(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158853
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】仮設支柱の高さ調整用スペーサ、及び仮設支柱の高さ調整方法
(51)【国際特許分類】
E04G 25/00 20060101AFI20241031BHJP
E04G 5/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04G25/00 E
E04G5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074426
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】520124383
【氏名又は名称】株式会社CSPホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 直希
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150JA01
2E150JC01
2E150JD21
2E150LA02
(57)【要約】
【課題】仮設支柱を適切な高さに調整することができる仮設支柱の高さ調整用スペーサ、及び仮設支柱の高さ調整方法を提供する。
【解決手段】仮設支柱10の高さ調整用スペーサ20は、仮設支柱10の下側フランジ部11bと設置面との間に介在されるプレート21と、プレート21に立設し、下側筒部11aの内側に挿入される凸状のボス部22と、を備える。鉛直方向においてボス部22の底面側には、他の高さ調整用スペーサ20のボス部22が、挿入可能な穴部26が形成されており、穴部26に他の高さ調整用スペーサ20のボス部22が挿入されることにより、高さ調整用スペーサ20が鉛直方向に積み重ね可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられるフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整用スペーサであって、
前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在されるプレートと、
前記プレートに立設し、前記管部の内側に挿入される凸状のボス部と、を備える仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項2】
鉛直方向において前記ボス部の両端のうち前記設置面側には、他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が、挿入可能な穴部が形成されており、
前記穴部に他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が挿入されることにより、前記高さ調整用スペーサが鉛直方向に積み重ね可能に構成されている請求項1に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項3】
前記ボス部は、その先端ほど、その径が小さくなる円錐台形状に形成されている請求項2に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項4】
前記仮設支柱の前記フランジ部には、鉛直方向に凹む位置決め用凹部が形成されており、
前記プレートには、前記ボス部とは別に、前記位置決め用凹部に対応する位置決め用凸部が形成されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項5】
前記仮設支柱の前記フランジ部及び前記高さ調整用スペーサの前記プレートには、それぞれ前記設置面に打ち込まれるアンカーボルトが挿通されるアンカーボルト用貫通孔が設けられており、
前記位置決め用凸部が前記位置決め用凹部に挿入された場合、前記プレートのアンカーボルト用貫通孔の位置と、前記フランジ部のアンカーボルト用貫通孔の位置とが一致する請求項4に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項6】
前記プレートの底面には、滑り止め用凹凸が形成されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項7】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられたフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整方法であって、
プレートと前記プレートに立設する凸状のボス部とを有する高さ調整用スペーサの前記ボス部を、前記管部の内側に挿入し、
前記プレートを前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在させる仮設支柱の高さ調整方法。
【請求項8】
鉛直方向において前記ボス部の両端のうち前記設置面側には、他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が、挿入可能な穴部が形成されており、
前記穴部に他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部を挿入して鉛直方向に積み重ねた複数の前記高さ調整用スペーサを、前記仮設支柱と前記設置面との間に介在させる請求項7に記載の仮設支柱の高さ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場又は解体現場などにおいて、天井や仮設の梁などの被支持材を支持する仮設支柱の高さ調整用スペーサ、及び仮設支柱の高さ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場又は解体現場などにおいて、天井や仮設の梁などの被支持材を支持するために、仮設支柱が利用されてきた。このような仮設支柱としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の仮設支柱は、高さ調整を可能に構成されており、さまざまな現場に対応することができるように工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの現場において、仮設支柱が支える被支持材は、かなりの重量を有する。例えば、解体現場などにおいては、重機を搬入しても床が抜けないようにするために仮設支柱で床(階下においては天井に相当)を下支えしている。それに伴い、仮設支柱は、かなりの強度と長さが必要となり、重量物となっている。また、仮設支柱は、数10本単位で使用されることが普通である。このため、仮設支柱の搬送時及び設置時の負担は、かなり大きいものとなる。
【0005】
そこで、建築物の設計図や仕様などを事前に参照して、使用長の最大が、被支持材と床面との間の離間距離とほぼ同じに、又は当該離間距離よりもわずかに長くなるような仮設支柱を準備段階において選択するようにしている。つまり、少しでもサイズの小さい仮設支柱を選択して、負担がなるべく小さくなるようにしている。
【0006】
しかしながら、設置場所によっては実際の建築物の寸法と設計図等における寸法とがわずかに異なっていることが多々あり、実際に仮設支柱を現場に設置すると、仮設支柱の長さがわずかに足らないことが度々あった。仮設支柱の長さが足らないと、支柱として機能しなくなるため、このような場合には、木板などを挟み込み調整していたが、丁度良い厚さの木板があるとは限らず、また、木板では、ずれやすく、安定性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、仮設支柱を適切な高さに調整することができる仮設支柱の高さ調整用スペーサ、及び仮設支柱の高さ調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する高さ調整用スペーサは、鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられるフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整用スペーサであって、前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在されるプレートと、前記プレートに立設し、前記管部の内側に挿入される凸状のボス部と、を備える。
【0009】
これにより、仮設支柱を適切な高さに調整することができる。
【0010】
上記課題を解決するためたの仮設支柱の高さ調整方法は、鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられたフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整方法であって、プレートと前記プレートに立設する凸状のボス部とを有する高さ調整用スペーサの前記ボス部を、前記管部の内側に挿入し、前記プレートを前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在させる。
【0011】
これにより、仮設支柱を適切な高さに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図9】高さ調整用スペーサの仕様状態を示す断面図。
【
図10】高さ調整用スペーサの仕様状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる「仮設支柱の高さ調整用スペーサ」及び「仮設支柱の高さ調整方法」を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に、本実施形態の仮設支柱10を図示する。
図1に示すように、仮設支柱10は、鉛直方向において下側に配置される外管11と、鉛直方向において上側に配置される内管12と、を有する。内管12は、外管11の内部に挿入可能とされ、挿入される長さ(深さ)を調整可能に構成されている。すなわち、仮設支柱10は、内管12を外管11に対して相対移動させることにより、伸縮自在(昇降自在)に構成されている。なお、
図1において上下方向が鉛直方向に相当する。
【0015】
外管11は、鉛直方向に延びる下側筒部11aと、下側筒部11aの下端に設けられ、床面や地面などの設置面に設置される下側フランジ部11bと、を有する。下側筒部11aは、例えば、鋼管であり、下側フランジ部11bに対して立設するように設けられている。また、
図2や
図3に示すように、下側フランジ部11bには、下側筒部11aの内部に連通する連通孔11cが設けられている。
【0016】
図2や
図3に示すように、下側フランジ部11bは、4つの角部に円弧状の切欠き部11dがそれぞれ設けられた四角板状に形成されている。また、下側フランジ部11bには、設置面に打ち込まれるアンカーボルト(図示略)が挿通されるアンカーボルト用貫通孔11eが設けられている。アンカーボルト用貫通孔11eは、1又は複数設けられている。本実施形態において、アンカーボルト用貫通孔11eは、下側筒部11aを中心として90度間隔で4つ設けられている。詳しくは、
図3に示すように、アンカーボルト用貫通孔11eは、下側フランジ部11bの4つの各辺(切欠き部11d以外の部分)の近傍であって、各辺の中央付近に、設けられている。
【0017】
また、下側フランジ部11bの底面(設置面側の面)には、位置決め用凹部11fが設けられている。本実施形態において、位置決め用凹部11fは、下側筒部11aを中心として90度間隔で4つ設けられている。詳しくは、
図3に示すように、位置決め用凹部11fは、下側フランジ部11bの4つの切欠き部11dの近傍であって、各切欠き部11dの中央付近に、設けられている。すなわち、下側フランジ部11bが仮に四角板状である場合(切欠き部11dが存在しない場合)、位置決め用凹部11fは、下側フランジ部11bの対角線上に設けられていることとなる。
【0018】
次に内管12について説明する。内管12は、鉛直方向に延びる上側筒部12aと、上側筒部12aの上端に設けられ、天井面や梁など被支持部材の設置面に設置される上側フランジ部12bと、を有する。上側筒部12aの外径は、下側筒部11aの内径よりも小さく、上側筒部12aは、下側筒部11aに対して鉛直方向上下に移動可能に構成されている。また、上側筒部12aは、ピンやネジなどの周知の固定機構により、下側筒部11aに対して鉛直方向の位置を固定可能に構成されている。また、上側フランジ部12bの構成は、下側フランジ部11bとほぼ同じであるため、詳細な説明を省略する。本実施形態では、下側筒部11a及び上側筒部12aが、管部に相当し、下側フランジ部11b及び上側フランジ部12bがフランジ部に相当する。
【0019】
以上のように説明した仮設支柱10は、上側筒部12aを下側筒部11aに対して移動させることにより、伸縮可能となっており、ある程度の高さ調整(長さ調整)を可能に構成されている。しかしながら、仮設支柱10の使用長の最大は、予め決められている。そして、実際の現場に仮設支柱10を設置する際、仮設支柱10を使用長の最大に設定しても、数センチほどわずかに足らない場合がある。その際、本実施形態では、仮設支柱10と設置面との間に、高さ調整用スペーサ20を介在させることにより、仮設支柱10の高さ調整を行うようにしている。
【0020】
次に、
図4~
図8を参照して、高さ調整用スペーサ20について説明する。高さ調整用スペーサ20は、外管11と設置面との間、内管12と設置面との間のいずれに設けてもよい。また、上下いずれの側に配置される高さ調整用スペーサ20も同様の構成を有する。そこで、本実施形態では、外管11と設置面との間に設けられる高さ調整用スペーサ20について説明するものとし、内管12と設置面との間に設けられる高さ調整用スペーサ20についての説明は省略するものとする。
【0021】
高さ調整用スペーサ20は、硬質ゴムなどの樹脂により設けられている。
図4に示すように、高さ調整用スペーサ20は、仮設支柱10の下側フランジ部11b(又は上側フランジ部12b、以下同じ)と設置面との間に介在される高さ調整用のプレート21と、プレート21に立設し、下側筒部11a(又は、上側筒部12a、以下同じ)の内側に挿入される凸状のボス部22と、を備える。
【0022】
図4に示すように、プレート21は、下側フランジ部11bの形状や大きさに対応させて形成されている。すなわち、
図6に示すように、プレート21は、4つの角部に円弧状の切欠き23がそれぞれ設けられた四角板状に形成されている。また、プレート21には、下側フランジ部11bに設けられたアンカーボルト用貫通孔11eに対応した位置に、アンカーボルト用貫通孔24が形成されている。すなわち、アンカーボルト用貫通孔24は、ボス部22を中心として、90度間隔で4つ設けられており、また、
図6に示すように、プレート21の4つの辺の近傍にそれぞれ設けられている。また、プレート21のアンカーボルト用貫通孔24は、下側フランジ部11bに設けられたアンカーボルト用貫通孔11eの径と同じ、又はわずかに大きく形成されている。
【0023】
プレート21の厚さ寸法(鉛直方向における寸法)は、任意であるが、1~5[cm]程度であることが好ましく、本実施形態では3[cm]としている。また、プレート21の厚さ寸法が異なる複数種類の高さ調整用スペーサ20を用意して、現場において厚さ寸法を選択できるようにしてもよい。例えば、1[cm]単位でプレート21の厚さ寸法が異なる複数種類の高さ調整用スペーサ20を用意してもよい。
【0024】
図4及び
図5に示すように、プレート21の上面(ボス部22が形成される側の面)には、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに対応する位置に、位置決め用凸部25が設けられている。本実施形態では、ボス部22を中心として180度間隔に(つまり反対側に配置されるように)、2つの位置決め用凸部25が設けられている。
図6に示すように、各位置決め用凸部25は、高さ調整用スペーサ20の切欠き23近傍であって、切欠き23の中央付近に、設けられている。すなわち、高さ調整用スペーサ20が仮に四角板状である場合(切欠き23が存在しない場合)、各位置決め用凸部25は、高さ調整用スペーサ20のいずれかの対角線上に設けられていることとなる。
【0025】
この位置決め用凸部25は、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに収容可能な形状及び大きさを有している。下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに、位置決め用凸部25が挿入されることにより、下側フランジ部11bに対してプレート21の位置決めがなされる。このとき、アンカーボルト用貫通孔11e,24の位置が一致することとなる。なお、位置決め用凸部25は、先端ほどその径が小さくなる(先細りとなる)円錐台形状とされており、位置決め用凹部11fに挿入しやすく構成している。
【0026】
また、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに対応する位置であって、位置決め用凸部25の間には、上下方向に貫通する貫通孔29が設けられている。この貫通孔29は、ボス部22を中心として180度間隔に(つまり反対側となるように)2つ設けられている。本実施形態では、位置決め用凸部25と貫通孔29とが90度間隔で交互に設けられていることとなる。この貫通孔29は、例えば、釘などを挿入可能に構成されており、貫通孔29を介して高さ調整用スペーサ20を釘などで固定可能にしている。
【0027】
図4及び
図5に示すように、ボス部22は、先端ほどその径が小さくなる(先細りとなる)円錐台形状に形成されている。ボス部22の外径(プレート21付近の最大径)は、下側筒部11aの内径、より詳しくは連通孔11cよりも小さく形成されており、ボス部22は、下側筒部11aの内部に挿入可能とされている。
【0028】
なお、高さ調整用スペーサ20を、下側フランジ部11bと設置面との間、及び上側フランジ部12bと設置面との間のいずれにおいても共用できるようにする場合、内径が小さい方(本実施形態では上側筒部12a)を基準としてボス部22の外径の最大値を設計すればよい。また、下側フランジ部11bと設置面との間と上側フランジ部12bと設置面との間で高さ調整用スペーサ20を使い分ける場合、ボス部22の外径を設置場所に応じて上下で異ならせてもよい。
【0029】
また、
図7や
図8に示すように、ボス部22の底面(プレート21の底面)には、他の高さ調整用スペーサ20のボス部22が、挿入可能な穴部26が形成されている。
図8は、
図6におけるB-B線断面図である。この穴部26は、ボス部22の先端形状に合わせて円錐台形状に形成されている。
図10に示すように、この穴部26に他の高さ調整用スペーサ20のボス部22が挿入されることにより、高さ調整用スペーサ20が鉛直方向に積み重ね可能に構成されている。なお、高さ調整用スペーサ20が鉛直方向に積み重ねられた際、プレート21同士が接触するようにボス部22及び穴部26の形状が設計されている。
【0030】
また、プレート21の底面(設置面に当接する側の面)には、滑り止め用凹凸27が設けられている。滑り止め用凹凸27の形状は、任意であり、例えば、複数の縦溝又は突条部を設けることにより、形成されていてもよいし、四角錐状又は半球状の突起を複数設けることにより形成されていてもよい。
【0031】
また、プレート21の底面には、他の高さ調整用スペーサ20の位置決め用凸部25が挿入され、収容される収容凹部28が設けられている。収容凹部28は、位置決め用凸部25の位置及びその形状に対応して設けられている。すなわち、収容凹部28は、ボス部22(穴部26)を中心として180度間隔に、2つ設けられている。また、
図7に示すように、収容凹部28は、切欠き23近傍であって、切欠き23の中央付近に、設けられている。すなわち、高さ調整用スペーサ20が仮に四角板状である場合、各収容凹部28は、高さ調整用スペーサ20のいずれかの対角線上に設けられていることとなる。したがって、本実施形態では、収容凹部28と貫通孔29は、ボス部22(穴部26)を中心として、90度間隔で交互に設けられていることとなる。
【0032】
この収容凹部28に、位置決め用凸部25が挿入されることにより、高さ調整用スペーサ20を複数重ねる際に周方向の位置決めを簡単に行うことができる。そして、位置決め用凸部25によって位置決めがなされることにより、高さ調整用スペーサ20のアンカーボルト用貫通孔24の位置が一致することとなる。
【0033】
なお、貫通孔29も、位置決め用凸部25の位置及びその形状に対応して設けられている。このため、貫通孔29を介して高さ調整用スペーサ20を釘などで固定する必要がなければ、収容凹部28の代わりに貫通孔29に位置決め用凸部25を挿入して、位置決めすることができる。
【0034】
次に、このように構成された高さ調整用スペーサ20を使った仮設支柱10の高さ調整方法について説明する。なお、上下いずれの側においても同様の方法で高さ調整が行われる。そこで、本実施形態では、下側、すなわち、外管11と設置面との間における高さ調整方法を中心にして説明するものとし、上側、すなわち、内管12と設置面との間における高さ調整方法についての説明は省略するものとする。
【0035】
図9に示すように、作業者は、高さ調整用スペーサ20のボス部22を、下側フランジ部11bの連通孔11cを介して、下側筒部11aの内側に挿入する。その際、高さ調整用スペーサ20の位置決め用凸部25を、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに差し込み、アンカーボルト用貫通孔24,11eの位置合わせを行う。そして、プレート21を仮設支柱10の下側フランジ部11bと設置面との間に介在させるようにして、仮設支柱10を設置する。その後、必要ならば、プレート21と設置面との間に隙間がないように、仮設支柱10の高さ調整を行う。調整後、内管12の位置を固定する。必要ならば、アンカーボルト用貫通孔24,11eを介して、アンカーボルトを打ち込む。これにより、仮設支柱10の設置が完了する。
【0036】
ところで、仮設支柱10の使用長の最大にしても、高さ調整用スペーサ20を1つだけでは、高さ(厚さ寸法)が足らない場合がある。すなわち、高さ調整用スペーサ20と、設置面との間に隙間ができてしまう場合がある。この場合、
図10に示すように、高さ調整用スペーサ20を積み重ねて高さ調整をしてもよい。
【0037】
詳しく説明すると、高さ調整用スペーサ20の穴部26に他の高さ調整用スペーサ20のボス部22を挿入して鉛直方向に高さ調整用スペーサ20を複数積み重ねる。このとき、積み重ねて構成されたプレート21の厚さ寸法が、使用長が最大の時における仮設支柱10と設置面との間の距離以上となるように、高さ調整用スペーサ20を複数積み重ねる。積み重ねる際、高さ調整用スペーサ20の位置決め用凸部25を、他の高さ調整用スペーサ20の収容凹部28(又は貫通孔29)に差し込み、アンカーボルト用貫通孔24同士の位置合わせを行っておく。
【0038】
そして、積み重ねた複数の高さ調整用スペーサ20のうち最上段の高さ調整用スペーサ20のボス部22を、連通孔11cを介して、下側筒部11aの内側に挿入する。その際、最上段の高さ調整用スペーサ20の位置決め用凸部25を、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに差し込み、アンカーボルト用貫通孔24,11eの位置合わせを行う。
【0039】
そして、積み重ねた複数のプレート21を仮設支柱10の下側フランジ部11bと設置面との間に介在させるようにして、仮設支柱10を設置する。その後、必要ならば、プレート21と設置面との間に隙間がないように、仮設支柱10の高さ調整を行う。調整後、内管12の位置を固定する。必要ならば、アンカーボルト用貫通孔24,11eを介して、アンカーボルトを打ち込む。これにより、仮設支柱10の設置が完了する。
【0040】
以下、上記実施形態における仮設支柱10の高さ調整用スペーサ20及び仮設支柱10の高さ調整方法についての効果を説明する。
【0041】
高さ調整用スペーサ20は、仮設支柱10の下側フランジ部11b(又は上側フランジ部12b、以下同じ)と設置面との間に介在されるプレート21と、プレート21に立設し、下側筒部11a(又は上側筒部12a、以下同じ)の内側に挿入される凸状のボス部22と、を備える。このボス部22により、仮設支柱10が高さ調整用スペーサ20に対してずれることを防止でき、安定的に設置することができる。
【0042】
高さ調整用スペーサ20の穴部26に他の高さ調整用スペーサ20のボス部22を挿入して鉛直方向に高さ調整用スペーサ20を複数積み重ねることができる。このため、高さ調整用スペーサ20が1つだけでは高さが足らない場合であっても、積み重ねることにおり、高さを調整することができる。また、高さ調整用スペーサ20を積み重ねた状態で、搬送することができるため、持ち運びやすいという利点がある。
【0043】
高さ調整用スペーサ20は、硬質ゴム製であるため、金属に比較して軽くすることができる。また、弾性体であるため、金属に比較して柔らかく、密着させやすく、ずれにくいため、高さ調整を行うために、仮設支柱10と設置面との間に介在させるものとして好適である。
【0044】
ボス部22は、その先端ほど、その径が小さくなる円錐台形状に形成されており、穴部26は、ボス部22の先端形状に合わせて円錐台形状に形成されている。これにより、積み重ね可能な高さ調整用スペーサ20の数を多くすることができる。このため、仮設支柱10と設置面との間に比較的大きな隙間が形成されていたとしても、多数の高さ調整用スペーサ20を積み重ねることにより、調整することができる。また、搬送時に多数の高さ調整用スペーサ20を積み重ねてコンパクトにすることができる。
【0045】
プレート21には、ボス部22とは別に、下側フランジ部11bの位置決め用凹部11fに対応する位置に、位置決め用凸部25が形成されている。このため、下側フランジ部11bとプレート21との位置合わせを容易に行うことができる。
【0046】
例えば、位置決め用凸部25が位置決め用凹部11fに挿入された場合、プレート21のアンカーボルト用貫通孔24の位置と、下側フランジ部11bのアンカーボルト用貫通孔11eの位置とが一致するようになっている。これにより、下側フランジ部11b及びプレート21を重ねて、アンカーボルトを打ち込む際、アンカーボルト用貫通孔11e,24の位置合わせをしなくてよくなり、簡単に設置することができる。
【0047】
プレート21の底面(設置面側の面)には、滑り止め用凹凸27が形成されている。このため、アンカーボルトが撃ち込まれていなくても、設置面に対してある程度ずれにくくすることができる。また、プレート21の底面には、位置決め用凸部25の設置位置に対応して、位置決め用凸部25が挿入される収容凹部28(又は貫通孔29)が形成されている。これにより、積み重ねる際、アンカーボルト用貫通孔24同士の位置を容易に一致させることができる。
【0048】
(変形例)
上記実施形態の構成の一部を変更した変形例について説明する。
【0049】
・上記実施形態において、仮設支柱10は、外管11と内管12により構成され、伸縮自在に構成されていたが、1本の管により構成されていてもよい。
【0050】
・上記実施形態において、下側フランジ部11bと上側フランジ部12bは、どちらか一方だけであってもよい。
【0051】
・上記実施形態において、プレート21の厚さ寸法が異なる複数種類の高さ調整用スペーサ20を組み合わせて重ねてもよい。
【0052】
・上記実施形態において、ボス部22の外径形状は、下側筒部11a(又は上側筒部12a)に挿入可能であるならば、任意に変更してもよい。例えば、ボス部22の外径形状を円柱形状や角柱形状としてもよい。また、角錐形状としてもよい。
【0053】
・上記実施形態において、位置決め用凹部11f及び位置決め用凸部25は、設けなくてもよい。また、それに伴い、収容凹部28を設けなくてもよい。また、上記実施形態において、アンカーボルト用貫通孔11e,24は設けられていなくてもよい。
【0054】
・上記実施形態において、下側フランジ部11b、上側フランジ部12b及びプレート21の形状は、任意に変更してもよい。例えば、円板状に形成されていてもよい。また、切欠き部11dや切欠き23が設けられていなくてもよい。また、下側フランジ部11bと上側フランジ部12bとで、大きさや形状を異ならせてもよい。
【0055】
・上記実施形態において、下側に配置する高さ調整用スペーサ20と、上側に配置する高さ調整用スペーサ20とで、大きさや形状を異ならせてもよい。例えば、下側筒部11aと、上側筒部12aとでその内径が異なる場合、それに応じてボス部22の外径の大きさを変更してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…仮設支柱、11…外管、11a…下側筒部、11b…下側フランジ部、11c…連通孔、11d…下側フランジ部の切欠き、11e…下側フランジ部のアンカーボルト用貫通孔、11f…位置決め用凹部、12…内管、12a…上側筒部、12b…上側フランジ部、20…高さ調整用スペーサ、21…プレート、22…ボス部、23…プレートの切欠き、24…プレートのアンカーボルト用貫通孔、25…位置決め用凸部、26…穴部、27…滑り止め用凹凸。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられるフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整用スペーサであって、
前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在されるプレートと、
前記プレートに立設し、前記管部の内側に挿入される凸状のボス部と、を備え、
前記プレートには、前記フランジ部に対して位置決めするための位置決め用凸部と、釘が挿通される釘用貫通孔と、が設けられている仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項2】
前記位置決め用凸部は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられており、
前記釘用貫通孔は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられているとともに、周方向において前記位置決め用凸部の間に配置されている請求項1に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項3】
前記高さ調整用スペーサの前記プレートには、前記設置面に打ち込まれるアンカーボルトが挿通されるアンカーボルト用貫通孔が設けられており、
前記プレートの前記アンカーボルト用貫通孔は、周方向において前記釘用貫通孔と、前記位置決め用凸部との間に配置されている請求項2に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項4】
鉛直方向において前記ボス部の両端のうち前記設置面側には、他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が、挿入可能な穴部が形成されており、
前記穴部に他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が挿入されることにより、前記高さ調整用スペーサが鉛直方向に積み重ね可能に構成されており、
前記プレートの底面には、位置決め用凸部に対応する位置に位置決め用凸部が収容される収容凹部が設けられている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項5】
前記ボス部は、その先端ほど、その径が小さくなる円錐台形状に形成されている請求項4に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項6】
前記プレートの底面には、滑り止め用凹凸が形成されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項7】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられたフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整方法であって、
プレートと前記プレートに立設する凸状のボス部とを有する高さ調整用スペーサの前記ボス部を、前記管部の内側に挿入し、
前記プレートに設けられた位置決め用凸部を前記フランジ部に設けられた位置決め凹部に挿入して前記フランジ部に対して前記プレートの位置決めを行い、
前記プレートを前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在させ、
前記プレートに設けられた釘用貫通孔に釘を挿入して固定する仮設支柱の高さ調整方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられるフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整用スペーサであって、
前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在されるプレートと、
前記プレートに立設し、前記管部の内側に挿入される凸状のボス部と、を備え、
前記プレートには、前記フランジ部に対して位置決めするための位置決め用凸部と、釘が挿通される釘用貫通孔と、が設けられており、
前記位置決め用凸部は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられており、
前記釘用貫通孔は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられているとともに、周方向において前記位置決め用凸部の間に配置されており、
前記高さ調整用スペーサの前記プレートには、前記設置面に打ち込まれるアンカーボルトが挿通されるアンカーボルト用貫通孔が設けられており、
前記プレートの前記アンカーボルト用貫通孔は、周方向において前記釘用貫通孔と、前記位置決め用凸部との間に配置されている、仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項2】
鉛直方向において前記ボス部の両端のうち前記設置面側には、他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が、挿入可能な穴部が形成されており、
前記穴部に他の前記高さ調整用スペーサの前記ボス部が挿入されることにより、前記高さ調整用スペーサが鉛直方向に積み重ね可能に構成されており、
前記プレートの底面には、位置決め用凸部に対応する位置に位置決め用凸部が収容される収容凹部が設けられている、請求項1に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項3】
前記ボス部は、その先端ほど、その径が小さくなる円錐台形状に形成されている請求項2に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項4】
前記プレートの底面には、滑り止め用凹凸が形成されている請求項1に記載の仮設支柱の高さ調整用スペーサ。
【請求項5】
鉛直方向に延びる管部と、管部の上端及び下端のうち少なくともいずれか一方に設けられたフランジ部とを有する仮設支柱の高さ調整方法であって、
プレートと前記プレートに立設する凸状のボス部とを有する高さ調整用スペーサの前記ボス部を、前記管部の内側に挿入し、
前記プレートに設けられた位置決め用凸部を前記フランジ部に設けられた位置決め凹部に挿入して前記フランジ部に対して前記プレートの位置決めを行い、
前記プレートを前記仮設支柱の前記フランジ部と設置面との間に介在させ、
前記プレートに設けられた釘用貫通孔に釘を挿入して固定するとともに、前記プレートに設けられたアンカーボルト用貫通孔にアンカーボルトを挿通して設置面に打ち込む方法であり、
前記位置決め用凸部は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられており、
前記釘用貫通孔は、前記ボス部を中心として周方向に180度間隔に2つ設けられているとともに、周方向において前記位置決め用凸部の間に配置されており、
前記アンカーボルト用貫通孔は、周方向において前記釘用貫通孔と、前記位置決め用凸部との間に配置されている、仮設支柱の高さ調整方法。