(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158880
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241031BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241031BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
G03G15/02 103
G03G21/00 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074487
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】赤木 宏仁
【テーマコード(参考)】
2H134
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA02
2H134GA05
2H134HA01
2H134HA12
2H134HA16
2H134KB03
2H134KB04
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200GA56
2H200GB15
2H200GB20
2H200HA02
2H200HA29
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB48
2H200JA02
2H200JA29
2H200JB06
2H200LB03
2H200LB15
2H200LB18
2H200LB38
2H200LB39
2H200NA02
2H200NA09
2H200PA05
2H200PA18
2H270KA04
2H270KA09
2H270MA01
2H270MA28
2H270MC16
2H270MC29
2H270MC39
2H270MC48
2H270MC53
2H270MD01
2H270MD02
2H270MG01
2H270MH16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】帯電ローラに付着した帯電トナーを現像装置以外にて回収することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、画像形成時において負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2をドラムクリーニングローラ34に印加させ、感光体ドラム31からドラムクリーニングローラ34へ正帯電トナーを移動させる。プリンタ1は、正帯電トナーの回収時に正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加させ、正帯電トナーをドラムクリーニングローラ34から感光体ドラム31へ移動させベルトクリーナ55により回収する。また、プリンタ1は、負帯電トナーの回収時に負極性の第2帯電電圧CHG2を帯電ローラ32に印加させ、第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加させ帯電ローラ32に付着した負帯電トナーをドラムクリーニングローラ34により回収する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを帯電させる帯電ローラと、
帯電後の前記感光体ドラムに形成された静電潜像に、トナーを供給して前記感光体ドラムにトナー像を形成する現像ローラと、
前記感光体ドラムに接触する無端状のベルトと、
前記感光体ドラムに形成された前記トナー像をシートに転写する転写ローラであって、前記ベルトを挟んで前記感光体ドラムと向かい合う位置に配置される転写ローラと、
前記感光体ドラムに接触するドラムクリーニングローラと、
ベルトクリーナと、
前記帯電ローラに対して、第1の極性である第1帯電電圧、及び、第2の極性である第2帯電電圧を選択的に印加する帯電電圧印加回路と、
前記転写ローラに対して、前記第2の極性である転写電圧を印加する転写電圧印加回路と、
前記ドラムクリーニングローラに対して、前記第1の極性である第1ドラムクリーニング電圧、及び、前記第2の極性である第2ドラムクリーニング電圧を選択的に印加するドラムクリーニング電圧印加回路と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
更に、制御部を備え、
前記制御部は、
前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1帯電電圧を印加し、前記現像ローラから前記感光体ドラムに前記第1の極性に帯電した順帯電トナーを供給してトナー像を形成し、形成されたトナー像をシートに転写する画像形成処理であって、前記画像形成処理の実行時において、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記第2ドラムクリーニング電圧を前記ドラムクリーニングローラに印加する画像形成処理と、
前記画像形成処理の非実行時において、前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同極性である第3帯電電圧を印加し、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記第1ドラムクリーニング電圧を前記ドラムクリーニングローラに印加し、前記転写電圧印加回路を用いて前記転写ローラに前記転写電圧を印加することにより、前記ドラムクリーニングローラに付着した前記順帯電トナーを、前記感光体ドラムを経由して前記ベルトに移動させ、前記ベルトに移動した前記順帯電トナーを前記ベルトクリーナで回収する順帯電トナー回収処理と、
前記順帯電トナー回収処理後、前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第2帯電電圧を印加することにより、前記帯電ローラに付着した前記第2の極性に帯電した逆帯電トナーを前記感光体ドラムに移動させ、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記ドラムクリーニングローラに前記第1ドラムクリーニング電圧を印加することにより、前記感光体ドラムに移動した前記逆帯電トナーを前記ドラムクリーニングローラで回収する逆帯電トナー回収処理と、
を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
更に、
前記ドラムクリーニングローラに接触する回収ローラと、
前記回収ローラに対して、前記第1の極性である第1回収ローラ電圧、及び、前記第2の極性である第2回収ローラ電圧を選択的に印加する回収ローラ電圧印加回路と、
を備え、
前記制御部は、
前記画像形成処理の実行時において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第2ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第2ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも小さい前記第2回収ローラ電圧を印加し、
前記順帯電トナー回収処理において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい前記第1回収ローラ電圧を印加し、
前記逆帯電トナー回収処理において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい前記第1回収ローラ電圧を印加する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、
前記帯電電圧印加回路により前記帯電ローラに流れる帯電電流を検出する帯電電流検出回路を備え、
前記制御部は、
前記画像形成処理の非実行時において、前記帯電電圧印加回路を用いて一定の前記第1帯電電圧が前記帯電ローラに印加されるように定電圧制御を実行し、
前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値未満である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行し、
前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値以上である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行しない、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記順帯電トナー回収処理を実行後、前記定電圧制御を実行し、
前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値未満である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行し、
前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値以上である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行しない、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
更に、
前記感光体ドラムに対して前記現像ローラを接離可能に移動させる現像ローラ移動機構を備え、
前記制御部は、
前記画像形成処理の実行時において、前記現像ローラ移動機構を制御して前記現像ローラを前記感光体ドラムに接触させ、
前記順帯電トナー回収処理及び前記逆帯電トナー回収処理の実行時において、前記現像ローラ移動機構を制御して前記現像ローラを前記感光体ドラムから離間させる、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
更に、
電源部を備え、
前記帯電電圧印加回路は、
前記制御部から入力した第1制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第1の極性の電圧を生成し、生成した前記第1の極性の電圧を前記帯電ローラに対して印加する帯電電圧用第1極性印加回路と、
前記制御部から入力した第2制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第2の極性の電圧を生成し、生成した前記第2の極性の電圧を前記帯電ローラに対して印加する帯電電圧用第2極性印加回路と、
を備え、
前記制御部は、
前記帯電電圧用第1極性印加回路及び前記帯電電圧用第2極性印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1帯電電圧、及び、前記第2帯電電圧を選択的に印加する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
更に、
電源部を備え、
前記ドラムクリーニング電圧印加回路は、
前記制御部から入力した第3制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第1の極性の電圧を生成し、生成した前記第1の極性の電圧を前記ドラムクリーニングローラに対して印加するドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路と、
前記制御部から入力した第4制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第2の極性の電圧を生成し、生成した前記第2の極性の電圧を前記ドラムクリーニングローラに対して印加するドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路と、
一端を前記ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路に接続され、他端を前記ドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路に接続され、前記回収ローラと前記ドラムクリーニングローラ間に流れる電流による電圧降下により前記回収ローラに印加される電圧よりも小さい電圧を、前記ドラムクリーニングローラに印加する電圧印加部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路及び前記ドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路を用いて前記ドラムクリーニングローラに前記第1ドラムクリーニング電圧、及び、前記第2ドラムクリーニング電圧を選択的に印加する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
画像を形成した前記シートの枚数が閾値枚数以上であるか否かを判断する枚数判断処理を実行し、
前記枚数判断処理により画像を形成した前記シートの枚数が閾値枚数以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
更に、制御部を備え、
前記制御部は、
前記順帯電トナーにより前記シートに形成した画像の累計ドット数であるドットカウントが閾値ドット数以上であるか否かを判断するドットカウント判断処理を実行し、
前記ドットカウント判断処理によりドットカウントが閾値ドット数以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記順帯電トナーにより前記シートに画像を形成する動作の合計時間が閾値時間以上であるか否かを判断する動作時間判断処理を実行し、
前記動作時間判断処理により合計時間が閾値時間以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置は、カラー画像形成装置であり、
前記帯電ローラ、前記感光体ドラム、前記帯電電圧印加回路、及び前記ドラムクリーニング電圧印加回路はそれぞれ、複数の色に対応する複数の帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路及びドラムクリーニング電圧印加回路により構成される、請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成装置におけるトナーを回収する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電ローラを備える画像形成装置においては、正規の極性と逆に帯電した逆帯電トナーが帯電ローラに付着することがある。下記特許文献1には、トナーを供給する現像装置に逆帯電トナーを回収する画像形成装置について記載されている。特許文献1の画像形成装置は、帯電ローラのクリーニング動作において、逆帯電トナーを帯電ローラから感光ドラムに付着させ、逆帯電トナーを正規の極性に帯電させた後、感光ドラムから現像装置の現像スリーブに移動させて回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、帯電ローラに付着した帯電トナーを現像装置に回収していたが、現像装置で回収したトナーを再度使用すると、画像形成の品質が低下する可能性があるため、現像装置以外で、帯電ローラに付着した帯電トナーを回収する必要があった。
【0005】
本願は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、帯電ローラに付着した帯電トナーを現像装置以外にて回収することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムを帯電させる帯電ローラと、帯電後の前記感光体ドラムに形成された静電潜像に、トナーを供給して前記感光体ドラムにトナー像を形成する現像ローラと、前記感光体ドラムに接触する無端状のベルトと、前記感光体ドラムに形成された前記トナー像をシートに転写する転写ローラであって、前記ベルトを挟んで前記感光体ドラムと向かい合う位置に配置される転写ローラと、前記感光体ドラムに接触するドラムクリーニングローラと、ベルトクリーナと、前記帯電ローラに対して、第1の極性である第1帯電電圧、及び、第2の極性である第2帯電電圧を選択的に印加する帯電電圧印加回路と、前記転写ローラに対して、前記第2の極性である転写電圧を印加する転写電圧印加回路と、前記ドラムクリーニングローラに対して、前記第1の極性である第1ドラムクリーニング電圧、及び、前記第2の極性である第2ドラムクリーニング電圧を選択的に印加するドラムクリーニング電圧印加回路と、を備える。
【0007】
これによれば、第1の極性に帯電した順帯電トナーは、画像形成時に感光体ドラムからシートに転写されずに残った場合、第2の極性の第2ドラムクリーニング電圧をドラムクリーニングローラに印加することにより感光体ドラムからドラムクリーニングローラに移動する。
ドラムクリーニングローラに移動した順帯電トナーは、非画像形成時にドラムクリーニングローラに第1の極性の第1ドラムクリーニング電圧を印加することによりドラムクリーニングローラから感光体ドラムへ移動する。順帯電トナーは、感光体ドラムへ移動した後、第2の極性の転写電圧を転写ローラに印加することによりベルトへ移動し、ベルトクリーナにより回収される。
また、画像形成時に転写により発生する第2の極性に帯電した逆帯電トナーは、ドラムクリーニングローラに移動することなく帯電ローラに付着する。
非画像形成時において、帯電ローラに第2の極性の第2帯電電圧を印加し、ドラムクリーニングローラに第1ドラムクリーニング電圧を印加することにより、逆帯電トナーは、ドラムクリーニングローラに回収される。
このため、画像形成時に帯電ローラに付着した逆帯電トナーをドラムクリーニングローラで回収することにより現像ローラ以外で回収でき、画像の品質を維持できる。また、逆帯電トナーが帯電ローラに付着し続けないようにすることで帯電ローラの寿命を長く保つことができる。
【0008】
(2)また、更に、制御部を備え、前記制御部は、前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1帯電電圧を印加し、前記現像ローラから前記感光体ドラムに前記第1の極性に帯電した順帯電トナーを供給してトナー像を形成し、形成されたトナー像をシートに転写する画像形成処理であって、前記画像形成処理の実行時において、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記第2ドラムクリーニング電圧を前記ドラムクリーニングローラに印加する画像形成処理と、前記画像形成処理の非実行時において、前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同極性である第3帯電電圧を印加し、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記第1ドラムクリーニング電圧を前記ドラムクリーニングローラに印加し、前記転写電圧印加回路を用いて前記転写ローラに前記転写電圧を印加することにより、前記ドラムクリーニングローラに付着した前記順帯電トナーを、前記感光体ドラムを経由して前記ベルトに移動させ、前記ベルトに移動した前記順帯電トナーを前記ベルトクリーナで回収する順帯電トナー回収処理と、前記順帯電トナー回収処理後、前記帯電電圧印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第2帯電電圧を印加することにより、前記帯電ローラに付着した前記第2の極性に帯電した逆帯電トナーを前記感光体ドラムに移動させ、前記ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて前記ドラムクリーニングローラに前記第1ドラムクリーニング電圧を印加することにより、前記感光体ドラムに移動した前記逆帯電トナーを前記ドラムクリーニングローラで回収する逆帯電トナー回収処理と、を実行する、構成としても良い。
【0009】
これによれば、制御部は、画像形成処理の実行時、即ち、画像形成時において、ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて第2ドラムクリーニング電圧をドラムクリーニングローラに印加することにより、転写されずに残った順帯電トナーを、ドラムクリーニングローラに移動させることができる。
また、制御部は、順帯電トナー回収処理において、帯電電圧印加回路を用いて帯電ローラに第3帯電電圧を印加し、ドラムクリーニング電圧印加回路を用いて第1ドラムクリーニング電圧をドラムクリーニングローラに印加し、転写電圧印加回路を用いて転写ローラに転写電圧を印加することにより、ドラムクリーニングローラに付着した順帯電トナーを、感光体ドラムを経由してベルトに移動させ、ベルトに移動した順帯電トナーをベルトクリーナで回収することができる。
また、制御部は、逆帯電トナー回収処理において、帯電電圧印加回路を用いて帯電ローラに第2帯電電圧を印加することにより、帯電ローラに付着した逆帯電トナーを感光体ドラムに移動させ、ドラムクリーニングローラに第1ドラムクリーニング電圧を印加することにより、感光体ドラムに移動した逆帯電トナーをドラムクリーニングローラで回収することができる。
【0010】
(3)また、更に、前記ドラムクリーニングローラに接触する回収ローラと、前記回収ローラに対して、前記第1の極性である第1回収ローラ電圧、及び、前記第2の極性である第2回収ローラ電圧を選択的に印加する回収ローラ電圧印加回路と、を備え、前記制御部は、前記画像形成処理の実行時において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第2ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第2ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも小さい前記第2回収ローラ電圧を印加し、前記順帯電トナー回収処理において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい前記第1回収ローラ電圧を印加し、前記逆帯電トナー回収処理において、前記回収ローラ電圧印加回路を用いて前記回収ローラに前記第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、前記第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい前記第1回収ローラ電圧を印加する、構成としても良い。
【0011】
これによれば、制御部は、画像形成時において、回収ローラ電圧印加回路を用いて回収ローラに第2ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、第2ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも小さい第2回収ローラ電圧を印加する。これにより、画像形成時にドラムクリーニングローラに移動した順帯電トナーが、ドラムクリーニングローラから回収ローラへ移動することを抑制できる。
また、制御部は、順帯電トナー回収処理において、回収ローラ電圧印加回路を用いて回収ローラに第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい第1回収ローラ電圧を印加する。これにより、ドラムクリーニングローラに移動した順帯電トナーを、回収ローラへ移動させずに、感光体ドラムへ移動させベルトクリーナにより回収できる。
また、制御部は、逆帯電トナー回収処理において、回収ローラ電圧印加回路を用いて回収ローラに第1ドラムクリーニング電圧と同じ極性であって、第1ドラムクリーニング電圧の絶対値よりも大きい第1回収ローラ電圧を印加する。これにより、ドラムクリーニングローラに移動した逆帯電トナーを、回収ローラへ移動させ回収することができる。
【0012】
(4)また、更に、前記帯電電圧印加回路により前記帯電ローラに流れる帯電電流を検出する帯電電流検出回路を備え、前記制御部は、前記画像形成処理の非実行時において、前記帯電電圧印加回路を用いて一定の前記第1帯電電圧が前記帯電ローラに印加されるように定電圧制御を実行し、前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値未満である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行し、前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値以上である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行しない、構成としても良い。
【0013】
これによれば、制御部は、非画像形成時において、第1帯電電圧を定電圧制御し、帯電電流検出回路により検出する帯電電流が、閾値未満である場合、逆帯電トナー回収処理を実行する。これにより、帯電ローラに付着する逆帯電トナーの増加を、帯電電流の低下により検出し、適切なタイミングで逆帯電トナーを回収することができる。
また、制御部は、帯電電流が閾値以上である場合、逆帯電トナー回収処理を実行しないことで、逆帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラムの寿命を長く保つことができる。
【0014】
(5)また、前記制御部は、前記順帯電トナー回収処理を実行後、前記定電圧制御を実行し、前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値未満である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行し、前記帯電電流検出回路が検出する前記帯電電流が、閾値以上である場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行しない、構成としても良い。
【0015】
これによれば、制御部は、順帯電トナー回収処理については帯電電流の値に関わらず実行するものの、逆帯電トナー回収処理については帯電電流が閾値未満となった場合のみ実行する。逆帯電トナーは、転写電圧の電位差によって発生するものであり、現像に用いる順帯電トナーに比べて発生量が少ない。このため、順帯電トナー回収処理については実行することで、順帯電トナーの付着による印刷精度の低下を抑制できる。また、逆帯電トナー回収処理については帯電電流の低下を条件に実行することで、負帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラムの寿命を長く保つことができる。
【0016】
(6)また、更に、前記感光体ドラムに対して前記現像ローラを接離可能に移動させる現像ローラ移動機構を備え、前記制御部は、前記画像形成処理の実行時において、前記現像ローラ移動機構を制御して前記現像ローラを前記感光体ドラムに接触させ、前記順帯電トナー回収処理及び前記逆帯電トナー回収処理の実行時において、前記現像ローラ移動機構を制御して前記現像ローラを前記感光体ドラムから離間させる、構成としても良い。
【0017】
これによれば、制御部は、画像形成時において、現像ローラ移動機構を制御して現像ローラを感光体ドラムに接触させることにより、順帯電トナーを現像ローラから感光体ドラムの静電潜像へ良好に供給し現像することができる。
また、制御部は、順帯電トナー回収処理及び逆帯電トナー回収処理の実行時において、現像ローラ移動機構を制御して現像ローラを感光体ドラムから離間させる。これにより、順帯電トナーや逆帯電トナーを回収する際に、現像ローラを感光体ドラムから離間させ、回収対象の順帯電トナーや逆帯電トナーが現像ローラに回収されることを、より確実に抑制でき、画像の品質を維持できる。
【0018】
(7)また、更に、電源部を備え、前記帯電電圧印加回路は、前記制御部から入力した第1制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第1の極性の電圧を生成し、生成した前記第1の極性の電圧を前記帯電ローラに対して印加する帯電電圧用第1極性印加回路と、前記制御部から入力した第2制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第2の極性の電圧を生成し、生成した前記第2の極性の電圧を前記帯電ローラに対して印加する帯電電圧用第2極性印加回路と、を備え、前記制御部は、前記帯電電圧用第1極性印加回路及び前記帯電電圧用第2極性印加回路を用いて前記帯電ローラに前記第1帯電電圧、及び、前記第2帯電電圧を選択的に印加する、構成としても良い。
【0019】
これによれば、制御部は、第1制御信号により帯電電圧用第1極性印加回路を制御し、所望の電圧値の第1の極性の電圧を帯電ローラに対して印加できる。また、制御部は、第2制御信号により帯電電圧用第2極性印加回路を制御し、所望の電圧値の第2の極性の電圧を帯電ローラに対して印加できる。制御部は、帯電電圧用第1極性印加回路及び帯電電圧用第2極性印加回路を制御することで、画像形成時や順帯電トナー回収処理時に帯電ローラに対して印加する第1帯電電圧と、逆帯電トナー回収処理に帯電ローラに対して印加する第2帯電電圧との切り替えを実行することができる。
【0020】
(8)また、更に、電源部を備え、前記ドラムクリーニング電圧印加回路は、前記制御部から入力した第3制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第1の極性の電圧を生成し、生成した前記第1の極性の電圧を前記ドラムクリーニングローラに対して印加するドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路と、前記制御部から入力した第4制御信号に基づいて前記電源部から入力した電圧を昇圧して前記第2の極性の電圧を生成し、生成した前記第2の極性の電圧を前記ドラムクリーニングローラに対して印加するドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路と、一端を前記ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路に接続され、他端を前記ドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路に接続され、前記回収ローラと前記ドラムクリーニングローラ間に流れる電流による電圧降下により前記回収ローラに印加される電圧よりも小さい電圧を、前記ドラムクリーニングローラに印加する電圧印加部と、を備え、前記制御部は、前記ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路及び前記ドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路を用いて前記ドラムクリーニングローラに前記第1ドラムクリーニング電圧、及び、前記第2ドラムクリーニング電圧を選択的に印加する、構成としても良い。
【0021】
これによれば、制御部は、第3制御信号によりドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路を制御し、第1の極性の電圧をドラムクリーニングローラに対して印加することができる。また、制御部は、第4制御信号によりドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路を制御し、第2の極性の電圧をドラムクリーニングローラに対して印加することができる。制御部は、ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路及びドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路を制御することで、画像形成時にドラムクリーニングローラに対して印加する第2ドラムクリーニング電圧と、順帯電トナー回収処理時や逆帯電トナー回収処理にドラムクリーニングローラに対して印加する第1ドラムクリーニングローラ電圧との切り替えを実行することができる。
また、電圧印加部により、ドラムクリーニングローラ電圧を回収ローラ電圧に比べて所定の電位差だけ小さくすることができる。これにより、制御部は、ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路及びドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路を制御することで、ドラムクリーニングローラと回収ローラとの間のトナーの移動を、2つのローラ間の電位差によって制御することができる。
【0022】
(9)また、前記制御部は、画像を形成した前記シートの枚数が閾値枚数以上であるか否かを判断する枚数判断処理を実行し、前記枚数判断処理により画像を形成した前記シートの枚数が閾値枚数以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、構成としても良い。
【0023】
これによれば、制御部は、画像を形成したシートの枚数が閾値枚数以上となり、逆帯電トナーが蓄積した可能性が高くなった場合に、逆帯電トナー回収処理を実行することができる。
また、制御部は、画像を形成したシートの枚数が閾値枚数になるまでは、逆帯電トナー回収処理を実行しないことで、逆帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラムの寿命を長く保つことができる。
【0024】
(10)また、更に、制御部を備え、前記制御部は、前記順帯電トナーにより前記シートに形成した画像の累計ドット数であるドットカウントが閾値ドット数以上であるか否かを判断するドットカウント判断処理を実行し、前記ドットカウント判断処理によりドットカウントが閾値ドット数以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、構成としても良い。
【0025】
これによれば、制御部は、ドットカウントが閾値ドット数以上となり、逆帯電トナーが蓄積した可能性が高くなった場合に、逆帯電トナー回収処理を実行することができる。
また、制御部は、ドットカウントが閾値ドット数になるまでは、逆帯電トナー回収処理を実行しないことで、逆帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制できる。
【0026】
(11)また、前記制御部は、前記順帯電トナーにより前記シートに画像を形成する動作の合計時間が閾値時間以上であるか否かを判断する動作時間判断処理を実行し、前記動作時間判断処理により合計時間が閾値時間以上であると判断した場合、前記逆帯電トナー回収処理を実行する、構成としても良い。
【0027】
これによれば、制御部は、画像形成動作の合計時間が閾値時間以上となり、逆帯電トナーが蓄積した可能性が高くなった場合に、逆帯電トナー回収処理を実行できる。
また、制御部は、画像形成動作の合計時間が閾値時間になるまでは、逆帯電トナー回収処理を実行しないことで、逆帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制できる。
【0028】
(12)また、前記画像形成装置は、カラー画像形成装置であり、前記帯電ローラ、前記感光体ドラム、前記帯電電圧印加回路、及び前記ドラムクリーニング電圧印加回路はそれぞれ、複数の色に対応する複数の帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路及びドラムクリーニング電圧印加回路により構成される、構成としても良い。
【0029】
これによれば、カラー画像形成装置において、各色のトナーについて、各電圧を制御し、順帯電トナー、逆帯電トナーの回収を実行することができる。
【発明の効果】
【0030】
本願に係る画像形成装置によれば、帯電ローラに付着した帯電トナーを現像装置以外にて回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本願の第1実施例に係るカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1のカラーレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【
図4】帯電電圧印加回路及びドラムクリーニング電圧印加回路の回路図である。
【
図6】印刷処理の内容を示すフローチャートである。
【
図7】画像形成処理の内容を示すフローチャートである。
【
図8】クリーニング要否判断処理の内容を示すフローチャートである。
【
図9】正帯電トナー回収処理の内容を示すフローチャートである。
【
図10】負帯電トナー回収処理の内容を示すフローチャートである。
【
図11】画像形成処理、正帯電トナー回収処理、負帯電トナー回収処理における各電圧、正帯電トナー、負帯電トナーの状態を示す図である。
【
図12】第2実施例に係るクリーニング要否判断処理の内容を示すフローチャートである。
【
図13】第3実施例に係る高圧電源基板に係るブロック図である。
【
図14】第4実施例に係る印刷処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施例)
以下、本願の画像形成装置を具体化した一実施例である第1実施例のカラーレーザプリンタについて、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施例に係るカラーレーザプリンタ(以下、プリンタという)1の概略構成の断面図を示している。プリンタ1は、4色のトナーを用いる所謂タンデム方式のレーザプリンタである。以下の説明では、
図1に示すように、プリンタ1を使用するユーザから見た方向を基準として説明する。即ち、
図1における右側を「後」、左側を「前」、上側を「上」、下側を「下」、手前側を「右」、奥側を「左」と称して説明する。
【0033】
図1に示すように、プリンタ1は、本体筐体2と、給紙部10と、画像形成部20を備えている。本体筐体2は、略箱型形状をなしている。本体筐体2の内部には、給紙部10、画像形成部20等が収納されている。本体筐体2の上面には、排出トレイ5が形成されている。プリンタ1は、画像を形成したシートSを排出トレイ5の上に積層状態に排出する。
【0034】
給紙部10は、シートSが収容された給紙トレイ11、ピックアップローラ12、分離パッド13、圧板14、及び各種ローラを備えている。シートSは、例えば、A4サイズ等の定型シートである。尚、シートSは、普通紙、厚紙等の紙媒体に限らず、OHPフィルムなどの他の記録媒体でも良い。給紙トレイ11は、本体筐体2の下部に対して着脱可能に取り付けられている。圧板14は、給紙トレイ11内に設けられている。圧板14の下方には、不図示の変位機構が設けられている。変位機構は、画像形成に先立って、圧板14を前方側が高くなるように傾斜した状態に変位させる。これにより、給紙トレイ11内に収容されたシートSは、圧板14によってピックアップローラ12側に寄せられ、ピックアップローラ12及び分離パッド13により一枚ずつ分離され、各種ローラにより画像形成部20に搬送される。給紙トレイ11から搬出されたシートSは、画像形成部20、排出ローラ65等によって搬送経路Rに沿って搬送され、排出トレイ5に排出される。
【0035】
画像形成部20は、本体筐体2の内部における略中央部分に設けられており、現像カートリッジ30Y、30M、30C、30K、露光部40、転写部50、及び定着部60を備えている。現像カートリッジ30Y、30M、30C、30Kのそれぞれには、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが収容されている。4つの現像カートリッジ30Y~30Kは、プリンタ1の前方から後方に向かって、現像カートリッジ30Y、30M、30C、30Kの順に設けられている。尚、実施例において符号に付した「Y、M、C、K」の文字は、その符号が付けられた装置等が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのどの色に対応する装置等であるのかを示している。
【0036】
現像カートリッジ30Kは、感光体ドラム31、帯電ローラ32、ドラムクリーニングローラ34、回収ローラ35、回収ボックス36及びトナーカートリッジ33K等を備えている。尚、他の現像カートリッジ30Y、30M、30Cは、トナーの色が異なるものの、その他の構成は現像カートリッジ30Kと同様となっている。このため、以下の説明では、主に現像カートリッジ30Kについて説明し、他の現像カートリッジ30Y、30M、30Cについての説明を適宜省略する。
【0037】
帯電ローラ32は、感光体ドラム31の表面を帯電させるローラである。画像形成部20は、帯電ローラ32に帯電電圧を印加した状態で、帯電ローラ32を感光体ドラム31と接触させながら回転させることで、感光体ドラム31の表面を帯電する。本実施例では、帯電ローラ32は、画像形成時において正極性の帯電電圧を印加され、感光体ドラム31を正帯電させる。帯電ローラ32は、画像形成時において感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成するのに先立って、感光体ドラム31の表面を一様に正帯電させる。正極性は、本願の第1の極性の一例である。従って、負極性は、本願の第2の極性の一例である。尚、画像形成時において画像形成部20が感光体ドラム31を負帯電させる構成の場合、負極性が本願の第1の極性の一例となり、正極性が本願の第2の極性の一例となる。この場合、各装置の極性は、逆の関係となる。
【0038】
トナーカートリッジ33Kは、トナー収容室33a、アジテータ33e、供給ローラ33b、現像ローラ33f、層厚規制ブレード33d等を備えている。トナー収容室33aは、ブラックのトナーを収容している。アジテータ33eは、トナー収容室33aに収容されたトナーを攪拌する。供給ローラ33bは、トナー収容室33a内に設けられ、本体筐体2内に設けられたプロセスモータ74(
図2参照)から駆動力を伝達され回転する。供給ローラ33bは、トナー収容室33a内から供給されてくるトナーを現像ローラ33fに供給する。感光体ドラム31は、例えば、
図1における反時計回り方向へ回転する。現像ローラ33fは、供給ローラ33bの斜め後ろ側下方に設けられ、供給ローラ33bに接触している。また、現像ローラ33fは、感光体ドラム31の回転方向において帯電ローラ32の位置よりも下流側に配置されている。現像ローラ33fは、プロセスモータ74(
図2参照)から駆動力を伝達され回転する。現像ローラ33fのローラ軸には、正極性の電圧が印加されるように構成されている。現像ローラ33fに供給されたトナーは、現像ローラ33fの回転に伴って現像ローラ33fに付着する。層厚規制ブレード33dは、現像ローラ33fに上方から圧接するように設けられており、現像ローラ33fの外周面に付着したトナーの厚みを一定に調整する。尚、
図1に示す他の色(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーカートリッジ33Y,33M,33Cについてもトナーカートリッジ33Kと同様の構成となっている。
【0039】
ドラムクリーニングローラ34は、感光体ドラム31の回転方向において帯電ローラ32が感光体ドラム31に接触する位置よりも上流側において感光体ドラム31と接触している。ドラムクリーニングローラ34は、ドラムクリーニング電圧が印加されることで、感光体ドラム31の表面に付着した正極性のトナー(以下、正帯電トナーという)や負極性のトナー(以下、負帯電トナーという)を付着させる。尚、ドラムクリーニングローラ34及び後述するベルトクリーナ55は、トナーの回収と同様に、シートSから発生する紙粉を回収することができる。以下の説明では、主にトナーの回収について説明し、紙粉の回収についての説明を省略する。回収ローラ35は、例えば、ドラムクリーニングローラ34の斜め後側上方に設けられ、ドラムクリーニングローラ34に接触している。回収ローラ35は、回収ローラ電圧が印加されることでドラムクリーニングローラ34に付着した負帯電トナーを回収する。回収ボックス36は、例えば、回収ローラ35の斜め後側下方に設けられている。回収ボックス36には、回収ローラ35の表面に接触し、回収ローラ35の表面に付着した負帯電トナーを掻き取って回収ボックス36に回収する回収ブレード38が設けられている。
【0040】
露光部40は、本体筐体2の内部における上部に設けられており、図示しない、レーザ光源、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡等を備えている。レーザ光源から発光されたレーザビームは、ポリゴンミラー等で偏向されて露光部40から出射される。露光部40は、
図1に一点鎖線で示す光ビームを感光体ドラム31の表面に出射することで、感光体ドラム31の表面を露光する。これにより、正帯電した感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。現像ローラ33fに付着したトナーは、現像ローラ33fと感光体ドラム31に形成された静電潜像との電位差により感光体ドラム31の静電潜像に移動しトナー像を形成する。
【0041】
転写部50は、給紙部10の位置よりも上方であって、現像カートリッジ30Kの位置よりも下方となる位置に配置されている。転写部50は、給紙部10により給紙されたシートSを排出トレイ5へ向かって搬送する。転写部50は、駆動ローラ51、従動ローラ52、搬送ベルト53、複数(本実施例では4つ)の転写ローラ54等を備えている。搬送ベルト53は、例えば、ベルトを環状にして構成された無端状のベルトであり、現像カートリッジ30Kの後端側の下方に位置する駆動ローラ51と、現像カートリッジ30Yの前端側の下方に位置する従動ローラ52との間に掛け渡されている。
【0042】
複数の転写ローラ54の各々は、搬送ベルト53の外周面である用紙搬送面53Aを間に挟んで、上下方向において各感光体ドラム31と向かい合う位置に配置され、用紙搬送面53Aの裏面側から搬送ベルト53に接触している。複数の転写ローラ54の各々は、シートSの搬送タイミングに合わせて負極性の転写電圧が印加されることで、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像を、用紙搬送面53Aを搬送されるシートSに転写する。
【0043】
また、転写部50は、ベルトクリーナ55を備えている。ベルトクリーナ55は、搬送ベルト53の下方に配置され、搬送ベルト53から正帯電トナーを回収する。ベルトクリーナ55は、バックアップローラ56と、クリーニングローラ57と、回収ローラ58と、回収ボックス59とを備えている。バックアップローラ56は、搬送ベルト53の内側に配置され、搬送ベルト53に上方から接触している。クリーニングローラ57は、上下方向において搬送ベルト53を間に挟んでバックアップローラ56と向かい合う位置に配置されており、搬送ベルト53に下方から接触している。クリーニングローラ57は、バックアップローラ56にベルトクリーニング電圧が印加されることで、搬送ベルト53を介して電圧を印加される。これにより、バックアップローラ56とクリーニングローラ57の電位差に応じて搬送ベルト53の表面に転写された正帯電トナーがバックアップローラ56へ移動し回収される。回収ローラ58は、例えば、クリーニングローラ57の斜め前側下方に設けられ、クリーニングローラ57に接触している。回収ローラ58は、グランドに接続されており、バックアップローラ56を介してベルトクリーニング電圧を印加され、クリーニングローラ57に付着した正帯電トナーを回収する。回収ボックス59には、回収ローラ58の表面に接触し、回収ローラ58の表面に付着した正帯電トナーを掻き取って回収ボックス59に回収する回収ブレード59Aが設けられている。
【0044】
定着部60は、転写部50の位置よりも搬送方向における下流側に設けられている。定着部60は、シートSを加熱する加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間でシートSを挟む加圧ローラ62を備えている。画像形成部20は、トナー像を転写したシートSを定着部60に搬送する。定着部60は、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間でシートSを搬送することでシートSに転写されたトナー像をシートSに熱定着させる。画像が印刷されたシートSは、排出ローラ65により排出トレイ5に排出される。
【0045】
(プリンタ1の制御の構成について)
次に、プリンタ1の制御の構成について、
図2を参照しつつ説明する。
図2に示すように、プリンタ1は、上記した構成の他に、電源部71、DC/DCコンバータ72、メイン基板73、プロセスモータ74、メインモータ75、高圧電源基板76、及び現像ローラ移動機構77を備えている。電源部71は、外部電源である商用電源81に接続される電源ケーブル71Aを備えている。電源部71は、例えば、AC/DC回路等を備え、電源ケーブル71Aを介して商用電源81から供給される交流電圧を24Vの直流電圧に変換し、プリンタ1の各装置へ供給する電源として機能する。DC/DCコンバータ72は、電源部71から供給された直流電圧を、例えば、3.3Vの直流電圧に変圧してメイン基板73のCPU85A等に供給する。
【0046】
メイン基板73は、プリンタ1を統括的に制御する制御基板であり、ASIC85、ROM86、RAM87、不揮発性メモリ88、モータドライバ89,90を備えている。ASIC85は、Application Specific Integrated Circuitであり、CPU85Aを備えている。尚、プリンタ1を制御する装置は、ASICに限らず、SoC(System on a Chip)などの他の装置でも良い。
【0047】
ASIC85は、モータドライバ89を介してプロセスモータ74に接続されている。プロセスモータ74は、例えば、4つの現像ローラ33f及び4つの感光体ドラム31等の各々を回転させる駆動源として機能する。モータドライバ89は、プロセスモータ74に供給する電力をASIC85の制御に基づいて変更するドライバ回路である。また、ASIC85は、モータドライバ90を介してメインモータ75に接続されている。メインモータ75は、定着部60の加圧ローラ62や各種のローラ91の各々を回転させる駆動源として機能する。各種のローラ91は、例えば、駆動ローラ51やピックアップローラ12である。モータドライバ90は、メインモータ75に供給する電力をASIC85の制御に基づいて変更するドライバ回路である。尚、上記したモータの数や用途は、一例である。例えば、プリンタ1は、現像ローラ33fと感光体ドラム31を回転させるモータを別々に備えても良く、駆動ローラ51と、従動ローラ52を回転させるモータを別々に備えても良い。
【0048】
ROM86には、プリンタ1を制御するための各種の制御プログラムPGや各種の設定情報等が記憶されている。ASIC85は、CPU85Aや揮発性メモリ(図示略)などを備えており、ROM86から読み出した制御プログラムPGをCPU85Aで実行し、制御プログラムPGの命令や各種センサ等から入力した信号等に従って処理を実行し、処理結果をRAM87や不揮発性メモリ88に記憶しつつ、プリンタ1の各部(現像ローラ33fなど)を制御する。RAM87は、例えば、DRAMであり、各種の制御プログラムPGを読み出す作業領域、及び印刷ジョブに基づく画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。不揮発性メモリ88は、例えば、NVRAMであり、プリンタ1の状態を判断するためのフラグ値の記憶などに利用される。尚、制御プログラムPGを記憶する記憶媒体は、ROM86に限らず、NVRAM、HDD、SSDなどでも良い。また、制御プログラムPGを記憶する記憶媒体は、USBメモリなどの外部記憶媒体でも良く、CD-ROM、DVD-ROM等の記憶メディアでも良い。
【0049】
また、現像ローラ移動機構77は、ASIC85の制御に基づいて、現像カートリッジ30Y~30Kの各々の現像ローラ33fを、感光体ドラム31に対して接触させる又は感光体ドラム31から離間させる機構である。現像ローラ移動機構77の構成は、特に限定されない。例えば、プリンタ1は、現像ローラ33fを回転させるプロセスモータ74の駆動力を現像ローラ移動機構77に伝達するか否かを切り替えるクラッチ機構(図示略)を備えている。現像ローラ移動機構77は、カム機構等を備え、プロセスモータ74の駆動力をカム機構に伝達されると、プロセスモータ74の回転方向に応じて各色の現像ローラ33fを後方に移動させて感光体ドラム31に接触させる、又は現像ローラ33fを前方に移動させて感光体ドラム31から離間させる。ASIC85は、画像形成時において、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを感光体ドラム31に接触させる。また、ASIC85は、正帯電トナーや負帯電トナーの回収時において、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを感光体ドラム31から離間させる。
【0050】
(高圧電源基板76について)
次に、高圧電源基板76について説明する。
図3は、高圧電源基板76のブロック図を示している。
図4は、帯電電圧印加回路95K及びドラムクリーニング電圧印加回路97Kの回路図を示している。
図3及び
図4に示すように、高圧電源基板76は、4つの印加回路93Y,93M,93C,93K、ベルトクリーニング電圧印加回路94を備えている。印加回路93Y,93M,93C,93Kの各々は、現像カートリッジ30Y~30Kの各々が備える各部材に電圧を印加する回路である。印加回路93Y,93M,93C,93Kは、例えば、同様の回路構成となっている。このため、以下の説明では、印加回路93Kについて主に説明し、他の印加回路93Y,93M,93Cの説明を適宜省略する。尚、印加回路93Y,93M,93C,93Kは、後述する各電圧や電流を供給可能な回路であれば、互いに同一の回路構成でなくとも良い。また、複数の色に電圧や電力を供給する回路を、共通の回路としても良い。例えば、1つの帯電電圧印加回路から複数の帯電ローラ32に帯電電圧を印加しても良い。
【0051】
印加回路93Kは、帯電電圧印加回路95K、現像電圧印加回路96K、ドラムクリーニング電圧印加回路97K、転写電圧印加回路98Kを備えている。帯電電圧印加回路95Kは、現像カートリッジ30Kの帯電ローラ32に正極性の第1帯電電圧CHG1、及び、負極性の第2帯電電圧CHG2を選択的に印加する回路である。帯電電圧印加回路95Kは、ASIC85の制御に基づいて、正極性の第1帯電電圧CHG1(例えば、+1000V)又は負極性の第2帯電電圧CHG2(例えば、―500V)を帯電ローラ32に印加する。感光体ドラム31は、例えば、回転軸がグランドに接続されており、帯電ローラ32に第1帯電電圧CHG1が印加されることで正帯電し、露光部40によって静電潜像を形成される。また、帯電ローラ32は、後述するように、第2帯電電圧CHG2が印加されることで表面に付着させた負帯電トナーを感光体ドラム31に移動させる。
【0052】
現像電圧印加回路96Kは、現像カートリッジ30Kの現像ローラ33fに現像電圧DEVを印加する回路である。現像電圧印加回路96Kは、ASIC85の制御に基づいて、例えば、正極性の現像電圧DEV(例えば、+400V)を現像ローラ33fに印加する。現像ローラ33fは、正極性の現像電圧DEVを印加されることで、感光体ドラム31の静電潜像に順帯電トナーを供給する。
【0053】
ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、現像カートリッジ30Kの回収ローラ35に、正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3、及び、負極性の第2回収ローラ電圧DCLN4を選択的に印加する回路である。また、ドラムクリーニングローラ34は、回収ローラ35と感光体ドラム31の各々と接触しており、回収ローラ35に第1及び第2回収ローラ電圧DCLN3,DCLN4が印加されることで、分圧した電圧が印加される。ドラムクリーニングローラ34は、回収ローラ35に第1回収ローラ電圧DCLN3が印加されると、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1が印加される。また、ドラムクリーニングローラ34は、回収ローラ35に第2回収ローラ電圧DCLN4が印加されると、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2が印加される。従って、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、ドラムクリーニングローラ34に、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1、及び、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2を選択的に印加する。ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、ASIC85の制御に基づいて、例えば、+500Vの第1ドラムクリーニング電圧DCLN1、及び、-500Vの第2ドラムクリーニング電圧DCLN2を、ドラムクリーニングローラ34に選択的に印加する。ドラムクリーニングローラ34は、画像形成時において、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2が印加されることで感光体ドラム31の正帯電トナーを付着させる。その後、ドラムクリーニングローラ34は、正帯電トナーを回収する際、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1が印加されることで付着させた正帯電トナーを、感光体ドラム31へ移動させる。また、ドラムクリーニングローラ34は、負帯電トナーを回収する際、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1が印加されることで感光体ドラム31の負帯電トナーを付着させる。
【0054】
また、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、ASIC85の制御に基づいて、例えば、+700Vの第1回収ローラ電圧DCLN3、及び、―300Vの第2回収ローラ電圧DCLN4を、回収ローラ35に選択的に印加する。回収ローラ35は、画像形成時において、第2ドラムクリーニング電圧DCLN2よりも絶対値が小さい(電位が高い)―300Vの第2回収ローラ電圧DCLN4が印加されることで、ドラムクリーニングローラ34に付着した正帯電トナーが回収ローラ35側へ移動し難くする。回収ローラ35は、正帯電トナーを回収する際、正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3が印加される。また、回収ローラ35は、負帯電トナーを回収する際、第1ドラムクリーニング電圧DCLN1よりも絶対値が大きい(電位が高い)+700Vの第1回収ローラ電圧DCLN3が印加されることで、ドラムクリーニングローラ34に回収された負帯電トナーを回収する。
【0055】
転写電圧印加回路98Kは、現像カートリッジ30Kに対応する転写ローラ54に転写電圧TRを印加する回路である。転写電圧印加回路98Kは、例えば、定電流回路であり、ASIC85の制御に基づいて転写ローラ54に流れる電流が所定の電流値(-20μAなど)となるように転写電圧TRを制御する。転写ローラ54は、転写電圧TRが印加されることで、感光体ドラム31に付着したトナーをシートSに転写させる。
【0056】
ベルトクリーニング電圧印加回路94は、バックアップローラ56、クリーニングローラ57、及び回収ローラ58の各々に、ベルトクリーニング電圧BCLN3、ベルトクリーニング電圧BCLN1、回収ローラ電圧BCLN2をそれぞれこの順に印加する回路である。ベルトクリーニング電圧印加回路94は、例えば、バックアップローラ56のローラ軸に電気的に接続され、ASIC85の制御に基づいて、バックアップローラ56のローラ軸に+1000Vのベルトクリーニング電圧BCLN3を印加する。また、クリーニングローラ57及び回収ローラ58のローラ軸は、ツェナーダイオードを介してグランドに接続されている。クリーニングローラ57は、搬送ベルト53を間に挟んでバックアップローラ56の下方に配置され、バックアップローラ56にベルトクリーニング電圧BCLN3が印加されると、ツェナーダイオードによってベルトクリーニング電圧BCLN1が印加される。バックアップローラ56とクリーニングローラ57との間には、所定の電流値(例えば、30μA)の電流が流れる。また、回収ローラ58は、クリーニングローラ57と接触しており、バックアップローラ56にベルトクリーニング電圧BCLN3が印加されると、回収ローラ電圧BCLN2が印加される。ベルトクリーニング電圧BCLN1と回収ローラ電圧BCLN2は、ツェナーダイオードによって電圧差を作っている。ベルトクリーニング電圧BCLN1は、例えば、+300Vであり、回収ローラ電圧BCLN2は、例えば、+100Vである。バックアップローラ56及びクリーニングローラ57は、ベルトクリーニング電圧BCLN3及びベルトクリーニング電圧BCLN1を印加されることで、搬送ベルト53の表面に転写された正帯電トナーをクリーニングローラ57に移動させる。また、回収ローラ58は、回収ローラ電圧BCLN2が印加されることで、クリーニングローラ57に移動した正帯電トナーを回収ボックス59に回収する。
【0057】
次に、印加回路93Kの帯電電圧印加回路95K及びドラムクリーニング電圧印加回路97Kの回路構成について説明する。尚、
図4には、複数の印加回路93Y~93Kのうち、ブラックの印加回路93Kが備える帯電電圧印加回路95K及びドラムクリーニング電圧印加回路97Kに係る部分のみを図示している。
図4に示すように、帯電電圧印加回路95Kは、正極性帯電電圧印加回路101、負極性帯電電圧印加回路102、電圧検出部114、帰還電流検出回路131を備えている。
【0058】
正極性帯電電圧印加回路101は、電源部71から入力した電圧を昇圧し帯電ローラ32に対して正極性の電圧を印加する回路であり、負極性帯電電圧印加回路102は、帯電ローラ32に対して負極性の電圧を印加する回路である。正極性帯電電圧印加回路101は、PWM信号平滑回路111、トランスドライブ回路112、トランス回路113を備えている。PWM信号平滑回路111は、例えば、抵抗及びコンデンサを備え、ASIC85のポートPWM1から出力されるPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号を平滑化し、平滑化したPWM信号をトランスドライブ回路112に出力する。
【0059】
トランスドライブ回路112は、PWM信号平滑回路111から入力した平滑化後のPWM信号に基づいてトランス回路113が備えるトランスT1の1次側巻線に発振電流を出力する。トランスドライブ回路112は、オペアンプ115、トランジスタTr1等を備えている。オペアンプ115は、例えば、非反転入力端子にPWM信号平滑回路111から出力されたPWM信号を入力され、反転入力端子に、電圧検出部114のフィードバック電圧CHG-VFBが入力される。電圧検出部114は、正極性帯電電圧印加回路101の出力端子117と、グランドとの間に接続されている。電圧検出部114は、複数の分圧抵抗114Aを備え、第1帯電電圧CHG1又は第2帯電電圧CHG2を分圧した電圧をフィードバック電圧CHG-VFBとしてオペアンプ115に出力(フィードバック)する。
【0060】
オペアンプ115の出力端子は、抵抗等を介してトランジスタTr1のベース接続されている。オペアンプ115は、PWM信号平滑回路111の平滑化後のPWM信号及びフィードバック電圧CHG-VFBに基づいた駆動信号をトランジスタTr1のベースに出力する。トランスT1の1次側巻線は、例えば、一端に電源部71から24Vを供給され、他端をトランジスタTr1のコレクタに接続されている。トランスT1は、オペアンプ115の駆動信号によりトランジスタTr1のベース電流が制御されることによって、トランスT1の二次側電圧、即ち、正極性の電圧を生成する。オペアンプ115は、平滑化されたPWM信号とフィードバック電圧CHG-VFBとの差をなくすように動作することで、正極性帯電電圧印加回路101の出力端子117から出力する正極性の電圧を定電圧制御する。ASIC85は、ポートPWM1のPWM信号のデューティ比を変更し、正極性帯電電圧印加回路101から出力する正極性の電圧を変更することで、第1及び第2帯電電圧CHG1,CHG2を変更する。
【0061】
トランス回路113は、トランスT1の他に、トランスT1の2次側巻線に接続されたダイオードD1、コンデンサC1及び抵抗R1を備えている。ダイオードD1は、アノード端子が2次側巻き線に接続され、カソード端子が出力端子117に接続されている。トランス回路113は、トランスT1の二次側電圧を、ダイオードD1、コンデンサC1、及び抵抗R1で整流・平滑化し、正極性帯電電圧印加回路101の出力端子117から直流の正極性の電圧として出力する。
【0062】
負極性帯電電圧印加回路102は、正極性帯電電圧印加回路101と同様の構成となっている。このため、以下の負極性帯電電圧印加回路102の説明において、正極性帯電電圧印加回路101と同一構成については説明を省略する。負極性帯電電圧印加回路102は、PWM信号平滑回路121、トランスドライブ回路122、トランス回路123、電圧検出部124を備えている。PWM信号平滑回路121は、ASIC85のポートPWM2から入力したPWM信号を平滑化しトランスドライブ回路122に出力する。電圧検出部124は、例えば、抵抗やコンデンサを備え、トランスドライブ回路122のトランジスタTr2のコレクタ端子に接続され、トランスドライブ回路122のオペアンプ125の反転入力端子にコレクタ電圧をフィードバックする。トランスドライブ回路122は、ASIC85から入力されるPWM信号に応じてトランス回路123のトランスT1を駆動する。トランス回路123のダイオードD2の極性は、正極性帯電電圧印加回路101のトランス回路113のダイオードD1と反対になっており、カソード端子が2次側巻き線に接続され、アノード端子が出力端子127に接続されている。このため、負極性帯電電圧印加回路102は、出力端子127から負極性の電圧を出力する。尚、ポートPWM1から出力されるPWM信号は、本願の第1制御信号の一例である。ポートPWM2から出力されるPWM信号は、本願の第2制御信号の一例である。
【0063】
正極性帯電電圧印加回路101の出力端子117と負極性帯電電圧印加回路102の出力端子127とは、抵抗129を介して接続されている。また、出力端子117は、例えば、帯電ローラ32のローラ軸に接続されている。ASIC85は、制御プログラムPGに基づいてポートPWM1,PMW2の各々から出力するPMW信号のデューティ比を変更することで、帯電ローラ32に印加する第1及び第2帯電電圧CHG1,CHG2を変更する。例えば、ASIC85は、正極性帯電電圧印加回路101から+1300Vを出力させ、負極性帯電電圧印加回路102から-300Vを出力させることで、+1000Vの第1帯電電圧CHG1を帯電ローラ32に印加させる。同様に、例えば、ASIC85は、正極性帯電電圧印加回路101から+1000Vを出力させ、負極性帯電電圧印加回路102から-1500Vを出力させることで、―500Vの第2帯電電圧CHG2を帯電ローラ32に印加させる。
【0064】
尚、ASIC85は、正極性帯電電圧印加回路101及び負極性帯電電圧印加回路102の両方を同時に動作させなくとも良い。例えば、ASIC85は、正極性の第1帯電電圧CHG1を出力させたい場合、ポートPWM1からPWM信号を出力し、ポートPWM2からはPWM信号を出力せずに、正極性帯電電圧印加回路101のみを動作させて第1帯電電圧CHG1を出力させても良い。
【0065】
ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、帯電電圧印加回路95Kと同様の構成となっている。このため、以下のドラムクリーニング電圧印加回路97Kの説明において、帯電電圧印加回路95Kと同一構成については説明を省略する。ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、正極性クリーニング電圧印加回路201、負極性クリーニング電圧印加回路202、電圧検出部214を備えている。正極性クリーニング電圧印加回路201は、正極性帯電電圧印加回路101と同様の回路構成となっており、PWM信号平滑回路211、トランスドライブ回路212、トランス回路213を備えている。正極性クリーニング電圧印加回路201は、ASIC85のポートPWM3から入力したPWM信号と、電圧検出部214のフィードバック電圧DCLN-VFBに基づいて出力端子217から出力する正極性の電圧を変更する。
【0066】
また、負極性クリーニング電圧印加回路202は、負極性帯電電圧印加回路102と同様の回路構成となっており、PWM信号平滑回路221、トランスドライブ回路222、トランス回路223、電圧検出部224を備えている。負極性クリーニング電圧印加回路202は、ASIC85のポートPWM4から入力したPWM信号と、電圧検出部224でフィードバックした電圧に基づいて出力端子227から出力する負極性の電圧を変更する。尚、ポートPWM3から出力されるPWM信号は、本願の第3制御信号の一例である。ポートPWM4から出力されるPWM信号は、本願の第4制御信号の一例である。
【0067】
正極性クリーニング電圧印加回路201の出力端子217は、例えば、回収ローラ35のローラ軸に接続されている。また、負極性クリーニング電圧印加回路202の出力端子227は、例えば、ドラムクリーニングローラ34のローラ軸に接続されている。従って、ドラムクリーニングローラ34及び回収ローラ35には、正極性クリーニング電圧印加回路201及び負極性クリーニング電圧印加回路202の出力電圧に応じた第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2、第1及び第2回収ローラ電圧DCLN3,DCLN4が印加される。
【0068】
また、出力端子217と出力端子227とは、ツェナーダイオード229を介して接続されている。ツェナーダイオード229のカソード端子は、出力端子217(回収ローラ35)に接続され、アノード端子は、出力端子227(ドラムクリーニングローラ34)に接続されている。ツェナーダイオード229は、回収ローラ35とドラムクリーニングローラ34間に流れる電流による電圧降下により回収ローラ35に印加される正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3よりも小さい(電位が低い)第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加する、あるいは負極性の第2回収ローラ電圧DCLN4よりも小さい(電位が低い)第2ドラムクリーニング電圧DCLN2をドラムクリーニングローラ34に印加する。第1ドラムクリーニング電圧DCLN1及び第1回収ローラ電圧DCLN3の電位差、第2ドラムクリーニング電圧DCLN2及び第2回収ローラ電圧DCLN4の電位差は、ツェナーダイオード229のツェナー電圧(降伏電圧)により規定される。ツェナーダイオード229は、例えば、第1ドラムクリーニング電圧DCLN1に比べて第1回収ローラ電圧DCLN3が+200Vだけ高い電圧となるように、あるいは、第2ドラムクリーニング電圧DCLN2に比べて第2回収ローラ電圧DCLN4が+200Vだけ高い電圧となるように設定されている。
【0069】
例えば、ASIC85は、制御プログラムPGに基づいてポートPWM3,PMW4の各々から出力するPMW信号のデューティ比を変更することで、ドラムクリーニングローラ34に印加する第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2、回収ローラ35に印加する第1及び第2回収ローラ電圧DCLN3,DCLN4を変更する。例えば、ASIC85は、正極性クリーニング電圧印加回路201から+1700Vを出力させ、負極性クリーニング電圧印加回路202から-1000Vを出力させることで、+700Vの第1回収ローラ電圧DCLN3と、+500Vの第1ドラムクリーニング電圧DCLN1を出力させる。同様に、例えば、ASIC85は、正極性クリーニング電圧印加回路201から+1700Vを出力させ、負極性クリーニング電圧印加回路202から-2000Vを出力させることで、-300Vの第2回収ローラ電圧DCLN4と、-500Vの第2ドラムクリーニング電圧DCLN2を出力させる。
【0070】
尚、ASIC85は、正極性クリーニング電圧印加回路201及び負極性クリーニング電圧印加回路202の両方を同時に動作させなくとも良い。例えば、ASIC85は、正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3を出力させたい場合、ポートPWM3からPWM信号を出力し、ポートPWM4からはPWM信号を出力せずに、正極性帯電電圧印加回路101のみを動作させて第1回収ローラ電圧DCLN3を出力させても良い。
【0071】
また、帯電電圧印加回路95Kは、帰還電流検出回路131を備えている。
図5は、帰還電流検出回路131の回路図を示している。
図5に示すように、帰還電流検出回路131は、抵抗R3、抵抗R4、及びコンデンサC3を備えている。抵抗R3と抵抗R4は、電源電圧Vccとグランドとの間において、直列に接続されている。また、コンデンサC3は、抵抗R4と並列に接続されることによって、RCフィルタを構成している。抵抗R3と抵抗R4との接続点P1は、トランス回路123の抵抗R2に接続されている。また、接続点P1は、ASIC85のアナログポートADに接続されている。
【0072】
ASIC85のアナログポートADに入力される信号Sirは、抵抗R3と抵抗R4との接続点P1に印加されている電圧値を示している。例えば、ASIC85は、アナログポートADに入力された信号Sirをアナログ・デジタル変換することによって得られたデジタル値により、帰還電流検出回路131の抵抗R3と抵抗R4の接続点P1に流れる帰還電流I_Returnの電流値を取得する。帰還電流検出回路131は、正極性帯電電圧印加回路101及び負極性帯電電圧印加回路102とグランドとの間に接続されている。このため、電源電圧Vccから接続点P1に向けて抵抗R3を流れる帰還電流I_Returnは、帯電ローラ32から感光体ドラム31を介してグランドに流れる帯電電流I_CHG(
図4参照)と相関する関係にある。後述するように、ASIC85は、帰還電流I_Returnに基づいて、クリーニングの要否を判断する。
【0073】
尚、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、本願のドラムクリーニング電圧印加回路及び回収ローラ電圧印加回路の一例である。上記したように、本実施例では、ドラムクリーニングローラ34に第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2を印加する印加回路及び回収ローラ35に第1及び第2回収ローラ電圧DCLN3,DCLN4を印加する印加回路が、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kで共通の回路となっている。しかしながら、回収ローラ35に第1及び第2回収ローラ電圧DCLN3,DCLN4を印加する印加回路(本願の回収ローラ電圧印加回路)を、ドラムクリーニングローラ34に第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2を印加するドラムクリーニング電圧印加回路97Kとは別の回路にしても良い。
【0074】
(印刷処理について)
次に、ASIC85が実行する印刷処理について
図6~
図10を参照しつつ説明する。ASIC85は、例えば、電源ケーブル71Aが商用電源81に接続された状態でプリンタ1の電源が投入され起動すると、制御プログラムPGをROM86から読み出してCPU85Aで実行し、プリンタ1のシステムを起動した後、
図6に示す印刷処理を開始する。尚、
図6~
図10の各処理は、プリンタ1が実行する印刷処理のうち、トナーの供給及び回収に係る電力の制御を主に示している。このため、以下の説明では、この電力制御について主に説明し、露光やシートの搬送などの他の制御についての説明を省略する。また、
図6に示す印刷処理を開始する条件は、上記したシステムを起動する条件に限らない。例えば、ASIC85は、消費電力を低減する省電力モードから通常モードに復帰することを条件に、
図6の処理を開始しても良い。また、以下の印刷処理の説明では、説明が煩雑となるのを避けるため、モノクロの印刷命令を受け、モノクロ印刷を実行する場合について説明する。尚、カラー印刷の場合にも、以下のモノクロ印刷と同様に、各色のトナーについて後述するクリーニング要否判断、正帯電トナー回収処理、負帯電トナー回収処理を色ごとに実行することができる。
【0075】
また、以下の説明では、制御プログラムPGを実行するASIC85のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「ASIC85は、印刷命令を受け付けたか否かを判断する」という記載は、「ASIC85は、制御プログラムPGをCPU85Aで実行し、制御プログラムPGの命令に従って印刷命令を受け付けたか否かを判断する」ということを意味する。
【0076】
図6に示すように、ASIC85は、印刷処理を開始すると、ステップ(以下、単に「S」と記載する)1において、印刷命令を受け付けた否かを判断する。ASIC85は、印刷命令を受け付けるまでの間、S1で否定判断し(S1:NO)、S1の判断処理を繰り返し実行する。ASIC85は、例えば、LANインターフェース等の通信インターフェース(図示略)を介してPCから印刷命令を受け付ける、あるいは、タッチパネル等のユーザインタフェース(図示略)によりコピーの印刷命令を受け付けると、S1で肯定判断し(S1:YES)、S2を実行する。ASIC85は、S2において、印刷前処理を実行する。ASIC85は、S2において、例えば、各種のローラの回転を開始する準備、印刷前に定着部60を予め加熱する制御等を実行する。また、現像ローラ33fと感光体ドラム31とが離間していた場合、ASIC85は、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを移動させ、現像ローラ33fを感光体ドラム31に接触させる。ASIC85は、S2を実行すると、画像形成処理(S3)を実行する。
【0077】
(画像形成処理について)
次に、画像形成処理について説明する。
図7に示すように、ASIC85は、画像形成処理を開始すると、まず、ポートPWM1,PWM2から出力するPWM信号のデューティ比を変更して帯電電圧印加回路95Kを定電圧制御し、例えば、+1000Vの第1帯電電圧CHG1を帯電ローラ32に印加させ、帯電ローラ32を回転させて感光体ドラム31を正帯電させる(S21)。次に、ASIC85は、現像電圧印加回路96Kを制御して、例えば、+400Vの現像電圧DEVを現像ローラ33fに印加させる(S22)。次に、ASIC85は、転写電圧印加回路98Kを例えば20μAで定電流制御し、転写ローラ54に負極性の転写電圧TRを印加させる(S23)。次に、ASIC85は、ポートPWM3,PWM4から出力するPWM信号のデューティ比を変更してドラムクリーニング電圧印加回路97Kを定電圧制御し、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2(例えば、-500V)をドラムクリーニングローラ34に印加させ、負極性の第2回収ローラ電圧DCLN4(例えば、-300V)を回収ローラ35に印加させる(S24)。
【0078】
次に、ASIC85は、ベルトクリーニング電圧印加回路94を制御し、例えば、+1000Vのベルトクリーニング電圧BCLN3をバックアップローラ56に印加し、搬送ベルト53を介してクリーニングローラ57にベルトクリーニング電圧BCLN1を印加させ、回収ローラ58に回収ローラ電圧BCLN2を印加させる(S25)。ASIC85は、各印加回路から所望の電圧を出力させた状態で、各ローラを回転させる。ASIC85は、印刷命令の画像データに基づいて露光部40を制御し、正帯電した感光体ドラム31に静電潜像を形成し、印刷を実行する。
【0079】
図11は、画像形成処理、後述する正帯電トナー回収処理、負帯電トナー回収処理における各電圧、正帯電トナー、負帯電トナーの状態を示している。
図11の上のグラフは、各処理における第1及び第2帯電電圧CHG1,CHG2と第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2を示している。
図11の下の図は、各処理における各ローラの状態を示しており、上が正帯電トナーの状態、下が負帯電トナーの状態を示している。
図11の最も左側に示すように、画像形成処理において、感光体ドラム31のトナー像を構成する正帯電トナーは、転写ローラ54に負極性の転写電圧TRが印加されることでシートSに転写される。また、シートSに転写されずに感光体ドラム31の表面に残留した正帯電トナーは、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2を印加されたドラムクリーニングローラ34に移動する。第2ドラムクリーニング電圧DCLN2の電圧(-500V)は、回収ローラ35の第2回収ローラ電圧DCLN4の電圧(-300V)に比べて低くなっている。このため、感光体ドラム31からドラムクリーニングローラ34に移動した正帯電トナーは、回収ローラ35への移動を制限されドラムクリーニングローラ34に残留する。
【0080】
一方、負極性の転写電圧TRを転写ローラ54に印加することで、感光体ドラム31に付着したトナーの一部が負極性となり、負帯電トナーが発生する。感光体ドラム31の表面に発生した負帯電トナーは、負極性のドラムクリーニングローラ34には移動せず、ドラムクリーニングローラ34を通過し、正極性の帯電ローラ32に移動する。ここで、印刷中にシートSに転写されなかった正帯電トナー(残トナー)が感光体ドラム31に汚れとなって付着したままとなる、あるいは、負帯電トナーが帯電ローラ32に汚れとなって付着したままとなると、印刷品質が低下する虞がる。そこで、本実施例のASIC85は、正帯電トナー回収処理を実行し残った正帯電トナーを回収し、負帯電トナー回収処理を実行し残った負帯電トナーを回収する。
【0081】
図7に示すように、ASIC85は、S25を実行すると、印刷が終了したか否かを判断する(S27)。ASIC85は、印刷が終了するまでの間、S27で否定判断し(S27:NO)、印刷を実行しつつ、上記した正帯電トナー、負帯電トナーの移動や回収を実行する。ASIC85は、印刷が終了したと判断すると(S27:YES)、各電圧の印加を停止させ(S28)、モータ(プロセスモータ74やメインモータ75)を停止させる(S29)。
【0082】
(クリーニング要否判断処理について)
図6に示すように、ASIC85は、S3を実行した後、クリーニング要否判断処理(S4)を実行する。上記した通り、帰還電流検出回路131の接続点P1に流れる帰還電流I_Returnは、帯電ローラ32から感光体ドラム31を介してグランドに流れる帯電電流I_CHGと相関する関係にある。帯電ローラ32に負帯電トナーなどの残トナー等が付着し蓄積すると蓄積した箇所のインピーダンスが高くなる。画像形成処理において、第1帯電電圧CHG1は、定電圧制御されるため、残トナー等が蓄積した箇所に流れる電流の電流値が低下する。そこで、ASIC85は、帰還電流I_Returnを閾値と比較することで、クリーニングの要否を判断する。
【0083】
図8に示すように、ASIC85は、クリーニング要否判断処理を開始すると、例えば、画像形成処理と同様に、各モータを回転させて各ローラを回転させ(S31)、帯電電圧印加回路95Kを制御して正極性の第1帯電電圧CHG1を定電圧制御し、第1帯電電圧CHG1を帯電ローラ32に印加させる(S32)。ASIC85は、一定時間だけ待機する(S33)。この待機時間は、例えば、第1帯電電圧CHG1が所望の目標電圧(+1000V)に安定するまでに必要な時間である。ASIC85は、一定時間だけ待機すると、アナログポートADに入力された信号Sirに基づいて帰還電流I_Returnを演算して取得し(S34)、取得した帰還電流I_Returnが所定の閾値未満であるか否かを判断する(S35)。上記したように、帰還電流I_Returnは、残トナーが帯電ローラ32に付着するほど低下する。このため、S35で用いる閾値は、残トナーの付着(汚れ)の度合いが、クリーニングが必要な度合いであるか否かを判断する値である。例えば、閾値としては、帯電ローラ32に残トナーが付着していない初期状態の帰還電流I_Returnを100%とした場合に、20%の低下を検出する値を採用できる。
【0084】
ASIC85は、帰還電流I_Returnが閾値未満であると判断した場合(S35:YES)、クリーニングが必要であると判断し(S36)、
図8に示す処理を終了する。また、ASIC85は、帰還電流I_Returnが閾値以上であると判断した場合(S35:NO)、クリーニングが不要であると判断し(S37)、
図8に示す処理を終了する。尚、クリーニング要否判断処理を、S3の画像形成処理と並列に実行しても良い。ASIC85は、例えば、画像形成処理において、第1帯電電圧CHG1を印加させた後、印刷する前や後に、帰還電流I_Returnと閾値を比較しても良い。
【0085】
また、本実施例では、ブラックのトナーについてクリーニングの要否を判断しているが、他の色についても同様にクリーニングの要否を判断できる。例えば、ASIC85は、印加回路93Yの帯電電圧印加回路(図示略)を制御し、現像カートリッジ30Yの帯電ローラ32に第1帯電電圧CHG1を印加させた状態で印加回路93Yから出力される帰還電流I_Returnと閾値を比較することで、イエローの残トナーのクリーニングの要否を判断しても良い。また、ASIC85は、例えば、カラー印刷を実行し、4色のうち、少なくとも1つの帰還電流I_Returnが閾値未満となった場合に、全色のクリーニングを実行しても良く、閾値未満となった色のみクリーニングを実行しても良い。
【0086】
(正帯電トナー回収処理について)
図6に示すように、ASIC85は、S4を実行した後、S4のクリーニング要否判断処理の結果に基づいてクリーニングが必要であるか否かを判断する(S5)。ASIC85は、
図8の処理においてS36を実行した場合、S5で肯定判断し(S5:YES)、S6を実行する。
【0087】
図9に示すように、ASIC85は、正帯電トナー回収処理を開始すると、プロセスモータ74及びメインモータ75を回転させ、各ローラ等を回転させる(S41)。次に、ASIC85は、現像ローラ33fを感光体ドラム31から離間させる(S42)。ASIC85は、現像ローラ移動機構77を制御し現像ローラ33fを前方へ移動させて、感光体ドラム31から現像ローラ33fを離間させる。
【0088】
次に、ASIC85は、ポートPWM1,PWM2から出力するPWM信号のデューティ比を変更して帯電電圧印加回路95Kを制御し、正極性の第1帯電電圧CHG1を帯電ローラ32に印加させる(S43)。このS43で印加する正極性の第1帯電電圧CHG1は、本願の第3帯電電圧の一例である。次に、ASIC85は、転写電圧印加回路98Kを定電流制御し、転写ローラ54に転写電圧TRを印加させる(S44)。次に、ASIC85は、ポートPWM3,PWM4から出力するPWM信号のデューティ比を変更してドラムクリーニング電圧印加回路97Kを制御し、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加させ、正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3を回収ローラ35に印加させる(S45)。
【0089】
次に、ASIC85は、ベルトクリーニング電圧印加回路94を制御し、+1000Vのベルトクリーニング電圧BCLN3をバックアップローラ56に印加させ、クリーニングローラ57にベルトクリーニング電圧BCLN1を印加させ、回収ローラ58に回収ローラ電圧BCLN2を印加させる(S46)。ASIC85は、各印加回路から電圧を印加させつつ、プロセスモータ74及びメインモータ75を制御して各ローラを回転させる。ASIC85は、ローラの回転を開始させてから所定回転数だけ回転したか否かを判断する(S47)。この所定回転数は、搬送ベルト53に付着した正帯電トナーをベルトクリーナ55に回収するのに必要な回転数である。
【0090】
図11の左右方向における真ん中の図(正帯電トナーの動きの図)に示すように、正帯電トナー回収処理では、画像形成処理においてドラムクリーニングローラ34に付着させた正帯電トナーを、ドラムクリーニングローラ34に正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1を印加することでドラムクリーニングローラ34から感光体ドラム31へ移動させる。この際、第1ドラムクリーニング電圧DCLN1(+500V)は、第1回収ローラ電圧DCLN3(+700V)に比べて低くなっている。このため、ドラムクリーニングローラ34に付着した正帯電トナーは、回収ローラ35への移動を制限され感光体ドラム31へ移動する。また、感光体ドラム31に移動した正帯電トナーは、帯電ローラ32に正極性の第1帯電電圧CHG1が印加されているため、帯電ローラ32への移動を制限される。その結果、正帯電トナーは、負極性の転写電圧TRを印加された転写ローラ54によって搬送ベルト53に転写され、ベルトクリーナ55によって回収される。換言すれば、S47の所定回転数は、上記したドラムクリーニングローラ34に付着した正帯電トナーが、感光体ドラム31、搬送ベルト53を経由してベルトクリーナ55に回収されるまで感光体ドラム31や搬送ベルト53(駆動ローラ51)を回転させる必要がある回転数である。
一方で、
図11の真ん中の図(負帯電トナーの動きの図)に示すように、画像形成処理において帯電ローラ32に付着した負帯電トナーは、正帯電トナー回収処理で正極性の第1帯電電圧CHG1が帯電ローラ32に印加されるため、帯電ローラ32から感光体ドラム31への移動を制限され、帯電ローラ32に付着したままとなる。
【0091】
ASIC85は、所定回転数だけ回転させるまでの間、S47で否定判断し(S47:NO)、上記した正帯電トナーの回収を継続する。ASIC85は、所定回転数だけ回転したと判断した場合(S47:YES)、プロセスモータ74やメインモータ75を停止させ、各電圧の印加を停止させ(S48)、
図9に示す処理を終了する。
【0092】
(負帯電トナー回収処理について)
図6に示すように、ASIC85は、S6を実行した後、負帯電トナー回収処理を実行する(S7)。
図10に示すように、ASIC85は、負帯電トナー回収処理を開始すると、プロセスモータ74及びメインモータ75を回転させる(S51)。尚、本実施例では、ASIC85は、負帯電トナー回収処理を正帯電トナー回収処理に連続して実行する。このため、ASIC85は、
図9の正帯電トナー回収処理のS48においてモータの動作や電圧の印加を停止させずに、正帯電トナー回収処理と負帯電トナー回収処理を連続的に実行しても良い。また、上記した正帯電トナー制御のS42において、現像ローラ33fを感光体ドラム31から既に離間させているため、負帯電トナー回収処理の開始時において、現像ローラ33fは、感光体ドラム31から離間しているものとする。また、正帯電トナー回収処理及び負帯電トナー回収処理の少なくとも一方で、現像ローラ33fを感光体ドラム31に接触させて処理を実行しても良い。
【0093】
ASIC85は、S51を実行すると、帯電電圧印加回路95Kを制御し、負極性の第2帯電電圧CHG2を帯電ローラ32に印加させる(S53)。尚、
図9の正帯電トナー回収処理において正帯電トナーを搬送ベルト53に転写済みであるため、
図9のS44の転写ローラ54に転写電圧TRを印加する処理は、負帯電トナー回収処理では省略できる。
【0094】
次に、ASIC85は、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを制御し、正帯電トナー回収処理と同様に、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加させ、正極性の第1回収ローラ電圧DCLN3を回収ローラ35に印加させる(S55)。次に、ASIC85は、ベルトクリーニング電圧印加回路94を制御し、ベルトクリーニング電圧BCLN3をバックアップローラ56に印加させ、クリーニングローラ57にベルトクリーニング電圧BCLN1を印加させ、回収ローラ58に回収ローラ電圧BCLN2を印加させる(S56)。従って、ベルトクリーナ55は、負帯電トナー回収処理においても搬送ベルト53から正帯電トナーを回収する。尚、上記したように、負帯電トナー回収処理では、転写電圧TRの印加を実行しないため、正帯電トナー回収処理で既に搬送ベルト53から正帯電トナーの回収が完了している場合、S56を省略しても良い。
【0095】
次に、ASIC85は、各印加回路から電圧を印加させつつ、プロセスモータ74等を制御して各ローラを回転させる。ASIC85は、ローラの回転を開始させてから所定回転数だけ回転したか否かを判断する(S57)。この所定回転数は、帯電ローラ32に付着した負帯電トナーを、感光体ドラム31を介してドラムクリーニングローラ34に移動させ、回収ローラ35で回収するまでに必要な回転数である。
【0096】
図11の右側の図に示すように、負帯電トナー回収処理では、画像形成処理において帯電ローラ32に付着した負帯電トナーは、帯電ローラ32に負極性の第2帯電電圧CHG2が印加されることで感光体ドラム31に移動する。感光体ドラム31に移動した負帯電トナーは、感光体ドラム31の回転に伴って転写ローラ54の位置を通過しドラムクリーニングローラ34の位置まで移動する。負帯電トナーは、ドラムクリーニングローラ34に正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1が印加されることで感光体ドラム31からドラムクリーニングローラ34へ移動する。回収ローラ35の第1回収ローラ電圧DCLN3の電圧(+700V)は、第1ドラムクリーニング電圧DCLN1の電圧(+500V)に比べて高くなっている。このため、ドラムクリーニングローラ34に移動した負帯電トナーは、より電圧の高い回収ローラ35へ移動し、回収ブレード38によって回収ボックス36に回収される。
【0097】
ASIC85は、所定回転数だけ回転するまでの間、S57で否定判断し(S57:NO)、上記した負帯電トナーの回収を継続する。ASIC85は、所定回転数だけ回転したと判断した場合(S57:YES)、プロセスモータ74等を停止し、各電圧の印加を停止する(S58)。
【0098】
図6に示すように、ASIC85は、S7を実行した後、S4を再度実行し、クリーニングの要否を再度判断する(S5)。ASIC85は、帰還電流I_Returnが上記した閾値以上となり(S35:NO)、クリーニングが不要と判断するまでの間(S5:YES)、S6、S7を実行し、正帯電トナー及び負帯電トナーの回収を実行する。ASIC85は、クリーニングが不要であると判断すると(S5:NO)、
図6に示す印刷処理を終了する。これにより、トナーの回収を実行することができる。尚、ASIC85は、S6、S7を繰り返し実行しなくとも良い。例えば、ASIC85は、クリーニングが必要と判断した場合(S5:YES)、S6、S7を1回ずつ実行し
図6の処理を終了しても良い。
【0099】
以上、上記した第1実施例によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施例の帯電電圧印加回路95Kは、帯電ローラ32に対して、正極性の第1帯電電圧CHG1、及び、負極性の第2帯電電圧CHG2を選択的に印加可能となっている。また、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kは、ドラムクリーニングローラ34に対して、正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1及び負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2を選択的に印加可能となっている。
【0100】
正帯電トナーは、画像形成処理において感光体ドラム31からシートSに転写されずに残った場合、負極性の第2ドラムクリーニング電圧DCLN2をドラムクリーニングローラ34に印加することにより感光体ドラム31からドラムクリーニングローラ34に移動する。
ドラムクリーニングローラ34に移動した正帯電トナーは、非画像形成時にドラムクリーニングローラ34に正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1を印加することによりドラムクリーニングローラ34から感光体ドラム31へ移動する。正帯電トナーは、感光体ドラム31へ移動した後、負極性の転写電圧TRを転写ローラ54に印加することにより搬送ベルト53へ移動し、ベルトクリーナ55により回収される。
また、画像形成時に転写により発生する負帯電トナーは、ドラムクリーニングローラ34に移動することなく帯電ローラ32に付着する。
非画像形成時において、帯電ローラ32に負極性の第2帯電電圧CHG2を印加し、ドラムクリーニングローラ34に第1ドラムクリーニング電圧DCLN1を印加することにより、負帯電トナーは、ドラムクリーニングローラ34に回収される。
このため、画像形成時に帯電ローラ32に付着した負帯電トナーをドラムクリーニングローラ34で回収することにより現像ローラ33f以外で回収でき、画像の品質を維持できる。また、負帯電トナーが帯電ローラ32に付着し続けないようにすることで帯電ローラの寿命を長く保つことができる。
【0101】
(2)また、ASIC85は、帯電電圧印加回路95Kを用いて帯電ローラ32に第1帯電電圧CHG1を印加させ(S21)、現像ローラ33fから感光体ドラム31に正帯電トナーを供給してトナー像を形成し、形成されたトナー像をシートSに転写する画像形成処理(S3)を実行する。ASIC85は、画像形成処理(S3)において、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いて第2ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加する(S24)。これによれば、転写されずに残った正帯電トナーを、ドラムクリーニングローラ34に移動させることができる。
また、ASIC85は、正帯電トナー回収処理(S6)において、帯電電圧印加回路95Kを用いて帯電ローラ32に正極性の第1帯電電圧CHG1を印加させ(S43)、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いて第1ドラムクリーニング電圧DCLN1をドラムクリーニングローラ34に印加させ、転写電圧印加回路98Kを用いて転写ローラ54に転写電圧TRを印加する。これによれば、ドラムクリーニングローラ34に付着した正帯電トナーを、感光体ドラム31を経由して搬送ベルト53に移動させ、搬送ベルト53に移動した正帯電トナーをベルトクリーナ55で回収することができ(S46)。
また、ASIC85は、負帯電トナー回収処理(S7)において、帯電電圧印加回路95Kを用いて帯電ローラ32に負極性の第2帯電電圧CHG2を印加することにより(S53)、帯電ローラ32に付着した負帯電トナーを感光体ドラム31に移動させ、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いてドラムクリーニングローラ34に正極性の第1ドラムクリーニング電圧DCLN1を印加することにより(S55)、感光体ドラム31に移動した負帯電トナーをドラムクリーニングローラ34で回収できる。
【0102】
(3)また、ASIC85は、画像形成処理において、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いて回収ローラ35に第2ドラムクリーニング電圧DCLN2と同じ負極性で第2ドラムクリーニング電圧DCLN2(-500V)の絶対値よりも小さい第2回収ローラ電圧DCLN4(-300V)を印加する。これにより、画像形成時にドラムクリーニングローラ34に移動した正帯電トナーが、ドラムクリーニングローラ34から回収ローラ35へ移動することを抑制できる。
また、ASIC85は、正帯電トナー回収処理において、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いて回収ローラ35に第1ドラムクリーニング電圧DCLN1と同じ正極性で第1ドラムクリーニング電圧DCLN1(+500V)の絶対値よりも大きい第1回収ローラ電圧DCLN3(+700V)を印加する。これにより、ドラムクリーニングローラ34に移動した正帯電トナーを、回収ローラ35へ移動させずに、感光体ドラム31へ移動させベルトクリーナ55により回収できる。
また、ASIC85は、負帯電トナー回収処理において、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kを用いて回収ローラ35に第1ドラムクリーニング電圧DCLN1と同じ正極性で第1ドラムクリーニング電圧DCLN1(+500V)の絶対値よりも大きい第1回収ローラ電圧DCLN3(+700V)を印加する。これにより、ドラムクリーニングローラ34に移動した負帯電トナーを、回収ローラ35へ移動させ回収することができる。
【0103】
(4)また、プリンタ1は、帯電電圧印加回路95Kにより帯電ローラ32に流れる帯電電流I_CHGを検出する帰還電流検出回路131を備えている。ASIC85は、クリーニング要否判断処理(S4)において、帯電電圧印加回路95Kを用いて一定の第1帯電電圧CHG1が帯電ローラ32に印加されるように定電圧制御を実行し(S32)、帰還電流検出回路131が検出する帰還電流I_Return(帯電電流I_CHGに相関がある電流)が、閾値未満である場合(S35:YES)、負帯電トナー回収処理を実行する(S5:YES)。これにより、帯電ローラ32に付着する負帯電トナーの増加を、帯電電流I_CHGの低下により検出し、適切なタイミングで負帯電トナーを回収することができる。
また、ASIC85は、帰還電流I_Returnが、閾値以上である場合(S35:NO)、負帯電トナー回収処理を実行しない(S5:NO)。これにより、負帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラム31の寿命を長く保つことができる。
【0104】
(5)また、プリンタ1は、感光体ドラム31に対して現像ローラ33fを接離可能に移動させる現像ローラ移動機構77を備えている。ASIC85は、画像形成処理において、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを感光体ドラム31に接触させる。これによれば、正帯電トナーを現像ローラ33fから感光体ドラム31の静電潜像へ良好に供給し現像することができる。
また、ASIC85は、正帯電トナー回収処理及び負帯電トナー回収処理の実行時において、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを感光体ドラム31から離間させる。これにより、回収対象の正帯電トナーや負帯電トナーが現像ローラ33fに回収されることを、より確実に抑制でき、画像の品質を維持できる。
【0105】
(6)また、帯電電圧印加回路95Kの正極性帯電電圧印加回路101(本願の帯電電圧用第1極性印加回路の一例)は、ASIC85のポートPWM1から入力したPWM信号(本願の第1制御信号の一例)に基づいて電源部71から入力した24Vの電圧を昇圧して正極性の電圧を生成し、生成した正極性の電圧を帯電ローラ32に対して印加する。これによれば、ASIC85は、ポートPWM1のPWM信号により正極性帯電電圧印加回路101を制御し、所望の電圧値の正極性の電圧を帯電ローラ32に対して印加させることができる。
同様に、負極性帯電電圧印加回路102(本願の帯電電圧用第2極性印加回路の一例)は、ASIC85のポートPWM2から入力したPWM信号(本願の第2制御信号の一例)に基づいて負極性の電圧を生成し帯電ローラ32に対して印加する。これによれば、ASIC85は、ポートPWM2のPWM信号により負極性帯電電圧印加回路102を制御し、所望の電圧値の負極性の電圧を帯電ローラ32に対して印加させることができる。
ASIC85は、2つの帯電電圧印加回路を用いて帯電ローラ32に第1及び第2帯電電圧CHG1,CHG2を選択的に印加する。これにより、画像形成時や正帯電トナー回収処理時に帯電ローラ32に対して印加する第1帯電電圧CHG1と、負帯電トナー回収処理に帯電ローラ32に対して印加する第2帯電電圧CHG2との切り替えを実行することができる。
【0106】
(7)同様に、ドラムクリーニング電圧印加回路97Kの正極性クリーニング電圧印加回路201(本願のドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路の一例)は、ASIC85のポートPWM3から入力したPWM信号(本願の第3制御信号の一例)に基づいて正極性の電圧を生成しドラムクリーニングローラ34に対して印加する。また、負極性クリーニング電圧印加回路202(本願のドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路の一例)は、ASIC85のポートPWM4から入力したPWM信号(本願の第4制御信号の一例)に基づいて負極性の電圧を生成しドラムクリーニングローラ34に対して印加する。これによれば、ASIC85は、2つのクリーニング電圧印加回路を用いて、画像形成時等にドラムクリーニングローラ34に対して印加する第1及び第2ドラムクリーニング電圧DCLN1,DCLN2の切り替えを実行することができる。
また、ツェナーダイオード229(本願の電圧印加部の一例)は、一端を正極性クリーニング電圧印加回路201の出力端子217に接続され、他端を負極性クリーニング電圧印加回路202の出力端子227に接続され、回収ローラ35とドラムクリーニングローラ34間に流れる電流による電圧降下により回収ローラ35に印加される電圧よりも小さい電圧を、ドラムクリーニングローラ34に印加する。これにより、ASIC85は、2つのドラムクリーニング電圧印加回路を用いてドラムクリーニングローラ34と回収ローラ35との間のトナーの移動を、2つのローラ間の電位差によって制御できる。
【0107】
(8)また、本実施例のプリンタ1は、カラープリンタであり、帯電ローラ32、感光体ドラム31、帯電電圧印加回路95K、及びドラムクリーニング電圧印加回路97Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する複数の帯電ローラ32、感光体ドラム31、印加回路93Y,93M,93C,93Kにより構成される。これによれば、各色のトナーについて、各電圧を制御し、正帯電トナー、負帯電トナーの回収を実行することができる。
【0108】
(第2実施例)
次に、本願の第2実施例について説明する。上記した第1実施例では、本願の帯電電流検出回路として、帰還電流検出回路131を採用し、帰還電流検出回路131の帰還電流I_Returnに基づいてクリーニングの要否を判断したが、これに限らない。
図12は、第2実施例のクリーニング要否判断処理を示している。例えば、クリーニング(正帯電トナー回収処理、負帯電トナー回収処理)の要否を、印刷量で判断しても良い。以下の第2実施例以降の説明において、上記した第1実施例と同様の内容については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0109】
第2実施例では、印刷量をドットカウントで判断する。ドットとは、例えば、シートSにトナー像を形成する際の最小単位であり、画像データにおける画素である。
図12に示すように、ASIC85は、クリーニング要否判断処理において、S33を実行した後、ドットカウントを取得する(S61)。例えば、ASIC85は、印刷処理で用いた画像データのドット数をカウントし、カウントしたドット数をドットカウントとして不揮発性メモリ88に記憶する。ASIC85は、印刷処理を実行するごとにドット数をカウントし、不揮発性メモリ88のドットカウントに加算する。不揮発性メモリ88には、累計の累計ドット数がドットカウントとして記憶される。ASIC85は、S61で不揮発性メモリ88からこのドットカウントを取得し、取得したドットカウントが所定の閾値ドット数以上であるか否かを判断する(S62)。ASIC85は、ドットカウントが閾値ドット数以上である場合(S62:YES)、クリーニングが必要であると判断する(S36)、。また、ASIC85は、ドットカウントが閾値ドット数未満である場合(S62:NO)、クリーニングが不要であると判断する(S37)。閾値ドット数は、ドットカウントが閾値ドット数以上になった際、更新され、閾値ドット数に所定回数(例えば、100万)が加算される。この場合、ASIC85は、例えば、ドットカウントが100万ドットをカウントする毎にクリーニング要と判断する。
【0110】
ここで、印刷量が所定量以上となると、正帯電トナーや負帯電トナーの付着量が増加し印刷精度が低下する可能性が高い。このため、S62で判断する閾値ドット数としては、クリーニングが必要となる印刷量を判断できる値を設定する。具体的には、例えば、閾値ドット数は、シートSにおける画像を形成可能な全範囲に印刷を実行した(べたで印刷した)場合に、べたで印刷したシートSの10枚分のドット数である。この場合、べた印刷の10枚分に相当するドットカウントになるごとにクリーニングが実行される。
【0111】
尚、ASIC85は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について個別にドットカウントを計測し、クリーニングの要否を判断しても良い。この場合、ドットカウントが閾値以上となったものだけをクリーニングしても良く、少なくとも1つの色のドットカウントが閾値ドット数以上となった場合に全ての色をクリーニングしても良い。また、各色で異なる大きさの閾値ドット数を用いても良い。また、ASIC85は、使用量が多いブラックのドットカウントだけでクリーニングの要否を判断しても良い。
【0112】
従って、第2実施例のASIC85は、トナーによりシートSに形成した画像の累計ドット数であるドットカウントが閾値ドット数以上であるか否かを判断するS62の処理(本願のドットカウント判断処理の一例)を実行し、ドットカウントが閾値ドット数以上であると判断した場合(S62:YES)、負帯電トナー回収処理(
図10)を実行する。これによれば、ASIC85は、ドットカウントが閾値ドット数以上となり、負帯電トナーが蓄積した可能性が高くなった場合に、負帯電トナー回収処理を実行することができる。また、ASIC85は、ドットカウントが閾値ドット数になるまでは、負帯電トナー回収処理を実行しないことで、負帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラム31の寿命を長く保つことができる。
【0113】
また、印刷量を判断する方法は、ドットカウントに限らない。例えば、ASIC85は、印刷量を印刷枚数で判断しても良い。ASIC85は、例えば、S61で画像を形成したシートSの枚数、即ち、印刷した累計の印刷枚数を取得し、S62において、取得した累計の印刷枚数が閾値枚数以上であるか否かを判断する処理(本願の枚数判断処理の一例)を実行し、累計の印刷枚数が閾値枚数以上であると判断した場合(S62:YES)、クリーニングを実行しても良い。この場合、ASIC85は、印刷したシートSの枚数(累計枚数)が所定枚数となるごとにクリーニングを実行する。
【0114】
あるいは、印刷量を印刷動作に掛かる合計時間で判断しても良い。ASIC85は、例えば、S61で正帯電トナーによりシートSに画像を形成する動作の合計時間を取得し、S62において、取得した合計時間が閾値時間以上であるか否かを判断する処理(本願の動作時間判断処理の一例)を実行し、合計時間が閾値時間以上であると判断した場合(S2:YES)、クリーニングを実行しても良い。この場合、ASIC85は、例えば、印刷動作に伴って画像形成部20を駆動していた合計時間が所定の閾値時間(例えば、10分)となるごとにクリーニングを実行する。
【0115】
また、ASIC85は、搬送ベルト53のクリーニングのタイミングに合わせて正帯電トナー回収処理や負帯電トナー回収処理を実行しても良い。例えば、ASIC85は、所定の条件に基づいてベルトクリーナ55により搬送ベルト53をクリーニングする場合、その搬送ベルト53のクリーニングのタイミングに合わせて正帯電トナー回収処理(S6)や負帯電トナー回収処理(S7)を実行しても良い。
【0116】
また、正帯電トナー回収処理(S6)や負帯電トナー回収処理(S7)を実行するタイミングは、印刷終了時に限らず、システム起動時などの他のタイミングでも良い。例えば、ドットカウントが所定の閾値ドット数以上となった場合に、その後、システムが起動されたタイミングで正帯電トナー回収処理(S6)や負帯電トナー回収処理(S7)を実行しても良い。従って、クリーニングの要否を、印刷処理が終了するごとに判断しなくとも良い。
【0117】
(第3実施例)
次に、本願の第3実施例について説明する。上記した第1実施例では、正極性帯電電圧印加回路101及び負極性帯電電圧印加回路102とグランドとの間(グランド側)に設けた帰還電流検出回路131の帰還電流I_Returnに基づいてクリーニングの要否を判断したが、これに限らない。
図13は、第3実施例の高圧電源基板76に係るブロック図を示している。
図13に示すように、プリンタ1は、帯電電圧印加回路95Kから帯電ローラ32に流れる帯電電流I_CHGを検出する帯電電流検出回路301を備えても良い。
【0118】
帯電電流検出回路301は、検出用の抵抗等を備え、帯電電流I_CHGをASIC85に出力する構成となっている。例えば、ASIC85は、
図8に示すクリーニング要否判断処理のS34において、帯電電流I_CHGを帯電電流検出回路301から取得し、S35において取得した帯電電流I_CHGの電流値と閾値を比較してクリーニングの要否を判断する。帯電電流I_CHGは、帰還電流I_Returnと同様に、感光体ドラム31や帯電ローラ32の汚れが付着するほど低下する。このため、帯電電流I_CHGを用いることで、帰還電流I_Returnと同様に、クリーニングの要否を判断することができる。ASIC85は、例えば、帯電電流I_CHGの電流値が所定の閾値未満になると、クリーニングが必要であると判断する(S36)。また、プリンタ1が帯電電流検出回路301を備える場合、第1実施例の帰還電流検出回路131を備えなくとも良い。
【0119】
(第4実施例)
次に、本願の第4実施例について説明する。上記した第1実施例では、
図4の印刷処理においてS5のクリーニングの要否の判断結果に基づいて、S6の正帯電トナー回収処理及びS7の負帯電トナー回収処理の両方について実行の有無を判断したが、これに限らない。
図14は、第4実施例の印刷処理のフローチャートを示している。
図14に示すように、ASIC85は、例えば、S5のクリーニングの要否の判断結果に基づいて、S7の負帯電トナー回収処理の実行の有無だけを判断しても良い。
【0120】
図14に示すように、ASIC85は、S3を実行した後、S4の前にS6を実行する。これにより、正帯電トナーを回収する正帯電トナー回収処理については印刷処理が終了するごとに実行できる。そして、ASIC85は、S5でクリーニングが必要であると判断した場合(S5:YES)、S7を実行する。これにより、帰還電流I_Returnが閾値未満となった場合に限り、負帯電トナー回収処理を実行し、負帯電トナーを回収できる。
【0121】
また、第1実施例では、
図6に示すように、S7の後にS5を実行することで、クリーニングが不要と判断するまで、正帯電トナー回収処理及び負帯電トナー回収処理を実行した。これに対し、第4実施例では、
図14に示すように、ASIC85は、S5で肯定判断した場合、S7を1回だけ実行して
図14の処理を終了する。尚、ASIC85は、
図14の場合において、
図6と同様に、S7の後にS4を実行し、クリーニングが不要と判断するまで負帯電トナー回収処理を繰り返し実行しても良い。また、ASIC85は、
図14の処理において、例えば、S6の後にS7を実行し、S4、S5を実行しなくとも良い。この場合、印刷処理を実行するごとに、クリーニングの要否を判断せず、正帯電トナー回収処理及び負帯電トナー回収処理を1回ずつ実行できる。
【0122】
以上、上記した第4実施例によれば、以下の効果を奏する。
(1)ASIC85は、正帯電トナー回収処理を実行後、定電圧制御を実行し、帰還電流検出回路131が検出する帰還電流I_Returnが、閾値未満である場合(S5:YES)、負帯電トナー回収処理を実行し(S7)、帰還電流I_Returnが、閾値以上である場合(S5:NO)、負帯電トナー回収処理を実行しない。
【0123】
第4実施例では、ASIC85は、正帯電トナー回収処理については帰還電流I_Returnの値に関わらず実行するものの、負帯電トナー回収処理については帰還電流I_Returnが閾値未満となった場合、即ち、帯電電流I_CHGが低下した場合のみ実行する。負帯電トナーは、転写電圧TRの電位差によって発生するものであり、現像に用いる正帯電トナーに比べて発生量が少ない。このため、正帯電トナー回収処理については印刷ごとに実行することで、正帯電トナーの付着による印刷精度の低下を抑制できる。また、負帯電トナー回収処理については帯電電流I_CHGの低下を条件に実行することで、負帯電トナー回収処理が過剰に実行されることを抑制し、感光体ドラム31の寿命を長く保つことができる。
【0124】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記各実施例のプリンタ1の構成は、一例である。例えば、ベルトクリーナ55は、搬送ベルト53に付着したトナーをローラではなくブレードで掻き取る構成でも良い。
また、ASIC85は、画像形成処理においてベルトクリーニング電圧印加回路94を停止させベルトクリーニング電圧BCLN3を出力しなくとも良い。即ち、画像形成処理においてベルトクリーナ55を停止しても良い。
また、ASIC85は、正帯電トナー回収処理(S6)及び負帯電トナー回収処理(S7)において、現像ローラ移動機構77を制御して現像ローラ33fを感光体ドラム31から離間させたが、これに限らない。ASIC85は、現像ローラ33fを感光体ドラム31に接触させたまま正帯電トナー回収処理及び負帯電トナー回収処理を実行しても良い。従って、プリンタ1は、現像ローラ移動機構77を備えず、現像ローラ33fの位置が固定された構成でも良い。
また、上記実施例では、本願の画像形成装置として、シートSにカラーの画像を形成するカラープリンタを採用したが、これに限らない。本願の画像形成装置としては、例えば、シートSにモノクロの画像を形成するモノクロプリンタでも良い。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、プリント機能に加え、スキャン機能やFAX機能を備える複合機でも良い。また、画像形成装置は、スキャン機能のみを備えるスキャナや、FAX機能のみを備えるFAXでもよい。従って、画像形成部の構成は、画像形成装置が備える機能に応じて適宜変更される。
【符号の説明】
【0125】
1 プリンタ(画像形成装置)、31 感光体ドラム、32 帯電ローラ、33f 現像ローラ、34 ドラムクリーニングローラ、35 回収ローラ、53 搬送ベルト(ベルト)、54 転写ローラ、55 ベルトクリーナ、71 電源部、77 現像ローラ移動機構、85 ASIC(制御部)、95K 帯電電圧印加回路、97K ドラムクリーニング電圧印加回路(回収ローラ電圧印加回路)、98K 転写電圧印加回路、101 正極性帯電電圧印加回路(帯電電圧用第1極性印加回路)、102 負極性帯電電圧印加回路(帯電電圧用第2極性印加回路)、131 帰還電流検出回路(帯電電流検出回路)、201 正極性クリーニング電圧印加回路(ドラムクリーニング電圧用第1極性印加回路)、202 負極性クリーニング電圧印加回路(ドラムクリーニング電圧用第2極性印加回路)、229 ツェナーダイオード(電圧印加部)、CHG1 第1帯電電圧、CHG2 第2帯電電圧、DCLN1 第1ドラムクリーニング電圧、DCLN2 第2ドラムクリーニング電圧、DCLN3 第1回収ローラ電圧、DCLN4 第2回収ローラ電圧、I_CHG 帯電電流、I_Return(帯電電流)、S シート、TR 転写電圧。