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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158959
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20241031BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20241031BHJP
   H05B 47/13 20200101ALI20241031BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241031BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/125
H05B47/13
H05B45/10
H05B45/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074630
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末留 克徳
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273QA07
3K273QA13
3K273QA30
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA08
3K273SA20
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA37
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA40
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA71
3K273TA77
3K273TA78
(57)【要約】
【課題】本開示は照明制御システムに関し、対象者から取得した一次情報に基づいて得られる、高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標とした照明の制御を実施することで、周辺環境を制御できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の半導体製造装置は、センサ集合体と、記憶部と、制御端末と、照明装置を備え、センサ集合体が、生体情報または環境情報を含む一次情報を収集する処理と、収集した一次情報を制御端末に送信する処理とを実施するよう構成され、記憶部が、照明装置の照度と色温度の組合せパターンを事前に記憶する処理を実施するよう構成され、制御端末が、収集した一次情報に基づいた予測演算で得られる高次情報を取得する処理と、高次情報に基づき、照度と色温度の組合せパターンから最適なパターンを選択する処理と、最適なパターンを含む信号を照明装置に送信する処理とを実施するよう構成され、照明装置が、信号に基づいて調光及び調色を実現する処理を実施するよう構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ集合体と、記憶部と、制御端末と、照明装置を備え、
前記センサ集合体が、
生体情報または環境情報を含む一次情報を収集する処理と、
収集した前記一次情報を前記制御端末に送信する処理と
を実施するよう構成され、
前記記憶部が、前記照明装置の照度と色温度の組合せパターンを事前に記憶する処理を実施するよう構成され、
前記制御端末が、
収集した前記一次情報に基づいた予測演算で得られる高次情報を取得する処理と、
前記高次情報に基づき、前記照度と色温度の組合せパターンから最適なパターンを選択する処理と、
前記最適なパターンを含む信号を前記照明装置に送信する処理と
を実施するよう構成され、
前記照明装置が、前記信号に基づいて調光及び調色を実現する処理を実施するよう構成されている
照明制御システム。
【請求項2】
前記センサ集合体が、人流、温度、湿度、酸素濃度、画像、音声といった空間の内部情報を収集できるセンサの集合体である
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記センサ集合体が、パーソナルな生体データを取得するように構成されたデバイスである
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記パーソナルな生体データを取得するように構成されたデバイスが、ウェラブル端末またはノートパソコンである
請求項3に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記最適なパターンが、特定の使用者に対応する個人向け制御のために選択されるか、空間に存在する複数の使用者に対応する全体向け制御のために選択されるかを、使用者が任意で選択できる
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御端末が、
前記照度と色温度の組合せパターンに対し、調光及び調色の実現前後で取得した一次情報に基づいた補正処理をさらに実施する
請求項1に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象者から収集した生体情報を用いることで、対象者による操作を必要とすることなく、周辺環境がその対象者にとって最適な環境となるよう制御する技術が知られている。例えば特許文献1には、測定した個人の集中度に基づき、環境状態を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-093267号公報
【非特許文献1】山田一郎, ヘルスケアモニタリングを目指す生体情報センシング技術, 電子情報通信学会基礎・環境ソサイエティ Fundamentals Review, 一般社団法人 電子情報通信学会, 2018年7月, Vol.12, No.1, p30-37
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述の方法では、集中度デバイスでしか測定できない集中度のように、指標が限定されている。すなわち、対象者から取得した一次情報に基づいて得られる、体の状態、心の状態または環境といった高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標として、周辺環境を制御することができない課題があった。
【0005】
本開示は上述の問題を解決するため、対象者から取得した一次情報に基づいて得られる、高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標とした照明の制御を実施することで、周辺環境を制御できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、センサ集合体と、記憶部と、制御端末と、照明装置を備え、センサ集合体が、生体情報または環境情報を含む一次情報を収集する処理と、収集した一次情報を制御端末に送信する処理とを実施するよう構成され、記憶部が、照明装置の照度と色温度の組合せパターンを事前に記憶する処理を実施するよう構成され、制御端末が、収集した一次情報に基づいた予測演算で得られる高次情報を取得する処理と、高次情報に基づき、照度と色温度の組合せパターンから最適なパターンを選択する処理と、最適なパターンを含む信号を照明装置に送信する処理とを実施するよう構成され、照明装置が、信号に基づいて調光及び調色を実現する処理を実施するよう構成されている照明制御システムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様によれば、対象者から取得した一次情報に基づいて得られる、高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標とした照明の制御を実施することで、周辺環境を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係る照明制御システムを示す図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る照明制御システムが調光及び調色のために実施する処理を示すフローチャートである。
図3】センサユニットが収集するデータと予測演算する高次情報の関係例を示す図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る、色温度と照度に対する快適性を示すグラフである。
図5】本開示の実施の形態1に係る調光及び調色に対する補正処理を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態2に係る照明制御システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に関わる照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る照明制御システムを示す図である。照明制御システム100は、センサユニット17を備える。ここで使用するセンサユニット17はセンサ集合体であり、例えば画像認識装置、音声認識装置、温度センサ、非接触の体温計、非接触で人の脈波を計測することで集中度あるいはリラックス度を判定できるエコモアイ(商標登録)といったセンサの集合体であっても良い。センサユニット17が認識する一次情報としては、生体情報18及び環境情報19といった汎用性のある情報が例示できる。より詳しくは、人流、温度、湿度、酸素濃度、画像、音声といった空間の内部情報が例示できる。
【0011】
センサユニット17は、一次情報をリアルタイムに収集する。そしてセンサユニット17は、収集した情報を、通信線10を介して通信装置2へ送信する。通信線10は有線接続を実施する通信線であるが、これをBlutooth(商標登録)あるいはWi-Fi(商標登録)といった無線接続で代替しても良い。
【0012】
通信装置2は、受信した情報を、照明制御通信線4を介して制御端末6へ送信する。照明制御通信線4は有線接続を実施する通信線であるが、Blutooth(商標登録)あるいはWi-Fi(商標登録)といった無線接続で代替しても良い。また照明制御通信線4は、送受信のいずれも可能とする。
【0013】
制御端末6は、受信した情報に基づき、体の状態、心の状態または環境といった高次情報を予測演算する。高次情報としては、使用者の行動、体調、心理、感情状態あるいは空間の環境が例示できる。さらに制御端末6は、照明制御通信線4を介して記憶部8にアクセスする。そして演算結果に基づき、記憶部8が記憶している照度と色温度の組合せパターンの中から、最適なパターンを選択する。照度と色温度の組合せパターンの詳細については後述する。
【0014】
なお、使用者の行動、体調、心理、感情状態といった各使用者に関するパラメータ、あるいは空間の環境に関するパラメータの中からどれを優先して最適なパターンを選択するかは、使用者が任意で選択できるものとする。すなわち、最適なパターンが、特定の使用者に対応する個人向け制御のために選択されるか、空間に存在する複数の使用者に対応する全体向け制御のために選択されるかを、使用者が任意で選択できるものとする。
【0015】
そして制御端末6は、最適なパターンの情報を含む信号を、照明制御通信線4を介して通信装置2に送信する。通信装置2は、受信した信号を、通信線10を介して照明装置12に送信する。照明装置12は、受信した信号に基づき、調光及び調色を実現する。
【0016】
なお、制御端末6及び記憶部8については、制御端末6の中に記憶部8を設ける態様としても良いし、クラウドサーバ上など本システムとは物理的に離れた場所に設ける態様としても良い。
【0017】
また、ここではセンサユニット17で得られた汎用性のある情報を照明装置12の制御のみに用いる例を示したが、エアコンあるいはスピーカーのように、照明装置12以外の機器を連携操作するのに用いても良い。照明装置12以外の機器を連携操作することで、対象者の周辺環境を、さらに快適になるよう制御することができる。
【0018】
図2は、本開示の実施の形態1に係る照明制御システムが調光及び調色のために実施する処理を示すフローチャートである。まずステップ101では、センサユニット17でデータ収集を実施する。このときステップ102で、センサユニット17のデータ収集において環境情報19が必要かを確認する。必要な場合、ステップ104に進む。必要でない場合、ステップ106に進む。
【0019】
次にステップ104で、環境情報19を取得する。環境情報19が取得できた場合、ステップ106に進む。環境情報19が取得できなかった場合、取得できるまでステップ104を繰り返す。
【0020】
次にステップ106で、センサユニット17のデータ収集において生体情報18が必要かを確認する。必要な場合、ステップ108に進む。必要でない場合、ステップ110に進む。
【0021】
次にステップ108で、生体情報18を取得する。生体情報18が取得できた場合、ステップ110に進む。生体情報18が取得できなかった場合、取得できるまでステップ108を繰り返す。
【0022】
次にステップ110で、取得したデータに基づき、制御端末6で予測演算を実施することで、照度と色温度を決定する。より具体的には、記憶部8が有する照度と色温度の組合せパターンの中から、最適なパターンを選択する。
【0023】
次にステップ112では、通信装置2を介して、照明装置12に信号を送信する。ここで送信する信号は、ステップ110で選択した、照度と色温度の最適な組合せパターンを含む信号である。これにより、照明制御システム100の調光及び調色が完了する。
【0024】
このようにセンサユニット17で取得する情報は、生体情報18及び環境情報19のどちらか一方のみを使用しても良いし、両方を同時に使用しても良い。また、生体情報18あるいは環境情報19の取得に失敗した場合は、取得に成功するまで通信を繰り返す。なお、データ取得から調光調色完了までは、直前の調光調色による点灯状態を継続する。また本実施形態及び後述する実施の形態2は、それぞれ個別に使用するだけではなく、組み合わせて使用しても良い。
【0025】
なお、センサユニット17で実施するデータ収集及び制御端末6で実施する予測演算は、例えば非特許文献1に開示されている内容に基づいて実施できる。
【0026】
図3は、センサユニット17が収集するデータと予測演算する高次情報の関係例を示す図である。なお、この図は非特許文献1に開示されている。一次情報は、各センサが収集する生体情報18及び環境情報19に該当する。一次情報としては前述したように、人流、温度、湿度、酸素濃度、画像、音声といった空間の内部情報が例示できる。
【0027】
高次情報は、一次情報に基づいた予測演算によって得られる、体の状態、心の状態または環境を示す要素に該当する。高次情報としては前述したように、使用者の行動、体調、心理、感情状態あるいは空間の環境が例示できる。なお予測演算は、例えば非特許文献1に開示されている内容によって実施できる。
【0028】
すなわち、非特許文献1に開示されている内容を用いることで、各センサによって対象者からタイムリーに収集された汎用性の高い一次情報に基づいた、高次情報の要素を組み合わせたパターンを得ることができる。例えば、体の状態について「良い、普通、悪い」の三段階の評価を、心の状態について「喜、怒、哀、楽」の四段階の評価を設定した場合は、組合せパターンとして12個のパターンを得ることができる。このパターンごとに、最適な照度と色温度のパターンを紐づけておく。そして、高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標とし、照度と色温度の組合せパターンを選択する。
【0029】
以上のように、高次情報の要素を組み合わせたパターンを指標とした照明の制御を実施することで、周辺環境を制御できる照明制御システムを提供することができる。
【0030】
図4は、本開示の実施の形態1に係る、色温度と照度に対する快適性を示すグラフである。人間が快適性を感じる明るさ及び色を示すものとして、一般にクルーゾフ効果が知られている。ここではそのクルーゾフ効果に基づいて設定された、使用者にとっての快適領域及び不快領域を示している。
【0031】
図4のグラフは、横軸が色温度を示し、縦軸が照度を示す。不快領域20a及び20bは人間が不快感を覚える傾向にある領域であり、色温度が低いかつ照度が高い、あるいは色温度が高いかつ照度が低い領域である。一方快適領域22は、人間が快適性を感じる傾向にある領域である。特に色温度が低いかつ照度が低い領域22aに対して、人間は「おだやか」及び「暖かい」と感じる傾向にある。また色温度が高いかつ照度が高い領域22bに対して、人間は「さわやか」及び「涼しい」と感じる傾向にある。
【0032】
前述した通り、記憶部8は照度と色温度の組合せパターンを記憶している。ここで記憶部8に記憶させる組合せパターンは、上述した快適領域22の範囲から選択する。これにより、使用者が快適性を感じやすいように周辺環境を制御できる。
【0033】
例えば、体温あるいは室温の情報に基づいて照度と色温度の組合せパターンを選択することを考える。体温あるいは室温が低い場合、照度が200lx~300lxの範囲、色温度が4500K~6500Kの範囲に含まれる組み合わせパターンを選択することで、使用者に「おだやか」及び「暖かい」と感じさせる効果が期待できる。体温あるいは室温が高い場合、照度が300lx~750lxの範囲、色温度が4500K~6500Kの範囲に含まれる組み合わせパターンを選択することで、使用者に「さわやか」及び「涼しい」と感じさせる効果が期待できる。
【0034】
また例えば、ストレスの情報に基づいて照度と色温度の組合せパターンを選択することを考える。ストレスが高いと判断された場合、照度が300lx程度、色温度が2000K~3000Kの範囲に含まれる組み合わせパターンを選択する。この領域は使用者に「おだやか」及び「暖かい」と感じさせる傾向があるため、ストレスが高い使用者に対するくつろぎを演出する効果が期待できる。
【0035】
図5は、本開示の実施の形態1に係る調光及び調色に対する補正処理を示すフローチャートである。本実施形態では、照明制御システムの調光及び調色を、事前に記憶部8に記憶させた照度と色温度の組合せパターンを用いて実施する。しかし、使用者が感じる快適性には個人差があるため、事前に記憶させた照度と色温度の組合せパターンでは、最適な調光及び調色が実施できない場合がある。そこで本実施形態では、照度と色温度の組合せパターンに対し、調光及び調色の実現前後で取得した生体情報に基づいた補正処理を実施することで、該当する使用者にとって最適な調光及び調色を実現する。
【0036】
まずステップ114では、センサユニット17でデータ収集を実施する。ここで収集するデータには、生体情報18及び環境情報19が含まれる。
【0037】
次にステップ116では、制御端末6で予測演算を実施し、照度及び色温度を決定する。すなわち制御端末6が、ステップ114で収集したデータに基づき、照度と色温度の組合せパターンの中から最適なパターンを選択する。
【0038】
次にステップ118では、制御端末6で実施した演算結果を記憶部8に保存する。ここで保存した演算結果は、後述するステップ126で比較演算を実施する際に使用する。そしてステップ120では、制御端末6が、通信装置2を介して照明装置12に信号を送信する。
【0039】
次にステップ122では、照明装置12が信号に基づいて照度及び色温度を変更した後、再度センサユニットでデータ収集を実施する。ここで収集するデータには、生体情報18及び環境情報19が含まれる。
【0040】
次にステップ124では、制御端末6で再度予測演算を実施し、照度及び色温度を再度決定する。すなわち制御端末6が、ステップ122で収集したデータに基づき、照度と色温度の組合せパターンの中から最適なパターンを選択する。
【0041】
次にステップ126では、制御端末6で、一つ前に記憶部8に保存されていた照度及び色温度を読み出し、照度及び色温度の変更前後の演算結果を比較演算する。すなわち、このステップで得られた演算結果を、ステップ118で記憶した演算結果と比較する。
【0042】
そしてステップ128では、比較演算の結果、求めていた状態変化が実現できていない場合は、補正処理を実施する。例えば、目標としていた効果よりも変化が小さかった場合は、さらに照度及び色温度の変化を強くするため、照度及び色温度の各数値に対して乗算すべき補正係数を算出する。同様に、目標としていた効果よりも変化が大きかった場合は、照度及び色温度の変化を弱くするため、照度及び色温度の各数値に対して乗算すべき補正係数を算出する。
【0043】
次にステップ130では、補正処理で算出した補正係数を用いることで、記憶部8の照度と色温度の組合せパターンについての情報を更新する。
【0044】
このように、ステップ128で算出した補正係数を次回の目標値演算に活用する処理を日々繰り返すことで、該当する使用者にとっての最適な調光及び調光が実現できる。すなわち、上述した処理を繰り返すことで、使用時間を重ねるごとに、周辺環境が該当する使用者にとって最善の状態となるよう制御することができる。
【0045】
実施の形態2
図6は、本開示の実施の形態2に係る照明制御システムを示す図である。照明制御システム200は、生体情報18及び環境情報19を収集する手段として、センサユニット17ではなくデバイス24を用いる点が、照明制御システム100と異なる。
【0046】
照明制御システム200は、デバイス24を備える。ここで使用するデバイス24は、例えばスマートフォンあるいはスマートウォッチといったウェラブル端末またはノートパソコンのような、パーソナルな生体データをタイムリーに取得しやすい態様であるセンサ集合体を用いることが好ましい。
【0047】
このデバイス24は、データ26をリアルタイムに収集する。ここでデータ26は、生体情報18及び環境情報19のような汎用性のある一次情報を含む。
【0048】
デバイス24は、収集した一次情報を、照明制御通信線4を介して制御端末6へ送信する。照明制御通信線4は有線接続を実施する通信線であるが、Blutooth(商標登録)あるいはWi-Fi(商標登録)といった無線接続で代替しても良い。なお、通信を無線接続で代替する場合、デバイス24と制御端末6はペアリングを実施する。
【0049】
制御端末6は、受信した情報に基づき、体の状態、心の状態または環境といった高次情報を予測演算する。高次情報としては、使用者の行動、体調、心理、感情状態あるいは空間の環境が例示できる。さらに制御端末6は、照明制御通信線4を介して記憶部8にアクセスする。そして演算結果に基づき、記憶部8が記憶している照度と色温度の組合せパターンの中から、最適なパターンを選択する。
【0050】
なお、使用者の行動、体調、心理、感情状態といった各使用者に関するパラメータ、あるいは空間の環境に関するパラメータの中からどれを優先して最適なパターンを選択するかは、使用者が任意で選択できるものとする。すなわち、最適なパターンが、特定の使用者に対応する個人向け制御のために選択されるか、空間に存在する複数の使用者に対応する全体向け制御のために選択されるかを、使用者が任意で選択できるものとする。
【0051】
そして制御端末6は、最適なパターンの情報を含む信号を、照明制御通信線4を介して通信装置2に送信する。通信装置2は、受信した信号を、通信線10を介して照明装置12に送信する。照明装置12は、受信した信号に基づき、調光及び調色を実現する。
【0052】
本実施形態の態様ではセンサユニット17ではなくデバイス24を用いるため、パーソナルな生体データをタイムリーに取得しやすい。これにより、各使用者に関するパラメータをタイムリーに収集しやすくなるため、周辺環境が該当する使用者にとってさらに良い状態となるよう、リアルタイムに制御することができる。
【0053】
以下、本開示の所態様を付記としてまとめて記載する。
【0054】
(付記1)
センサ集合体と、記憶部と、制御端末と、照明装置を備え、
前記センサ集合体が、
生体情報または環境情報を含む一次情報を収集する処理と、
収集した前記一次情報を前記制御端末に送信する処理と
を実施するよう構成され、
前記記憶部が、前記照明装置の照度と色温度の組合せパターンを事前に記憶する処理を実施するよう構成され、
前記制御端末が、
収集した前記一次情報に基づいた予測演算で得られる高次情報を取得する処理と、
前記高次情報に基づき、前記照度と色温度の組合せパターンから最適なパターンを選択する処理と、
前記最適なパターンを含む信号を前記照明装置に送信する処理と
を実施するよう構成され、
前記照明装置が、前記信号に基づいて調光及び調色を実現する処理を実施するよう構成されている
照明制御システム。
(付記2)
前記センサ集合体が、人流、温度、湿度、酸素濃度、画像、音声といった空間の内部情報を収集できるセンサの集合体である
付記1に記載の照明制御システム。
(付記3)
前記センサ集合体が、パーソナルな生体データを取得するように構成されたデバイスである
付記1に記載の照明制御システム。
(付記4)
前記パーソナルな生体データを取得するように構成されたデバイスが、ウェラブル端末またはノートパソコンである
付記3に記載の照明制御システム。
(付記5)
前記最適なパターンが、特定の使用者に対応する個人向け制御のために選択されるか、空間に存在する複数の使用者に対応する全体向け制御のために選択されるかを、使用者が任意で選択できる
付記1から4の何れか一項に記載の照明制御システム。
(付記6)
前記制御端末が、
前記照度と色温度の組合せパターンに対し、調光及び調色の実現前後で取得した一次情報に基づいた補正処理をさらに実施する
付記1から5の何れか一項に記載の照明制御システム。
【符号の説明】
【0055】
6 制御端末
8 記憶部
12 照明装置
18 生体情報
19 環境情報
24 デバイス
26 データ
100 照明制御システム
200 照明制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6