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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001589
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】函体及び函体の固定構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20231227BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20231227BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20231227BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20231227BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H05K5/03 B
H05K5/06 D
E04B2/74 541J
H02B1/30 B
H02B1/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100331
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【テーマコード(参考)】
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB08
4E360AB13
4E360AB33
4E360BA08
4E360BB12
4E360BB16
4E360BB23
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA12
4E360EA16
4E360EA18
4E360ED02
4E360GA53
4E360GB99
4E360GC08
5G016CA09
5G016CC02
(57)【要約】
【課題】
函体を構成する周壁と底壁とを別体構造にすることで、その組み付けを容易にすることである。
【解決手段】
前後に開口4,5が形成された周壁Cと、前記周壁Cの後方開口5を塞ぐ塞ぎ部を備えた底壁Bと、前記周壁Cの前方開口4を覆う覆い位置と、当該前方開口4を開放する開放位置との間で開閉動する蓋壁Dとを有し、前記周壁Cには、前記前方開口4からのビス91のねじ込み操作により前記底壁Bを組付け可能とする底壁組付け部と、前方から前記蓋壁を組付け可能とする蓋壁組付け部とが設けられ、前記底壁B及び蓋壁Dは、前方からの操作で前記周壁Cに組み付けられて一体化可能な構成とする。
【選択図】 図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に開口が形成された周壁と、
前記周壁の後方開口を塞ぐ塞ぎ部を備えた底壁と、
前記周壁の前方開口を覆う覆い位置と、当該前方開口を開放するを開放位置との間で開閉動する蓋壁と、を有し、
前記周壁には、前記前方開口からのビスのねじ込み操作により前記底壁を組付け可能とする底壁組付け部と、前方から前記蓋壁を組付け可能とする蓋壁組付け部とが設けられ、
前記底壁及び蓋壁は、前方からの操作で前記周壁に組み付けられて一体化可能であることを特徴とする函体。
【請求項2】
前記底壁の内面と、前記周壁の後方端面とで挟持されるパッキンを備えることを特徴とする請求項1に記載の函体。
【請求項3】
前記底壁には、前記周壁の後方端部の外側の全体を覆い囲むようにして、前方に向けて立設された外側重合部と、
当該外側重合部に対して前記周壁の内外方向に対向し、その間に前記周壁の後方端部が挿入される挿入溝部を形成する内側重合部と、が設けられ、
前記挿入溝部内に、当該挿入溝部の底面と前記周壁の後方端面とで挟持されるパッキンを備えていることを特徴とする請求項2に記載の函体。
【請求項4】
前記周壁は矩形枠状を成し、前記底壁組付け部は、前記周壁に複数個設けられていて、そのうちの少なくとも1つの底壁組付け部は、前記周壁を構成する1つの辺の中間に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の函体。
【請求項5】
前記底壁組付け部は、前記周壁の周方向に間隔をあけて複数形成されており、そのうちの少なくとも1つの底壁組付け部は、
前記周壁の内面に設けられた被係止部と、
前記周壁の内側に配置されて、ビスにより前記底壁に固定される固定部、及び前記被係止部に係止される係止部を備えていて、前記周壁とは別体の連結具と、から成り、
前記連結具は、当該連結具が係止されている前記周壁の後方開口端を前記底壁に向けて押圧する構成であることを特徴とする請求項4に記載の函体。
【請求項6】
前記周壁は、当該周壁の周方向に間隔をあけて複数形成された前記底壁組付け部にそれぞれねじ込まれたビスにより前記底壁に組み付けられ、
前記複数の底壁組付け部の間には、
前記周壁の内側に配置されて当該周壁の内面に当接する当接部を備え、前方からねじ込まれるビスにより前記底壁に固定されて前記周壁の内側への撓みを防止する撓み防止具が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の函体。
【請求項7】
前記底壁に固定される別体の機器取付け板を備え、当該機器取付け板は、前記周壁の前方開口からの取付け操作により、前記底壁に取付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の函体。
【請求項8】
請求項1に記載の函体の底壁の後方に配置された構造物に、当該底壁が固定され、当該底壁の固定状態で前記周壁の前方からの操作で、当該周壁を前記底壁から取外し可能であることを特徴とする函体の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、通信機器やブレーカー等の電気機器を収容する配電函として使用される函体及び函体の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した函体の基本構成は、周壁の背面開口(後面開口)が底壁で閉塞され、前面開口は、開閉可能な蓋壁で閉塞されている。この函体の1つとして、特許文献1に開示のものが知られており、その明細書の段落「0015」の第4~6行には、「・・そして、背面カバー8は、前側パネル14の周壁部16を箱体2の背面開口部4に嵌入した状態で、周壁部16の後端縁をファイバーレーザー溶接17によって箱体2の後端縁に溶着することで、箱体2に固定的に組み付けられている。」と記載されている。
【0003】
このように、引例1では、周壁と底壁とが溶接により一体化されているため、予め周壁と底壁を溶接により一体化させ、この状態で、構造物に対して底壁又は周壁を固定することで、当該構造物に対して函体全体を固定する必要がある。よって、函体が大型化した場合には、当該函体を構成する周壁を反転又は横転させる等して、周壁と底壁とを一体に組み付ける必要があるため、当該組付け自体が面倒で時間を要する。
【0004】
また、函体の内部に必要な通信機器や電気機器を設置する場合には、当然に周壁が存在している状態で行わざるを得ないため、周壁に対する干渉により機器の設置作業に制約があったり、或いは底壁は使用可能であるが、周壁のみ損傷された場合には、当然に函体の全体を交換する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-76431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、函体を構成する周壁と底壁とを別体構造にすることで、大型であっても、その組み付けを容易にすると共に、底壁に対して必要機器を設置した後に、当該底壁に対して周壁を組み付けることで、機器の設置作業をも容易にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、
前後に開口が形成された周壁と、
前記周壁の後方開口を塞ぐ塞ぎ部を備えた底壁と、
前記周壁の前方開口を覆う覆い位置と、当該前方開口を開放する開放位置との間で開閉動する蓋壁と、を有し、
前記周壁には、前記前方開口からのビスのねじ込み操作により前記底壁を組付け可能とする底壁組付け部と、前方から前記蓋壁を組付け可能とする蓋壁組付け部とが設けられ、
前記底壁及び蓋壁は、前方からの操作で前記周壁に組み付けられて一体化可能であることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明の函体を構成する周壁と底壁とは、当該周壁に設けられた底壁組付け部を介して一体に組み付けられる構成であるので、即ち、当該周壁と底壁とは、別体構造になっていて、しかも底壁に対して周壁は、前方からの操作で組付け可能な構造となっている。また、周壁に対して蓋壁も、前方からの操作で組付け可能な構造になっている。
【0009】
この結果、周壁の前方からの操作のみで、当該周壁に対して底壁及び蓋壁の組付けが可能となって、当該周壁を反転又は横転させることなく、当該周壁に対する底壁及び蓋壁の組み付けができて、大型の函体の組付け作業自体が特に容易となる。また、底壁に対して必要な機器類を設置した後に、当該底壁に対して周壁を組み付けることができて、機器類の設置作業が容易になる。更には、函体が固定される構造物に対して底壁のみを固定した状態で、当該底壁に対して周壁を組み付けることができるし、長期間の使用中において、何らかの原因で周壁が損傷された場合には、当該周壁のみの交換が可能となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記底壁の内面と、前記周壁の後方端面とで挟持されるパッキンを備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、周壁と底壁との当該周壁の前後方向に沿った連結力を利用して、当該底壁の内面と当該周壁の後方端面との間に挟持されたパッキンを圧縮できて、組付け構造の周壁と底壁との組付け部の気密性及び水密性が高められる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記底壁には、前記周壁の後方端部の外側の全体を覆い囲むようにして、前方に向けて立設された外側重合部と、
当該外側重合部に対して前記周壁の内外方向に対向し、その間に前記周壁の後方端部が挿入される挿入溝部を形成する内側重合部と、が設けられ、
前記挿入溝部内に、当該挿入溝部の底面と前記周壁の後方端面とで挟持されるパッキンを備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、周壁の後方端部の周方向の全体が、底壁の外側及び内側の各重合部で形成された挿入溝部に挿入配置されているため、周壁の後方端部の内外方向に沿った撓みを抑制できると共に、前記挿入溝部内に配置されたパッキンは、周壁と底壁との組付け力(連結力)により自動的に挟持圧縮される利点がある。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記周壁は矩形枠状を成し、前記底壁組付け部は、前記周壁に複数個設けられていて、そのうちの少なくとも1つの底壁組付け部は、前記周壁を構成する1つの辺の中間に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、矩形枠状の周壁と底壁との組付けは、当該周壁の角部のみでなく、その1辺の中間においても可能となるので、周壁と底壁との組付け作業が容易になる。また、矩形枠状の周壁の辺長が長い場合には、その中間で組付けできるので、長い辺長を有する矩形枠状の周壁と底壁との組付け(固定)強度が高められると共に、周壁の各辺の中間の組付け(固定)のみで、当該周壁と底壁との必要な組付け強度が得られる場合には、組付け作業が一層に容易となる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記底壁組付け部は、前記周壁の周方向に間隔をあけて複数形成されており、そのうちの少なくとも1つの底壁組付け部は、
前記周壁の内面に設けられた被係止部と、
前記周壁の内側に配置されて、ビスにより前記底壁に固定される固定部、及び前記被係止部に係止される係止部を備えていて、前記周壁とは別体の連結具と、から成り、
前記連結具は、当該連結具が係止されている前記周壁の後方開口端を前記底壁に向けて押圧する構成であることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、周壁と底壁とを組付け状態に配置して、ビスを介して連結具の固定部を底壁に固定すると、当該連結具の係止部が周壁の被係止部に係止されて、周壁と底壁とが、互いに離間する方向への移動が阻止されると共に、当該周壁の後方端面が底壁の側に押圧された状態で、当該周壁と底壁とが連結具を介して組付けられる。周壁の被係止部と連結具の係止部との係止状態において、当該周壁の後方端面が底壁を押圧する構成であるため、当該押圧力の反力により前記係止状態は安定化して、周壁と底壁との組付け状態が安定化する。連結具の配置位置及び配置数の選択により、周壁と底壁の組付け強度が調整される。また、周壁と底壁とを連結固定していて、周壁の被係止部と係止される連結具の係止部は、当該周壁の内面に近接又は当接して配置可能であるので、連結具の係止部により、特に、周壁の各板部の辺の中間部に配置された連結具の係止部により、周壁を構成する各板部の内方への撓みを防止できる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記周壁は、当該周壁の周方向に間隔をあけて複数形成された前記底壁組付け部にそれぞれねじ込まれたビスにより前記底壁に組み付けられ、
前記複数の底壁組付け部の間には、
前記周壁の内側に配置されて当該周壁の内面に当接する当接部を備え、前方からねじ込まれるビスにより前記底壁に固定されて前記周壁の内側への撓みを防止する撓み防止具が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明は、周壁に対して底壁を一体に組み付ける複数の底壁組付け部の間には、当該周壁の内面に当接する当接部により、周壁が内側に撓むのを防止する撓み防止具が設けられている。よって、函体が大型で、連結具の間が離れている場合でも、撓み防止具により、周壁の内側への撓みを効果的に防止できる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、前記底壁に固定される別体の機器取付け板を備え、当該機器取付け板は、前記周壁の前方開口からの取付け操作により、前記底壁に取付け可能であることを特徴としている。
【0021】
請求項7の発明によれば、周壁の前方からの操作によって、底壁に対して機器取付け板が取付け可能となって、当該機器取付け板の取付け作業が容易となる。また、底壁に対する周壁の組み付けは、前方からの操作のみで可能であるので、構造物に底壁が固定されて、当該底壁に周壁が組み付けられていなくて、周囲に制約のない状態で、当該底壁に取付けられた機器取付け板に対する諸機器の取付けが可能となるため、当該諸機器の取付けを容易に行える。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1に記載の函体の底壁の後方に配置された構造物に、当該底壁が固定され、当該底壁の固定状態で前記周壁の前方からの操作で、当該周壁を前記底壁から取外し可能であることを特徴とする函体の固定構造である。
【0023】
請求項8の発明によれば、構造物に底壁が固定された状態で、前方からの操作のみで、当該底壁に対する周壁の着脱が可能であるので、構造物に底壁を固定した状態で、当該底壁に対して周壁を組み付けたり、或いは使用中に損傷等した周壁のみを取り外して、別の周壁を組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の函体を構成する周壁と底壁とは、当該周壁に設けられた底壁組付け部を介して一体に組み付けられる構成であって、当該周壁と底壁とは、別体構造になっているので、底壁に対して周壁は、前方からの操作で組付け可能となる。このため、当該周壁を反転又は横転させることなく、当該周壁に対する底壁及び蓋壁の組み付けができて、大型の函体の組付け作業自体が特に容易となる。また、底壁に対して必要な機器類を設置した後に、当該底壁に対して周壁を組み付けることができて、機器類の設置作業が容易になる。更には、函体が固定される構造物に対して底壁のみを固定した状態で、当該底壁に対して周壁を組み付けることができるし、長期間の使用中において、何らかの原因で周壁が損傷された場合には、当該周壁のみの交換が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る配電函Aの一対の蓋壁Dの開状態及び閉状態の斜視図である。
図2】本発明に係る配電函Aを構成する周壁C、底壁B及び一対の蓋壁Dの分解斜視図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ周壁Cを異なる方向から見た斜視図である。
図4】周壁Cの横断面図(平面断面図)である。
図5】(a)は、周壁Cの側面図であり、(b)は、周壁C及び左側の蓋壁Dの上端部の組付けを示す部分斜視図であり、(c)は、周壁C及び左側の蓋壁Dの下端部の組付けを示す部分斜視図である。
図6】(a),(b),(c)は、それぞれ左側の蓋壁Dの開角が60°,90°及び135°における周壁Cと蓋壁Dの上下のヒンジ連結部の組合せに係る図5(a)のX1 -X1 線及びX2 -X2 線の各断面図である。
図7】周壁Cに対する左側の蓋壁Dの開角が90°であって、当該蓋壁Dを上方に持ち上げて周壁Cに対して着脱を行う状態の蓋壁組付け部の縦断面図である。
図8】周壁Cに対する左側の蓋壁Dの開角が60°の状態における蓋壁組付け部の縦断面図である。
図9】底壁Bの正面斜視図である。
図10】同じく正面図である。
図11】同じく背面斜視図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ図10のY1 -Y1 線及びY2 -Y2 線の断面図である。
図13】(a),(b)は、それぞれ周壁Cと底壁Bとを連結固定する連結具Eを異なる方向から見た斜視図である。
図14】(a),(b)は、連結具Eの正面図、及び中央縦断面図である。
図15】周壁Cと底壁BとがパッキンHを介して複数の連結具Eで連結固定された状態の斜視図である。
図16】(a)~(c)は、周壁Cと底壁Bとを連結具Eを用いて連結する順序を示す斜視図である。
図17】周壁Cと底壁BとがパッキンHを介して複数の連結具Eで連結固定される前の状態の縦断面図である。
図18】同じく連結状態の縦断面図である。
図19図18のZで示される部分の拡大図である。
図20】底壁Bの第1凹部31に複数の連結具Eを用いて機器取付け板Fが取付けられた状態の斜視図である。
図21】底壁Bに対して機器取付け板Fが取付けられた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。本発明に係る函体の代表使用例は、通信機器、電気機器等の諸機器類を収納する配電函である。本配電函Aは、図1及び図2に示されるように、矩形枠状をした周壁Cと、当該周壁Cとは別体に形成されて、当該周壁Cの後方開口を閉塞する方形盤状の底壁Bと、当該周壁Cとは別体に形成されて、当該周壁Cの前方開口を閉塞する一対の蓋壁Dとから成る。周壁C、底壁B及び蓋壁Dは、いずれも樹脂の射出成形品であり、それぞれ個別の一体構造になっていて、これらを組み付けることで、配電函Aが形成される。本発明は、それぞれ別体の周壁C、底壁B及び蓋壁Dの「組付け構造」に発明部分(特徴部分)が存在するので、この「組付け構造」に係る部分について詳細に説明し、周壁C、底壁B及び蓋壁Dの各組付け部を除く一般部分には、本発明の特徴は存在しないので、説明を略すか、或いは概略説明のみを行う。
【0027】
周壁Cは、全体形状が矩形(方形)枠状を成していて、上下方向に対向される上板部1及び下板部2と、左右方向に対向配置される一対の側板部3とから成り、前後がいずれも開口されて、前方開口4及び後方開口5を形成していて、横長、縦長、奥行長の順に寸法が小さくなっている。左右一対の側板部3は、左右対称形状であるが、上板部1及び下板部2は、「覆い位置」に配置される一対の蓋壁Dが配置される前端部の形状が異なっているため、非同一形状となっている。周壁Cの後方開口5は、方形盤状の底壁Bが一体に組み付けられることで閉塞される構造であるため、前記上板部1、下板部2及び一対の側板部3の各後端面は、同一平面上に配置されているが、当該周壁Cの前方開口4は、当該部分に一対の蓋壁Dが配置されるため、周壁Cの前後方向に沿った前端部の配置位置は、それぞれ異なっていることで、一対の蓋壁Dが配置される蓋壁配置空間6が形成されている。
【0028】
周壁Cを構成する上板部1、下板部2及び一対の側板部3の板厚は、全長に亘って一定していて、当該上板部1、下板部2及び一対の側板部3における後方開口5に臨む所定長の部分は、底壁Bの後述の方形枠状をした挿入溝36に挿入される各挿入板部1a,2a,3aを構成している。上板部1、下板部2及び一対の側板部3における前記各挿入板部1a,2a,3aよりも内側の部分の各内面には、それぞれ後述の連結具Eを介して周壁Cの後方開口5を閉塞する底壁Bを一体に組み付けるための被係止突起7が一体に形成されている。当該被係止突起7は、図15図19に示されるように、上板部1、下板部2及び一対の側板部3の各内面に対して垂直となって被係止板部7aが一体に形成され、当該被係止板部7aにおける後方開口5の側が複数の直角三角形状の支持板部7bで支持された構成である。前記被係止突起7は、上板部1及び下板部2には、横方向の中央部と両端部の計3箇所に形成され、当該上板部1及び下板部2よりも長さの短い一対の側板部3には、縦方向の中央部の1箇所のみに形成されている。
【0029】
周壁Cの前方開口4には、一対の蓋壁Dがピン連結構造により「観音開き構造」で配置連結されるため、一対の側板部3の前端部は、図4及び図5に示されるように、各蓋壁Dの回動支点部となる側が配置される蓋壁回動支点配置部8が凹状となって上下方向のほぼ全長に亘って形成され、周壁Cの前方開口4の側の上下端部(上板部1及び下板部2の各先端部)は、図17に示されるように、上下方向の中間部に空間部を有する三重板構造に形成されることで、一対の蓋壁Dが配置される周壁Cの前端側の全周は、補強された構造になっている。即ち、図4図5及び図17に示されるように、上板部1及び下板部2の各前端部は、内側に90°屈曲されて、その先端が更に内側に90°屈曲されることで、垂直な各前面板部1b,2bに接続して、空間部を介して上板部1及び下板部2に平行な各第1内側板部1c,2cが形成され、各第1内側板部1c,2cの後端が内側に向けて90°屈曲されて各後面板部1d,2dが形成され、各後面板部1d,2dの端部は、前方に向けて90°屈曲されることで、各第2内側板部1e,2eが形成されている。周壁Cにおける各第1内側板部1c,2c及び各第2内側板部1e,2eの左右両端部に、前記蓋壁回動支点配置部8が上下方向に沿って形成されている。
【0030】
前記蓋壁回動支点配置部8の上下端部は、図5に示されるように、蓋壁Dの回動支点ピン21a,21b及び当該回動支点ピン21a,21bを支持している支点ピン支持板22a,22bとの干渉回避のための干渉回避欠落部9a,9bが設けられている。蓋壁Dの回動支点部の上下端部には、周壁Cに対して蓋壁Dが連結された状態で、支点ピン支持板22a,22bが周壁Cの上板部1及び下板部2と平行となってそれぞれ一体に設けられ、上方及び下方の各支点ピン支持板22a,22bには、それぞれ回動支点ピン21a,21bが上方及び下方に向け、しかも同一軸心上に配置して設けられている。周壁Cに対する一対の蓋壁Dの着脱は、当該周壁Cに対して蓋壁Dの開角が90°の場合においてのみ、周壁Cに対して蓋壁Dを僅かに上下動可能にさせることで、周壁Cの上下の各板部1,2における前記蓋壁回動支点配置部8の上下方向の延長部に形成された各支点ピン孔11a,11bに対して蓋壁Dの各回動支点ピン21a,21bを着脱可能であって、蓋壁Dの開角が90°を除く部分では、蓋壁Dの支点ピン孔11a,11bに対する蓋壁Dの回動支点ピン21a,21bの着脱は不能な構造にしてある。
【0031】
周壁Cの前部の左右両端部に上下方向に形成された前記蓋壁回動支点配置部8は、図3図6に示されるように、周壁Cに対する蓋壁Dの最大開角が135°であるのに対応して、横断面視において側方に開口した4分円弧板部8aの一端に、所定長の第1板部8bが前方に接線方向に延設され、当該第1板部8bの先端が側方に向けて直角に屈曲された第2板部8cが形成され、更に当該第2板部8cの先端に、短長の第3板部8dが前方に向けて直角に折り曲げられ、当該第3板部8dの上下端部は、第2板部8cに対して僅かに上方及び下方に突出された形状である。
【0032】
蓋壁Dの上部及び下部の各支点ピン支持板22a,22bは、当該蓋壁Dが周壁Cに装着された状態で、当該蓋壁Dの蓋壁回動支点配置部8の4分円弧板部8aに対応する部分は円弧状に形成されていると共に、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の場合において、前記蓋壁回動支点配置部8の第2及び第3の各板部8c,8dとの干渉を回避するために、直交状態で切り欠かれた直交切欠部23が形成されることで、全体として概略方形状をなしている。蓋壁Dの下方の支点ピン支持板22bの外周縁部には、蓋壁Dの下端部と周壁Cの下板部2の第1内側板部2cとの隙間を閉塞するためのL字リブ状の隙間閉塞部24bが全周縁に亘って下方に突出して形成されている〔図5(c)参照〕。一方、蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aの外周縁部には、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の場合のみ、当該周壁Cに対する蓋壁Dの上方への起動を許容して、他の開角では、当該周壁Cに対する蓋壁Dの上方への移動を規制する上動規制部24aが形成されている。上記条件を満足させるために、図6(b)に示されるように、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の場合には、当該周壁Cに対する蓋壁Dの上下方向の移動(微動)を許容すべく、蓋壁Dの支点ピン支持板22aにおける周壁Cの内部に入り込んでいる部分には、リブ状の上動規制部24aは欠落されて、支点ピン支持板22aにおける周壁Cの外部に突出している部分の外周縁のみに、当該上動規制部24aが形成されている。なお、上動規制部24aは、蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aと周壁Cの上板部1の第1内側板部1cとの間に形成される空間部Sを閉塞する機能も有する。
【0033】
周壁Cに一対の蓋壁Dが組み付けられた状態では、図8に示されるように、蓋壁Dの下方の回動支点ピン21aが、周壁Cの下方の支点ピン孔11aに挿入されて、当該回動支点ピン21aにより蓋壁Dの自重が支持されて、当該周壁Cの上板部1の第1内側板部1cと、当該蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aとの間には、所定の空間部Sが形成されている。そして、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°~135°の範囲では、上動規制部24aが前記空間部Sに入り込むことで、周壁Cに対する蓋壁Dの上方への移動が防止されている〔図6(c)参照〕と共に、前記開角が0°~90°の範囲では、上方の前記支点ピン支持板22aが後述の上動規制ブロック12の下方に入り込むことで、周壁Cに対する蓋壁Dの上方への移動が防止され、前記開角が90°の場合においてのみ、図6(b)に示されるように、前記上動規制部24aの全体が前記空間部Sの外側に配置されると共に、上方の支点ピン支持板22aと前記上動規制ブロック12とが非干渉状態となって、周壁Cに対して蓋壁Dの上方に移動可能となる。
【0034】
また、周壁Cの上板部1における第1内側板部1cの裏面における前記蓋壁回動支点配置部8に対応する部分には、蓋壁Dの開角が0°~90°の間において当該蓋壁Dが上動するのを阻止するための板状の上動規制ブロック12が設けられ、当該蓋壁Dの開角が0°~90°の間においては、蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aが前記上動規制ブロック12の下方に入り込むことで、当該蓋壁Dの上動を阻止している〔図6(a)〕と共に、蓋壁Dの開角が90°に達すると、蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aは、上動規制ブロック12の背面から脱出して、蓋壁Dの上方への移動を可能にしている〔図6(b)〕。このように、上動規制ブロック12には、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の場合において、上方の支点ピン支持板22aの一辺と平行となる蓋壁着脱案内面12aが形成されていると共に、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が135°の場合において、当該蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aに設けられた上動規制部24aが当接することで、当該蓋壁Dの最大開角を規制する最大開角規制面12bが形成されている。なお、図5及び図6において、25,26は、蓋壁Dの側板部及び内板部を示す。
【0035】
そして、周壁Cに対する一対の蓋壁Dの着脱は、上記したように、当該周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の場合においてのみ可能となっている。よって、図6(b)及び図7に示されるように、周壁Cに対して蓋壁Dを開角90°に配置して、当該周壁Cに対して蓋壁Dを僅かに持ち上げて僅かに傾斜させた状態で、図6(b)で矢印Pで示されるように、当該蓋壁Dを周壁Cの側に移動させて、蓋壁Dの上方の回動支点ピン21aを、周壁Cの上方の支点ピン孔11aに挿入して、蓋壁Dの上下の各回動支点ピン21a,21bを結ぶ線分が垂直となるように当該蓋壁Dを配置し直し、この状態で、当該蓋壁Dの支持を開放させる。これにより、当該蓋壁Dは、自重により僅かに下方に移動して、下方の回動支点ピン21bは、周壁Cの下方の支点ピン孔11bに挿入されると共に、当該蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aにおける直交切欠部23が設けられた辺と対向する辺の端面が、上動規制ブロック12の蓋壁着脱案内面12aと平行に配置されて、周壁Cに対して一方の蓋壁Dが回動可能に組み付けられる。また、周壁Cに対して蓋壁Dが組み付けられた状態で、当該周壁Cに対して蓋壁Dを取り外すには、上記と逆の操作を行えばよく、蓋壁Dを上方に持ち上げて僅かに傾斜させることで、下方の回動支点ピン21bが周壁Cの下方の支点ピン孔11bから抜け出て、そのまま図6(b)で矢印P’で示される方向に蓋壁Dを移動させればよい。なお、図5(c)に示されているように、周壁Cの下方の支点ピン孔11bには、当該周壁Cに対する蓋壁Dの着脱方向である矢印P,P’の方向に沿って、蓋壁Dの着脱時において、当該蓋壁Dの下方の回動支点ピン21bの下端部が入り込むことで、蓋壁Dの着脱操作を容易にするピン摺動案内溝部13が形成されている。
【0036】
ここで、図5及び図6に明瞭に図示されているように、蓋壁Dの下方の支点ピン支持板22bに直交切欠部23を設けることで、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の状態において、周壁Cの蓋壁回動支点配置部8を構成する第2及び第3の各板部8c,8dと干渉することなく、周壁Cに対して底壁Dを僅かに上方に移動させて、蓋壁Dの下方の回動支点ピン21bを、周壁Cの下方の支点ピン孔11bから脱出させられて、周壁Cから蓋壁Dの取り外しが可能となる。そして、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°を除く角度では、図6(a),(c)に示されるように、蓋壁Dの下方の支点ピン支持板22bにおける直交切欠部23の両側の部分が、周壁Cの第2及び第3の各板部8c,8dと干渉することで、周壁Cに対する蓋壁Dの上方への移動が不能となって、周壁Cからの蓋壁Dの取外しが不能となる。従って、下方の支点ピン支持板22bは、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°を除く角度において、周壁Cから蓋壁Dが外れるのを防止する機能を果す。上記により、周壁Cに対して蓋壁Dは、周壁Cの前方開口4の全体を覆う開角0°の「閉位置」と、周壁Cに対して開角135°の最大に開かれた「開位置」との間で、中間の開角90°の周壁Cと蓋壁Dとが分離可能な位置を支障なく通過して回動可能である。
【0037】
なお、図7において、蓋壁Dの上下の各回動支点ピン21a,21bの各先端の間の長さL1 と、周壁Cを構成する上下の各第1内側板部1c,2cの上下方向の間隔L2 、上方の支点ピン支持板22aの上面からの回動支点ピン21aの突出長L3 及び蓋壁Dの隙間閉塞部24bの下端面からの下方の回動支点ピン21bの突出長L4 は、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°の状態において、上記した周壁Cに対する蓋壁Dの着脱が可能な寸法に設定してある。
【0038】
上記の状態で、蓋壁Dを内方に回動させて、その開角を60°にすると、図6(a)及び図8に示されるように、蓋壁Dの上方の支点ピン支持板22aの一部が上動規制ブロック12の下方に入り込むことで、周壁Cに対する蓋壁Dの上下方向の移動(微動)が阻止された状態で、即ち、蓋壁Dの上下の各回動支点ピン21a,21bが、それぞれ蓋壁Dの各支点ピン孔11a,11bから抜け出ることなく挿入された状態を維持したままで、周壁Cに対して蓋壁Dの開閉が可能となる。なお、説明の関係上、周壁Cに対する蓋壁Dの着脱を述べたが、周壁Cの後方端部に後述の底壁Bを一体に組み付けた後に、当該周壁Cに一対の蓋壁Dを組み付けるのが現実の施工法である。
【0039】
上記において、周壁Cに設けられた上下一対の支点ピン孔11a,11b、蓋壁Dに設けられた一対の回動支点ピン21a,21b及び一対の支点ピン支持板22a,22bは、請求項1の「蓋壁組付け部」を構成している。
【0040】
次に、図9図12を参照して、矩形枠状の前記周壁Cの後方開口5を閉塞するための底壁Bについて説明する。底壁Bは、方形盤状をなしていて、周壁Cに一体に組み付けられた状態で、内面となる側は、二段差状に窪んでいて、大部分を占める中央部は、諸機器を取付ける機器取付け板Fを収容配置する方形状の第1凹部31が形成され、当該第1凹部31の外側と、底壁Bの最も外側を構成する外側重合板部32との間に、当該第1凹部31よりも浅い方形枠状の第2凹部33が形成されていることで、中央の大部分を占める部分には、全面に亘って底板部35が形成される。第1凹部31の対向短辺部におけるほぼ対角線方向に沿って対向する部分には、当該第1凹部31に対する機器取付け板Fの着脱を容易にするための着脱用凹部34が、前記第2凹部33に入り込んで形成されている。外側重合板部32は、全体として方形枠状を成していて、その短辺部の両端部は、前記周壁Cの後方側の各挿入板部1a,2a,3aの挿入を容易化させるために、僅かに外方に膨出された外方膨出部32aが形成されている。方形枠状の外側重合板部32と第2凹部33との間には、前記周壁Cの各挿入板部1a,2a,3aを挿入することで、周壁Cと底壁Bとを一体化させる方形枠状の挿入溝36が全周に亘って形成され、当該挿入溝36の内側の部分は、前記外側重合板部32と開口する内側重合部37(図12参照)を形成している。
【0041】
第2凹部33の底面における前記挿入溝36の内側の部分には、後述の連結具Eをビス固定するためのビス91を螺入させる複数の第1ビス螺入筒部38が突設されている。当該第1ビス螺入筒部38は、前記周壁Cの上板部1、下板部2及び一対の側板部3に形成された各被係止突起7の位置に対応して、方形状の底壁Bの長辺部には、両端部と中央部の3箇所に形成され、その短辺部には、中央部の1箇所のみに形成されている。第2凹部33の底面における前記第1凹部31の各コーナー部に対応する部分には、当該底壁Bを構造物に固定するボルト92を挿入するボルト挿通孔39が、それぞれ一対一組となって、計4組形成されている。第2凹部33の各短辺部における前記第1凹部31に臨む部分には、周辺を凹状に形成することで、当該第2凹部33の底面とほぼ同一高さとなる第2ビス螺入筒部41が形成されている。当該第2ビス螺入筒部41は、第1凹部31に収容配置された機器取付け板Fの周縁を複数の連結具Eにより固定する際に使用するビス91を螺入させる部分である。なお、第1凹部31の底面は、複数本の縦横の各補強リブ42が形成されている。
【0042】
次に、図13図16を参照して、周壁Cに対して底壁Bを一体に組み付けるのに使用される連結具Eについて説明する。連結具Eは、底壁Bの第1及び第2の各ビス螺入筒部38,41の外側に嵌め込まれる円筒状の連結具本体51の手前側の端部に、前記周壁Cに一体に設けられた被係止突起7の被係止板部7aの形状に対応した長方形状の係止板部52が、当該連結具本体51の接線方向に沿って一体に形成された形状である。円筒状の連結具本体51には、内径の異なる2種類の貫通孔が軸方向に連続して設けられ、係止板部52の側の小径の貫通孔はビス底壁孔51aとなっていると共に、後述の一対の廻止め凹部53が形成された側の大径の貫通孔は、当該連結具本体51の内部に、周壁Cの第1及び第2の各ビス螺入筒部38,41を嵌入させるためのビス螺入筒部嵌入孔51bとなっている。連結具Eの連結具本体51の先端側の端面には、底壁Bの第1及び第2の各ビス螺入筒部38,41の基端部の対向する部分に一体に形成された断面三角形状の一対の廻止め突起43に対して嵌合される同じく断面三角形状の一対の廻止め凹部53が形成されている。長方形状の係止板部52の裏面には、底壁Bの被係止突起7の被係止板部7aの表面に喰込み可能な一対の喰込み爪54が、長手方向に沿って所定間隔をおいて短手方向に沿って形成されている。連結具Eは、周壁Cと底壁Bとを一体に連結する機能のみならず、周壁Cと底壁Bとの連結状態において、係止板部52の長手方向の端面が当接面52aとなって、周壁Cの上板部1、下板部2及び一対の側板部3の内側面に当接することで、前記各板部1,2,3が内方に向けて撓むのを防止する機能も有している。
【0043】
そして、複数の連結具Eを用いて、周壁Cと、当該周壁Cの後方開口5を閉塞する底壁Bを一体化するには、以下のようにして行う。即ち、図16(a)及び図17に示されるように、底壁Bに方形枠状に形成された挿入溝36に、同じく方形枠状のパッキンHを挿入して、その底部に配置した後に、図16(b)に示されるように、当該底壁Bの挿入溝36に、周壁Cの上板部1、下板部2及び一対の側板部3の各挿入板部1a,2a,3aを挿入すると、当該挿入溝36の底部に配置された前記パッキンHが僅かに圧縮される。
【0044】
その後に、複数の連結具Eを用いて、周壁Cと底壁Bとを一体化させる。即ち、図15図16(c)、図18及び図19に示されるように、底壁Bの第1ビス螺入筒部38が、連結具Eの連結具本体51のビス底壁孔51aに嵌入されるようにし、当該第1ビス螺入筒部38の外側に連結具Eを配置すると、当該連結具Eの係止板部52は、周壁Cの各板部1,2,3の内面に形成された被係止突起7の被係止板部7aの上面に当接された状態となる。最後に、連結具Eのビス底壁孔51aに挿通したビス91を第1ビス螺入筒部38に螺入させると、上板部1及び下板部2では、両端部と中央部の計3箇所において、一対の側板部3では、それぞれ中央部の1箇所において、複数の連結具Eを介して周壁Cと底壁Bとが一体化される。上記した各連結具Eの配置、及びビス91の螺入の各作業は、周壁Cを反転又は横転させることなく、当該周壁Cの配置を一定にしたままで、全て周壁Cの前方(前面側)から行えるため、周壁Cと底壁Bとの組付け作業を容易に行える。また、周壁Cと底壁Bとの一体化は、前方からの作業のみで行えるため、最初に複数本の固定ボルト92を用いて底壁Bを構造物Kに固定し、この状態で、当該底壁Bに周壁Cを連結固定することも可能となる。
【0045】
上記のようにして、複数の連結具Eを用いて周壁Cと底壁Bとを連結固定すると、当該連結具Eの係止板部52と、周壁Cの各板部1,2,3の内面に設けられた被係止突起7とが係止されるため、周壁Cと底壁Bとの離間方向への相対移動が防止されると共に、周壁Cの各板部1,2,3の後方端面が底壁Bの側に押圧された状態で、周壁Cと底壁Bとが複数の連結具Eを介して連結固定される。これにより、底壁Bの挿入溝36の底面と、周壁Cの各板部1,2,3の後方端面との間に配置されたパッキンHが圧縮変形されて、当該パッキンHにより周壁Cと底壁Bとの組付け部の水密性及び気密性が高められる。このように、周壁Cと底壁Bとは、その内部で連結固定されるために、外部に連結固定部が存在しなくなって、「すっきり」して見栄えが良くなる。また、周壁における外側重合板部と重なる箇所の内側に被係止部が形成されており、外側重合板部により被係止部の外側への移動が阻止されるため、係止部が安定して被係止部に係止する。外側重合板部は、被係止部が外側へ移動するのを阻止する移動阻止部として作用する。
【0046】
周壁Cを構成する各板部1,2,3の全てにおいて、その長手方向の中央部に連結具Eを配置したのは、周壁Cと底壁Bを一体化させる目的の他に、当該連結具Eに設けられた係止板部52が、各板部1,2,3の内面に近接配置されることで、各板部1,2,3の内方への撓みを最も効果的に防止する目的もあり、当該連結具Eは、撓み防止具としての機能も果たしている。従って、各板部1,2,3の内方への撓み防止を優先させる場合には、各板部1,2,3における長手方向の中央部に配置される連結具Eに対応する部分には、必ずしも被係止突起7を設ける必要はない。また、上板部1及び下板部2の横方向に並ぶ3箇所の各連結具の間に撓み防止具を配置してもよい。また、上板部1又は下板部2の横方向の両端部のうち片方の連結具と、それに隣接して周壁Cの周方向に並ぶ側板部3側に設けられた連結具との間に撓み防止具を配置してもよい。なお、周壁Cと底壁Bとの連結固定箇所の選択、及びその数は、配電函Aのサイズ、周壁Cを構成する各板部1,2,3の板厚等を考慮して決定される。
【0047】
上記において、周壁Cに形成された複数の被係止突起7、底壁Bに形成された複数の第1ビス螺入筒部38及び複数の連結具Eは、当該周壁Cと底壁Bとを一体に組み付けるための請求項1の「底壁組付け部」を構成している。
【0048】
最後に、段落「0034」に記載されているようにして、周壁Cに対して一対の蓋壁Dを組み付ける。
【0049】
また、図1図20及び図21に示されるように、配電函A内に通信機器、電気機器等の機器類Jを設置する場合には、底壁Bの第1凹部31に方形盤状の機器取付け板Fを嵌め込んで、その周縁に配置された計4箇所のボルト挿通孔39と前記連結具Eを用い、機器取付け板Fの周縁部を複数の連結具Eの被係止板部7aで押圧することで、当該底壁Bに対して機器取付け板Fが固定される。当該機器取付け板Fの前面に機器類Jが取付けられる。底壁Bに対して機器取付け板Fを固形する連結具Eの被係止板部7aは、押圧板部として機能する。
【0050】
ここで、底壁Bに固定された機器取付け板Fに対する機器類Jの取付けは、構造物Kに対して底壁Bのみを予め固定して、当該底壁Bに機器取付け板Fを取付け、この状態で、当該機器取付け板Fに対して機器類Jを取付けることも可能である。このようにして、機器取付け板Fに機器類Jを取付けると、周囲に周壁Cが存在しないために制約のない広い空間において機器類Jの取付けが可能になるため、当該機器類Jを迅速に、しかも正確に取付けることが可能となる。
【0051】
なお、周壁Cに対する一対の蓋壁Dの上記組付け構造は、周壁Cに対する蓋壁Dの開角が90°においてのみ、当該周壁Cに対する蓋壁Dの着脱が可能である利点があるが、周壁に対する一対の蓋壁Dの組付け構造は、別体の支点ピンの抜き差しにより組み付ける一般的な構造を含めて、いかなる構造であってもよい。
【0052】
なお、上記実施例では、機器取付け板Fを底壁Bに固定する連結具Eは、底壁Bと周壁Cとを一体に組付ける連結具と同一形状である例を示したが、それぞれ異なる専用品であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
A:配電函
B:底壁
C:周壁
D:蓋壁
E:連結具(底壁組付け部)
F:機器取付け板
H:パッキン
K:構造物
P,P’:着脱時における蓋壁の移動方向
11a,11b:支点ピン孔(蓋壁組付け部)
21a,21b:回動支点ピン(蓋壁組付け部)
22a,22b:支点ピン支持板(蓋壁組付け部)
32:底壁の外側重合板部(底壁組付け部)
36:底壁の挿入溝(底壁組付け部)
37:底壁の内側重合部(底壁組付け部)
図1
図2
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