(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158952
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G08C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074615
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA12
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EF08
2F073EF09
2F073EF10
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG07
(57)【要約】
【課題】各々時系列に測定した複数の状態の測定データを、連続的な時系列データとして受信できるようにする。
【解決手段】統合回路102が、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成し、送信回路103は、複数の状態量の各々の送信データを、統合回路102が生成するとともに単位送信時間のn倍の時間間隔で逐次に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々異なる複数の状態量を第1時間毎に時系列に測定し、測定した測定値および前記測定値の測定時刻からなる測定データを前記第1時間以上の単位送信時間毎に送信する測定器と、前記測定器から送信された前記複数の状態量の各々の前記測定値を受け付ける受信装置とを備え、
前記測定器は、
前記複数の状態量の各々の前記測定データを、前記単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、前記複数の状態量の各々について前記単位送信時間ずつずらして逐次に生成するように構成された統合回路と、
前記複数の状態量の各々の前記送信データを、前記統合回路が生成するとともに前記単位送信時間のn倍の時間間隔で逐次に送信するように構成された送信回路と
を備え、
前記受信装置は、
前記送信回路が送信した前記複数の状態量の各々の前記送信データを、送信された順に逐次に受信するように構成された受信回路と、
受信された前記複数の状態量の各々の前記送信データを逐次に復元するように構成された復元回路と
を備える測定システム。
【請求項2】
請求項1記載の測定システムにおいて、
前記統合回路は、データ量をn分の1に圧縮する測定システム。
【請求項3】
請求項2記載の測定システムにおいて、
前記統合回路は、前記複数の状態量の各々の前記測定データを、前記単位送信時間のn倍の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量をn分の1に圧縮した1つの前記送信データを、前記複数の状態量の各々について前記単位送信時間ずつずらして逐次に生成する測定システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の測定システムにおいて、
前記送信回路は、パケット通信により前記送信データを送信し、
前記受信回路は、パケット通信により前記送信データを受信する
測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラントなどでは、機器管理システムによりプラントの運転状況を監視している。機器管理システムでは、ネットワークにより接続している現場に設置されたプロセス機器や各種センサを備えた測定器などのフィールド機器から信号を入力し、所定の演算を施してこの結果の信号をプロセス機器などに出力し、プロセスを制御している。また、このようなシステムでは、測定器で時系列的に測定された測定データなどを、工程を監視しているオペレータに監視画面として視認可能に表示している(特許文献1)。例えば、温度,風量,湿度,消費熱量,消費電力などの時間経過とともに変化する測定データ(時系列データ)を、折れ線グラフや棒グラフとして表示部に表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、データを表示する機器と測定器との間で、一度に送受信可能なデータ量が限られている環境では、各々異なる複数の状態を測定している場合、1つの状態量の測定データを送信している間は、他の状態量の測定データを送信できない。このため、受信側では、時系列データが間欠的になるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、各々時系列に測定した複数の状態の測定データを、連続的な時系列データとして受信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る測定システムは、各々異なる複数の状態量を第1時間毎に時系列に測定し、測定した測定値および測定値の測定時刻からなる測定データを第1時間以上の単位送信時間毎に送信する測定器と、測定器から送信された複数の状態量の各々の測定値を受け付ける受信装置とを備え、測定器は、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成するように構成された統合回路と、複数の状態量の各々の送信データを、統合回路が生成するとともに単位送信時間のn倍の時間間隔で逐次に送信するように構成された送信回路とを備え、受信装置は、送信回路が送信した複数の状態量の各々の送信データを、送信された順に逐次に受信するように構成された受信回路と、受信された複数の状態量の各々の送信データを逐次に復元するように構成された復元回路とを備える。
【0007】
上記測定システムの一構成例において、統合回路は、データ量をn分の1に圧縮する。
【0008】
上記測定システムの一構成例において、統合回路は、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量をn分の1に圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成する。
【0009】
上記測定システムの一構成例において、送信回路は、パケット通信により送信データを送信し、受信回路は、パケット通信により送信データを受信する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成するので、各々時系列に測定した複数の状態の測定データを、連続的な時系列データとして受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る測定システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る測定システムの動作例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る測定システムについて
図1を参照して説明する。この測定システムは、測定器100および受信装置110を備える。測定器100は、各々異なる複数の状態量を第1時間毎に時系列に測定し、測定した測定値および測定値の測定時刻からなる測定データを第1時間以上の単位送信時間毎に送信する。受信装置110は、測定器100から送信された複数の状態量の各々の測定値を受け付ける。
【0013】
測定器100は、測定部101、統合回路102、および送信回路103を備える。測定部101は、例えば、温度、流速、露点などの各々異なる複数の状態量を測定する。
測定部101は、例えば、温度を測定する温度センサ、流速を計測する流速センサ、露点を計測する露点センサなどを備えることができる。測定部101は、各々異なる複数の状態量を第1時間(例えば1/250秒)毎に時系列に測定する。
【0014】
統合回路102は、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成する。単位送信時間は、例えば、1秒とすることができる。統合回路102は、例えば、データ量をn分の1に圧縮する。例えば、統合回路102は、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間(例えば1秒)の2倍の時間(例えば2秒)間隔で時系列に従って統合してデータ量を2分の1に圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成する。
【0015】
送信回路103は、複数の状態量の各々の送信データを、統合回路102が生成するとともに単位送信時間の2倍の時間間隔で逐次に送信する。例えば、送信回路103は、2秒毎に送信データを送信する。送信回路103は、例えば、パケット通信により送信データを送信することができる。
【0016】
受信装置110は、受信回路111、復元回路112、および表示部113を備える。受信回路111は、 送信回路103が送信した複数の状態量の各々の送信データを、送信された順に逐次に受信する。受信回路111は、例えば、パケット通信により送信データを受信することができる。復元回路112は、受信された複数の状態量の各々の送信データを逐次に復元する。表示部113は、復元回路112が復元した時系列の測定データを表示する。
【0017】
以下、実施の形態に係る測定システムの動作例を、
図2を参照して説明する。ここでは、2つの状態量が測定されている場合を例に説明する。
【0018】
図2の(a)に示すように、まず、時刻t1から単位送信時間UTの2倍の時間後の時刻t3までの第1状態量の時系列の測定データが統合・圧縮される。例えば、単位送信時間UTの2倍の2秒間における第1状態量の測定データが、1秒間分のデータ量に圧縮されて送信データとされる。統合・圧縮された送信データは、時刻t3の時点で送信・受信され、復元されて、時刻t3から時刻t5にかけての時系列の測定データに再現される。
【0019】
引き続き、時刻t3から単位送信時間UTの2倍の時間後の時刻t5までの第1状態量の時系列の測定データが統合・圧縮され、統合・圧縮された送信データは、時刻t5の時点で送信・受信される。受信された送信データは、復元されて、時刻t5から時刻t7にかけての時系列の測定データに再現される。
【0020】
上述した第1状態量の時系列の測定データの再現により、時刻t1から時刻t5にかけて測定された第1状態量の時系列の測定データが、時刻t3から時刻t7にかけての第1状態量の時系列の測定データとして再現される。
【0021】
次に、
図2の(b)に示すように、時刻t2から単位送信時間UTの2倍の時間後の時刻t4までの第2状態量の時系列の測定データが統合・圧縮される。例えば、単位送信時間UTの2倍の2秒間における第2状態量の測定データが、1秒間分のデータ量に圧縮されて送信データとされる。統合・圧縮された送信データは、時刻t4の時点で送信・受信され、復元されて、時刻t4から時刻t6にかけての時系列の測定データに再現される。時刻t4においては、第1状態量の送信データの送信・受信が実施されていないので、第2状態量の送信データの送信・受信が実施できる。
【0022】
引き続き、時刻t4から単位送信時間UTの2倍の時間後の時刻t6までの第2状態量の時系列の測定データが統合・圧縮され、統合・圧縮された送信データは、時刻t6の時点で送信・受信される。時刻t6においては、第1状態量の送信データの送信・受信が実施されていないので、第2状態量の送信データの送信・受信が実施できる。受信された送信データは、復元されて、時刻t6から時刻t8にかけての時系列の測定データに再現される。
【0023】
上述した第2状態量の時系列の測定データの再現により、時刻t2から時刻t6にかけて測定された第2状態量の時系列の測定データが、時刻t4から時刻t8にかけての第2状態量の時系列の測定データとして再現される。
【0024】
上述したように、第1状態量の送信データの送信・受信の実施と、第2状態量の送信データの送信・受信の実施とが、同時刻に重なることがないので、一度に送受信可能なデータ量が限られている環境であっても、各々の送信データの送信・受信が問題なく実施できる。この結果、実施の形態によれば、第1状態量の時系列の測定データと、第2状態量の時系列の測定データとが、各々連続した時系列の測定データとして、受信装置110で受信可能となる。
【0025】
なお、上述した実施の形態に係る測定器、受信装置は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)により動作するコンピュータ機器とすることができ、メモリに展開されたプログラムによりCPUが動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各回路の機能が実現される。
【0026】
以上に説明したように、本発明によれば、複数の状態量の各々の測定データを、単位送信時間のn倍(nは2以上の自然数)の時間間隔で時系列に従って統合してデータ量を圧縮した1つの送信データを、複数の状態量の各々について単位送信時間ずつずらして逐次に生成するので、各々時系列に測定した複数の状態の測定データを、連続的な時系列データとして受信できるようになる。
【0027】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0028】
100…測定器、101…測定部、102…統合回路、103…送信回路、110…受信装置、111…受信回路、112…復元回路、113…表示部。