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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158988
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20241031BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D47/32 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074680
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA37
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC04
3E084DC05
3E084EA04
3E084EB02
3E084EC04
3E084EC05
3E084FA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 キャップ本体と、弁体および栓体との嵌合部において、気密性を維持できる注出キャップを提供する。
【解決手段】 容器Aに装着する注出キャップであって、注出キャップは、容器Aの口筒部1に装着され、内容液を注出する注出部13を有するキャップ本体B1と、キャップ本体B1の注出部13を開閉自在に覆う上蓋B3と、キャップ本体B1の内側に装着される栓体Cと、キャップ本体B1と栓体Cの間に装着され、口筒部1の開口を塞ぐ弁体Dとを備え、栓体Cは、弁体Dを包囲するように立設され、上端部でキャップ本体B1と嵌合する嵌合筒29を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着する注出キャップであって、
注出キャップは、容器の口筒部に装着され、内容液を注出する注出部を有するキャップ本体と、キャップ本体の注出部を開閉自在に覆う上蓋と、キャップ本体の内側に装着される栓体と、キャップ本体と栓体の間に装着され、口筒部の開口を塞ぐ弁体とを備え、
栓体は、弁体を包囲するように立設され、上端部でキャップ本体と嵌合する嵌合筒を備えることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
キャップ本体は、容器の口筒部に装着される外筒壁と、外筒壁の上端部から内方に延設され、通気口部を有する天面壁と、天面壁に設けられる注出部とを備え、
栓体は、外筒壁の内周に係合する上壁と、上壁から立設する嵌合筒と、嵌合筒の外周側に一体成形され、通気口部を開閉する空気弁部を備えることを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
空気弁部は、通気口部を塞ぐ外気導入弁と、外気導入弁の両側から外方に向かって薄肉に形成され、平面方向にたわみ変形可能な一対のアーム部と、上壁から立設され、アーム部の端部を支持する連結支持部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
空気弁部は、通気口部を塞ぐ外気導入弁と、外気導入弁の両側から外方に向かって薄肉に形成され、上下方向にたわみ変形可能な一対のアーム部と、上壁から立設され、アーム部の端部を支持する連結支持部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項5】
容器は、スクイズすることにより弾性変形可能な外容器と、外容器の内側で減容変形可能な内容器とを備える二重容器であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の胴部をスクイズ(押圧)して、容器内の内容液を押し出すスクイズ容器に装着する注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の食品や調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収納し、スクイズすることによって、内容液を注出するスクイズ容器が使用されている。
また、内容液の品質維持が可能なスクイズ容器として、内外二重の構造体とし、外容器の胴部をスクイズすることによって、内側に配設された内容器を減容させて内容液を注出し、それに伴って内圧が減少し、外容器と内容器との間に外気導入孔からの外気を取り込むことで外容器の胴部のみを元の形状に復元させるスクイズ容器も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のスクイズ容器の場合、注出キャップは、弁体(逆止弁)の上端部をキャップ本体と嵌合させるとともに、弁体の下端部を栓体(中栓)と嵌合させて気密(シール部)を維持している。
しかし、弁体は、軟材質(低密度ポリエチレン等)で形成することが多いため、弁体の上端部や下端部が精度よく成形されない場合があり、シール部から液漏れするおそれがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-193749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、キャップ本体と、弁体および栓体との嵌合部において、気密性を維持できる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、容器に装着する注出キャップであって、注出キャップは、容器の口筒部に装着され、内容液を注出する注出部を有するキャップ本体と、キャップ本体の注出部を開閉自在に覆う上蓋と、キャップ本体の内側に装着される栓体と、キャップ本体と栓体の間に装着され、口筒部の開口を塞ぐ弁体とを備え、栓体は、弁体を包囲するように立設され、上端部でキャップ本体と嵌合する嵌合筒を備えることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
注出キャップの実施形態として、キャップ本体は、容器の口筒部に装着される外筒壁と、外筒壁の上端部から内方に延設され、通気口部を有する天面壁と、天面壁に設けられる注出部とを備え、栓体は、外筒壁の内周に係合する上壁と、上壁から立設する嵌合筒と、嵌合筒の外周側に一体成形され、通気口部を開閉する空気弁部を備えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
さらに、注出キャップの具体的実施形態として、空気弁部は、通気口部を塞ぐ外気導入弁と、外気導入弁の両側から外方に向かって薄肉に形成され、平面方向にたわみ変形可能な一対のアーム部と、上壁から立設され、アーム部の端部を支持する連結支持部とを備えることを特徴とする構成、また、空気弁部は、通気口部を塞ぐ外気導入弁と、外気導入弁の両側から外方に向かって薄肉に形成され、上下方向にたわみ変形可能な一対のアーム部と、上壁から立設され、アーム部の端部を支持する連結支持部とを備えることを特徴とする構成、また、容器は、スクイズすることにより弾性変形可能な外容器と、外容器の内側で減容変形可能な内容器とを備える二重容器であることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出キャップは、上記構成を採用することにより、キャップ本体と、弁体および栓体との嵌合部を、キャップ本体と栓体との一個所のみにしたので、従来よりも気密性を向上することができる。
また、本発明の注出キャップは、栓体に、たわみ変形可能な空気弁部を一体成形することで、栓体を簡単かつ生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例である注出キャップを装着した二重容器の閉蓋状態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は(a)のX-X線切断矢視図である。
図2】本発明の第1実施例である注出キャップの栓体を示す図で、(a)は上面図、(b)は背面図である。
図3】本発明の第2実施例である注出キャップの栓体を示す図で、(a)は上面図、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の注出キャップとして、ヒンジキャップとして具体化された実施形態について、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1(a)でみて、左方向を「正面側(ヒンジと反対側)」とし、右方向を「背面側(ヒンジ側)」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【0012】
(実施例1)
図1において、Aは二重容器、Bは二重容器Aに装着されるキャップ本体B1と、キャップ本体B1にヒンジB2を介して開閉可能に連設される上蓋B3とからなるヒンジキャップ、Cはキャップ本体B1の内側に装着され、二重容器Aの開口を覆うとともに、空気の戻りを止める逆止弁を備える栓体、Dはキャップ本体B1と栓体Cとの間に装着され、開口を覆う弁体である。
ヒンジキャップBおよび栓体Cは、高密度ポリエチレンやポリプロピレン等の比較的硬めの材質で形成され、弁体Dは、低密度ポリエチレン等の比較的簡単に変形可能な軟材質で形成される。
【0013】
図1に示すように、二重容器Aは、上部に口筒部1と、その下方にネック部2が形成され、ネック部2の下方に形成される胴部3をスクイズすることにより弾性変形可能な外容器A1と、外容器A1の内側で外容器A1に対して剥離可能に積層され、かつ、減容変形可能な内容器A2とを有する積層剥離容器(デラミネーション容器)として形成され、外容器A1の口筒部1の上端面には、内容器A2の端部5が積層されており、外容器A1内を閉塞している。
なお、内容器A2は、減容可能であればよいので、外容器A1から剥離しない構造としても構わない。
【0014】
二重容器Aは、口筒部1の外周面に、ねじ部(雄ねじ)6が形成され、さらに、口筒部1には、外容器A1と内容器A2との間に外気を吸入するための外気導入孔7が設けられ、さらに、外気導入孔7が位置する口筒部1の外周面には、ねじ部6を上下方向に切り欠く溝部8が形成されている。
外容器A1の胴部3がスクイズされると、内容液がキャップ本体B1から外部に注出される一方、胴部3のスクイズが解除された後は、外気導入孔7から外容器A1と内容器A2との間に外気が吸入されて内容器A2を減容変形させたまま外容器A1が復元する。
【0015】
キャップ本体B1は、外容器A1の口筒部1に装着される外筒壁10と、外筒壁10の外周上端部に設けられ、上蓋B3と係合する蓋係合部11と、外筒壁10の内周上端部から内方に延設される天面壁12と、天面壁12の中央より正面側に寄った位置に注出口13aが穿設され、注出口13aの周縁からに立設される注出部である注出筒13と、天面壁12の背面側に導入孔14aが穿設され、導入孔14a縁の下面に形成される通気口部14とを備えている。
また、天面壁12の下面には、注出口13aを中心としてリング状に凹設され、栓体Cの後述する嵌合筒29が嵌入する栓体嵌合溝15が形成され、天面壁12下面と、装着した栓体Cの嵌合筒29との内方に空間αが形成される。
【0016】
外筒壁10の内周面には、上部に凹設される栓体装着部16と、その上の正面側および両側に配設される装着リブ17とが設けられ、その下方に二重容器Aの口筒部1のねじ部6に螺合するねじ部(雌ねじ)18と、下端部に内周が外容器A1のネック部2外周上部と密着する密着突部19とが設けられている。
【0017】
上蓋B3は、ヒンジB2を介してキャップ本体B1の外筒壁10の外周上端に、回動自在に連設され、頂壁20と、頂壁20の周縁部から垂設され、外周下端の所定の位置にヒンジB2が連設される側周壁21とを備え、頂壁20の下面には、閉蓋時にキャップ本体B1の注出筒13の内周面に外周面が当接するシール筒22が垂設され、側周壁21の内周下端部には、閉蓋時にキャップ本体B1の蓋係合部11と係合し、シールするとともに閉蓋を維持する係合凹部23が設けられている。
【0018】
図1および図2に示すように、栓体Cは、二重容器Aの口筒部1の上面に当接するとともに、外縁がキャップ本体B1の外筒壁10の栓体装着部16に係合して装着される上壁25と、上壁25の上面外縁付近から立設され、外周が外筒壁10内周に近接する外周壁26と、上壁25の下面内縁から垂設され、外周が口筒部1の内周上部に挿入され、密着する密着壁27と、上壁25の上面に、中央より正面側に寄った位置に開口を開けて立設される弁体装着内筒28と、弁体装着内筒28より拡径して立設され、キャップ本体B1の栓体嵌合溝15に上部が嵌入する嵌合筒29とを備えている。
また、弁体装着内筒28の内周上端には、開口を塞ぐ隔壁部30が連設され、上壁25の上面の背面側の外周壁26と嵌合筒29との間には、正面側より広くなる空間βが形成され、空間β内上面に空気弁部31が形成されている。
【0019】
隔壁部30には、正面側に開口32aを穿設して垂設されるサックバック用の筒状壁部32と、その背面側に注出開口33が穿設され、筒状壁部32の内部には、逆止弁としての球状の移動弁34が上下動可能に収容されている。
移動弁34は、金属あるいは合成樹脂からなり、内容液の注出時、容器が傾けられ、筒状壁部32内で隔壁部30の開口32a側に移動し、内容液の注出を終えて、胴部3への押圧を止め、また、容器を正立位置に戻したときには、移動弁34が下がり、筒状壁部32の下方部に着座することにより、筒状壁部32内と二重容器A内との間を遮断するとともに、移動弁34が下方へ移動することで空間α内の内容液を容器側へ引き込む(サックバック)ことができる。
なお、本実施例では、逆止弁として移動弁34を設けているが、別の構造の逆止弁を設けてもよい。
【0020】
空気弁部31は、図1および図2に示すように、中央に形成され、装着時に上面がキャップ本体B1の天面壁12の背面側の通気口部14の下面と当接して導入孔14aを塞ぐ外気導入弁35と、外気導入弁35の両側から外方に向かって薄肉に形成されるとともに、平面方向にたわみ変形可能な一対のアーム部36と、上壁25の上面に立設され、アーム部36のそれぞれの先端を支持する一対の連結支持部37とから構成されている。
また、図2(b)に示すように、空気弁部31の両側の連結支持部37の内面が両側の縦の直線として、外気導入弁35および両側のアーム部36の下面が上の直線として、空気弁部31の下方の上壁25の上面が下の直線として、背面側から見て長方形に切り抜いて内方に伸びる横抜き空間γが形成される。
【0021】
栓体Cの外周壁26の外周および上壁25の外縁の正面側および両側には、上部が外周壁26の上端を切り込み、下部が上壁25の外縁を切り込むように外周壁26に凹設される空気流通溝40が配設され、外周壁26の背面側には、図2(b)に示すように、横抜き空間γの形状に合わせて背面側から見て長方形に穿設される横抜き穴41が開設されている。
空気流通溝40は、セット時にキャップ本体B1の装着リブ17の外面が内方に嵌合して位置合わせするとともに、上端から下端で栓体C内から栓体C下方に空気の流路となっている。
【0022】
弁体Dは、栓体Cへのセット時に、内周が弁体装着内筒28外周と、外周が嵌合筒29内周との間に係合して装着される装着筒45と、装着筒45の内周上端に円周に等間隔で複数配設された弾性変形可能な変形片46とを介して連結され、下面が隔壁部30上面と当接し、少なくとも、隔壁部30の注出開口33を塞ぐ弁部47とを備えている。
【0023】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例の注出キャップは、まず、金型により成形した栓体Cに移動弁34をセットした後、弁体Dを装着する。
本実施例では、図2に示すように、栓体Cの成形時に、上下それぞれの金型の他に、横抜き穴41の外側から横抜き空間γ内に入る横正面から見て長方形に形成された横抜き金型を作ることで、空気弁部31を形成する際に、外側面と内側面とを、上の金型と横抜き金型とで分けて形成することができ、特に、アーム部36をたわみ変形し易いように薄肉に形成したり、正面と背面側へのたわみ形状を複雑にしても、型抜きの際に分けて(通常、横抜きをしてから上抜き)抜くことで、ムリ抜きにならず、アーム部36が切れて不良品となることを防ぎ、生産性がよくなる。
また、空気弁部31の横抜き空間γに合わせて横抜き穴41を形成するので、横抜き金型を抜く時に、抵抗無くスムーズに抜くことができる。
【0024】
次に、ヒンジキャップBは、キャップ本体B1と上蓋B3とを、ヒンジB2を介して開蓋状態で一体成形した後、上蓋B3を閉蓋し、キャップ本体B1内に下方から弁体Dを装着した栓体Cを位置合わせして装着する。
上蓋B3の閉蓋時には、側周壁21の係合凹部23と、キャップ本体B1の蓋係合部11とが係合し、閉蓋を維持するとともに、シール筒22の外周先端部がキャップ本体B1の注出筒13の注出口13aを塞ぎ、シールする。
【0025】
栓体Cをキャップ本体B1に装着すると、キャップ本体B1の外筒壁10の装着リブ17が栓体Cの外周壁26の空気流通溝40に嵌合して位置合わせされるとともに、キャップ本体B1の外筒壁10の栓体装着部16に栓体Cの上壁25外縁が係合して装着を維持し、さらに、キャップ本体B1の栓体嵌合溝15に、栓体Cの嵌合筒29上部が嵌入し、天面壁12下面と、栓体Cの上部および弁体D上面とで形成される空間αを気密にする。
また、キャップ本体B1の通気口部14の下面に、栓体Cの空気弁部31の外気導入弁35の上面が当接して塞ぎ、導入孔14aと空間β内とを封鎖している。
空間β内の空気は、外周壁26の空気流通溝40を介して上壁25下面に抜ける流路が形成される。
【0026】
次に、栓体Cを装着したヒンジキャップBは、内容器A2に内容液が充填された二重容器Aの口筒部1に形成されたねじ部6に、キャップ本体B1の外筒壁10に形成されたねじ部18をねじ込み、キャップ本体B1を二重容器Aに螺合するとともに、栓体Cの密着壁27を、二重容器Aの口筒部1の上端部の内周側に嵌合して装着し、二重容器A(特に内容器A2)の内方を密封した容器とする。
その際、キャップ本体B1の外筒壁10の内周下端の密着突部19が外容器A1のネック部2外周上部と密着し、外筒壁10内を密封する。
また、栓体Cの空気流通溝40を介して上壁25下面に通した空気が、キャップ本体B1の外筒壁10内周と外容器A1の口筒部1外周との間および口筒部1の溝部8を介して外気導入孔7内まで流れる空気の流路が形成される。
【0027】
本実施例の注出キャップは、キャップ本体B1の栓体嵌合溝15と、それに嵌入する栓体Cの嵌合筒29とが、比較的硬めの材質で形成されているので、互いに保形性がよく、成形精度を高くでき、また、従来のように軟材質の弁体を間に介在させることがなく、嵌合部を一箇所のみにできるので、シール性を高くすることができ、キャップ本体B1の栓体嵌合溝15と、栓体Cの嵌合筒29との嵌合部から外に液漏れすることを防止できる。
また、栓体Cの背面側に、外気を導入する弁となる外気導入弁35を一体に成形することができるので、従来のように軟材質の弁体に外気導入弁を形成したり、外気導入弁を別に用意することがなく、軟材質の弁体を単純なものとすることができる。
【0028】
二重容器A内の内容液を使用するには、図1に示す状態から、上蓋B3をキャップ本体B1から開蓋してキャップ本体B1の注出筒13の注出口13aを開口し、二重容器Aを持った状態で傾け、外容器A1の胴部3をスクイズすれば内容液を注出することができる。
その際、二重容器Aの内容器A2内の内容液は、スクイズによって栓体Cの隔壁部30の筒状壁部32内の移動弁34を押し上げるとともに、注出開口33を介して弁体Dの弁部47を押し上げ、隔壁部30上面と弁部47下面との間に隙間を作り、該隙間を通して空間α内に流れ、空間α内からキャップ本体B1の開口した注出筒13を通して吐出される。注出開口33から内容液が空間αに流入して注出口13aより吐出される。
また、空間β内の栓体Cの空気弁部31の外気導入弁35がキャップ本体B1の通気口部14の下面に押し付けられ、密着し、封鎖するので、スクイズによる圧力を内容器A2に効率的に伝えることができる。
【0029】
二重容器Aのスクイズを止めると、栓体Cの隔壁部30の注出開口33からの弁体Dの弁部47の押し上げが止まり、変形片46の復元により、弁部47が隔壁部30上面に当接して注出開口33を塞ぎ、空間α内への注出が止まる。
同時に、筒状壁部32内の移動弁34が下がり、筒状壁部32下部の開口を閉じて内容液の注出が止められるとともに、空間α内に残った内容液を筒状壁部32の下部の開口からサックバックする。したがって、二重容器Aの内容器A2内の内容液への空気の接触を抑制し、内容液の品質を良好に維持することができる。
【0030】
さらに、外気導入孔7は、内容液の吐出に伴う内容器A2の容積を減少させる変形と、外容器A1の弾性変形からの復元力とによって内方が負圧になり、内容器A2と外容器A1との間に空気を導入する。空気は、通気口部14から空気弁部31の外気導入弁35、空気流通溝40、口筒部1の溝部8、外気導入孔7を介して外容器A1内に引き込まれ、外容器A1のみが速やかに初期状態に復元する。
【0031】
内容器A2内の内容液の吐出に伴う内容器A2の容積を減少させる変形と、外容器A1の弾性変形からの復元力とによって、内容器A2と外容器A1との間に、外気導入孔7から空気が導入されるので、徐々に内容器A2が外容器A1から剥離して離れていく。
外容器A1の復元が終わると、内容器A2と外容器A1との間の負圧が解消され、栓体Cの空気弁部31の外気導入弁35の引っ張りが無くなり、アーム部36の復元により、キャップ本体B1の通気口部14の下面に、空気弁部31の外気導入弁35の上面が当接して塞ぎ、空間β内を封鎖する。
再度、外容器A1の胴部3をスクイズすれば、外容器A1内に流入した空気の圧力で内容器A2を押圧し、内容器A2内の内容液を繰り返して注出することができる。
【0032】
使用後は、上蓋B3をキャップ本体B1に嵌合させて閉蓋状態とし、キャップ本体B1の注出筒13と空間α内の弁体Dとで容器内を二重にシールする。
この状態で、二重容器Aが冷蔵庫内に保管されて、外容器A1と内容器A2との間の空気および内容器A2内が冷やされて負圧になっても、キャップ本体B1の通気口部14を介して外容器A1内に空気の流入がなされるので、負圧により上蓋B3がキャップ本体B1から開蓋できなかったり、あるいは、上蓋B3を開放したときに、内容液が飛び出すことがなく、安定して使用することができる。
【0033】
(実施例2)
次に、第1実施例の注出キャップの栓体Cの構成を変更した第2実施例について、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図3において、Caは栓体であり、図1に示す第1実施例と同様に、キャップ本体B1の内側に装着され、二重容器Aの開口を覆うとともに、空気の戻りを止める逆止弁を備え、キャップ本体B1との間に弁体Dを装着する。
【0034】
図3に示すように、栓体Caは、上壁25と、上壁25の上面外縁付近から立設され、外周が図示しない外筒壁内周に近接する外周壁50と、上壁25の下面内縁から垂設され、外周が図示しない口筒部の内周上部に挿入され、密着する密着壁27と、上壁25の上面に、中央より正面側に寄った位置に開口を開けて立設される弁体装着内筒28と、弁体装着内筒28より拡径して立設され、キャップ本体B1の栓体嵌合溝15に上部が嵌入する嵌合筒29とを備えている。
また、弁体装着内筒28の内周上端には、開口を塞ぐ隔壁部30が連設され、上壁25上面の背面側の外周壁50と嵌合筒29との間には、正面側より広くなる空間βが形成され、空間β内上面に空気弁部51が形成されている。
【0035】
空気弁部51は、中央に形成される外気導入弁35と、外気導入弁35の両側から外方に向かって薄肉に形成されるとともに、上下方向にたわみ変形可能な一対のアーム部52と、上壁25の上面に立設され、アーム部52のそれぞれの先端を支持する一対の連結支持部37とから構成されている。
また、図3(b)に示すように、空気弁部51の両側の連結支持部37の内面が両側の縦の直線として、外気導入弁35および両側のアーム部52の下面が上下に波打つ上の波線部53として、空気弁部51の下方の上壁25の上面が下の直線として、背面側から見て上辺が波線部53として波打つ長方形に切り抜いて内方に伸びる横抜き空間δが形成される。
【0036】
栓体Caの外周壁50の外周および上壁25の外縁の正面側および両側には、空気流通溝40が配設され、外周壁50の背面側には、図3(b)に示すように、横抜き空間δの形状に合わせて背面側から見て上部が波線部53として波打つ長方形に穿設される横抜き穴54が開設されている。
【0037】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
本実施例の栓体Caでは、図3に示すように、栓体Caの成形時に、上下それぞれの金型の他に、横抜き穴54の外側から横抜き空間δ内に入る横正面から見て上部が波線部53として波打つ長方形に形成された横抜き金型を作ることで、空気弁部51を形成する際に、外側面と内側面とを、上の金型と横抜き金型とで分けて形成することができ、特に、アーム部52を変形し易いように薄肉に形成したり、上下方向のたわみ形状を複雑にしても、型抜きの際に分けて抜くことで、ムリ抜きにならず、アーム部52が切れて不良品となることを防ぎ、生産性がよくなる。
また、空気弁部51の上部が波線部53として波打つ長方形に形成された横抜き空間δに合わせて横抜き穴54を形成するので、横抜き金型を抜く時に、抵抗無くスムーズに抜くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の注出キャップは、キャップ本体と、弁体および栓体との嵌合部を、キャップ本体と栓体との一個所のみにしたので、従来よりも気密性を向上することができ、さらに、栓体に、たわみ変形可能な空気弁部を一体成形することで、栓体を簡単かつ生産性よく製造することができ、特に、食品や調味料などを充填する二重容器用の注出キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0039】
A 二重容器
A1 外容器
A2 内容器
B ヒンジキャップ
B1 キャップ本体
B2 ヒンジ
B3 上蓋
C、Ca 栓体
D 弁体
α、β 空間
γ、δ 横抜き空間
1 口筒部
2 ネック部
3 胴部
5 端部
6、18 ねじ部
7 外気導入孔
8 溝部
10 外筒壁
11 蓋係合部
12 天面壁
13 注出筒(注出部)
13a 注出口
14 通気口部
14a 導入孔
15 栓体嵌合溝
16 栓体装着部
17 装着リブ
19 密着突部
20 頂壁
21 側周壁
22 シール筒
23 係合凹部
25 上壁
26、50 外周壁
27 密着壁
28 弁体装着内筒
29 嵌合筒
30 隔壁部
31、51 空気弁部
32 筒状壁部
32a 開口
33 注出開口
34 移動弁
35 外気導入弁
36、52 アーム部
37 連結支持部
40 空気流通溝
41、54 横抜き穴
45 装着筒
46 変形片
47 弁部
53 波線部
図1
図2
図3