(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158953
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】生花ホルダ支持具
(51)【国際特許分類】
A47G 7/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A47G7/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074618
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】523007568
【氏名又は名称】株式会社花千里
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】岡村 真作
(57)【要約】
【課題】茎の短い生花を任意の角度、向き、高さに容易に変位調整可能としつつ、一旦設置した後の生花の微調整を可能とし、さらには、生花を支持した生花ホルダを目立ちにくくして生花スタンドの見栄えを向上できる生花ホルダ支持具を提供する。
【解決手段】この発明は、上端部の中央に透孔部を有するゴムキャップを嵌装し、下端部を閉塞した略逆円錐状に形成された大径パイプを有する生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、水平断面が略円形状の支持部と、前記支持部の一端部に連設され、前記生花ホルダを保持するホルダ支持部と、を備え、前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダを嵌着するための固定溝部を複数有することを特徴とする生花ホルダ保持具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略逆円錐状に形成された生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、
水平断面が略円形状の支持部と、
前記支持部の一端部に連設され、前記生花ホルダを保持するホルダ支持部と、
を備え、
前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダを嵌着するための固定溝部を複数有する
ことを特徴とする生花ホルダ保持具。
【請求項2】
前記固定溝部は、
水平断面が略円形状であって前記ホルダ支持部の上面から下面にかけて漸次縮径するように形成したことを特徴とする請求項1に記載の生花ホルダ保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生花を支持する生花ホルダの支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カトレアなどの茎の短い切花を用いて生花スタンドを製作する場合、茎の伸張方向と花の正面位置との関係性が各花で異なるため、生花スタンドに用いる全ての花が正面を向くように調整することが困難であった。従来は、中央に透孔部を有するゴムキャップを上端部に嵌装して下端部を閉塞した略逆円錐台状に形成された大径パイプと、大径パイプの下端部に上端部を固着した小径パイプと、を有する生花ホルダの大径パイプに切花を支持させ、必要に応じて小径パイプを折り曲げることで各花の向きを調整していた。
【0003】
この生花ホルダは、大径パイプ内に水を注入してパイプ上部をゴムキャップで閉塞し、ゴムキャップに設けた透孔部に生花の茎部分を差し込むことにより、生花に水を供給しつつ保持できるものである。
【0004】
このような生花ホルダを用いて生花スタンドを製作する場合、生花スタンドの基部に設けた生花用吸水スポンジ(フローラルフォーム)に生花ホルダの小径パイプの下部を挿通し、その後、生花スタンドを正面から見た際に各花が重なり合うことなく、さらには、正面を向くように小径パイプを折り曲げることで生花の高さや向きが調整されていた。
【0005】
しかしながら、このような生花ホルダは、輸送時に生花に水を供給するためのものであって生花を生花スタンドに飾りつけるために製造されたものではない。そのため、小径パイプを生花用吸水スポンジに挿通して折曲げ、生花を一旦所定の方向・角度・高さに調整してしまうと、再度調整することができないという問題があった。また、生花ホルダの小径パイプを折曲げて生花の方向・角度を調整するため、折り曲げた部分が脆弱となり、生花を所定の方向、角度に保持することが困難となる虞があった。
【0006】
このような問題を解消する手段として特許文献1には、生花を支持する大径パイプと、生花用吸水スポンジ(フローラルフォーム)に差し込む小径パイプと、を回動自在に接続し、小径パイプに対する大径パイプの向きおよび傾き角度を調整可能とする生花ホルダの構造が開示されている。
また、特許文献2には、生花を保持した大径パイプを保持可能な収容部を有する盛花用保持具において、この盛花用保持具を様々な角度で支持することにより生花の方向・角度を調整可能とすることが記載されている。
【0007】
特許文献1に記載の生花ホルダは、中央に茎挿通孔を有するキャップを備え、下端部を閉塞した略逆台形状に形成され下端部を斜めに切断したホルダ本体と、ホルダ本体の下方であって上端部を斜めに切断した脚体とを有し、ホルダ本体と脚体を接続リングで回転自在に連結した構成が開示されている。この生花ホルダは、ホルダ本体と脚体との接触面がそれぞれ斜めに切断されていることから、接続リング内において脚体を固定してホルダ本体の下端部を脚体の上端部に沿って摺動させるだけでキャップの茎挿通孔に差し込み支持された生花の方向、および角度を容易に調整できるように構成している。
【0008】
特許文献2には、生花を保持した生花ホルダを収納可能な収容部と、収容部の下端部から下方に伸延した支持突起部とを有する盛花用保持具が開示されている。この盛花用保持具は、生花を保持した生花ホルダを収容部に収納し、下方に伸延した支持突起部を盛花用保持具を支持するための支持孔を有する支承パイプに挿通する構成により、支承パイプに設けた支持孔に応じて生花ホルダで支持した花の向き・高さを調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-191991号公報
【特許文献2】実開平6-38465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように従来の生花ホルダは、生花ホルダの茎部分を折り曲げることで生花を任意の方向に向けることができるように構成されているものの、一旦生花ホルダの支持部を折り曲げると二度と調整することができないため、生花の微妙な位置調整が困難であるとともに、再利用することが困難であった。また、生花ホルダの茎部分を折曲すると、折曲箇所の強度が低下して、生花を長時間保持することが困難となる虞があった。
【0011】
また、従来の生花ホルダは、ホルダ本体と脚体を接続リングで回動自在に連結した構成により、生花ホルダで支持した生花の向き・角度を調整可能とし、また、ホルダ本体と脚体の接合部分が接続リングで覆われているため、生花を長時間保持していても生花の向き・角度が生花の重量によって変位する虞がない。しかしながら、この生花ホルダは、ホルダ本体の下端部と脚体の上端部が水平面に対して一定の角度傾斜した状態で設けられているため、生花の向き・角度がホルダ本体の下端部と脚体の上端部の傾斜角度に依存してしまい、生花の向き・角度を任意に調整することができなかった。
【0012】
また、従来の盛花用保持具は、生花を保持した生花ホルダを収納可能な収納部を有する盛花用保持具の向きを支承パイプに複数設けた支持孔の挿通位置に応じて調整可能とする構成のため、生花ホルダに収納した生花の向き・角度が支承パイプの支持孔の形態に依存してしまい生花の向きを調整できる幅が狭いという問題があった。また、この問題は、支持孔の位置が異なる支承パイプを複数備えていれば解消されるものの、生花スタンドを作成する際に複数の支承パイプを準備することは煩雑であるとともに、この形態では生花の向き・角度を調整した後に生花の向き・角度を微調整することが困難であった。
【0013】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、茎の短い生花を任意の角度、向き・高さに容易に調整可能としつつ、一旦設置した後の生花の微調整を可能とし、さらには、生花を支持した生花ホルダを目立ちにくくして生花スタンドの見栄えを向上できる生花ホルダ支持具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、略逆円錐状に形成された生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、支持部と、前記支持部の一端部に設けた生花ホルダを所定の形態に保持するホルダ支持部と、を備え、前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダの基端部を嵌着するための固定溝部を複数有することを特徴とする生花ホルダ保持具である。
【0015】
本発明の第2の態様は、前記固定溝部は、水平断面が略円形状であって前記ホルダ支持部の上面から下面にかけて漸次縮径するように形成したことを特徴とする生花ホルダ保持具である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、略逆円錐状に形成された生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、水平断面が略円形状の支持部と、前記支持部の一端部に連設され、前記生花ホルダを保持するホルダ支持部と、を備え、前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダを嵌着するための固定溝部を複数有するため、生花を保持した生花ホルダの下端部をホルダ支持部の任意の固定溝部に嵌着するだけで、生花を任意の角度・向き・高さに調整することができる。また、支持部の水平断面を略円形状に形成したため、切花を一旦設置した後にも生花の向きを容易に微調整できる。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、前記固定溝部は、水平断面が略円形状であって前記ホルダ支持部の上面から下面にかけて漸次縮径するように形成したため、生花ホルダを固定溝部に挿通するだけで生花ホルダを任意の向きに保持でき、保持した生花を任意の角度・向きに調整できる。また、固定溝部の水平断面を略円形状としたため、設置後の生花ホルダの微調整を容易にできる。また、固定溝部をホルダ支持部の上面から下面にかけて漸次縮径するように形成したため、固定溝部の上端部近傍と生花ホルダの間に生起される隙間と固定溝部の下端部近傍と生花ホルダの間に生起される隙間とが略一定となり、生花ホルダが保持部内周面全体と接触することとなり、生花ホルダを任意の姿勢で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態にかかる生花ホルダ保持具に生花を保持した状態を示す分解図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる生花ホルダ保持具を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図であり、(d)は底面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる生花ホルダ保持具と生花ホルダの係合箇所を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる生花ホルダ保持具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の要旨は、略逆円錐状に形成された生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、支持部と、前記支持部の一端部に設けた生花ホルダを係合固定するホルダ支持部と、を備え、前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダの基端部を嵌着するための固定溝部を複数有する構成に特徴を有する。
【0020】
また、固定溝部は、水平断面が略円形状であってホルダ支持部の上面から下面にかけて漸次縮径するように形成したことにも特徴を有する。
【0021】
本発明の実施形態について
図1~
図5に基づき詳細に説明する。
【0022】
本実施形態における生花ホルダ保持具1は、
図1に示すように、フローラルフォームSに挿通支持される生花ホルダ2の開口部21に回動自在に嵌着する支持部10と、支持部10の他端部に連接したホルダ支持部11とよりなる。
【0023】
支持部10は、
図2(a)~(d)に示すように、中実であって上端部から下端部にかけて漸次縮径する略円錐台状に形成されている。
【0024】
ホルダ支持部11は、支持部10の上端部に連設した支持部本体12と、支持部本体12の上下方向に貫通形成した固定溝部13とで構成している。
【0025】
支持部本体12は、支持部10に連設した後壁部120と、後壁部120の左右端部に連設した左右側壁部121,122を有する。支持部本体12は、平面視において、後壁部120と左右側壁部121,122とにより前方側を開放した略“コ”字状に形成している(
図2(a)参照)。
【0026】
後壁部120は、下端部を支持部10の上端部に連設しており、前側壁に後方から前方にかけて下り傾斜状とする傾斜面部120aを有する。
【0027】
左右側壁部121,122は、
図2(b)に示すように、後壁部120に連結した基端部から先端部にかけて下面を水平状としつつ上面を緩やかな下り傾斜状に形成している。左右側壁部121,122は、対向する内壁面を互いに接近する方向に膨出することにより第1膨出部121a,122aと、第2膨出部121b,122bと、第3膨出部121c,122cの3つの膨出部を形成している。
【0028】
各膨出部は、左右側壁部121,122の基端部から先端部にかけて等間隔に設けられている。すなわち、第1膨出部121a,122aが左右側壁部121,122の基端部に設けられ、第3膨出部121c,122cが左右側壁部121,122の先端部に設けられ、第2膨出部121b,122bが第1膨出部121a,122aと第3膨出部121c,122cの中間位置に設けられている。
【0029】
第1膨出部121a(122a)は、左側壁部121(または右側壁部122)の上面から下面に向かうに連れて内壁面からの膨出代が漸次小さくなるように構成している。すなわち、第1膨出部121a(122a)は、左側壁部121(または右側壁部122)の上下方向略中央部にて膨出部分が消失して左側壁部121(または右側壁部122)の内壁面と一体となる。このように形成した第1膨出部121a(122a)の下端部には、第1回転規制部121d(122d)が形成されている(
図3参照)。
【0030】
第2膨出部121b(122b)は、左側壁部121(または右側壁部122)の上面から下面に向かうに連れて内壁面からの膨出代が漸次小さくなるように構成している。すなわち、第2膨出部121b(122b)は、左側壁部121(または右側壁部122)の下端部近傍にて膨出部分が消失して左側壁部121(または右側壁部122)の内壁面と一体となる。このように形成した第2膨出部121b(122b)の下端部には、第2回転規制部121eが形成されている(
図3参照)。
【0031】
第3膨出部121c(122c)は、左側壁部121(または右側壁部122)の上面から下面に向かうに連れて内壁面からの膨出代が漸次大きくなるように構成している。すなわち、第3膨出部121c(122c)は、左側壁部121(または右側壁部122)の下端部近傍にて内壁面からの膨出代が最大となる。このように形成した第3膨出部121c(122c)の下端部近傍には、第3回転規制部121f(122f)を形成している。
【0032】
このように形成した支持部本体12は、
図2(a)~(d)に示すように、平面視において後壁部120と左右側壁部121,122とで前側に開口部を有する略‘コ’字状に形成され、左右側壁部121,122に設けた各膨出部121a,122a、121b,122b、121c,122cにより、生花ホルダ2を支持するための固定溝部13を複数形成している。
【0033】
固定溝部13は、支持部本体12の左右側壁部121,122に形成された複数の膨出部により、支持部本体12の後側から前側にかけて第1保持部130、第2保持部131、第3保持部132の3つの保持部を形成している。
【0034】
第1保持部130は、支持部本体12の後壁部120の内側面に設けた傾斜面部120aと、左右側壁部121,122に設けた第1膨出部121a(122a)により後側から前側にかけて下り傾斜状であって水平断面が略円形状となるように形成している。また、第1保持部130は、
図3に示すように、第1膨出部121a(122a)の稜線の垂直方向に対する角度βを傾斜面部120aの垂直方向に対する角度αよりも小さい角度を為すように形成している。すなわち、第1保持部130は、上面から下面に向かうに連れて傾斜面部120aと第1膨出部121a(122a)が漸次接近して径が漸次縮小するように形成している。このように形成した第1保持部130の前方には、第2保持部131を設けている。
【0035】
第2保持部131は、左右側壁部121,122に形成した第1膨出部121a,122aと第2膨出部121b,122bの各稜線と左右側壁部121,122の内壁面とで形成された生花ホルダ2の挿通部である。第2保持部131は、第1膨出部121a,122aと第2膨出部121b,122bの各稜線により支持部本体12の後側から前側にかけて下り傾斜状であって略円形状に形成している。また、第2保持部131は、
図3に示すように、第2膨出部121b(122b)の稜線の垂直方向に対する角度γを第1膨出部121a(122a)の垂直方向に対する角度βよりも小さい角度をなしつつ、その傾斜方向が第1膨出部121a(122a)の稜線と異なる方向に傾斜するように設けられている。また、第2膨出部121b(122b)の稜線は、第1膨出部121a(122a)の稜線よりもその全長が長くなるように形成されている。このように形成した第2保持部131の前方には、第3保持部132を設けている。
【0036】
第3保持部132は、左右側壁部121,122に形成した第2膨出部121b(122b)と第3膨出部121c(122c)とで囲われた生花ホルダ2の支持挿通部である。第3保持部132は、第2膨出部121b(122b)と第3膨出部121c(122c)の各稜線により支持部本体12の後側から前側にかけて上り傾斜状であって水平断面が略円形状となるように形成している。また、第3保持部132は、
図3に示すように、第3膨出部121c(122c)の稜線の垂直方向に対する角度δを第2膨出部121b(122b)の垂直方向に対する角度γよりも小さい角度をなしつつ、互いに異なる方向に傾斜するように設けられている。
【0037】
また、固定溝部13を形成する各保持部の中心を結ぶ軸線は、支持部本体12の下方に設けた仮想中心点Cに集約されるように構成している。すなわち、固定溝部13に形成したいずれの保持部に生花ホルダ2を挿通しても、生花ホルダ2の軸線が必ず仮想中心点Cを通過することとなる(
図4参照)。換言すると、保持部に挿通した生花ホルダ2は、この仮想中心点Cを中心として上端部を種々様々な方向に変位するように構成している。
【0038】
このように生花ホルダ2の軸線が仮想中心点Cを通過するように第1保持部130~第3保持部132を形成することで生花ホルダ保持具1をコンパクトとしつつも、生花ホルダ2に挿通した生花を種々様々な方向・角度に調整することができる。これにより、生花ホルダ2を目立ちにくくすることができる。
【0039】
このように、第1保持部130~第3保持部132を支持部本体12の左右側壁部121,122の内側面に設けた第1膨出部121a(122a)~第3膨出部121c(122c)により水平断面が略円形状となるように形成しつつ、支持部本体12の上面から下面に向かうに連れて漸次縮径するように構成したため、第1保持部130~第3保持部132のいずれの保持部に生花ホルダ2を挿通したとしても確実に支持される。
【0040】
また、第3膨出部121c(122c)の先端部、すなわち、支持部本体12の先端部を離隔した構成により、生花ホルダ2を保持部に挿通した際、生花ホルダ2により支持部本体12が外方に押圧変位させられることで左右側壁部121,122に弾性力が生起される。すなわち、生花ホルダ2は、左右側壁部121,122の弾性力で生花ホルダ保持具1に挟持される。また、各膨出部に設けた第1回転規制部121d(122d),第2回転規制部121e(122e)、第3回転規制部121f(122f)により、第1保持部130~第3保持部132のいずれかの保持部に挿通した生花ホルダ2の回動が規制される。これにより、
図5に示すように、従来の保持具では変態することのできない生花ホルダ2を基端部から先端部にかけて下方傾斜状態に変態することができる。すなわち、生花ホルダ2を基端部から先端部にかけて下方傾斜姿勢に生花ホルダ保持具1で支持した場合、挿通した保持部の軸線方向に対する移動が左右側壁部121,122の弾性力で規制され、また、生花の重量により生花ホルダ2に生起される回動が回転規制部で規制されることにより、生花ホルダ2が落下することなく支持固定される。
【0041】
<生花ホルダ保持具1の使用例>
このように構成した生花ホルダ保持具1を用いて生花スタンドを製作する手順について説明する。
【0042】
まず、生花スタンドの中央部にフローラルフォームSを設置する。設置したフローラルフォームSに生花ホルダ2の小径パイプ22の下部を挿通する。この際、小径パイプ22の差し込み量、差し込む角度に応じて保持する生花Fの大まかな向き・高さを調整する。フローラルフォームSに小径パイプ22を挿通した大径パイプ20の開口部21に生花ホルダ保持具1の支持部10を回動自在に嵌着する。次に、生花Fを保持する生花ホルダ2の大径パイプ20に水を入れて大径パイプ20の一端部に中央部に孔を有するゴムキャップを被せて開口部21を閉塞し、ゴムキャップの孔に生花Fの茎を挿通することで生花ホルダ2にて生花Fが保持される。生花Fを保持した大径パイプ20の一端部を生花ホルダ保持具1のいずれかの保持部(第1保持部130~第3保持部132)に挿通して、生花ホルダ保持具1で生花Fを保持した生花ホルダ2を保持する。
【0043】
生花スタンドに盛り付けた各生花Fの重なり具合を確認しつつ、必要に応じて生花ホルダ保持具1に挿通した大径パイプ20を保持部(第1保持部130~第3保持部132)内で回動させる、または、生花ホルダ保持具1をフローラルフォームSに小径パイプ22を挿通した大径パイプ20内で生花ホルダ保持具1の支持部10を径方向に回動することにより、生花の重なり合いを解消しつつ、正面を向かせて生花スタンドの制作が終了する。
【0044】
このように、本実施形態に記載の生花ホルダ保持具1をフローラルフォームSに挿通して生花Fを特定の高さ・向きに調整するための生花ホルダ2で回動自在に支持し、また、生花ホルダ保持具1に支持される生花ホルダ2を生花ホルダ保持具1で回動自在に保持できる構成により、一旦設置した後の生花Fの向きを何度でも調整できる。
また、フローラルフォームSに挿通した生花ホルダ2に生花ホルダ保持具1を着脱自在とした構成により、一度使用した後にも生花ホルダ保持具1を使用することができる。
また、生花ホルダ2を生花ホルダ保持具1の保持部(第1保持部130~第3保持部132)で生花ホルダ2の一部が生花ホルダ保持具1で覆われるため、生花スタンドを製作した際、外部から生花ホルダ2が視認しにくくなり、製作した生花スタンドの見栄えを向上することができる。
また、生花ホルダ保持具1に形成した保持部(第1保持部130~第3保持部132)の軸線を仮想中心点Cで集約する構成により、保持部(第1保持部130~第3保持部132)に挿通する生花ホルダ2が仮想中心点Cを中心に角度・向き調整を可能として、生花ホルダ保持具1をコンパクトとしつつも生花ホルダ2に支持された生花Fを種々様々な方向に向けることができ、生花スタンドを製作した際、外部から生花ホルダ保持具1が視認しにくくなり、製作した生花スタンドの見栄えを向上することができる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0046】
1 生花ホルダ保持具
10 支持部
11 ホルダ支持部
12 支持部本体
120 後壁部
121 左壁部
121a 第1膨出部
121b 第2膨出部
121c 第3膨出部
122 右壁部
122a 第1膨出部
122b 第2膨出部
122c 第3膨出部
13 固定溝部
130 第1保持部
131 第2保持部
132 第3保持部
2 生花ホルダ
20 大径パイプ
21 開口部
22 小径パイプ
α,β,γ,δ 角度
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略逆円錐状に形成された生花ホルダを支持するための生花ホルダ保持具であって、
水平断面が略円形状の支持部と、
前記支持部の一端部に連設され、前記生花ホルダを保持するホルダ支持部と、
を備え、
前記ホルダ支持部は、前記生花ホルダを嵌着するための固定溝部を有し、
前記固定溝部は、
前記ホルダ支持部を構成する左右側壁部の内壁面から互いの側壁部に接近する方向に膨出する複数の膨出部により区画された複数の保持部を有し、
前記複数の保持部は、連続した1つの空間をなしつつ、
前記複数の保持部の中心を結ぶ軸線が同一の方向ではない
ことを特徴とする生花ホルダ保持具。
【請求項2】
前記固定溝部は、前記左右側壁部の先端部を離隔したことを特徴とする請求項1に記載の生花ホルダ保持具。