(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158939
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱拡散デバイス及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F28D 15/04 20060101AFI20241031BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20241031BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241031BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28D15/04 Z
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074589
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】向井 剛
(72)【発明者】
【氏名】森上 誠士
(72)【発明者】
【氏名】沼本 竜宏
(72)【発明者】
【氏名】藪原 侑樹
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322AA11
5E322DB12
5E322FA01
5F136CC12
5F136CC14
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA06
5F136GA12
(57)【要約】
【課題】液相の作動媒体の輸送を局所的に制御することが容易で、最大熱輸送量を向上させることが可能な熱拡散デバイスを提供する。
【解決手段】厚み方向Tに対向する第1内面10a及び第2内面10bを有し、かつ、内部空間が設けられた筐体10と、筐体10の内部空間に封入された作動媒体20と、筐体10の内部空間に設けられたウィック30と、を備え、ウィック30には、厚み方向Tにおいて筐体10の第1内面10aに近づく第1凸部51が周縁に位置する第1貫通孔41が設けられ、厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、第1貫通孔41が設けられた第1貫通孔配置領域61と、第1貫通孔41が設けられておらず、かつ、第1貫通孔配置領域61を横切る第1貫通孔非配置領域71と、を含む、熱拡散デバイス1A。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
前記筐体の前記内部空間に封入された作動媒体と、
前記筐体の前記内部空間に設けられたウィックと、を備え、
前記ウィックには、前記厚み方向において前記筐体の前記第1内面に近づく第1凸部が周縁に位置する第1貫通孔が設けられ、
前記厚み方向から見たとき、前記ウィックは、前記第1貫通孔が設けられた第1貫通孔配置領域と、前記第1貫通孔が設けられておらず、かつ、前記第1貫通孔配置領域を横切る第1貫通孔非配置領域と、を含む、ことを特徴とする熱拡散デバイス。
【請求項2】
前記厚み方向から見たとき、前記第1貫通孔非配置領域は、前記筐体の長手方向に垂直な方向に延びている、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項3】
前記厚み方向から見たとき、前記第1貫通孔非配置領域は、前記筐体の長手方向に平行な方向に延びている、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項4】
前記厚み方向から見たとき、前記第1貫通孔非配置領域は、交差部を有している、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項5】
前記厚み方向から見たとき、前記第1貫通孔非配置領域は、前記筐体の長手方向に垂直な方向と前記筐体の長手方向に平行な方向との両方向に延びている、請求項4に記載の熱拡散デバイス。
【請求項6】
前記第1貫通孔非配置領域において折り曲げられている、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項7】
前記ウィックには、前記厚み方向において前記筐体の前記第2内面に近づく第2凸部が周縁に位置する第2貫通孔が更に設けられている、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項8】
前記厚み方向から見たとき、前記ウィックは、前記第2貫通孔が設けられた第2貫通孔配置領域と、前記第2貫通孔が設けられておらず、かつ、前記第2貫通孔配置領域を横切る第2貫通孔非配置領域と、を更に含む、請求項7に記載の熱拡散デバイス。
【請求項9】
前記厚み方向から見たとき、前記第1貫通孔非配置領域及び前記第2貫通孔非配置領域は重なっている、請求項8に記載の熱拡散デバイス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱拡散デバイス及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、素子の高集積化及び高性能化により、発熱量が増加している。また、製品の小型化により、発熱密度が増加している。このような状況は、スマートフォン、タブレット等のモバイル端末の分野において特に顕著である。このような事情から、放熱対策を行うことが重要となっている。
【0003】
放熱対策用の部材としては、グラファイトシート等が用いられることが多いが、その熱輸送量は充分ではないため、熱を拡散させることが可能である様々な熱拡散デバイスの使用が検討されている。
【0004】
特許文献1には、外縁部で接合された対向する上部筐体シートと下部筐体シートとを含み、内部空間を有する筐体と、上記内部空間に封入された作動液と、上記下部筐体シートのうち上記内部空間に配置され、上記作動液の流路を構成するマイクロチャネルと、上記筐体の上記内部空間に配置され、上記マイクロチャネルに接触して配置されたシート状のウィックと、を備え、上記ウィックと上記マイクロチャネルの接触面積は、上記内部空間を平面視した面積に対して5%~40%である、ベーパーチャンバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、作動液(作動媒体とも言う)に対する毛細管力をウィックで発現しつつ、作動液の液体流路をマイクロチャネルで構成することにより、作動液の輸送を制御している。しかしながら、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、ウィック及びマイクロチャネルの2つの部材で作動液の輸送を制御しているため、2つの部材間での位置ずれが生じることで、作動液の輸送を局所的に制御することが困難である、という問題が生じる。
【0007】
更に、特許文献1に記載のベーパーチャンバーにおいて、最大熱輸送量を向上させるためには、ウィックとマイクロチャネルとを密着させる必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のベーパーチャンバーでは、例えば、特許文献1の
図4に示されているように、ウィックの孔とマイクロチャネルとが重なる部分において、ウィックとマイクロチャネルとが密着していないため、最大熱輸送量を向上させることができない、という問題が生じる。
【0008】
なお、上記の問題は、ベーパーチャンバーに限らず、ベーパーチャンバーと同様の構成によって熱を拡散させることが可能な熱拡散デバイスに共通する問題である。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、液相の作動媒体の輸送を局所的に制御することが容易で、最大熱輸送量を向上させることが可能な熱拡散デバイスを提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記熱拡散デバイスを有する電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱拡散デバイスは、厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、上記ウィックには、上記厚み方向において上記筐体の上記第1内面に近づく第1凸部が周縁に位置する第1貫通孔が設けられ、上記厚み方向から見たとき、上記ウィックは、上記第1貫通孔が設けられた第1貫通孔配置領域と、上記第1貫通孔が設けられておらず、かつ、上記第1貫通孔配置領域を横切る第1貫通孔非配置領域と、を含む、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の電子機器は、本発明の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液相の作動媒体の輸送を局所的に制御することが容易で、最大熱輸送量を向上させることが可能な熱拡散デバイスを提供できる。また、本発明によれば、上記熱拡散デバイスを有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分a1-a2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分b1-b2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1の変形例1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1の変形例2の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1の変形例3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2の変形例1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す斜視模式図である。
【
図13】
図13は、本発明の電子機器の一例を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の熱拡散デバイスと、本発明の電子機器とについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0015】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0016】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の熱拡散デバイス」及び「本発明の電子機器」と言う。
【0017】
以下の各実施形態では、本発明の熱拡散デバイスの一例として、ベーパーチャンバーを示す。本発明の熱拡散デバイスは、ヒートパイプ等の熱拡散デバイスにも適用可能である。
【0018】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
【0019】
本明細書中、要素間の関係性を示す用語(例えば、「平行」、「垂直」等)及び要素の形状を示す用語は、文字通りの厳密な態様のみを意味するだけではなく、実質的に同等な範囲、例えば、数%程度の差異を含む範囲も意味する。
【0020】
[熱拡散デバイス]
本発明の熱拡散デバイスは、厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、上記ウィックには、上記厚み方向において上記筐体の上記第1内面に近づく第1凸部が周縁に位置する第1貫通孔が設けられ、上記厚み方向から見たとき、上記ウィックは、上記第1貫通孔が設けられた第1貫通孔配置領域と、上記第1貫通孔が設けられておらず、かつ、上記第1貫通孔配置領域を横切る第1貫通孔非配置領域と、を含む、ことを特徴とする。
【0021】
<実施形態1>
本発明の実施形態1の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、第1貫通孔非配置領域は、筐体の長手方向に垂直な方向に延びている。
【0022】
図1は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
【0023】
図1に示すベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)1Aは、筐体10を有している。
【0024】
筐体10は、気密状態に密閉されており、中空構造を有している。
【0025】
筐体10の外面には、発熱素子である熱源HSが設けられている。
【0026】
熱源HSとしては、例えば、電子部品等が挙げられる。
【0027】
本明細書中、長さ方向、厚み方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。長さ方向Lと厚み方向Tと幅方向Wとは、互いに垂直の関係にある。また、厚み方向Tに垂直な方向であって、長さ方向L及び幅方向Wを包含する方向を、面方向とする。
【0028】
ベーパーチャンバー1Aは、全体として面状であることが好ましい。すなわち、筐体10は、全体として面状であることが好ましい。
【0029】
本明細書中、面状とは、板状及びシート状を包含する形状であり、長さ方向の寸法及び幅方向の寸法が、厚み方向の寸法に対して相当に大きい形状、例えば、長さ方向の寸法及び幅方向の寸法が、厚み方向の寸法の10倍以上、好ましくは100倍以上である形状を意味する。
【0030】
ベーパーチャンバー1Aの大きさは、特に限定されない。
【0031】
ベーパーチャンバー1Aの長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、各々、好ましくは5mm以上、500mm以下、より好ましくは20mm以上、300mm以下、更に好ましくは50mm以上、200mm以下である。
【0032】
ベーパーチャンバー1Aの長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0033】
ベーパーチャンバー1Aの厚み方向Tの寸法は、好ましくは50μm以上、500μm以下である。
【0034】
ベーパーチャンバー1Aの長さ方向Lの寸法、厚み方向Tの寸法、及び、幅方向Wの寸法は、各々、長さ方向L、厚み方向T、及び、幅方向Wの最大寸法として定められる。
【0035】
筐体10は、外縁部同士が接合された第1シート11及び第2シート12で構成されることが好ましい。この場合、第1シート11と第2シート12とは、端部同士が一致するように重なっていてもよいし、端部同士がずれて重なっていてもよい。
【0036】
第1シート11及び第2シート12の外縁部同士の接合方法としては、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、ロウ接、TIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)、超音波接合、樹脂封止等が挙げられる。中でも、レーザー溶接、抵抗溶接、又は、ロウ接が好ましい。
【0037】
第1シート11及び第2シート12の構成材料は、ベーパーチャンバーに適した特性、例えば、熱伝導性、強度、柔軟性、可撓性等を有するものであれば、特に限定されない。第1シート11及び第2シート12の構成材料は、好ましくは金属、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、これらの金属の少なくとも1種を主成分とする合金等であり、特に好ましくは銅又はアルミニウムである。
【0038】
第1シート11及び第2シート12の構成材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0039】
第1シート11及び第2シート12の構成材料が互いに異なる場合、第1シート11及び第2シート12で異なる機能を発揮させることができる。このような機能としては、特に限定されないが、例えば、熱伝導機能、電磁波シールド機能等が挙げられる。
【0040】
第1シート11及び第2シート12の形状は、特に限定されない。例えば、第1シート11は、厚み方向Tの寸法が一定の平板状であり、第2シート12は、外縁部が外縁部以外の部分よりも厚み方向Tの寸法が大きい形状であってもよい。あるいは、第1シート11は、厚み方向Tの寸法が一定の平板状であり、第2シート12は、厚み方向Tの寸法が一定で、かつ、外縁部に対して外縁部以外の部分が外側に凸の形状であってもよい。この場合、筐体10の外縁部に凹みが設けられることになる。このような筐体10の外縁部の凹みは、ベーパーチャンバー1Aを搭載する際に利用可能である。また、筐体10の外縁部の凹みには、他の部品を配置できる。
【0041】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、好ましくは10μm以上、200μm以下、より好ましくは30μm以上、100μm以下、更に好ましくは40μm以上、60μm以下である。
【0042】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0043】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、全体にわたって同じであってもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0044】
第1シート11及び第2シート12の厚み方向Tの寸法は、各々、厚み方向Tの最大寸法として定められる。
【0045】
厚み方向Tから見たときの筐体10の平面形状としては、例えば、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。また、筐体10の平面形状は、L字型、C字型(コの字型)、階段型等であってもよい。また、筐体10には、厚み方向Tに貫通口が設けられていてもよい。筐体10の平面形状は、ベーパーチャンバー1Aの用途に応じた形状であってもよいし、ベーパーチャンバー1Aの搭載箇所に応じた形状であってもよいし、近傍に存在する他の部品に応じた形状であってもよい。
【0046】
筐体10の大きさは、特に限定されない。
【0047】
筐体10の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、各々、好ましくは5mm以上、500mm以下、より好ましくは20mm以上、300mm以下、更に好ましくは50mm以上、200mm以下である。
【0048】
筐体10の長さ方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0049】
筐体10の厚み方向Tの寸法は、好ましくは50μm以上、500μm以下である。
【0050】
筐体10の長さ方向Lの寸法、厚み方向Tの寸法、及び、幅方向Wの寸法は、各々、長さ方向L、厚み方向T、及び、幅方向Wの最大寸法として定められる。
【0051】
図1では、筐体10が第1シート11及び第2シート12の2つのシートで構成される態様を例示したが、筐体10は、1つのシートで構成されてもよいし、3つ以上のシートで構成されてもよい。
【0052】
図2は、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
図3は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分a1-a2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
図4は、
図2に示す熱拡散デバイスの線分b1-b2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。
【0053】
図2、
図3、及び、
図4に示すベーパーチャンバー1Aは、筐体10と、作動媒体20と、ウィック30と、を有している。
【0054】
図3及び
図4に示すように、筐体10は、厚み方向Tに対向する第1内面10a及び第2内面10bを有している。
【0055】
図3及び
図4に示す例では、筐体10が第1シート11及び第2シート12で構成されており、第1シート11の内面が筐体10の第1内面10aに該当し、第2シート12の内面が筐体10の第2内面10bに該当する。
【0056】
筐体10には、内部空間が設けられている。より具体的には、筐体10には、第1内面10a及び第2内面10bで囲まれた内部空間が設けられている。
【0057】
図2に示すように、筐体10は、蒸発部EPを内部空間に有していることが好ましい。
【0058】
蒸発部EPは、後述する液相の作動媒体20を蒸発させて、気相の作動媒体20に変化させる部分である。より具体的には、蒸発部EPは、筐体10の内部空間のうち、
図1に示す熱源HSの近傍部分であって、熱源HSによって加熱される部分に該当する。
【0059】
蒸発部EPの数は、熱源HSの数に応じて、
図2に示すように1つのみであってもよいし、複数であってもよい。つまり、筐体10の外面には、熱源HSが、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0060】
熱源HSは、筐体10の第1内面10aと反対側の外面、ここでは、第1シート11の外面に設けられていてもよいし、筐体10の第2内面10bと反対側の外面、ここでは、第2シート12の外面に設けられていてもよい。
【0061】
図2、
図3、及び、
図4に示すように、作動媒体20は、筐体10の内部空間に封入されている。
【0062】
作動媒体20は、筐体10内の環境下において気-液の相変化を生じ得るものであれば、特に限定されない。作動媒体20としては、例えば、水、アルコール類、代替フロン等が挙げられる。作動媒体20は、水性化合物であることが好ましく、中でも、水であることが特に好ましい。
【0063】
図2、
図3、及び、
図4に示すように、ウィック30は、筐体10の内部空間に設けられている。
【0064】
ウィック30は、毛細管力により液相の作動媒体20を移動させることができる毛細管構造を有している。
【0065】
ウィック30の毛細管構造としては、従来の熱拡散デバイス(ベーパーチャンバー等)で用いられる公知の構造であってもよい。このような毛細管構造としては、細孔、溝、突起等の凹凸を有する微細構造、例えば、多孔構造、繊維構造、溝構造、網目構造等が挙げられる。
【0066】
ウィック30は、液相の作動媒体20を毛細管力により吸い上げて輸送する液輸送部として機能する。
【0067】
厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、筐体10の内部空間において連続して設けられていることが好ましい。例えば、厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、筐体10の内部空間の全体に設けられていてもよいし、筐体10の内部空間の一部に設けられていてもよい。
【0068】
ウィック30は、多孔質体で構成されることが好ましい。
【0069】
多孔質体としては、例えば、焼結体、不織布、メッシュ、エッチング多孔板、繊維束等が挙げられる。
【0070】
焼結体としては、例えば、金属多孔質焼結体、セラミックス多孔質焼結体等が挙げられる。中でも、金属多孔質焼結体が好ましく、銅又はニッケルの多孔質焼結体がより好ましい。
【0071】
不織布としては、例えば、金属不織布等が挙げられる。ウィック30は、不織布で構成される場合、安価に作製可能である。
【0072】
メッシュとしては、例えば、金属メッシュ、樹脂メッシュ、表面コートされたこれらのメッシュ等が挙げられる。中でも、銅メッシュ、ステンレス(SUS)メッシュ、又は、ポリエステルメッシュが好ましい。ウィック30は、メッシュで構成される場合、安価に作製可能である。
【0073】
エッチング多孔板は、例えば、平板状の金属板をエッチング加工することにより作製される。ウィック30は、このように作製されたエッチング多孔板で構成される場合、平坦性に優れたものとなる。
【0074】
繊維束は、例えば、複数の繊維を線状に束ねることにより作製される。繊維束は、液相の作動媒体20を毛細管力により吸い上げて保持する液保持部として機能しつつ、吸い上げた液相の作動媒体20を輸送する液輸送部としても機能する。
【0075】
ウィック30は、繊維束で構成される場合、編み込み状の繊維束で構成されることが好ましい。複数の繊維が編み込まれた編み込み状の繊維束では、表面に凹凸が存在しやすくなるため、ウィック30が編み込み状の繊維束で構成される場合、液相の作動媒体20が輸送されやすくなる。
【0076】
繊維束を構成する繊維としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属線、カーボン繊維、ガラス繊維等の非金属線等が挙げられる。中でも、金属線は、熱伝導率が高いことから好ましい。例えば、直径が0.03mm程度の銅線を200本程度束ねることにより、繊維束とすることができる。
【0077】
ウィック30の厚み方向Tの寸法は、好ましくは2μm以上、200μm以下、より好ましくは5μm以上、100μm以下、更に好ましくは10μm以上、40μm以下である。
【0078】
ウィック30の厚み方向Tの寸法は、全体にわたって同じであってもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0079】
図2及び
図3に示すように、ウィック30には、第1貫通孔41が設けられている。
【0080】
第1貫通孔41は、作動媒体20に対する毛細管力を発現する。つまり、作動媒体20は、第1貫通孔41の内部において、毛細管力により移動する。
【0081】
図2及び
図3に示すように、第1貫通孔41の周縁には、厚み方向Tにおいて筐体10の第1内面10aに近づく第1凸部51が位置している。
【0082】
ウィック30と筐体10の第1内面10aとの間の領域、より具体的には、第1貫通孔41の周縁に位置する第1凸部51と筐体10の第1内面10aとの間の領域は、液相の作動媒体20を主として含む液体流路を構成している。
【0083】
液体流路は、液相の作動媒体20が主として存在すると言える領域であれば、気相の作動媒体20を含んでいてもよい。
【0084】
以上のように、ベーパーチャンバー1Aでは、ウィック30で、液相の作動媒体20に対する毛細管力を発現しつつ、液相の作動媒体20の液体流路を構成することにより、液相の作動媒体20の輸送を制御できる。
【0085】
特許文献1に記載のベーパーチャンバーのように、2つの部材で液相の作動媒体の輸送を制御する構成では、2つの部材間での位置ずれが生じることで、液相の作動媒体の輸送を局所的に制御することが困難である。これに対して、ベーパーチャンバー1Aでは、ウィック30という1つの部材で液相の作動媒体20の輸送を制御できるため、液相の作動媒体20の輸送を局所的に制御することが容易である。
【0086】
厚み方向Tに垂直な断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状としては、特に限定されず、例えば、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。
【0087】
図2及び
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、厚み方向Tに垂直な断面を見たとき、複数の第1貫通孔41の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0088】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状は、特に限定されず、例えば、筐体10の第1内面10aに向かうにつれて、
図3に示すように第1貫通孔41の径(
図3では、長さ方向Lの寸法)が小さくなる形状であってもよいし、第1貫通孔41の径が大きくなる形状であってもよい。また、厚み方向Tに沿う断面を見たときの第1貫通孔41の断面形状は、筐体10の第1内面10aに向かって、第1貫通孔41の径が一定である形状であってもよい。
【0089】
図2及び
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の第1貫通孔41の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0090】
第1貫通孔41の大きさは、特に限定されない。例えば、第1貫通孔41の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、特に限定されない。
【0091】
図2及び
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、複数の第1貫通孔41の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の第1貫通孔41の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0092】
第1貫通孔41の寸法、形状、個数、配置等は、実際の製品において、
図2及び
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0093】
第1貫通孔41は、例えば、ウィック30に対して、一方主面から他方主面に向かって、
図3に示す例では、筐体10の第2内面10b側の主面から筐体10の第1内面10a側の主面に向かって、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成される。
【0094】
図2に示すように、第1凸部51は、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0095】
第1凸部51は、第1貫通孔41の周縁の一部に位置していてもよい。
【0096】
図2及び
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられていることに伴って、第1凸部51が複数存在しているが、複数の第1凸部51のうち、すべての第1凸部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の第1凸部51のうち、一部の第1凸部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の第1凸部51のうち、少なくとも一部の第1凸部51が、第1貫通孔41の周縁の全体に位置していてもよい。
【0097】
図3に示すように、第1凸部51は、筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接していることが好ましい。この場合、第1凸部51は、筐体10の第1内面10aに固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。例えば、第1凸部51は、筐体10の第1内面10aに接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。第1凸部51と筐体10の第1内面10aとの接合方法としては、例えば、拡散接合、超音波接合、スポット溶接等が挙げられる。
【0098】
第1凸部51は、筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接していなくてもよい。つまり、第1凸部51は、筐体10の第1内面10aから厚み方向Tに離れていてもよい。
【0099】
図2及び
図3に示す例では、第1凸部51が複数存在しているが、複数の第1凸部51のうち、すべての第1凸部51が、筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接していることが好ましい。複数の第1凸部51のうち、一部の第1凸部51が、筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接していてもよい。このように、複数の第1凸部51のうち、少なくとも1つの第1凸部51が、筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接していてもよい。
【0100】
複数の第1凸部51が筐体10の第1内面10aに厚み方向Tで接している場合、複数の第1凸部51のうち、少なくとも1つの第1凸部51が、筐体10の第1内面10aに固定されていてもよい。例えば、複数の第1凸部51のうち、少なくとも1つの第1凸部51が、筐体10の第1内面10aに接合されていてもよい。より具体的には、複数の第1凸部51のうち、すべての第1凸部51が筐体10の第1内面10aに接合されていてもよいし、一部の第1凸部51が筐体10の第1内面10aに接合されていてもよい。
【0101】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの第1凸部51の断面形状は、特に限定されず、筐体10の第1内面10aに向かうにつれて、
図3に示すように第1凸部51の内壁間の距離(
図3では、長さ方向Lの距離)が小さくなる形状であってもよいし、第1凸部51の内壁間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、第1凸部51の断面形状は、筐体10の第1内面10aに向かって、第1凸部51の内壁間の距離が一定である形状であってもよい。
【0102】
第1凸部51は、筐体10の第1内面10a側の端部において、第1貫通孔41側(内側)に屈曲していてもよいし、第1貫通孔41と反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0103】
図2及び
図3に示す例では、第1凸部51が複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の第1凸部51の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0104】
第1凸部51の大きさは、特に限定されない。例えば、第1凸部51の厚み方向Tの寸法は、第1貫通孔41の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、第1貫通孔41の面方向の寸法よりも小さくてもよいし、第1貫通孔41の面方向の寸法と同じでもよい。
【0105】
図2及び
図3に示す例では、第1凸部51が複数存在しているが、複数の第1凸部51の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の第1凸部51の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0106】
第1凸部51の寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図2及び
図3に示す例と異なっていてもよい。
【0107】
第1凸部51は、例えば、第1貫通孔41と同様に、ウィック30に対して、一方主面から他方主面に向かって、
図3に示す例では、筐体10の第2内面10b側の主面から筐体10の第1内面10a側の主面に向かって、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成される。第1凸部51は、第1貫通孔41と同じタイミングで形成されてもよいし、第1貫通孔41と別のタイミングで形成されてもよい。プレス加工による打ち抜きを行う際に、打ち抜きの深さ等を調整することによって、第1凸部51の形状等を調整できる。なお、打ち抜きの深さとは、例えば、パンチによって打ち抜きを行う際、打ち抜き方向におけるパンチの押し込み量を意味する。
【0108】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、第1貫通孔41が設けられた第1貫通孔配置領域61と、第1貫通孔41が設けられていない第1貫通孔非配置領域71と、を含んでいる。
【0109】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61を横切っている。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部を横切っている。
【0110】
本明細書中、第1貫通孔非配置領域は、第1貫通孔が設けられていない領域であって、短手方向(
図2に示す例では、長さ方向L)の最小寸法が、第1貫通孔配置領域に設けられた第1貫通孔の中心間距離(ピッチ)の最小値の2倍よりも大きい領域を指す。
【0111】
ベーパーチャンバー1Aでは、ウィック30において、第1貫通孔非配置領域71が第1貫通孔配置領域61を横切るように設けられていることにより、第1貫通孔非配置領域71が設けられていない構成と比較して、液相の作動媒体20に対する第1貫通孔非配置領域71の流体抵抗分だけ、液相の作動媒体20に対するウィック30の全体の流体抵抗が下がる。そのため、ベーパーチャンバー1Aでは、液相の作動媒体20の輸送にあたって、液相の作動媒体20の圧力損失が小さくなり、結果的に、最大熱輸送量が向上する。
【0112】
特許文献1に記載のベーパーチャンバーのように、2つの部材で液相の作動媒体の輸送を制御する構成では、最大熱輸送量を向上させるために2つの部材を密着させる必要がある。これに対して、ベーパーチャンバー1Aでは、ウィック30という1つの部材で液相の作動媒体20の輸送を制御できるため、上述した部材間の密着の問題が生じることなく、最大熱輸送量を向上させることができる。
【0113】
以上のことから、ベーパーチャンバー1Aによれば、液相の作動媒体20の輸送を局所的に制御することが容易で、最大熱輸送量を向上させることが可能な熱拡散デバイスを実現できる。
【0114】
筐体10の内部空間において、液体流路以外の領域、より具体的には、ウィック30と筐体10の第2内面10bとの間の領域は、気相の作動媒体20を主として含む蒸気流路を構成している。
【0115】
蒸気流路は、気相の作動媒体20が主として存在すると言える領域であれば、液相の作動媒体20を含んでいてもよい。
【0116】
ベーパーチャンバー1Aは、以下のようにして作動する。
【0117】
ベーパーチャンバー1Aにおいて、液相の作動媒体20は、蒸発部EP近傍の領域に存在するウィック30及び液体流路において、熱源HSからの熱を吸収することで蒸発し、気相の作動媒体20に変化する。そして、蒸発部EPで発生した気相の作動媒体20は、蒸気流路を通って、蒸発部EPから離れた領域、例えば、蒸気流路の長さ方向Lにおける蒸発部EPと反対側の端部周辺に移動し、そこで冷却されて液相の作動媒体20に変化する。以下では、気相の作動媒体20が凝縮して液相の作動媒体20に変化する部分を、凝縮部と言う。凝縮部は、蒸発部EPから離れた領域、例えば、筐体10の内部空間の長さ方向Lにおける蒸発部EPと反対側の端部周辺に位置しやすい。そして、凝縮部で発生した液相の作動媒体20は、ウィック30及び液体流路に回収された後、蒸発部EPに輸送される。
【0118】
ベーパーチャンバー1Aでは、以上の過程が繰り返されることにより、作動媒体20が気-液の相変化を生じつつ循環する。この際、熱源HSからの熱は、蒸発部EPにおいて液相の作動媒体20を気相の作動媒体20に変化させる蒸発潜熱として吸収された後、凝縮部(例えば、蒸発部EPから長さ方向Lに離れた領域)において気相の作動媒体20を液相の作動媒体20に変化させる凝縮潜熱として放出される。このようにして、ベーパーチャンバー1Aは、外部動力を必要とすることなく自立的に作動し、更には、作動媒体20の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用することにより、熱源HSからの熱を二次元的に高速で拡散できる。
【0119】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に垂直な方向に延びている。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、長さ方向Lに垂直な幅方向Wに延びている。
【0120】
ベーパーチャンバー1Aが作動する際、
図2に示す例において、凝縮部で発生した液相の作動媒体20、ここでは、蒸発部EPから長さ方向Lに離れた領域で発生した液相の作動媒体20は、ウィック30及び液体流路に回収された後、筐体10の長手方向に働く毛細管力、ここでは、長さ方向Lに働く毛細管力によって、蒸発部EPに輸送される。この際、厚み方向Tから見たときに、第1貫通孔非配置領域71が、筐体10の長手方向に垂直な方向、ここでは、幅方向Wに延びていると、毛細管力によって長さ方向Lに輸送される液相の作動媒体20に対して、ウィック30の全体の流体抵抗が下がりやすくなる。そのため、ベーパーチャンバー1Aでは、液相の作動媒体20の輸送にあたって、液相の作動媒体20の圧力損失が小さくなりやすく、結果的に、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0121】
本明細書中、長手方向は、厚み方向に垂直な長さ方向及び幅方向のうち、厚み方向から見たときの寸法がより長い方の方向を指す。また、短手方向は、厚み方向に垂直な長さ方向及び幅方向のうち、厚み方向から見たときの寸法がより短い方の方向を指す。なお、長さ方向及び幅方向の寸法が同じである場合は、長さ方向及び幅方向の一方を長手方向、長さ方向及び幅方向の他方を短手方向とする。
【0122】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っていてもよい。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、幅方向Wにおいて、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っている。これにより、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61を長さ方向Lに並ぶ2つの領域に区分している。
【0123】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っていなくてもよい。例えば、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部に届き、第1貫通孔配置領域61の他方端部に届かないように横切っていてもよいし、第1貫通孔配置領域61の一方端部に届かず、第1貫通孔配置領域61の他方端部に届くように横切っていてもよいし、第1貫通孔配置領域61の一方端部及び他方端部に届かないように横切っていてもよい。
【0124】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71の面積は、第1貫通孔配置領域61の面積よりも小さいことが好ましい。
図2に示す例では、第1貫通孔配置領域61が2つの領域に区分されているが、この場合の第1貫通孔配置領域61の面積は、区分された2つの領域の合計面積となる。第1貫通孔配置領域61が3つ以上の領域に区分されている場合も同様である。
【0125】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71の面積が、第1貫通孔配置領域61の面積と同等以上であると、液相の作動媒体20に対する毛細管力が働く第1貫通孔配置領域61が相対的に減少するため、液相の作動媒体20の輸送に係る液輸送能力が向上しにくくなることがある。
【0126】
ベーパーチャンバー1Aが作動する際、凝縮部から蒸発部EPへの液相の作動媒体20の輸送にあたって、液相の作動媒体20の圧力損失を小さくする観点から、第1貫通孔非配置領域71は、凝縮部から蒸発部EPへの経路の途中に設けられていることが好ましい。また、同様の観点から、第1貫通孔非配置領域71は、凝縮部及び蒸発部EPのうち、凝縮部に重なっていることが好ましく、蒸発部EPに重なっていないことが好ましい。このように、第1貫通孔非配置領域71は、凝縮部及び蒸発部EPのうち、蒸発部EPよりも凝縮部に重なっている方が好ましい。
【0127】
図2及び
図3に示す例では、第1貫通孔41が複数設けられているが、複数の第1貫通孔41は、第1貫通孔配置領域61において、第1貫通孔41の中心間距離(ピッチ)が一定となるように均等に設けられていることが好ましい。
【0128】
複数の第1貫通孔41は、第1貫通孔配置領域61において、第1貫通孔41の中心間距離(ピッチ)が一定とならないように設けられていてもよい。
【0129】
複数の第1貫通孔41は、第1貫通孔配置領域61において、
図2に示すように格子状に設けられていてもよいし、
図2と異なる配置態様、例えば、千鳥状に設けられていてもよい。
【0130】
図2及び
図4に示すように、ウィック30には、第2貫通孔42が更に設けられていることが好ましい。
【0131】
第2貫通孔42は、第1貫通孔41と同様に、作動媒体20に対する毛細管力を発現する。つまり、作動媒体20は、第2貫通孔42の内部において、毛細管力により移動する。
【0132】
図2及び
図4に示すように、第2貫通孔42の周縁には、厚み方向Tにおいて筐体10の第2内面10bに近づく第2凸部52が位置していることが好ましい。
【0133】
ウィック30と筐体10の第1内面10aとの間の領域、より具体的には、第2貫通孔42の周縁に位置する第2凸部52と筐体10の第1内面10aとの間の領域は、第1凸部51と筐体10の第1内面10aとの間の領域と同様に、液相の作動媒体20を主として含む液体流路を構成している。
【0134】
厚み方向Tに垂直な断面を見たときの第2貫通孔42の断面形状としては、特に限定されず、例えば、三角形、矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。
【0135】
図2及び
図4に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられているが、厚み方向Tに垂直な断面を見たとき、複数の第2貫通孔42の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0136】
厚み方向Tに垂直な断面を見たとき、第2貫通孔42の断面形状は、第1貫通孔41の断面形状と同じであってもよいし、第1貫通孔41の断面形状と異なっていてもよい。
【0137】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの第2貫通孔42の断面形状は、特に限定されず、例えば、筐体10の第2内面10bに向かうにつれて、
図4に示すように第2貫通孔42の径(
図4では、長さ方向Lの寸法)が小さくなる形状であってもよいし、第2貫通孔42の径が大きくなる形状であってもよい。また、厚み方向Tに沿う断面を見たときの第2貫通孔42の断面形状は、筐体10の第2内面10bに向かって、第2貫通孔42の径が一定である形状であってもよい。
【0138】
図2及び
図4に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の第2貫通孔42の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0139】
厚み方向Tに沿う断面を見たとき、第2貫通孔42の断面形状は、第1貫通孔41の断面形状と同じであってもよいし、第1貫通孔41の断面形状と異なっていてもよい。
【0140】
第2貫通孔42の大きさは、特に限定されない。例えば、第2貫通孔42の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、特に限定されない。
【0141】
図2及び
図4に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられているが、複数の第2貫通孔42の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の第2貫通孔42の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0142】
第2貫通孔42の大きさは、第1貫通孔41の大きさと同じであってもよいし、第1貫通孔41の大きさと異なっていてもよい。例えば、第2貫通孔42の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法は、第1貫通孔41の面方向の寸法と同じであってもよいし、第1貫通孔41の面方向の寸法と異なっていてもよい。
【0143】
第2貫通孔42の寸法、形状、個数、配置等は、実際の製品において、
図2及び
図4に示す例と異なっていてもよい。
【0144】
第2貫通孔42は、例えば、ウィック30に対して、一方主面から他方主面に向かって、
図4に示す例では、筐体10の第1内面10a側の主面から筐体10の第2内面10b側の主面に向かって、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成される。
【0145】
図2に示すように、第2凸部52は、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していることが好ましい。
【0146】
第2凸部52は、第2貫通孔42の周縁の一部に位置していてもよい。
【0147】
図2及び
図4に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられていることに伴って、第2凸部52が複数存在しているが、複数の第2凸部52のうち、すべての第2凸部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していることが好ましい。複数の第2凸部52のうち、一部の第2凸部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していてもよい。このように、複数の第2凸部52のうち、少なくとも一部の第2凸部52が、第2貫通孔42の周縁の全体に位置していてもよい。
【0148】
厚み方向Tに沿う断面を見たときの第2凸部52の断面形状は、特に限定されず、筐体10の第2内面10bに向かうにつれて、
図4に示すように第2凸部52の内壁間の距離(
図4では、長さ方向Lの距離)が小さくなる形状であってもよいし、第2凸部52の内壁間の距離が大きくなる形状であってもよい。また、第2凸部52の断面形状は、筐体10の第2内面10bに向かって、第2凸部52の内壁間の距離が一定である形状であってもよい。
【0149】
第2凸部52は、筐体10の第2内面10b側の端部において、第2貫通孔42側(内側)に屈曲していてもよいし、第2貫通孔42と反対側(外側)に屈曲していてもよい。
【0150】
図2及び
図4に示す例では、第2凸部52が複数存在しているが、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、複数の第2凸部52の断面形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0151】
第2凸部52の大きさは、特に限定されない。例えば、第2凸部52の厚み方向Tの寸法は、第2貫通孔42の面方向(例えば、
図2では、長さ方向L又は幅方向W)の寸法よりも大きくてもよいし、第2貫通孔42の面方向の寸法よりも小さくてもよいし、第2貫通孔42の面方向の寸法と同じでもよい。
【0152】
図2及び
図4に示す例では、第2凸部52が複数存在しているが、複数の第2凸部52の大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の第2凸部52の厚み方向Tの寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
【0153】
第2凸部52の大きさは、第1凸部51の大きさと同じであってもよいし、第1凸部51の大きさと異なっていてもよい。例えば、第2凸部52の厚み方向Tの寸法は、第1凸部51の厚み方向Tの寸法と同じであってもよいし、第1凸部51の厚み方向Tの寸法と異なっていてもよい。
【0154】
第2凸部52の寸法、形状、配置等は、実際の製品において、
図2及び
図4に示す例と異なっていてもよい。
【0155】
第2凸部52は、例えば、第2貫通孔42と同様に、ウィック30に対して、一方主面から他方主面に向かって、
図4に示す例では、筐体10の第1内面10a側の主面から筐体10の第2内面10b側の主面に向かって、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成される。第2凸部52は、第2貫通孔42と同じタイミングで形成されてもよいし、第2貫通孔42と別のタイミングで形成されてもよい。プレス加工による打ち抜きを行う際に、打ち抜きの深さ等を調整することによって、第2凸部52の形状等を調整できる。
【0156】
第2貫通孔42及びその周縁に位置する第2凸部52は、第1貫通孔41及びその周縁に位置する第1凸部51と同じタイミングで形成されてもよいし、第1貫通孔41及びその周縁に位置する第1凸部51と別のタイミングで形成されてもよい。
【0157】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、ウィック30は、第2貫通孔42が設けられた第2貫通孔配置領域62と、第2貫通孔42が設けられていない第2貫通孔非配置領域72と、を更に含んでいることが好ましい。
【0158】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62を横切っていることが好ましい。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部を横切っている。
【0159】
本明細書中、第2貫通孔非配置領域は、第2貫通孔が設けられていない領域であって、短手方向(
図2に示す例では、長さ方向L)の最小寸法が、第2貫通孔配置領域に設けられた第2貫通孔の中心間距離(ピッチ)の最小値の2倍よりも大きい領域を指す。
【0160】
ベーパーチャンバー1Aでは、ウィック30において、第2貫通孔非配置領域72が第2貫通孔配置領域62を横切るように設けられていることにより、第2貫通孔非配置領域72が設けられていない構成と比較して、ウィック30と筐体10の第2内面10bとの間の蒸気流路が広がるため、熱拡散性が向上し、結果的に、最大熱輸送量が向上する。
【0161】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に垂直な方向に延びていてもよい。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、長さ方向Lに垂直な幅方向Wに延びている。
【0162】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っていてもよい。
図2に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、幅方向Wにおいて、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っている。これにより、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62を長さ方向Lに並ぶ2つの領域に区分している。
【0163】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っていなくてもよい。例えば、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に垂直な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部に届き、第2貫通孔配置領域62の他方端部に届かないように横切っていてもよいし、第2貫通孔配置領域62の一方端部に届かず、第2貫通孔配置領域62の他方端部に届くように横切っていてもよいし、第2貫通孔配置領域62の一方端部及び他方端部に届かないように横切っていてもよい。
【0164】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72の面積は、第2貫通孔配置領域62の面積よりも小さいことが好ましい。
図2に示す例では、第2貫通孔配置領域62が2つの領域に区分されているが、この場合の第2貫通孔配置領域62の面積は、区分された2つの領域の合計面積となる。第2貫通孔配置領域62が3つ以上の領域に区分されている場合も同様である。
【0165】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔配置領域62の面積は、第1貫通孔配置領域61の面積と同じであってもよいし、第1貫通孔配置領域61の面積と異なっていてもよい。
【0166】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72の面積は、第1貫通孔非配置領域71の面積と同じであってもよいし、第1貫通孔非配置領域71の面積と異なっていてもよい。
【0167】
第2貫通孔非配置領域72は、凝縮部から蒸発部EPへの経路の途中に設けられていることが好ましい。また、第2貫通孔非配置領域72は、凝縮部及び蒸発部EPのうち、凝縮部に重なっていてもよいし、蒸発部EPに重なっていてもよい。
【0168】
図2及び
図4に示す例では、第2貫通孔42が複数設けられているが、複数の第2貫通孔42は、第2貫通孔配置領域62において、第2貫通孔42の中心間距離(ピッチ)が一定となるように均等に設けられていることが好ましい。
【0169】
複数の第2貫通孔42は、第2貫通孔配置領域62において、第2貫通孔42の中心間距離(ピッチ)が一定とならないように設けられていてもよい。
【0170】
複数の第2貫通孔42は、第2貫通孔配置領域62において、
図2に示すように格子状に設けられていてもよいし、
図2と異なる配置態様、例えば、千鳥状に設けられていてもよい。
【0171】
複数の第1貫通孔41及び複数の第2貫通孔42は、全体として、
図2に示すように千鳥状に設けられていてもよいし、
図2と異なる配置態様、例えば、格子状に設けられていてもよい。
【0172】
図2に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71及び第2貫通孔非配置領域72は重なっていることが好ましい。
【0173】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71及び第2貫通孔非配置領域72は、両領域の全体同士が重なっていてもよいし、一方領域の全体と他方領域の一部とが重なっていてもよいし、両領域の一部同士が重なっていてもよい。
【0174】
ウィック30には、第2貫通孔42及びその周縁に位置する第2凸部52が設けられていなくてもよい。
【0175】
ウィック30には、第1貫通孔41及び第2貫通孔42以外の貫通孔が設けられていてもよい。例えば、ウィック30には、第1凸部51が周縁に位置する第1貫通孔41、及び、第2凸部52が周縁に位置する第2貫通孔42に加えて、凸部が周縁に位置しない貫通孔が設けられていてもよい。
【0176】
本発明の実施形態1の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たときの第1貫通孔非配置領域の位置は、
図2に示すような第1貫通孔配置領域の中央部を筐体の長手方向に垂直な方向に横切る位置に限定されず、
図2と異なる位置であってもよい。
【0177】
<実施形態1の変形例1>
図5は、本発明の実施形態1の変形例1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0178】
図5に示すベーパーチャンバー1Bにおいて、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部よりも蒸発部EPと反対側の位置を、筐体10の長手方向に垂直な方向、ここでは、幅方向Wに横切っている。
【0179】
図5に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部よりも蒸発部EPと反対側の位置を、筐体10の長手方向に垂直な方向、ここでは、幅方向Wに横切っていてもよい。
【0180】
<実施形態1の変形例2>
図6は、本発明の実施形態1の変形例2の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0181】
図6に示すベーパーチャンバー1Cにおいて、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部よりも蒸発部EP側の位置を、筐体10の長手方向に垂直な方向、ここでは、幅方向Wに横切っている。
【0182】
図6に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部よりも蒸発部EP側の位置を、筐体10の長手方向に垂直な方向、ここでは、幅方向Wに横切っていてもよい。
【0183】
本発明の実施形態1の熱拡散デバイスにおいて、第1貫通孔非配置領域の数は、
図2に示すような1つに限定されず、複数であってもよい。
【0184】
<実施形態1の変形例3>
図7は、本発明の実施形態1の変形例3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0185】
図7に示すベーパーチャンバー1Dにおいて、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61を2箇所で横切っている。つまり、
図7に示すように、ウィック30には、2つの第1貫通孔非配置領域71が含まれている。
【0186】
ウィック30には、3つ以上の第1貫通孔非配置領域71が含まれていてもよい。
【0187】
図7に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62を2箇所で横切っていてもよい。つまり、
図7に示すように、ウィック30には、2つの第2貫通孔非配置領域72が含まれていてもよい。
【0188】
ウィック30には、3つ以上の第2貫通孔非配置領域72が含まれていてもよい。
【0189】
<実施形態2>
本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、第1貫通孔非配置領域は、筐体の長手方向に平行な方向に延びている。本発明の実施形態2の熱拡散デバイスは、上記の点以外、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと同様である。
【0190】
図8は、本発明の実施形態2の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0191】
図8に示すベーパーチャンバー2Aにおいて、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に平行な方向に延びている。
図8に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、長さ方向Lに延びている。
【0192】
ベーパーチャンバー2Aが作動する際、
図8に示す例において、凝縮部で発生した液相の作動媒体20、ここでは、蒸発部EPから長さ方向Lに離れた領域で発生した液相の作動媒体20は、ウィック30及び液体流路に回収された後、筐体10の長手方向に働く毛細管力、ここでは、長さ方向Lに働く毛細管力によって、蒸発部EPに輸送される。この際、厚み方向Tから見たときに、第1貫通孔非配置領域71が、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに延びていると、第1貫通孔非配置領域71によって区分された第1貫通孔配置領域61のうち、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法が大きい方の領域、ここでは、幅方向Wの最大寸法が大きい方の領域(
図8では、第1貫通孔非配置領域71の右側の領域)において、液相の作動媒体20に対する流体抵抗が小さくなる。そのため、ベーパーチャンバー2Aでは、第1貫通孔配置領域61のうち、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法が大きい方の領域、ここでは、幅方向Wの最大寸法が大きい方の領域において、液相の作動媒体20が回収されやすくなる。したがって、ベーパーチャンバー2Aでは、液相の作動媒体20の輸送に係る液輸送能力が向上しやすくなり、結果的に、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0193】
図8に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っていてもよい。
図8に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、長さ方向Lにおいて、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っている。これにより、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61を幅方向Wに並ぶ2つの領域に区分している。
【0194】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部から他方端部にわたって横切っていなくてもよい。例えば、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第1貫通孔配置領域61の一方端部に届き、第1貫通孔配置領域61の他方端部に届かないように横切っていてもよいし、第1貫通孔配置領域61の一方端部に届かず、第1貫通孔配置領域61の他方端部に届くように横切っていてもよいし、第1貫通孔配置領域61の一方端部及び他方端部に届かないように横切っていてもよい。
【0195】
ベーパーチャンバー2Aが作動する際、液相の作動媒体20の回収効率を向上させる観点から、第1貫通孔配置領域61のうち、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法が大きい方の領域、ここでは、幅方向Wの最大寸法が大きい方の領域は、凝縮部、ここでは、蒸発部EPから長さ方向Lに離れた領域に重なっていることが好ましい。
【0196】
図8に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部よりも、筐体10の長手方向に垂直な方向における一方端部側の位置、ここでは、幅方向Wにおける一方端部側の位置(
図8では、幅方向Wにおける左側の位置)を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。
【0197】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部よりも、筐体10の長手方向に垂直な方向における他方端部側の位置、ここでは、幅方向Wにおける他方端部側の位置(
図8では、幅方向Wにおける右側の位置)を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。
【0198】
厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、第1貫通孔配置領域61の中央部を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。この場合、第1貫通孔配置領域61は、第1貫通孔非配置領域71によって、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法、ここでは、幅方向Wの最大寸法が同等である領域に区分されるため、各々の領域において液相の作動媒体20の回収効率が同等となる。
【0199】
図8に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に平行な方向に延びていてもよい。
図8に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、長さ方向Lに延びている。
【0200】
図8に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っていてもよい。
図8に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、長さ方向Lにおいて、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っている。これにより、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62を幅方向Wに並ぶ2つの領域に区分している。
【0201】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部から他方端部にわたって横切っていなくてもよい。例えば、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に平行な方向において、第2貫通孔配置領域62の一方端部に届き、第2貫通孔配置領域62の他方端部に届かないように横切っていてもよいし、第2貫通孔配置領域62の一方端部に届かず、第2貫通孔配置領域62の他方端部に届くように横切っていてもよいし、第2貫通孔配置領域62の一方端部及び他方端部に届かないように横切っていてもよい。
【0202】
図8に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部よりも、筐体10の長手方向に垂直な方向における一方端部側の位置、ここでは、幅方向Wにおける一方端部側の位置(
図8では、幅方向Wにおける左側の位置)を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。
【0203】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部よりも、筐体10の長手方向に垂直な方向における他方端部側の位置、ここでは、幅方向Wにおける他方端部側の位置(
図8では、幅方向Wにおける右側の位置)を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。
【0204】
厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、第2貫通孔配置領域62の中央部を、筐体10の長手方向に平行な方向、ここでは、長さ方向Lに横切っていてもよい。
【0205】
本発明の実施形態2の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向Tから見たときの筐体10の平面形状は、
図8に示すような矩形に限定されず、
図8と異なる形状であってもよい。
【0206】
<実施形態2の変形例1>
図9は、本発明の実施形態2の変形例1の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0207】
図9に示すベーパーチャンバー2Bにおいて、厚み方向Tから見たときの筐体10の平面形状は、L字型である。
【0208】
ベーパーチャンバー2Bでは、第1貫通孔非配置領域71によって区分された第1貫通孔配置領域61のうち、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法が大きい方の領域、ここでは、幅方向Wの最大寸法が大きい方の領域(
図9では、第1貫通孔非配置領域71の右側の領域)において、液相の作動媒体20に対する流体抵抗が小さくなることで液相の作動媒体20が回収されやすくなる。これに対して、ベーパーチャンバー2Bでは、筐体10の内部空間において、蒸発部EPから最も離れた角部周辺の領域(
図9では、右下の角部周辺の領域)に、凝縮した液相の作動媒体20が溜まりやすいが、液相の作動媒体20が溜まりやすい領域に、第1貫通孔配置領域61のうち、筐体10の長手方向に垂直な方向の最大寸法が大きい方の領域、ここでは、幅方向Wの最大寸法が大きい方の領域が位置しているため、液相の作動媒体20の回収効率が向上しやすくなる。
【0209】
図9に示す例において、第1貫通孔非配置領域71は蒸発部EPに重なっているが、第1貫通孔非配置領域71は蒸発部EPに重なっていないことが好ましい。
【0210】
なお、本発明の他の実施形態の熱拡散デバイスにおいても、厚み方向から見たときの筐体の平面形状は、矩形に限定されず、L字型等の矩形以外の形状であってもよい。
【0211】
<実施形態3>
本発明の実施形態3の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、第1貫通孔非配置領域は、交差部を有している。更に、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、第1貫通孔非配置領域は、筐体の長手方向に垂直な方向と筐体の長手方向に平行な方向との両方向に延びている。本発明の実施形態3の熱拡散デバイスは、上記の点以外、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと同様である。
【0212】
図10は、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す平面模式図である。
【0213】
図10に示すベーパーチャンバー3Aにおいて、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、交差部を有している。
【0214】
図10に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、筐体10の長手方向に垂直な方向と筐体10の長手方向に平行な方向との両方向に延びている。
図10に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第1貫通孔非配置領域71は、幅方向Wと長さ方向Lとの両方向に延びている。
【0215】
ベーパーチャンバー3Aでは、ウィック30において、第1貫通孔非配置領域71が交差部を有するように、筐体10の長手方向に垂直な方向と筐体10の長手方向に平行な方向との両方向、ここでは、幅方向Wと長さ方向Lとの両方向に延びていることにより、ベーパーチャンバー1A(
図2参照)及びベーパーチャンバー2A(
図8参照)を組み合わせた作用効果が得られる。すなわち、ベーパーチャンバー3Aでは、液相の作動媒体20の輸送にあたって、液相の作動媒体20の圧力損失が小さくなりやすく、更には、液相の作動媒体20が回収されやすくなる。その結果、ベーパーチャンバー3Aでは、最大熱輸送量が向上しやすくなる。
【0216】
図10に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、交差部を有していてもよい。
【0217】
図10に示すように、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、筐体10の長手方向に垂直な方向と筐体10の長手方向に平行な方向との両方向に延びていてもよい。
図10に示す例において、厚み方向Tから見たとき、第2貫通孔非配置領域72は、幅方向Wと長さ方向Lとの両方向に延びている。
【0218】
なお、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、第1貫通孔非配置領域は、交差部を有するように
図10と異なる複数の方向に延びていてもよい。また、本発明の実施形態3の熱拡散デバイスにおいて、第2貫通孔非配置領域は、交差部を有するように
図10と異なる複数の方向に延びていてもよい。
【0219】
<実施形態4>
本発明の実施形態4の熱拡散デバイスは、第1貫通孔非配置領域において折り曲げられている。本発明の実施形態4の熱拡散デバイスは、上記の点以外、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスと同様である。
【0220】
以下では、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスの一例として、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスが第1貫通孔非配置領域において折り曲げられた構成について説明する。本発明の他の実施形態の熱拡散デバイスが第1貫通孔非配置領域において折り曲げられた構成についても同様である。
【0221】
図11は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスの一例を示す斜視模式図である。
図12は、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスの内部構造の一例を示す斜視模式図である。
【0222】
図11及び
図12に示すベーパーチャンバー1A’は、第1貫通孔非配置領域71において折り曲げられている。より具体的には、ベーパーチャンバー1A’は、ベーパーチャンバー1A(
図1及び
図2参照)が第1貫通孔非配置領域71において折り曲げられたものである。
【0223】
ベーパーチャンバー1A’が折り曲げられた第1貫通孔非配置領域71には、第1貫通孔41及び第1凸部51が設けられていないため、折り曲げによる応力がウィック30に生じにくくなる。そのため、ベーパーチャンバー1A’では、ウィック30が折り曲げ時に破損しにくくなる。
【0224】
図12に示すように、ベーパーチャンバー1A’は、第2貫通孔非配置領域72において折り曲げられていてもよい。
【0225】
図12に示すように第1貫通孔非配置領域71及び第2貫通孔非配置領域72が重なっている場合、ベーパーチャンバー1A’を得るにあたって、ベーパーチャンバー1Aを第1貫通孔非配置領域71及び第2貫通孔非配置領域72において折り曲げやすくなる。
【0226】
なお、本発明の実施形態4の熱拡散デバイスにおいて、折り曲げ角度は、
図11及び
図12に示すような略90°に限定されず、
図11及び
図12と異なる角度であってもよい。
【0227】
本発明の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、蒸発部は、
図2、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10、及び、
図12に示すように筐体の内縁寄りに設けられていてもよいし、筐体の中央部寄りに設けられていてもよい。このように、本発明の熱拡散デバイスにおいて、厚み方向から見たとき、蒸発部は、筐体の内縁又はその周辺に設けられていてもよいし、筐体の中央部又はその周辺に設けられていてもよい。
【0228】
[電子機器]
本発明の電子機器は、本発明の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする。
【0229】
以下では、本発明の電子機器の一例として、本発明の実施形態1の熱拡散デバイスを有する電子機器について説明する。本発明の他の実施形態の熱拡散デバイスを有する電子機器についても同様である。
【0230】
図13は、本発明の電子機器の一例を示す斜視模式図である。
【0231】
図13に示す電子機器100は、ベーパーチャンバー1Aを有している。
【0232】
図13に示すように、電子機器100は、電子部品110を更に有していることが好ましい。
【0233】
図13に示すように、電子部品110は、ベーパーチャンバー1Aの筐体10の外面に設けられていることが好ましい。この場合、電子部品110を
図1に示す熱源HSとして、ベーパーチャンバー1Aが機能できる。
【0234】
電子部品110は、
図3及び
図4に示すベーパーチャンバー1Aの筐体10に対して、筐体10の第1内面10aと反対側の外面、ここでは、第1シート11の外面に設けられていてもよいし、筐体10の第2内面10bと反対側の外面、ここでは、第2シート12の外面に設けられていてもよい。
【0235】
電子部品110は、筐体10の外面に直に設けられていてもよいし、熱伝導性の高い粘着剤、シート、テープ等の他の部材を介して設けられていてもよい。
【0236】
電子部品110は、筐体10の外面に設けられたときに、厚み方向Tから見て蒸発部EPに重なっていることが好ましい。
【0237】
電子部品110としては、例えば、中央処理装置(CPU)、発光ダイオード(LED)、パワー半導体等の発熱素子が挙げられる。
【0238】
図13に示すように、電子機器100は、機器筐体120を更に有していることが好ましい。
【0239】
図13に示す例において、ベーパーチャンバー1A及び電子部品110は、機器筐体120の内部空間に設けられている。
【0240】
筐体10と機器筐体120とは、接合部材を介して接合されていることが好ましい。より具体的には、筐体10の外面と機器筐体120の内面とは、接合部材を介して接合されていることが好ましい。この場合、筐体10と機器筐体120との密着性が向上する。
【0241】
筐体10と機器筐体120とを接合する接合部材は、熱伝導性部材であることが好ましい。この場合、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱が、筐体10から機器筐体120へ伝導しやすくなる。つまり、筐体10から機器筐体120への経路によっても、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱が拡散しやすくなる。
【0242】
熱伝導性部材としては、例えば、熱伝導性テープ、熱伝導性粘着剤等が挙げられる。
【0243】
上述したように、ベーパーチャンバー1Aは、外部動力を必要とすることなく自立的に作動し、更には、作動媒体20の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用することにより、熱源HSからの熱、ここでは、電子部品110からの熱を二次元的に高速で拡散できる。以上のことから、ベーパーチャンバー1Aを有する電子機器100により、電子機器100の内部の限られたスペースにおいて、放熱を効果的に実現できる。
【0244】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0245】
<1>
厚み方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、
上記筐体の上記内部空間に設けられたウィックと、を備え、
上記ウィックには、上記厚み方向において上記筐体の上記第1内面に近づく第1凸部が周縁に位置する第1貫通孔が設けられ、
上記厚み方向から見たとき、上記ウィックは、上記第1貫通孔が設けられた第1貫通孔配置領域と、上記第1貫通孔が設けられておらず、かつ、上記第1貫通孔配置領域を横切る第1貫通孔非配置領域と、を含む、ことを特徴とする熱拡散デバイス。
【0246】
<2>
上記厚み方向から見たとき、上記第1貫通孔非配置領域は、上記筐体の長手方向に垂直な方向に延びている、<1>に記載の熱拡散デバイス。
【0247】
<3>
上記厚み方向から見たとき、上記第1貫通孔非配置領域は、上記筐体の長手方向に平行な方向に延びている、<1>に記載の熱拡散デバイス。
【0248】
<4>
上記厚み方向から見たとき、上記第1貫通孔非配置領域は、交差部を有している、<1>に記載の熱拡散デバイス。
【0249】
<5>
上記厚み方向から見たとき、上記第1貫通孔非配置領域は、上記筐体の長手方向に垂直な方向と上記筐体の長手方向に平行な方向との両方向に延びている、<4>に記載の熱拡散デバイス。
【0250】
<6>
上記第1貫通孔非配置領域において折り曲げられている、<1>~<5>のいずれかに記載の熱拡散デバイス。
【0251】
<7>
上記ウィックには、上記厚み方向において上記筐体の上記第2内面に近づく第2凸部が周縁に位置する第2貫通孔が更に設けられている、<1>~<6>のいずれかに記載の熱拡散デバイス。
【0252】
<8>
上記厚み方向から見たとき、上記ウィックは、上記第2貫通孔が設けられた第2貫通孔配置領域と、上記第2貫通孔が設けられておらず、かつ、上記第2貫通孔配置領域を横切る第2貫通孔非配置領域と、を更に含む、<7>に記載の熱拡散デバイス。
【0253】
<9>
上記厚み方向から見たとき、上記第1貫通孔非配置領域及び上記第2貫通孔非配置領域は重なっている、<8>に記載の熱拡散デバイス。
【0254】
<10>
<1>~<9>のいずれかに記載の熱拡散デバイスを備える、ことを特徴とする電子機器。
【産業上の利用可能性】
【0255】
本発明の熱拡散デバイスは、携帯情報端末等の分野において、広範な用途に使用可能である。本発明の熱拡散デバイスは、例えば、中央処理装置等の熱源の温度を下げ、電子機器の使用時間を延ばすために使用可能であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機器、ウェアラブルデバイス等の電子機器に使用可能である。
【符号の説明】
【0256】
1A、1A’、1B、1C、1D、2A、2B、3A ベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)
10 筐体
10a 第1内面
10b 第2内面
11 第1シート
12 第2シート
20 作動媒体
30 ウィック
41 第1貫通孔
42 第2貫通孔
51 第1凸部
52 第2凸部
61 第1貫通孔配置領域
62 第2貫通孔配置領域
71 第1貫通孔非配置領域
72 第2貫通孔非配置領域
100 電子機器
110 電子部品
120 機器筐体
EP 蒸発部
HS 熱源
L 長さ方向
T 厚み方向
W 幅方向