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特開2024-158929水性分散体組成物およびその製造方法、食品ならびに化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158929
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】水性分散体組成物およびその製造方法、食品ならびに化粧料
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20241031BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20241031BHJP
   A61K 8/9783 20170101ALI20241031BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20241031BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241031BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20241031BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A61K8/97
A61K8/9783
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/55
A61K8/37
A61K8/60
A61K8/73
A61K8/46
A61K8/86
A61K8/67
A61Q19/00
A23L29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074568
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】唐木田 直人
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4C083
【Fターム(参考)】
4B016LC06
4B016LE05
4B016LG01
4B016LG02
4B016LG05
4B016LK02
4B016LK03
4B016LK05
4B016LK08
4B016LK09
4B016LK11
4B016LK20
4B016LP02
4B016LP04
4B016LT08
4B035LC05
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4B035LG04
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4B035LG57
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4B035LT06
4C083AA111
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4C083AD041
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4C083AD271
4C083AD281
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4C083AD391
4C083AD571
4C083AD621
4C083BB01
4C083CC01
4C083DD27
4C083DD39
4C083EE01
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】長期にわたって沈殿が抑制され、優れた透明性を有する、植物抽出物を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品および化粧料の提供。
【解決手段】植物抽出物と水媒体とを含み、前記植物抽出物の含有割合が0.1質量%のときに、波長400nmにおける透過率は60%以上である水性分散体組成物。植物の抽出部位を超臨界処理または亜臨界処理して植物抽出物を抽出し、前記植物抽出物に、水媒体を加えて、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る、前記水性分散体組成物の製造方法。前記水性分散体組成物を用いた食品および化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物抽出物と、水媒体とを含み、
前記植物抽出物の含有割合が0.1質量%のときに、波長400nmにおける透過率は60%以上である、水性分散体組成物。
【請求項2】
前記植物抽出物が、柑橘系植物、果実および野菜から選ばれる植物より抽出された成分である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項3】
前記植物抽出物が、カロテノイド、ポリフェノールおよび食物繊維のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項4】
前記植物抽出物が、前記ポリフェノールを0.001~15質量%含有する、請求項3に記載の水性分散体組成物。
【請求項5】
前記植物抽出物が、前記カロテノイドを0.001~15質量%、前記ポリフェノールを0.001~15質量%含有する、請求項3に記載の水性分散体組成物。
【請求項6】
前記カロテノイドが、βクリプトキサンチンを含む、請求項3に記載の水性分散体組成物。
【請求項7】
前記ポリフェノールが、ヘスペリジンを含む、請求項3に記載の水性分散体組成物。
【請求項8】
前記植物抽出物が、植物の超臨界処理抽出物または亜臨界処理抽出物である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項9】
さらに、樹脂を含む、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項10】
前記樹脂が、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9に記載の水性分散体組成物。
【請求項11】
さらに、アルコールを含む、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項12】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトールおよびグルコースから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項11に記載の水性分散体組成物。
【請求項13】
さらに、添加剤を含む、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項14】
前記添加剤が、界面活性剤および食品添加物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項13に記載の水性分散体組成物。
【請求項15】
前記添加剤が、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20およびステアリン酸PEG-100から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項13に記載の水性分散体組成物。
【請求項16】
超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を含む食品。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を含む化粧料。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を製造する方法であって、
植物の抽出部位を超臨界処理または亜臨界処理して植物抽出物を抽出し、前記植物抽出物に、水媒体を加えて、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る、水性分散体組成物の製造方法。
【請求項20】
分散時に、前記水媒体の他に、樹脂、アルコールおよび添加剤から選ばれる少なくとも1種をさらに加える、請求項19に記載の水性分散体組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品、ならびに化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
柑橘系植物等の植物の抽出物を食品や化粧料などの様々な用途に利用することが知られている。
特許文献1には、玄米やユズなどの植物抽出物を有効成分とする化粧料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-107286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適用用途や使用形態などの選択肢をより広げるため、植物抽出物を水媒体中に分散させた水性分散体組成物の形態で調製する要望が多くある。しかしながら、植物抽出物は、難水溶性のものも多く、水性分散体組成物を調製しようとすると、水性分散体組成物中で植物抽出物が沈殿し、濁ってしまい、調製した水性分散体組成物の透明性が低くなってしまうことがあった。
【0005】
本開示は、長期にわたって沈殿が抑制され、優れた透明性を有する、植物抽出物を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品および化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る水性分散体組成物、その製造方法、食品および化粧料は、下記[1]~[20]の構成を有することができる。
[1]植物抽出物と、水媒体とを含み、前記植物抽出物の含有割合が0.1質量%のときに、波長400nmにおける透過率は60%以上である、水性分散体組成物。
[2]前記植物抽出物が、柑橘系植物、果実および野菜から選ばれる植物より抽出された成分である、[1]に記載の水性分散体組成物。
[3]前記植物抽出物が、カロテノイド、ポリフェノールおよび食物繊維のうちの少なくとも1種を含む、[1]または[2]に記載の水性分散体組成物。
[4]前記植物抽出物が、前記ポリフェノールを0.001~15質量%含有する、[3]に記載の水性分散体組成物。
[5]前記植物抽出物が、前記カロテノイドを0.001~15質量%、前記ポリフェノールを0.001~15質量%含有する、[3]または[4]に記載の水性分散体組成物。
[6]前記カロテノイドが、βクリプトキサンチンを含む、[3]~[5]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[7]前記ポリフェノールが、ヘスペリジンを含む、[3]~[6]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[8]前記植物抽出物が、植物の超臨界処理抽出物または亜臨界処理抽出物である、[1]~[7]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[9]さらに、樹脂を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[10]前記樹脂が、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種を含む、[9]に記載の水性分散体組成物。
[11]さらに、アルコールを含む、[1]~[10]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[12]前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトールおよびグルコースから選ばれる少なくとも1種を含む、[11]に記載の水性分散体組成物。
[13]さらに、添加剤を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[14]前記添加剤が、界面活性剤および食品添加物から選ばれる少なくとも1種を含む、[13]に記載の水性分散体組成物。
[15]前記添加剤が、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20およびステアリン酸PEG-100から選ばれる少なくとも1種を含む、[13]または[14]に記載の水性分散体組成物。
[16]超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物である、[1]~[15]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[17][1]~[16]のいずれかに記載の水性分散体組成物を含む食品。
[18][1]~[16]のいずれかに記載の水性分散体組成物を含む化粧料。
[19][1]~[16]のいずれかに記載の水性分散体組成物を製造する方法であって、植物の抽出部位を超臨界処理または亜臨界処理して植物抽出物を抽出し、前記植物抽出物に、水媒体を加えて、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る、水性分散体組成物の製造方法。
[20]分散時に、前記水媒体の他に、樹脂、アルコールおよび添加剤から選ばれる少なくとも1種をさらに加える、[19]に記載の水性分散体組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、長期にわたって沈殿が抑制され、優れた透明性を有する、植物抽出物を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品および化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る水性分散体組成物、その製造方法、食品および化粧料について説明する。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0009】
<水性分散体組成物>
本開示に係る水性分散体組成物(以降、本組成物とも記す)は、植物抽出物と、水媒体とを含み、必要に応じて、樹脂、アルコールおよびその他の添加剤を含むことができる。また、本組成物は、植物抽出物の含有割合が0.1質量%のときに、波長400nmにおける透過率は60%以上となり、植物抽出物の沈殿が抑制され、透明性に優れる。なお、透過率は高ければ高い程透明性が高くなるため、好ましい。透過率の測定方法に関しては、後述する。
【0010】
植物抽出物を抽出する植物は、特に限定されないが、例えば、みかん(例えば、温州みかん)、レモン、オレンジ、ライム、ザボン、グレープフルーツ、はっさく、夏みかん、ダイダイ、いよかん、タンカン、ゆず、すだち、かぼす、マンダリン、シークヮーサー、きんかんなどの柑橘系植物;リンゴ、バナナ、ブドウ、イチゴ、メロン、キウイ、マンゴー、パイナップル、スイカ、ブルーベリー、ラズベリーなどの果実(柑橘系植物に属するものを除く);トマト、ニンジン、ジャガイモ、トウモロコシ、キャベツ、レタス、キュウリ、エンドウ豆、カボチャなどの野菜などの天然の食用植物(柑橘系植物に属するものを除く)を用いることができる。なお、本組成物においては、植物の産地等は特に限定されない。
したがって、植物抽出物は、これらの植物より抽出された成分であることができる。抽出に用いる植物の部位は特に限定されず、例えば、果実、果皮、じょうのう膜、種子、果汁絞り粕などを用いることができる。また、抽出の際、抽出原料となる植物(の部位)はそのままの状態で抽出作業に供してもよいが、抽出効率を向上させる観点から、粉砕した状態で抽出作業に供してもよい。
【0011】
ここで、詳細は後述する製造方法において説明するが、当該植物抽出物は、従来公知の抽出方法による抽出物であってもよいが、沈殿抑制および透明性向上の観点から、植物の超臨界処理抽出物または亜臨界処理抽出物であることが好ましい。また、本組成物における分散方法は、詳細は後述するが、超音波処理(超音波分散)、ホモジナイザー処理(ホモジナイザー分散)またはビーズミル分散を用いることが好ましい。したがって、本組成物は、上記植物抽出物、水媒体、必要に応じて、樹脂、アルコール、添加剤を用いた、超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物であることが好ましい。
【0012】
以下では、植物抽出物として柑橘系植物(例えば、温州みかん)による抽出物に着目した記載を行うこともあるが、本組成物は本実施形態に限定されず、他の植物抽出物を使用できる。植物抽出物には、各植物由来の成分を含むことができ、使用する植物に応じて様々な成分を含むことができ、特に限定されない。また、植物抽出物は、1種類の成分から構成されていてもよいし、2種以上の成分を含んでいてもよい。
【0013】
例えば、温州みかん(青みかん)などの柑橘系植物(柑橘類)の抽出成分としては、例えば、カロテノイド、ポリフェノール、食物繊維を挙げることができる。例えば、前記植物抽出物中に、前記カロテノイドを0.001~15質量%含有することができる。また、前記植物抽出物中に、前記ポリフェノールを0.001~15質量%含有することができる。さらに、前記植物抽出物中に、前記食物繊維を70質量%以上、または85質量%以上含有することができる。また、前記植物抽出物中に、前記食物繊維を、99.999質量%以下、または99.998質量%以下含有することができる。
【0014】
カロテノイドとは、自然界に広く存在する黄色、橙色、赤色などを示す天然色素の一群であり、これまで750種類以上のものが同定されている。カロテノイドは、通常、水に溶けにくく油に溶けやすい性質(脂溶性)を有しており、炭素と水素原子のみで構成される「カロテン類」と、これらに加えて酸素原子を含有する「キサントフィル類」とが知られている。
当該カロテノイドとしては、例えば、αカロテン、βカロテン、γカロテン、δカロテン、リコピンなどのカロテン類;ルテイン、βクリプトキサンチン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン、カプサンチン、ミキソキサントフィルなどのキサントフィル類が挙げられるが、これらには限定されない。カロテノイドは、1種単独であってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
【0015】
ポリフェノールとは、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基(ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基)を持つ化合物の総称である。
当該ポリフェノールとしては、例えば、ヘスペリジン、ケルセチン、ナリンギン、カテキン、アントシアニン、プロアントシニジン、タンニン、ルチン、イソフラボンなどのフラボノイド;フェノール酸;エラグ酸;リグナン;クルクミン;オーラプテンなどのクマリン;レスベラトロールを挙げることができるが、これらには限定されない。ポリフェノールは、1種単独であってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
【0016】
食物繊維は、水溶性食物繊維であってもよいし、水不溶性食物繊維であってもよい。水溶性食物繊維としては、例えば、水溶性ヘミセルロース、ペクチン等が挙げられる。また、前記水不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、リグニン、水不溶性ヘミセルロース、プロトペクチン等が挙げられる。食物繊維は、1種単独であってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
【0017】
前記食物繊維に含まれる水溶性食物繊維の含有量は、沈殿抑制および透明性向上の観点から、食物繊維の総質量に対して10~60質量%であることが好ましく、15~55質量%であることがより好ましい。また、前記食物繊維に含まれる水不溶性食物繊維の含有量は、沈殿抑制および透明性向上の観点から、食物繊維の総質量に対して40~90質量%であることが好ましく、45~85質量%であることがより好ましい。
【0018】
なお、温州みかんは、ミカン科、カンキツ属の植物で、日本、東南アジア、中国などで栽培され、食されている。温州みかんの植物抽出物は、例えば、カロテノイドであるβクリプトキサンチン、ポリフェノールであるヘスペリジン、および食物繊維(例えば、セルロース)のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0019】
水性分散体組成物中の植物抽出物の配合割合は適宜設定できるが、香りや抽出成分の有効性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、透明性の観点から、水性分散体組成物中の植物抽出物の配合割合は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0020】
水媒体としては、特に限定されず使用目的によって適宜設定でき、例えば、水媒体として、水道水、精製水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水などを使用できる。
【0021】
水性分散体組成物中の水媒体の配合割合は適宜設定できるが、流動性の観点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。また、香りや抽出成分の有効性の観点から、水性分散体組成物中の水媒体の配合割合は、99.9質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましい。
【0022】
本組成物に含有できる樹脂としては、用いた植物抽出物の種類に応じて適宜設定でき、調製する水性分散体組成物の沈殿抑制および透明性を高める作用があるものを用いることが好ましい。前記樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、沈殿抑制および透明性向上の観点から、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0023】
また、水性分散体組成物中の上述した樹脂の配合割合は適宜設定できるが、沈殿抑制および透明性向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、流動性の観点から、水性分散体組成物中の樹脂の配合割合は、10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
【0024】
本組成物に含有できるアルコールとしては、用いた植物抽出物の種類に応じて適宜設定でき、調製する水性分散体組成物の沈殿抑制および透明性を高める作用があるものを用いることが好ましい。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトールおよびグルコースなどが挙げられる。これらの中でも、沈殿抑制および透明性向上の観点から、プロピレングリコールを用いることが好ましい。
【0025】
さらに、水性分散体組成物中の上述したアルコールの配合割合は適宜設定できるが、沈殿抑制および透明性向上の観点から、5.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましい。また、流動性の観点から、水性分散体組成物中のアルコールの配合割合は、50.0質量%以下が好ましく、30.0質量%以下がより好ましい。
【0026】
本組成物に含有できる添加剤としては、例えば、界面活性剤および食品添加物を挙げることができるが、これらに限定されない。なお、これらの添加剤の中から、調製する水性分散体組成物の沈殿抑制および透明性を高める作用があるものを用いることが好ましい。
【0027】
界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
・アニオン性界面活性剤:
脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
・カチオン性界面活性剤:
塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウ厶、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウ厶、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
・両性界面活性剤:
カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
・ノニオン性界面活性剤:
プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート20、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、ステアリン酸PEG-100、ショ糖脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE-POP共重合体、POE-POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
・天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0028】
前記食品添加物としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、キシリトール、アスパルテーム、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、エステルガム、チクル、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、カフェイン、ナリンジン、β-アミラーゼ、プロテアーゼ、クエン酸、乳酸、ビタミンC、L-グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0029】
これらの中でも前記添加剤としては、例えば、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20およびステアリン酸PEG-100を用いることが好ましい。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0030】
水性分散体組成物中の上述した添加剤の配合割合は適宜設定できるが、沈殿抑制および透明性の観点から、0.1質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。また、流動性の観点から、水性分散体組成物中の添加剤の配合割合は、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
【0031】
<水性分散体組成物の製造方法>
本組成物の製造方法は、例えば、以下の手法を挙げることができる。
まず、対象となる植物の抽出部位(例えば、果実(果肉も含む)、果皮、じょうのう膜、種子等)を、超臨界水または亜臨界水を用いて、超臨界処理または亜臨界処理して、植物抽出物を抽出する(抽出工程)。この際、超臨界水や亜臨界水の代わりに、二酸化炭素(CO)を用いて超臨界処理または亜臨界処理をしてもよい。
次に、得られた植物抽出物に、水媒体を加えて、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散により、機械的に懸濁分散させた水性分散体組成物を得る(分散工程)。
なお、分散性および透明性向上の観点から、分散工程において、水媒体の他に、上述した樹脂、アルコールおよび添加剤から選ばれる少なくとも1種をさらに加えて、分散を行うことが好ましい。
【0032】
ここで、柑橘系植物から、カロテノイド、ポリフェノールおよび食物繊維のうちの少なくとも1種を含む抽出物を、超臨界処理または亜臨界処理により抽出した場合を例に各工程を詳しく説明するが、本実施形態に限定はされない。
【0033】
(抽出工程)
抽出工程において、植物の抽出部位を超臨界処理または亜臨界処理して植物抽出物を抽出する。植物の抽出部位は用いる植物の種類や抽出目的に応じて、適宜設定できるが、柑橘系植物では、例えば、果実(果肉も含む)、果皮、じょうのう膜、種子などを用いることができる。抽出部位は1か所であってもよいし、複数個所を用いてもよい。また、上述したように、抽出効率を向上させる観点から、抽出部位を粉砕した状態で抽出作業に供してもよい。
【0034】
具体的な抽出方法としては、溶剤を用いた、通常の連続抽出、浸漬抽出、向流抽出を採用してもよいが、本実施形態では、安全性や後処理の容易性等の観点から、超臨界水、亜臨界水、二酸化炭素などを用いた、超臨界処理または亜臨界処理を採用する。なお、通常の抽出方法で用いられる上記溶剤としては、n-ヘキサン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、さらに水と混合して用いてもよい。また、通常の抽出方法では、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用できる。さらに、抽出後に、ろ過による抽出残渣の除去や、抽出物に対して、希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を追加で施すこともできる。
【0035】
超臨界処理および亜臨界処理の具体的な処理条件としては、例えば、以下のものを採用できる。
二酸化炭素を用いた超臨界処理の場合、前述の原料(必要に応じて粉砕処理した抽出部位)をそのまま、あるいは、溶剤に浸漬させた後、超臨界二酸化炭素で抽出処理し、植物抽出物を得ることができる。この溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プルパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、食用油脂、MCT(Medium-Chain Triacylglycerols:中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール)などを用いることができるが、これらに限定されない。また、原料に対する二酸化炭素の使用量は特に制限されるものではないが、好ましくは、原料1質量部に対し1~200質量部である。抽出時の圧力は抽出温度下の二酸化炭素の臨界圧力以上であれば特に制限されるものではないが、好ましくは、7.38~50MPaである。抽出時間は特に制限されるものではないが、好ましくは、1~10時間である。
【0036】
また抽出溶剤を水として、超臨界もしくは亜臨界抽出することもできる。
亜臨界水処理の場合、前述の原料をそのまま、反応容器内に入れ、所定の流量で予備加熱した脱気水を通液する。そして、反応系に所定の条件で加圧加熱して亜臨界水抽出条件とする。亜臨界水通液後の抽出液は速やかに冷却し、回収する。この亜臨界水抽出条件としては、温度110~200℃、圧力2~30MPaの範囲が好ましく、温度120~140℃、圧力2~10MPaの範囲が特に好ましい。抽出温度が200℃以下であれば、機能性成分や芳香成分の分解を容易に抑制でき、好ましい。また、抽出温度が110℃以上であれば、充分な成分回収率を容易に得ることができ、好ましい。抽出時間は適宜設定でき、特に限定されない。
【0037】
柑橘系植物として温州みかんを用いた場合、超臨界処理または亜臨界処理により得られる植物抽出物には、例えば、βクリプトキサンチン、ヘスペリジンおよび食物繊維等が含まれる。また、より具体的には、当該植物抽出物では、食物繊維:ヘスペリジンの割合(質量%)が、好ましくは90:10~99:1(例えば、97:3)、より好ましくは95:5~98:2である。さらに、当該植物抽出物中に、例えば、ポリフェノール(具体的にヘスペリジン)を0.001~15質量%含有することができる。また、当該植物抽出物中に、カロテノイド(具体的にはβクリプトキサンチン)を0.001~15質量%含有することができる。ここで、前記食物繊維は、温州みかん(青みかん)由来のセルロースが主成分として含まれる。主成分とは、対象(ここでは、食物繊維)に含まれる成分のうち最も多く含まれる成分のことを意味する。
なお、ヘスペリジンは、上述したように、ポリフェノールの一種であり、溶解度が2mg/100mLで難水溶性であり、コレステロールの低下、血圧の低下、骨密度低下抑制などの効能が知られている。
【0038】
(分散工程)
次に、分散工程において、得られた植物抽出物に、水媒体を加えて、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る。ここで、ヘスペリジンをはじめとした難水溶性の植物抽出物を用いて、水性分散体組成物を調製する場合には、水媒体の他に、樹脂、アルコールおよび添加剤から選ばれる少なくとも1種をさらに加えた状態で分散処理を行うことが好ましい。これにより、長期にわたって沈殿や分散凝集が抑制され、もやおよび変色が起こらず優れた透明性を有する水分散体組成物を容易に調製できる。なお、当該樹脂、アルコールおよび添加剤としては、本組成物の説明において上述したものから適宜選択して用いることができる。また、水性分散体組成物中の各成分の好ましい配合割合は、本組成物において既に説明されているため、説明を省略する。
【0039】
例えば、植物抽出物として、有効成分であるヘスペリジンと、食物繊維とを含む温州ミカン抽出物を用いた場合は、上記樹脂として、ポリビニルピロリドン(PVP)および上記アルコールとして、プロピレングリコール(PG)を用いることが好ましい。
【0040】
分散方法としては、超音波分散、ホモジナイザー分散およびビーズミル分散を用いることができるが、これらの中でも、微細化の観点から、ビーズミル分散を用いることが好ましい。(湿式)ビーズミル分散は、溶剤中で、各種成分(植物抽出物、樹脂、アルコールなど)を混合し、ビーズ同士の衝突力で粗大粒子もしくは凝集物を粉砕、微細化、分散する方法である。これらの分散方法は、従来公知の条件で適宜行うことができる。例えば、ビーズミル分散は、直径0.1~0.5mmの(ジルコニア)ビーズを用いて、0.1~20時間行うことができる。
【0041】
<食品、化粧料、医薬品及び医薬部外品>
本組成物は、食品、化粧料、医薬品および医薬部外品の素材として使用することができ、これらに含有させることができる。
【0042】
本組成物を配合する食品(飲食品)としては、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。
【0043】
これらの食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができる。例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0044】
さらに、これらの食品には、例えば、抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス)、健康食品素材(V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、EPA、DPA、甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ローズマリー、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、ローズマリー、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α-リポ酸、生コーヒー豆エキス)なども配合することができる。
【0045】
食品中の本組成物の含有割合は、適宜設定できるが、病気予防や健康維持の観点から、1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましい。
【0046】
本組成物を配合する化粧料の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
【0047】
また、上記化粧料には、本組成物の他に、本開示の効果を損なわない範囲で、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
【0048】
さらに、本組成物は、薬品(医薬品や医薬部外品を含む)の素材として添加することができ、例えば、液剤、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤、外用液剤などの剤型を採用できる。当該薬品に本組成物以外に含むことができる原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0049】
上記薬品、化粧料の投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5~5000mg、子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。上記薬品中の本組成物の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は0.3~15.0質量%、非経口投与による場合は、0.01~10質量%とすることができる。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与することが求められる場合もある。
【実施例0050】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0051】
[製造例1]
(植物抽出物の抽出)
静岡県産の温州みかんの抽出部位:果肉及び果皮を、下記条件において、亜臨界処理して、植物抽出物T-1を得た。得られた植物抽出物T-1中のヘスペリジン:食物繊維(主成分:セルロース)の配合割合(質量%)は3:97であった。
・亜臨界処理条件
亜臨界水抽出装置を用い、圧力5MPa、温度150℃の条件で60分間、亜臨界水抽出処理を行った。
【0052】
[製造例2~3]
表1に示すように、処理時間を変化させた以外は、製造例1と同様の方法で、抽出を行い、植物抽出物T-2~T-3をそれぞれ得た。
【表1】
【0053】
[実施例1]
(水性分散体組成物の調製)
得られた植物抽出物T-1を1質量部(ヘスペリジン:0.03質量部、食物繊維:0.97質量部)、樹脂:ポリビニルピロリドン(第一工業社製、商品名:クリージャスK-90)5質量部、アルコール:プロピレングリコール30質量部、水媒体:精製水64質量部を混合した。そして、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミル(広島メタル&マシナリー社製、商品名:「UAM-015」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、水性分散体組成物S-1を得た。
【0054】
[実施例2~13]
後述する表2に示すように、ジルコニアビーズの直径、植物抽出物(使用量はいずれも1質量部)、樹脂、アルコール、水の種類および量を変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体組成物S-2~S-13を調製した。なお、実施例12および13では、水性分散体組成物に、さらに表2に記載の添加剤を加えた。
【0055】
以下の評価方法により調製した水性分散体組成物を評価した。
<水性分散体組成物の沈殿評価>
調製した水性分散体組成物を、1時間静置して目視で沈殿の様子を確認した(初期沈殿評価)。また、同サンプルを温度:25℃の環境で31日間(1か月)保管し、目視で経時による沈殿の様子を確認した(長期沈殿評価)。そして、以下の評価基準に基づき、評価を行った。
・評価基準
A:全く沈殿や凝集物がない状態
B:わずかに沈殿や凝集物が確認できる状態
C:明らかに沈殿や凝集物が確認できる、あるいは相分離している状態
【0056】
<水性分散体の透明性評価>
紫外・可視分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、商品名:「UH4150」)を用いて、作製した水性分散体組成物を10倍に希釈した際(植物抽出物の濃度(含有割合)が0.1質量%のとき)の、波長400nmにおける透過率(%)を測定した(初期透明性)。また、同サンプルを温度:25℃の環境で31日間(1か月)保管し、同様に測定した(長期透明性)。そして、得られた経時による透過率変化値を以下の評価基準に基づき評価した。なお、各例において、水性分散体組成物を10倍に希釈する前後において、透明性の挙動が変化することはなかった。これは、各例で得られた水性分散体組成物がいずれも分散媒(水媒体)中で安定した分散状態を保っているためだと考えられる。
・評価基準
A:長期透明性測定時の透過率が、初期の95%以上
B:長期透明性測定時の透過率が、初期の90%以上、95%未満
C:長期透明性測定時の透過率が、初期の90%未満、あるいは沈殿が著しく測定できない状態
【0057】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、植物抽出物の水性分散体組成物を利用した食品、化粧料、医薬品、医薬部外品などの様々な用途に利用することができる。