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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158975
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】油性固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20241031BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241031BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/92
A61Q1/00
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074663
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影島 沙絵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB352
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD532
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB23
4C083BB25
4C083CC11
4C083CC12
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさがなく、つややかな仕上がりが得られる油性固形化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)酸化チタン 4~25質量%、
(B)25℃で固形のワックス
を含有し、成分(A)として、
(A1)シリコーン処理(非アミノ酸処理)された、粒子径が0.1μm未満の酸化チタン、
(A2a)アミノ酸処理された、粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の酸化チタン、
(A2b)アミノ酸処理された、粒子径が0.5μm以上の酸化チタンを含み、
(A2a)/(A2b)=0.2~3.5である
油性固形化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)酸化チタン 4~25質量%、
(B)25℃で固形のワックス
を含有し、成分(A)として、
(A1)シリコーン処理(非アミノ酸処理)された、粒子径が0.1μm未満の酸化チタン、
(A2a)アミノ酸処理された、粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の酸化チタン、
(A2b)アミノ酸処理された、粒子径が0.5μm以上の酸化チタンを含み、
(A2a)/(A2b)=0.2~3.5である
油性固形化粧料。
【請求項2】
成分(A1)の含有量が1~6質量%、成分(A2a)の含有量が2~13質量%、成分(A2b)の含有量が1~12質量%である請求項1記載の油性固形化粧料。
【請求項3】
成分(B)の含有量が3~20質量%である請求項1又は2記載の油性固形化粧料。
【請求項4】
さらに、(C)25℃で液状の油成分を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【請求項5】
マイクロプラスチックを含有しない、請求項1~4のいずれか1項記載の油性固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンは隠ぺい性に優れることから、肌色の調整や肌の色調トラブルを隠ぺいする目的で、メーキャップ化粧料に汎用されている。酸化チタンはその粒径や形状によって隠ぺい力や仕上がりが異なり、十分なカバー力と、自然な仕上がりが得られる化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、酸化チタンを含有してなる油性固形化粧料であって、酸化チタンの90質量%以上が(a1)一次粒子径0.5μm以上の大粒径酸化チタン及び(a2)一次粒子径0.1μm未満の微粒子酸化チタンであることを特徴とする油性固形化粧料が、顔料級酸化チタンの含有量が低くとも充分なカバー効果が得られ、かつ自然な仕上りが得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-126956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の油性固形化粧料は、自然な仕上がりが得られるものの、仕上がりが粉っぽく、伸ばし易さに課題があった。
【0005】
本発明者は、微粒子酸化チタンの表面処理剤と、粒径の異なる酸化チタンのバランスに課題があることを見出し、特定の表面処理及び粒径の酸化チタンを特定の割合で組合わせて用いることにより、肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさがなく、つややかな仕上がりの油性固形化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)酸化チタン 4~25質量%、
(B)25℃で固形のワックス
を含有し、成分(A)として、
(A1)シリコーン処理(非アミノ酸処理)された、粒子径が0.1μm未満の酸化チタン、
(A2a)アミノ酸処理された、粒子径が0.1以上0.5μm未満の酸化チタン、
(A2b)アミノ酸処理された、粒子径が0.5μm以上の酸化チタンを含み、
(A2a)/(A2b)=0.2~3.5である
油性固形化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油性固形化粧料は、肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさがなく、つややかな仕上がりが得られるものである。
ここで、つややかな仕上がりとは、立体感のあることをいう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の成分(A)の酸化チタンは、
(A1)シリコーン処理(非アミノ酸処理)された、粒子径が0.1μm未満の酸化チタン、
(A2a)アミノ酸処理された、粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の酸化チタン、
(A2b)アミノ酸処理された、粒子径が0.5μm以上の酸化チタンを含むものである。
本発明において、粒子径は、画像解析法によって測定することができる。特に、「粒子径」の値は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した二次電子検出によって1000倍率で観察された1000個以上の酸化チタン粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の画像解析によって得ることができる相当円径である。各酸化チタン粒子の「相当円径」は、画像中の酸化チタン粒子の面積(投影面積)に等しい面積を有する円の直径である。
【0009】
成分(A1)の酸化チタンは、粒子径が0.1μm未満であり、0.01~0.09μmが好ましい。
成分(A1)は、このような酸化チタンをシリコーン処理したものである。例えば、ジメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状シリコーン、片末端又は両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン、架橋型シリコーン、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン等のシリコーン系化合物を用い、通常の方法により、表面処理されたものであり、少なくともシリコーン処理された粉体であれば良く、シリコーン系化合物以外の化合物が併せて表面処理されていても良い。
シリコーン処理された粉体は、シリコーン系化合物と、アミノ酸以外の疎水性の非シリコーン化合物を併用して処理されていても良い。疎水性の非シリコーン化合物処理としては、例えば、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリ樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられ、1種又は2種以上を併用することができる。なお、シリコーン処理粉体は、疎水性の非シリコーン化合物処理されていない粉体が好ましく、シリコーン系化合物のみで処理されているシリコーン処理粉体が好ましい。
シリコーン処理としては、ジメチコン処理が好ましい。
【0010】
成分(A1)の含有量は、肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさを抑制する観点から、全組成中に1~6質量%であるのが好ましく、1.5~5質量%がより好ましい。
【0011】
成分(A2a)の酸化チタンは、粒子径が0.1μm以上0.5μm未満であり、0.15~0.45μmが好ましい。
成分(A2a)の酸化チタンとしては、例えば、JR-701、MP-701(テイカ社製)、MPY-18(チタン工業社製)等が挙げられる。
成分(A2a)は、このような酸化チタンをアミノ酸処理したものであり、アシル化アミノ酸処理も含まれる。
酸化チタンを処理するアミノ酸としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらの塩が含まれる。また、アシル化アミノ酸のアシル基を構成する脂肪酸は、炭素数1~23の脂肪酸が好ましく、炭素数8~20の脂肪酸がより好ましく、なかでも、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリジンがさらに好ましい。これらの塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられる。
具体的には、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na等で処理されたものが好ましい。
【0012】
成分(A2a)の含有量は、カバー力と、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさを抑制する観点から、全組成中に2~13質量%であるのが好ましく、3~12質量%がより好ましい。
【0013】
成分(A2b)の酸化チタンは、粒子径が0.5μm以上であり、0.6~3μmが好ましい。
成分(A2b)の酸化チタンとしては、例えば、MP-100(テイカ社製)、ST-750(チタン工業社製)等が挙げられる。
成分(A2b)は、成分(A2a)と同様、このような酸化チタンをアミノ酸処理したものであり、アシル化アミノ酸処理も含まれる。アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理は、成分(A2a)と同様である。
成分(A2b)の含有量は、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさを抑制する観点から、全組成中に1~12質量%であるのが好ましく、1.5~11質量%がより好ましい。
【0014】
成分(A2a)及び成分(A2b)は、アミノ酸又はアシル化アミノ酸以外に、疎水性の化合物を併用して処理されていても良いが、シリコーン処理されていないのが好ましく、アミノ酸又はアシル化アミノ酸のみで処理されているのが好ましい。
成分(A2a)及び成分(A2b)のアミノ酸又はアシル化アミノ酸処理は、同一でも異なっていても良い。
また、成分(A2a)及び成分(A2b)は、肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさを抑制し、つややかな仕上がりが得られる観点から、(A2a)/(A2b)=0.2~3.5であり、0.3~3.5が好ましく、0.4~3.4がより好ましい。
なお、本発明において、成分(A2a)及び成分(A2b)の合計量は、成分(A2)として示す。
【0015】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、カバー力を維持しつつ、自然な仕上がりを得る観点から、全組成中に4質量%以上であるのが好ましく、6質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、25質量%以下が好ましく、24質量%以下がより好ましく、23質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に4~25質量%であるのが好ましく、6~24質量%がより好ましく、8~23質量%がさらに好ましい。
【0016】
成分(B)は、25℃で固形のワックスである。25℃で固形とは、25℃において固体の性状を示し、融点が40℃以上のものを指す。
25℃で固形のワックスとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ、サンフラワーワックス、水添ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックスなどが挙げられる。
これらのうち、保形性に優れ、肌への伸び広がりに優れる観点から、炭化水素系ワックスを含むのが好ましく、少なくともパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン、(エチレン/プロピレン)共重合体混合物から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
【0017】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、保形性に優れ、肌への伸び広がりに優れる観点から、全組成中に3質量%以上であるのが好ましく、4質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、14質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に3~20質量%であるのが好ましく、4~18質量%がより好ましく、6~14質量%がさらに好ましい。
【0018】
本発明において、成分(B)に対する成分(A1)と(A2)の積算値との質量割合[(A1)+(A2)]/(B)は、肌への伸び広がりに優れ、自然な仕上がりを維持しつつ、粉っぽさを抑制し、つややかな仕上がりが得られる観点から、1以上であるのが好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、3以下が好ましく、2.8以下がより好ましく、2.6以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A1)と(A2)の積算値との質量割合[(A1)+(A2)]/(B)は、1~3であるのが好ましく、1.1~2.8がより好ましく、1.2~2.6がさらに好ましい。
【0019】
本発明の油性固形化粧料は、さらに、25℃で液状の油成分を含有することができる。25℃で液状の油成分は、25℃で流動性を有する油性成分であり、流動性を有する限りペースト状の油性成分も含まれる。
25℃で液状の油成分としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、炭化水素油、アルコール、エステル油、エーテル油、シリコーン油が挙げられ、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、ミネラルオイル、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、メトキシケイ皮酸オクチル、酢酸トコフェロール、炭酸プロピレン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、フィトステロール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等の脂肪酸エステル;オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール;アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルエーテル等のエーテル油;ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等のシリコーン油;クリーム状やペースト状として、トリラノリン脂肪酸グリセリル、軟質ラノリン脂肪酸、ワセリン、分岐又はヒドロキシル化した脂肪酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、乳酸ミリスチル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸(フィトルテリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、オレイン酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、使用感が良好で、肌への伸び広がりに優れる観点から、25℃で液状の高級アルコール、エステル油、シリコーン油が好ましく、2-オクチルドデカノール、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、メチルフェニルポリシロキサン、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、天然ビタミンEがより好ましい。
【0021】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、使用感が良好で、肌への伸び広がりに優れる観点から、全組成中に5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に5~60質量%であるのが好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~45質量%がさらに好ましい。
【0022】
本発明の油性固形化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A)以外の粉体、界面活性剤、水溶性及び油溶性ポリマー、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0023】
本発明の油性固形化粧料は、環境に配慮し、使用感に優れる観点から、マイクロプラスチックなどの有機樹脂粉体の含有量が、全組成中に1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、実質的に含まないのがさらに好ましい。
具体的には、生分解性に優れるセルロース末以外の有機樹脂粉体のことである。
有機樹脂粉体として、例えば、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機樹脂粉体などが挙げられる。
従来の油性固形化粧料においては、伸ばしやすさの観点から、球状シリコーン樹脂等の有機樹脂粉体を含有していたが、本発明においては、マイクロプラスチックを含有しなくても、優れたつやと伸ばしやすさを得ることができる。
【0024】
本発明の油性固形化粧料は、通常の方法により製造することができ、例えば、配合成分を加熱溶解して混合した後、金皿等の容器に充填し、冷却することにより製造することができる。
【0025】
本発明の油性固形化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、化粧下地、ファンデーション、口紅、ほお紅、アイシャドウ等のメークアップ化粧料などとすることができ、ファンデーションとして好適である。
本発明の油性固形化粧料は、通常の方法により、手やスポンジに適量をとり、肌に軽くすべらせるように塗布して適用することができる。
【実施例0026】
実施例1~5、比較例1~4
表1に示す組成の油性固形化粧料(ファンデーション)を製造し、自然な仕上がり、仕上がりの粉っぽさのなさ、仕上がりのつややかな仕上がり、肌へ塗布中の伸び広がりを評価した。結果を表1に併せて示す。
なお、実施例で使用した酸化チタンのうち、MPY-18SI(大東化成工業社製)、JR-701(テイカ社製)、MP-100(テイカ社製)の粒度分布は、表2~表4に示すとおりである。
【0027】
(製造方法)
油相成分を90℃で溶解混合したのち、粉体成分を予め粉砕混合したものを加えて三本ローラー又はホモミキサーを用いて混合した。再溶解、脱気を行い、金皿に充填して油性固形化粧料を得た。
【0028】
(評価方法)
専門パネラー5名により、各油性固形化粧料(ファンデーション)を肌に塗布し、自然な仕上がり、仕上がりの粉っぽさのなさ、仕上がりのつややかな仕上がり、肌へ塗布中の伸び広がりを、以下の基準で評価した。結果を5名の平均点で示した。
【0029】
(1)自然な仕上がり:
5;仕上がりがとても自然である。
4;仕上がりが自然である。
3:仕上がりがやや自然である。
2:仕上がりがあまり自然でない。
1;仕上がりが自然でない。
【0030】
(2)仕上がりの粉っぽさのなさ:
5;仕上がりがとても粉っぽくない。
4;仕上がりが粉っぽくない。
3;仕上がりがあまり粉っぽくない。
2;仕上がりがやや粉っぽい。
1;仕上がりが粉っぽい。
【0031】
(3)仕上がりのつややかな仕上がり:
5;仕上がりがとてもつややかに見える。
4;仕上がりがつややかに見える。
3:仕上がりがややつややかに見える。
2:仕上がりがあまりつややかに見えない。
1;仕上がりがつややかに見えない。
【0032】
(4)肌へ塗布中の伸び広がり:
5;とてもスムースに伸び広げられる。
4;スムースに伸び広げられる。
3:ややスムースに伸び広げられる。
2:あまりスムースに伸び広げられない。
1;スムースに伸び広げられない。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】