(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158986
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】搬送ロボット
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241031BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074678
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】福永 大輝
(72)【発明者】
【氏名】小田 志朗
(72)【発明者】
【氏名】松井 毅
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD17
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】搬送物を搭載する車台から上方に延びるスタンドを配設しても、車台の全方位からの電波について受信状態の悪化を防止することが可能な搬送ロボットを提供する。
【解決手段】搬送ロボット100は、搬送物を搭載する車台110と、車台110から上方に延びるスタンド120と、外部装置と所定周波数帯の電波で無線通信を行う無線通信部と、を備える。上記無線通信部は、車台110の少なくとも水平方向外側からの電波を受信するように配設された第1無線通信アンテナ102及び第2無線通信アンテナ103を備える。第1無線通信アンテナ102と第2無線通信アンテナ103とは、車台110の水平方向について、互いに車台110の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搭載する車台と、
前記車台から上方に延びるスタンドと、
外部装置と所定周波数帯の電波で無線通信を行う無線通信部と、
を備え、
前記無線通信部は、前記車台の少なくとも水平方向外側からの電波を受信するように配設された第1無線通信アンテナ及び第2無線通信アンテナを備え、
前記第1無線通信アンテナと前記第2無線通信アンテナとは、前記車台の水平方向について、互いに前記車台の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されている、
搬送ロボット。
【請求項2】
前記第1無線通信アンテナは、前記スタンドの内部に前記スタンドの延びる方向に沿って配設されている、
請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記スタンドは、前記第1無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記スタンドの外筐の一部をなす非導電性のカバーを備える、
請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記スタンドは、前記車台の前方部分又は後方部分において、前記車台の左右方向における一端側に配設される、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記スタンドは、前記車台の前方部分又は後方部分において、前記車台の左右方向における中央部分に配設される、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記スタンドは、前記車台の側方部分において、前記車台の前後方向における一端側に配設される、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記スタンドは、前記車台の側方部分において、前記車台の前後方向における中央部分に配設される、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項8】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置に配設されている、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項9】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置であって、前記第1無線通信アンテナの配設位置に対し前記車台の水平方向における対角線上の向かい合う位置に配設されている、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項10】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置に配設されており、
前記車台は、前記第2無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記車台の外筐の一部をなす非導電性のカバーを備える、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項11】
前記車台の水平方向について、前記スタンドに対し前記車台の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設された、前記車台から上方に延びる他のスタンドを備え、
前記第2無線通信アンテナは、前記他のスタンドの内部に前記他のスタンドの延びる方向に沿って配設されている、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【請求項12】
前記他のスタンドは、前記第2無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記他のスタンドの外筐の一部をなす非導電性のカバーを備える、
請求項11に記載の搬送ロボット。
【請求項13】
前記第1無線通信アンテナと前記スタンドとは、前記車台の水平方向について、同一側面側であって且つ互いに離間した位置に配設されている、
請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項14】
前記車台の少なくとも一部の上面側に、前記搬送物としての所定のワゴンの積み下ろしを行うための昇降機構を備え、
前記所定のワゴンは、物品を収容する収容部と、前記収容部の下側に前記車台の少なくとも一部を侵入させる空間を形成した状態で、前記収容部を支持する支持部と、を備え、
前記第1無線通信アンテナ及び前記第2無線通信アンテナは、前記車台の水平方向について、前記車台に前記所定のワゴンを積んだ状態で前記所定のワゴンに被らない位置に配設されている、
請求項1又は2に記載の搬送ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通信用アンテナの良好なアンテナ性能と搭載性を向上させることを目的とした車内通信用アンテナ構造が開示されている。特許文献1に記載の車内通信用アンテナ構造では、車両に設置される車載機器と乗員が持ち込んだ機器との通信を可能にするよう車両にアンテナ部が設けられており、このアンテナ部はインストルメントパネルに設けられた車載モニタの裏側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、搬送ロボットにおいて、搬送物を搭載する車台から上方に延びるスタンドを配設することを検討した。このような構成の搬送ロボットでは、スタンドの存在により電波の受信状態が悪化する懸念がある。特許文献1に記載の技術は、全方位からの電波の受信が困難な技術であるため、このような問題を解決できる技術ではない。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、搬送物を搭載する車台から上方に延びるスタンドを配設しても、車台の全方位からの電波について受信状態の悪化を防止することが可能な搬送ロボットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送ロボットは、搬送物を搭載する車台と、前記車台から上方に延びるスタンドと、外部装置と所定周波数帯の電波で無線通信を行う無線通信部と、を備え、前記無線通信部は、前記車台の少なくとも水平方向外側からの電波を受信するように配設された第1無線通信アンテナ及び第2無線通信アンテナを備え、前記第1無線通信アンテナと前記第2無線通信アンテナとは、前記車台の水平方向について、互いに前記車台の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されている。上記の構成の搬送ロボットは、搬送物を搭載する車台から上方に延びるスタンドを配設しているものの、第1無線通信アンテナと第2無線通信アンテナとは、車台の水平方向について、互いに車台の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されている。よって、上記の構成の搬送ロボットによれば、搬送ロボットの全方位からの電波、つまり車台の全方位からの電波について受信状態の悪化を防止することが可能になる。
【0007】
前記第1無線通信アンテナは、前記スタンドの内部に前記スタンドの延びる方向に沿って配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、第1無線通信アンテナをスタンドに収容し易くなるだけでなく、搬送ロボットから外部装置が遠い位置に存在した場合でも受信状態を良好に保つことができる。
【0008】
前記スタンドは、前記第1無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記スタンドの外筐の一部をなす非導電性のカバーを備えるようにしてもよい。このようなカバーを設けることで外部からアンテナを視認できなくすることができ、上記の搬送ロボットの見栄えを良くすることができる。
【0009】
前記スタンドは、前記車台の前方部分又は後方部分において、前記車台の左右方向における一端側に配設されるようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、車台の左右方向における中央部分にスタンドを配設する構成に比べて車台への搬送物の搭載状態が前方から視認し易くなる。
【0010】
あるいは、前記スタンドは、前記車台の前方部分又は後方部分において、前記車台の左右方向における中央部分に配設されるようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、車台の左右方向における一端側にスタンドを配設する構成に比べて搬送ロボットの重量バランスが良好になる。
【0011】
あるいは、前記スタンドは、前記車台の側方部分において、前記車台の前後方向における一端側に配設されるようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、車台の前方部分又は後方部分にスタンドを配設する構成に比べて車台への搬送物の搭載状態が前方又は後方から視認し易くなり、且つ、車台の前後方向における中央部分にスタンドを配設する構成に比べて車台への搬送物の搬送状態が側方から視認し易くなる。
【0012】
あるいは、前記スタンドは、前記車台の側方部分において、前記車台の前後方向における中央部分に配設されるようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、車台の前方部分又は後方部分にスタンドを配設する構成に比べて車台への搬送物の搭載状態が前方又は後方から視認し易くなり、且つ、車台の前後方向における一端側にスタンドを配設する構成に比べて搬送ロボットの重量バランスが良好になる。
【0013】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置に配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、第2無線通信アンテナを設けるために他のスタンドを設けずに済む。
【0014】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置であって、前記第1無線通信アンテナの配設位置に対し前記車台の水平方向における対角線上の向かい合う位置に配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、搬送ロボットの全方位からの電波、つまり車台の全方位からの電波について受信状態の悪化をより防止することが可能になる。
【0015】
前記第2無線通信アンテナは、前記車台の内部の位置に配設されており、前記車台は、前記第2無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記車台の外筐の一部をなす非導電性のカバーを備えるようにしてもよい。このようなカバーを設けることで外部からアンテナを視認できなくすることができ、上記の搬送ロボットの見栄えを良くすることができる。
【0016】
前記搬送ロボットは、前記車台の水平方向について、前記スタンドに対し前記車台の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設された、前記車台から上方に延びる他のスタンドを備え、前記第2無線通信アンテナは、前記他のスタンドの内部に前記他のスタンドの延びる方向に沿って配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、第2無線通信アンテナを上記他のスタンドに収容し易くなるだけでなく、搬送ロボットから外部装置が遠い位置に存在した場合でも受信状態を良好に保つことができる。
【0017】
前記他のスタンドは、前記第2無線通信アンテナが配設された部分を覆い、前記他のスタンドの外筐の一部をなす非導電性のカバーを備えるようにしてもよい。このようなカバーを設けることで外部からアンテナを視認できなくすることができ、上記の搬送ロボットの見栄えを良くすることができる。
【0018】
前記第1無線通信アンテナと前記スタンドとは、前記車台の水平方向について、同一側面側であって且つ互いに離間した位置に配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、スタンドに第1無線通信アンテナを設けずに済むため、スタンドの軽量化、スリム化を実現することができる。
【0019】
上記の搬送ロボットは、前記車台の少なくとも一部の上面側に、前記搬送物としての所定のワゴンの積み下ろしを行うための昇降機構を備えるようにしてもよい。ここで、前記所定のワゴンは、物品を収容する収容部と、前記収容部の下側に前記車台の少なくとも一部を侵入させる空間を形成した状態で、前記収容部を支持する支持部と、を備える。そして、前記第1無線通信アンテナ及び前記第2無線通信アンテナは、前記車台の水平方向について、前記車台に前記所定のワゴンを積んだ状態で前記所定のワゴンに被らない位置に配設されているようにしてもよい。上記の搬送ロボットは、このような構成を採用することにより、ワゴンでの物品の搬送を行うことができるだけでなく、ワゴンを搬送中であっても電波の受信状態の悪化を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、搬送物を搭載する車台から上方に延びるスタンドを配設しても、車台の全方位からの電波について受信状態の悪化を防止することが可能な搬送ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る搬送ロボットの全体構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図1の搬送ロボットにおいてワゴンを搬送している様子を示す斜視図である。
【
図4】
図1の搬送ロボットにおいてワゴンを搬送している様子を示す正面図である。
【
図5】
図1の搬送ロボットにおいてワゴンを搬送している様子を示す側面図である。
【
図6】
図1の搬送ロボットにおけるスタンドの一例を示す水平方向断面図である。
【
図7】
図1の搬送ロボットにおけるスタンドの他の例を示す水平方向断面図である。
【
図8】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図9】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図10】
図9の搬送ロボットにおけるスタンドの一例を示す水平方向断面図である。
【
図11】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図12】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図13】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図14】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図15】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【
図16】実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明は以下の実施形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかる搬送ロボットの全体構成例を示す斜視図で、
図2は、
図1の搬送ロボットの上面図である。以下の説明において、適宜XYZ直交座標系を用いて説明を行う。X方向が
図1に示す搬送ロボット100の前後方向、Y方向が左右方向、Z方向が鉛直上下方向となる。より具体的には、+X方向が搬送ロボット100の前方向、-X方向を搬送ロボット100の後ろ方向と規定する。+Y方向が搬送ロボット100の左方向であり、+Y方向が搬送ロボット100の左方向である。+Z方向が鉛直上方向であり、-Z方向が鉛直下方向である。
【0024】
なお、搬送ロボット100は前方向及び後ろ方向のいずれにも移動可能である。つまり、車輪を順回転させると搬送ロボット100が前方向に移動し、逆回転させると搬送ロボット100が後ろ方向に移動する。左右の車輪の回転速度を変えることで、搬送ロボット100が左右に曲がることできる。
【0025】
図1及び
図2に示すように、搬送ロボット100は、搬送物を搭載する車台110と、スタンド120と、操作部130とを備えることができる。車台110には、車輪111、車軸、バッテリ、制御コンピュータ101、駆動モータなどが搭載されている。なお、制御コンピュータ101は、車台110の図示した位置に搭載されることを前提に説明するが、これに限らず、車台110の他の位置に搭載されることや、スタンド120及び操作部130の少なくとも一方にその一部又は全部が搭載されることもできる。
【0026】
車台110は、車輪111を回転可能に保持している。さらに、車台110やスタンド120には、例えば障害物との接触防止や経路の確認などのためにカメラ、測距センサ等の各種センサが設けられていてもよい。図示したように搬送ロボット100が自律移動ロボットであり車台110を含む構成では、搬送ロボット100は自律移動台車と称することもできる。
【0027】
ここでは、搬送ロボット100が自律移動ロボットであることを前提として説明するが、搬送ロボット100は、ユーザの操作により移動する移動ロボットであってもよいし、自律移動モードとユーザ操作モードとを切り替えられる移動ロボットであってもよい。なお、ユーザは、搬送ロボット100の運用先の施設での勤務者などとすることができ、施設が病院の場合には病院勤務者とすることができる。また、搬送ロボット100は、図示しない上位管理装置によりその移動経路などが管理され、上位管理装置からの指示に従い、搬送物を搬送するように構成することもできる。この場合、後述する外部装置としては、上位管理装置又は上位管理装置と接続された無線通信機器とすることができる。
【0028】
制御コンピュータ101は、例えば、集積回路によって実現されることができ、例えば、MPU(Micro Processor Unit)やCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、作業用メモリ、及び不揮発性の記憶装置などによって実現されることができる。この記憶装置にプロセッサによって実行される制御用のプログラムを格納しておき、プロセッサがそのプログラムを作業用メモリに読み出して実行することで、搬送ロボット100を制御する機能を果たすことができる。制御コンピュータ101は、制御部と称することができる。
【0029】
また、搬送ロボット100は、外部装置と所定周波数帯の電波で無線通信を行う無線通信部を備える。なお、所定周波数帯は互いに離間した複数の周波数帯であってもよい。無線通信部は、WiFi(登録商標。以下同様。)規格などの、様々な無線通信規格のうちの1又は複数の無線通信規格に基づく無線通信を外部装置との間で行うように構成しておくことができる。外部装置は、例えば、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントやリピータなどとすることができるが、これに限らず、無線通信機器又は無線通信機能をもつ装置であればない。
【0030】
この無線通信部は、車台110の少なくとも水平方向外側からの電波を受信するように配設された、第1無線通信アンテナ(以下、単に第1アンテナ)102及び第2無線通信アンテナ(以下、単に第2アンテナ)103を備える。第1アンテナ102及び第2アンテナ103は、いずれも上記所定周波数帯の電波に対応した長さや形状をもつものとする。
【0031】
この無線通信部は、制御コンピュータ101に接続されるか、あるいは第1アンテナ102及び第2アンテナ103以外の部分を制御コンピュータ101に含めて構成することができる。つまり、この構成では、第1アンテナ102及び第2アンテナ103はいずれも制御コンピュータ101に接続されていることになる。以下では、説明の簡略化のため、無線通信部における第1アンテナ102及び第2アンテナ103以外の部分が制御コンピュータ101に備えられた例を挙げて説明する。
【0032】
そして、第2アンテナ103は、車台110の内部の位置に配設されており、かつ、第1アンテナ102の配設位置に対し、車台110の水平方向における、つまり上面視における対角線上の向かい合う位置に配設されている。
図1では、第1アンテナ102がスタンド120に配設され、その配設位置の対角位置に第2アンテナ103が配設された例を挙げている。スタンド120は、後述するが、車台110から上方に延びる棒状の部材であり、車台110に取り付けられている。
【0033】
また、
図1では、第1アンテナ102が搬送ロボット100の前方側(+X側)からの電波を、第2アンテナ103が搬送ロボット100の後方側(-X側)からの電波を、それぞれ受信可能に配設されている。
図2には、搬送ロボット100を上方から見た第1アンテナ102及び第2アンテナ103の配置を示すとともに、各アンテナについて無線通信の電波の受信強度が高い範囲をそれぞれ領域102R,103Rで示している。
【0034】
また、第1アンテナ102は、
図1で例示するように、スタンド120の内部にスタンド120の延びる方向に沿って配設されることができる。搬送ロボット100は、このような構成を採用することにより、第1アンテナ102をスタンド120に収容し易くなるだけでなく、外部装置が搬送ロボット100から遠い位置に存在した場合でも受信状態を良好に保つことができる。
【0035】
また、第2アンテナ103は、
図1及び
図2で例示するように、車台110の内部に車台110の水平方向や鉛直方向ではなくその間の角度をなして配設されるようにしてもよい。搬送ロボット100は、このような構成を採用することにより、外部装置が搬送ロボット100の上方に設置されていても受信状態を良好に保つことができる。第2アンテナ103の一端から他端までの方向と車台110の水平方向に対する仰角は、0度より大きく90度より小さければよいが、例えば45度付近とすることで、搬送ロボット100の直上付近に存在する外部装置やかなり遠い位置に存在する外部装置との通信についても受信状態を良好に保つことができる。
【0036】
また、
図1に示すように、スタンド120は、第1アンテナ102が配設された部分を覆い、スタンド120の外筐の一部をなす非導電性のカバー121を備えることができる。第1アンテナ102は、カバー121を除くスタンド120の他の構造部材で周囲を覆われない位置まで外周方向に出した位置に配設される。カバー121は、例えば樹脂製などとすることができるが、非導電性の材料であれば、第1アンテナ102への電波や第1アンテナ102からの電波を通過し易くすることができる。また、カバー121を設けることで外部から第1アンテナ102を視認できなくすることができ、搬送ロボット100の見栄えを良くすることができる。
【0037】
また、カバー121以外におけるスタンド120の外筐は、電波の通過が難しいが金属製などとすることができる。無論、スタンド120の外筐は、その筐体強度が維持できる形状や部材であれば、その一部又は全部を非導電性とすることもできる。しかし、ここで例示したように、スタンド120に操作部130やその他のセンサ類などの重量が嵩む部品を配設する場合には、スタンド120の外筐は、その少なくとも一部において金属製などの筐体強度が保てる部材としておくとよい。この場合には特に、
図1等で図示するように、電波の受信範囲を考慮してスタンド120の前方に第1アンテナ102を配置しておくとよい。
【0038】
また、
図1に示すように、車台110は、第2アンテナ103が配設された部分を覆い、車台110の外筐の一部をなす非導電性のカバー112を備えることができる。第2アンテナ103は、カバー112を除く車台110の他の構造部材で周囲を覆われない位置まで外周方向に出した位置に配設される。カバー112は、例えば樹脂製などとすることができるが、非導電性の材料であればよい。カバー112を設けることで外部から第2アンテナ103を視認できなくすることができ、搬送ロボット100の見栄えを良くすることができる。また、カバー112以外における車台110の外筐は、金属製などとすることができるが、その一部又は全部が非導電性であってもよい。
【0039】
また、車台110には、搬送物を積み下ろすための昇降機構140を備えることができる。昇降機構140は、その一部が車台110の内部に収容されることができ、また車台110の上面側に、搬送物を載置する載置面が露出した状態で配置されることができる。昇降機構140は、昇降可能に設けられた昇降ステージであり、制御コンピュータ101からの制御に従い昇降を行うことができる。車台110には、昇降用のモータやガイド機構が設けられている。昇降機構140の上面が搬送物としてのワゴンを載せる載置面となる。ワゴンは、昇降機構140に載置して搬送可能なサイズ、形状、重量の所定のワゴンであればよい。このワゴンの一例として、後述する
図3~
図5に示すワゴン500を挙げるが、これに限ったものではない。昇降機構140はワゴンを持ち上げるリフト機構を有している。昇降機構140の上方の空間が搬送物を搭載する搭載スペースとなる。なお、ユーザがワゴン500の積み込みを行う運用に限れば車台110は昇降機構140を備えなくてもよい。
【0040】
スタンド120は、車台110に取り付けられている。スタンド120は、車台110から上方に延びる棒状の部材である。ここでは、スタンド120はZ方向を長手方向とする円柱状に形成されているが、無論、その形状は問わない。スタンド120の長手方向は、Z方向に平行に設けられている。スタンド120は、昇降機構140の外側に配置されている。つまり、スタンド120は昇降機構140の昇降動作と干渉しないように配置されている。スタンド120は、車台110のY方向(左右方向)の一端側に配置されている。スタンド120は、車台110の右前方の角部の近傍に取付けられている。XY平面において、+X側かつ-Y側の車台110の端部にスタンド120が設けられている。なお、第1アンテナ102を備えたスタンド120は、車台110の左前方の角部の近傍に取付けられることもでき、この場合には第2アンテナ103は車台110の右後方の角部の近傍に配設されることになる。
【0041】
スタンド120は、操作部130を支持している。スタンド120の上端近傍には、操作部130が取付けられている。これにより、操作部130は、ユーザが操作しやすい高さに設置することができる。つまり、スタンド120は、立った状態のユーザが操作しやすい高さまで延びている。操作部130は、スタンド120から+Y側に延在している。左右方向において、操作部130は車台110の中央に配置されている。
【0042】
操作部130は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルモニタなどを備えることができる。無論、操作部130は、音声入力のためのマイクなどを備えることもできる。操作部130のモニタは車台110と反対側を向いている。つまり、操作部130の表示面(操作面)は+X側の面となっている。操作部130は、スタンド120から脱着可能に設けられていてもよい。つまり、スタンド120は、タッチパネルを保持するホルダが取付けられていてもよい。ユーザは、操作部130を操作することで、搬送物の搬送先や搬送物に関する搬送情報等を入力することができる。さらに、操作部130は、ユーザに対して、搬送中、搬送物、搬送予定の搬送物に関する内容やその目的地などの情報を表示することができる。
【0043】
なお、スタンド120の上面部には、例えばジョイスティック装置のスティック部を備えておくことや、あるいは緊急停止ボタン、あるいは搬送ロボット100の動作状態等を示す表示ランプなどを備えておくこともできる。このジョイスティック装置は、ユーザ操作モードの場合において、搬送ロボット100をユーザの意図する方向に移動させる操作を行う装置である。
【0044】
ユーザは、搬送ロボット100に載せられたワゴンに搬送物を収容して、搬送を依頼する。以下、ワゴン自体も搬送物と称することができるため、便宜上、ワゴンに収容する搬送物を物品と称して区別して説明を行う。搬送ロボット100は、設定された目的地まで自律的に移動して、ワゴンを搬送する。つまり、搬送ロボット100はワゴンの搬送タスクを実行する。以下の説明では、ワゴンを搭載する場所を搬送元又は積み込み場所とし、ワゴンを届ける場所を搬送先又は目的地ともいう。
【0045】
例えば、搬送ロボット100が複数の診療科がある総合病院内を移動するものとする。搬送ロボット100は、複数の診療科間で備品、消耗品、医療器具等の物品を搬送する。例えば、搬送ロボット100は、物品をある診療科のナースステーションから、別の診療科へのナースステーションに届ける。あるいは、搬送ロボット100は、備品や医療器具の保管庫から診療科のナースステーションまで、物品を届ける。また、搬送ロボット100は、調剤科で調剤された薬品を使用予定の診療科や患者まで届ける。
【0046】
物品の例としては、薬剤、包帯などの消耗品、検体、検査器具、医療器具、病院食、文房具などの備品等が挙げられる。医療機器としては、血圧計、輸血ポンプ、シリンジポンプ、フットポンプ、ナースコール、離床センサ、フットポンプ、低圧持続吸入器心電図モニタ、医薬品注入コントローラ、経腸栄養ポンプ、人工呼吸器、カフ圧計、タッチセンサ、吸引器、ネブライザ、パルスオキシメータ、血圧計、人工蘇生器、無菌装置、エコー装置などが挙げられる。また、病院食、検査食などの食事を搬送してもよい。さらに、搬送ロボット100は、使用済みの機器、食事済みの食器などを搬送してもよい。搬送先が異なる階にある場合、搬送ロボット100はエレベータなどを利用して移動してもよい。
【0047】
上述した搬送ロボット100は、搬送物を搭載する車台110から上方に延びるスタンドを配設しているものの、搬送ロボット100の水平方向の対角線上において互いに向かい合う位置に第1アンテナ102及び第2アンテナ103を配設している。つまり、第1アンテナ102と第2アンテナ103とは、搬送ロボット100の水平方向において対角位置に配設されている。
【0048】
このようなアンテナ配置をもつ搬送ロボット100では、搬送ロボット100の全方位からの電波、つまり車台110の全方位からの電波について、受信状態の悪化、特にスタンド120の設置による受信状態の悪化を防止することができる。また、搬送ロボット100内は金属で構成されている部品が多く存在することになるため、電波を通し難い構造であるが、このようなアンテナ配置とすることで、車台110の全方位からの電波について、受信状態の悪化を防止することができる。
【0049】
次に、
図3~
図5を用いて、搬送ロボット100が搬送物としてのワゴンを搬送する様子について説明する。
図3、
図4、
図5はそれぞれ、
図1の搬送ロボット100においてワゴンを搬送している様子を示す斜視図、正面図、側面図である。なお、
図3には、第1アンテナ102についての領域102Rと第2アンテナ103についての領域103Rも図示しているが、便宜上、いずれもアンテナのZ軸方向における中央付近のみについての受信強度が高い範囲を図示している。
【0050】
図3~
図5に示すように、搬送ロボット100は、昇降機構140によりワゴン500を保持することができる。昇降機構140は、車台110の少なくとも一部の上面側に、搬送物としての所定のワゴンの積み下ろしを行うための機構である。ここで、所定のワゴンは、物品を収容する収容部と、収容部の下側に車台110の少なくとも一部を侵入させる空間を形成した状態で、収容部を支持する支持部と、を備える。
【0051】
所定のワゴンとして、ここでは
図3~
図5に示すワゴン500を例に挙げるが、これに限ったものではない。ワゴン500は、その内部に物品を収容する。上記の収容部は、ワゴン500における両側の側板504と開閉可能なカバー501とを含んで構成されることができる。ユーザがカバー501を開けることで物品の積み下ろしが可能になる。
【0052】
上記の支持部は、収容部を支持する支持フレーム505と、支持フレーム505の下側に取り付けられた車輪502と、を含んで構成されることができる。なお、車輪502には、図示しないカバーを備えることもできる。上記の空間は、
図4に示すようにワゴン500の下側に形成された空間Sであり、この空間Sは車台110が進入する空間となる。つまり、ワゴン500の直下の空間Sに車台110が進入することができる。なお、車台110が、ワゴン500を搭載する場合、搬送ロボット100が-X方向に移動して、ワゴン500の直下に進入する。前後方向においてスタンド120が設けられていない側から、車台110がワゴン500の直下に進入する。このようにすることで、スタンド120がワゴン500と干渉することなく、ワゴン500を搭載することができる。換言すると、スタンド120は、ワゴン500と干渉しないように、車台110の角部近傍に取り付けられている。
【0053】
そして、第1アンテナ102及び第2アンテナ103は、
図5で例示するように、車台110の水平方向について、車台110にワゴン500を積んだ状態でワゴン500に被らない位置に配設されているようにしてもよい。つまり、搬送ロボット100は、無線通信をするためのアンテナを搭載する構造において、無線強度の低下し易いワゴン500を載せて走行するため、車台110等を含むロボット本体だけでなくワゴン500にも干渉しない受信範囲でアンテナを配置するとよい。搬送ロボット100は、このような構成を採用することにより、ワゴン500での物品の搬送を行うことができるだけでなく、ワゴン500を搬送中であっても電波の受信状態の悪化を防止することができる。
【0054】
また、
図3の領域102R,103Rから分かるように、例示する搬送ロボット100は、進行方向がどちらを向いても通信電波を拾い易い広範囲で等方な受信範囲になるように、第1アンテナ102及び第2アンテナ103が配置されている。つまり、搬送ロボット100は、ワゴン500を載せて走行する場合にも受信強度ができるだけ下がらないように第1アンテナ102及び第2アンテナ103が配置されている。そのため、搬送ロボット100は、遮蔽物になるようなワゴン500やその内蔵物である搬送物が存在したとしても、第1アンテナ102及び第2アンテナ103により電波が受信し易い。これにより、搬送ロボット100は、外部との通信が確立できずに搬送ロボット100が孤立するような場面を減らすことができる。
【0055】
また、昇降機構140における搭載面には、
図1及び
図2で示したように、凹部141を備えることができる。一方で、ワゴン500の収容部の下側には、図示しない凸部を設けておくことができる。そして、凹部141に上記の凸部を嵌め込むことで、搬送ロボット100に対してワゴン500を固定することができる。
【0056】
なお、ワゴン500が車輪502を備える台車として示されているが、ワゴン500の形状や構成は特に限定されるものではない。ワゴン500で例示する所定のワゴンは、搬送ロボット100により搬送可能な形状、サイズ、及び重量であればよい。
【0057】
ワゴン500の積み込み動作について説明する。ワゴン500の直下の空間Sに車台110が進入すると、昇降機構140が上昇する。これにより、昇降機構140の上面である昇降ステージがワゴン500に接触する。昇降機構140がワゴン500を持ち上げることができる。つまり、昇降機構140が上昇すると車輪502が離地して、車台110にワゴン500が搭載される。
【0058】
ワゴン500を車台110から下ろす場合、昇降機構140が下降する。車輪502が床面と接触して、昇降機構140の上面がワゴン500から離れる。ワゴン500が床面に置かれる。ワゴン500を車台110から下ろすことができる。なお、車台110には4つの車輪111が設けられている。4つの車輪111は左右の前輪と左右の後輪となる。そして、車輪111の回転方向及び回転速度を独立して制御することで、搬送ロボット100が所望のルートで移動する。4つの車輪111の一部が駆動輪であり、残りが従動輪であってもよい。また、
図1等で図示したように、前後の車輪111の間などに更なる従動輪を備えておくこともできる。
【0059】
以上の例では、搬送ロボット100が搬送物としてワゴン500のようなワゴンを搬送することを前提として説明したが、搬送物は、個々の物品(荷物)であってもよい。その場合、昇降機構140は備えなくてもよいが、物品が移動中に落下しないような収容箱又は棚部などを搬送ロボット100に取り付けておくとよい。また、搬送ロボット100で複数の物品が搬送される場合でかつ複数の搬送先に物品を搬送する必要があった場合、ワゴン500を利用した搬送であるか否かに依らず、搬送先でユーザが物品を下ろすことができる。搬送ロボット100は、設定された目的地まで自律的に移動して、あるいはユーザ操作に従い移動して、ワゴン又は個々の物品を搬送することができる。
【0060】
次に、
図6を用いて、搬送ロボット100のスタンド120における第1アンテナ102の配置例について説明する。
図6は、搬送ロボット100におけるスタンド120の一例を示す水平方向断面図である。
【0061】
図6に示すように、スタンド120の外筐、つまりスタンド120の筐体となるスタンド筐体120aは、電波の通過が難しい金属製などの部材で形成されているが、第1アンテナ102の配設位置において電波の通過が容易な樹脂製などのカバー121が設けられている。
【0062】
ここで、上述したように、スタンド120には上部に重さのある操作部130やセンサ類が載っているため、スタンド120は一定の強度をもつ部材が必要となり、金属や金属が一部使われている材質などが用いられることができる。しかし、搬送ロボット100では、第1アンテナ102が、
図6に示すように一点鎖線で示すスタンド120の前後方向の中央位置よりも前方に寄せた位置に配設され且つその位置の外筐を樹脂製などのカバー121としている。これにより、そのような位置でない場合に比べて電波が受信し易くなる。なお、第1アンテナ102の位置は、
図6に示すような位置であっても、
図2に示すように更に前方に寄せた位置であってもよい。
【0063】
また、
図6で図示したように、樹脂製などのカバー121が設けられている高さにおけるスタンド筐体120aとカバー121との割合は1:1とすることができる。無論、
図1や
図3で図示したようにカバー121の割合がスタンド筐体120aの割合より小さくてもよいし、逆に大きくてもよく、受信強度ができるだけ下がらないようにカバー121の範囲が決められていればよい。
【0064】
次に、
図7を用いて、搬送ロボット100のスタンド120における、第1アンテナ102の他の構成例であるフィルムアンテナ102aについて説明する。
図7は、搬送ロボット100におけるスタンド120の他の例を示す水平方向断面図である。
【0065】
図7に示すように、スタンド筐体120aは、電波の通過が難しい金属製などの部材で形成されているが、第1アンテナの配設位置において電波の通過が容易な樹脂製などのカバー121が設けられている。そして、
図7に示すように、第1アンテナとしてカバー121の内側にフィルムアンテナ102aを貼り付けておくことができる。
【0066】
図1~
図7で説明した搬送ロボット100では、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aと第2アンテナ103とを、それぞれ右前方、左後方に配置しているが、これらの配置は例示したものに限らない。以下、第1アンテナとして第1アンテナ102の場合を説明するが、フィルムアンテナ102aであっても同様に適用できる。
【0067】
例えば、第1アンテナ102、第2アンテナ103は、
図8にアンテナ配置例及びその場合の電波の受信強度が高い範囲102R,103Rを示すように、それぞれ左前方、右後方に配設されることもできる。ここで、
図8は、本実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。
【0068】
図8に示す搬送ロボット100aは、搬送ロボット100において、スタンド120の位置や第1アンテナ102及び第2アンテナ103の配置を進行方向に左右反転した構成をもつことになる。つまり、搬送ロボット100aでは、第1アンテナ102は搬送ロボット100aの左側において前方側(+X側)からの電波を受信可能に配設され、第2アンテナ103は搬送ロボット100aの右側において後方側(-X側)からの電波を受信可能に配設される。
【0069】
また、第1アンテナ102、第2アンテナ103は、
図9にアンテナ配置例及びその場合の電波の受信強度が高い範囲102R,103Rを示すように、それぞれ右側方、左側方に範囲102R,103Rが位置するように配設されることもできる。ここで、
図9は、本実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図であり、
図9でも
図2と同様に各アンテナについて無線通信の電波の受信強度が高い範囲をハッチング領域で示している。
【0070】
図9に示す搬送ロボット100bは、搬送ロボット100において、スタンド120の位置をそのままに、範囲102R,103Rが90度回転するように第1アンテナ102及び第2アンテナ103を配置させた構成をもつことになる。つまり、搬送ロボット100bでは、第1アンテナ102は搬送ロボット100bの右方側(-Y側)からの電波を受信可能に配設され、第2アンテナ103は搬送ロボット100bの左方側(+Y側)からの電波を受信可能に配設される。
【0071】
次に、
図10を用いて、搬送ロボット100bのスタンド120における第1アンテナ102の配置例について説明する。
図10は、搬送ロボット100bにおけるスタンド120の一例を示す水平方向断面図である。
【0072】
図10に示すように、スタンド筐体120aは、電波の通過が難しい金属製などの部材で形成されているが、第1アンテナ102の配設位置において電波の通過が容易な樹脂製などのカバー121が設けられている。
【0073】
搬送ロボット100bでは、第1アンテナ102が、
図10に示すように一点鎖線で示すスタンド120の左右方向の中央位置よりも右側に寄せた位置に配設され且つその位置の外筐を樹脂製などのカバー121としている。これにより、そのような位置でない場合に比べて電波が受信し易くなる。なお、第1アンテナ102の位置は、
図10に示すような位置であっても、
図9に示すように更に右側に寄せた位置であってもよい。
【0074】
また、
図10で図示したように、樹脂製などのカバー121が設けられている高さにおけるスタンド筐体120aとカバー121との割合は1:1とすることができるが、
図6について説明したように、受信強度ができるだけ下がらないようにカバー121の範囲が決められていればよい。
【0075】
また、
図1~
図10では、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aがスタンド120に配設され、その配設位置の対角位置に第2アンテナ103が配設された例を挙げたが、各アンテナはこのような配置に限らない。
【0076】
例えば、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aは、車台110の内部であって、車台110の左右方向における他端側に配設されるようにしてもよい。他端とはスタンド120が配設されていない側を指す。この配置の場合には、第2アンテナ103は、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aの配設位置の対角位置に配設されることになる。この場合、
図2や
図8や
図9で説明すると、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aは車台110の+X側かつ+Y側の端部に配設され、第2アンテナ103は車台110の-X側かつ-Y側の端部に配設されることになる。このように、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aとスタンド120とは、車台110の水平方向について、同一側面側であって且つ互いに離間した位置に配設されることもできる。
【0077】
搬送ロボット100,100a,100bは、このような構成を採用することにより、スタンド120に第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aを設けずに済むため、スタンド120の軽量化、スリム化を実現することができる。
【0078】
また、例えば、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102a及び第2アンテナ103は、スタンド120から離れた位置であれば上述した以外の位置であっても、車台110の内部の位置であって、互いに車台110の水平方向における対角線上の向かい合う位置に配設されることもできる。例えば、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102a、第2アンテナ103は、それぞれ車台110の左側、右側における前後方向に中央付近の位置、あるいは、それぞれ車台110の前側、後側における左右方向に中央付近の位置などに配設されることもできる。
【0079】
また、以上の例では、第1アンテナ102の代わりにフィルムアンテナ102aを適用可能な例を挙げたが、第2アンテナ103についても車台110の筐体の内部に貼り付けるなどしたフィルムアンテナを適用することもできる。
【0080】
また、以上の様々な構成例では、スタンド120が車台110の左右方向における一端側に配設されることを前提に説明したが、スタンド120の配置はこれに限ったものではない。また、以上の様々な構成例では、第2アンテナ103が車台110の内部の位置であって、第1アンテナ102又はフィルムアンテナ102aの配設位置に対し車台110の水平方向における対角線上の向かい合う位置に配設されていることを前提に説明したが、互いのアンテナの配置はこれに限ったものではない。
【0081】
このような、スタンド120の配置や2つのアンテナの配置の更なる他の構成例について、
図11~
図16を用いて説明を行う。
図11~
図16はいずれも、本実施の形態に係る搬送ロボットの他の構成例を示す上面図である。なお、
図11~
図16は互いに異なる構成例を示している。また、以下の例では、フィルムアンテナの例について触れないが、第1アンテナ102及び第2アンテナ103のいずれか一方又は双方についてフィルムアンテナを適用することもできる。
【0082】
図11に示す搬送ロボット100cは、
図2に示す搬送ロボット100のように第1アンテナ102がスタンド120の内部にスタンド120の延びる方向に沿って配設されるのではなく、スタンド120の外部にスタンド120の延びる方向に向けて配設されている。スタンド120の外部に第1アンテナ102を配設する例としては、
図11に示すようにスタンド120と操作部130との間であってもよいし、あるいは操作部130の内部であってもよい。なお、このような第1アンテナ102の配置は、無論、以下の様々な例にも適用できる。
【0083】
図12に示す搬送ロボット100dは、
図2に示す搬送ロボット100と同様に、スタンド120が車台110の前方部分において、車台110の左右方向における一端側に配設されているが、第2アンテナ103の配置が搬送ロボット100とは異なる。具体的には、搬送ロボット100dでは、第2アンテナ103が、第1アンテナ102の配置の配設位置に対し対角線上の向かい合う位置ではなく、車台110の内部の位置であって車台110の左右方向における中央部分に配設されている。第2アンテナ103の配置は上記中央部分に限らず、第1アンテナ102と第2アンテナ103とは単に、互いに車台110の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されていればよい。第2アンテナ103が車台110の内部の位置に配設されていれば、第2アンテナ103を設けるために例えば他のスタンドを設けたりせずに済む。また、搬送ロボット100や搬送ロボット100a~100dでは、
図13~
図15を用いて後述する、車台110の左右方向における中央部分にスタンド120を配設する構成に比べて、車台110への搬送物の搭載状態が前方から視認し易くなる。
【0084】
あるいは、搬送ロボット100dにおいて、スタンド120及び第1アンテナ102と第2アンテナ103とを前後入れ替えた構成でも、同様の効果を奏する。即ち、スタンド120は車台110の後方部分において、車台110の左右方向における一端側に配設され、第2アンテナ103が車台110の前方部分にある場合にも、同様の効果を奏する。
【0085】
図13に示す搬送ロボット100eでは、
図11に示す搬送ロボット100cと異なり、スタンド120が車台110の前方部分において、車台110の左右方向における中央部分に配設されている。搬送ロボット100eは、車台110の左右方向における一端側にスタンド120を配設する構成に比べて搬送ロボット110の重量バランスが良好になる。無論、搬送ロボットは、搬送ロボット100eにおいて、第2アンテナ103が、
図12の搬送ロボット100dのように車台110の内部の位置であって車台110の左右方向における中央部分に配設されるようにすることもできる。
【0086】
あるいは、搬送ロボット100eにおいて、スタンド120及び第1アンテナ102と第2アンテナ103とを前後入れ替えた構成でも、同様の効果を奏する。即ち、スタンド120は車台110の後方部分において、車台110の左右方向における中央部分に配設され、第2アンテナ103が車台110の前方部分にある場合にも、同様の効果を奏する。
【0087】
また、搬送ロボットは、スタンド120とは別に他のスタンドを配設し、第2アンテナ103を上記他のスタンドに配設しておくこともできる。例えば、
図14に示す搬送ロボット100fは、第1アンテナ103を内部又は外部に配設したスタンド120の他に、車台110から上方に延びる他のスタンド123を備える。なお、搬送ロボット100fではスタンド120が車台110の前方部分において左右方向における中央部分に配設されている。そして、スタンド123は、車台110の水平方向について、スタンド120に対し車台110の中央部分を挟んだ反対の端面側に配設されたスタンドである。また、搬送ロボット100fでは、第2アンテナ103がスタンド123の内部にスタンド123の延びる方向に沿って配設されている。搬送ロボット100fは、このような構成を採用することにより、第2アンテナ103をスタンド123に収容し易くなるだけでなく、搬送ロボット100fから外部装置が遠い位置に存在した場合でも受信状態を良好に保つことができる。
【0088】
また、スタンド123は、スタンド120の例と同様に、第2アンテナ103が配設された部分を覆い、スタンド123の外筐の一部をなす非導電性のカバーを備えるようにしてもよい。このようなカバーを設けることで外部から第2アンテナ103を視認できなくすることができ、搬送ロボット100fの見栄えを良くすることができる。
【0089】
ここで、第2アンテナ103は、スタンド123の内部にスタンド123の延びる方向に沿って配設されることができる。あるいは、第2アンテナ103は、例えばスタンド123とそれに取り付けた操作部との間や当該操作部の内部など、スタンド123の外部にスタンド123の延びる方向に向けて配設されてもよい。
【0090】
無論、スタンド120やスタンド123の断面形状は、円形や楕円形に限ったものではなく、矩形などであってもよい。搬送ロボット100fの変形例として説明すると、
図15に示す搬送ロボット100gでは、スタンド120,123の断面形状がいずれも矩形となっているのが分かる。搬送ロボット100gは、スタンド120の上端において操作部130を配設した例を挙げているが、他の例と同様にY軸方向側に操作部130を配設しておくこともできる。
【0091】
また、搬送ロボットにおいて、スタンド120、あるいはスタンド120及びスタンド123は、車台110の側方部分に配設されることもできる。例えば、
図16に示す搬送ロボット100hでは、スタンド120及びスタンド123が、車台110の側方部分において、車台110の前後方向における中央部分に配設されている。搬送ロボット100hは、車台の前方部分又は後方部分にスタンド120やスタンド123を配設する構成に比べて車台への搬送物の搭載状態が前方又は後方から視認し易くなる。また、スタンド120及びスタンド123が、車台110の側方部分に配設される場合にも、車台110の前後方向における中央部分ではなく車台110の前後方向における一端側に配設されることもできる。いずれの場合でも、搬送ロボットは、車台の前後方向における一端側にスタンドを配設する構成に比べて搬送ロボットの重量バランスが良好になる。
【0092】
また、
図9に示した搬送ロボット100bにおいて、例えばスタンド120を若干-X側にずらすこともできる。このような搬送ロボットでは、スタンド120が、車台110の側方部分において、車台110の前後方向における一端側に配設されていると言える。この構成においても、スタンド123を設けることができ、その場合にも同様に車台110の前後方向における一端側に配設されることができる。このような搬送ロボットでは、車台100の前方部分又は後方部分にスタンド120やスタンド123を配設する構成に比べて、車台110への搬送物の搭載状態が前方又は後方から視認し易くなる。また、このような搬送ロボットでは、車台110の前後方向における中央部分にスタンド120やスタンド123を配設する構成に比べて、車台110への搬送物の搬送状態が側方から視認し易くなる。
【0093】
なお、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0094】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h 搬送ロボット
101 制御コンピュータ
102 第1無線通信アンテナ(第1アンテナ)
102a フィルムアンテナ
102R 領域
103 第2無線通信アンテナ(第2アンテナ)
103R 領域
110 車台
111 車輪
112 カバー
120 スタンド
120a スタンド筐体
121 カバー
123 スタンド
130 操作部
140 昇降機構
141 凹部
500 ワゴン
501 カバー
502 車輪
504 側板
505 支持フレーム