシン目M2は、カットC2とタイT2が交互に配置され、タイT2が破断すると両隣のカットC2が連続したカットになる。ミシン目M2は、並列に延びる2本のミシン目で構成する場合、カットC2はカットC21、22で構成され、タイT2は、タイT21、22で構成される(
図6)。
【0061】
また、ミシン目M3は、カットC3とタイT3が交互に配置され、タイT3が破断すると両隣のカットC3が連続したカットになる。ミシン目M3は、並列に延びる2本のミシン目で構成する場合、カットC3はカットC31、32で構成され、タイT3は、タイT31、32で構成される(
図7)。
【0062】
ミシン目M2、M3において、各カットC2(C21、22)、C3(C31、32)の長さは、例えば、0.3mm以上3mm以下であり、好ましくは0.5mm以上3.5mm以下、より好ましくは0.8mm以上2mm以下である。また、各タイT2(T21、22)、T3(T31、32)の長さは、例えば、0.3mm以上3mm以下であり、好ましくは0.5mm以上3.5mm以下、より好ましくは0.8mm以上2mm以下である。
【0063】
ミシン目M2、M3のタイカット比(カットC2、C3の長さに対するタイT2、T3の長さの比)は、特に限定されないが、0.5以上2以下にすることができ、好ましくは0.7以上1.8以下、より好ましくは0.9以上1.5以下である。
【0064】
また、ミシン目M2、M3(第1ミシン目)のタイカット比は、ミシン目M1(第2ミシン目)のタイカット比より大きいことが好ましい。本実施形態では、ミシン目M1のタイT1の長さがミシン目M2、M3のタイT2、T3の長さと同程度であるのに対して、ミシン目M1のカットC1の長さがミシン目M2、M3のカットC2、C3の長さより長くなっている(
図8~
図11)。
【0065】
さらに、ミシン目M1(第2ミシン目)は、ミシン目M2、M3(第1ミシン目)に最も近接するカット(最近接部CC)の長さが他のカットC1の長さより長いことが好ましい。本実施形態では、ミシン目M1の角部B1、B2、B3、B4における最近接部CCが連続する曲線状のカットで構成されている(
図4、
図8~
図11)。
【0066】
ミシン目M2、M3は、並列に延びる2本のミシン目で構成する場合、2本のミシン目間の間隔は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.3mm以上1.3mm以下、さらに好ましくは0.5mm以上1.1mm以下である。
【0067】
本実施形態のシート収納箱100では、フラップ30、40は、取出口20の幅方向(Y方向)に凸となる少なくとも1つの凸部を有する。凸部は、取出口20の幅方向(Y方向)におけるフラップ30、40の基端31、41から先端32、42(自由端部)までの距離W2が最も長くなる部分である。
【0068】
第1実施形態では、フラップ30に、取出口20の長手方向(X方向)に並ぶ2つの凸部32A、32Bが設けられ、フラップ40に、取出口20の長手方向(X方向)に並ぶ2つの凸部42A、42Bが設けられている。取出口20の幅方向(Y方向)において、フラップ30の凸部32Aは、フラップ40の凸部42Aに対向し、フラップ30の凸部32Aは、フラップ40の凸部42Aに対向する(
図4)。
【0069】
フラップ30の凸部32A、32Bは、フラップ30の基端31から先端32までの距離W2が、取出口20の最大幅W1に対して20~45%であることが好ましく、25~40%であることがより好ましく、30~35%であることがさらに好ましい(
図3)。
【0070】
フラップ40の凸部42A、42Bは、フラップ40の基端41から先端42までの距離W2が、取出口20の最大幅W1に対して20~45%であることが好ましく、25~40%であることがより好ましく、30~35%であることがさらに好ましい(
図3)。
【0071】
なお、取出口20の最大幅は、取出口20の幅方向(Y方向)において最も長い取出口20の幅W1を示す(
図3)。
【0072】
フラップ30では、取出口20の長手方向(X方向)において、長手方向(X方向)の端縁20Cから凸部32Aまでの最短距離L2および長手方向(X方向)の端縁20Dから凸部32Bまでの最短距離L3が、取出口20の長手方向(X方向)の長さ(全長)L1に対して20~50%であることが好ましく、25~45%であることがより好ましく、30~40%であることがさらに好ましい。
【0073】
また、フラップ40では、取出口20の長手方向(X方向)において、長手方向(X方向)の端縁20Cから凸部42Aまでの最短距離L2および長手方向(X方向)の端縁20Dから凸部42Bまでの最短距離L3が、取出口20の長手方向(X方向)の長さ(全長)L1に対して20~50%であることが好ましく、25~45%であることがより好ましく、30~40%であることがさらに好ましい。
【0074】
なお、取出口の長手方向(X方向)において、長手方向(X方向)のいずれか一方の端縁から最も近い凸部までの距離L2、L3を示す。
【0075】
第1実施形態では、フラップ30に、2つの凸部32A、32Bが設けられることで、2つの凸部32A、32B間に凹部32Cが構成される。また、フラップ40に、2つの凸部42A、42Bが設けられることで、2つの凸部42A、42B間に凹部42Cが構成される。凹部は、取出口20の幅方向(Y方向)におけるフラップ30、40の基端31、41から先端32、42(自由端部)までの距離が最も短く長くなる部分である。
【0076】
以下、第1実施形態に係るシート収納箱100の動作について説明する。第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、取出口20の幅方向(Y方向)の周縁20A、20Bから延びる一対のフラップ30、40を取出口20の中央部Gに配置し、各フラップ30、40の基端31、41にミシン目M2、M3を設けることで、各フラップ30、40が基端31、41を起点に上下方向に傾斜可能となる。
【0077】
これにより、取出口20からシートSを引き出す際にシートSがフラップ30、40に接触してもフラップ30、40が上方に傾斜し、引き出されるシートSに対してフラップ30、40が抵抗になりにくい。そのため、取出口20に一対のフラップ30、40が設けられていても、引き出されるシートSが取出口20に引っ掛かりにくく、シートSが引き出しやすい。
【0078】
また、取出口20からシートSが引き出された後は、フラップ30、40が元の状態に戻り、次に引き出されるシートSは、フラップ30、40に支持される。そのため、取出口20にこのような一対のフラップ30、40を設けることで、取出口20に支持されたシートSが箱体10の内部に落ち込むことを防ぐことができる。
【0079】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、フラップ30、40の基端31、41に設けられたミシン目M2、M3が、並列に延びる2本のミシン目でそれぞれ構成されていることで、各フラップ30、40が基端31、41を起点に傾斜する動作が滑らかになる。
【0080】
これにより、取出口20からシートSを引き出す際にシートSがフラップ30、40に接触してもシートSをスムーズに引き出すことができる。また、フラップ30、40の基端31、41が変形しにくいため、フラップ30、40が傾斜する動作を最後のシートSが引き出されるまで維持することができる。
【0081】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、各フラップ30、40が取出口20の幅方向(Y方向)に凸となる少なくとも1つの凸部(第1実施形態では、2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42B)を有することで、取出口20に支持されるシートSがフラップ30、40の2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bに係止されやすくなる。そのため、取出口20に支持されたシートSの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0082】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、各フラップ30、40が、取出口20の長手方向(X方向)に並ぶ2つの凸部42A、42Bを有することで、引き出されるシートSがフラップ30、40の2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bにバランスよく接触するため、シートSをスムーズに引き出すことができる。取出口20に支持されるシートSは、フラップ30、40の2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bにバランスよく支持されるため、取出口20に支持されたシートSの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0083】
また、各フラップ30、40が、2つの凸部32A、32B間および2つの凸部42A、42B間にそれぞれ構成される凹部32C、42Cを有することで、この凹部32C、42Cから箱体10の内部に指先を挿入してシートSを摘まむことができる。そのため、最初のシートSや落ち込んだシートSでも容易に引き出すことができる。
【0084】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、フラップ30、40の基端31、41から先端32、42(自由端部)までの距離W2を、取出口20の最大幅W1に対して20~45%にすることで、フラップ30の凸部32A、32Bおよびフラップ40の凸部42A、42Bには、引き出されるシートSが引っ掛かりにくく、次に引き出されるシートSは支持されやすくなる。
【0085】
また、フラップ30、40の基端31、41から先端32、42(自由端部)までの距離W2を、取出口20の最大幅W1に対して20~45%にすることで、フラップ30の2つの凸部32A、32B間に凹部32Cを確実に形成し、フラップ40の2つの凸部42A、42B間に凹部42Cを確実に形成することができる。そのため、凹部32C、42Cから箱体10の内部に指先を挿入することができ、最初のシートSや落ち込んだシートSでも容易に引き出すことができる。
【0086】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、取出口20の長手方向(X方向)の端縁20Cから凸部32A、42Aまでの最短距離L2および長手方向(X方向)の端縁20Dから凸部32B、42Bまでの最短距離L3を、取出口20の長手方向(X方向)の長さ(全長)L1に対して20~50%にすることで、取出口20の長手方向(X方向)に並ぶ2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bをフラップ30、40にバランスよく配置することができる。
【0087】
これにより、引き出されるシートSがフラップ30、40の2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bにバランスよく接触するため、シートSをさらにスムーズに引き出すことができる。また、取出口20に支持されるシートSは、フラップ30、40の2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bにバランスよく支持されるため、取出口20に支持されたシートSの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【0088】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、開裂すると取出口20(開口OP)を形成し、且つ一部がフラップ30、40の自由端部(フラップ30、40の先端32、42)を形成する、ミシン目M1(第2ミシン目)を有する。これにより、このミシン目M1を開裂するだけで、一対のフラップ30、40が設けられた取出口20を形成することができる。また、ミシン目M1がミシン目M2、M3から離間して設けられていることで、ミシン目M1を開裂したときに、ミシン目M2が開裂することを防ぐことができる。
【0089】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、ミシン目M2、M3(第1ミシン目)のタイカット比がミシン目M1(第2ミシン目)のタイカット比より大きい。これにより、ミシン目M2、M3(第1ミシン目)に対してミシン目M1(第2ミシン目)が開裂しやすくなるため、ミシン目M1(第2ミシン目)を開裂した際のミシン目M2、M3(第1ミシン目)の開裂を抑制することができる。
【0090】
また、第1実施形態のシート収納箱100では、上述のように、ミシン目M1(第2ミシン目)のミシン目M2、M3(第1ミシン目)に最も近接するカット(最近接部CC)の長さが他のカットC1の長さより長い。これにより、ミシン目M1では、ミシン目M2、M3に最も近接する部分(最近接部CC)が最も開裂しやすくなるため、ミシン目M1を開裂した際のミシン目M2、M3の開裂を抑制することができる。
【0091】
図13は、本発明の第2実施形態に係るシート収納箱の取出口を示し、
図14は第2実施形態に係るシート収納箱において取出口を開口した状態を示す。なお、
図14、
図13において、
図4、
図12と共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
第2実施形態に係るシート収納箱100では、フラップ30、40は1つの凸部32、42(先端32、42)を有する。また、フラップ30の凸部32(先端32)とフラップ40の凸部42(先端42)は、取出口20の幅方向(Y方向)に対向しない。
【0093】
第2実施形態に係るシート収納箱100は、フラップ30、40にそれぞれ1つの凸部32、42が設けられている点で、2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bが設けられた第1実施形態のシート収納箱100と異なるが、取出口20の幅方向(Y方向)の周縁20A、20Bから延びる一対のフラップ30、40を取出口20の中央部Gに配置し、各フラップ30、40の基端31、41にミシン目M2を設けることで、各フラップ30、40が基端31、41を起点に上下方向に傾斜可能となる。
【0094】
また、第2実施形態に係るシート収納箱100では、フラップ30、40にそれぞれ1つの凸部32、42(先端32、42)が設けられているため、取出口20に支持されるシートSがフラップ30、40の凸部32(先端32)および凸部42(先端42)に係止されやすくなる。そのため、取出口20に支持されたシートSの落ち込みをさらに防ぐことができる。
【実施例0095】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0096】
<シート収納箱(試験体)>
試験体として、原紙が坪量310g/m
2の裏ネズコートボール紙であり、寸法が高さ約44mm、長手方向(X方向)の長さ約229mm、短手方向(Y方向)の幅約110mmの箱体10を作製した。
図1に示すように、箱体10の天面11の中心Gに、天面11の長手方向(X方向)に延びる取出口20を形成した。取出口20の輪郭形状は、略長方形状または略楕円形状とした。取出口20の寸法は、長手方向(X方向)の長さを約175mm、天面11の中心Gにおける短手方向(Y方向)の最大幅を約45mm、長手方向(X方向)の両端縁20C、20Dにおける短手方向(Y方向)の寸法を約25mmとした。
【0097】
<シート(ティシューペーパー)>
シートSは、交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー(坪量:10.7g/m
2、紙厚:110μm、プライ数:2プライ、組数:150組(300枚)、寸法:嵩(高さ)約40mm、CD方向の幅:約197mm、MD方向の幅:約207mmを用いた。また、シートSは、積層方向がシート収納箱100の高さ方向(Z方向)となるように箱体10に収容した(
図1)。
【0098】
[取出し抵抗値]
シート収納箱100の取出口20から見えるシートSの端部に治具(株式会社イマダ製、フィルムチャックFC-40)を取り付け、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージZ2-20N)にて垂直方向へ引き出し、引き出し時の抵抗値(ピーク)の測定を行った。1組目、1~30組目、31~60組目、61~90組目、91~120組目、121~150組目まで各5回測定し、平均値を取出し抵抗値として算出した。取出し抵抗値は、50gf未満の場合は取出性がA(優良)、51gf以上80gf未満の場合は取出性がB(良)と評価し、取出し抵抗値が80gf以上の場合はC(不良)と評価した。
【0099】
[開封性]
シート収納箱100(カートン)の取り出し口の開封性を評価した。開封性の評価は、被験者10人がシート収納箱100の取出口20のミシン目M1を開裂したときに、開裂しやすいと感じた被験者の数が8人以上の場合は開封性がA(優良)、5人以上7人以下の場合は開封性がB(良)、4人以下の場合はC(不良)と評価した。
【0100】
[落ち込み回数]
シート収納箱100の落ち込み回数を確認した。引出し抵抗値を評価した。上記の取出し抵抗値を測定する際に、1組目から150組目まで引き出す間に、シートが取出口20から箱体10の内部に落ち込んだ回数が5回以下の場合は良好、5回以上の場合は不良と評価した。
【0101】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0102】
[実施例1]
図1~
図12に示すように、取出口20の中央部Gに取出口20の幅方向(Y方向)の周縁20A、20Bから延びて取出口20の幅方向(Y方向)に対向する一対のフラップ30、40を設け、フラップ30、40に2つの凸部32A、32Bおよび2つの凸部42A、42Bを設け、フラップ30、40の基端31、41にミシン目M2(2本のミシン目またはダブルミシン目)を設けた試験体(シート収納箱100)を作製した。この試験体について、取出し抵抗値、開封性、および落ち込み回数を評価した。結果を表1に示す。
【0103】
[実施例2]
フラップ30、40の基端31、41に設けられたミシン目M2を1本のミシン目で形成した以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0104】
[実施例3]
図13、14に示すように、フラップ30、40に1つの凸部32(先端32)および凸部42(先端42)を設けた以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0105】
[比較例1]
フラップ30、40の基端31、41にミシン目M2を設けなかった以外は、実施例3とほぼ同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0106】
【0107】
表1より、取出口20の中央部Gに配置され、取出口20の幅方向(Y方向)の周縁20A、20Bから延びて、取出口20の幅方向(Y方向)に対向する一対のフラップ30、40を有し、フラップ30、40の基端にミシン目M2(第1ミシン目)が設けられ、フラップ30、40は、取出口20の幅方向(Y方向)に凸となる少なくとも1つの凸部32、42(先端32、42)を有するシート収納箱100では、取出し抵抗値、開封性、および落ち込み回数が良好であった(実施例1~3)。
【0108】
一方、フラップ30、40の基端にミシン目が設けられていないシート収納箱100では、取出し抵抗値、開封性が不良であった(比較例1)。
【0109】
これらの結果から、取出口の中央部に配置され、取出口の幅方向の周縁から延びて、取出口の幅方向に対向する一対のフラップを有し、フラップの基端に第1ミシン目が設けられているシート収納箱は、樹脂フィルムを用いなくても、シートの取出性、開封性に優れ、落ち込みにくいことが判る。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。