(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158917
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ワイヤセンサ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61M25/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074546
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】工藤 留以奈
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA28
4C267AA41
4C267AA56
4C267BB07
4C267BB62
4C267CC09
(57)【要約】
【課題】ワイヤ状(線状)の部材に加わる力を好適に検出することのできるワイヤセンサを提供する。
【解決手段】ワイヤに加わった力を検出するワイヤセンサは、第1方向に延びる前記ワイヤを収容する筐体と、前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第1起歪体と、前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第2起歪体と、前記第1起歪体に貼り付けられた第1ひずみゲージと、前記第2起歪体に貼り付けられた第2ひずみゲージとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤに加わった力を検出するワイヤセンサであって、
第1方向に延びる前記ワイヤを収容する筐体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第1起歪体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第2起歪体と、
前記第1起歪体に貼り付けられた第1ひずみゲージと、
前記第2起歪体に貼り付けられた第2ひずみゲージとを備えるワイヤセンサ。
【請求項2】
前記ワイヤに検出対象の力が加わっていない状態において、前記筐体内に収容された前記ワイヤが前記第1起歪体及び/又は前記第2起歪体に当接する請求項1に記載のワイヤセンサ。
【請求項3】
前記筐体内に収容された前記ワイヤが前記第1起歪体及び/又は前記第2起歪体に予荷重を加える請求項2に記載のワイヤセンサ。
【請求項4】
前記筐体が、各々が前記筐体の内部と外部とを連通させる一対の開口であって、前記第1方向に並び且つ各々に前記ワイヤが配置される一対の開口を有し、
前記第1起歪体は、前記筐体に固定された第1基部及び前記ワイヤに当接する第1当接部を有し、且つ前記第2方向において前記一対の開口の前記第1基部とは反対側に前記第1当接部が位置するように設けられており、
前記第2起歪体は、前記筐体に固定された第2基部及び前記ワイヤに当接する第2当接部を有し、且つ前記第3方向において前記一対の開口の前記第2基部とは反対側に前記第2当接部が位置するように設けられている請求項3に記載のワイヤセンサ。
【請求項5】
前記第1起歪体と前記第2起歪体とが、前記第1方向において互いに異なる位置に設けられた請求項1~4のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【請求項6】
前記第1起歪体及び/又は前記第2起歪体が、前記ワイヤを前記第1方向に沿ってガイドするガイド溝を有する請求項1~5のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【請求項7】
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第2方向の他方側に位置するように前記筐体内に設けられた第3起歪体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第3方向の他方側に位置するように前記筐体内に設けられた第4起歪体と、
前記第3起歪体に貼り付けられた第3ひずみゲージと、
前記第4起歪体に貼り付けられた第4ひずみゲージとを更に備える請求項1~6のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【請求項8】
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第5起歪体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第6起歪体と、
前記第5起歪体に貼り付けられた第5ひずみゲージと、
前記第6起歪体に貼り付けられた第6ひずみゲージとを更に備え
前記第1方向において、前記第3起歪体が前記第1起歪体と前記第5起歪体との間に設けられており、
前記第1方向において、前記第4起歪体が前記第2起歪体と前記第6起歪体との間に設けられている請求項7に記載のワイヤセンサ。
【請求項9】
ワイヤに加わった力を検出するワイヤセンサであって、
第1方向に延びる前記ワイヤを収容する筐体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第1起歪体と、
前記第1起歪体に貼り付けられた第1ひずみゲージとを備え、
前記ワイヤに検出対象の力が加わっていない状態において、前記筐体内に収容された前記ワイヤが前記第1起歪体に当接するワイヤセンサ。
【請求項10】
前記筐体内に収容された前記ワイヤが前記第1起歪体に予荷重を加える請求項9に記載のワイヤセンサ。
【請求項11】
前記第1起歪体が、前記ワイヤを前記第1方向に沿ってガイドするガイド溝を有する請求項9又は10に記載のワイヤセンサ。
【請求項12】
前記筐体が、各々が前記筐体の内部と外部とを連通させる一対の開口であって、前記第1方向に並び且つ各々に前記ワイヤが配置される一対の開口を有し、
前記第1起歪体は、前記筐体に固定された第1基部及び前記ワイヤに当接する第1当接部を有し、且つ前記第2方向において前記一対の開口の前記第1基部とは反対側に前記第1当接部が位置するように設けられている請求項9~11のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【請求項13】
前記筐体に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第2起歪体と、
前記第2起歪体に貼り付けられた第2ひずみゲージとを更に備え、
前記第2起歪体は、前記筐体に固定された第2基部及び前記ワイヤに当接する第2当接部を有し、且つ前記第3方向において前記一対の開口の前記第2基部とは反対側に前記第2当接部が位置するように設けられている請求項12に記載のワイヤセンサ。
【請求項14】
前記筐体に収容された前記ワイヤに対して前記第2方向の他方側に位置するように前記筐体内に設けられた第3起歪体と、
前記筐体に収容された前記ワイヤに対して前記第3方向の他方側に位置するように前記筐体内に設けられた第4起歪体と、
前記第3起歪体に貼り付けられた第3ひずみゲージと、
前記第4起歪体に貼り付けられた第4ひずみゲージとを更に備え、
前記第3起歪体は、前記筐体に固定された第3基部及び前記ワイヤに当接する第3当接部を有し、且つ前記第2方向において前記一対の開口の前記第3基部とは反対側に前記第3当接部が位置するように設けられており、
前記第4起歪体は、前記筐体に固定された第4基部及び前記ワイヤに当接する第4当接部を有し、且つ前記第3方向において前記一対の開口の前記第4基部とは反対側に前記第4当接部が位置するように設けられている請求項13に記載のワイヤセンサ。
【請求項15】
前記筐体に収容された前記ワイヤに対して前記第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第5起歪体と、
前記筐体に収容された前記ワイヤに対して前記第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第6起歪体と、
前記第5起歪体に貼り付けられた第5ひずみゲージと、
前記第6起歪体に貼り付けられた第6ひずみゲージとを更に備え、
前記第5起歪体は、前記筐体に固定された第5基部及び前記ワイヤに当接する第5当接部を有し、且つ前記第2方向において前記一対の開口の前記第5基部とは反対側に前記第5当接部が位置するように設けられており、
前記第6起歪体は、前記筐体に固定された第6基部及び前記ワイヤに当接する第6当接部を有し、且つ前記第3方向において前記一対の開口の前記第6基部とは反対側に前記第6当接部が位置するように設けられており、
前記第1方向において、前記第3起歪体が前記第1起歪体と前記第5起歪体との間に設けられており、
前記第1方向において、前記第4起歪体が前記第2起歪体と前記第6起歪体との間に設けられている請求項14に記載のワイヤセンサ。
【請求項16】
前記筐体の一部が前記筐体の他の部分に対して可動であり、前記一部を移動することにより前記筐体の内部が視認可能となる請求項1~15のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【請求項17】
前記筐体に、前記筐体内に前記ワイヤを収容するためのスリットが形成された請求項1~16のいずれか一項に記載のワイヤセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルと呼ばれる柔軟で細長い管を患者の体内に挿入して患部に処置を施すカテーテル治療が広く行われている。具体的には例えば、血管にカテーテルを挿入するバルーン治療、ステント治療等が行われている。バルーン治療では、カテーテルを介してバルーンを膨らますことにより、患部(例えば血管の狭窄が生じている箇所)を拡張する。ステント治療では、バルーンで拡張した箇所にステント(金属の網)を留置することにより、患部に再び狭窄が生じることを抑制する。
【0003】
カテーテル治療において、医師は、カテーテルを患者の体内に挿入する前にまずガイドワイヤと呼ばれる金属製のワイヤを患者の体内に挿入する。そしてその後、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを挿入する。
【0004】
ここで、ガイドワイヤとともに使用するセンサとして、特許文献1は、ワイヤ状部材が貫通し、内部において前記ワイヤ状部材の湾曲を許容するように形成された貫通穴を含むワイヤ通過部と、前記ワイヤ状部材の湾曲部分が前記貫通穴の内壁に作用する力を検出する荷重検出部とを備えるセンサを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ワイヤ状(線状)の部材に加わる力を好適に検出することのできるワイヤセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、
ワイヤに加わった力を検出するワイヤセンサであって、
第1方向に延びる前記ワイヤを収容する筐体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第1起歪体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第2起歪体と、
前記第1起歪体に貼り付けられた第1ひずみゲージと、
前記第2起歪体に貼り付けられた第2ひずみゲージとを備えるワイヤセンサが提供される。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、
ワイヤに加わった力を検出するワイヤセンサであって、
第1方向に延びる前記ワイヤを収容する筐体と、
前記筐体内に収容された前記ワイヤに対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置するように前記筐体内に設けられた第1起歪体と、
前記第1起歪体に貼り付けられた第1ひずみゲージとを備え、
前記ワイヤに検出対象の力が加わっていない状態において、前記筐体内に収容された前記ワイヤが前記第1起歪体に当接するワイヤセンサが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のワイヤセンサによれば、ワイヤ状(線状)の部材に加わる力を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態のワイヤセンサの斜視図である。
図1においては、筐体を透視して筐体の内部に配置されたセンサ部を明示している。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)はそれぞれ、筐体内におけるセンサ部の配置を示す説明図である。
図4(a)は筐体内をY方向正側から見た様子を示す。
図4(b)は筐体内をX方向負側から見た様子を示す。
【
図5】
図5は、筐体内に配置された6つのセンサ部の各々の頂部及びガイド溝の位置関係を示す説明図である。
【
図6】
図6(a)は、カテーテル治療を行う際の、医師の手元における機器配置を示す説明図である。
図6(b)はガイドワイヤの先端の形状を示す平面図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)は、ガイドワイヤにおける力検出の原理を説明するための説明図である。
図7(a)は、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっていない状態下で、X方向においてガイドワイヤに当接するセンサ部に加わる予荷重の様子を示す。
図7(b)は、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっている状態下で、X方向においてガイドワイヤに当接するセンサ部に加わる荷重の様子を示す。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)は、ガイドワイヤにおける力検出の原理を説明するための説明図である。
図8(a)は、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっていない状態下で、Y方向においてガイドワイヤに当接するセンサ部に加わる予荷重の様子を示す。
図8(b)は、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっている状態下で、Y方向においてガイドワイヤに当接するセンサ部に加わる荷重の様子を示す。
【
図9】
図9(a)、
図9(b)は、予荷重を説明するための説明図である。
図9(a)は、ワイヤセンサにおいて、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっていない状態を示す。
図9(b)は、ワイヤセンサにおいて、ガイドワイヤの長手方向に力が加わっている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本発明の実施形態のワイヤセンサ100について、
図1~
図9を参照して説明する。
【0012】
[ワイヤセンサ100の構造]
図1に示す通り、ワイヤセンサ100は、長方形の筐体10と、筐体10の内部に収容された6つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y1、S
Y2、S
Y3を主に有する。
【0013】
以下においては、説明の便宜上、筐体10の長手方向を軸方向と呼ぶ。また、軸方向に直交する直交面内の一方向をX方向とし、当該直交面内でX方向に直交する方向をY方向とする。軸方向、X方向、Y方向は互いに直交する。
図1において、軸方向は紙面の左下と右上との間に延びる方向であり、X方向は紙面の左上と右下との間に延びる方向であり、Y方向は紙面の上下方向に延びる方向である。軸方向の前側、後側、X方向の正側、負側、Y方向の正側、負側を
図1に記載する通り規定する。軸方向が第1方向の一例であり、X方向が第2方向の一例であり、Y方向が第3方向の一例である。
【0014】
筐体10は、内部に6つのセンサ部を収容する箱体であり、ワイヤセンサ100の外観を構成するものである。筐体10は一例として、樹脂、金属等により形成される。
【0015】
図1、
図2に示す通り、筐体10は、軸方向に延びる中心軸CAを有する長方体である。筐体10は、軸方向の前側に位置する第1板11、軸方向の後側に位置する第2板12、X方向の正側に位置する第3板13、X方向の負側に位置する第4板14、Y方向の正側に位置する第5板15、及びY方向の負側に位置する第6板16を有する。第1板11、第2板12はそれぞれ、軸方向と直交している。第3板13、第4板14はそれぞれ、X方向と直交している。第5板15、第6板16はそれぞれ、Y方向と直交している。
【0016】
第1板11は、正方形の平板である。第1板11の中心には、第1板11を軸方向に貫通するピンホール(開口)PH1が形成されている。軸方向に見て、ピンホールPH1の中心は中心軸CA上に位置する。第1板11のX方向の中央部には、Y方向に延びるスリットSL1が形成されている。スリットSL1の一端は第1板11のY方向正側の辺に開口しており、スリットSL1の他端はピンホールPH1に連通している。
【0017】
第2板12は、正方形の平板である。第2板12の中心には、第2板12を軸方向に貫通するピンホール(開口)PH2が形成されている。軸方向に見て、ピンホールPH2の中心は中心軸CA上に位置する。第2板12のX方向の中央部には、Y方向に延びるスリットSL2が形成されている。スリットSL2の一端は第2板12のY方向正側の辺に開口しており、スリットSL2の他端はピンホールPH2に連通している。
【0018】
第3板13、第4板14はそれぞれ、軸方向を長辺方向、Y方向を短辺方向とする矩形の平板である。第5板15、第6板16はそれぞれ、軸方向を長辺方向、X方向を短辺方向とする矩形の平板である。
【0019】
本実施形態では、第1板11、第2板12、第3板13、第4板14、第6板16が互いに固定的に接続されて浴槽形(一方が開口した箱形)の構造を成している。第5板15は、当該浴槽形の構造に対して着脱可能である。
【0020】
6つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y1、S
Y2、S
Y3は、互いに同一の構成を有する。6つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y1、S
Y2、S
Y3の各々は、
図3に示す通り、起歪体20と、起歪体20に貼り付けられたひずみゲージ30とを有する。
【0021】
起歪体20は、筐体10の内部を通過するガイドワイヤGW(後述)からの荷重を受けてひずみを生じる部材である。起歪体20は、一例として樹脂、金属等で形成されている。
【0022】
図3に示す通り、起歪体20は、長方体の台部21と厚手の半円盤状の頭部22とを有する。起歪体20については、台部21と頭部22とが並ぶ方向を高さ方向、台部21の長手方向を長さ方向、高さ方向及び長さ方向に直交する方向を幅方向と呼ぶ。
【0023】
頭部22の上面が、起歪体20の頂面20aである。頂面20aは、高さ方向の上方に凸となるように長さ方向に沿って円弧状に湾曲した曲面である。頂面20aの頂部(当接部)20at(高さ方向の最も上方の位置)には、幅方向の中央部に、長さ方向に延びるガイド溝20gが形成されている。台部21の下面が、起歪体20の底面(基部)20bである。
【0024】
ひずみゲージ30は、台部21の幅方向の一方側の面及び他方側の面に、1つずつ貼り付けられている。ワイヤセンサ100の使用時には、ひずみゲージ30は、不図示の配線により制御部200(
図6(a))に接続される。
【0025】
本実施形態では、頭部22の下端部の長さ方向の寸法が、台部21の上端部の長さ方向の寸法よりも大きい。したがって、台部21と頭部22との接続部に、頭部22が台部21から長さ方向の両側に突出する突出部20pが形成されている。
【0026】
図1に示す通り、センサ部S
X1、S
X3は、筐体10の第4板14に固定されている。具体的には、センサ部S
X1は、起歪体20の底面20bを第4板14の内側面に当接させた状態で、第4板14の軸方向の前端近傍に固定されている。センサ部S
X3は、起歪体20の底面20bを第4板14の内側面に当接させた状態で、第4板14の軸方向の後端近傍に固定されている。
【0027】
センサ部SX1、SX3が第4板14に固定された状態において、センサ部SX1、SX3の高さ方向がワイヤセンサ100のX方向に一致しており、センサ部SX1、SX3の長さ方向、幅方向がそれぞれ、ワイヤセンサ100の軸方向、Y方向に一致している。センサ部SX1、SX3のガイド溝20gは軸方向に延びている。センサ部SX1、SX3は、筐体10の内部に、起歪体20の頂面20aの頂部20atをX方向の正側に向けて配置されている。
【0028】
図1に示す通り、センサ部S
X2は、筐体10の第3板13に固定されている。センサ部S
X2は、具体的には、起歪体20の底面20bを第3板13の内側面に当接させた状態で、第3板13の軸方向の中央部近傍に固定されている。
【0029】
センサ部SX2が第3板13に固定された状態において、センサ部SX2の高さ方向がワイヤセンサ100のX方向に一致しており、センサ部SX2の長さ方向、幅方向がそれぞれ、ワイヤセンサ100の軸方向、Y方向に一致している。センサ部SX2のガイド溝20gは軸方向に延びている。センサ部SX2は、筐体10の内部に、起歪体20の頂面20aの頂部20atをX方向の負側に向けて配置されている。
【0030】
図1に示す通り、センサ部S
Y1、S
Y3は、筐体10の第5板15に固定されている。具体的には、センサ部S
Y1は、起歪体20の底面20bを第5板15の内側面に当接させた状態で、第5板15の軸方向の前端近傍に固定されている。センサ部S
Y3は、起歪体20の底面20bを第5板15の内側面に当接させた状態で、第5板15の軸方向の後端近傍に固定されている。
【0031】
センサ部SY1、SY3が第5板15に固定された状態において、センサ部SY1、SY3の高さ方向がワイヤセンサ100のY方向に一致しており、センサ部SY1、SY3の長さ方向、幅方向がそれぞれ、ワイヤセンサ100の軸方向、X方向に一致している。センサ部SY1、SY3のガイド溝20gは軸方向に延びている。センサ部SY1、SY3は、筐体10の内部に、起歪体20の頂面20aの頂部20atをY方向の負側を向けて配置されている。
【0032】
図1に示す通り、センサ部S
Y2は、筐体10の第6板16に固定されている。センサ部S
Y2は、具体的には、起歪体20の底面20bを第6板16の内側面に当接させた状態で、第6板16の軸方向の中央部近傍に固定されている。
【0033】
センサ部SY2が第6板16に固定された状態において、センサ部SY2の高さ方向がワイヤセンサ100のY方向に一致しており、センサ部SY2の長さ方向、幅方向がそれぞれ、ワイヤセンサ100の軸方向、X方向に一致している。センサ部SY2のガイド溝20gは軸方向に延びている。センサ部SY2は、筐体10の内部に、起歪体20の頂面20aの頂部20atをY方向の正側に向けて配置されている。
【0034】
センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3は、軸方向においては、センサ部SX1、センサ部SY1、センサ部SX2、センサ部SY2、センサ部SX3、センサ部SY3の順で並んでいる。
【0035】
図4(a)に示す通り、センサ部S
X1、S
X2、S
X3は、軸方向の前側から後側に向かって、軸方向に沿ってこの順番に並んでいる。軸方向において、センサ部S
X2は、センサ部S
X1、S
X3の中央部に位置する。したがって、軸方向において、センサ部S
X1の長さ方向中央部からセンサ部S
X2の長さ方向中央部までの距離と、センサ部S
X2の長さ方向中央部からセンサ部S
X3の長さ方向中央部までの距離とは互いに等しい。
【0036】
また、
図4(a)に示す通り、センサ部S
X1、センサ部S
X3の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもX方向正側に位置し、センサ部S
X2の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもX方向負側に位置する。即ち、センサ部S
X1、S
X2、S
X3の各々は、起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)が、X方向において、第1、第2ピンホールPH1、PH2の底面20bとは反対側に位置するように設けられている。
【0037】
図4(b)に示す通り、センサ部S
Y1、S
Y2、S
Y3は、軸方向の前側から後側に向かって、軸方向に沿ってこの順番に並んでいる。軸方向において、センサ部S
Y2は、センサ部S
Y1、S
Y3の中央部に位置する。したがって、軸方向において、センサ部S
Y1の長さ方向中央部からセンサ部S
Y2の長さ方向中央部までの距離と、センサ部S
Y2の長さ方向中央部からセンサ部S
Y3の長さ方向中央部までの距離とは互いに等しい。
【0038】
また、
図4(b)に示す通り、センサ部S
Y1、センサ部S
Y3の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもY方向負側に位置し、センサ部S
Y2の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもY方向正側に位置する。即ち、センサ部S
Y1、S
Y2、S
Y3の各々は、起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)が、Y方向において、第1、第2ピンホールPH1、PH2の底面20bとは反対側に位置するように設けられている。
【0039】
このように、6つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y1、S
Y2、S
Y3の各々の頂部20at(及びガイド溝20g)は、中心軸CAから所定の方向にずれた位置に配置されている。
図5に示す通り、6つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y1、S
Y2、S
Y3の各々の頂部20at(及びガイド溝20g)は、軸方向に見ると、中心軸CAを中心とする円周上に位置する。本実施形態では、軸方向の前側から見た場合、センサ部S
X1のガイド溝20gのみを視認することができる。その他のセンサ部のガイド溝20gはセンサ部S
X1の後ろに位置するため、視認することができない。
【0040】
[ワイヤセンサ100の使用方法]
ワイヤセンサ100の使用方法を、血管にカテーテルを挿入する血管カテーテル治療においてワイヤセンサ100を用いる場合を例として説明する。
【0041】
血管カテーテル治療において、医師は、ガイドワイヤと呼ばれる金属製のワイヤを患者の血管に挿入し、その後、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを挿入する。ワイヤセンサ100は、ガイドワイヤを患者の血管内に送りこむ際に、ガイドワイヤの長手方向に加わる力を検出(検知)するために用いられる。
【0042】
図6(a)は、ガイドワイヤGWを患者の体内に挿入し、患部へと送り込む際の、医師の手元の機器構成を示す。
【0043】
ガイドワイヤGWは、医師の手元に近い位置から順番に、トルカー400、ワイヤセンサ100、Y字コネクタ300を通って、患者の体内へと延びる。ワイヤセンサ100は、6つのセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3のひずみゲージ30の出力を受け取る制御部200に接続された状態で、Y字コネクタ300に取り付けられている。Y字コネクタ300の分岐管は、バルーンの拡張及び収縮を行うためのインデフレータ(不図示)に接続されている。
【0044】
トルカー400は例えば、コレットチャック(不図示)を内蔵している。トルカー400は、コレットチャックによりガイドワイヤGWを把持した把持状態と、コレットチャックによるガイドワイヤGWの把持を解除した解除状態との間の変位を容易に行えるよう構成されている。
【0045】
ワイヤセンサ100へのガイドワイヤGWの配置は、例えば次のようにして行うことができる。
【0046】
まず、第5板15(
図1)を取外し、第1板11のスリットSL1、第2板12のスリットSL2を介して、ピンホールPH1、PH2にガイドワイヤGWを配置する。そして、ピンホールPH1とピンホールPH2との間に延びるガイドワイヤGWを、4つのセンサ部S
X1、S
X2、S
X3、S
Y2の各々のガイド溝20gに配置する。そして最後に、第5板15を取り付ける。この時、ピンホールPH1とピンホールPH2との間に延びるガイドワイヤGWが、第5板15に固定された2つのセンサ部S
Y1、S
Y3の各々のガイド溝20gに配置される。
【0047】
これにより、ガイドワイヤGWは、ガイドセンサ100の内部に、中心軸CAに沿って延びた状態で収容される。この状態において、センサ部S
X1、S
X3の起歪体20は、筐体10の内部に配置されたガイドワイヤGWにX方向の負側から当接する(
図7(a))。センサ部S
X2の起歪体20は、筐体10の内部に配置されたガイドワイヤGWにX方向の正側から当接する(
図7(a))。センサ部S
Y1、S
Y3の起歪体20は、筐体10の内部に配置されたガイドワイヤGWにY方向の正側から当接する(
図8(a))。センサ部S
Y2の起歪体20は、筐体10の内部に配置されたガイドワイヤGWにY方向の負側から当接する(
図8(a))。
【0048】
ここで、上述の通り、センサ部S
X1、センサ部S
X3の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもX方向正側に位置しており、センサ部S
X2の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもX方向負側に位置している。したがって、
図7(a)に示す通り、センサ部S
X1、S
X3には、ガイドワイヤGWにより、X方向の負側に向けて荷重(負荷)L
X1、L
X3が加えられている。また、センサ部S
X2には、ガイドワイヤGWにより、X方向の正側に向けて荷重L
X2が加えられている。
【0049】
同様に、上述の通り、センサ部S
Y1、センサ部S
Y3の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもY方向負側に位置しており、センサ部S
Y2の起歪体20の頂部20at(及びガイド溝20g)は筐体10の中心軸CAよりもY方向正側に位置している。したがって、
図8(a)に示す通り、センサ部S
Y1、S
Y3には、ガイドワイヤGWにより、Y方向の正側に向けて荷重L
Y1、L
Y3が加えられている。また、センサ部S
Y2には、ガイドワイヤGWにより、Y方向の負側に向けて荷重L
Y2が加えられている。
【0050】
このように、ワイヤセンサ100のセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3には、ガイドワイヤGWに外力(検出対象の外力)が加わっていない状態においても、ガイドワイヤGWからの荷重が加えられる。本発明及び本明細書において、ガイドワイヤに外力(検出対象の外力)の付加に応じた撓みが生じていない状態(則ちガイドワイヤに検出対象の外力が付加されていない状態)において、ガイドワイヤからセンサ部に与えられる荷重を、予荷重(予負荷)と呼ぶ。予荷重は例えば、湾曲(屈曲)して配置されたワイヤ等の線状部材が元の直線的な形状に戻ろうとする力により与えられ得る。
【0051】
医師は、患者の血管内に造影剤を注入し、X線写真で血管の位置を把握しながらガイドワイヤGWを患部へと進める。ガイドワイヤGWの先端GWtの近傍の領域は、
図6(b)に示すように湾曲している。医師は、ガイドワイヤGWを回転させて先端GWtの向きを変えながら、血管内の所望の経路に沿ってガイドワイヤGWを送り込み、ガイドワイヤの先端GWtを患部に至らせる。
【0052】
医師は例えば、右手でトルカー400を、左手でY字コネクタ300を保持した状態で、ガイドワイヤGWを患者の体内に挿入していく。ガイドワイヤGWを患部へと進める際には、トルカー400を解除状態としてガイドワイヤGWを摘み、送り方向(患部に近づく方向)に移動させる。ガイドワイヤGWを患者の体外へと戻す際には、トルカー400を解除状態としてガイドワイヤGWを摘み、戻し方向(体外に近づく方向)に移動させる。ガイドワイヤGWの先端の向きを変える際には、トルカー400を把持状態としてトルカー400を回転させる。
【0053】
この時、ガイドワイヤGWの長手方向に力が加わった場合、ガイドワイヤGWには撓みが生じる。ワイヤセンサ100は、ガイドワイヤGWがセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3に加える荷重LX1、LX2、LX3、LY1、LY2、LY3の値がガイドワイヤGWの撓みに応じて変化することに基づいて、ガイドワイヤGWの長手方向に加わる力を検出する。
【0054】
具体的には例えば、
図7(b)に示す通り、ガイドワイヤGWの撓みに応じて、ガイドワイヤGWがセンサ部S
X1、S
X3に加える荷重L
X1、L
X3の値が小さくなり、ガイドワイヤGWがセンサ部S
X2に加える荷重L
X2の値が大きくなる場合がある。同様に、
図8(b)に示す通り、ガイドワイヤGWの撓みに応じて、ガイドワイヤGWがセンサ部S
Y1、S
Y3に加える荷重L
Y1、L
Y3の値が小さくなり、ガイドワイヤGWがセンサ部S
Y2に加える荷重L
Y2の値が大きくなる場合がある。
【0055】
制御部200は、荷重L
X1、L
X2、L
X3、L
Y1、L
Y2、L
Y3の各々の値の変化に基づいて、ガイドワイヤGWの長手方向に加えられた力の大きさを算出する。なお、
図7(b)、
図8(b)に示すガイドワイヤGWの撓みの態様、及び荷重L
X1、L
X2、L
X3、L
Y1、L
Y2、L
Y3の値の変化の態様は単なる一例である。ガイドワイヤGWには様々な態様の撓みが生じ、荷重L
X1、L
X2、L
X3、L
Y1、L
Y2、L
Y3の各値は、ガイドワイヤGWの撓みの態様に応じた様々な変化を示す。
【0056】
ワイヤセンサ100により検出された力の大きさは、例えば、ガイドワイヤGWを送るために要する力の大きさを示す。ワイヤセンサ100により検出された力の大きさは、例えば医師によるガイドワイヤGWの操作を補助するために、不図示の表示部に表示されてもよい。あるいは、ワイヤセンサ100により検出された力の大きさの変動の推移をデータとして不図示の記憶部に記憶してもよい。
【0057】
本実施形態のワイヤセンサ100の有利な効果を以下にまとめる。
【0058】
本実施形態のワイヤセンサ100は、ガイドワイヤGWに検出対象の力が加わっていない状態において、ワイヤセンサ100に収容されたガイドワイヤGWと、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々の起歪体20とが当接している。したがって、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3は、ガイドワイヤGWに撓みが生じた際にはすぐに撓みを検出することができる。よって、ワイヤセンサ100は、ガイドワイヤGWに加わる力を、当該力の付加に応じたガイドワイヤGWに撓みに基づき好適(良好)に検出することが出来る。
【0059】
本実施形態のワイヤセンサ100は、X方向に沿ってガイドワイヤGWと対向してガイドワイヤGWと当接するセンサ部SX1、SX2、SX3、及びY方向に沿ってガイドワイヤGWと対向してガイドワイヤGWと当接するセンサ部SY1、SY2、SY3の両方を備える。したがって、ガイドワイヤGWへの検出対象の力の付加に応じたガイドワイヤGWの撓みがどのような向きに生じていても(即ち、撓みがX方向又はY方向のみに生じていても)、ガイドワイヤGWに検出対象の力が加わったことを検出できる。したがって、ガイドワイヤGWに加わる力を、当該力の付加に応じたガイドワイヤGWに撓みに基づき好適に検出することが出来る。
【0060】
本実施形態のワイヤセンサ100は、ガイドワイヤGWがセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々に予荷重を加えた状態でガイドワイヤGWを収容している。したがって、ガイドワイヤGWへの検出対象の力の付加に応じたガイドワイヤGWの撓みがどのような態様であっても、ガイドワイヤGWに検出対象の力が加わったことをより好適に検出できる。
【0061】
この点につき、より詳しくは次の通りである。例えば
図9(a)に示すように、ガイドワイヤGWから各センサ部(
図9(a)ではセンサ部S
X1、S
X2、S
X3のみを示す)の各々に予荷重を加えない状態でガイドワイヤGWを収容するワイヤセンサ500を考える。この場合、
図9(b)のように、ガイドワイヤGWに生じた撓みが各センサ部(
図9(b)ではセンサ部S
X1、S
X2、S
X3のみを示す)から離間する態様であった場合、ガイドワイヤGWに撓みが生じている(則ち、ガイドワイヤGWに検出対象の力が加えられている)にもかかわらず、各センサ部に加えられる荷重はゼロのままである。
【0062】
このように、本実施形態のガイドセンサ100は、ガイドワイヤGWが各センサ部に予荷重を加えるよう構成されているため、ガイドワイヤGWに検出対象の力が加わった場合、ガイドワイヤGWの撓みの態様にかかわらず荷重LX1、LX2、LX3、LY1、LY2、LY3の各値が変化する。したがって、ガイドワイヤGWに加わる力を、当該力の付加に応じたガイドワイヤGWに撓みに基づきより好適に検出することが出来る。
【0063】
本実施形態のガイドセンサ100は、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々の起歪体20がガイド溝20gを有する。したがって、筐体10の内部におけるガイドワイヤGWの保持及び案内を良好に行うことが出来る。
【0064】
本実施形態のガイドセンサ100は、筐体10の第5板15が取り外し可能である。したがって、ワイヤセンサ100の内部へのガイドワイヤGWの配置を、筐体10の内部を視認しながら容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態のガイドセンサ100は、第1板11、第2板12に、ピンホールPH1、PH2にガイドワイヤGWを案内するためのスリットSL1、SL2が形成されている。したがって例えば、ガイドワイヤGWの一端をすでに患者の体内に挿入している状況等、ガイドワイヤGWの端部をピンホールPH1、PH2に挿入できない場合であっても、スリットSL1、SL2を用いてピンホールPH1、PH2にガイドワイヤGWを配置することが出来る。
【0066】
<変形例>
上記実施形態のワイヤセンサ100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0067】
上記実施形態において、筐体10は長方体であるがこれには限られない。筐体10は、センサ部を配置する空間を内部に有する三角柱、多角柱、円柱等の任意の構造とし得る。筐体10は、必ずしも軸方向に長尺でなくてもよい。
【0068】
上記実施形態の筐体10においては、第5板15が取り外し可能であるがこれには限られない。筐体10は、筐体10の一部が筐体10の他の部分に対して可動であり、当該一部を移動することにより筐体10の内部が視認可能となる任意の態様とし得る。或いは筐体10は、第1板11~第6板16の全てが分離不可能な状態で連結された箱体であってもよい。上記実施形態の筐体10において、スリットSL1、SL2の少なくとも一方を省略してもよい。
【0069】
上記実施形態においては、筐体10をY字コネクタ300に取り付けた状態でワイヤセンサ100を用いているがこれには限られない。例えば、筐体10から筐体10の外側へと延びる把手を設けてもよい。この場合、ワイヤセンサ100を用いる使用者は、右手でトルカー400を操作し、左手で筐体10から延びる把手を保持してもよい。
【0070】
なお、ワイヤセンサ100を用いる使用者は筐体10を直接把持することにより、ワイヤセンサ100を保持してもよい。しかしながら、Y字コネクタ300や把手を介して筐体10を保持することにより、筐体10の第1板11~第6板16におけるひずみや温度変化の発生を抑制することができる。これにより、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3における検出への影響を抑制することができる。
【0071】
上記実施形態のワイヤセンサ100において、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の起歪体20の形状は任意である。例えば、起歪体20は、高さ方向に延びる円柱、三角柱、四角柱、任意の多角柱等であってもよい。また、起歪体20はガイド溝20gを有さなくてもよい。
【0072】
上記実施形態のワイヤセンサ100においては、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々の起歪体20に2つのひずみゲージ30が貼り付けられているがこれには限られない。センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々の起歪体20に貼り付けるひずみゲージ30の数は任意である。
【0073】
上記実施形態のワイヤセンサ100においては、X方向に沿ってガイドワイヤGWに当接する3つのセンサ部SX1、SX2、SX3と、Y方向に沿ってガイドワイヤGWに当接する3つのセンサ部SY1、SY2、SY3を設けている。しかしながら、センサ部の数は、上記実施形態よりも多くてもよく、少なくてもよい。
【0074】
上記実施形態のワイヤセンサ100においては、6つのセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々が、起歪体20及びひずみゲージ30を備えるが、これには限られない。例えば、6つのセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の少なくとも一つにおいて、ひずみゲージ30を省略してもよい。この場合、ひずみゲージ30が取り付けられていない起歪体20は、実質的にはガイドワイヤGWを支持する支持部として作用する。
【0075】
上記実施形態のワイヤセンサ100においては、センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3は、各々に予荷重がかかるように構成されているが、これには限られない。センサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3の各々は、第1ピンホールPH1と第2ピンホールPH2との間に延びるガイドワイヤGW(検出対象の力が加わっていない状態のガイドワイヤGW)に対して、ガイドワイヤGWから予荷重を受けることなく当接するように構成されていてもよい。この態様でも、ガイドワイヤGWに撓みが生じた際にはすぐに撓みを検出することができ、ガイドワイヤGWに加わる力を好適に検出することが出来る。あるいは第1ピンホールPH1と第2ピンホールPH2との間に延びるガイドワイヤGW(検出対象の力が加わっていない状態のガイドワイヤGW)に対して隙間を有して位置するように構成されていてもよい。この態様でも、X方向及びY方向に配置されたセンサ部によりガイドワイヤGWの撓みを検出することができ、ガイドワイヤGWに加わる力を好適に検出することが出来る。
【0076】
上記実施形態のワイヤセンサ100は、3つのセンサ部SX1、SX2、SX3のいずれか1つと、3つのセンサ部SY1、SY2、SY3のいずれか1つを有するのみでも良い。この場合も、ガイドワイヤGWの撓みがどのような向きに生じていてもガイドワイヤGWの長手方向に力が加わったこと検出でき、ガイドワイヤGWの長手方向に加わる力を好適に検出することが出来る。
【0077】
上記実施形態のワイヤセンサ100は、6つのセンサ部SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3のいずれか1つを有するのみでも良い。この場合も、検出対象の力を受けないガイドワイヤGWがセンサ部に当接する構成、又は予荷重を加える構成に基づき、ガイドワイヤGWに加わる力を好適に検出することが出来る。
【0078】
上記実施形態において、制御部200をワイヤセンサ100の一部としてワイヤセンサ100と一体に設けてもよい。例えば、制御部200を筐体10の内部、筐体10の外面に設けてもよい。
【0079】
上記実施形態において、検出対象の力の検出は、検出対象の力の大きさの検出(ガイドワイヤGWに付加された力の大きさの検出)及び/又は検出対象の力の有無(ガイドワイヤGWへの力の付加の有無)であってよい。
【0080】
上記実施形態においては、血管カテーテル治療に用いるガイドワイヤGWに対してワイヤセンサ100を用いる場合を例として説明した。しかしながらワイヤセンサ100の用途はこれには限られず、任意の線状部材に対してワイヤセンサ100を用いることができる。具体的には例えば、内視鏡のケーブルに対してワイヤセンサ100を用いることができる。本発明において、ワイヤとは可撓性を有する線状部材を意味する。内視鏡のケーブル等も本発明のワイヤに含まれる。
【0081】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10: 筐体; 20: 起歪体; 30: ひずみゲージ; 100: ワイヤセンサ; 200: 制御部; GW: ガイドワイヤ; PH1、PH2: ピンホール; SX1、SX2、SX3、SY1、SY2、SY3: センサ部