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特開2024-158967キャビテーション処理方法及びキャビテーション処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158967
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】キャビテーション処理方法及びキャビテーション処理装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 17/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B23P17/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074643
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 大貴
(57)【要約】
【課題】対象物の対象穴の内側の表面にキャビテーション処理を行うキャビテーション処理方法を提供する。
【解決手段】ワーク(対象物)10aが、対象穴20aを有しており、対象穴20aの1つの入口21以外の部分が塞がれており、ワーク10a及びノズル102を処理液中に浸漬し、対象穴20aの外側に位置するノズル102から対象穴20aの入口21を通して対象穴20aの内側へ向けてキャビテーションが発生するように処理液の噴流を噴射し、対象穴20aの内側の表面の領域であって対象穴20aの塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域A1aとなる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が、対象穴を有しており、
前記対象穴の1つの入口以外の部分が塞がれており、
前記対象物及びノズルを処理液中に浸漬し、
前記対象穴の外側に位置する前記ノズルから前記対象穴の前記入口を通して前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように前記処理液の噴流を噴射し、
前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域となる、
キャビテーション処理方法。
【請求項2】
前記ノズルの外径が、前記対象穴の前記入口の内径よりも大きい、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項3】
前記入口が前記対象穴の唯一の開口である、
請求項1又は2に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項4】
前記対象物が、前記入口以外に前記対象穴の開口部を有しており、
前記開口部を閉塞体によって塞ぐ、
請求項1又は2に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項5】
前記対象物が、前記対象穴の内側の表面に、キャビテーション処理を行わない領域である非処理領域を有しており、
前記対象穴の内側に配置した被覆体によって前記非処理領域を覆う、
請求項1~4のいずれかに記載のキャビテーション処理方法。
【請求項6】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の上流側に位置する前記非処理領域を覆う前記被覆体が、この前記被覆体を貫通する通過穴を有しており、
前記噴流が前記通過穴を通過する、
請求項5に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項7】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の下流側の位置に、
前記噴流の流れを妨げる阻害体を配置する、
請求項1~6のいずれかに記載のキャビテーション処理方法。
【請求項8】
前記噴流の流れ方向に沿って前記阻害体を移動させる、
請求項7に記載のキャビテーション処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面にキャビテーション処理を行うキャビテーション処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の対象物に対するキャビテーション処理が行われている(特許第6872929号公報)。キャビテーション処理は、対象物にキャビティ(気泡)を含む流体の噴流を衝突させ、キャビティが崩壊する際の衝撃力によって対象物の表面を処理するものである。キャビテーション処理によって、対象物の表面に圧縮残留応力を付加するピーニング、対象物の表面にディンプル形状を形成することによる摺動性の向上、その他、洗浄、剥離、切断、バリ取り等の効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
キャビテーション処理の対象となる対象物の形状や大きさは様々である。適切なキャビテーション処理を行うためには、対象物の条件に応じた適切な方法で、対象物の表面に噴流を衝突させる必要がある。
本発明は、対象物の対象穴の内側の表面にキャビテーション処理を行うキャビテーション処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
代表的な本発明は、
対象物が、対象穴を有しており、
前記対象穴の1つの入口以外の部分が塞がれており、
前記対象物及びノズルを処理液中に浸漬し、
前記対象穴の外側に位置する前記ノズルから前記対象穴の前記入口を通して前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように前記処理液の噴流を噴射し、
前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域となる、
キャビテーション処理方法である。
【0005】
キャビテーション処理の際、対象物とノズルとは、いずれも槽に貯留された処理液中に浸漬される。処理液中において、ノズルから対象物に向けて処理液の噴流が噴射される。処理液は、例えば水である。処理液は、水に研磨材が混合されたものでも良い。槽に貯留された処理液に、研磨材が混濁されても良い。
【0006】
対象物は、金属で構成される。対象物を構成する金属は、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、鉄鋼である。対象物は、例えば、機械部品である。機械部品は、例えば、バルブ、配管継手である。対象物が有する対象穴は、分岐を有さない穴でも良い。対象穴は、分岐を有しても良い。対象穴の深さは、例えば、50mm~300mmである。対象穴の内径は、例えば、10mm~40mmである。ノズルの噴口径は、例えば、0.5mm~3mmである。噴流の噴射圧力は、例えば、10MPa~80MPaである。
【0007】
閉塞体は、例えば金属である。閉塞体は、対象穴の開口部に嵌め合うものでも良い。閉塞体は、雄ねじを有し、対象穴の開口部に形成された雌ねじにねじ込まれるものでも良い。閉塞体は、対象穴に対して、わずかな隙間(例えば0.5mm)を隔てたものでも良い。例えば対象穴の断面形状が円形の場合に、閉塞体は、円板形、円柱形や円筒形であって良い。
【0008】
被覆体は、例えば金属である。被覆体を構成する金属は、例えば、ステンレス鋼である。被覆体は、対象穴の内側の表面の非処理領域に接するものでも良い。被覆体は、対象穴に対して、わずかな隙間(例えば0.5mm)を隔てたものでも良い。例えば対象穴の断面形状が円形の場合に、被覆体は、円板形、円柱形や円筒形であって良い。
【0009】
通過穴は、噴流の流れ方向に被覆体を貫通する穴であって良い。例えば対象穴の断面形状が円形の場合に、通過穴は断面形状が円形であってその中心軸が対象穴の中心軸と一致したものであって良い。
【0010】
処理領域となる対象穴の奥部の領域とは、対象穴が塞がれた位置の近傍の領域である。具体的には、対象穴が塞がれた位置から、対象穴の深さ方向において5mm~20mmの領域である。
【0011】
阻害体は、例えば金属である。阻害体を構成する金属は、例えば、ステンレス鋼である。阻害体は、対象穴の内側の表面に接するものでも良い。阻害体は、対象穴に対して、隙間を隔てたものでも良い。
阻害体は、噴流の流れ方向の上流側から下流側に向けて移動しても良い。阻害体は、噴流の流れ方向の下流側から上流側に向けて移動しても良い。
【0012】
閉塞体と被覆体とは、一体に形成されても良い。閉塞体は、対象穴の開口部を塞ぐとともに、対象穴の内側の表面を覆っても良い。閉塞体が覆う領域が非処理領域であるとき、閉塞体は被覆体としても機能する。すなわち、閉塞体が被覆体を兼ねても良い。
【0013】
被覆体と阻害体とは、一体に形成されても良い。被覆体は、対象穴の内側の表面を覆うとともに、噴流の流れを妨げても良い。このとき、被覆体は阻害体としても機能する。すなわち、被覆体が阻害体を兼ねても良い。
【0014】
閉塞体と阻害体とは、一体に形成されても良い。閉塞体は、対象穴の開口部を塞ぐとともに、噴流の流れを妨げても良い。このとき、閉塞体は阻害体としても機能する。すなわち、閉塞体が阻害体を兼ねても良い。
【0015】
閉塞体と被覆体と阻害体とは、一体に形成されても良い。閉塞体は、対象穴の開口部を塞ぐとともに、対象穴の内側の表面を覆い、かつ噴流の流れを妨げても良い。このとき、閉塞体は被覆体および阻害体としても機能する。すなわち、閉塞体が被覆体と阻害体とを兼ねても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキャビテーション処理方法によれば、キャビテーション処理装置は対象物の対象穴の内側の表面にキャビテーション処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のキャビテーション処理装置
図2】第1実施形態のワークの縦断面図
図3A】第2実施形態のワークと第1キャップの縦断面図
図3B】第2実施形態の第1キャップが装着されたワーク
図4A】第3実施形態のワークと第1キャップ及び第7キャップの縦断面図
図4B】第3実施形態の第1キャップ及び第7キャップが装着されたワーク
図5A】第4実施形態のワークと第2キャップの縦断面図
図5B】第4実施形態の第2キャップが装着されたワーク
図6A】第5実施形態のワークと第2キャップ及び第3キャップの縦断面図
図6B】第5実施形態の第2キャップ及び第3キャップが装着されたワーク
図7A】第6実施形態のワークと第4キャップの縦断面図
図7B】第6実施形態の第4キャップが装着されたワーク
図8A】第7実施形態のワークと第5キャップの縦断面図
図8B】第7実施形態の第5キャップが装着されたワーク
図9A】第8実施形態のワークと第6キャップの縦断面図
図9B】第8実施形態の第6キャップが装着されたワーク
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施形態のキャビテーション処理方法に用いるキャビテーション処理装置について説明する。図1に示すように、キャビテーション処理装置100は、槽101と、ノズル102と、載置台103と、を有する。キャビテーション処理装置100は、ワーク(対象物)10に対してキャビテーション処理を行う。
【0019】
槽101は、処理液104を貯留する。処理液104は、例えば水である。槽101は、貯留した処理液104を循環させる装置を有していても良い。
【0020】
ノズル102は、高圧流体供給源(不図示)から供給される処理液104の噴流C1を噴射する。噴流C1は、キャビティを多く含む。ノズル102は、下向きに噴流C1を噴射する。噴射の方向は、下向き以外でも良い。ノズル102は、水平方向(前後方向および左右方向)と上下方向との3軸方向に移動できる。噴流C1の噴射速度(圧力)やノズル102の3軸方向の動作は、制御装置(不図示)により制御される。ノズル102の噴口径(内径)は、例えば、0.5mm~3mmである。
【0021】
載置台103は、ワーク10を載置し固定する。載置台103は、ワーク10をボルト、クランプ等の締結具で固定するものや、ワーク10を挟み込んで固定するものである。載置台103は、上下方向に移動できる。載置台103の上下動により、ワーク10を槽101に対して出し入れできる。載置台103の上下方向の動作は、制御装置(不図示)により制御される。
【0022】
このように構成されたキャビテーション処理装置100は、ワーク10の任意の箇所に対して、任意の距離から、噴流C1を噴射できる。
【0023】
キャビテーション処理装置100によって行われる、本実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。図2に示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10aは、1つの対象穴20aを有する。
ここで、図2は、対象穴20aの中心を通る断面で切断した断面図である。図の左側が上、右側が下である。図3A図9Bにおいて同じ。
ワーク10aは、対象穴20aの1つの入口21を有する。入口21は、ワーク10aの1つの面に開口する。対象穴20aは、断面円形であって、入口21から直線状に延びる穴である。対象穴20aは、円筒形状の側面22と、円形状の底面23と、を有する。対象穴20aの入口21の内径は、ノズル102の外径よりも小さい。よって、ノズル102は対象穴20aに挿入できない。対象穴20aは、入口21から奥へ向けて、内径が変化しないものであっても良いし、内径が変化するものであっても良い。
対象穴20aの深さは、例えば、50mm~100mmである。入口21の内径は、例えば、10mmである。
【0024】
ワーク10aは、対象穴20aの内側の表面に、処理領域A1aを有している。処理領域A1aは、キャビテーション処理を行う領域である。すなわち、処理領域A1aは、キャビテーション処理による効果を付与したい領域である。処理領域A1aは、任意に設定される。ワーク10aにおいては、底面23の近傍の側面22が処理領域A1aとなっている(図2の一点鎖線で示す領域)。底面23の近傍は、例えば、底面23から10mm程度の範囲である。
【0025】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、以下のとおりである。
最初に、槽101に処理液104を貯留する。貯留する処理液104の量は、ワーク10aを十分な深さに浸漬できる量である。十分な深さは、例えば、300mm~500mmである。このとき、ノズル102及び載置台103は、処理液104の液面より上側に位置している。
次に、ワーク10aを載置台103に載置固定する。ワーク10aは、対象穴20aの入口21が上向きとなる姿勢で固定される。
次に、載置台103を下方向に移動させて、槽101に貯留された処理液104にワーク10a(載置台103)を浸漬する。
次に、ノズル102を水平方向に移動させて、対象穴20aの入口21にノズル102を対向させる。
次に、ノズル102を下方向に移動させて、槽101に貯留された処理液104にノズル102を浸漬する。そして、ノズル102とワーク10aの処理領域A1aとの間の距離を、キャビテーション処理に適した距離とする。キャビテーション処理に適した距離は、例えば、ノズル102の噴口径の50倍~200倍程度の距離である。よって、ノズル102の噴口径が1mmであれば、ノズル102とワーク10aの処理領域A1aとの間の距離は50mm~200mmとすることが望ましい。
最後に、高圧流体供給源(不図示)を起動して、ノズル102から噴流C1を噴射する。噴流C1は、対象穴20aの入口21から、対象穴20aの内部に進入し、処理領域A1aへと至る。
【0026】
噴流C1により、処理領域A1aに対してキャビテーション処理が行われる。すなわち、処理領域A1aに圧縮残留応力が付加されるピーニング等の効果が得られる。対象穴20aにはノズル102が入らないが、対象穴20aの外側から、閉じた穴(1つの入口21以外の開口を有さない穴)である対象穴20aに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20aの内側の表面の処理領域A1aにキャビテーション処理を行える。処理領域A1aは、底面23の近傍である。
【0027】
なお、本実施形態のキャビテーション処理方法の各工程の順序は、上記の順序に限られない。例えば、載置台103やノズル102を移動させてから、槽101に処理液104を貯留しても良い。ノズル102は、下方向に移動させてから水平方向に移動させても良いし、水平方向と下方向とに同時に移動させても良い。
【0028】
ワーク10aが複数の対象穴20aを有する場合には、1つの対象穴20aに対するキャビテーション処理が終了した後、ノズル102を移動させて、他の対象穴20aに対するキャビテーション処理を行っても良い。
【0029】
第2実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0030】
図3Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10bは、1つの対象穴20bを有する。ワーク10bは、対象穴20bの1つの入口21と、対象穴20bの1つの開口部24と、を有する。入口21は、ワーク10bの1つの面に開口する。開口部24は、ワーク10bの他の面に開口する。すなわち、対象穴20bは、ワーク10bの1つの面から他の面へと貫通する穴である。対象穴20bは、断面円形であって、入口21から開口部24へと直線状に延びる穴である。対象穴20bは、円筒形状の側面22を有する。開口部24には、雌ねじ部25が形成されている。対象穴20bの入口21の内径は、ノズル102(図3A以降の図において不図示)の外径よりも小さい。よって、ノズル102は対象穴20bに挿入できない。対象穴20bは、入口21から開口部24へ向けて、内径が変化しないものであっても良いし、内径が変化するものであっても良い。
【0031】
ワーク10bは、対象穴20bの内側の表面に、非処理領域B1bを有している。非処理領域B1bは、キャビテーション処理を行わない領域である。すなわち、非処理領域B1bは、キャビテーション処理による効果を付与したくない領域である。非処理領域B1bは、任意に設定される。ワーク10bにおいては、雌ねじ部25が非処理領域B1bとなっている(図3Aの二点鎖線で示す領域)。雌ねじ部25にキャビテーション処理を行うと、ねじ山が変形してねじとしての性能を損なうおそれがあるため、非処理領域B1bとされている。
【0032】
ワーク10bは、対象穴20bの内側の表面に、処理領域A1bを有している。ワーク10bにおいては、側面22のうち、雌ねじ部25に隣接する所定の領域が処理領域A1bとなっている(図3Aの一点鎖線で示す領域)。所定の領域は、例えば、雌ねじ部25から5mm~10mm程度の範囲である。
【0033】
図3A及び図3Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、事前に、ワーク10bの開口部24に、第1キャップ30が取り付けられる。第1キャップ30は、ボルト形状であり、雄ねじ部(閉塞体、被覆体)31と、頭部32と、を有する。第1キャップ30の雄ねじ部31をワーク10bの雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部31によって開口部24が塞がれるとともに、雄ねじ部31によって非処理領域B1b(雌ねじ部25)が覆われる。すなわち、雄ねじ部31は、開口部24を塞ぐ閉塞体1であり、且つ、非処理領域B1bを覆う被覆体2である。このように第1キャップ30が取り付けられたワーク10bに対して、キャビテーション処理を行う。
【0034】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初にワーク10bに第1キャップ30を取り付ける点を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
【0035】
噴流C1により、処理領域A1bに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第1キャップ30を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部31)が開口部24を塞ぎ、対象穴20bが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20bの外側から、対象穴20bに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20bの内側の表面の処理領域A1bにキャビテーション処理を行える。処理領域A1bは、閉塞体1(雄ねじ部31)の近傍である。閉塞体1は、対象穴20bの塞がれた奥部である。非処理領域B1bは、被覆体2(雄ねじ部31)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1bに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0036】
第3実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0037】
図4Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10cは、1つの対象穴20cを有する。ワーク10cは、対象穴20cの1つの入口21と、対象穴20cの2つの開口部(第1開口部24a及び第2開口部24b)と、を有する。入口21は、ワーク10cの1つの面に開口する。第1開口部24aは、ワーク10cの他の面に開口する。第2開口部24bは、ワーク10cの更に他の面に開口する。すなわち、対象穴20cは、ワーク10cの1つの面から、分岐して2つの他の面へと貫通する穴である。対象穴20cは、断面円形であって、主流路26aと分岐流路26bとを有する。主流路26aは、入口21から第1開口部24aへと直線状に延びる。分岐流路26bは、主流路26aの中間部から分岐して、第2開口部24bへと直線状に延びる。すなわち、対象穴20cは、T字状の流路を有する。対象穴20cは、円筒形状の2つの側面22の組み合わせにより形成される。第1開口部24a及び第2開口部24bには、雌ねじ部25が形成されている。対象穴20cの入口21の内径は、ノズル102の外径よりも小さい。よって、ノズル102は対象穴20cに挿入できない。対象穴20cは、入口21から第1開口部24aや第2開口部24bへ向けて、内径が変化しないものであっても良いし、内径が変化するものであっても良い。
【0038】
ワーク10cは、対象穴20cの内側の表面に、非処理領域B1cを有している。ワーク10cにおいては、2つの雌ねじ部25が非処理領域B1cとなっている(図4Aの二点鎖線で示す領域)。
【0039】
ワーク10cは、対象穴20cの内側の表面に、処理領域A1cを有している。ワーク10cにおいては、側面22のうち、第1開口部24aに形成された雌ねじ部25に隣接する所定の領域が処理領域A1cとなっている(図4Aの一点鎖線で示す領域)。処理領域A1cは、対象穴20cの主流路26aの深さ方向に、5mm~10mm程度の範囲である。
【0040】
図4A及び図4Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、事前に、ワーク10cの第1開口部24aに第1キャップ30が取り付けられ、ワーク10cの第2開口部24bに第7キャップ90が取り付けられる。第7キャップ90は、雄ねじ部(閉塞体、被覆体)91と、頭部92と、支持部94と、阻害部95と、を有する。雄ねじ部91及び頭部92は、第1キャップ30の雄ねじ部31及び頭部32と実質的に同じである。支持部94は、棒状であり、雄ねじ部91の先端から分岐流路26bが延びる方向に沿って延びる。阻害部95は、円板形状であり、支持部94の先端に配置される。阻害部95は、先端面95aと、側周面95bと、を有する。阻害部95の外径は、分岐流路26bの内径よりわずかに小さい。側周面95bにシール部材を設けて、阻害部95と分岐流路26bの隙間を塞いでも良い。先端面95aは、阻害部95の主流路26a側の端面である。先端面95aは、平面である。先端面95aから頭部92までの高さL2cは、第2開口部24bから主流路26aの側面22までの距離L1cに実質的に等しい。先端面95aは、曲面であっても良い。支持部94と阻害部95と雄ねじ部91とは一体で良い。支持部94の中心軸と阻害部95の中心軸と雄ねじ部91の中心軸とは一致する。
図4Bに示すように、第7キャップ90の雄ねじ部91を第2開口部24bの雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部91によって第2開口部24bが塞がれるとともに、雄ねじ部91によって非処理領域B1c(雌ねじ部25)が覆われる。更に、阻害部95が、分岐流路26bの主流路26a側の端部に位置する。主流路26a側から見ると、阻害部95によって分岐流路26bの入口が塞がれる。好ましくは、第7キャップ90がワーク10cに装着されたときに、先端面95aは、主流路26aの側面22となだらかに接続する。すなわち、雄ねじ部91は、第2開口部24bを塞ぐ閉塞体1であり、且つ、非処理領域B1cを覆う被覆体2である。このように第1キャップ30と第7キャップ90とが取り付けられたワーク10cに対して、キャビテーション処理を行う。
【0041】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初に第1開口部24aに第1キャップ30を取り付け、第2開口部24bに第7キャップ90を取り付ける点を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
【0042】
噴流C1により、処理領域A1cに対してキャビテーション処理が行われる。第1開口部24に第1キャップ30を取り付け、第2開口部24bに第7キャップ90を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部31,91)が第1開口部24aと第2開口部24bとを塞ぎ、更に阻害部95が分岐流路26bの入口を塞ぐ。そして、実質的に、対象穴20cが分岐を有さない、閉じた穴となっている。つまり、対象穴20cは、第2実施形態の対象穴20bと、実質的に同じになる。閉じた穴である対象穴20cの外側から、対象穴20cに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20cの内側の表面の処理領域A1cにキャビテーション処理を行える。処理領域A1cは、第1キャップ30の閉塞体1(雄ねじ部31)の近傍である。閉塞体1は、対象穴20cの塞がれた奥部である。非処理領域B1cは、被覆体2(雄ねじ部31、91)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1cに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0043】
第4実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0044】
図5Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10dは、1つの対象穴20dを有する。対象穴20dは、第2実施形態の対象穴20bと実質的に同じである。
【0045】
ワーク10dは、対象穴20dの内側の表面に、非処理領域B1d,B2dを有している。ワーク10dにおいては、側面22のうち、雌ねじ部25が、非処理領域B1dとなり、雌ねじ部25に隣接する所定の領域が、非処理領域B2dとなっている(図5Aの二点鎖線で示す領域)。ここで、雌ねじ部25に隣接する領域は、内径について公差が指定されている箇所である。公差が指定されている箇所にキャビテーション処理を行うと、寸法の精度が維持できないおそれがあるため、非処理領域B2dとされている。
【0046】
ワーク10dは、対象穴20dの内側の表面に、処理領域A1dを有している。ワーク10dにおいては、側面22のうち、非処理領域B2dに隣接する所定の領域が処理領域A1dとなっている(図5Aの一点鎖線で示す領域)。所定の領域は、例えば、非処理領域B2dから5mm~10mm程度の範囲である。開口部24から処理領域A1dの先端(入口21側の端)までの距離を高さL3dという。以後、入口21側の方向を先端方向という。また、対象穴20a~20g(後述)について、高さというときは、開口部24からの距離をいう。また、キャップ30~60や可動板75,85(後述)について、高さというときは、頭部からの先端までの距離(頭部自体は含めない)をいう。
【0047】
図5A及び図5Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、事前に、ワーク10dの開口部24に、第2キャップ40が取り付けられる。第2キャップ40は、雄ねじ部(閉塞体、被覆体)41と、頭部42と、被覆部(被覆体)43と、を有する。雄ねじ部41及び頭部42は、第1キャップ30の雄ねじ部31及び頭部32と実質的に同じである。被覆部43は、円柱形状であり、雄ねじ部41の先端に配置される。被覆部43と雄ねじ部41とは一体で良い。被覆部43の中心軸と雄ねじ部41の中心軸とは一致する。被覆部43の外径は、対象穴20dの内径よりわずかに小さい。被覆部43の高さL2dは、開口部24からの非処理領域B2dの高さL1dに実質的に等しい。被覆部43の側周面にシール部材を設けて、被覆部43と対象穴20dとの間の隙間を塞いでも良い。第2キャップ40の雄ねじ部41をワーク10dの雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部41によって開口部24が塞がれるとともに、雄ねじ部41によって非処理領域B1d(雌ねじ部25)が覆われる。更に、被覆部43の側周面は、非処理領域B2dとわずかな隙間を隔てて対向する。つまり、被覆部43が、非処理領域B2d(雌ねじ部25に隣接する領域)を実質的に覆う。すなわち、雄ねじ部41は、開口部24を塞ぐ閉塞体1であり、且つ、非処理領域B1dを覆う被覆体2である。被覆部43は、非処理領域B2dを覆う被覆体2である。なお、被覆部43と非処理領域B2dとが当接しても良い。このように第2キャップ40が取り付けられたワーク10dに対して、キャビテーション処理を行う。
【0048】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初にワーク10dに第2キャップ40を取り付ける点を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
【0049】
噴流C1により、処理領域A1dに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第2キャップ40を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部41)が開口部24を塞ぎ、対象穴20dが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20dの外側から、対象穴20dに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20dの内側の表面の処理領域A1dにキャビテーション処理を行える。処理領域A1dは、被覆体2(被覆部43)の近傍である。被覆体2は、対象穴20dの塞がれた奥部である。非処理領域B1d,B2dは、被覆体2(雄ねじ部41及び被覆部43)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1d,B2dに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0050】
なお、第2実施形態のワーク10bに、第2実施形態のキャビテーション処理を実施した後に、第1キャップ30に換えて本実施形態の第2キャップ40を取り付けて、本実施形態のキャビテーション処理を実施しても良い。例えば、被覆部43の高さL2dを、第2実施形態の処理領域A1bの高さL3bに一致させれば、連続した長い領域について、キャビテーション処理を実施できる。第3実施形態のワーク10cについても実質的に同じである。
【0051】
第5実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0052】
図6Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10eは、1つの対象穴20eを有する。対象穴20eは、次の点を除いて、第2実施形態の対象穴20bと実質的に同じである。対象穴20eの入口21には、雌ねじ部25が形成されている。
【0053】
ワーク10eは、対象穴20eの内側の表面に、非処理領域B1e,B2eを有している。ワーク10eにおいては、側面22のうち、両方の雌ねじ部25が、非処理領域B1eとなり、両方の雌ねじ部25にそれぞれ隣接する所定の領域が、非処理領域B2eとなっている(図6Aの二点鎖線で示す領域)。ここで、雌ねじ部25に隣接する領域は、内径について公差が指定されている箇所である。
【0054】
ワーク10eは、対象穴20eの内側の表面に、処理領域A1eを有している。ワーク10eにおいては、側面22のうち、開口部24の側の非処理領域B2eに隣接する所定の領域が処理領域A1eとなっている(図6Aの一点鎖線で示す領域)。ここで、処理領域A1eの対象穴20eの深さ方向の幅は、5mm~20mmである。
【0055】
図6A及び図6Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、事前に、ワーク10eの開口部24に、第2キャップ40が取り付けられる。ワーク10eの入口に、第3キャップ50が取り付けられる。第3キャップ50は、雄ねじ部(被覆体)51と、頭部52と、被覆部(被覆体)53と、を有する。雄ねじ部51、頭部52及び被覆部53は、第2キャップ40の雄ねじ部41、頭部42及び被覆部43と実質的に同じである。そして、第3キャップ50には通過穴58が形成されている。通過穴58は、頭部52から被覆部53へと貫通する穴である。通過穴58は、断面円形であって直線状に延びる穴である。通過穴58の中心軸と雄ねじ部51、頭部52及び被覆部53の中心軸とは一致する。通過穴58の内径は、例えば、5mm~20mmである。好ましくは、通過穴58の内径は、被覆部53の外径よりも、3mm~10mm小さい。第3キャップ50の雄ねじ部51をワーク10eの入口21の雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部51によって非処理領域B1e(雌ねじ部25)が覆われる。更に、被覆部53の側周面は、非処理領域B2eとわずかな隙間を隔てて対向する。つまり、被覆部53が、非処理領域B2e(雌ねじ部25に隣接する領域)を実質的に覆う。すなわち、雄ねじ部51は、非処理領域B1eを覆う被覆体2である。被覆部53は、非処理領域B2eを覆う被覆体2である。なお、被覆部53と非処理領域B2eとが当接しても良い。通過穴58があるので、第3キャップ50は入口21を塞がない。このように第2キャップ40と第3キャップ50とが取り付けられたワーク10eに対して、キャビテーション処理を行う。
【0056】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初にワーク10eに第2キャップ40及び第3キャップ50を取り付ける点を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。ただし、ノズル102から噴射された噴流C1は、第3キャップ50の通過穴58を通過して、対象穴20eの内部に進入し、処理領域A1eへと至る。
【0057】
噴流C1により、処理領域A1eに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第2キャップ40を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部41)が開口部24を塞ぎ、対象穴20eが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20eの外側から、対象穴20eに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20eの内側の表面の処理領域A1eにキャビテーション処理を行える。処理領域A1eは、第2キャップ40の被覆体2(被覆部43)の近傍である。被覆体2は、対象穴20eの塞がれた奥部である。非処理領域B1e,B2eは、被覆体2(雄ねじ部41,51及び被覆部43,53)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1e,B2eに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0058】
第6実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0059】
図7Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10fは、1つの対象穴20fを有する。対象穴20fは、第2実施形態の対象穴20bと実質的に同じである。
【0060】
ワーク10fは、対象穴20fの内側の表面に、非処理領域B1f,B2fを有している。ワーク10fにおいては、側面22のうち、雌ねじ部25が、非処理領域B1fとなり、雌ねじ部25に隣接する所定の領域が、非処理領域B2fとなっている(図7Aの二点鎖線で示す領域)。ここで、雌ねじ部25に隣接する領域は、内径について公差が指定されている箇所である。
【0061】
ワーク10fは、対象穴20fの内側の表面に、処理領域A1fを有している。ワーク10fにおいては、側面22のうち、非処理領域B2fから入口21側に離隔した位置の所定の領域が処理領域A1fとなっている(図7Aの一点鎖線で示す領域)。処理領域A1fの基端までの高さL1fは、例えば、50mm~70mmである。処理領域A1fの幅は、例えば、10mm程度である。
【0062】
図7A及び図7Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、事前に、ワーク10fの開口部24に、第4キャップ60が取り付けられる。第4キャップ60は、雄ねじ部(閉塞体、被覆体)61と、頭部62と、被覆部(被覆体)63と、支持部64と、阻害部(阻害体)65と、を有する。雄ねじ部61、頭部62及び被覆部63は、第2キャップ40の雄ねじ部41、頭部42及び被覆部43と実質的に同じである。支持部64及び阻害部65は、第7キャップ90の支持部94及び阻害部95と実質的に同じである。ただし、阻害部65の高さL2fは、高さL1fと実質的に同じである。支持部64は、被覆部63の先端から対象穴20fが延びる方向に沿って延びる。第4キャップ60の雄ねじ部61をワーク10fの雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部61によって開口部24が塞がれるとともに、雄ねじ部61によって非処理領域B1f(雌ねじ部25)が覆われる。更に、被覆部63の側周面は、非処理領域B2fとわずかな隙間を隔てて対向する。つまり、被覆部63が、非処理領域B2f(雌ねじ部25に隣接する領域)を実質的に覆う。更に、阻害部65が、処理領域A1fに対して入口21の反対側に隣接して位置する。すなわち、雄ねじ部61は、開口部24を塞ぐ閉塞体1であり、且つ、非処理領域B1fを覆う被覆体2である。被覆部63は、非処理領域B2fを覆う被覆体2である。阻害部65は、噴流C1の流れを妨げる阻害体3である。なお、被覆部63と非処理領域B2fとが当接しても良い。被覆部63を省いて、雄ねじ部61の先端に支持部64を配置しても良い。被覆部63が無くても、阻害部65により、噴流C1が非処理領域B2fに接触しない。この場合、阻害部65が被覆体2となる。このように第4キャップ60が取り付けられたワーク10fに対して、キャビテーション処理を行う。
【0063】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初にワーク10fに第4キャップ60を取り付ける点を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
【0064】
噴流C1により、処理領域A1fに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第4キャップ60を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部61)が開口部24を塞ぎ、対象穴20fが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20fの外側から、対象穴20fに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20fの内側の表面の処理領域A1fにキャビテーション処理を行える。噴流C1の流れが阻害体3(阻害部65)によって妨げられるので、阻害体3の入口21側の処理領域A1fに対してキャビテーション処理が行われる。処理領域A1fは、阻害体3の近傍である。阻害体3は、対象穴20fの塞がれた奥部である。非処理領域B1f,B2fは、被覆体2(雄ねじ部61及び被覆部63)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1f,B2fに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0065】
なお、第4実施形態のワーク10dに、第4実施形態のキャビテーション処理を実施した後に、第2キャップ40に換えて本実施形態の第4キャップ60を取り付けて、本実施形態のキャビテーション処理を実施しても良い。例えば、第4キャップ60の阻害部65の高さL2fを、処理領域A1dの高さL3dに一致させれば、連続した長い範囲にキャビテーション処理を実施できる。ワーク10cや、ワーク10eについても実質的に同じである。
また、第2実施形態のワーク10bに、第2実施形態のキャビテーション処理を実施した後に、第1キャップ30に換えて、本実施形態の第4キャップ60を取り付けて、本実施形態のキャビテーション処理を行っても良い。例えば、第4キャップ60の阻害部65の高さL2fを、処理領域A1bの高さL3bよりも高くすれば、離隔した2つの範囲にキャビテーション処理を実施できる。
【0066】
第7実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0067】
図8Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10gは、1つの対象穴20gを有する。ワーク10gは、対象穴20gの1つの入口21と、対象穴20gの1つの開口部24と、を有する。入口21は、ワーク10gの1つの面に開口する。開口部24は、ワーク10gの他の面に開口する。すなわち、対象穴20gは、ワーク10gの1つの面から他の面へと貫通する穴である。対象穴20gは、断面円形であって、入口21から開口部24へと直線状に延びる穴である。対象穴20gは、円筒形状の側面22を有する。対象穴20gの入口21の内径は、ノズル102の外径よりも小さい。よって、ノズル102は対象穴20gに挿入できない。
【0068】
ワーク10gは、対象穴20gの内側の表面に、処理領域A1gを有している。ワーク10gにおいては、側面22の全面が処理領域A1gとなっている(図8Aの一点鎖線で示す領域)。
【0069】
図8A及び図8Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、ワーク10gの開口部24に、第5キャップ70が取り付けられる。第5キャップ70は、可動板75と、駆動装置76と、を有する。可動板(閉塞体、阻害体)75は、円板形状である。可動板75は、先端面75aと、側周面75bと、を有する。可動板75の外径は、対象穴20gの内径よりわずかに小さい。可動板75の側周面75bにシール部材を設けて、可動板75と対象穴20gとの間の隙間を塞いでも良い。駆動装置76は、可動板75を、噴流C1の流れ方向(対象穴20gの中心軸方向)に沿って移動させる。駆動装置76は、流体シリンダ装置である。流体シリンダは、例えば、エアシリンダや水圧シリンダである。駆動装置76は、シリンダ本体77と、ロッド74を有する。シリンダ本体77は、円筒形状である。ロッド74は、棒状であり、シリンダ本体77に対して進退する。ロッド74の先端が可動板75に接続されている。駆動装置76の動作は、制御装置(不図示)により制御される。駆動装置76は、第5キャップ70の可動板75をワーク10gの開口部24に位置させ、対象穴20gに挿入する。すると、可動板75によって開口部24が塞がれる。可動板75の側周面75bと対象穴20gの側面22との間にはわずかな隙間があるが、そのような状態も、塞がれた状態に含む。つまり、対象穴20gは、可動板75によって実質的に塞がれている。更に、可動板75が、処理領域A1gに対して入口21の反対側に隣接して位置している。すなわち、可動板75は、開口部24を塞ぐ閉塞体1であり、且つ、噴流C1の流れを妨げる阻害体3である。このように第5キャップ70が取り付けられたワーク10gに対して、キャビテーション処理を行う。
【0070】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、最初にワーク10gに第5キャップ70を取り付ける点と、駆動装置76によって可動板75を移動させる点と、を除いて、第1実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
まず、駆動装置76は、可動板75を、開口部24側の端部に位置させる。次いで、ノズル102は、噴流C1を噴射する。このとき、噴流C1の流れが阻害体3(可動板75)によって妨げられる。そして、阻害体3の入口21側の近傍の領域A11に対してキャビテーション処理が行われる。領域A11は、阻害体3の近傍である。領域A11の高さをL31とする。次いで、駆動装置76は、先端面75aが高さL31に位置するように、可動板75を移動させる。すると、領域A11に隣接する領域A12に対して、キャビテーション処理が行われる。このように、駆動装置76は、可動板75の先端面75aを、キャビテーション処理された領域A1mの高さL3mに順次移動させることで、連続した領域A11~A1nにキャビテーション処理を実行できる(m、nは自然数、n=m+1)。最終的には、駆動装置76は、可動板75を、開口部24側の端部から、入口21側の端部の近傍まで移動させる。
阻害体3は、対象穴20gの塞がれた奥部である。そして、キャビテーション処理を行いながら阻害体3が移動するので、キャビテーション処理が行われる領域も移動する。阻害体3が開口部24から入口21まで移動することで、対象穴20gの側面22の全面に対してキャビテーション処理が行われる。結果として、対象穴20gの側面22の全面が処理領域A1gとなる。
なお、対象穴20gの一部に、キャビテーション処理を禁止するまでもないが、キャビテーション処理が不要である領域がある場合には、キャビテーション処理を行うときに、駆動装置72は、キャビテーション不要部分を飛ばして、可動板75を移動させれば良い。
また、駆動装置76は、可動板75を、開口部24から入口21の近傍まで、連続して移動させても良い。
【0071】
噴流C1により、処理領域A1gに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第5キャップ70を取り付けることで、閉塞体1(可動板75)が開口部24を塞ぎ、対象穴20gが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20gの外側から、対象穴20gに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20gの内側の表面の処理領域A1gにキャビテーション処理を行える。
【0072】
なお、キャビテーション処理において、ノズル102と処理領域A1gとの間のノズルオフセット距離(ノズル102から阻害体3までの距離)には適正な距離がある。阻害体3の移動量が大きいと、適正な距離の範囲を外れる場合がある。その場合、ノズル102も移動させて、ノズルオフセット距離が適正な距離となるようにしても良い。
【0073】
第8実施形態のキャビテーション処理方法について説明する。本実施形態においても、第1実施形態と実質的に同じキャビテーション処理装置100が用いられる。
【0074】
図9Aに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法において、ワーク10hは、1つの対象穴20hを有する。対象穴20hは、第2実施形態の対象穴20bと実質的に同じである。
【0075】
ワーク10hは、対象穴20hの内側の表面に、非処理領域B1h,B2hを有している。ワーク10hにおいては、側面22のうち、雌ねじ部25が、非処理領域B1hとなり、雌ねじ部25に隣接する所定の領域が、非処理領域B2hとなっている(図9Aの二点鎖線で示す領域)。ここで、雌ねじ部25に隣接する領域は、内径について公差が指定されている箇所である。
【0076】
ワーク10hは、対象穴20hの内側の表面に、処理領域A1hを有している。ワーク10hにおいては、側面22のうち、非処理領域B1h,B2h以外の全面が処理領域A1hとなっている(図9Aの一点鎖線で示す領域)。
【0077】
図9Bに示すように、本実施形態のキャビテーション処理方法においては、ワーク10hの開口部24に、第6キャップ80が取り付けられる。第6キャップ80は、雄ねじ部(閉塞体、被覆体)81と、頭部82と、被覆部(被覆体)83と、可動板(阻害体)85と、駆動装置86と、を有する。更に、第6キャップ80には通過穴88が形成されている。雄ねじ部81、頭部82、被覆部83及び通過穴88は、第3キャップ50の雄ねじ部51、頭部52、被覆部53及び通過穴58と実質的に同じである。可動板85及び駆動装置86は、第5キャップ50の可動板75及び駆動装置76と実質的に同じである。すなわち、駆動装置86は、シリンダ本体87と、ロッド84と、を有する。そして、ロッド84が通過穴88を貫通している。ロッド84の外径は、通過穴88の内径よりわずかに小さい。可動板85は、被覆部83側に位置しており、シリンダ本体87は、頭部82側に位置している。可動板85の厚みと、被覆部83の幅と、雄ねじ部81の幅との和L2hが、非処理領域B2hの高さL1hと実質的に同じである。ここで、非処理領域B2hの高さL1hとは、非処理領域B2hの入口21側の端部から、開口部24までの長さである(図9A参照)。駆動装置86により、雄ねじ部81、頭部82及び被覆部83が固定された状態で、可動板85だけを移動させられる。第6キャップ80の雄ねじ部81をワーク10hの雌ねじ部25にねじ込むと、雄ねじ部81によって開口部24が塞がれるとともに、雄ねじ部81によって非処理領域B1h(雌ねじ部25)が覆われる。更に、被覆部83の側周面は、非処理領域B2hとわずかな隙間を隔てて対向する。つまり、被覆部83が、非処理領域B2h(雌ねじ部25に隣接する領域)を実質的に覆う。更に、可動板85が、処理領域A1hに対して入口21の反対側に隣接して位置する。すなわち、雄ねじ部81は、開口部24を塞ぐ閉塞体1であり、且つ、非処理領域B1hを覆う被覆体2である。被覆部83は、非処理領域B2hを覆う被覆体2である。可動板85は、噴流C1の流れを妨げる阻害体3である。なお、被覆部83と非処理領域B2hとが当接しても良い。被覆部83を省いても良い。被覆部83が無くても、可動板85により、噴流C1が非処理領域B2hに接触しない。この場合、可動板85が被覆体2となる。このように第6キャップ80が取り付けられたワーク10hに対して、キャビテーション処理を行う。
【0078】
本実施形態のキャビテーション処理方法の工程は、第7実施形態のキャビテーション処理方法の工程と実質的に同じである。
【0079】
噴流C1により、処理領域A1hに対してキャビテーション処理が行われる。開口部24に第6キャップ80を取り付けることで、閉塞体1(雄ねじ部81)が開口部24を塞ぎ、対象穴20hが閉じた穴となっている。閉じた穴である対象穴20hの外側から、対象穴20hに対して噴流C1を噴射することで、対象穴20hの内側の表面の処理領域A1hにキャビテーション処理を行える。噴流C1の流れが阻害体3(可動板85)によって妨げられるので、阻害体3の入口21側の処理領域A1hに対してキャビテーション処理が行われる。処理領域A1hは、阻害体3の近傍である。阻害体3は、対象穴20hの塞がれた奥部である。そして、キャビテーション処理を行いながら阻害体3が移動するので、キャビテーション処理が行われる領域も移動する。阻害体3が、処理領域A1hに対して入口21の反対側に隣接する位置から、入口21まで移動することで、対象穴20hの側面22の非処理領域B1h,B2h以外の全面に対してキャビテーション処理が行われる。結果として、対象穴20hの側面22の非処理領域B1h,B2h以外の全面が処理領域A1hとなる。非処理領域B1h,B2hは、被覆体2(雄ねじ部81及び被覆部83)により覆われているので、噴流C1が接触しない。そのため、非処理領域B1h,B2hに対しては、キャビテーション処理が行われない。
【0080】
なお、対象穴20hの入口21付近に、雌ねじ部や、非処理領域がある場合には、入口21に第3キャップ50を取り付けた状態で、キャビテーション処理を行う。
【0081】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 閉塞体
2 被覆体
3 阻害体
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h ワーク(対象物)
20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h 対象穴
21 入口
24 開口部
58 通過穴
102 ノズル
A1a,A1b,A1c,A1d,A1e,A1f,A1g,A1h 処理領域
B1b,B1c,B1d,B1e,B1f,B1h,B2d,B2e,B2f,B2h 非処理領域
C1 噴流

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が、対象穴を有しており、
前記対象穴の1つの入口以外の部分が塞がれており、
前記対象物及びノズルを処理液中に浸漬し、
前記対象穴の外側に位置する前記ノズルから前記対象穴の前記入口を通して前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように前記処理液の噴流を噴射し、
前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域となる、
キャビテーション処理方法。
【請求項2】
前記ノズルの外径が、前記対象穴の前記入口の内径よりも大きい、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項3】
前記入口が前記対象穴の唯一の開口である、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項4】
前記対象物が、前記入口以外に前記対象穴の開口部を有しており、
前記開口部を閉塞体によって塞ぐ、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項5】
前記対象物が、前記対象穴の内側の表面に、キャビテーション処理を行わない領域である非処理領域を有しており、
被覆体が、前記対象穴の内側に配置されるように前記対象物に装着されて、前記非処理領域を覆う、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項6】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の上流側に位置する前記非処理領域を覆う前記被覆体が、この前記被覆体を貫通する通過穴を有しており、
前記噴流が前記通過穴を通過する、
請求項5に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項7】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の下流側の位置に配置されるように、前記噴流の流れを妨げる阻害体を前記対象物に装着する、
請求項1~6のいずれかに記載のキャビテーション処理方法。
【請求項8】
前記噴流の流れ方向に沿って前記阻害体を移動させる、
請求項7に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項9】
前記対象物が、前記入口に配置される第1の雌ねじ部を有しており、前記第1の雌ねじ部は前記非処理領域の少なくとも一部であり、
前記被覆体が第1の雄ねじ部を有しており、前記第1の雄ねじ部を前記第1の雌ねじ部にねじ込み、前記被覆体を前記対象物に装着する、
請求項5又は6に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項10】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の下流側の位置に配置されるように、前記噴流の流れを妨げる阻害体を前記対象物に装着する、キャビテーション処理方法であって、
前記対象物が、前記開口部に配置される第2の雌ねじ部を有しており、前記第2の雌ねじ部は前記非処理領域の少なくとも一部であり、
前記阻害体が第2の雄ねじ部を有しており、前記第2の雄ねじ部を前記第2の雌ねじ部にねじ込み、前記阻害体を前記対象物に装着する、
請求項4に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項11】
入口と、前記入口に配置される第1の雌ねじ部と、前記入口に近接して配置される第1の非処理領域と、を有する対象穴を含む対象物に対してキャビテーション処理を行うときに、前記入口に装着される入口用キャップであって、
第1の頭部と、
前記第1の頭部に配置され、前記第1の雌ねじ部にねじ込まれる第1の雄ねじ部と、
前記第1の雄ねじ部に配置され、前記第1の非処理領域を覆う第1の被覆部と、
前記第1の頭部と、前記第1の雄ねじ部と、前記第1の被覆部とを貫通する通過穴と、
を含む入口用キャップ。
【請求項12】
入口と、開口部とを接続する対象穴であって、前記開口部に配置される第2の雌ねじ部と、前記開口部に近接して配置される第2の非処理領域と、を有する対象穴を含む対象物に対してキャビテーション処理を行うときに、前記開口部に装着される開口部用キャップであって、
第2の頭部と、
前記第2の頭部に配置され、前記第2の雌ねじ部にねじ込まれる第2の雄ねじ部と、
前記第2の雄ねじ部に配置され、前記第2の非処理領域を覆う第2の被覆部 と、
を含む開口部用キャップ。
【請求項13】
入口と、開口部とを接続する対象穴であって、前記開口部に配置される第3の雌ねじ部と、前記開口部と離隔して配置される処理領域と、を有する対象穴を含む対象物に対してキャビテーション処理を行うときに、前記開口部に装着される開口部用キャップであって、
第3の頭部と、
前記第3の頭部に配置され、前記第3の雌ねじ部にねじ込まれる第3の雄ねじ部と、
前記第3の雄ねじ部から離隔して配置され、前記処理領域の下流側に位置する阻害部と、前記第3の雄ねじ部と前記阻害部とを接続する支持部と、
を含む開口部用キャップ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
キャビテーション処理の対象となる対象物の形状や大きさは様々である。適切なキャビテーション処理を行うためには、対象物の条件に応じた適切な方法で、対象物の表面に噴流を衝突させる必要がある。
本発明は、対象物の対象穴の内側の表面にキャビテーション処理を行うキャビテーション処理方法並びにこのキャビテーション処理方法に用いられる入口用キャップ及び開口部用キャップを提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が、対象穴を有しており、
前記対象穴の1つの入口以外の部分が塞がれており、
前記対象物及びノズルを処理液中に浸漬し、
前記対象穴の外側に位置する前記ノズルから前記対象穴の前記入口を通して前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように前記処理液の噴流を噴射し、
前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域とな
前記対象物が、前記対象穴の内側の表面であって前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の上流側の位置に、キャビテーション処理を行わない領域である非処理領域を有しており、
被覆体が、前記対象穴の内側に配置されるように前記対象物に装着されて、前記非処理領域を覆い、
前記被覆体が、この前記被覆体を貫通する通過穴を有しており、
前記噴流が前記通過穴を通過する、
キャビテーション処理方法。
【請求項2】
前記ノズルの外径が、前記対象穴の前記入口の内径よりも大きい、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項3】
前記入口が前記対象穴の唯一の開口である、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項4】
前記対象物が、前記入口以外に前記対象穴の開口部を有しており、
前記開口部を閉塞体によって塞ぐ、
請求項1に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項5】
前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の下流側の位置に配置されるように、前記噴流の流れを妨げる阻害体を前記対象物に装着する、
請求項1~のいずれかに記載のキャビテーション処理方法。
【請求項6】
前記噴流の流れ方向に沿って前記阻害体を移動させる、
請求項に記載のキャビテーション処理方法。
【請求項7】
前記対象物が、前記入口に配置される第1の雌ねじ部を有しており、前記第1の雌ねじ部は前記非処理領域の少なくとも一部であり、
前記被覆体が第1の雄ねじ部を有しており、前記第1の雄ねじ部を前記第1の雌ねじ部にねじ込み、前記被覆体を前記対象物に装着する、
請求項1~4のいずれかに記載のキャビテーション処理方法。
【請求項8】
1つの入口以外の部分が塞がれた対象穴を含む対象物であって、前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域であるキャビテーション処理を行う第1の処理領域と、前記入口に配置される第1の雌ねじ部と、前記入口に近接し前記第1の処理領域に対して前記入口側の位置に配置されるキャビテーション処理を行わない領域である第1の非処理領域と、を有する前記対象物に対してキャビテーション処理を行うキャビテーション処理装置であって、
前記入口に装着される入口用キャップであって、
第1の頭部と、
前記第1の頭部に配置され、前記第1の雌ねじ部にねじ込まれる第1の雄ねじ部と、
前記第1の雄ねじ部に配置され、前記第1の非処理領域を覆う第1の被覆部と、
前記第1の頭部と、前記第1の雄ねじ部と、前記第1の被覆部とを貫通する通過穴と、
を含む前記入口用キャップと、
前記対象穴の外側に位置し、前記通過穴を通して、前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように処理液の噴流を噴射するノズルと、
前記処理液が貯留され、前記ノズルと前記入口用キャップが装着された前記対象物が浸漬される槽と、
を備えるキャビテーション処理装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
キャビテーション処理の対象となる対象物の形状や大きさは様々である。適切なキャビテーション処理を行うためには、対象物の条件に応じた適切な方法で、対象物の表面に噴流を衝突させる必要がある。
本発明は、対象物の対象穴の内側の表面にキャビテーション処理を行うキャビテーション処理方法及びこのキャビテーション処理方法に用いられるキャビテーション処理装置を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
代表的な本発明は、
対象物が、対象穴を有しており、
前記対象穴の1つの入口以外の部分が塞がれており、
前記対象物及びノズルを処理液中に浸漬し、
前記対象穴の外側に位置する前記ノズルから前記対象穴の前記入口を通して前記対象穴の内側へ向けてキャビテーションが発生するように前記処理液の噴流を噴射し、
前記対象穴の内側の表面の領域であって前記対象穴の塞がれた奥部の領域が、キャビテーション処理を行う処理領域とな
前記対象物が、前記対象穴の内側の表面であって前記処理領域に対して前記噴流の流れ方向の上流側の位置に、キャビテーション処理を行わない領域である非処理領域を有しており、
被覆体が、前記対象穴の内側に配置されるように前記対象物に装着されて、前記非処理領域を覆い、
前記被覆体が、この前記被覆体を貫通する通過穴を有しており、
前記噴流が前記通過穴を通過する、
キャビテーション処理方法である。