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特開2024-158852シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法、データ生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158852
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法、データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/14 20120101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074425
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北浦 麻子
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 英吾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC26
5L050CC26
(57)【要約】
【課題】旅行者を加味したシミュレーションを可能にすることを目的とする。
【解決手段】コンピュータによる、シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法であって、前記コンピュータが、統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによる、シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法であって、前記コンピュータが、
統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、
前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、
前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える、データ生成方法。
【請求項2】
前記旅行種別は、
前記旅行者が、前記対象地域に宿泊するか、又は、日帰りかを示す情報である、請求項1記載のデータ生成方法。
【請求項3】
前記滞在場所を示す情報は、
前記旅行者が、前記対象地域への宿泊である場合には、前記対象地域内における前記旅行者の宿泊所の場所を示す情報である、請求項1記載のデータ生成方法。
【請求項4】
前記滞在場所を示す情報は、
前記旅行種別が、前記対象地域からの日帰りである場合には、前記旅行者の居住地と前記対象地域とを結ぶ交通機関の流入出場所を示す情報である、請求項1記載のデータ生成方法。
【請求項5】
前記旅行者の人属性データは、
前記統計データから生成される、旅行者の人属性データを特定する情報と、旅行種別毎の旅行者の人数を示す情報とに基づき、前記旅行者の居住地における居住者の人属性データから、取得される、請求項1又は2一項に記載のデータ生成方法。
【請求項6】
統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、
前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、
前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える、処理をコンピュータに実行させるデータ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法、データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、社会課題に対して行われる社会シミュレーションの一つとして、人の移動状況を推定するための人流シミュレーションが知られている。このシミュレーションでは、各地域の居住者を主とした合成人口データが用いられる。合成人口データとは、国勢調査等で得られる居住者の統計データを用いて、居住者を仮想的に再現した人データ群である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-243130号公報
【特許文献2】特開2017-219996号公報
【特許文献3】特開2019-179320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の人流シミュレーションで用いられる合成人口データは、シミュレーションの対象となるエリアを訪れる旅行者に関するデータは含まれない。このため、従来では、旅行者が多いエリアを対象とした人流シミュレーションを行う場合に、旅行者を加味することができない。
【0005】
1つの側面では、本発明は、旅行者を加味したシミュレーションを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、コンピュータによる、シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法であって、前記コンピュータが、統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える、データ生成方法である。
【発明の効果】
【0007】
旅行者を加味したシミュレーションを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シミュレーションの概要を説明する図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】情報処理装置の機能構成を説明する図である。
図4】情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。
図5】合成人口データ生成部の機能を説明する図である。
図6】第一の合成人口データの生成について説明する第一の図である。
図7】第一の合成人口データの生成について説明する第二の図である。
図8】第一の合成人口データの生成について説明する第三の図である。
図9】第二生成部の機能について説明する図である。
図10】選定リストについて説明する第一の図である。
図11】選定リストについて説明する第二の図である。
図12】交通機関データと宿泊所データについて説明する図である。
図13】旅行者と対応する第一の合成人口データの一例を示す図である。
図14】第二の合成人口データの一例を示す図である。
図15】合成人口データ生成部の処理を説明するフローチャートである。
図16】第二の合成人口データの生成を説明する第一の図である。
図17】第二の合成人口データの生成を説明する第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。図1は、人流シミュレーションについて説明する図である。
【0010】
本実施形態の情報処理装置100は、各種の社会シミュレーションを実行する。社会シミュレーションとは、例えば、人間の行動や相互作用をモデル化し、不確実性を有する社会システムを計算機上で模擬することである。社会シミュレーションにおいては、シミュレーションの主題に対する複数の施策のそれぞれごとに、施策に対して不確実性を有する要素の特性を乱数等によって変えながら繰り返し行われる。
【0011】
また、社会シミュレーションでは、シミュレーションを行った結果を分析することで、施策の問題点等を抽出する取得とができる。シミュレーションを行う回数が多ければ多いほど、様々なケースを考慮することができ、より多くの問題点が精度良く抽出される可能性が高くなる。
【0012】
本実施形態の情報処理装置100では、例えば、社会シミュレーションの1つとして、人の移動状況を推定する人流シミュレーションを行うものとして説明する。
【0013】
本実施形態の情報処理装置100は、主に、合成人口データ生成部150と、シミュレーション部180とを含む。なお、情報処理装置100の有する他の機能部については後述する。
【0014】
情報処理装置100は、統計データ1を取得すると、合成人口データ生成部150により、統計データ1から、シミュレーションの対象となるエリア(以下、対象エリア)の合成人口データを生成する。
【0015】
具体的には、合成人口データ生成部150は、統計データ1のうち、対象エリアの居住者の統計データから、対象エリアの居住者の合成人口データを生成する。
【0016】
また、合成人口データ生成部150は、統計データ1に含まれる、対象エリアを訪れた旅行者の統計データから、旅行者の居住地を含むエリアを特定し、特定したエリアの居住者の合成人口データから、旅行者と対応する合成人口データを取得する。
【0017】
さらに、合成人口データ生成部150は、統計データ1から、旅行者の旅行種別を特定し、旅行者の旅行種別に基づく対象エリア内の場所を示す情報を、旅行者の擬似的な居住地を示す情報とする。そして、合成人口データ生成部150は、旅行者の擬似的な居住地を示す情報を、旅行者と対応する合成人口データに追加し、対象エリアの擬似的な居住者の合成人口データとする。
【0018】
以下の説明では、対象エリアの居住者の合成人口データを、第一の合成人口データと表現し、対象エリアの擬似的な居住者の合成人口データを、第二の合成人口データと表現する。
【0019】
本実施形態の合成人口データ生成部150は、第一の合成人口データに第二の合成人口データを追加したデータを、対象エリアの合成人口データとする。
【0020】
合成人口データとは、国勢調査等で得られる居住者の統計データを用いて、居住者を仮想的に再現した人データ群であり、仮想的な人毎の人データは、人の属性を示す人属性データを含む。言い換えれば、合成人口データは、仮想的に再現した人の人属性データの集合を含む。
【0021】
人属性データは、例えば、居住地、性別、年齢層、所属する世帯種(単身・複数・家族)、目的(余暇・知人来訪)、滞在場所(ホテル・キャンプ)、宿泊するか否か、自家用車の有無、世帯年収等を含んでよい。
【0022】
統計データ1むとは、例えば、国勢調査の調査結果等の様々な統計データを含む。統計データは、例えば、一般的に公開されているものや、各自治体等から提供されるものを含む。統計データ1から特定される旅行種別とは、旅行者が対象エリアに宿泊するか、又は、日帰りかを示す。
【0023】
情報処理装置100は、対象エリアについて、2種類の合成人口データを含む合成人口データが生成されると、シミュレーション部180により、この合成人口データを用いて人流シミュレーションを行う。
【0024】
つまり、シミュレーション部180は、対象エリアの居住者の合成人口データと、対象エリアへの旅行者を擬似的な居住者とした合成人口データと、を含む合成人口データを、対象エリアの合成人口データとして、人流シミュレーションを行う。
【0025】
したがって、本実施形態では、旅行者を加味した現実に近い合成人口データを生成することができ、シミュレーションの精度を向上させることができる。
【0026】
なお、図1の例では、情報処理装置100は1台のコンピュータとしたが、これに限定されない。情報処理装置100は、複数台のコンピュータにより実行されてよい。
【0027】
以下に、図2を参照して、本実施形態の情報処理装置100のハードウェア構成を説明する。図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0028】
本実施形態の情報処理装置100は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置11、出力装置12、ドライブ装置13、補助記憶装置14、メモリ装置15、演算処理装置16及びインターフェース装置17を含むコンピュータである。
【0029】
入力装置11は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置12は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置17は、LANカード等を含み、ネットワークに接続するために用いられる。
【0030】
情報処理装置100が有する合成人口データ生成部150等を実現させるプログラムは、情報処理装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。プログラムは、例えば、記録媒体18の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。プログラムを記録した記録媒体18は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0031】
記録媒体18に記録されたプログラムは、プログラムを記録した記録媒体18がドライブ装置13にセットされると、記録媒体18からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたプログラムは、インターフェース装置17を介して補助記憶装置14にインストールされる。
【0032】
補助記憶装置14は、後述する各記憶部等を実現するものであり、情報処理装置100にインストールされたプログラムを格納すると共に、情報処理装置100による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、情報処理装置100の起動時に補助記憶装置14からプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施形態の情報処理装置100の機能について説明する。図3は、情報処理装置の機能構成を説明する図である。
【0034】
本実施形態の情報処理装置100は、合成人口データ記憶部110、移動データ記憶部120、属性付き移動データ記憶部130、モデル記憶部140を含む。各記憶部は、補助記憶装置14等によって実現されてよい。
【0035】
また、情報処理装置100は、合成人口データ生成部150、移動データ属性付与部160、行動選択モデル生成部170、シミュレーション部180、施策探索部190を含む。これらの各部は、演算処理装置16がメモリ装置15からプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0036】
合成人口データ記憶部110は、合成人口データ生成部150により生成される第一の合成人口データと第二の合成人口データと、エリア毎に格納される。
【0037】
移動データ記憶部120は、移動データが格納される。移動データは、人が移動した日を示す日付と、出発地と目的地とを含むデータであってよい。また、移動データは、発地と着地の組み合わせごとの利用者数を表すデータであってよい。また、移動データは、鉄道など公共交通機関の乗降人員データの一種であってよく、「ある場所で乗車した旅客が、どこまで何人乗車しているか」を集計したデータであってもよい。本実施形態において、移動データは、予め取得されて、移動データ記憶部120に格納されているものとする。
【0038】
属性付き移動データ記憶部130は、移動データ記憶部120に格納された移動データに対して、合成人口データ記憶部110に格納された合成人口データに基づき人属性データが付与された属性付き移動データが格納される。モデル記憶部140は、行動選択モデル141が格納される。
【0039】
合成人口データ生成部150は、統計データ1を取得し、第一の合成人口データと第二の合成人口データとを生成し、合成人口データ記憶部110に格納する。合成人口データ生成部150の詳細は、後述する。
【0040】
移動データ属性付与部160は、移動データ毎に、移動データが示す場所の近傍に居住する居住者の合成人口データを合成人口データ記憶部110から取得し、取得した合成人口データに含まれる人属性データを移動データに付与し、属性付き移動データとして属性付き移動データ記憶部130に格納する。
【0041】
行動選択モデル生成部170は、属性付き移動データを入力として、人の行動選択を学習させて、行動選択モデル141を生成し、モデル記憶部140に格納する。
【0042】
シミュレーション部180は、シミュレーション条件が入力されると、入力されたシミュレーション条件に基づき、属性付き移動データ記憶部130から属性付き移動データを取得する。そして、シミュレーション部180は、属性付き移動データを行動選択モデル141に入力して、行動選択モデル141からの出力を取得する。言い換えれば、シミュレーション部180は、行動選択モデル141によるシミュレーションを行う。
【0043】
施策探索部190は、予め与えられた施策選択手法によって、シミュレーション部180によるシミュレーションの結果から最適な施策を探索し、探索した結果を施策候補として出力するモデルである。
【0044】
次に、図4を参照して、本実施形態の情報処理装置100の動作について説明する。図4は、情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0045】
情報処理装置100は、合成人口データ生成部150により、対象エリアの合成人口データを生成し、合成人口データ記憶部110に格納する(ステップS401)。対象エリアは、情報処理装置100のユーザ等によって入力されてよい。
【0046】
また、ここで生成される合成人口データは、第一の合成人口データと第二の合成人口データとを含む。ステップS402の処理の詳細は後述する。
【0047】
続いて、情報処理装置100は、移動データ属性付与部160により、移動データ記憶部120、属性付き移動データ記憶部130を参照し、出発地又は目的地が対象エリアに含まれる移動データ群に人属性データが付与されているか否かを判定する(ステップS402)。
【0048】
ステップS402において、人属性データが付与されていない場合、移動データ属性付与部160は、移動データ群が示す出発地又は目的地が含まれる対象エリアの合成人口データを合成人口データ記憶部110から取得する。そして、移動データ属性付与部160は、取得した合成人口データに含まれる人属性データを移動データ群に付与し、属性付き移動データとして属性付き移動データ記憶部130に格納し(ステップS403)、後述するステップS404へ進む。
【0049】
情報処理装置100は、行動選択モデル生成部170により、対象エリアの属性付き移動データを入力として、行動選択モデル141を生成し、モデル記憶部140に格納する(ステップS404)。
【0050】
続いて、情報処理装置100は、シミュレーション部180により、情報処理装置100のユーザ等によって入力されたシミュレーション条件に基づき、属性付き移動データを取得する。シミュレーション条件とは、例えば、日時等であってよい。そして、シミュレーション部180は、取得した移動データを行動選択モデル141に入力して、シミュレーションを実施し、シミュレーション結果を取得する(ステップS405)。
【0051】
本実施形態のシミュレーション部180は、例えば、道路の構造を現在と異なる構造として、人流シミュレーションを実施してもよい。この場合、道路の構造がシミュレーション条件として入力されてよい。このようなシミュレーションを行うと、異なる道路構造での、異なる道路構造による人流(交通状況)の変化、混雑具合、二酸化炭素排出量等をシミュレーション結果として取得できる。
【0052】
続いて、情報処理装置100は、施策探索部190により、シミュレーション結果に基づき施策を選定し、選定した結果を施策候補として出力する(ステップS406)。
【0053】
本実施形態では、様々な利害関係者の意見を集約して施策の候補を選定してよい。利害関係者の着目点は、二酸化炭素排出量、混雑具合、道路構造変更の工事予算等のように様々である。したがって、本実施形態では、情報処理装置100のユーザ等が、利害関係者の着目点に基づき取り決めた重視すべき点を指定して、施策を選定する処理を実行させてよい。重視すべき点の指定は、シミュレーション結果を表示させて情報処理装置100のユーザに閲覧させてから、入力されてよい。
【0054】
なお、図4の例では、ステップS401からステップS406の処理を一連の処理として説明したが、これに限定されない。図4のステップS401における合成人口データの生成や、ステップS404の行動選択モデル141の生成は、それぞれが独立したタイミングで実行されてもよい。
【0055】
本実施形態では、このように、第一の合成人口データと第二の合成人口データとを含む合成人口データを用いてシミュレーションを行うため、シミュレーションの精度を向上させることができる。
【0056】
次に、本実施形態の合成人口データ生成部150について説明する。図5は、合成人口データ生成部の機能を説明する図である。
【0057】
本実施形態の合成人口データ生成部150は、統計データ収集部151、第一生成部152、第二生成部153を含む。
【0058】
統計データ収集部151は、各種の統計データ1を取得する。第一生成部152は、統計データ1のうち、シミュレーションの対象となる対象エリアの居住者の統計データから推定される、対象エリアの居住者の合成人口データ(第一の合成人口データ)を生成する。
【0059】
第二生成部153は、統計データ1のうち、対象エリアを訪れた旅行者の統計データから旅行者の居住地と人数を特定し、旅行者の居住地を含むエリアの第一の合成人口データから、旅行者と対応する第一の合成人口データを人数分取得する。また、第二生成部153は、旅行者と対応する第一の合成人口データに対し、対象エリア内の擬似的な居住地を示す情報を追加し、対象エリアの擬似的な居住者の合成人口データ(第二の合成人口データ)とする。第二生成部153の詳細は後述する。
【0060】
次に、図6乃至図8を参照して、第一生成部152による第一の合成人口データの生成の概要について説明する。図6は、第一の合成人口データの生成について説明する第一の図であり、図7は、第一の合成人口データの生成について説明する第二の図であり、図8は、第一の合成人口データの生成について説明する第三の図である。
【0061】
図6では、エリアAに含まれるエリアA1の統計データの一例を示す。図6に示す統計データ61と統計データ62は、例えば、国勢調査等に基づく統計データであり、統計データ収集部151が取得する統計データの一例である。
【0062】
統計データ61は、世帯群を示すデータであり、エリアA1の居住者が所属する世帯の世帯種と、世帯の属性毎の分布を示す。世帯種は、世帯の属性の一つであり、例えば、世帯を構成する構成員の人数と年齢層を示してよい。具体的には、構成員が1名で年齢層が65歳以上の世帯を世帯種1とし、構成員が1名で年齢層が16歳以上64歳以下の世帯を世帯種2とし、構成員が夫婦2名で年齢層が両名とも65歳以上の世帯を世帯種3等とする。
【0063】
統計データ61からは、世帯種1の世帯が2世帯、世帯種2の世帯が6世帯、世帯種3の世帯が1世帯であること等がわかる。
【0064】
統計データ62は、世帯を構成する構成員群を示すデータであり、エリアA1の居住者の年齢層、性別毎の人口の分布を示す。なお、本実施形態では、統計データ62が示す各居住者の年齢層、性別を示すデータが人属性データとなる。
【0065】
統計データ62では、年齢層が0歳から15歳の居住者のうち、男性は3人、女性は5人であり、年齢層が16歳から24歳の居住者のうち、男性は2人、女性は2人であり、年齢層が25歳から34歳の居住者のうち、男性は3人、女性が5人であること等がわかる。
【0066】
また、本実施形態の統計データ収集部151は、図6には示していない各種の統計データを取得してよい。具体的には、例えば、統計データ収集部151は、クロス集計等によって居住者の各種の属性で集計した統計データを収集してもよい。居住者の各種の属性は、人属性データの一部となる。人属性データは、年齢層と性別以外に、所属する世帯種、目的(余暇・知人来訪)、滞在場所(ホテル・キャンプ)、旅行種別(宿泊するか否か)、自家用車の有無、世帯年収等を含む。
【0067】
図7では、第一生成部152により生成されたエリアA1の第一の合成人口データを模式的に示している。
【0068】
図7に示す第一の合成人口データ71は、各世帯を示すデータに、世帯を構成する構成員群のデータを割り当て、さらに、各世帯を示すデータと、世帯を構成する構成員群のデータとに、世帯属性と人属性とを対応付けたデータである。
【0069】
言い換えれば、第一の合成人口データ71は、統計データ61、62に基づき、エリアA1における世帯種(世帯属性)と、世帯に所属する構成員の人属性データとを対応付けたデータである。なお、図7では、人属性データとして、年齢層と性別を示す。
【0070】
図7において、マーク72は、「世帯種1」に所属する65歳以上の女性を示し、マーク73は、「世帯種2」に所属する16歳から24歳までの男性を示し、マーク74は、「世帯種3」に所属する両者が65歳以上の夫婦を示す。
【0071】
本実施形態の第一の合成人口データは、このように、世帯種と、世帯構成員の人属性データとを対応付けたデータである。
【0072】
図8では、エリアA2~エリアA5までの統計データに基づき、各エリアの第一の合成人口データが生成された状態を示している。
【0073】
本実施形態の第一生成部152は、このように、統計データからエリア毎に第一の合成人口データを生成する。
【0074】
また、本実施形態の第一生成部152は、エリアA1~エリアA5以外のエリアについても同様に、第一の合成人口データを生成し、合成人口データ記憶部110に格納する。
【0075】
次に、図9を参照して、本実施形態の第二生成部153について説明する。図9は、第二生成部の機能について説明する図である。
【0076】
第二生成部153は、選定リスト生成部154、合成人口追加部155を含み、第二の合成人口データを生成する。
【0077】
はじめに、選定リスト生成部154について説明する。本実施形態の選定リスト生成部154は、統計データ収集部151が収集した統計データ1のうち、対象エリアの旅行者統計データ101に基づき、旅行者の居住地を含むエリアを特定する。
【0078】
ここでは、対象エリアをエリアAとし、エリアAを訪れた旅行者の居住地を含むエリアをエリアBとする。また、選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101に基づき、エリアBの第一の合成人口データ110B-1から、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得する。
【0079】
また、選定リスト生成部154は、旅行者と対応する第一の合成人口データに対して、旅行者統計データ101に基づき、旅行種別を付与する。旅行種別とは、例えば、旅行者が日帰りであるか否かを示す情報、宿泊する場合はその日数や宿泊場所を示す情報であってよく、旅行者統計データ101から特定されてよい。
【0080】
以下に、選定リスト生成部154について、さらに説明する。
【0081】
本実施形態の選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101を参照して、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得し、旅行種別を追加するための選定リストを生成する。
【0082】
選定リストとは、旅行者と対応する第一の合成人口データの条件を示す情報と、旅行種別毎の旅行者の人数とを含む情報である。言い換えれば、選定リストは、旅行者の属する世帯種と旅行者の人属性データを特定する情報と、旅行種別毎の旅行者の人数を示す情報とを含む。
【0083】
なお、選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101から複数の選定リストを生成してよい。具体的には、例えば、選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101に含まれる各種の統計データ毎に選定リストを生成してもよい。複数の選定リストを用いて、シミュレーションを行うことで、シミュレーションの精度を向上させることができる。
【0084】
本実施形態の旅行者統計データ101は、例えば、後述するように、旅行先となるエリアを訪れた旅行者の属性毎に集計した旅行者統計データ101-1と、旅行先となるエリアを訪れた旅行者の旅行種別毎に集計した旅行者統計データ101-2とを含んでよい。
【0085】
旅行者統計データ101-1は、例えば、旅行先となるエリアを訪れた旅行者の居住地毎に、旅行者の性別毎の人数、年齢層毎の人数、個人旅行の人数、グループ旅行での人数等を集計したデータであってよい。旅行者統計データ101-2は、例えば、旅行先となるエリアを訪れた旅行者について、宿泊する旅行者の人数、日帰りする旅行者の人数、宿泊日数毎の旅行者の人数分布等を集計したデータであってよい。
【0086】
また、選定リスト生成部154は、選定リストを生成する際に参照する統計データの種類をランダムに決めてよいし、選定リストに含める旅行者の属性も任意に決定してよい。
【0087】
図9の例では、選定リスト生成部154は、選定リスト1~選定リストNを生成している。以下の説明では、選定リスト1は、旅行者統計データ101-1を参照して生成された選定リストであり、旅行者と対応する第一の合成人口データの条件を示す情報とする。また、以下の説明では、選定リスト2は、旅行者統計データ101-2を参照して生成された選定リストであり、旅行者の旅行種別毎の人数を示す情報とする。
【0088】
次に、合成人口追加部155について説明する。本実施形態の合成人口追加部155は、交通機関データ102、宿泊所データ103と、旅行者と対応する第一の合成人口データと、これに付与された旅行種別とに基づき、対象エリアA内において、旅行者の擬似的な居住地となる場所を特定する。
【0089】
そして、合成人口追加部155は、旅行者と対応する第一の合成人口データに含まれる人属性データに、特定された場所を示す情報を追加して、第二の合成人口データ110A-2とする。さらに、合成人口追加部155は、第二の合成人口データ110A-2を、合成人口データ記憶部110に格納された対象エリアAの第一の合成人口データ110A-1に追加して、対象エリアAの合成人口データ110Aとする。
【0090】
以下に、合成人口追加部155のついて、さらに説明する。合成人口追加部155は、選定リスト決定部156と、居住地属性設定部157を含む。
【0091】
選定リスト決定部156は、選定リスト生成部154により生成された選定リストの中から、参照する選定リストを決定する。また、選定リスト決定部156は、決定した選定リストに基づき、合成人口データ記憶部110から、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得する。なお、選定リスト決定部156は、参照する選定リストをランダムに決定してよい。
【0092】
居住地属性設定部157は、決定された選定リストと、交通機関データ102と宿泊所データ103とを参照し、旅行者と対応する第一の合成人口データに対して、旅行者の旅行種別を付与する。
【0093】
また、居住地属性設定部157は、交通機関データ102、宿泊所データ103、旅行種別から、旅行者の対象エリアA内の擬似的な居住地となる場所の特定し、旅行者と対応する第一の合成人口データに含まれる人属性データに、特定された場所を示す情報を追加して、第二の合成人口データ110A-2とする。
【0094】
つまり、第二の合成人口データ110A-2は、旅行者の居住地の第一の合成人口データに含まれる人属性データに対し、対象エリア内の旅行者の擬似的な居住地を示す場所を追加した合成人口データである。
【0095】
本実施形態において、旅行者の擬似的な居住地とは、対象エリアA内における、旅行者が流入出する場所の近傍や、旅行者が宿泊する場所の近傍であってよい。
【0096】
対象エリア内における旅行者が流入出する場所は、例えば、旅行者の居住地と対象エリアとを結ぶ交通機関が流入出する場所であってよい。交通機関が流入出する場所とは、交通機関の駅や停留所がある場所、高速道路のインターチェンジがある場所等であってよい。
【0097】
居住地属性設定部157は、交通機関データ102を参照して、旅行者が流入出する場所の一覧を示す場所リストを作成し、参照してもよい。また、場所リストには、旅行者が宿泊する場所の一覧が含まれてもよい。
【0098】
交通機関データ102、宿泊所データ103とは、外部で公開されている情報等であってよく、情報処理装置100が参照可能な記憶領域に予め格納されていてよい。
【0099】
次に、図10乃至図14を参照して、合成人口データ生成部150で取り扱う各種のデータについて説明する。
【0100】
図10は、選定リストについて説明する第一の図であり、図11は、選定リストについて説明する第二の図である。
【0101】
図10に示す旅行者統計データ101-1は、旅行先となるエリアがエリアAであり、旅行者の居住地がエリアBである居住者について、性別毎の人数、年齢層毎の人数、個人旅行の人数、グループ旅行での人数等を集計したデータである。旅行者統計データ101-2は、旅行先となるエリアAの旅行者数を宿泊する旅行者の人数、日帰りする旅行者の人数、宿泊日数毎の旅行者の人数分布等を集計したデータである。
【0102】
図10に示す選定リスト1は、旅行者統計データ101-1を参照して生成されており、旅行者の居住地であるエリアBの第一の合成人口データ110B-1のうち、旅行者と対応する第一の合成人口データの条件を示す情報である。
【0103】
具体的には、選定リスト1は、「子+両親」で構成される世帯種5のグループ(人数4名、年齢層26-64歳の男性、年齢層26-64歳の女性、年齢層0-15歳の女の子供、年齢層0-15歳の男の子供)、「子+両親」で構成される世帯種5のグループ(人数3名、年齢層26-64歳の男性、年齢層26-64歳の女性、年齢層0-15歳の女の子供)、二人夫婦で構成される世帯種3のグループ(人数2名、年齢層65歳以上の男性、年齢層65歳以上の女性)等が、旅行者と対応する第一の合成人口データの条件であることを示す。
【0104】
図10に示す選定リスト2は、旅行者統計データ101-2を参照して生成されており、エリアAの旅行者の旅行種別毎の人数を示す。
【0105】
具体的には、選定リスト2は、エリアAに宿泊する旅行者が8人、そのうち1泊する旅行者が4人、2泊する旅行者が4人、日帰りの旅行者が6人であることを示す。
【0106】
なお、本実施形態の旅行者統計データ101に含まれる統計データは、図10に示す例に限定されない。旅行者統計データ101には、例えば、対象エリアAにおいて、特定の時期に行われるイベント毎に、旅行者の属性や人数等を集計した統計データ等を含んでよい。
【0107】
図11に示す情報111は、選定リスト1が示す情報と、選定リスト2が示す情報とを含む情報である。つまり、情報111は、旅行者と対応する第一の合成人口データの条件と、旅行者の旅行種別毎の人数とを含む情報である。
【0108】
本実施形態では、この情報111に基づき、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得し、旅行者と対応する第一の合成人口データに対して旅行種別を付与する。
【0109】
なお、本実施形態では、旅行者統計データ101から選定リスト1と選定リスト2を別々に生成し、これらの選定リストが示す情報111に基づき、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得して、旅行種別を付与するものとしたが、これに限定されない。
【0110】
本実施形態では、選定リストは作成されずに、旅行者統計データ101から直接情報111が取得されてもよい。
【0111】
図12は、交通機関データと宿泊所データについて説明する図である。交通機関データ102は、情報の項目として、交通機関を特定するための交通機関ID、交通機関の種別を示す交通機関種別、駅、インターチェンジ等の名称と場所とを含んでよい。
【0112】
宿泊所データ103は、宿泊所を特定するための宿泊所ID、宿泊所の種別を示す宿泊所種別、宿泊所の名称と場所と収容人数を含んでよい。
【0113】
次に、図13及び図14を参照して、旅行者と対応する第一の合成人口データと、対象エリアAの第二の合成人口データについて説明する。
【0114】
図13は、旅行者と対応する第一の合成人口データの一例を示す図である。図13に示す第一の合成人口データ131は、選定リスト1に基づき合成人口データ記憶部110から取得された、旅行者と対応する第一の合成人口データの一例である。
【0115】
言い換えれば、図13に示す第一の合成人口データ131は、合成人口データ記憶部110に格納された第一の合成人口データ110B-1の一例である。
【0116】
第一の合成人口データ131は、旅行者が所属する世帯の属性を示す世帯属性データ132と、旅行者の人属性データ133とを含む。
【0117】
世帯属性データ132は、情報の項目として、旅行者を特定するID、世帯種、世帯を構成する構成員のIDのリスト、世帯の居住エリア、居住地位置等を含む。ここで、旅行者の居住地はエリアBであるため、世帯の居住エリアはエリアBとされている。
【0118】
旅行者の人属性データ133は、情報の項目として、旅行者を特定するID、旅行者が所属する世帯を特定する世帯ID、年齢、性別、保有資格、年収、勤務先、居住地位置等を含む。
【0119】
また、図13の状態では、居住地位置は、世帯属性データ132において設定されているため、旅行者の人属性データ133では、居住地位置の値は設定されていない。また、図13の例では、旅行種別は追加されていない。
【0120】
本実施形態では、旅行者と対応する第一の合成人口データ131に対し、選定リスト2を参照して旅行種別を追加する。また、本実施形態では、さらに、第一の合成人口データ131に対して、旅行種別、交通機関データ102、宿泊所データ103に基づき、旅行者の擬似的な居住地を示す情報を追加して、第二の合成人口データとする。
【0121】
より具体的には、本実施形態では、旅行者の旅行種別と、旅行者の擬似的な居住地とを、旅行者と対応する第一の合成人口データ131に含まれる人属性データ133に追加する。
【0122】
図14は、第二の合成人口データの一例を示す図である。図14に示す第二の合成人口データ142は、合成人口データ記憶部110に格納されるエリアAの第二の合成人口データ110A-2の一例である。
【0123】
第二の合成人口データ142は、旅行者の人属性データ133Aを含み、人属性データ133Aは、旅行種別を含む旅行属性データ143を含む。なお、図14では図示していないが、第二の合成人口データ142は、世帯属性データ132を含んでよい。
【0124】
図14に示す旅行属性データ143は、情報の項目として、旅行が日帰りであるか、宿泊であるか否かを示す旅行種別、宿泊日数、宿泊場所、来訪場所等を含む。
【0125】
本実施形態では、旅行属性データ143に含まれる旅行種別が宿泊であるため、宿泊所の場所を、この旅行者の擬似的な居住地とされる。具体的には、人属性データ133Aでは、居住地位置の値として、エリアA3の宿泊所の位置が設定される。
【0126】
本実施形態の第二の合成人口データは、このように、旅行者と対応する第一の合成人口データの含む人属性データに対し、対象エリア内の場所を旅行者の擬似的な居住地として追加した合成人口データとなる。
【0127】
次に、図15を参照して、本実施形態の合成人口データ生成部150の処理について説明する。
【0128】
図15は、合成人口データ生成部の処理を説明するフローチャートである。図15の処理は、図4のステップS401の処理の詳細である。
【0129】
本実施形態の合成人口データ生成部150は、統計データ収集部151により、対象エリアの統計データ1を収集する(ステップS1501)。
【0130】
続いて、合成人口データ生成部150は、第一生成部152により、統計データ1が示す世帯数と居住地の人数に合わせて、世帯群を示すデータと、世帯を構成する構成員群を示すデータを生成し、各世帯を示すデータに、世帯を構成する構成員群のデータを割り当てる(ステップS1502)。続いて、第一生成部152は、統計データ1が示す世帯種の分布と、世帯の構成員の属性毎の人数の分布とに合致するように、世帯種(世帯属性)と人属性データとを対応付けて、第一の合成人口データを生成し、合成人口データ記憶部110に格納する(ステップS1503)。
【0131】
続いて、合成人口データ生成部150は、第二生成部153の選定リスト生成部154により、統計データ1に含まれる旅行者統計データ101を参照し、選定リスト1と選定リスト2を生成する(ステップS1504)。
【0132】
なお、選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101が示す統計値に重みをつけたり、任意の値調整を用いて選定リストを生成してもよい。具体的には、選定リスト生成部154は、人数統計値に対する重みを変えて選定リストを生成してよい。
【0133】
また、選定リスト生成部154は、旅行者統計データ101に不明瞭な値がある場合には、不明瞭な値に相当する値をランダムに選定した複数の選定リストを生成してもよい。不明瞭な値がある旅行者統計データ101とは、例えば、性別が不明な旅行者統計データ等である。
【0134】
続いて、選定リスト生成部154は、選定リスト1に基づき、旅行者の居住地の第一の合成人口データから、旅行者と対応する第一の合成人口データを取得する(ステップS1505)。
【0135】
続いて、選定リスト生成部154は、選定リスト2に基づき、旅行者と対応する第一の合成人口データに含まれる人属性データに対して、旅行者の旅行種別を追加する(ステップS1506)。なお、このとき、選定リスト生成部154は、旅行種別と共に、旅行者が利用する交通手段を追加してもよい。例えば、旅行者の人属性データに、自家用車を所有することを示す情報が含まれる場合には、旅行者の交通手段が自家用車であることを示す情報を、人属性データに追加してもよい。
【0136】
続いて、第二生成部153は、居住地属性設定部157により、交通機関データ102と宿泊所データ103を参照して、場所リストを生成する(ステップS1507)。
【0137】
なお、本実施形態では、旅行者の居住地毎の利用可能性を加味して場所リストを生成してよい。具体的には、例えば、旅行者の居住地から対象エリアまで移動する経路において。遠回りになる駅やインターチェンジ等は、場所リストから除外してもよい。
【0138】
続いて、居住地属性設定部157は、旅行者の旅行種別に応じて、対象エリアにおける旅行者の滞在場所を特定し、特定された滞在場所を示す情報を、旅行者と対応した第一の合成人口データに含まれる人属性データに追加する(ステップS1508)。旅行者の滞在場所を示す情報とは、旅行者の宿泊所や来訪場所を示す情報である。
【0139】
例えば、居住地属性設定部157は、旅行者の旅行種別が日帰りである場合、旅行者の居住地から対象エリアへの交通機関の流入出場所を、旅行者の滞在場所に特定してよい。また、居住地属性設定部157は、旅行者の旅行種別が宿泊である場合、旅行者の宿泊先を旅行者の滞在場所に特定してよい。
【0140】
本実施形態では、このように、旅行者の旅行種別に応じて、対象エリアにおける滞在場所を異ならせることで、旅行者の擬似的な居住地を示す場所を、実際の旅行者の滞在場所に近づけることができる。
【0141】
さらに、居住地属性設定部157は、旅行者の旅行種別が宿泊である場合には、宿泊日数に応じて、旅行者の滞在場所を決定してもよい。例えば、居住地属性設定部157は、旅行者の宿泊日数が1泊の場合は、旅行種別が日帰りである旅行者と同様に、旅行者の居住地から対象エリアへの交通機関の流入出場所を滞在場所とし、宿泊日数が2泊以上の場合は、滞在場所を宿泊所としてもよい。
【0142】
本実施形態では、このように、旅行者の滞在場所を決定することで、対象エリアにおける旅行者の行動パターンに基づく場所を、旅行者の擬似的な居住地とすることができる。
【0143】
続いて、居住地属性設定部157は、旅行者の滞在場所に基づき、旅行者の擬似的な居住地を決定し、擬似的な居住地を示す情報を、旅行者と対応する第一の合成人口データに含まれる人属性データに追加して、対象エリアの第二の合成人口データとする(ステップS1509)。
【0144】
旅行者の擬似的な居住地は、旅行者の滞在場所であってもよいし、旅行者の滞在場所の近傍の場所であってもよい。
【0145】
続いて、居住地属性設定部157は、第二の合成人口データを合成人口データ記憶部110に格納する(ステップS1510)。
【0146】
なお、図15に示す処理は、図4の処理が実行される度に実行されてよく、図15の処理が実行される度に、第二の合成人口データを合成人口データ記憶部110に格納してよい。
【0147】
このようにすることで、合成人口データ記憶部110には、対象エリアの第二の合成人口データが複数セット格納されることになる。つまり、合成人口データ記憶部110には、選定リスト決定部156が決定した選定リストに応じて生成された第二の合成人口データが格納されることになる。
【0148】
本実施形態では、シミュレーション部180によるシミュレーションを実行する際に、情報処理装置100のユーザにより、合成人口データ記憶部110に格納された複数セットの第二の合成人口データの中から、シミュレーションに用いる第二の合成人口データが選択されてもよい。
【0149】
以下に、図16及び図17を参照して、第二の合成人口データを生成する処理について
模式的に説明する。
【0150】
図16は、第二の合成人口データの生成を説明する第一の図である。図16において、旅行者と対応する第一の合成人口データ161では、エリアBの第一の合成人口データ110B-1から、選定リスト1に基づき取得された旅行者と対応する第一の合成人口データであり、人属性データに選定リスト2に基づく旅行種別が追加されている。言い換えれば、旅行者と対応する第一の合成人口データ161は、旅行種別追加済みの旅行者と対応する第一の合成人口データである。
【0151】
具体的には、例えば、選定リスト1では、エリアBからエリアAへの旅行者に、3つの旅行者のグループと、5人の単身の旅行者とが含まれることを示している。したがって、第二生成部153は、エリアBの第一の合成人口データ110B-1から、選定リスト1が示す条件の第一の合成人口データを、旅行者と対応する第一の合成人口データとして取得する。
【0152】
次に、第二生成部153は、選定リスト2が示す条件に基づき、旅行者と対応する第一の合成人口データに含まれる人属性データに対し、旅行種別を追加する。
【0153】
図16の例では、マーク162は、旅行種別が日帰りであることを示し、マーク163は、旅行種別が宿泊であることを示す。
【0154】
例えば、旅行者と対応する第一の合成人口データ161では、個人の旅行者のうち2名の旅行者が日帰りの旅行者であり、3つの旅行者のグループのうち、3名のグループが日帰りの旅行者であることがわかる。また、旅行者と対応する第一の合成人口データ161では、人数が2人の世帯種から選択した1名が、日帰りの旅行者とされていることがわかる。
【0155】
また、旅行者と対応する第一の合成人口データ161では、2名のグループと4名のグループとが宿泊する旅行者であり、個人の旅行者のうち、2名の旅行者が宿泊する旅行者であることがわかる。
【0156】
このように、本実施形態では、選定リスト1に基づき、旅行者の居住地の第一の合成人口データから取得された、旅行者と対応する第一の合成人口データに対し、選定リスト2を満たすように、旅行種別を割り当てる。
【0157】
図17は、第二の合成人口データの生成を説明する第一の図である。図17では、旅行種別追加済みの旅行者と対応する第一の合成人口データ161と、交通機関データ102から作成された場所リスト171と、に基づき、旅行種別追加済みの旅行者と対応する第一の合成人口データ161に含まれる人属性データに対し、旅行者の擬似的な居住地を追加する例を示す。
【0158】
図17の場所リスト171は、エリアAにおける旅行者が流入出する場所の一覧と、旅行者が宿泊する宿泊施設の一覧とが含まれてよい。
【0159】
図17では、エリアAにおける旅行者が流入出する場所にマーク172を付し、エリアAにおける宿泊施設の場所にマーク173を付す。具体的には、エリアA2とエリアA4に、マーク172が1つずつ付けられており、エリアA3にマーク173が2つ付けられている。
【0160】
したがって、エリアAのうち、エリアA2、A4に滞在する旅行者は、日帰りの旅行者の可能性が高く、エリアA3に滞在する旅行者は、宿泊する旅行者である可能性が高いと推定される。
【0161】
そこで、本実施形態では、旅行種別が日帰りである第一の合成人口データに含まれる人属性データに対し、擬似的な居住地を示す情報として、旅行者が流入出する場所を示す情報を追加し、対象エリアAの第二の合成人口データとする。
【0162】
また、旅行種別が宿泊である第一の合成人口データに含まれる人属性データに対し、擬似的な居住地を示す情報として、宿泊施設の場所を示す情報を追加し、対象エリアAの第二の合成人口データとする。
【0163】
具体的には、図17において、旅行者が流入出する場所を示す情報が擬似的な居住地を示す情報として追加された合成人口データ174、175が、エリアA2とエリアA4における第二の合成人口データとなる。
【0164】
また、図17において、旅行者の宿泊所を示す情報が擬似的な居住地を示す情報として追加された合成人口データ176が、エリアA3における第二の合成人口データとなる。
【0165】
本実施形態では、このように、対象エリアAにおける場所リスト171と、旅行者と対応する第一の合成人口データ161に設定された旅行属性とに基づき、旅行者と対応する第一の合成人口データ161に対して擬似的な居住地を設定し、対象エリアAの第二の合成人口データとする。
【0166】
言い換えれば、本実施形態では、旅行者の第一の合成人口データを、対象エリアの居住者と同じ人属性データを含む、対象エリアの第二の合成人口データとして、対象エリアの合成人口データに追加できる。したがって、本実施形態によれば、旅行者を考慮した社会シミュレーションが可能となり、シミュレーションの精度を向上させることができる。
【0167】
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータによる、シミュレーションに用いるデータのデータ生成方法であって、前記コンピュータが、
統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、
前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、
前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える、データ生成方法。
(付記2)
前記旅行種別は、
前記旅行者が、前記対象地域に宿泊するか、又は、日帰りかを示す情報である、付記1記載のデータ生成方法。
(付記3)
前記滞在場所を示す情報は、
前記旅行者が、前記対象地域への宿泊である場合には、前記対象地域内における前記旅行者の宿泊所の場所を示す情報である、付記1又は2記載のデータ生成方法。
(付記4)
前記滞在場所を示す情報は、
前記旅行種別が、前記対象地域からの日帰りである場合には、前記旅行者の居住地と前記対象地域とを結ぶ交通機関の流入出場所を示す情報である、付記1又は2記載のデータ生成方法。
(付記5)
前記旅行者の人属性データは、
前記統計データから生成される、旅行者の人属性データを特定する情報と、旅行種別毎の旅行者の人数を示す情報とに基づき、前記旅行者の居住地における居住者の人属性データから取得される、付記1乃至3の何れか一項に記載のデータ生成方法。
(付記6)
前記滞在場所は、
前記旅行者の旅行種別が、前記対象地域への宿泊である場合に、前記旅行者の宿泊日数に応じて、前記旅行者の宿泊所の場所とするか、前記交通機関の流入出場所とするか、が決められる、付記3記載のデータ生成方法。
(付記7)
統計データを参照して、シミュレーションの対象となる対象地域を訪れる旅行者の旅行種別を特定し、
前記旅行者の旅行種別に応じて特定された、前記対象地域における前記旅行者の滞在場所を示す情報を、前記旅行者の人属性データに対して追加し、
前記滞在場所を示す情報が追加された前記旅行者の人属性データを、前記シミュレーションで用いられる前記対象地域の居住者の人属性データ群に加える、処理をコンピュータに実行させるデータ生成プログラム。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0168】
100 情報処理装置
110 合成人口データ記憶部
120 移動データ記憶部
130 属性付き移動データ記憶部
140 モデル記憶部
141 行動選択モデル
150 合成人口データ生成部
151 統計データ収集部
152 第一生成部
153 第二生成部
154 選定リスト生成部
155 合成人口追加部
156 選定リスト決定部
157 居住地属性設定部
160 移動データ属性付与部
170 行動選択モデル生成部
180 シミュレーション部
190 施策探索部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17