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特開2024-158921モータ制御装置及びこれを備えた圧縮機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158921
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】モータ制御装置及びこれを備えた圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/24 20160101AFI20241031BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02P21/24
H02P27/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074552
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】春原 哲
(72)【発明者】
【氏名】相場 謙一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】角藤 清隆
(72)【発明者】
【氏名】小宮 真一
(72)【発明者】
【氏名】岩城 道三
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA06
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE30
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA06
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ16
5H505JJ17
5H505JJ24
5H505LL01
5H505LL22
(57)【要約】
【課題】目標とするモータ制御に対応してd軸電流指令とq軸電流指令との整合性を図ることができるモータ制御装置、及びこれを備えた圧縮機を提供する。
【解決手段】モータ制御装置1は、直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータ3と、インバータを制御するインバータ制御手段10とを備え、d軸電流idに負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ制御装置であって、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータのd軸電圧指令vd及びq軸電圧指令vqを備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令id を生成するとともに、第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する電流指令生成手段24を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ駆動装置であって、
前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記モータのd軸電圧指令及びq軸電圧指令を備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令を生成するとともに、前記第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令を生成する電流指令生成手段を備えるモータ制御装置。
【請求項2】
前記モータの前記線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの所定出力値を超える場合に、弱め界磁制御が実行されていることを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記弱め界磁制御が実行されていると判定された場合に、前記第1d軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御が実行されていないと判定された場合に、予め設定されている第2d軸電流指令を選択する選択手段と
を備える請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記電流指令生成手段は、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記直流電圧の2乗の値である第1変数と、前記第1d軸電流指令の前回値に基づくd軸電圧指令及び前記第1q軸電流指令の前回値に基づくq軸電圧指令の2乗和である第2変数との差分である第3変数に基づいて前記第1d軸電流指令を生成するとともに、生成した前記第1d軸電流指令に基づいて前記第1q軸電流指令を生成する請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記電流指令生成手段は、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記第1d軸電流指令と、前記モータのd軸のインダクタンスと、前記モータのq軸のインダクタンスと、前記モータの鎖交磁束とに基づく第4変数を算出するとともに、前記第4変数と前記モータのトルク指令に基づく第5変数とに基づいて前記第1q軸電流指令を生成する請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータと
を具備する圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御装置及びこれを備えた圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータを用いたサーボ系は、さまざまな機械装置の動力源として利用されている。一般的なサーボ系では、モータの制御において速度制御及び電流制御が行われている。また、一般に、モータへ交流電圧を出力する電力変換には、出力可能な最大電圧の制限または出力可能な最大電流の制限が設けられる。
【0003】
特許文献1には、モータの電流制御において、d軸電流指令及びq軸電流指令をそれぞれ個別に生成する制御が開示されている。また、d軸電流指令は、モータを低速運転するか又は高速運転するかに応じて、異なるd軸電流指令が選択される。このように、複数のd軸電流をモータの駆動状態に応じて選択可能とすることにより、モータの運転可能範囲を低速から高速まで広範囲に拡張することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-205017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるd軸電流指令及びq軸電流指令は、それぞれ個別に生成されるため、例えば、弱め界磁制御を実行する場合、d軸電流指令とq軸電流指令とが、目標とするモータ制御において互いに整合性がとれていない指令となる可能性があった。そして、この場合、モータの挙動が目標通りに制御できない、または、目標とする制御を行うまでに時間を要することとなる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、目標とするモータ制御に対応してd軸電流指令とq軸電流指令との整合性を図ることができるモータ制御装置及びこれを備えた圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の幾つかの実施形態に係るモータ制御装置は、直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ駆動装置であって、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記モータのd軸電圧指令及びq軸電圧指令を備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令を生成するとともに、前記第1d軸電流指令に基づいてq軸電流指令を生成する電流指令生成手段を備える。
【0008】
本開示の幾つかの実施形態に係る圧縮機は、上記モータ制御装置と、上記モータ制御装置によって駆動制御されるモータとを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、モータの回転数を制御するd軸電流指令とq軸電流指令の整合性を容易に図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を概略的に示した図である。
図2】弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置がd軸電流指令とq軸電流指令とをそれぞれ個別に生成する場合のモータ電流曲線を示す図である。
図3】弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置が第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令を生成する場合のモータ電流曲線を示す図である。
図4】モータ制御装置がd軸電流指令とq軸電流指令とをそれぞれ個別に生成する場合のモータの各パラメータの推移を示す波形図である。
図5】モータ制御装置が第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令を生成する場合のモータの各パラメータの推移を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係るモータ制御装置、及びこれを備えた圧縮機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。また、本実施形態では、上下方向と水平方向で同様な効果を得られるものは、紙面における上下方向が必ずしも鉛直上下方向に限定することなく、例えば鉛直方向に直交する水平方向に対応してもよい。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係るモータ制御装置1の構成を概略的に示した図である。図1に示すように、モータ制御装置1は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ2と、コンバータ2から出力される直流電力を三相交流電力に変換してモータ4に出力するインバータ3と、インバータ3を制御するインバータ制御装置10とを備えている。
【0014】
インバータ3は、各相に対応して設けられた上側アームのスイッチング素子と下側アームのスイッチング素子とを備えており、これらのスイッチング素子がインバータ制御装置10から与えられるゲート駆動信号Sによりオン/オフ制御されることにより、モータ4に供給されるU相、V相、W相のモータ電圧が制御される。
モータ4は、例えば、圧縮機の駆動源として用いられる永久磁石型同期モータである。
【0015】
また、モータ制御装置1は、モータ4に流れるモータ電流(U相、V相、W相の電流)を測定する電流センサ5、インバータ3の入力直流電圧Vdcを測定する電圧センサ6を備えている。なお、モータ電流については、2相を検出し、残りの1相については検出した2相から演算により求めることとしてもよい。また、このような測定方法に代えて、直流母線Lにシャント抵抗を設けることにより、3相モータ電流iu、iv、iwを測定することとしてもよい。このように、3相モータ電流iu、iv、iwの取得方法については特に限定されない。
【0016】
電流センサ5により検出された3相のモータ電流は、A/D変換部7によって、電圧センサ6により検出された入力直流電圧VdcはA/D変換部8によって、それぞれデジタル信号に変換され、インバータ制御装置10に出力される。
【0017】
インバータ制御装置10は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)であり、以下に説明する各部の処理を実現するためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を有している。CPUがこの記録媒体に記録されたプログラムをRAM等の主記憶装置に読み出して実行することにより、以下のような各部における処理が実現される。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。
【0018】
インバータ制御装置10は、モータ4の回転数を上位の制御装置(図示略)から与えられるモータ回転数指令に一致させるようなゲート駆動信号Sを相毎に生成し、これらをインバータ3の各相に対応するスイッチング素子に与えることでインバータ3を制御し、所望の3相交流電圧をモータ4に供給する。
【0019】
具体的には、インバータ3は、3相/2相変換部11、速度・位置推定部12、電流PI制御部15、2相/3相変換部16、PWM制御部17、第1処理部21、第2処理部22、選択部(選択手段)23、電流指令生成部(電流指令生成手段)24、電圧飽和判定部(判定手段)25、及び演算部26とを備えている。
【0020】
3相/2相変換部11は、A/D変換部7から出力された3相のモータ電流iu、iv、iwを2相電流、すなわち、q軸電流iq及びd軸電流idに変換し、速度・位置推定部12に出力する。
速度・位置推定部12は、3相/2相変換部11からのq軸電流iq及びd軸電流idと、一つ前のクロックサイクルにおいて電流PI制御部15で算出された2相電圧指令、すなわち、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdとを用いて、モータ4の推定位置θes及びモータ4の推定回転数ωesを算出する。
モータ4の推定回転数ωesは、第1処理部21に出力される。
【0021】
第1処理部21は、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差Δωに基づくトルク指令τを生成する。ここで、第1処理部21は、リミッタ機能を有しており、トルク指令τが予め設定されている上限値を超えないように調整する。
さらに、第1処理部21は、生成したトルク指令τを第2処理部22及び電流指令生成部24へそれぞれ出力する。
【0022】
演算部26は、後述する電流指令生成部24によって生成された第1d軸電流指令id の前回値に基づくd軸電圧指令vd及びq軸電流指令iqの前回値に基づくq軸電圧指令vqの2乗和である第2変数(Cv)を算出し、算出した第2変数(Cv)を電流指令生成部24へ出力する。
【0023】
電流指令生成部24は、モータ4のd軸電圧指令vd及びq軸電圧指令vqを備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令id を生成するとともに、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。ここで、電流指令生成部24は、リミッタ機能を有しており、第1d軸電流指令id 及び第1q軸電流指令iq のそれぞれが予め設定されている上限値を超えないように調整する。
【0024】
具体的には、電流指令生成部24は、励磁電流成分に相当するd軸電流指令である第1d軸電流指令id を生成する。
より具体的には、まず、電流指令生成部24は、電圧センサ6から入力された入力直流電圧Vdcの2乗の値である第1変数(Cdc)を算出する。続いて、電流指令生成部24は、第1変数(Cdc)と第2変数(Cv)との差分である第3変数に基づいて第1d軸電流指令id を生成する。また、電流指令生成部24によって生成された第1d軸電流指令id は、前回値として電流指令生成部24にフィードバックされ、新たな第1d軸電流指令id の生成に用いられる。
【0025】
例えば、電流指令生成部24は、以下の数式(1)によって、第1d軸電流指令であるid (k)を生成する。
【0026】
【数1】
【0027】
数式(1)において、kは現在値、k-1は前回値を示している。なお、数式(1)におけるLmtとの記載は、本数式によって第1d軸電流指令id の生成が繰り返し行われることを意味する。また、Cdcは入力直流電圧Vdcの2乗から導出される第1変数である。また、Cvはd軸電圧指令vdとq軸電圧指令vqの2乗和から導出される第2変数である。また、γは以下の数式(2)によって算出される係数である。
【0028】
【数2】
【0029】
数式(2)において、φは、モータ4の鎖交磁束から導出される変数である。また、αは、鎖交磁束φを調整するため係数であり、例えば、U相、V相、W相の各巻線に応じて変動する値である。αは、第1d軸電流指令id に求められる応答性能に応じて0~1の間で調整されるものであり、上述の数式(1)に適用されることにより、所定の値へ収束することを加速する係数として作用する。なお、αが大きい程、所定の値へ速く収束させることができる。また、Ldは、モータ4のd軸インダクタンスから導出される変数である。
【0030】
また、電流指令生成部24は、負荷のトルク成分に相当する第1q軸電流指令iq を生成する。
具体的には、電流指令生成部24は、第1d軸電流指令id と、モータ4のd軸のインダクタンスと、モータ4のq軸のインダクタンスと、モータ4の鎖交磁束とに基づく第4変数を算出するとともに、第4変数とモータ4のトルク指令τに基づく第5変数とに基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。
【0031】
ここで、電流指令生成部24は、以下の数式(3)によって、第1q軸電流指令であるiq (k)を生成する。
【0032】
【数3】
【0033】
数式(3)において、Ctは、トルク指令τから導出される値である。また、φは、モータ4の鎖交磁束である。また、Lmは、モータ4のd軸インダクタンスとq軸インダクタンスから導出される変数である。また、id (k)は、数式(1)によって生成された第1d軸電流指令である。
【0034】
このように、電流指令生成部24は、直流電圧の2乗の値である第1変数(Cdc)と、d軸電圧指令vdとq軸電圧指令vqの2乗和である第2変数(Cv)に基づいて第1d軸電流指令id を生成する。また、新たに生成した第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。すなわち、電流指令生成部24は、第1d軸電流指令id を生成するとともに、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。このため、d軸電流指令idとq軸電流指令iqの整合性を容易に図ることができる。
【0035】
次に、第2処理部22は、予め設定されている第2d軸電流指令id を出力する。ここでは、第2d軸電流指令id は、ゼロに設定されている。また、第2処理部22は、第2d軸電流指令id がゼロの場合、上述の数式(3)に基づいて第2q軸電流指令iq を生成する。
【0036】
また、電圧飽和判定部25は、モータ4の線間電圧指令(上述の第2変数)が、インバータ3の入力直流電圧Vdcに基づいて決定されるインバータ3の最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御が実行されていると判定する。
選択部23は、電圧飽和判定部25によって、弱め界磁制御が実行されていると判定された場合に、第1d軸電流指令id をd軸電流指令idとして選択するとともに、第1d軸電流指令id に基づいて算出された第1q軸電流指令iq をq軸電流指令iqとして選択(図1における接点S2を選択)する。また、弱め界磁電流が実行されていないと判定した場合に、第2d軸電流指令id 、すなわち、ゼロをd軸電流指令idとして選択するとともに、d軸電流指令がゼロの場合に対応する第2q軸電流指令iq をq軸電流指令iqとして選択(図1における接点S1を選択)する。
【0037】
なお、本実施形態においては、モータ4の線間電圧指令がインバータ3の最大出力電圧を超える場合に、電圧飽和判定部25によって弱め界磁制御が実行されていると判定されたが、この例に限らず、例えば、モータ4の線間電圧指令がインバータ3の最大出力電圧の所定割合を超える場合に、電圧飽和判定部25によって弱め界磁制御が実行されていることを判定してもよい。この他、弱め界磁制御が実行されているか否かを判定する手法については、公知の技術を適宜採用することとしてもよい。
また、モータ4の線間電圧指令は、電流PI制御部15によって生成された一つ前のクロックサイクルにおける2相電圧指令を用いて推定される推定線間電圧指令に限らず、実際にセンサにより測定される実測値を利用したものであってもよい。
【0038】
例えば、選択部23は、以下の数式(4)の条件を満たす場合に、第1d軸電流指令id をd軸電流指令idとして選択し、以下の条件を満たさない場合に、第2d軸電流指令id をd軸電流指令idとして選択することとしてもよい。
【0039】
Vmax=(Vdc/2)<Cv=vq*2+vd*2 (4)
【0040】
上記数式(4)において、Vmaxはインバータ3の最大出力電圧に相当する値の2乗、Cvはモータ4の線間電圧の2乗に相当する値である。
ここで、モータ4の線間電圧指令とインバータ3に入力される直流電圧に基づいて決定されるインバータ3の最大出力電圧とを2乗の値で比較しているのは、平方根の計算を不要としてマイコンの演算負荷が大きくならないようにする為である。
このようにして選択部23によって選択されたd軸電流指令id及びq軸電流指令iqのそれぞれは、電流PI制御部15に出力される。
【0041】
電流PI制御部15には、選択部23によって選択されたd軸電流指令id及びq軸電流指令iqが、3相/2相変換部11からq軸電流iq及びd軸電流idが、更に、速度・位置推定部12からモータ4の推定位置θesが入力される。
【0042】
電流PI制御部15は、q軸電流指令iqとq軸電流iqとの偏差及びd軸電流指令idとd軸電流idとの偏差を算出し、これらの偏差が0に近づくようなq軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを生成する。具体的には、それぞれの偏差に対して比例積分制御(PI制御)を行い、更に、この際に、モータ4の推定位置θesが参照されることにより、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを算出し、2相/3相変換部16に出力する。ここで、d軸電圧指令vdにはリミッタを設けず、q軸電圧指令vqにはVdc/√2でリミッタをかけている。
【0043】
2相/3相変換部16は、速度・位置推定部12によって推定された推定位置θesを参照することにより、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを3相電圧指令vu,vv,vwに変換し、PWM制御部17に出力する。
PWM制御部17には、3相電圧指令vu,vv,vwとA/D変換部8からの入力直流電圧Vdcとが入力される。PWM制御部17は、所定のキャリア周波数の三角波(キャリア波)を生成し、この三角波と3相電圧指令vu,vv,vwとをそれぞれ比較し、さらに入力直流電圧Vdcを用いて、PWMパルスのデューティ幅を補正することで、各相に対応するゲート駆動信号Sを生成し、インバータ3に出力する。
【0044】
このように、本開示のモータ制御装置1は、弱め界磁制御が実行されている場合において、第1d軸電流指令id 及び第1q軸電流指令iq を生成する手法が従来のモータ制御装置と異なる。具体的には、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ4のd軸電圧指令vd及びq軸電圧指令vqを備える線間電圧指令に基づいて新たな第1d軸電流指令id を生成するとともに、生成した第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。これにより、d軸電流指令idとq軸電流指令iqの整合性を容易に図ったモータ制御を行うことが可能となる。
【0045】
次に、本開示に係るモータ制御装置1によるモータ制御におけるモータ電流の推移について説明する。図2は、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1がd軸電流指令idと第1q軸電流指令iq とをそれぞれ個別に生成する場合のモータ電流曲線を示す図である。図3は、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合のモータ電流曲線を示す図である。両図において、横軸はd軸電流を示し、縦軸はq軸電流を示す。また、曲線Xは、モータ4の回転数をω_Aとした場合の定鎖交磁束曲線を示し、曲線Yはモータ4の回転数をω_Aとした場合の定鎖交磁束曲線を示し、曲線Zは低トルク曲線を示す。そして、図中の破線は、モータ電流の値が点Aから点Bへ変化する推移を示す。
【0046】
図2及び図3を比較すると、図3における破線は図2における破線よりも曲線Zに沿っており、モータ電流が点Aから点Bへ変化する際の経路が短い。すなわち、図3に例示する条件の方が、より速やかに御目標へ到達可能することが理解できる。したがって、d軸電流指令idとq軸電流指令iqがそれぞれ個別に生成される場合よりも、本実施形態にて開示するように、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合の方が、振動が抑制された安定した制御となる。
【0047】
また、図4及び図5は、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ4のパラメータ毎の推移を比較するための波形図である。図4は、モータ制御装置1がd軸電流指令idとq軸電流指令iqとをそれぞれ個別に生成する場合のモータ4の各パラメータの推移を示す波形図である。図5は、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合のモータ4の各パラメータの推移を示す波形図である。図4(a)及び図5(a)は、モータ4の回転数の推移を示す波形図である。図4(b)及び図5(b)は、d軸電流idの推移を示す波形図である。図4(c)及び図5(c)は、q軸電流iqの推移を示す波形図である。図4(d)及び図5(d)は、モータトルクの推移を示す波形図である。
【0048】
図4(a)より、モータ制御装置1がd軸電流指令idとq軸電流指令iqとをそれぞれ個別に生成する場合、モータ4の回転数は、回転数ω_Aから目標の回転数ω_Bに達する際にオーバーシュートが発生し、一定時間減衰振動してから回転数ω_Bに収束する。これは、図4(a)に対応するモータ制御において、d軸電流指令id及び第1q軸電流指令iq が互いの指令値を考慮して生成されていないため、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの補正を繰り返し行っている期間において回転数の減衰振動が発生することを表している。
【0049】
一方、図5(a)より、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合、モータ4の回転数は、回転数ω_Aから目標の回転数ω_Bに達する際にオーバーシュートが発生せず、速やかに回転数ω_Bに推移する。これは、図5(a)に対応するモータ制御において、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq が生成されていることから、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの整合性が図られているためである。
したがって、両図を比較すると、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合の方が、モータ4の回転数を速やかに目標値に安定させることができる。
【0050】
また、図4(b)より、モータ制御装置1がd軸電流指令idとq軸電流指令iqとをそれぞれ個別に生成する場合、d軸電流は、電流値id_Aから目標の電流値id_Bに達する際にオーバーシュートが発生し、一定時間減衰振動してから電流値id_Bに収束する。これは、図4(b)に対応するモータ制御において、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqが互いの指令値を考慮して生成されていないため、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの補正を繰り返し行っている期間においてd軸電流の減衰振動が発生することを表している。
【0051】
一方、図5(b)より、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合、d軸電流idは、電流値id_Aから目標の電流値id_Bに達する際にオーバーシュートが発生せず、速やかに電流値id_Bに推移する。これは、図5(b)に対応するモータ制御において、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq が生成されていることから、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの整合性が図られているためである。
したがって、両図を比較すると、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合の方が、d軸電流idの電流値を速やかに目標値に安定させることができる。
【0052】
また、図4(c)より、モータ制御装置1がd軸電流指令idとq軸電流指令iqとをそれぞれ個別に生成する場合、q軸電流iqは、電流値iq_Aから目標の電流値iq_Bに達する際にオーバーシュートが発生し、一定時間減衰振動してから電流値iq_Bに収束する。これは、図4(c)に対応するモータ制御において、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqが互いの指令値を考慮して生成されていないため、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの補正を繰り返し行っている期間においてq軸電流iqの減衰振動が発生することを表している。
【0053】
一方、図5(c)より、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合、q軸電流iqは、電流値iq_Aから目標の電流値iq_Bに達する際にオーバーシュートが発生せず、速やかに電流値iq_Bに推移する。これは、図5(c)に対応するモータ制御において、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq が生成されていることから、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの整合性が図られているためである。
したがって、両図を比較すると、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合の方が、第1q軸電流指令iq の電流値を速やかに目標値に安定させることができる。
【0054】
また、図4(d)より、モータ制御装置1がd軸電流指令idとq軸電流指令iqとをそれぞれ個別に生成する場合、モータトルクは、トルクτmから、d軸電流指令idとq軸電流指令iqの変化に伴って一定時間減衰振動し、再びトルクτmに収束する。これは、図4(d)に対応するモータ制御において、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqが互いの指令値を考慮して生成されていないため、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの補正を繰り返し行っている期間においてモータトルクの減衰振動が発生することを表している。
【0055】
一方、図5(d)より、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合、モータトルクは、トルクτmから、減衰振動が発生することなく、速やかに再びトルクτmに収束する。これは、図5(d)に対応するモータ制御において、第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq が生成されていることから、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqの整合性が図られているためである。
したがって、両図を比較すると、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ制御装置1が第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する場合の方が、モータトルクを速やかに目標値に安定させることができる。
【0056】
以上より、本開示のモータ制御装置によれば、弱め界磁制御が実行されている場合において、第1q軸電流指令iq は、電流指令生成部24によって第1d軸電流指令id に基づいて生成される。このように、第1q軸電流指令iq は、第1d軸電流指令id の変化量に対応して変化することにより、d軸電流指令idとq軸電流指令の整合性を容易に図ることが可能となる。さらに、このように第1q軸電流指令iq を生成することにより、目標とするモータ制御に対応して速やかにモータ4の挙動を安定させることができる。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本開示のモータ制御装置1によれば、電流指令生成部24は、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータ4を制御するための第1q軸電流指令iq を、第1d軸電流指令id に基づいて生成する。これにより、モータの回転数を制御する第1d軸電流指令id と第1q軸電流指令iq の整合性を容易に図ることが可能となる。さらに、d軸電流指令idとq軸電流指令iqの整合性が改善されることにより、モータ4の振動が低減され、モータ4の挙動を安定化することが可能となる。
【0058】
また、本開示のモータ制御装置1によれば、弱め界磁制御の実行有無に応じて、d軸電流指令idを第1d軸電流指令id と第2d軸電流指令id との何れを選択するか切替えることができる。具体的には、弱め界磁制御が実行されている場合には第1d軸電流指令id をd軸電流指令idとして選択し、弱め界磁制御が実行されていない場合には第2d軸電流指令id をd軸電流指令idとして選択する。これにより、d軸電流指令idの演算処理量を低減することが可能となる。
【0059】
また、本開示のモータ制御装置1によれば、電流指令生成部24は、弱め界磁制御が実行されている場合において、直流電圧の2乗の値である第1変数と、第1d軸電流指令id に基づくd軸電圧指令vd及び第1q軸電流指令iq に基づくq軸電圧指令vqの前回値に基づく2乗和である第2変数との差分である第3変数に基づいて第1d軸電流指令id を生成する。そして、新たに生成した第1d軸電流指令id に基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。これにより、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqを、直流電圧指令、d軸電圧指令vd及びq軸電圧指令vqの変化を考慮した指令とすることができる。したがって、d軸電流指令idとq軸電流指令iqの整合性を容易に図ることができる。
また、電流指令生成部24が、d軸電圧指令vd及びq軸電圧指令vqの前回値に基づく第2変数を用いて、第1d軸電流指令id 及び第1q軸電流指令iq を生成することにより、d軸電流指令id及びq軸電流指令iqが目標値をオーバーシュートすることを抑制し、より速やかにモータの挙動を安定化することが可能となる。
【0060】
また、本開示のモータ制御装置1によれば、電流指令生成部24は、弱め界磁制御を実行されている場合において、第1d軸電流指令id によって変動する第4変数と、モータのトルク指令に基づく第5変数とに基づいて第1q軸電流指令iq を生成する。これにより、モータ4を駆動する際の各パラメータを考慮してq軸電流指令iqを生成することができる。すなわち、モータ4の実働を考慮してモータ4の挙動をより安定化することが可能となる。
【0061】
(付記事項)
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
上述した実施形態に記載のモータ制御装置、これを備えた圧縮機は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るモータ制御装置(1)は、直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータ(3)と、前記インバータを制御するインバータ制御手段(10)とを備え、d軸電流(id)に負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ駆動装置であって、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記モータのd軸電圧指令(vd)及びq軸電圧指令(vq)を備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令(id )を生成するとともに、前記第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令(iq )を生成する電流指令生成手段(24)を備える。
【0063】
本開示のモータ制御装置によれば、電流指令生成手段は、弱め界磁制御が実行されている場合において、モータのd軸電圧指令及びq軸電圧指令を備える線間電圧指令に基づいて第1d軸電流指令を生成するとともに、第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令を生成する。換言すれば、q軸電流指令をd軸電流指令から独立して算出するのではなく、d軸電流指令に基づいて算出される。これにより、モータの回転数を制御するd軸電流指令とq軸電流指令の整合性を容易に図ることが可能となる。さらに、d軸電流指令とq軸電流指令の整合性が改善されることにより、モータの振動が低減され、モータの挙動を安定化することが可能となる。
【0064】
本開示の第2態様に係るモータ制御装置は、前記第1態様において、前記モータの前記線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの所定出力値を超える場合に、弱め界磁制御が実行されていることを判定する判定手段(25)と、前記判定手段によって、前記弱め界磁制御が実行されていると判定された場合に、前記第1d軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御が実行されていないと判定された場合に、予め設定されている第2d軸電流指令id を選択する選択手段(23)とを備える。
【0065】
本開示のモータ制御装置によれば、弱め界磁制御の実行有無に応じて、第1d軸電流指令及び第1d軸電流指令に基づく第1q軸電流指令の生成を要するか否かを選択することができる。すなわち、弱め界磁制御が実行されていない場合に、予め設定されている所定の値である第2d軸電流指令を用いることにより、d軸電流指令の演算処理量を低減することが可能となる。また、例えば、インバータ制御手段として安価なマイコンを用いることが可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0066】
本開示の第3態様に係るモータ制御装置は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記電流指令生成手段は、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記直流電圧の2乗の値である第1変数と、前記第1d軸電流指令の前回値に基づくd軸電圧指令及び前記第1q軸電流指令の前回値に基づくq軸電圧指令の2乗和である第2変数との差分である第3変数に基づいて前記第1d軸電流指令を生成するとともに、生成した前記第1d軸電流指令に基づいて前記第1q軸電流指令を生成する。
【0067】
本開示のモータ制御装置によれば、電流指令生成手段は、弱め界磁制御が実行されている場合において、直流電圧の2乗の値である第1変数と、第1d軸電流指令に基づくd軸電圧指令及び第1q軸電流指令に基づくq軸電圧指令の前回値に基づく2乗和である第2変数との差分である第3変数に基づいて第1d軸電流指令を生成するとともに、新たに生成した第1d軸電流指令に基づいて第1q軸電流指令を生成する。これにより、第1d軸電流指令及び第1q軸電流指令を、直流電圧指令、d軸電圧指令及びq軸電圧指令の変化を考慮した指令とすることができる。したがって、d軸電流指令とq軸電流指令の整合性を容易に図ることができる。
また、電流指令生成部24が、d軸電圧指令及びq軸電圧指令の前回値に基づく第2変数を用いて、第1d軸電流指令及び第1q軸電流指令を生成することにより、d軸電流指令及びq軸電流指令が目標値をオーバーシュートすることを抑制し、より速やかにモータの挙動を安定化することが可能となる。
【0068】
本開示の第4態様に係るモータ制御装置は、前記第1態様乃至前記第3態様のいずれかにおいて、前記電流指令生成手段は、前記弱め界磁制御が実行されている場合において、前記第1d軸電流指令と、前記モータのd軸のインダクタンスと、前記モータのq軸のインダクタンスと、前記モータの鎖交磁束とに基づく第4変数を算出するとともに、前記第4変数と前記モータのトルク指令(τ)に基づく第5変数とに基づいて前記第1q軸電流指令を生成する。
【0069】
本開示のモータ制御装置によれば、電流指令生成手段は、弱め界磁制御を実行されている場合において、第1軸電流指令によって変動する第4変数と、モータのトルク指令に基づく第5変数とに基づいて第1q軸電流指令を生成する。これにより、モータを駆動する際の各パラメータを考慮してq軸電流指令を生成することができる。すなわち、モータの実働を考慮してモータの挙動をより安定化することが可能となる。
【0070】
本開示の第1態様に係る圧縮機は、前記第1態様乃至前記第4態様のいずれかのモータ制御装置と、前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータ(4)とを具備する。
【符号の説明】
【0071】
1 モータ制御装置
2 コンバータ
3 インバータ
4 モータ
5 電流センサ
6 電圧センサ
7 A/D変換部
8 A/D変換部
10 インバータ制御装置
11 3相/2相変換部
12 速度・位置推定部
15 電流PI制御部
16 2相/3相変換部
17 PWM制御部
21 第1処理部
22 第2処理部
23 選択部
24 電流指令生成部
25 電圧飽和判定部
26 演算部
id d軸電流指令
id 第1d軸電流指令
id 第2d軸電流指令
iq q軸電流指令
iq 第1q軸電流指令
iq 第2q軸電流指令
vd d軸電圧指令
vq q軸電圧指令
τ トルク指令
図1
図2
図3
図4
図5