(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158965
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】植物栽培設備
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20241031BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G9/14 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074641
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 祐二
(72)【発明者】
【氏名】進藤 義剛
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】江田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 篤
(72)【発明者】
【氏名】山田 実希
(72)【発明者】
【氏名】宮本 豊
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022DA01
2B022DA08
2B029EC20
(57)【要約】
【課題】植物の生産性をさらに向上させることが可能な植物栽培設備を提供する。
【解決手段】植物栽培設備は、植物を栽培するスペースを内部に有するとともに太陽光を透過する透光性材料で形成された温室と、温室内に設けられ、太陽光が照射される受光面を有し、太陽光とは波長の異なる変換光を発する波長変換シートと、を備え、波長変換シートは、変換光を発生させる変換シート本体と、変換シート本体に一体に設けられて、受光面における変換シート本体の占有面積を調節する調節シートと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するスペースを内部に有するとともに太陽光を透過する透光性材料で形成された温室と、
該温室内に設けられ、前記太陽光が照射される受光面を有し、該太陽光とは波長の異なる変換光を発する波長変換シートと、
を備え、
前記波長変換シートは、
前記変換光を発生させる変換シート本体と、
該変換シート本体に一体に設けられて、前記受光面における前記変換シート本体の占有面積を調節する調節シートと、
を有する植物栽培設備。
【請求項2】
前記調節シートは、前記変換シート本体の一部を覆うことで前記占有面積を調節する請求項1に記載の植物栽培設備。
【請求項3】
前記調節シートは、前記変換シート本体に対して一体に接続されることで前記占有面積を調節する請求項1に記載の植物栽培設備。
【請求項4】
前記波長変換シートは、前記温室の天井から巻き出し可能に吊架され、
前記太陽光を検知する光センサーと、
該光センサーによって検知された前記太陽光の状態に基づいて、前記波長変換シートの前記太陽光に対する角度を変化させる姿勢調節部を有する制御部と、
をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の植物栽培設備。
【請求項5】
前記制御部は、前記光センサーによって検知された前記太陽光の状態に基づいて、前記波長変換シートの前記天井から巻き出される量を調節する巻き出し量調節部をさらに有する請求項4に記載の植物栽培設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物栽培設備に関する。
【背景技術】
【0002】
植物はクロロフィルに代表される色素で可視光(波長400~700nm)を吸収し、光合成によってCO2を固定し、葉・茎・根・果実などを生産する。CO2濃度を高めることで光合成量が増せることや、病害虫や害動物による被害から植物を守ること、農業従事者の負担を軽減することを目的として、閉鎖型の農業施設を採用する農業従事者が増えている。
【0003】
このような閉鎖型農業施設(温室)では、屋根や壁の部分を安価にかつ丈夫な構造にするため高分子系の素材を使ったものが多い。高分子系の素材としては透明なものを選択することが一般的ではあるが、光の透過率が悪く、結果として外部の光強度の半分程度の光しか農業施設内には供給されていないこともある。
【0004】
そこで、下記特許文献1に記載されているように、太陽光などでクロロフィルに吸収されない波長域(500~600nm)の光をより長波長側の赤色光(600~700nm)に変換するシートを用いる技術が提唱されている。このようにして変換された光は,クロロフィル等の光合成に使われやすい波長に変換され、光合成量が増えるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、農業施設(温室)の全面に上記のシートを配置した場合、植物は与えられた環境に順応し、徒長(植物の背丈のみが異常に伸長すること)などの現象を引き起こす。この結果として、温室内での植物の生産性が低下するといった課題があった。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、植物の生産性をさらに向上させることが可能な植物栽培設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る植物栽培設備は、植物を栽培するスペースを内部に有するとともに太陽光を透過する透光性材料で形成された温室と、該温室内に設けられ、前記太陽光が照射される受光面を有し、該太陽光とは波長の異なる変換光を発する波長変換シートと、を備え、前記波長変換シートは、前記変換光を発生させる変換シート本体と、該変換シート本体に一体に設けられて、前記受光面における前記変換シート本体の占有面積を調節する調節シートと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、植物の生産性をさらに向上させることが可能な植物栽培設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る植物栽培設備の構成を示す全体図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る波長変換シートの一例を示す拡大図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態に係る制御部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(植物栽培設備1の構成)
以下、本開示の実施形態に係る植物栽培設備1について、
図1から
図5を参照して説明する。この植物栽培設備1は、花卉類や果実類等の農産物・植物を栽培するための設備である。
図1に示すように、植物栽培設備1は、温室10と、波長変換シート20と、シート駆動部30と、光センサー40と、制御部50と、を備える。
【0012】
(温室10の構成)
温室10は、温室本体11と、土壌部12と、を有する。温室本体11は、太陽光を透過可能な透光性材料で形成され、その内部には、植物を収容するための空間が形成されている。温室本体11の下部には土壌部12が敷設されている。
【0013】
土壌部12は、植物の生育に適した成分を含有する土や砂である。植物は、この土壌部12から上方に向かって生育し、温室本体11の天井や壁面を透過した太陽光に露呈している。温室本体11の内部には、光センサー40が設けられている。光センサー40は、温室本体11内に入射する太陽光の日照量や日照角度を計測し、電気信号として制御部50に送信する。なお、図示は省略するが、温室本体11内の温度をコントロールするためのボイラー等が配置されていてもよい。また、湿度をコントロールする装置が設けられていてもよい。温室本体11の形状や寸法体格は、要求に応じて適宜変更されてよい。
【0014】
(波長変換シート20の構成)
波長変換シート20は、温室本体11内に照射される太陽光の波長を特定の値に変換する素材で形成されている。具体的には、太陽光に含まれる可視光の波長が400~700nmであるのに対して、当該波長変換シート20に照射された光は、その波長が変換されて、600~700nmの赤色光となる。つまり、蛍光塗料のように、入射した光の波長を変換して波長変換シートから赤色光として照射されるようになっている。この赤色光が植物に照射されると、当該植物の生体内でタンパク質の変性が生じ、光合成が促進される効果がある。
【0015】
波長変換シート20は、温室本体11の天井部から下方に向かって吊架されている。この状態で、波長変換シート20には太陽光が照射される。波長変換シート20は、シート駆動部30によって巻き出し可能なロールスクリーン状に支持されている。光センサー40が計測した太陽光の状態量(日照角度や日照量)に応じて、制御部50が波長変換シート20の巻き出し量を調節する。また、シート駆動部30は、波長変換シート20の太陽光に対する角度を変化させることも可能な構成を有する。このような巻き出しや角度調節の各動作は、モータやアクチュエータによって適宜実現される。
【0016】
図2に示すように、波長変換シート20は、変換シート本体21と、調節シート22と、を有する。変換シート本体21は、例えばUbiGro社製のグリーンハウスフィルムであり、上述のように、太陽光に含まれる可視光の波長を変換して赤色光を発する機能を有する。波長変換シート20は上下方向を長辺とする矩形をなしている。波長変換シート20の矩形の面全体を受光面23とした場合、調節シート22は、この受光面23における変換シート本体21の占有面積を調節するために設けられている。つまり、調節シート22は、変換シート本体21の一部を覆っている。より具体的には
図2に示すように、調節シート22は、矩形をなし、受光面23上で格子模様となるように複数配置されている。これにより、例えば受光面23の50%程度が調節シート22によって占められ、残余の50%程度が変換シート本体21によって占められる。調節シート22として具体的には、透光性の比較的低い通常の農業用シートが好適に用いられる。したがって、波長変換シート20に入射した太陽光の一部は調節シート22によって遮られるが、残余の成分は変換シート本体21に照射されることで波長が変化し、上述の赤色光となる。
【0017】
(制御部50の構成)
次に、
図3を参照して制御部50の構成について説明する。制御部50は、太陽光情報取得部51と、判定部52と、姿勢調節部53と、巻き出し量調節部54と、記憶部55と、を有する。
【0018】
太陽光情報取得部51は、上述の光センサー40が計測した太陽光の波長や光量、照度、角度等の物理量を電気信号として当該光センサー40から取得する。取得された情報は記憶部55に一時的に格納される。判定部52は、太陽光情報取得部51が取得した物理量が、予め定められた数値範囲内にあるか否かを判定する。この数値範囲は、対象となる植物の光合成に適した値であるか否かに基づいて適宜決定されてよい。判定部52によって太陽光の物理量が数値範囲外にあると判定された場合、姿勢調節部53、及び巻き出し量調節部54によって、波長変換シート20の角度、及び巻き出し量を変化させることで、上述した赤色光の光量が調節される。
【0019】
より具体的には、
図4に示すように、ステップS1で、太陽光情報取得部51が光センサー40から太陽光の物理量を取得する。ステップS2では、判定部52が、当該物理量に基づいて、波長変換シート20の角度調節が必要か否かを判定する。ステップS2で調節が必要と判定された場合、ステップS3で、姿勢調節部53がシート駆動部30を動作させることで、波長変換シート20の太陽光に対する角度・姿勢が調節される。さらに、ステップS4では、再び判定部52が、上述の物理量に基づいて、波長変換シート20の巻き出し量の調節が必要か否かを判定する。ステップS4でYesと判定された場合、巻き出し量調節部54がシート駆動部30を動作させることによって、波長変換シート20の巻き出し量が調節される。
【0020】
(作用効果)
【0021】
植物はクロロフィルに代表される色素で可視光(波長400~700nm)を吸収し、光合成によってCO2を固定し、葉・茎・根・果実などを生産する。CO2濃度を高めることで光合成量が増せることや、病害虫や害動物による被害から植物を守ること、農業従事者の負担を軽減することを目的として、閉鎖型の農業施設を採用する農業従事者が増えている。
【0022】
このような閉鎖型農業施設(温室10)では、屋根や壁の部分を安価にかつ丈夫な構造にするため高分子系の素材を使ったものが多い。高分子系の素材としては透明なものを選択するすることが一般的ではあるが、光の透過率が悪く、結果として外部の光強度の半分程度の光しか農業施設内には供給されていないこともある。
【0023】
そこで、太陽光などでクロロフィルに吸収されない波長域(500~600nm)の光をより長波長側の赤色光(600~700nm)に変換する波長変換シート20を用いる技術が提唱されている。このようにして変換された光は,クロロフィル等の光合成に使われやすい波長に変換され、光合成量が増えるとされている。
【0024】
しかしながら、農業施設(温室10)の全面に上記の波長変換シート20を配置した場合、植物は与えられた環境に順応してしまい、かえって生育状態が悪化し、最終的には徒長(植物の背丈のみが異常に伸長すること)などの現象を引き起こす。この結果として、温室10内での植物の生産性が低下するといった課題があった。そこで、本実施形態では上述した各構成を採用している。
【0025】
上記構成によれば、調節シート22によって受光面23における変換シート本体21の占有面積を調節することができる。これにより、例えば受光面23の全域が変換シート本体21で占められている場合に比べて、波長が変換されて生じた変換光の光量を低減させたり増加させたりことができる。したがって、植物が変換光の環境下で過度に順応することがなくなり、徒長等の現象を回避することができる。つまり、茎が過度に伸長する現象を回避することができる。その結果、一株当たりの作物の収穫量が増加し、高い生産性を実現することが可能となる。
【0026】
さらに、上記構成によれば、調節シート22によって変換シート本体21の一部を覆うことのみによって、容易かつ廉価に波長変換シート20の特性を調節することが可能となる。反対に、縫製や接着等によってこれら変換シート本体21と調節シート22とを結合する場合には、結合すべき端縁が増加するため、製造コストやメンテナンスコストが増加してしまう。上記構成によれば、このような可能性を回避して、廉価かつ安定的に波長変換シート20を得ることができる。
【0027】
また、上記構成によれば、太陽光の状態、つまり日照量や日照角度に応じて、制御部50によって波長変換シート20の角度を変化させることができる。これにより、常態的に最適な変換光の光量を維持することができる。その結果、温室10での植物の生産性をさらに向上させることができる。
【0028】
加えて、上記構成によれば、太陽光の状態、つまり日照量や日照角度に応じて、巻き出し量調節部54によって波長変換シート20の巻き出し量を調節することで、常態的に最適な変換光の光量を維持することができる。その結果、温室10での植物の生産性をより一層向上させることができる。
【0029】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0030】
例えば、調節シート22は、変換シート本体21に対して縫製や接着等によって一体に接続されることで占有面積を調節するように構成されていてもよい。調節シート22が変換シート本体21に対して一体に強固に接続されていることから、製造コストやメンテナンスコストが許容する限りにおいては、長期にわたって安定的に、定められた専有面積を維持し続けることができる。
【0031】
また、上記実施形態で示した波長変換シート20の構成は一例であって、上述の格子模様状に調節シート22を貼付する構成にのみならず、ストライプ状であってもよい。この構成によっても上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
さらに、波長変換シート20における変換シート本体21の占有面積の比率、及び波長変換シート20の数や面積は、温室10の寸法体格や耕作地の立地、標高、季節等によって適宜決定されてよい。光センサー40の数も同様に適宜変更されてよい。
【0033】
また、上記実施形態では、波長変換シート20の角度、及び巻き出し量をシート駆動部30によって調節する構成について説明したが、角度、及び巻き出し量のいずれか一方のみが調節可能に構成されていてもよいし、コストを重視する際にはこれらの調節を行わない構成を採用することも可能である。また、光センサー40によらず、日照度計等の他の計測機器を用いることも可能であるし、作業員の目視によってこれらの制御を行うことも可能である。
【0034】
なお、本開示の実施形態における制御部50の処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0035】
本開示の実施形態における記憶部55、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部55、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0036】
上述した制御部50による処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ200が読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ200が読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータ200の具体例を以下に示す。
【0037】
図5に示すように、コンピュータ200は、CPU101と、メインメモリ102と、ストレージ103と、インターフェース104と、を備える。
例えば、上述の制御部50はコンピュータ200に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ103に記憶されている。CPU101は、プログラムをストレージ103から読み出してメインメモリ102に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU101は、プログラムに従って、上述した記憶部55に対応する記憶領域をメインメモリ102に確保する。
【0038】
ストレージ103の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ103は、コンピュータ200のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース104または通信回線を介してコンピュータ200に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ200に配信される場合、配信を受けたコンピュータ200が当該プログラムをメインメモリ102に展開し、上記処理を実行してもよい。なお、ストレージ103は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0039】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ200にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
なお、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0041】
<付記>
各実施形態に記載の植物栽培設備1は、例えば以下のように把握される。
【0042】
(1)第1の態様に係る植物栽培設備1は、植物を栽培するスペースを内部に有するとともに太陽光を透過する透光性材料で形成された温室10と、該温室10内に設けられ、前記太陽光が照射される受光面23を有し、該太陽光とは波長の異なる変換光を発する波長変換シート20と、を備え、前記波長変換シート20は、前記変換光を発生させる変換シート本体21と、該変換シート本体21に一体に設けられて、前記受光面23における前記変換シート本体21の占有面積を調節する調節シート22と、を有する。
【0043】
上記構成によれば、調節シート22によって受光面23における変換シート本体21の占有面積を調節することができる。これにより、例えば受光面23の全域が変換シート本体21で占められている場合に比べて、変換光の光量を低減させたり増加させたりことができる。したがって、植物が変換光の環境下で過度に順応することがなくなり、徒長等の現象を回避することができる。
【0044】
(2)第2の態様に係る植物栽培設備1は、(1)の植物栽培設備1であって、前記調節シート22は、前記変換シート本体21の一部を覆うことで前記占有面積を調節する。
【0045】
上記構成によれば、調節シート22によって変換シート本体21の一部を覆うことのみによって、容易かつ廉価に波長変換シート20の特性を調節することが可能となる。
【0046】
(3)第3の態様に係る植物栽培設備1は、(1)の植物栽培設備1であって、前記調節シート22は、前記変換シート本体21に対して一体に接続されることで前記占有面積を調節する。
【0047】
上記構成によれば、調節シート22が変換シート本体21に対して一体に接続されていることから、長期にわたって安定的に、定められた専有面積を維持することができる。
【0048】
(4)第4の態様に係る植物栽培設備1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る植物栽培設備1であって、前記波長変換シート20は、前記温室10の天井から巻き出し可能に吊架され、前記太陽光を検知する光センサー40と、該光センサー40によって検知された前記太陽光の状態に基づいて、前記波長変換シート20の前記太陽光に対する角度を変化させる姿勢調節部53を有する制御部50と、をさらに備える。
【0049】
上記構成によれば、太陽光の状態、つまり日照量や日照角度に応じて、波長変換シート20の角度を変化させることができる。これにより、常態的に最適な変換光の光量を維持することができる。その結果、温室10での植物の生産性をさらに向上させることができる。
【0050】
(5)第5の態様に係る植物栽培設備1は、(4)の植物栽培設備1であって、前記制御部50は、前記光センサー40によって検知された前記太陽光の状態に基づいて、前記波長変換シート20の前記天井から巻き出される量を調節する巻き出し量調節部54をさらに有する。
【0051】
上記構成によれば、太陽光の状態、つまり日照量や日照角度に応じて、巻き出し量調節部54によって波長変換シート20の巻き出し量を調節することで、常態的に最適な変換光の光量を維持することができる。その結果、温室10での植物の生産性をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…植物栽培設備 10…温室 11…温室本体 12…土壌部 20…波長変換シート 21…変換シート本体 22…調節シート 23…受光面 30…シート駆動部 40…光センサー 50…制御部 51…太陽光情報取得部 52…判定部 53…姿勢調節部 54…巻き出し量調節部 55…記憶部 101…CPU 102…メインメモリ 103…ストレージ 104…インターフェース 200…コンピュータ