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特開2024-158867車載装置、設定方法、及び設定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158867
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車載装置、設定方法、及び設定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20241031BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60R16/023 P
B60R16/02 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074454
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 卓真
(57)【要約】
【課題】拡張機器の構成の複雑化を抑制しつつ、拡張機器の識別子を設定する。
【解決手段】
車載装置は、複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置であって、車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部と、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子と、オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器と通信することが可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にし、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置であって、
車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部と、
前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にする制御部と、
前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定する設定部と、
を備える、
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数のスイッチング素子のうち、オン状態にする前記スイッチング素子を切り替え、
前記設定部は、オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に対して、識別子を設定する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記接続部に対応して定められた前記識別子を、前記接続部に接続された前記拡張機器に設定する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の接続部に対して予め定められた順番で、前記接続部に対応する前記スイッチング素子をオン状態にする、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記識別子はCAN IDであり、
前記設定部は、前記複数の拡張機器に対して、順番に前記識別子の値が大きくなるように又は小さくなるように前記識別子を設定する、
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子は、前記制御部と通信するための通信線に設けられている、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車載装置が起動したときに、初期化処理として、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にする、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記接続部への前記拡張機器の接続を検出したときに、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にする、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記拡張機器から出力される信号を受信することにより、前記接続部への前記拡張機器の接続を検出する、
請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
前記車載装置は、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器が、前記識別子の設定対象であるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記設定部は、前記判定部によって前記識別情報の設定対象であると判定された前記拡張機器に、前記識別子を設定する、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記拡張機器の製品情報に基づいて、前記拡張機器が前記識別子の設定対象であるか否かを判定する、
請求項10に記載の車載装置。
【請求項12】
複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置における設定方法であって、
車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部のそれぞれに、前記複数の拡張機器が接続された場合に、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にするステップと、
前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定するステップと、
を含む、
設定方法。
【請求項13】
複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置において用いられる設定プログラムであって、
コンピュータに、
車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部のそれぞれに、前記複数の拡張機器が接続された場合に、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にするステップと、
前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定するステップと、
を実行させるための、
設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、設定方法、及び設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン、トランスミッション等を制御する制御系ECU(Electronic Control Unit)、ヘッドライト、パワーウインドウ等を制御するボディ系ECU、ナビゲーション装置、マルチメディア機器等の情報系ECU等、多種の車載装置が搭載される。各車載装置は、CAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)のような通信プロトコルによって相互に通信することができる。
【0003】
特許文献1には、プロペラアームを装着可能な4つのスロットが設けられた飛翔体の本体装置において、互いに異なる抵抗値を有する抵抗器を各スロットに配置し、プロペラアームをスロットに装着したときに、抵抗器の抵抗値に応じた参照電圧値を読み取り、参照電圧値に応じたIDをプロペラアームに割り当てる本体装置が開示されている。各プロペラアームには、AD変換器と、閾値電圧テーブルと、識別子設定部とが設けられ、AD変換器が参照電圧値をAD変換し、閾値変換部が参照電圧値を閾値電圧テーブルに格納された複数の閾値電圧と比較し、その結果決定されたID(CAN ID)を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-182673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、拡張機器であるプロペラアームにAD変換器、閾値電圧テーブル、及び識別子設定部(プロセッサ)等の部品を搭載しなければならず、拡張機器に複雑な構成が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置であって、車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部と、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子と、オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器と通信することが可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にし、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、拡張機器の構成の複雑化を抑制しつつ、拡張機器の識別子を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両における拡張機器の取付位置の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るECUのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るECUの機能の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る拡張機器であるカメラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、製品情報テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、設定テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、複数のカメラのそれぞれへCAN IDを設定するECUの動作の一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、実施形態に係るECUによる識別子設定シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0010】
(1) 本実施形態に係る車載装置は、複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置であって、車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部と、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子と、オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器と通信することが可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にし、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定する。これにより、スイッチング素子をオン状態にされた接続部に接続された拡張機器にのみ、識別子を設定することができる。識別子の設定のための特別な構造を拡張機器に設ける必要がなく、拡張機器の構成の複雑化が抑制される。
【0011】
(2) 上記(1)において、前記制御部は、前記複数のスイッチング素子のうち、オン状態にする前記スイッチング素子を切り替え、前記設定部は、オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に対して、識別子を設定してもよい。これにより、複数の接続部にそれぞれ接続された複数の拡張機器に識別子を設定することができる。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)において、前記制御部は、前記接続部に対応して定められた前記識別子を、前記接続部に接続された前記拡張機器に設定してもよい。これにより、接続部、すなわち車両における取付位置に応じて、拡張機器に識別子を設定することができる。
【0013】
(4) 上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記複数の接続部に対して予め定められた順番で、前記接続部に対応する前記スイッチング素子をオン状態にしてもよい。これにより、接続された全ての拡張機器に順番に識別子を設定することができる。
【0014】
(5) 上記(4)において、前記識別子はCAN IDであり、前記設定部は、前記複数の拡張機器に対して、順番に前記識別子の値が大きくなるように又は小さくなるように前記識別子を設定してもよい。CAN IDは値が小さいほど優先度が高い。上記の構成により、予め定められた順番にしたがった優先度の識別子を各拡張機器に設定することができる。
【0015】
(6) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記スイッチング素子は、前記制御部と通信するための通信線に設けられてもよい。これにより、スイッチング素子をオン状態にすることで制御部との通信が可能となった拡張機器に対して識別子を設定することができる。
【0016】
(7) 上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記車載装置が起動したときに、初期化処理として、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にしてもよい。これにより、起動時に毎回、拡張機器の識別子を設定することができる。
【0017】
(8) 上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記接続部への前記拡張機器の接続を検出したときに、前記複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にしてもよい。これにより、拡張装置の接続部への接続が検出されたときに、拡張機器の識別子を設定することができる。
【0018】
(9) 上記(8)において、前記制御部は、前記拡張機器から出力される信号を受信することにより、前記接続部への前記拡張機器の接続を検出してもよい。これにより、拡張機器の接続部への接続を検出することができる。
【0019】
(10) 上記(1)から(9)のいずれか1つにおいて、前記車載装置は、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器が、前記識別子の設定対象であるか否かを判定する判定部をさらに備え、前記設定部は、前記判定部によって前記識別情報の設定対象であると判定された前記拡張機器に、前記識別子を設定してもよい。これにより、識別子の設定対象の拡張機器に対して、識別子を設定することができる。
【0020】
(11) 上記(10)において、前記判定部は、前記拡張機器の製品情報に基づいて、前記拡張機器が前記識別子の設定対象であるか否かを判定してもよい。これにより、識別子の設定対象の拡張機器を特定することができる。
【0021】
(12) 本実施形態に係る設定方法は、複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置における設定方法であって、車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部のそれぞれに、前記複数の拡張機器が接続された場合に、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にするステップと、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定するステップと、を含む。これにより、スイッチング素子をオン状態にされた接続部に接続された拡張機器にのみ、識別子を設定することができる。識別子の設定のための特別な構造を拡張機器に設ける必要がなく、拡張機器の構成の複雑化が抑制される。
【0022】
(13) 本実施形態に係る設定プログラムは、複数の拡張機器を接続することが可能な車載装置において用いられる設定プログラムであって、コンピュータに、車両における前記複数の拡張機器を取り付けるための複数の取付位置に対応した、前記拡張機器を接続するための複数の接続部のそれぞれに、前記複数の拡張機器が接続された場合に、前記複数の接続部のそれぞれに対応して設けられた複数のスイッチング素子のうちの1つをオン状態にするステップと、前記オン状態の前記スイッチング素子に対応する前記接続部に接続された前記拡張機器に識別子を設定するステップと、を実行させる。これにより、スイッチング素子をオン状態にされた接続部に接続された拡張機器にのみ、識別子を設定することができる。識別子の設定のための特別な構造を拡張機器に設ける必要がなく、拡張機器の構成の複雑化が抑制される。
【0023】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える車載装置、車載装置における特徴的な処理をステップとする設定方法、及び車載装置に特徴的な処理を実行させるための設定プログラムとして実現することができるだけでなく、車載装置を含む車載システムとして実現したり、車載装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【0024】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0025】
[1.拡張機器の取付位置]
図1は、実施形態に係る車両における拡張機器の取付位置の一例を示す図である。実施形態において、車載装置は、車両10に搭載されたECU100である。ECU100は、拡張機器であるカメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hを接続することが可能である。
【0026】
車両10におけるカメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hの取付位置は予め定められている。すなわち、車両10前端の幅方向中央(以下、「前方中央」ともいう)、車両10前端の幅方向左端(以下、「前方左」ともいう)、車両10前端の幅方向右端(以下、「前方右」ともいう)、車両10の前端の幅方向左端(以下、「前方左」ともいう)、車両10後端の幅方向中央(以下、「後方中央」ともいう)、車両10後端の幅方向左端(以下、「後方左」ともいう)、車両10後端の幅方向右端以下、「後方右」ともいう)、車両10の前後方中間部の幅方向左端(例えば、左側ドアミラーの位置。以下、「左」ともいう)、及び車両10の前後方中間部の幅方向右端(例えば、右側ドアミラーの位置。以下、「右」ともいう)のそれぞれが、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hの取付位置である。
【0027】
ECU100は、例えば、車両10の周辺を監視するための車両周辺監視ECUである。車両周辺監視ECUは、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hによって得られた画像を合成処理し、車両10を上方から見た継ぎ目のない鳥瞰画像を生成する。生成された鳥瞰画像は、車両10に搭載された表示装置に表示される。
【0028】
ECU100は、車両周辺監視ECUとは異なるECUであってもよい。例えば、ECU100は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hによって得られた画像を処理して車両10の周辺の物体(人、車両等)を検知する物体検知ECUであってもよいし、さらに他の例では、ECU100は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hの画像を用いて車両10を自動運転する自動運転ECUであってもよい。
【0029】
拡張機器は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hに限られない。例えば、拡張機器は、超音波センサであってもよい。例えば、ECU100は、複数の超音波センサによって車両10の障害物への接近を検知するクリアランスソナーECUであてもよい。
【0030】
ECU100が車両周辺監視ECUである場合において、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちの一部のカメラの画像は、鳥瞰画像の生成以外の用途にも用いられてもよい。例えば、前方中央のカメラ200A及び後方中央のカメラ200Dの画像は、ドライブレコーダに用いられてもよい。
【0031】
カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hは、ECU100に着脱することが可能である。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hは、ECU100との接続機能を有するカメラである。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hは、例えば、ECU100を製造販売する企業によって製造販売されるカメラ(純正品)である。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hは、ECU100との接続機能に対応していれば、ECU100を製造販売する企業とは異なる企業によって製造販売されるカメラ(非純正品)であってもよい。
【0032】
[2.ECUのハードウェア構成]
図2は、実施形態に係るECUのハードウェア構成の一例を示す図である。ECU100は、制御回路110を含む。制御回路110は、プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信インタフェース(以下、「通信I/F」ともいう)104と、駆動回路105とを含む。プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信I/F104と、駆動回路105とのそれぞれは、通信線であるバス106によって互いに接続されている。プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信I/F104と、駆動回路105とのそれぞれは、バス106を介して互いにデータを伝送することができる。
【0033】
揮発性メモリ103は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ102は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ102には、コンピュータプログラムである設定プログラム111及び設定プログラム111の実行に使用されるデータが格納される。ECU100の後述する機能は、設定プログラム111がプロセッサ101によって実行されることで発揮される。
【0034】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ101は、CPUに限られない。プロセッサ101は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ101は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ101は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、設定プログラム111と同じ機能を実行可能に構成される。
【0035】
通信I/F104は、特定の通信プロトコルに準拠した通信インタフェースである。例えば、通信プロトコルは、バス型のネットワークトポロジに対応した通信規格に準拠した通信プロトコルである。具体的な一例では、通信プロトコルはCANであり、通信I/F104はCANインタフェースである。ただし、通信プロトコルは、CANを拡張した通信プロトコル、例えば、CAN FD(CAN with Flexible Data rate)であってもよい。通信I/F104は、CANとは異なるバス型のネットワークトポロジに対応した通信規格に準拠した通信I/F、例えば、LIN用又はFlexRay用の通信I/Fであってもよい。以下の説明では、通信プロトコルをCANとする。
【0036】
通信I/F104は、バス120に接続されている。バス120は、制御回路110の外部へ延びている。バス120は、複数に分岐しており、各分岐先の先端にはコネクタの第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hが設けられている。第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hは、「接続部」の例である。
【0037】
カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのそれぞれには、コネクタの第2接続部210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hが設けられている。第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hと、第2接続部210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hとは互いに接続及び切り離しが可能である。第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hは、例えばプラグであり、第2接続部210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hは、例えばレセプタクルである。ただし、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hがレセプタクルであり、第2接続部210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hがプラグであってもよい。
【0038】
バス120は、通信線及び電力線を含む。図2には、バス120の通信線が示されている。バス120には、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hのそれぞれに対応して、スイッチング素子(以下、「SW」ともいう)122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hが設けられている。すなわち、バス120のうち第1接続部121Aにつながる通信線の途中にSW121Aが配置される。第1接続部121Bにつながる通信線の途中にSW121Bが配置される。第1接続部121Cにつながる通信線の途中にSW121Cが配置される。第1接続部121Dにつながる通信線の途中にSW121Dが配置される。第1接続部121Eにつながる通信線の途中にSW121Eが配置される。第1接続部121Fにつながる通信線の途中にSW121Fが配置される。第1接続部121Gにつながる通信線の途中にSW121Gが配置される。第1接続部121Hにつながる通信線の途中にSW121Hが配置される。
【0039】
さらに具体的には、CANバスはハイワイヤとローワイヤとを含む2線式バスである。具体的な一例では、バス120の通信線のハイワイヤ及びローワイヤのそれぞれにスイッチング素子が設けられる。例えば、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのそれぞれは、2つのスイッチング素子の組であり、第1のスイッチング素子がハイワイヤに設けられ、第2のスイッチング素子がローワイヤに設けられてもよい。1組のスイッチング素子は、同時にオン/オフ制御される。
【0040】
SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのそれぞれは、例えば、半導体リレーである。ただし、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのそれぞれは、メカニカルリレーであってもよい。
【0041】
駆動回路105は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのそれぞれを制御する。すなわち、駆動回路105は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのそれぞれをオン状態にしたり、オフ状態にしたりすることができる。
【0042】
駆動回路105は、プロセッサ101から入力された指令にしたがって、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hを駆動するための電圧信号を出力する。具体的には、駆動回路105は、Low及びHighの2値を示す電圧信号を出力する。Low信号は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hをオフ状態にする信号であり、High信号は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hをオン状態にする信号である。
【0043】
SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hがオフ状態の場合、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hにつながる通信線が遮断される。SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hがオン状態の場合、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hにつながる通信線が接続される。
【0044】
設定プログラム111は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのそれぞれに識別子であるCAN IDを設定するためのプログラムである。
【0045】
不揮発性メモリ102には、設定テーブル112及び製品情報テーブル113が格納されている。設定テーブル112は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200HのそれぞれにCAN IDを設定するために用いられるテーブルである。製品情報テーブル113は、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hの製品情報が格納されたテーブルである。設定テーブル112及び製品情報テーブル113については後述する。
【0046】
なお、図示していないが、ECU100は、通信I/F104とは異なる通信I/Fを備え、車両10に搭載された他のECUと通信することができる。
【0047】
[3.ECUの機能]
次に、ECU100の機能について説明する。以下、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hを総称して「カメラ200」ともいう。同様に、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hを総称して「第1接続部121」ともいう。第2接続部210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hを総称して「第2接続部210」ともいう。SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hを総称して「SW122」ともいう。
【0048】
図3は、実施形態に係るECUの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0049】
ECU100のプロセッサ101が設定プログラム111を実行することにより、制御部131と、判定部132と、設定部133との各機能が実現される。制御部131、判定部132、及び設定部133のそれぞれは、プロセッサ101によって実現される。
【0050】
制御部131は、SW122を制御する。具体的には、制御部131は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのうちの1つをオン状態にし、それ以外をオフ状態にする。
【0051】
設定部133は、オン状態のSW122に対応する第1接続部121に接続されたカメラ200に識別子であるCAN ID(CAN Identifier)を設定する。
【0052】
すなわち、制御部131がSW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのうちの1つをオン状態にし、それ以外をオフ状態にすると、オン状態である1つのSW122に対応する第1接続部121は、通信I/F104に接続された状態となる。オフ状態であるSW122に対応する第1接続部121は、通信I/F104に接続されていない状態となる。
【0053】
ここでは、一例として、SW122Aがオン状態であり、SW122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hがオフ状態である場合を想定する。オン状態であるSW122Aに対応する第1接続部121Aは、通信I/F104に接続された状態となる。オフ状態であるSW122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hに対応する第1接続部121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hは、通信I/F104に接続されていない状態となる。
【0054】
SW122Aがオン状態であるため、第1接続部121Aにカメラ200Aの第2接続部210Aが接続された場合、カメラ200AがECU100と通信可能な状態となる。一方、SW122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hがオフ状態であるため、第1接続部121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hに、カメラ200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hの第2接続部210B,210C,210D,210E,210F,210G,210Hが接続されたとしても、カメラ200B,200C,200D,200E,200F,200G,200HはECU100と通信不可能な状態である。
【0055】
このように、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200AのみがECU100と通信可能な状態において、設定部133は、バス120へCAN IDを送信する。送信されたCAN IDは、カメラ200Aによって受信される。カメラ200Aは、受信したCAN IDを自装置のCAN IDとして設定する。
【0056】
図4は、実施形態に係る拡張機器であるカメラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。カメラ200は、CANによる通信機能を有する。
【0057】
カメラ200は、プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、通信I/F204とを含む。プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、通信I/F204とのそれぞれは、通信線であるバス205によって互いに接続されている。プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、通信I/F204とのそれぞれは、バス205を介して互いにデータを伝送することができる。
【0058】
なお、図4では、通信機能及びCAN IDの設定機能に関する構成のみを示している。カメラ200は、図示しない撮像素子及び画像処理回路などの撮像機能に関するハードウェアも備えている。
【0059】
揮発性メモリ203は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ202は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ202には、例えば、CAN ID設定用の図示しないコンピュータプログラムが格納される。
【0060】
プロセッサ201は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ201は、CPUに限られない。プロセッサ201は、GPUであってもよい。具体的な一例では、プロセッサ201は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ201は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ201は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ201は、例えば、ASICであってもよいし、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。
【0061】
通信I/F204は、特定の通信プロトコルに準拠した通信インタフェースである。すなわち、本実施形態では、通信I/F204はCANインタフェースである。ただし、通信I/F204は、ECU100との通信を可能とする通信I/Fであればよく、例えば、LIN用又はFlexRay用の通信I/Fであってもよい。
【0062】
通信I/F104は、通信線206を介して第2接続部210に接続されている。第2接続部210が第1接続部121に接続されると、通信I/F104がバス120に接続される。
【0063】
カメラ200は、ECU100からCAN IDを受信すると、不揮発性メモリ202にCAN ID220を格納する。これにより、カメラ200は、ECU100(又はそれ以外のECU)との通信において、不揮発性メモリ202に格納された自装置のCAN ID220を使用する。
【0064】
図3に戻り、判定部132は、オン状態のSW122に対応する第1接続部121に接続されたカメラ200が、CAN IDの設定対象であるか否かを判定する。すなわち、判定部132は、オン状態のSW122に対応する第1接続部121に接続されたカメラ200が、ECU100との接続機能を有するカメラであるか否かを判定する。上述したように、純正品のカメラ、及び非純正品であってもECU100との接続に対応したカメラであれば、判定部132は、当該カメラがCAN IDの設定対象であると判定することができる。
【0065】
具体的な一例では、判定部132は、カメラの製品情報に基づいて、カメラがCAN IDの設定対象であるか否かを判定する。例えば、ECU100との接続機能を有するカメラの製品情報は、予め製品情報テーブル113に登録されている。判定部132は、製品情報テーブル113を用いて、オン状態のSW122に対応する第1接続部121に接続されたカメラ200が、CAN IDの設定対象であるか否かを判定することができる。
【0066】
図5は、製品情報テーブルの一例を示す図である。製品情報テーブル113は、ECU100との接続機能を有するカメラの製品情報が格納されている。製品情報は、例えば、カメラの製品番号である。他の例では、製品情報は、製品名又は型式であってもよい。
【0067】
図5の例では、ECU100との接続機能を有するカメラの製品番号「ABC011」、「ABC021」、「XYZ55」、…が製品情報テーブル113に格納されている。ECU100との接続機能を有するカメラ200は、ECU100とバス120を介して接続された場合(つまり、対応するSW122がオン状態になった場合)に、自装置の製品番号を送信する。判定部132は、例えば、カメラ200から送信された製品番号を受信し、受信した製品番号と、製品情報テーブル113に登録されている製品番号とを比較する。カメラ200から受信した製品番号と一致する製品番号が製品情報テーブル113に存在する場合、判定部132は、当該カメラ200がCAN IDの設定対象であると判定する。カメラ200から受信した製品番号と一致する製品番号が製品情報テーブル113に存在しない場合、又は、カメラ200から製品番号を受信できない場合、判定部132は、当該カメラ200がCAN IDの設定対象ではないと判定する。
【0068】
図3に戻り、設定部133は、判定部132によってCAN IDの設定対象であると判定されたカメラ200に、CAN IDを設定する。これにより、カメラ200を、ECU100によって使用することが可能な状態にすることができる。
【0069】
制御部131は、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのうち、オン状態にするSW122を順次切り替える。これにより、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうち(さらに詳しくは、第2接続部210が第1接続部121に接続されたカメラ200のうち)、ECU100との通信が可能な状態となるカメラが順次切り替わる。
【0070】
設定部133は、オン状態のSW122に対応する第1接続部121に第2接続部210が接続されたカメラ200に対して、順次CAN IDを設定する。設定部133は、各カメラ200に別々の(すなわち、ユニークな)CAN IDを設定する。つまり、設定部133は、CAN IDを切り替えながら、各カメラ200にCAN IDを設定する。
【0071】
具体的な一例では、設定部133は、第1接続部121に対応して定められたCAN IDを、第1接続部121に第2接続部210が接続されたカメラ200に設定する。
【0072】
例えば、設定部133は、設定テーブル112を用いて、第1接続部121に対応して定められたCAN IDを特定することができる。図6は、設定テーブルの一例を示す図である。図6に示す設定テーブル112は、カメラ200の取付位置と、SW122の番号であるSW No.と、CAN IDとが対応づけられている。
【0073】
カメラ200の取付位置は、上述したように、「前方中央」、「前方左」、「前方右」、「後方中央」、「後方左」、「後方右」、「左」、「右」の8箇所である。取付位置「前方中央」には、SW No.「1」及びCAN ID「100」が対応づけられている。取付位置「前方左」には、SW No.「2」及びCAN ID「101」が対応づけられている。取付位置「前方右」には、SW No.「3」及びCAN ID「102」が対応づけられている。取付位置「後方中央」には、SW No.「4」及びCAN ID「103」が対応づけられている。取付位置「後方左」には、SW No.「5」及びCAN ID「104」が対応づけられている。取付位置「後方右」には、SW No.「6」及びCAN ID「105」が対応づけられている。取付位置「左」には、SW No.「7」及びCAN ID「106」が対応づけられている。取付位置「右」には、SW No.「8」及びCAN ID「107」が対応づけられている。
【0074】
SW No.「1」は、SW122Aの番号である。制御部131は、SW No.によってSW122を特定することができる。すなわち、制御部131は、SW No.「1」を、SW122Aとして特定する。同様に、SW No.「2」は、SW122Bの番号である。SW No.「3」は、SW122Cの番号である。SW No.「4」は、SW122Dの番号である。SW No.「5」は、SW122Eの番号である。SW No.「6」は、SW122Fの番号である。SW No.「7」は、SW122Gの番号である。SW No.「8」は、SW122Hの番号である。
【0075】
例えば、取付位置「前方中央」に配置されたカメラ200Aに対してCAN IDを設定する場合、制御部131は、SW No.「1」のSW122Aをオン状態にする。SW122Aがオン状態である間に、判定部132は、カメラ200Aから製品番号を受信し、受信した製品番号に基づいてカメラ200AがCAN IDの設定対象であるか否かを判定する。判定部132によって、カメラ200AがCAN IDの設定対象であると判定された場合、SW122Aがオン状態である間に、設定部133はCAN ID「100」をバス120に送信する。これにより、カメラ200AにCAN ID「100」が設定される。
【0076】
具体的な一例では、制御部131は、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hに対して予め定められた順番で、第1接続部121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121Hに対応するSW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hをオン状態にする。
【0077】
一例として、制御部131は、設定テーブル112に登録されているSW No.「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」の順番で、SW122をオン状態にする。換言すれば、制御部131は、設定テーブル112において上から下に向かって順番にSW No.を選択し、選択したSW No.に対応するSW122をオン状態にする。これにより、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hが順番にオン状態になる。
【0078】
設定部133は、設定テーブル112に登録されている順番で、CAN IDをカメラ200に設定する。すなわち、設定部133は、取付位置「前方中央」に配置されたカメラ200Aに、CAN ID「100」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「前方左」に配置されたカメラ200Bに、CAN ID「101」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「前方右」に配置されたカメラ200Cに、CAN ID「102」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「後方中央」に配置されたカメラ200Dに、CAN ID「103」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「後方左」に配置されたカメラ200Eに、CAN ID「104」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「後方右」に配置されたカメラ200Fに、CAN ID「105」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「左」に配置されたカメラ200Gに、CAN ID「106」を設定する。次に、設定部133は、取付位置「右」に配置されたカメラ200Hに、CAN ID「107」を設定する。
【0079】
設定テーブル112には、上から下に向かって順番に、CAN IDの値が大きくなっている。すなわち、制御部131は、複数のカメラ200に対して、CAN IDの値が順番に大きくなるようにCAN IDを設定する。CAN IDは値が小さいほど優先度が高い。一方、設定テーブル112における取付位置は、図6において上から下に向かって順番に重要度が低くなる。すなわち、図6において上にある取付位置ほど重要度が高い。したがって、取付位置の重要度が高いカメラほど、優先度が高いCAN IDが設定される。
【0080】
図3に戻り、本実施形態では、制御部131は、ECU100が起動したときに、初期化処理として、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hのうちの1つをオン状態にし、それ以外をオフ状態にする。
【0081】
以下の説明では、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hを順次オン状態にし、カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hに順次CAN IDを設定する処理を、「識別子設定シーケンス」という。制御回路110は、ECU100が起動したときに、初期化処理として、識別子設定シーケンスを実行する。
【0082】
ECU100は、接続された電源に応じて起動タイミングが定められている。すなわち、ECU100がIG(イグニッション)電源に接続されている場合、車両10がIGオン状態となったタイミングでECU100が起動する。ECU100がACC(アクセサリ)電源に接続されている場合、車両10がACCオン状態となったタイミングでECU100が起動する。
【0083】
[4.ECUの動作]
次に、実施形態に係るECU100の動作について説明する。
【0084】
図7は、複数のカメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200HのそれぞれへCAN IDを設定するECU100の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0085】
図7において、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hそれぞれのラインにおいて、破線はオフ状態を示し、実線はオン状態を示す。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hそれぞれのラインにおいて、破線は通信不可能状態を示し、実線は通信可能状態を示す。
【0086】
制御回路110は、まず、SW No.1のSW122Aをオン状態にする(ステップS11)。このとき、SW122B,122C,122D,122E,122F,122G,122Hはオフ状態である。駆動回路105がSW122Aへ出力する電圧信号をLowからHighに切り替えることにより、SW122Aの状態がオフ状態からオン状態へ遷移する。SW122Aがオン状態となることにより、第1接続部121Aに第2接続部210Aが接続されたカメラ200Aが通信可能状態となる。
【0087】
制御回路110は、バス120へCAN ID「100」を送信する(ステップS12)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200AのみがCAN ID「100」を受信する。カメラ200Aは不揮発性メモリ202にCAN ID「100」を格納する。これにより、カメラ200AのCAN IDが「100」に設定される。
【0088】
制御回路110は、CAN ID「100」をカメラ200Aに設定した後、SW122Aをオフ状態にする(ステップS13)。駆動回路105がSW122Aへ出力する電圧信号をHighからLowに切り替えることにより、SW122Aの状態がオン状態からオフ状態へ遷移する。SW122Aがオフ状態となることにより、第1接続部121Aに第2接続部210Aが接続されたカメラ200Aが通信不可能状態となる。
【0089】
制御回路110は、次に、SW No.2のSW122Bをオン状態にする(ステップS14)。このとき、SW122A,122C,122D,122E,122F,122G,122Hはオフ状態である。SW122Bがオン状態となることにより、第1接続部121Bに第2接続部210Bが接続されたカメラ200Bが通信可能状態となる。
【0090】
制御回路110は、バス120へCAN ID「101」を送信する(ステップS15)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200BのみがCAN ID「101」を受信する。カメラ200Bは不揮発性メモリ202にCAN ID「101」を格納する。これにより、カメラ200BのCAN IDが「101」に設定される。
【0091】
制御回路110は、CAN ID「101」をカメラ200Bに設定した後、SW122Bをオフ状態にする(ステップS16)。SW122Bがオフ状態となることにより、カメラ200Bが通信不可能状態となる。
【0092】
制御回路110は、次に、SW No.3のSW122Cをオン状態にする(ステップS17)。このとき、SW122A,122B,122D,122E,122F,122G,122Hはオフ状態である。SW122Cがオン状態となることにより、第1接続部121Cに第2接続部210Cが接続されたカメラ200Cが通信可能状態となる。
【0093】
制御回路110は、バス120へCAN ID「102」を送信する(ステップS18)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200CのみがCAN ID「102」を受信する。カメラ200Cは不揮発性メモリ202にCAN ID「102」を格納する。これにより、カメラ200CのCAN IDが「102」に設定される。
【0094】
制御回路110は、CAN ID「102」をカメラ200Cに設定した後、SW122Cをオフ状態にする(ステップS19)。SW122Cがオフ状態となることにより、カメラ200Cが通信不可能状態となる。
【0095】
制御回路110は、次に、SW No.4のSW122Dをオン状態にする(ステップS20)。このとき、SW122A,122B,122C,122E,122F,122G,122Hはオフ状態である。SW122Dがオン状態となることにより、第1接続部121Dに第2接続部210Dが接続されたカメラ200Dが通信可能状態となる。
【0096】
制御回路110は、バス120へCAN ID「103」を送信する(ステップS21)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200DのみがCAN ID「103」を受信する。カメラ200Dは不揮発性メモリ202にCAN ID「103」を格納する。これにより、カメラ200DのCAN IDが「103」に設定される。
【0097】
制御回路110は、CAN ID「103」をカメラ200Dに設定した後、SW122Dをオフ状態にする(ステップS22)。SW122Dがオフ状態となることにより、カメラ200Dが通信不可能状態となる。
【0098】
制御回路110は、次に、SW No.5のSW122Eをオン状態にする(ステップS23)。このとき、SW122A,122B,122C,122D,122F,122G,122Hはオフ状態である。SW122Eがオン状態となることにより、第1接続部121Eに第2接続部210Eが接続されたカメラ200Eが通信可能状態となる。
【0099】
制御回路110は、バス120へCAN ID「104」を送信する(ステップS24)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200EのみがCAN ID「104」を受信する。カメラ200Eは不揮発性メモリ202にCAN ID「104」を格納する。これにより、カメラ200EのCAN IDが「104」に設定される。
【0100】
制御回路110は、CAN ID「104」をカメラ200Eに設定した後、SW122Eをオフ状態にする(ステップS25)。SW122Eがオフ状態となることにより、カメラ200Eが通信不可能状態となる。
【0101】
制御回路110は、次に、SW No.6のSW122Fをオン状態にする(ステップS26)。このとき、SW122A,122B,122C,122D,122E,122G,122Hはオフ状態である。SW122Fがオン状態となることにより、第1接続部121Fに第2接続部210Fが接続されたカメラ200Fが通信可能状態となる。
【0102】
制御回路110は、バス120へCAN ID「105」を送信する(ステップS27)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200FのみがCAN ID「105」を受信する。カメラ200Fは不揮発性メモリ202にCAN ID「105」を格納する。これにより、カメラ200FのCAN IDが「105」に設定される。
【0103】
制御回路110は、CAN ID「105」をカメラ200Fに設定した後、SW122Fをオフ状態にする(ステップS28)。SW122Fがオフ状態となることにより、カメラ200Fが通信不可能状態となる。
【0104】
制御回路110は、次に、SW No.7のSW122Gをオン状態にする(ステップS29)。このとき、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122Hはオフ状態である。SW122Gがオン状態となることにより、第1接続部121Gに第2接続部210Gが接続されたカメラ200Gが通信可能状態となる。
【0105】
制御回路110は、バス120へCAN ID「106」を送信する(ステップS30)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200GのみがCAN ID「106」を受信する。カメラ200Gは不揮発性メモリ202にCAN ID「106」を格納する。これにより、カメラ200GのCAN IDが「106」に設定される。
【0106】
制御回路110は、CAN ID「106」をカメラ200Gに設定した後、SW122Gをオフ状態にする(ステップS31)。SW122Gがオフ状態となることにより、カメラ200Gが通信不可能状態となる。
【0107】
制御回路110は、次に、SW No.8のSW122Hをオン状態にする(ステップSd32)。このとき、SW122A,122B,122C,122D,122E,122F,122Gはオフ状態である。SW122Hがオン状態となることにより、第1接続部121Hに第2接続部210Hが接続されたカメラ200Hが通信可能状態となる。
【0108】
制御回路110は、バス120へCAN ID「107」を送信する(ステップS33)。カメラ200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200Hのうちカメラ200HのみがCAN ID「107」を受信する。カメラ200Hは不揮発性メモリ202にCAN ID「107」を格納する。これにより、カメラ200HのCAN IDが「107」に設定される。
【0109】
制御回路110は、CAN ID「107」をカメラ200Hに設定した後、SW122Hをオフ状態にする(ステップS34)。SW122Hがオフ状態となることにより、カメラ200Hが通信不可能状態となる。
【0110】
図8は、実施形態に係るECUによる識別子設定シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【0111】
プロセッサ101は、ECU100の起動時に、初期化処理として識別子設定シーケンスを実行する。
【0112】
プロセッサ101は、SW No.を示す変数iに「1」を設定する(ステップS101)。
【0113】
プロセッサ101は、SW No.がiのSW122をオン状態にする(ステップS102)。SW No.がi以外のSW122はオフ状態である。
【0114】
SW No.がiのSW122に対応する第1接続部121に接続されたカメラ200がECU100との接続機能を有する場合、カメラ200は製品番号を送信する。プロセッサ101は、カメラ200から製品番号を受信したか否かを判定する(ステップS103)。
【0115】
例えば一定期間内に、カメラ200から製品番号を受信しない場合(ステップS103においてNO)、プロセッサ101は、カメラ200がECU100との接続機能を有しない、すなわち、CAN IDの設定対象ではないと判定し、ステップS108へ移る。
【0116】
カメラ200から製品番号を受信した場合(ステップS103においてYES)、プロセッサ101は、受信した製品番号が製品情報テーブル113に登録された製品番号の1つに一致するか否かを判定する(ステップS104)。
【0117】
受信した製品番号が製品情報テーブル113に登録されたいずれの製品番号にも一致しない場合(ステップS104においてNO)、プロセッサ101は、カメラ200がECU100との接続機能を有しない、すなわち、CAN IDの設定対象ではないと判定し、ステップS108へ移る。
【0118】
受信した製品番号が製品情報テーブル113に登録された製品番号の1つに一致する場合(ステップS104においてYES)、プロセッサ101は、カメラ200がECU100との接続機能を有する、すなわち、CAN IDの設定対象であると判定する。プロセッサ101は、SW No.=iに対応するCAN IDを設定テーブル112から読み出す(ステップS105)。
【0119】
プロセッサ101は、設定テーブル112から読み出したCAN IDをバス120に送出する(ステップS106)。これにより、カメラ200にCAN IDが設定される。
【0120】
プロセッサ101は、SW No.がiのSW122をオフ状態にする(ステップS107)。
【0121】
プロセッサ101は、iが最大値Nに達しているか否かを判定する(ステップS108)。図6の例では、N=8である。
【0122】
iがNに達していない場合(ステップS108においてNO)、プロセッサ101は、iを1つインクリメントし(ステップS109)、ステップS102に移る。
【0123】
iがNに達している場合(ステップS108においてYES)、プロセッサ101は、識別子設定シーケンスを終了する。
【0124】
[5.変形例]
ECU100は、第1接続部121へのカメラ200の接続を検出したときに、識別子設定シーケンスを開始してもよい。
【0125】
例えば、ECU100は、全てのSW122を定期的にオン状態にする。第1接続部121に接続されたカメラ200は、一定の周期で検出用の信号(以下、「検出信号」)ともいう。他の例では、ECU100がバス120に要求信号を送信し、要求信号を受信したカメラ200が応答として検出信号を送信してもよい。
【0126】
ECU100の制御回路110(のプロセッサ101)は、検出信号を受信すると、カメラ200が接続されたことを検出する。カメラ200の接続検出をトリガーとして、プロセッサ101は、識別子設定シーケンスを開始する。
【0127】
[6.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0128】
10 車両
100 ECU
110 制御回路
101 プロセッサ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 通信インタフェース(通信I/F)
105 駆動回路
106 バス
111 設定プログラム
112 設定テーブル
113 製品情報テーブル
120 バス
121,121A,121B,121C,121D,121E,121F,121G,121H 第1接続部
131 制御部
132 判定部
133 設定部
200,200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200H カメラ
201 プロセッサ
202 不揮発性メモリ
203 揮発性メモリ
204 通信インタフェース(通信I/F)
205 バス
206 通信線
210,210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G,210H 第2接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8