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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158966
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両認識システム及び車両認識方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/70 20230101AFI20241031BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241031BHJP
   H04N 23/73 20230101ALI20241031BHJP
   H04N 23/76 20230101ALI20241031BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241031BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N23/70
H04N23/60 500
H04N23/73
H04N23/76
G03B15/00 Q
G03B15/00 S
G03B7/091
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074642
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 和輝
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】角間 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡 雄平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002FB01
2H002FB23
2H002GA35
2H002HA07
5C122EA37
5C122FF01
5C122FF09
5C122FF15
5C122FH01
5C122FH11
5C122GA01
5C122GA23
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】閉鎖空間から出ていく車両が含まれるカメラ画像に基づいて当該車両の認識を行う場合、シャッターが開くときに当該車両の認識の精度が低下するのを抑えることができる技術を提供する。
【解決手段】車両認識システムは、閉鎖空間内に設置されたカメラで取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理において、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉情報に基づいて、シャッターが開いているか否かを判定する。また、車両認識システムは、閉鎖空間の外側照度の情報と、閉鎖空間の内側且つカメラの撮影空間における内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。更に、車両認識システムは、シャッターが開かれていると判定され且つ外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識システムであって、
前記閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像と、前記閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉情報と、前記閉鎖空間の内側、かつ、前記カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報と、前記閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、を格納する記憶装置と、
前記カメラ画像に含まれる車両の認識処理を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記認識処理において、
前記シャッターの開閉情報に基づいて、前記シャッターが開いているか否かを判定し、
前記外側照度の情報と、前記内側照度の情報とに基づいて、前記外側照度が前記内側照度よりも高いか否かを判定し、
前記シャッターが開かれていると判定され、かつ、前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定された場合、前記カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行うように構成された
車両認識システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両認識システムであって、
前記プロセッサは、前記明るさ補正処理において、
前記外側照度が前記内側照度よりも閾値以上高い場合、前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定して前記カメラ画像の明るさを補正するように構成された
車両認識システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両認識システムであって、
前記記憶装置には、更に、前記カメラのシャッタースピードを含む前記カメラの設定情報が格納され、
前記明るさ補正処理は、前記カメラ画像から算出される明度を補正する処理及び前記シャッタースピードを調整する処理のうちの少なくとも一方の処理を含む
車両認識システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両認識システムであって、
前記シャッターの開閉情報は、前記シャッターの開閉度合いの情報を含み、
前記プロセッサは、
前記開閉度合いの情報が前記開閉情報に含まれる場合、前記カメラ画像から算出される明度を補正する処理において、前記開閉度合いに応じて当該明度の補正の度合いを設定し、
前記シャッタースピードを調整する処理において、前記開閉度合いに応じて当該シャッタースピードの調整の度合いを設定するように構成された
車両認識システム。
【請求項5】
閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識方法であって、
前記閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理において、前記閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉情報に基づいて、前記シャッターが開いているか否かを判定することと、
前記認識処理において、前記閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、前記閉鎖空間の内側、かつ、前記カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報とに基づいて、前記外側照度が前記内側照度よりも高いか否かを判定することと、
前記認識処理において、前記シャッターが開かれていると判定され、かつ、前記外側照度が前記内側照度よりも高いと判定された場合、前記カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行うことと、
を含む
車両認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが注目したい被写体の視認性を向上する撮像装置が開示されている。この従来技術では、カメラで撮像した低照度の映像と高照度の映像を合成した画像に基づいて、注目する被写体の人物の顔が検出され、顔領域の輝度分布が算出される。そして、低照度領域あるいは高照度領域にいる人物の顔領域の輝度分布をもとに、顔領域の露光量が適正露光範囲に近づくように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-254340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車庫、駐車場、工場等といった車両の移動が想定される一定の広がりを持った閉鎖空間において、この閉鎖空間に設けられたカメラでここから出ていく車両を認識するシーンを考える。このとき、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターが開いた場合、閉鎖空間周辺の天候、時間帯によっては、カメラに搭載された受光センサの受光量が飽和してカメラ画像の白飛びが発生することがある。カメラ画像の白飛びした部分に車両が含まれる場合、カメラで車両を認識できないおそれがある。
【0005】
本開示の1つの目的は、閉鎖空間から出ていく車両が含まれるカメラ画像に基づいて当該車両の認識を行う場合、シャッターが開くときに当該車両の認識の精度が低下するのを抑えることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点は、閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識システムに関連する。車両認識システムは、閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像と、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉情報と、閉鎖空間の内側、かつ、カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報と、閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、を格納する記憶装置と、カメラ画像に含まれる車両の認識処理を行うプロセッサと、を備える。プロセッサは、当該認識処理において、シャッターの開閉情報に基づいて、シャッターが開いているか否かを判定する。また、プロセッサは、当該認識処理において、外側照度の情報と、内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。更に、プロセッサは、当該認識処理において、シャッターが開かれていると判定され、かつ、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行う。
【0007】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。プロセッサは、明るさ補正処理において、外側照度が内側照度よりも閾値以上高い場合、外側照度が内側照度よりも高いと判定してカメラ画像の明るさを補正する。
【0008】
本開示の第3の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置には、更に、カメラのシャッタースピードを含むカメラの設定情報が格納される。明るさ補正処理は、カメラ画像から算出される明度を補正する処理及びシャッタースピードを調整する処理のうちの少なくとも一方の処理を含む。
【0009】
本開示の第4の観点は、第3の観点に加えて、次の特徴を更に有する。シャッターの開閉情報は、シャッターの開閉度合いの情報を含む。プロセッサは、シャッターの開閉度合いの情報がシャッターの開閉情報に含まれる場合、カメラ画像から算出される明度を補正する処理において、シャッターの開閉度合いに応じて当該明度の補正の度合いを設定する。また、プロセッサは、シャッタースピードを調整する処理において、シャッターの開閉度合いに応じて当該シャッタースピードの調整の度合いを設定する。
【0010】
本開示の第5の観点は、閉鎖空間内に存在する車両を認識する車両認識方法に関連する。車両認識方法は、閉鎖空間内に設置されたカメラにより取得されたカメラ画像に含まれる車両の認識処理において、閉鎖空間における車両の出入口に設けられたシャッターの開閉情報に基づいて、シャッターが開いているか否かを判定することと、当該認識処理において、閉鎖空間の外側における照度を示す外側照度の情報と、閉鎖空間の内側、かつ、カメラの撮影空間における照度を示す内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定することと、当該認識処理において、シャッターが開かれていると判定され、かつ、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行うことと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、シャッターが開かれており、且つ、外側照度が内側照度よりも高い場合、つまり、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ画像の明るさが補正される。これにより、閉鎖空間から出ていく車両が含まれるカメラ画像に基づいた当該車両の認識の精度が、シャッターが開くときに低下するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る車両認識システムの概要を説明するための図である。
図2】実施の形態に係る車両認識システムの具体例を説明するための図である。
図3】実施の形態に係る車両認識システムの具体例を説明するための図である。
図4】実施の形態に係る車両認識システムの構成例を示すブロック図である。
図5】実施の形態に係る車両認識システムの処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係る車両認識システム、及び車両認識方法について説明する。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
1.概要
図1は、実施の形態に係る車両認識システム1の概要を説明するための図である。車両認識システム1は、閉鎖空間2に設置されたカメラ5を用いて、閉鎖空間2内の車両4を認識するシステムである。車両認識システム1は、図1(A)に示すように、カメラ5と、第1照度センサ6、第2照度センサ7、及び情報処理装置10とを含んでいる。カメラ5、第1照度センサ6、及び情報処理装置10はともに閉鎖空間2の内側に設けられている。第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側に設けられている。尚、情報処理装置10は、閉鎖空間2の外側に設けられていてもよい。
【0015】
閉鎖空間2は、車庫、駐車場、工場等といった車両の移動が想定される一定の広がりを持った空間である。閉鎖空間2には、図1(A)に示すように、車両4の出入口用に閉鎖空間2の内側と閉鎖空間2の外側をつなぐシャッター3が少なくとも1つ設けられている。シャッター3は、上下方向に開閉可能な構造を有している。
【0016】
カメラ5は、閉鎖空間2内の撮影空間を撮影する。撮影空間とは、カメラ5で撮影したカメラ画像にシャッター3から所定距離内に存在する車両4を含むように設定されたカメラ5の画角8を意味する。また、カメラ5は、車両4付近を拡大して撮影できるようにズーム機能を備えていてもよい。
【0017】
第1照度センサ6は、カメラ5の撮影空間における照度を示す内側照度を取得するセンサである。第1照度センサ6は、カメラ5の撮影空間のうちどこかに固定して取り付けられてもよいし、カメラ5の撮影空間に存在する車両4に取り付けられてもよい。図1(A)に示す例では、第1照度センサ6は、カメラ5の撮影空間のうち閉鎖空間2の内側の壁面上に固定して取り付けられている。
【0018】
第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側における照度を示す外側照度を取得するセンサである。第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側、且つ、シャッター3の付近に固定して取り付けられてもよいし、閉鎖空間2の外側に存在する車両に取り付けられてもよい。図1(A)に示す例では、第2照度センサ7は、閉鎖空間2の外側の壁面上、且つ、シャッター3の上部に固定して取り付けられている。
【0019】
情報処理装置10は、カメラ5で撮影したカメラ画像に含まれる車両4の認識処理を行う装置である。情報処理装置10は、シャッター3、カメラ5、第1照度センサ6、及び第2照度センサ7の各装置に接続されている。情報処理装置10と各装置との間のそれぞれは、例えば、ケーブルで接続されている。尚、各装置に通信装置が設けられている場合、情報処理装置10は、各装置に設けられた通信装置のそれぞれを介して、各種情報を取得してもよい。
【0020】
ここで、図1(B)に示すように、車両4を閉鎖空間2の内側から閉鎖空間2の外側に移動させるためにシャッター3が開かれた場合を考える。この場合、閉鎖空間2の内側と閉鎖空間2の外側をつなぐ出入口から閉鎖空間2の内側に向かって光9が入射される。閉鎖空間2の内側に入射された光9の反射光がカメラ5に所定量以上取り込まれる場合、カメラ5で撮影したカメラ画像の白飛びが発生しうる可能性がある。
【0021】
実施の形態に係る車両認識システム1によれば、情報処理装置10は、シャッター3が開かれている場合、次の処理を行う。具体的には、情報処理装置10は、シャッター3が開かれているか否かを判定する。シャッター3が開かれているか否かの判定には、例えば、シャッター3の開閉情報に基づいて行われる。シャッター3の開閉情報は、例えば、シャッター3の開閉ボタン(開ボタン又は閉ボダン)の情報を含んでいる。
【0022】
そして、情報処理装置10は、第1照度センサ6により取得された内側照度の情報と、第2照度センサ7により取得された外側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。外側照度が内側照度よりも高いか否かの照度判定処理の詳細については後述する。
【0023】
更に、情報処理装置10は、シャッター3が開かれていると判定され、且つ、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理を行う。明るさ補正処理の詳細については後述する。
【0024】
2.具体例
2-1.照度判定処理の例
図2は、実施の形態に係る車両認識システム1の具体例を示す説明図である。具体的には、図2は、シャッター3が開かれている場合において、外側照度が内側照度よりも高いか否かの照度判定処理の例を示している。図2(A)に示す例では、外側照度が内側照度よりも高く、且つ、外側照度と内側照度との差が閾値以上であることが示されている。この場合、外側照度と内側照度との差が大きいことから、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にあることがいえる。
【0025】
一方、図2(B)に示す例では、外側照度が内側照度よりも高いものの、外側照度と内側照度との差が閾値未満であることが示されている。この場合、外側照度と内側照度との差が小さいことから、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にないことがいえる。
【0026】
従って、情報処理装置10は、シャッター3が開かれており、且つ、外側照度が内側照度よりも閾値以上高い場合、カメラ画像の明るさを補正する。
【0027】
2-2.明るさ補正処理の例
図3は、実施の形態に係る車両認識システム1の具体例を示す説明図である。具体的には、図3は、情報処理装置10が実行するカメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理の例を示している。図3(A)に示す例では、明るさ補正処理は、カメラ5のパラメータ調整とカメラ画像の補正の2つを含んでいる。以下、それぞれの処理の内容について説明する。
【0028】
カメラ5のパラメータ調整は、カメラ5の設定情報に基づいて行われる。カメラ5の設定情報は、カメラ5のシャッタースピードの情報を含んでいる。つまり、カメラ5のパラメータ調整とは、カメラ5のシャッタースピードを調整することを意味する。例えば、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ5のシャッタースピードを速くするようにカメラ5のシャッタースピードの設定値が調整される。これにより、カメラ5に取り込まれる光9の反射光の量を抑制することが可能となる。ゆえに、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況が改善される。
【0029】
次にカメラ画像の補正について説明する。カメラ画像の補正は、カメラ画像から算出される明度に基づいて行われる。つまり、カメラ画像から算出される明度が基準値以上の場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にあることがいえる。従って、当該明度が基準値未満となるようにカメラ画像の明度を補正することにより、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況が改善される。
【0030】
尚、図3(A)に示すように、明るさ補正処理は、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のうちの少なくとも一方の処理を含んでいてもよい。図3(A)のケース1に示す例では、明るさ補正処理は、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理のみを含んでいる。図3(A)のケース2に示す例では、明るさ補正処理は、カメラ画像から算出される明度を補正する処理のみを含んでいる。図3(A)のケース3に示す例では、明るさ補正処理は、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理を含んでいる。
【0031】
更に、情報処理装置10は、図3(B)に示すように、シャッター3の開閉度に応じて、明るさ補正処理の実行内容を決定してもよい。シャッター3の開閉度(開き度又は閉じ度)は、例えば、シャッター3の最下部(例えば、水切り)の位置を用いた百分率で表される。例えば、シャッター3で出入口が完全に閉じられているときの最下部の位置を0%とし、シャッター3で同出入口が完全に開かれているときの同最下部の位置を100%とする。これにより、開き度が百分率で表される。この開き度の考え方は、閉じ度にも適用できる(閉じ度=100-開き度)。
【0032】
シャッター3の開き度は、例えば、シャッター3を開くときの速度の情報と、シャッター3の開閉情報に含まれるシャッター3の開ボタンの情報とに基づいて算出される。具体的には、シャッター3が開くときの速度は一定であり既知の情報であるとする。この場合、シャッター3の開き度は、当該速度と、シャッター3の開ボタンが有効となってから無効となるまでの時間帯に基づいて算出される。これにより、シャッター3の開き度が求まる。この開き度の算出の考え方は、シャッター3の閉じ度の算出にも適用できる。
【0033】
シャッター3の開き度は、例えば、図3(B)に示すように、第1開き度、第2開き度、第3開き度の3つに分類される。第1開き度とは、シャッター3の開き度が所定度未満の状態のことを意味する。第2開き度とは、シャッター3の開き度が所定度以上の状態のことを意味する。第3開き度とは、シャッター3の開き度が所定度以上であり、且つ、シャッター3の開き度が第2開き度よりも大きい状態のことを意味する。
【0034】
図3(B)のケース1に示す例では、シャッター3の開き度は第1開き度である。この場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にないことから、情報処理装置10は、明るさ補正処理を実行しない。
【0035】
図3(B)のケース2及び図3(B)のケース3に示す例では、シャッター3の開き度は第2開き度である。この場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にあることから、情報処理装置10は、明るさ補正処理を実行する。ただし、シャッター3の開き度が第2開き度である場合、明るさ補正処理に含まれるカメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のいずれか一方の処理を実行することによりカメラ画像の白飛びが発生しうる状況が改善される。従って、図3(B)のケース2例では、情報処理装置10は、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理を実行する。一方、図3(B)のケース3例では、情報処理装置10は、カメラ画像から算出される明度を補正する処理を実行する。
【0036】
図3(B)のケース4に示す例では、シャッター3の開き度は第3開き度である。この場合、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にあることから、情報処理装置10は、明るさ補正処理を実行する。しかし、シャッター3の開き度が第3開き度である場合、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のいずれか一方の処理を実行してもカメラ画像の白飛びが解消されないことが想定される。従って、情報処理装置10は、シャッター3の開き度が第3開き度である場合、前述した両方の処理を実行してもよい。
【0037】
図3(B)で説明したシャッター3の開き度に応じた明るさ補正処理の考え方は、シャッター3の閉じ度に応じた明るさ補正処理にも適用できる。
【0038】
3.効果
このように、実施の形態に係る車両認識システム1では、シャッター3が開かれており、且つ、外側照度が内側照度よりも高い場合、つまり、カメラ画像の白飛びが発生しうる状況にある場合、カメラ画像の明るさを補正する明るさ補正処理が実行される。明るさ補正処理では、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のうちの少なくとも一方の処理が実行される。これにより、閉鎖空間2から出ていく車両4が含まれるカメラ画像に基づいた当該車両4の認識の精度が、シャッター3が開くときに低下するのを抑えることができる。
【0039】
4.構成例
図4は、実施の形態に係る車両認識システム1における情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ20と、記憶装置30とを含んでいる。プロセッサ20は、各種処理を実行する。記憶装置30は、プロセッサ20による処理に必要な各種情報を格納する。
【0040】
記憶装置30に格納される各種情報には、カメラ画像の情報と、シャッター3の開閉情報と、内側照度の情報と、外側照度の情報と、カメラ5の設定情報とを含んでいる。シャッター3の開閉情報には、シャッター3の開閉ボタンの情報と、シャッター3の開閉度合いの情報とが含まれている。また、カメラ5の設定情報には、カメラ5のシャッタースピードの情報が含まれている。
【0041】
記憶装置30は、更に、車両認識プログラム(不図示)を含んでいる。車両認識プログラムは、プロセッサ20によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ20が車両認識プログラムを実行することにより、車両認識システム1の機能が実現される。
【0042】
尚、カメラ5、第1照度センサ6、第2照度センサ7を含む各種センサと情報処理装置10との間の接続はケーブルであってもよいし(第1接続)、各種センサに設けられた通信装置を介した通信であってもよい(第2接続)。各種センサと情報処理装置10との間の接続が第2接続の場合、情報処理装置10は、各センサと通信可能な通信装置を更に含んでいる。
【0043】
5.処理例
図5は、実施の形態に係る車両認識システム1における情報処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS100において、情報処理装置10は、各種情報を取得する。その後、処理はステップS110に進む。各種情報には、カメラ画像の情報、シャッター3の開閉情報、内側照度の情報、外側照度の情報、カメラ5の設定情報が含まれている。
【0045】
ステップS110において、情報処理装置10は、シャッター3の開閉情報に基づいて、シャッター3が開かれているか否かを判定する。シャッター3が開かれていると判定された場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS120に進む。それ以外の場合(ステップS110;No)、処理を終了する。
【0046】
ステップS120において、情報処理装置10は、外側照度の情報と内側照度の情報とに基づいて、外側照度が内側照度よりも高いか否かを判定する。外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、処理を終了する。
【0047】
ステップS130において、情報処理装置10は、シャッター3が開かれていると判定され、かつ、外側照度が内側照度よりも高いと判定された場合、カメラ画像の明るさ補正処理を実行する。明るさ補正処理は、カメラ5のシャッタースピードを調整する処理及びカメラ画像から算出される明度を補正する処理のうちの少なくとも一方の処理を含んでいる。
【符号の説明】
【0048】
1…車両認識システム, 2…閉鎖空間, 3…シャッター, 4…車両, 5…カメラ, 6…第1照度センサ, 7…第2照度センサ, 8…画角, 9…光, 10…情報処理装置, 20…プロセッサ, 30…記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5