IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

特開2024-158956エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ
<>
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図1
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図2
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図3
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図4
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図5
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図6
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図7
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図8
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図9
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図10
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図11
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図12
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図13
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図14
  • 特開-エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158956
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エスカレータの情報表示方法およびエスカレータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B66B31/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074626
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】玉置 伸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 充史
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321AA11
3F321FA01
3F321FA11
3F321FB00
(57)【要約】
【課題】広告の表示効果を損なうことなく乗車時の安全性を向上させることができるエスカレータの情報表示方法およびエスカレータを提供する。
【解決手段】エスカレータの乗車口周辺に設置した第一の表示装置81と、エスカレータの降車口周辺に設置した第二の表示装置88とを少なくとも備える。第一の表示装置81には、第一の情報を表示し、第二の表示装置88には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口から降車口まで立ち止って乗車した場合の時間間隔で、第一の表示情報に対する答えを表示する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータの乗車口周辺に設置した第一の表示装置と、エスカレータの降車口周辺に設置した第二の表示装置とを少なくとも備え、
第一の表示装置には、第一の情報を表示し、
第二の表示装置には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口付近から降車口付近まで立ち止って乗車した場合の時間経過後に、第一の表示情報に対する答えを表示する、エスカレータの情報表示方法。
【請求項2】
第一の表示装置に表示される第一の情報は複数種類あり、1つずつ順次、所定の時間間隔で表示し、
第二の表示装置には、所定の時間間隔で第一の情報に対応する答えを順次表示する、請求項1に記載のエスカレータの情報表示方法。
【請求項3】
第一の表示装置と第二の表示装置との間には、所定間隔で複数台の第三の表示装置が設置されており、
第一の情報は複数の分割情報で構成し、各分割情報を第一の表示装置および第三の表示装置に所定時間、表示し、
第二の表示装置には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口付近から降車口付近まで立ち止って乗車した場合の時間経過後に、第一の表示情報に対する答えを表示する、エスカレータの情報表示方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のエスカレータの情報表示方法をエスカレータに設置された表示装置に表示させる表示制御部を備える、エスカレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータの情報表示方法およびエスカレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータ本体およびその周囲にモニタを設置して、エスカレータ利用者に対して広告などを表示させる例が知られている。また、複数のモニタをエスカレータの移動方向に沿って配置し、利用者の移動に合わせて、スクロールしたり、切り替えたりすることによって利用者に画面を見やすくするという技術もある。さらに、エスカレータの踏段にプロジェクタを用いて広告を表示するシステムにおいて、利用者が歩行していない場合には、広告情報を投影し、利用者が歩行している場合には、注意喚起の表示をするという例も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-282229号公報
【特許文献2】特開2007-62892号公報
【特許文献3】特許第6657309号
【特許文献4】特開2021-20765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エスカレータを利用する際、踏段の片側を空け、急いでいる乗客は空いている踏段上を歩行することが慣例となっている。
【0005】
しかしながら、エスカレータの安全基準は、乗客が踏段上に立ち止まって利用することを前提としていることから、歩行禁止の呼びかけがなされているものの、守られていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、表示装置に表示するコンテンツの内容と表示するタイミングにより、利用者が立ち止って乗車し、表示装置を見ることを促し、乗車時の安全性を向上させることができるエスカレータの情報表示方法およびエスカレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための形態は、エスカレータの乗車口周辺に設置した第一の表示装置と、エスカレータの降車口周辺に設置した第二の表示装置とを少なくとも備える。第一の表示装置には、第一の情報を表示し、第二の表示装置には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口付近から降車口付近まで立ち止って乗車した場合の時間経過後、第一の表示情報に対する答えを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るエスカレータの全体構成図。
図2】本発明の実施形態に係るエスカレータの制御システムの構成を示すブロック図。
図3】実施形態に係る表示装置に表示されるコンテンツの表示例を示す説明図。
図4】実施形態に係る表示装置に表示されるコンテンツの他の表示例を示す説明図。
図5】実施形態に係る表示装置に表示されるコンテンツの更に他の表示例を示す説明図。
図6】実施形態に係る表示装置に表示されるコンテンツの更に他の表示例を示す説明図。
図7】実施形態に係る表示装置に表示されるコンテンツの更に他の表示例を示す説明図。
図8図6図7の表示例の表示タイミングを示すタイミングチャート。
図9】分割前の表示コンテンツの一例としてのミツバチの画像を示す説明図。
図10図9に示したミツバチ画像の分割画像を示す説明図。
図11図10に示したミツバチの分割画像の表示タイミングを示すタイミングチャート。
図12】計算式を表示装置に表示させる一例を示す説明図。
図13図12に示した計算式の表示タイミングを示すタイミングチャート。
図14】右側表示装置のみ、左側表示装置のみにそれぞれ表示した場合の利用者にとっての利点を示す説明図。
図15】本発明の実施形態に係るエスカレータにおける制御システムの他の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《実施形態の構成》
図1は、本発明に係るエスカレータの実施形態を示す全体構成図である。
【0010】
同図に示すように、エスカレータ100は、無端状に連結された踏段2を下階と上階との間を走行して利用者を運ぶ。踏段2を挟んだ左右には踏段2と連動して走行する手すり3が設置されている。また、踏段2には、利用者の荷重を検知する荷重検知器4が設置され、利用者の乗降を検知するために利用される。なお、踏段2毎に荷重検知器4を設置することで、利用者の歩行検知に利用できる。
【0011】
踏段2は、左右一対の内デッキ5間に設定されている。それぞれの内デッキ5には外デッキ6が隣接配置されており、内デッキ5と外デッキ6との間にはガラスパネル7が立設されている。手すり3はガラスパネル7上を走行可能に配設されている。
【0012】
外デッキ6には、適宜間隔を置いて複数台の表示装置8(81,82,83,…,8n)が設置されている。ここで、エスカレータ100の乗車口周辺に設置した表示装置81を第一の表示装置とする。また、エスカレータ100の降車口周辺に設置した表示装置88を第二の表示装置とする。さらに、第一の表示装置である表示装置81と第二の表示装置である表示装置88との間に所定間隔を有して設置した表示装置82~87を第三の表示装置とする。
【0013】
エスカレータ100の上階天井付近には、カメラ9が設置されており、エスカレータ100を監視することで、利用者の安全を確保している。また、カメラ画像を解析することで利用者が踏段2上を歩行しているか否かを検出できる。
【0014】
また、昇降口付近には昇降板10が設置され、昇降板10付近の内デッキ5には、利用者の乗降を検出する利用者検出器11d,11uが設置されている。さらに、降車付近の内デッキ5には降車検出器12が設置されている。これら利用者検出器11d,11uおよび降車検出器12は光センサ、赤外線センサ、人感センサ等で構成され、利用者を検出するために利用される。
【0015】
表示装置8は、液晶パネルや有機ELパネルで構成され、エスカレータ100の斜行部の外デッキ6に等間隔で複数台、設置されている。表示装置8の外観形状は縦長の長方形である。また、表示装置8の電源は外デッキ6に穴をあけてトラス内に設置されるエスカレータ電源につなげて電力の供給を受ける。また、外デッキ6の幅に収まるように台座によって取り付けられている。また、高さは外デッキ6から手すり3までの間に収まる寸法となっている。この表示装置8は、画面表示方向をリモコン操作によって自由に変更できるようになっている。
【0016】
図2は、エスカレータ100の表示装置8(81,82,83,…,8n)にコンテンツを表示させる表示システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
同図に示すように、この表示システムは、エスカレータ制御装置20を制御中枢として構成されている。エスカレータ制御装置20は、走行制御部21と、表示制御部22と、歩行検出部23と、コンテンツ保存部24と、コンテンツ更新部25と、管制情報入力部26を備えている。また、エスカレータ制御装置20は、エスカレータ監視センタ30およびコンテンツ配信サーバ40とネットワークを介して接続されている。
【0018】
エスカレータ制御装置20の走行制御部21は、利用者検出器11d,11u、降車検出器12で検出された利用者検出情報等に基づきエスカレータ100の走行を制御する。また、管制情報入力部26から管制情報が入力された場合には、エスカレータ100を管制運転させる。
【0019】
表示制御部22は、表示装置8(81,82,83,…,8n)の表示を制御してコンテンツをスクロール表示、または固定表示する。
【0020】
《表示制御部22の表示制御》
表示制御部22の表示制御を具体的に説明する。複数個が所定間隔で配置された表示装置8の全てに情報を表示する場合、以下の表示方法を実行する。
【0021】
(1) 表示する1つの情報を表示装置8の全数で分割した画像(画像片)をそれぞれ表示装置8(81,82,…88)に表示するようにする。
【0022】
(2) 表示する情報は互いに関連性を有し、少なくとも踏段2の進行方向の最初の表示装置(第一の表示装置)81と最後の表示装置(第二の表示装置)88の表示内容は、非同一のものとする。
【0023】
(3) 表示する情報が互いに関連性を有するが、各表示装置8間では非同一内容を表示する、
(4) 表示する情報が表示装置8全数で同一内容を表示するもの、のうち少なくとも1つの表示形態をとり、最初の前記モニタへの情報表示タイミングは、利用者の乗車時とし、最後の前記モニタへの情報表示タイミングは、当該利用者が歩行せずに乗車していた場合の降車直前(最後の表示装置を見るところ)のタイミングとする。
【0024】
なお、建屋側からの管制情報またはエスカレータの安全装置からの信号を受信すると、広告の表示は止め、管制情報や安全対策などの表示内容に変更して表示を行う。エスカレータ100が動作していないとき、低速待機運転をしている時は、表示はオフにする。
【0025】
なお、表示制御部22には、時間や曜日、日にちによって広告内容や表示情報が予め表示テーブルで決められていて、適宜変更していく。また、コンテンツ配信サーバ40に表示テーブルを持っていて、情報の更新時に、この表示テーブルの情報も表示装置8の図示しない保存部に送信しておくようにしてもよい。
【0026】
歩行検出部23は、カメラ9からのカメラ画像を入力して歩行者の歩行の有無を検出し、歩行検出情報を表示制御部22に出力する。なお、複数の荷重検知器4からの荷重検知信号に基いて歩行者を検出するようにしてもよい。
【0027】
コンテンツ保存部24は、USBメモリやメモリカード等で構成され、表示装置8に表示されるコンテンツを更新可能に保存する。
【0028】
コンテンツ更新部25は、コンテンツ配信サーバ40と接続され、コンテンツ配信サーバ40から広告配信があると、コンテンツ保存部24内のコンテンツを配信されたコンテンツに入れ替えて更新する。
【0029】
管制情報入力部26は、エスカレータ監視センタ30と接続され、地震や火災発生等で管制情報が出力された場合、管制情報を入力して走行制御部21および表示制御部22に出力する。
【0030】
エスカレータ監視センタ30は、エスカレータ100を遠隔監視するとともに、複数のエスカレータを統括制御する。
【0031】
コンテンツ配信サーバ40は、エスカレータ制御装置20にコンテンツを供給して表示装置8に質問情報やこの質問情報の回答情報、あるいは広告情報等を表示させる。
【0032】
《コンテンツ表示の具体例》
図3図5は踏段2の歩行者に対して歩行停止を促す表示例である。図3に示す例は、8台の表示装置81~88全てに「歩行禁止」を促すマークを表示したものである。図4に示す例は図3と同じ表示内容であるが、表示マークが徐々に上方(UP運転の場合)にスクロールしていく。このように、全表示装置8に「歩行禁止」を示すマークを表示することで、心理的に歩行禁止を訴えることができ、利用者に対して歩行を停止させて踏段2上に立ち止まるように促すことができる。
【0033】
図5に示す例では、所定間隔を有して「歩行禁止」マークを表示するとともに、「歩かないでください、後ろにこどもがいます」といった注意を表示するものである。カメラ9の画像情報から歩行者を検出するとともに、周囲にこどもが乗車していることが検出された場合等、具体的な文言によって注意を促すことで、歩行を停止させることができる。
【0034】
図6図7に示す例では、利用者50が乗車するタイミングで最初の表示装置(第一の表示装置)81にクイズの質問を表示し、利用者が降車するタイミングで最後の表示装置(第二の表示装置)88にクイズの解答を表示するものである。具体的には、図6(A)では、乗車タイミングで「今日は何の日」という質問を表示装置81に表示する。そして、降車のタイミングで「エスカレータの日」という解答を表示する。図7(A)では、「1円玉を一枚作る材料費?」という質問を表示装置81に表示し、降車するタイミングで「3円」という解答を表示装置88に表示する。
【0035】
このように、質問の解答を考えつつ、楽しみながらエスカレータ100に乗車することができるので、利用者50に対する歩行の抑制効果を期待することができる。
【0036】
図8は、図6図7に示した表示例の表示タイミングを示している。今、エスカレータ100の昇降距離(全長)が30mであり、昇降速度が30m/minであると仮定する。
【0037】
質問数はQ1~Q5の5問、解答数もA1~A5の5解答あるものとする。表示タイミングt1は最初の表示装置81の表示タイミング、表示タイミングt8は最後の表示装置88の表示タイミングを示している。
【0038】
この状態において、表示装置81には最初の質問Q1が5秒間表示される。次の5秒間は次の質問Q2が表示される。一方、踏段2が走行してゆき、昇降距離30m走行すると、最後の表示装置88には最初の質問Q1の解答A1が5秒間表示される。これにより、最初の質問Q1を見た利用者50は踏段2を歩かないで停止していた場合には、1分後に質問Q1の解答A1を見ることができる。なお、最初の表示装置81に質問Q1を表示してから、1分後に解答A1を表示するとしているが、最後の表示装置88の設置位置も考慮し、利用者が解答を見やすいタイミングに合わせ、解答A1への表示タイミングを最初の表示装置81に質問Q1を表示してから1分後ではなく、1分より少し短い時間に調整してもよい。
【0039】
このように、この表示例では、豆知識、今日の天気などの質問を乗車時に表示し、その答えを降車時に表示する。答えは、利用者が歩行せずに乗車していたときのタイミングに合わせて表示するようにしている。このため、利用者が歩行した場合には、答えを見ることができないので、歩行を抑制することができる。また、利用者にとって答えが気になるような質問を用意することで、より一層、歩行抑止を図ることができる。
【0040】
図9はミツバチの画像を示しており、図10図9に示すミツバチの画像を複数(7分割)の画像(画像片)に分割して、7つの表示装置81~87にそれぞれ表示し、最後の表示装置88に7つの画像を合わせた画像が何を表しているのかの答えをテキストデータとして「ミツバチ」と表示する例を示している。
【0041】
図11は、予め用意した5種類の異なる画像データI1~I5の表示タイミングと、それぞれの画像データが何を表しているのかの答えA1~A5の表示タイミングを示すタイミングチャートである。まず、最初に、画像データI1を7分割した画像を7つの表示装置81~87に同時に5秒間表示する。その次に、画像データI2を7分割した画像(画像片)を7つの表示装置81~87に同時に5秒間表示する。このように、5秒間隔で順に、表示装置81~87に画像データI1~I5を表示する。そして、画像データI5が表示されると、再び、画像データI1に戻り、表示を繰り返す。また、表示装置88には、画像データI1~I5が何を表しているのかの答えをテキストデータとして表示する。画像データI1が7つの表示装置81~87に表示された後、60秒経過したタイミングで、表示装置88に、画像データI1が何を表しているのかの答えA1をテキストデータとして表示する。同様に、画像データI2~I5についても、それぞれの表示タイミングから60秒経過したタイミングで、表示装置88に、それぞれの答えであるA2~A5を表示する。
【0042】
利用者は、乗車口で表示された画像データが何を示すかを降車口で表示されるテキストデータの答えを見ることで確認することができる。もし、利用者が踏段を歩行していた場合には、分割画像とその答えが一致しないことになる。
【0043】
図12は表示の他の例を示している。この例では、利用者に対して、乗車時に最初の表示装置(第一の表示装置)81に質問を表示する。この例では、「足し算」が質問となる。次の表示装置82には「1」、表示装置83には「+」、表示装置84には「2」、表示装置85には「+」、表示装置86には「3」、表示装置87には「=」が表示される。そして、最後の表示装置(第二の表示装置)88には解答である「6」が表示される。
【0044】
図13図12の表示例の表示タイミングを示している。ここで、表示装置81~表示装置88までの距離:Lm、表示装置間の間隔:L/7、エスカレータの速度:Vm/min、各表示装置への表示タイミング(秒):L/7÷V*60秒(=8.57秒)とする。
【0045】
まず、表示装置(第一の表示装置)81には、これから出題する演算の種類M1をテキストデータとして表示するこの例では「足し算」である。表示装置81~表示装置87までに、利用者の走行タイミングに合わせ、順次、計算式N1~N5,E7を表示していき、利用者が表示装置(第二の表示装置)88の前に来たタイミングで、解答A1(この例では「6」)を表示する。
【0046】
図14(A)は走行方向の右側の表示装置8にのみ情報を表示した場合、図14(B)は走行方向の左側にのみ情報を表示した場合のそれぞれについて利点を考察したものである。
【0047】
図14(A)に示すように、左側に利用者は居らず、右側を歩行者が歩いている場合、右側のみの表示では、歩く人は足元に広告が表示されているので、視線を変えることなく、視認できる。したがって、歩いている利用者に対して上述したコンテンツを表示することは歩行を停止させるのに有効である。
【0048】
図14(A)において、左側の利用者は停止しているが右側の利用者は歩いている場合は、歩く人は足元に広告が表示されているので、視線を変えることなく、視認できる。一方で、左側で停止している利用者の目線も右側の表示装置に向いているので、右側を歩行している利用者は歩きにくいという抑制効果がある。
【0049】
図14(B)に示すように、左側に利用者は居らず、右側を歩行者が歩いている場合、左側のみの表示では、歩く人は目線角度の自由度があり、どの表示装置でも見ることができる。したがって、歩行禁止の表示を左側の表示装置に表示することで、右側を歩行している利用者に対して歩行を止めるように促すことができる。
【0050】
図14(B)において、左側の利用者は停止しているが右側の利用者は歩いている場合は、停止者は落ち着いて表示を見ることができるという利点がある。一方、右側を歩いている利用者は、左側の表示装置には何が映っているのだろうかと興味がひかれる。このため、歩行禁止の表示を左側の表示装置に表示することで、右側を歩行している利用者に対して歩行を止めるように促すことができる。
足元に広告が表示されているので、視線を変えることなく、視認できる。
【0051】
以上の考察によれば、右側のみに表示する場合、左側にのみ表示する場合のいずれであっても、歩行者に対して歩行停止を促す一定の効果があることが分かる。
【0052】
《変形例》
踏段2を挟んで左右の外デッキ6に表示装置を設置する場合、左右の表示装置8間の表示内容と表示速度は同じであっても、異なっていてもよい。少なくとも片側の列は速度も内容も同じであればよい。
【0053】
表示装置8の表示面の角度調整も可能である。全ての表示装置8の角度を一定にしてもよい。また、個々の表示装置8毎に角度を調整するようにしてもよい。また、表示装置8の角度調整は1軸だけでなく、2軸、3軸でもよい。
【0054】
表示装置8にカメラをつけて、利用者監視やエスカレータ運転状態の監視に使うこともできる。
【0055】
《システム構成の他の例》
図15は、本発明に係るエスカレータの情報表示方法およびエスカレータが適用されるシステムの構成を示すブロック図である。
【0056】
同図に示すように、本実施形態では、図2に示した実施形態のエスカレータ制御装置20のコンテンツ表示機能をコンテンツ配信サーバ40に設ける構成である。このため、コンテンツ配信サーバ40は、表示制御部42と、走行制御部43と、コンテンツ保存部44と、コンテンツ更新部45と、管制情報入力部46とを備える。なお、表示制御部42、走行制御部43、コンテンツ保存部44、コンテンツ更新部45および管制情報入力部46の個々の機能は図3に示したエスカレータ制御装置20内の表示制御部22、走行制御部21、コンテンツ保存部24、コンテンツ更新部25および管制情報入力部46と同様である。
【0057】
また、エスカレータ制御装置20は、歩行検出部23と、号機制御部27と、通信部28とを備える。
【0058】
歩行検出部23は、図2に示したものと同様であり、カメラ9からのカメラ画像を入力して歩行者の歩行の有無を検出する。
【0059】
号機制御部27は、エスカレータ100の駆動モータに対して制御指令を出力する等、各エスカレータ号機の走行制御を実行する。
【0060】
通信部28は、エスカレータ監視センタ30と連携してエスカレータ100の制御指令を受信するとともに、歩行検出部23からの歩行検知信号等をエスカレータ監視センタ30に送信する。
【0061】
コンテンツ配信サーバ40は、エスカレータ監視センタ30とエスカレータ制御装置20と無線またはネットワーク回線等で接続され、相互に連携して表示装置8のコンテンツの表示制御を実行する。
【0062】
なお、表示制御の処理手順は、上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0063】
このシステム構成によれば、コンテンツ配信サーバ40に一括してコンテンツ配信機能を含めるようにしたので、個々のエスカレータ制御装置20の機能を変更することなく、それぞれのエスカレータ100に対して広告を一括して配信することができる。また、コンテンツ配信の更新も一括してできるので、メンテナンスが容易になる。
【0064】
また、歩行者に立ち止まって表示を見て貰えるようにしたので、表示装置8に広告を非表示した場合にあっては、さらなる広告効果を見込むことができ、しかも乗車時に表示装置の全台数を見ることができ、視認性が良いという効果を奏する。
【0065】
以上の実施形態において、表示装置8は外デッキ6上に所定間隔を有して配置されているが、必ずしも外デッキ6である必要はない。例えば、エスカレータ100に並列する建屋の壁面に所定間隔を有して配置してもよい。
【0066】
また、本実施形態の表示装置8は縦長の長方形状であるが、縦長形状に限定されない。横長形状や楕円形状等、種々の形状のものであってもよい。
【0067】
また、本実施形態では、欄干パネルとして透明なガラスパネル7を使用したが、表示装置8が、例えばエスカレータ100に並列する建屋の壁面に設置されている場合には、必ずしも透明ではなく、半透明パネルやステンレスパネルのような不透明なパネルであってもよい。
【0068】
さらに、表示装置8に表示される情報や広告等のコンテンツは、テキスト文、静止画、動画またはそれらの組み合わせ、それらと音声との組合せであってもよい。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
2…踏段、3…手すり、4…荷重検知器、5…内デッキ、6…外デッキ、7…ガラスパネル、8(81,82,83,8n)…表示装置、81…第一の表示装置、82~87…第三の表示装置、88…第二の表示装置、9…カメラ、10…昇降板、11d,11u…利用者検出器、12…降車検出器、20…エスカレータ制御装置、21…走行制御部、22…表示制御部、23…歩行検出部、24…コンテンツ保存部、25…コンテンツ更新部、26…管制情報入力部、27…号機制御部、28…通信部、30…エスカレータ監視センタ、40…コンテンツ配信サーバ、42…表示制御部、43…走行制御部、44…コンテンツ保存部、45…コンテンツ更新部、46…管制情報入力部、50…利用者、100…エスカレータ、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータの乗車口周辺に設置した第一の表示装置と、エスカレータの降車口周辺に設置した第二の表示装置とを少なくとも備え、
第一の表示装置には、第一の情報を表示し、
利用者が第一の表示情報に対する答えを考えつつ、立ち止まって乗車するように、第二の表示装置には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口付近から降車口付近まで立ち止って乗車した場合の時間経過後に、第一の表示情報に対する答えを表示する、エスカレータの情報表示方法。
【請求項2】
第一の表示装置に表示される第一の情報は複数種類あり、1つずつ順次、所定の時間間隔で表示し、
第二の表示装置には、所定の時間間隔で第一の情報に対応する答えを順次表示する、請求項1に記載のエスカレータの情報表示方法。
【請求項3】
第一の表示装置と第二の表示装置との間には、所定間隔で複数台の第三の表示装置が設置されており、
第一の情報は複数の分割情報で構成し、各分割情報を第一の表示装置および第三の表示装置に所定時間、表示し、
第二の表示装置には、第一の表示情報を表示した後、利用者が乗車口付近から降車口付近まで立ち止って乗車した場合の時間経過後に、第一の表示情報に対する答えを表示する、エスカレータの情報表示方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のエスカレータの情報表示方法をエスカレータに設置された表示装置に表示させる表示制御部を備える、エスカレータ。