(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158934
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60W 20/10 20160101AFI20241031BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20241031BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20241031BHJP
B60W 20/16 20160101ALI20241031BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20241031BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W20/10
B60K6/48 ZHV
B60W20/00 900
B60W20/16
B60L50/16
F02D29/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074575
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 宝
【テーマコード(参考)】
3D202
3G093
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB09
3D202BB16
3D202BB53
3D202CC47
3D202DD05
3D202DD20
3D202FF12
3D202FF13
3G093AA07
3G093BA20
3G093BA21
3G093BA22
3G093CA03
3G093CA05
3G093DA01
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3G093DA06
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3G093DB05
3G093EA02
3G093EA09
3G093EA14
3G093EB08
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125CA01
5H125CD09
5H125EE31
(57)【要約】
【課題】内燃機関の排気を用いてNOxを浄化する触媒の暖機を行う際、よりシンプルな制御にて、より少ないNOx排出量で効率良く触媒暖機を行うことができる、ハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】NOxを浄化する触媒と、制御装置とを有する。制御装置は、運転状態とアクセルペダル踏込量に基づいてユーザ要求トルクを求めるユーザ要求トルク算出部と、運転状態に基づいて目標暖機トルクを求める目標暖機トルク算出部と、触媒暖機条件の成立時、かつ、目標暖機トルクがユーザ要求トルクよりも大きい場合には、目標暖機トルクを出力するように内燃機関を制御するとともに目標暖機トルクからユーザ要求トルクを減算した余剰トルクを発電にて消費するようにモータジェネレータを制御する触媒暖機処理部と、を有し、目標暖機トルクは、運転状態に対する排気熱量/NOx排出量の値がほぼ最大の値となる第1目標トルクに設定されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関とモータジェネレータを有するハイブリッド車両であって、
前記内燃機関の排気経路には排気ガスに含まれるNOxを浄化する触媒が設けられており、
前記内燃機関と前記モータジェネレータを制御する制御装置を有し、
前記制御装置は、
前記内燃機関の運転状態とアクセルペダル踏込量とに基づいてユーザ要求トルクを求める、ユーザ要求トルク算出部と、
前記運転状態に基づいて目標暖機トルクを求める、目標暖機トルク算出部と、
前記触媒の暖機を必要とする触媒暖機条件が成立している場合、かつ、前記目標暖機トルクが前記ユーザ要求トルクよりも大きい場合には、前記目標暖機トルクを出力するように前記内燃機関を制御するとともに、前記目標暖機トルクから前記ユーザ要求トルクを減算した余剰トルクを発電にて消費するように前記モータジェネレータを制御する、触媒暖機処理部と、
を有し、
前記目標暖機トルクは、
前記運転状態と内燃機関トルクとに応じたNOx排出量の特性であるNOx排出量特性と、前記運転状態と前記内燃機関トルクに応じた排気熱量の特性である排気熱量特性と、に基づいて設定され、
各運転状態に対応させて、当該運転状態に対して前記ハイブリッド車両の走行に必要な走行トルク以上のトルクの中で当該運転状態に対する前記排気熱量/前記NOx排出量の値がほぼ最大の値となる第1目標トルクに設定されている、
ハイブリッド車両。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両であって、
前記制御装置は、前記運転状態に基づいて、NOx排出量を積算したNOx排出量積算値と、前記ハイブリッド車両の走行距離を積算した走行距離積算値と、を記憶し、
前記目標暖機トルクとして、
前記第1目標トルクと、
前記NOx排出量特性に基づいて設定され、各運転状態に対応させて、当該運転状態に対して前記走行トルク以上のトルクの中で当該運転状態に対する前記NOx排出量の値がほぼ最小の値となる第2目標トルクと、
が設定されており、
前記制御装置は、
前記目標暖機トルク算出部にて前記目標暖機トルクを求める際、
前記NOx排出量積算値/前記走行距離積算値が所定閾値以下の場合は、前記第1目標トルクを前記目標暖機トルクとして求め、
前記NOx排出量積算値/前記走行距離積算値が所定閾値よりも大きい場合は、前記第2目標トルクを前記目標暖機トルクとして求める、
ハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関とモータジェネレータを有するハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関とモータジェネレータ(電動機(モータ)及び発電機(ジェネレータ)の機能を有する)を有するハイブリッド車両において、例えば特許文献1には、触媒暖機を確保しつつ、内燃機関の始動回数を抑制して燃費向上を図ることができる、ハイブリッド車両の制御装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置は、道路情報を取得する道路情報取得部と、道路情報に基づいて走行予定経路での走行速度を予測する速度予測部と、予測走行速度に基づいて走行予定経路でのエンジン動作状態を予測するエンジン動作予測部と、予測走行速度に基づいて走行予定経路での触媒温度を予測する触媒温度予測部と、エンジン停止中に触媒温度が下限温度以下になると予測されるとき、それよりも前のエンジン駆動時でのエンジン運転条件を通常の運転条件よりも高負荷側に変更するエンジン制御部と、を備えている。
【0004】
そして、特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置は、エンジン運転条件を通常の運転条件よりも高負荷側に変更する際の増大負荷総量を、予測触媒温度が下限温度以下になると予測されるときを含むエンジン停止期間における触媒温度低下の予測値(エネルギー)に基づいて設定している。そして、触媒温度が下限温度以下になると予測されるエンジン停止期間中の予測平均走行速度と、当該エンジン停止期間の長さと、に基づいて設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置における増大負荷総量の設定方法では、増大負荷総量にて触媒温度を下限温度以上に確保できる、としているが、燃費の向上を優先しているため、増量したエンジン負荷に対するNOx排出量が必要以上に多くなってしまう可能性があるので好ましくない。また制御が複雑であることと、予測が多いので、予測が外れて期待する効果を得にくいことも好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、内燃機関の排気を用いてNOxを浄化する触媒の暖機を行う際、よりシンプルな制御にて、より少ないNOx排出量で効率良く触媒暖機を行うことができる、ハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、内燃機関とモータジェネレータを有するハイブリッド車両である。前記内燃機関の排気経路には排気ガスに含まれるNOxを浄化する触媒が設けられており、前記内燃機関と前記モータジェネレータを制御する制御装置を有する。そして前記制御装置は、前記内燃機関の運転状態とアクセルペダル踏込量とに基づいてユーザ要求トルクを求める、ユーザ要求トルク算出部と、前記運転状態に基づいて目標暖機トルクを求める、目標暖機トルク算出部と、前記触媒の暖機を必要とする触媒暖機条件が成立している場合、かつ、前記目標暖機トルクが前記ユーザ要求トルクよりも大きい場合には、前記目標暖機トルクを出力するように前記内燃機関を制御するとともに、前記目標暖機トルクから前記ユーザ要求トルクを減算した余剰トルクを発電にて消費するように前記モータジェネレータを制御する、触媒暖機処理部と、を有する。そして前記目標暖機トルクは、前記運転状態と内燃機関トルクとに応じたNOx排出量の特性であるNOx排出量特性と、前記運転状態と前記内燃機関トルクに応じた排気熱量の特性である排気熱量特性と、に基づいて設定され、各運転状態に対応させて、当該運転状態に対して前記ハイブリッド車両の走行に必要な走行トルク以上のトルクの中で当該運転状態に対する前記排気熱量/前記NOx排出量の値がほぼ最大の値となる第1目標トルクに設定されている、ハイブリッド車両である。
【0009】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係るハイブリッド車両であって、前記制御装置は、前記運転状態に基づいて、NOx排出量を積算したNOx排出量積算値と、前記ハイブリッド車両の走行距離を積算した走行距離積算値と、を記憶している。また、前記目標暖機トルクとして、前記第1目標トルクと、前記NOx排出量特性に基づいて設定され、各運転状態に対応させて、当該運転状態に対して前記走行トルク以上のトルクの中で当該運転状態に対する前記NOx排出量の値がほぼ最小の値となる第2目標トルクと、が設定されている。そして前記制御装置は、前記目標暖機トルク算出部にて前記目標暖機トルクを求める際、前記NOx排出量積算値/前記走行距離積算値が所定閾値以下の場合は、前記第1目標トルクを前記目標暖機トルクとして求め、前記NOx排出量積算値/前記走行距離積算値が所定閾値よりも大きい場合は、前記第2目標トルクを前記目標暖機トルクとして求める、ハイブリッド車両である。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明では、より少ないNOx排出量にて排気熱量がより高くなるように目標暖機トルクを設定しておく。そして、触媒暖機条件が成立、かつ、目標暖機トルクのほうがユーザ要求トルクよりも大きい場合は、目標暖機トルクを出力するように内燃機関を制御する。このとき、目標暖機トルクからユーザ暖機トルクを減算した余剰トルクをモータジェネレータの発電で消費することで、ユーザ要求トルクが駆動輪へ伝達され、ユーザへの違和感は解消される。そして余剰トルクは電力に変換されてバッテリに蓄電されるので無駄がない。これにより、内燃機関の排気を用いてNOxを浄化する触媒の暖機を行う際、よりシンプルな制御にて、より少ないNOx排出量で効率良く短時間で触媒暖機を行うことができる。また、第1の発明によれば、より少ないNOx排出量にて効率良く暖機を行うための目標暖機トルクを、適切に設定することができる。
【0011】
第2の発明によれば、NOx排出量積算値/走行距離積算値の値に応じて、より少ないNOx排出量にて効率良く暖機を行うための目標暖機トルクを、適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るハイブリッド車両の概略構成図である。
【
図2】
図1に示すハイブリッド車両に搭載された内燃機関システムの概略構成図である。
【
図3】アクセルペダル踏込量及び内燃機関回転数(N1~N5)と、ユーザ要求トルクとの関係を示すユーザ要求トルク特性の例を説明する図である。
【
図4】内燃機関の運転状態(この例では内燃機関回転数)と、内燃機関トルクと、に応じたNOx排出量を示す、NOx排出量特性の例を説明する図である。
【
図5】内燃機関の運転状態(この例では内燃機関回転数)と、内燃機関トルクと、に応じた排気熱量を示す、排気熱量特性の例を説明する図である。
【
図6】
図4に示すNOx排出量特性と、
図5に示す排気熱量特性と、に基づいて作成した、排気熱量/NOx排出量特性と、走行トルク以上の中で各運転状態(この例では各内燃機関回転数)に対してほぼ最大の排気熱量/NOx排出量の値となるg(x)の例を説明する図である。
【
図7】
図6に示す排気熱量/NOx排出量特性とg(x)に基づいて作成した、目標暖機トルク特性(1)の例を説明する図である。
【
図8】第1の実施の形態における、制御装置の処理手順の例を説明するフローチャートである。
【
図9】
図4に示すNOx排出量特性と、走行トルク以上の中で各運転状態(この例では各内燃機関回転数)に対してほぼ最小のNOx排出量の値となるh(x)の例を説明する図である。
【
図10】
図9に示すNOx排出量特性とh(x)に基づいて作成した、目標暖機トルク特性(2)の例を説明する図である。
【
図11】第2の実施の形態における、制御装置の処理手順の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが同じ機能を有する同じ要素を意味する。本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置40は、
図1に示されるハイブリッド車両1に適用される。ハイブリッド車両1は、内燃機関2、モータジェネレータ3、制御装置40、前輪11a~11b、後輪12a~12b、クラッチ13a~13b、トランスミッション14、ディファレンシャルギア15、トランスミッションシャフト16、プロペラシャフト17、ドライブシャフト18、インバータ31及びバッテリ32を含んでいる。
【0014】
<ハイブリッド車両1の構成(
図1)>
内燃機関2及びモータジェネレータ3は、駆動源としてハイブリッド車両1に搭載されている。内燃機関2は、クランクシャフト2aを回転させるトルクを発生させる。内燃機関2を含んだ内燃機関システムについては、
図2を参照しながら後述する。
【0015】
モータジェネレータ3は、電動機(モータ)及び発電機(ジェネレータ)の何れとしても機能することができる周知の三相同期発電電動機である。モータジェネレータ3は、電動機として作動するとき、電動機シャフト3aを回転させるトルクを発生させる。この場合、インバータ31は、制御装置40からの指示に応じてバッテリ32から供給された直流電力を三相交流に変換してモータジェネレータ3へ供給する。
【0016】
モータジェネレータ3は、発電機として作動するとき、電動機シャフト3aを回転させるトルクを電力に変換する。この場合、インバータ31は、制御装置40からの指示に応じてモータジェネレータ3から供給された三相交流電力を直流電力へ変換してバッテリ32へ供給する。バッテリ32は、充放電が可能な二次電池(例えばリチウムイオンバッテリ)である。
【0017】
クラッチ13a、13bは、制御装置40からの指示に応じて接続状態と遮断状態との間で切換えられる。クラッチ13aが接続状態であるとき、クランクシャフト2aと電動機シャフト3aとが互いにトルク伝達可能に接続される。クラッチ13bが接続状態であるとき、電動機シャフト3aとトランスミッションシャフト16とが互いにトルク伝達可能に接続される。
【0018】
トランスミッション14は、制御装置40からの指示に応じてギア比(具体的には、プロペラシャフト17の回転速度(出力側回転速度)に対するトランスミッションシャフト16の回転速度(入力側回転速度)の比率)を複数段階あるいは無段階に切換え可能な変速機である。
【0019】
プロペラシャフト17とドライブシャフト18とは、ディファレンシャルギア15を介して互いにトルク伝達可能に接続されている。後輪12a、12bは、ハイブリッド車両1の駆動輪であり、ドライブシャフト18の回転と共に回転する。
【0020】
制御装置40は、CPU41、RAM42、ROM43、タイマ44、EEPROM45等を含む電子制御ユニット(Electronic Control Unit、いわゆるECU)である。CPU41は、所定のプログラムを逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び演算結果の出力等を行う。ROM43は、CPU41が実行するプログラム及びマップ(ルックアップテーブル)等を記憶する記憶装置に相当している。RAM42は、CPU41によって参照されるデータを一時的に記憶する。タイマ44は、内燃機関の回転センサのインターバル時間の計測や、インジェクタからの燃料噴射出力などに使用される。EEPROM45は、CPU41によって参照されるデータを記憶し、更に、制御装置40が作動を停止しても記憶したデータを保持する。なお、CPU41は、ユーザ要求トルク算出部41a、目標暖機トルク算出部41b、触媒暖機処理部41c等を有しており、これらの詳細については後述する。
【0021】
<ハイブリッド車両1に搭載された内燃機関システムの構成(
図2)>
図2に示されるように、内燃機関2は、過給機5、吸気システム6、排気システム7、EGRシステム8と共に内燃機関システムを構成している。内燃機関2は、複数の燃料噴射弁21を含んでいる。燃料噴射弁21のそれぞれは、制御装置40からの指示に応じて図示しないコモンレール装置の蓄圧室から供給される高圧の燃料を気筒(燃焼室)内に噴射する。
【0022】
過給機5は、タービン51、可変ノズル機構52、ノズルアクチュエータ52a及びコンプレッサ53を含んでいる。タービン51は、内燃機関2の各気筒から排出される排気(燃焼ガス)の圧力によって作動(回転)する。可変ノズル機構52は、タービン51に流入する排気の絞り機構(タービンに当てる排気ガスの流速を調整する機構)であるノズルベーンを備えている。
【0023】
具体的には、ノズルベーンの状態であるノズル閉度Vnに応じてタービン51における排気流路の閉度(即ち、排気流路が絞られる程度)が変化する。ノズルアクチュエータ52aは、制御装置40からの指示に応じてノズル閉度Vnを所定の全開位置(全開状態)から全閉位置(全閉状態)までの間で変化させる。コンプレッサ53は、タービン51と連動して作動(回転)し、内燃機関2の各気筒に吸入される空気(吸気)を加圧する。
【0024】
吸気システム6は、吸気通路である吸気管61a~61b、吸気マニホールド62、インタークーラ63、スロットル弁64及びスロットルアクチュエータ64aを含んでいる。吸気管61aは、外部(車外)から吸入された吸気(新気)をコンプレッサ53に導入する。吸気管61bは、コンプレッサ53から排出された吸気を吸気マニホールド62に導入する。吸気マニホールド62は、内燃機関2の各気筒に吸気を導入する。
【0025】
インタークーラ63は、吸気管61bに配設(介装)されている。インタークーラ63は、コンプレッサ53にて加圧されて温度が上昇した吸気を冷却する。スロットル弁64は、吸気管61bのインタークーラ63よりも下流の位置に配設されている。スロットル弁64は、その回転位置に応じて吸気管61bの開度を調整する。スロットルアクチュエータ64aは、制御装置40からの指示に応じてスロットル弁64の回転位置を調整する。
【0026】
排気システム7は、排気マニホールド71、排気通路(排気経路)である排気管72a~72b及び排ガス浄化装置73を含んでいる。排気マニホールド71は、内燃機関2の各気筒から排出された排気(燃焼ガス)を排気管72aに導入する。排気管72aは、排気をタービン51に導入する。排気管72bは、タービン51から排出された排気を外部(車外)に排出する。排ガス浄化装置73は、排気管72bに配設されている。排ガス浄化装置73は、周知の酸化触媒、DPF(Diesel Particulate Filter)及びSCR(Selective Catalytic Reduction)等を含んでおり、排気を浄化する。なおSCRには、排気ガス中のNOxを浄化する触媒73aが設けられている。
【0027】
EGRシステム8は、EGR管81、EGRクーラ82及びEGR弁83を含んでいる。EGR管81は、排気管72aと吸気管61bとを連通するEGR経路である。EGRクーラ82は、EGR管81に配設されている。EGRクーラ82は、排気管72aから流入した高温の排気(即ち、EGRガス)を冷却する。EGR弁83は、制御装置40からの指示に応じてEGR管81の開度を所定の全開状態から全閉状態までの間で変化させる。EGR弁83は、排気管72aから吸気管61bに還流するEGRガスの量(具体的には、内燃機関2の気筒に吸入される空気に占めるEGRガスの濃度であるEGR率)を調整する。
【0028】
制御装置40は、クランク角度センサ91、カムポジションセンサ92、エアフローセンサ93、ノズル閉度センサ94、圧力センサ95a~95c、吸気温度センサ96a~96b、アクセル開度センサ97、車速センサ98、クーラント温度センサ99w、排気温度センサ99h、などと接続されている。
【0029】
クランク角度センサ91は、内燃機関2のクランクシャフト2aが所定角度だけ回転する毎にパルス信号を制御装置40へ出力する。カムポジションセンサ92は、内燃機関2の図示しないカムシャフトの回転位置に応じた信号を制御装置40へ出力する。制御装置40は、クランク角度センサ91から入力された信号に基づいて内燃機関2の機関回転速度NEを取得する。制御装置40は、クランク角度センサ91及びカムポジションセンサ92から入力された信号に基づいて内燃機関2が備える特定の気筒のクランク角度CAを取得する。
【0030】
エアフローセンサ93は、吸気管61aを流れる吸気の量(具体的には、単位時間あたりの質量)である吸入空気量Gaを検出し、吸入空気量Gaを表す信号を制御装置40へ出力する。ノズル閉度センサ94は、ノズル閉度Vnを検出し、ノズル閉度Vnを表す信号を制御装置40へ出力する。圧力センサ95aは、吸気管61aにおけるエアフローセンサ93よりも下流の位置に配設されている。圧力センサ95aは、コンプレッサ53に流入する吸気の圧力である大気圧Poを検出し、大気圧Poを表す信号を制御装置40へ出力する。
【0031】
圧力センサ95bは、吸気管61bにおけるコンプレッサ53とインタークーラ63との間の位置に配設されている。圧力センサ95bは、コンプレッサ53から流出した吸気の圧力である過給圧Pbtを検出し、過給圧Pbtを表す信号を制御装置40へ出力する。圧力センサ95cは、吸気マニホールド62に配設されている。圧力センサ95cは、内燃機関2の気筒に流入する吸気の圧力であるインマニ圧力Pmを検出し、インマニ圧力Pmを表す信号を制御装置40へ出力する。
【0032】
吸気温度センサ96aは、吸気管61aにおけるエアフローセンサ93の近傍の位置に配設されている。吸気温度センサ96aは、吸気管61aを流れる吸気の温度である吸気温度Tiを検出し、吸気温度Tiを表す信号を制御装置40へ出力する。吸気温度センサ96bは、吸気マニホールド62に配設されている。吸気温度センサ96bは、内燃機関2の気筒に流入する吸気の温度であるインマニ吸気温度Tmを検出し、インマニ吸気温度Tmを表す信号を制御装置40へ出力する。
【0033】
アクセル開度センサ97は、ハイブリッド車両1の速度を制御するために運転者(ユーザ)が操作するアクセルペダルの開度であるアクセルペダル踏込量を検出し、アクセルペダル踏込量を表す信号を制御装置40へ出力する。例えばアクセルペダル踏込量は、0%から100%までの値によって表される。車速センサ98は、ハイブリッド車両1の走行速度である車速Vsを検出し、車速Vsを表す信号を制御装置40へ出力する。
【0034】
クーラント温度センサ99wは、内燃機関2の冷却に使用されるクーラント(冷却水)の温度に応じた信号を制御装置40へ出力する。排気温度センサ99hは、触媒73aの近傍に配置され、触媒近傍の排気の温度(触媒床温)に応じた信号を制御装置40へ出力する。
【0035】
排気ガス中のNOxを浄化する触媒73aは、活性化温度未満の場合は浄化効率が低下する。このため、制御装置40は、例えば内燃機関2を始動した直後では、内燃機関2の回転数が比較的高くなるように内燃機関2を制御して、触媒床温を早期に活性化温度以上へと上昇させる(触媒73aを暖機する)。しかし、当該触媒73aの暖機の際は、内燃機関2の回転数を比較的高くするので、NOxの発生量が増加している可能性がある。そこで、以下に説明する第1及び第2の実施の形態の処理手順にて、触媒暖機の際において、より少ないNOx発生量にて効率良く触媒暖機を行う。
【0036】
<<第1の実施の形態(
図3~
図8)>>
次に
図3~
図8を用いて、第1の実施の形態における制御装置40の処理手順の例について説明する。まず、制御装置40の処理に用いる各特性について説明する。
【0037】
<ユーザ要求トルク特性(
図3)、NOx排出量特性(
図4)、排気熱量特性(
図5)、排気熱量特性/NOx排出量特性(
図6)、目標暖機トルク特性(1)(
図7)の例>
図3に示すユーザ要求トルク特性は、ユーザによるアクセルペダル踏込量に応じたユーザ要求トルクが設定されている。なお、N1~N5は、各内燃機関回転数を表している。例えば内燃機関回転数=N3、アクセルペダル踏込量=Xaの場合、制御装置40は、ユーザ要求トルク=Taを算出する。ユーザ要求トルク特性は、制御装置40の記憶装置(ROM43)に記憶される。なお、ユーザ要求トルクとは、制御装置40が内燃機関2の要求トルク及びモータジェネレータ3の要求トルクを計算するために便宜上設定されるトルクであり、上記の算出方法の代わりに、アクセルペダル踏込量と現在車速から計算してもよい。またユーザ要求トルクは、アクセルペダル踏込量に応じて増加するが、アクセルペダル踏込量に対して線形の特性でなくてもよい。
【0038】
図4に示すNOx排出量特性は、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、内燃機関トルク(内燃機関の負荷)と、に応じたNOx排出量を、実際の車両やシミュレーション等にて測定した結果を示している。
図4に示すNOx排出量特性では、NOx排出量が多いほど濃い色彩で表現している。
【0039】
図5に示す排気熱量特性は、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、内燃機関トルク(内燃機関の負荷)と、に応じた排気熱量を、実際の車両やシミュレーション等にて測定した結果を示している。
図5に示す排気熱量特性では、排気熱量が大きいほど濃い色彩で表現している。
【0040】
図6に示す排気熱量/NOx排出量特性は、
図4に示すNOx排出量特性と、
図5に示す排気熱量特性と、を用いて作成した特性であり、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、内燃機関トルク(内燃機関の負荷)と、に応じた排気熱量/NOx排出量を示している。
図6に示す排気熱量/NOx排出量特性では、排気熱量/NOx排出量の値が大きいほど濃い色彩で表現している。色彩が濃いほど、NOx排出量に対する排気熱量が大きい(すなわち、より少ないNOx排出量で、より大きい排気熱量を得ることができる)ことを示している。
【0041】
なお
図6中において点線で示した「走行トルク」は、各内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)においてハイブリッド車両1の走行に必要なトルクを示している。実際に制御する場合は、この「走行トルク」以上の内燃機関トルクとなるように内燃機関を制御する必要がある。
【0042】
また
図6中において実線で示した「g(x)」は、各内燃機関回転数(各運転状態)に対応させて、当該内燃機関回転数(当該運転状態)に対して走行トルク以上の内燃機関トルクの中で当該内燃機関回転数(当該運転状態)に対する排気熱量/NOx排出量の値がほぼ最大の値となる点を接続して得られた特性である。例えば内燃機関回転数=Naの場合、内燃機関回転数=Naに対応する直線Sa上において、走行トルク以上の内燃機関トルクの中で、排気熱量/NOxがほぼ最大の値(最も濃い色彩の位置)は、内燃機関トルク=Taである。また例えば内燃機関回転数=Nbの場合、内燃機関回転数=Nbに対応する直線Sb上において、走行トルク以上の内燃機関トルクの中で、排気熱量/NOxがほぼ最大の値(最も濃い色彩の位置)は、内燃機関トルク=Tbである。このように、各内燃機関回転数に対するほぼ最大の値の点を抽出して、各点を接続してg(x)を得ることができる。
【0043】
図7に示す目標暖機トルク特性(1)は、
図6に示す排気熱量/NOx排出量特性から、横軸と縦軸、及びg(x)を抽出したものである。目標暖機トルク特性(1)は、各内燃機関回転数(各運転状態)に対応させて、NOx排出量に対する排気熱量が最大となる内燃機関トルク(かつ、走行トルク以上のトルクであり、「第1目標トルク」に相当)を示している。目標暖機トルク特性(1)は、制御装置40の記憶装置(ROM43)に記憶される。
【0044】
<制御装置40の処理手順(
図8)>
次に
図8を用いて、第1の実施の形態における制御装置40の処理手順の例について説明する。制御装置40は、所定時間間隔(例えば数10[ms]間隔)にて
図8に示す処理を起動して、ステップS010へ処理を進める。
【0045】
ステップS010にて制御装置40は、内燃機関2の運転状態を検出し、ステップS020へ処理を進める。例えば制御装置40は、上述したアクセルペダル踏込量、内燃機関回転数、触媒床温、などを取得する。
【0046】
ステップS020にて制御装置40は、アクセルペダル踏込量と、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、記憶装置に記憶しているユーザ要求トルク特性と、に基づいてユーザ要求トルクを算出してユーザ要求トルク(Te)に記憶して、ステップS030へ処理を進める。
【0047】
ステップS030にて制御装置40は、触媒暖機条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS040へ処理を進め、成立していない場合(No)はステップS090へ処理を進める。例えば制御装置40は、排気温度センサ99hを用いて検出した触媒床温が触媒活性化温度未満の場合、触媒暖機条件が成立している、と判定する。
【0048】
ステップS040へ処理を進めた場合、制御装置40は、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、記憶装置に記憶している目標暖機トルク特性(1)と、に基づいて目標暖機トルク(Td)(「第1目標トルク」に相当)を算出して目標暖機トルク(Td)に記憶して、ステップS050へ処理を進める。
【0049】
ステップS050にて制御装置40は、目標暖機トルク(Td)がユーザ要求トルク(Te)よりも大きいか否かを判定する。制御装置40は、目標暖機トルク(Td)がユーザ要求トルク(Te)よりも大きい場合(Yes)はステップS060へ処理を進め、目標暖機トルク(Td)がユーザ要求トルク(Te)以下である場合(No)はステップS090へ処理を進める。
【0050】
ステップS060へ処理を進めた場合、制御装置40は、余剰トルク(目標暖機トルク-ユーザ要求トルク)を算出し、当該余剰トルクと、モータジェネレータ3の回転数に基づいて、モータジェネレータ3の発電関連量であるMG発電関連量を算出してステップS070へ処理を進める。
【0051】
ステップS070にて制御装置40は、目標暖機トルク(Td)を出力するように内燃機関2を制御するとともに、MG発電関連量に基づいてモータジェネレータ3を発電制御(余剰トルクを消費)して、
図8に示す処理を終了する。モータジェネレータ3にて発電された電力は、インバータ31を介してバッテリ32に蓄えられるので、余剰トルクは無駄にはならない。
【0052】
ステップS090へ処理を進めた場合、制御装置40は、ユーザ要求トルク(Te)を出力するように、内燃機関2とモータジェネレータ3を制御する。なお、ステップS090は既存の処理であるので、詳細については説明を省略する。
【0053】
ステップS020の処理を実行している制御装置40(CPU41)は、内燃機関の運転状態とアクセルペダル踏込量とユーザ要求トルク特性とに基づいてユーザ要求トルクを求める、ユーザ要求トルク算出部41a(
図1、
図2参照)に相当している。
【0054】
ステップS040の処理を実行している制御装置40(CPU41)は、内燃機関の運転状態と目標暖機トルク特性とに基づいて目標暖機トルクを求める、目標暖機トルク算出部41b(
図1、
図2参照)に相当している。
【0055】
ステップS030、S050、S060、S070の処理を実行している制御装置40(CPU41)は、触媒73aの暖機を必要とする触媒暖機条件が成立している場合、かつ、目標暖機トルクがユーザ要求トルクよりも大きい場合には、目標暖機トルクを出力するように内燃機関2を制御するとともに、目標暖機トルクからユーザ要求トルクを減算した余剰トルクを発電にて消費するようにモータジェネレータ3を制御する、触媒暖機処理部41c(
図1、
図2参照)に相当している。
【0056】
<<第2の実施の形態(
図9~
図11)>>
次に
図9~
図11を用いて、第2の実施の形態における制御装置40の処理手順の例について説明する。なお、第2の実施の形態については、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態で利用する目標暖機トルク特性(1)(
図7参照)に加えて、
図10に示す目標暖機トルク特性(2)も利用する。
【0057】
<NOx排出量特性(
図9)、目標暖機トルク特性(2)(
図10)の例>
図9に示す、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、内燃機関トルク(内燃機関負荷)と、に応じたNOx排出量を色彩の濃さで表現したNOx排出量特性は、
図4に示したNOx排出量特性と同一であり、NOx排出量が多いほど濃い色彩で表現されている。ただし、
図9には、点線にて示す「走行トルク」と、実線にて示す「h(x)」が追加されている点が、
図4とは異なる。
【0058】
図9中に点線で示す「走行トルク」は、
図6中に点線で示す「走行トルク」と同じである。「走行トルク」は、各内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)においてハイブリッド車両1の走行に必要なトルクを示している。実際に制御する場合は、この「走行トルク」以上の内燃機関トルクとなるように内燃機関を制御する必要がある。
【0059】
図9中において実線で示した「h(x)」は、各内燃機関回転数(各運転状態)に対応させて、当該内燃機関回転数(当該運転状態)に対して走行トルク以上の内燃機関トルクの中で当該内燃機関回転数(当該運転状態)に対するNOx排出量の値がほぼ最小の値となる点を接続して得られた特性である。例えば内燃機関回転数=Nnの場合、内燃機関回転数=Nnに対応する直線Sn上において、走行トルク以上の内燃機関トルクの中で、NOx排出量がほぼ最小の値(最も薄い色彩の位置)は、内燃機関トルク=Tnである。また例えば内燃機関回転数=Nmの場合、内燃機関回転数=Nmに対応する直線Sm上において、走行トルク以上の内燃機関トルクの中で、NOx排出量がほぼ最小の値(最も薄い色彩の位置)は、内燃機関トルク=Tmである。このように、各内燃機関回転数に対するほぼ最小の値の点を抽出して、各点を接続してh(x)を得ることができる。
【0060】
図10に示す目標暖機トルク特性(2)は、
図9に示すNOx排出量特性から、横軸と縦軸、及びh(x)を抽出したものである。目標暖機トルク特性(2)は、各内燃機関回転数(各運転状態)に対応させて、NOx排出量が最小となる内燃機関トルク(かつ、走行トルク以上のトルクであり、「第2目標トルク」に相当)を示している。目標暖機トルク特性(2)は、制御装置40の記憶装置(ROM43)に記憶される。また、
図4に示すNOx排出量特性も、制御装置40の記憶装置(ROM43)に記憶される。
【0061】
<制御装置40の処理手順(
図11)>
次に
図11を用いて、第2の実施の形態における制御装置40の処理手順の例について説明する。
図11に示す第2の実施の形態のフローチャートは、
図8に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して、ステップS015、ステップS035、ステップS045が追加されている点が異なる。以下、この相違点について主に説明する。なお、
図11に示すフローチャート(第2の実施の形態)において、
図8に示すフローチャート(第1の実施の形態)と同一のステップ番号の処理は、第1の実施の形態と同じである。
【0062】
制御装置40は、第1の実施の形態と同様に、所定時間間隔(例えば数10[ms]間隔)にて
図11に示す処理を起動して、ステップS010へ処理を進める。
【0063】
ステップS010の処理は、第1の実施の形態(
図8)と同様であるので説明を省略する。そして制御装置40は、ステップS015へ処理を進める。
【0064】
ステップS015にて制御装置40は、当該処理の時間間隔内でのNOx排出量と走行距離を算出する。制御装置40は、内燃機関回転数(運転状態)と、内燃機関トルク(内燃機関負荷)と、NOx排出量特性と、当該処理の所定時間間隔と、に基づいて所定時間間隔でのNOx排出量を算出し、算出したNOx排出量をNOx排出量積算値に積算する。また制御装置40は、当該処理の所定時間間隔と、車速センサ98を用いて検出した車速に基づいて、所定時間間隔での走行距離を算出し、算出した走行距離を走行距離積算値に積算する。例えばNOx排出量積算値と走行距離積算値は、不揮発性メモリに記憶され、走行距離積算値が所定距離(例えば1000[km])に達するごとや、燃料の補給を検出するごとにリセットされる(フローチャートの図示は省略)。そして制御装置40は、ステップS020へ処理を進める。
【0065】
ステップS020の処理は、第1の実施の形態(
図8)と同様であるので説明を省略する。そして制御装置40は、ステップS030へ処理を進める。
【0066】
ステップS030にて制御装置40は、第1の実施の形態(
図8)と同様に、触媒暖機条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS035へ処理を進め、成立していない場合(No)はステップS090へ処理を進める。例えば制御装置40は、排気温度センサ99hを用いて検出した触媒床温が触媒活性化温度未満の場合、触媒暖機条件が成立している、と判定する。
【0067】
ステップS035へ処理を進めた場合、制御装置40は、NOx排出量積算値/走行距離積算値が、所定閾値以下であるか否かを判定する。制御装置40は、NOx排出量積算値/走行距離積算値が所定閾値以下の場合(Yes)はステップS040へ処理を進め、NOx排出量積算値/走行距離積算値が所定閾値よりも大きい場合(No)はステップS045へ処理を進める。なお、制御装置40は、走行距離積算値が、ゼロまたは所定距離以下、の場合もステップS040へ処理を進める。
【0068】
ステップS040へ処理を進めた場合、制御装置40は、第1の実施の形態(
図8)と同様に、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、記憶装置に記憶している目標暖機トルク特性(1)と、に基づいて目標暖機トルク(Td)(「第1目標トルク」に相当)を算出して目標暖機トルク(Td)に記憶して、ステップS050へ処理を進める。
【0069】
ステップS045へ処理を進めた場合、制御装置40は、内燃機関回転数(内燃機関の運転状態)と、記憶装置に記憶している目標暖機トルク特性(2)と、に基づいて目標暖機トルク(Td)(「第2目標トルク」に相当)を算出して目標暖機トルク(Td)に記憶して、ステップS050へ処理を進める。
【0070】
以下のステップS050、ステップS060、ステップS070、ステップS090の処理は、第1の実施の形態(
図8)と同様であるので説明を省略する。
【0071】
第2の実施の形態では、走行距離積算値に対するNOx排出量積算値が所定閾値以下の場合では第1の実施の形態と同様に効率良く短時間で触媒暖機を行い、走行距離積算値に対するNOx排出量積算値が所定閾値よりも大きい場合ではNOx排出量を最小にするように触媒暖機を行う。
【0072】
本発明の、ハイブリッド車両は、本実施の形態で説明した構成、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えばハイブリッド車両の構成は、
図1に示す構成に限定されず、内燃機関システムの構成は、
図2に示す構成に限定されるものではない。
【0073】
また、
図4に示したNOx排出量特性と、
図5に示した排気熱量特性と、
図6に示した排気熱量/NOx排出量特性を、吸気温度ごとやクーラント温度(冷却水温度)ごとに用意して、吸気温度ごとやクーラント温度ごとに、
図7に示す目標暖機トルク特性(1)を作成して記憶装置に記憶しておいてもよい。この場合、
図8、
図11に示すフローチャートにおけるステップS040にて目標暖機トルク(Td)を求める際、吸気温度やクーラント温度に応じた目標暖機トルク特性(1)を用いて求めるようにしてもよい。同様に、
図9に示したNOx排出量特性を、吸気温度ごとやクーラント温度ごとに用意して、吸気温度ごとやクーラント温度ごとに、
図10に示す目標暖機トルク特性(2)を作成して記憶装置に記憶しておいてもよい。この場合、
図11に示すフローチャートにおけるステップS045にて目標暖機トルク(Td)を求める際、吸気温度やクーラント温度に応じた目標暖機トルク特性(2)を用いて求めるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ハイブリッド車両
2 内燃機関
2a クランクシャフト
3 モータジェネレータ
3a 電動機シャフト
5 過給機
6 吸気システム
7 排気システム
8 EGRシステム
11a、11b 前輪
12a、12b 後輪
13a、13b クラッチ
14 トランスミッション
15 ディファレンシャルギア
16 トランスミッションシャフト
17 プロペラシャフト
18 ドライブシャフト
21 燃料噴射弁
31 インバータ
32 バッテリ
40 制御装置
41 CPU
41a ユーザ要求トルク算出部
41b 目標暖機トルク算出部
41c 触媒暖機処理部
51 タービン
52 可変ノズル機構
52a ノズルアクチュエータ
53 コンプレッサ
61a、61b 吸気管
62 吸気マニホールド
63 インタークーラ
64 スロットル弁
64a スロットルアクチュエータ
71 排気マニホールド
72a、72b 排気管
73 排ガス浄化装置
73a 触媒
81 EGR管
82 EGRクーラ
83 EGR弁
91 クランク角度センサ
92 カムポジションセンサ
93 エアフローセンサ
94 ノズル閉度センサ
95a~95c 圧力センサ
96a、96b 吸気温度センサ
97 アクセル開度センサ
98 車速センサ
99h 排気温度センサ
99w クーラント温度センサ