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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158994
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241031BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D47/34 200
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074690
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084DB08
3E084DB09
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
3E084LD22
3H075AA01
3H075BB03
3H075BB13
3H075BB30
3H075CC36
3H075CC40
3H075DA02
3H075DA04
3H075DA30
3H075DB14
3H075DB22
3H075DB38
(57)【要約】
【課題】吐出器のレバー部の始動時操作荷重を軽くすること。
【解決手段】吐出器1は、容器本体W内の内容物が貯留される貯留空間A、及び、貯留空間A内の内容物を吐出する吐出孔Bを備えるポンプ部2と、第1の支点3Aを備え、第1の支点3Aを中心とする上下方向の回動に伴って貯留空間Aを拡縮させる第1のレバー部3と、第2の支点4Aを備え、第2の支点4Aを中心とする上下方向の回動に伴って第1のレバー部3を上下方向に回動させる第2のレバー部4と、を備え、第2のレバー部4を操作する前の状態において、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の内容物が貯留される貯留空間、及び、前記貯留空間内の内容物を吐出する吐出孔を備えるポンプ部と、
第1の支点を備え、前記第1の支点を中心とする上下方向の回動に伴って前記貯留空間を拡縮させる第1のレバー部と、
第2の支点を備え、前記第2の支点を中心とする上下方向の回動に伴って前記第1のレバー部を上下方向に回動させる第2のレバー部と、を備え、
前記第2のレバー部を操作する前の状態において、
前記第1のレバー部の前記第1の支点から、前記第2のレバー部の力点側の端部までの第1の距離は、前記第1のレバー部の前記第1の支点から、前記第1のレバー部の力点側の端部までの第2の距離よりも長い、
吐出器。
【請求項2】
前記第2のレバー部を操作して前記貯留空間を収縮させる間、前記第2のレバー部の作用点は、前記第1のレバー部との当接状態を維持しながら、前記第2のレバー部を操作する前の状態よりも、前記第1の支点から離れていく、
請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記第1のレバー部及び前記第2のレバー部は、径方向のうち前記吐出孔が配置される前後方向に延び、
前記第2の支点は、前記第1の支点よりも上方、且つ、前記前後方向において前記第1のレバー部の力点側の端部よりも前記第1の支点側に配置されている、
請求項1または2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されるとともに、貯留空間の下端開口を閉塞し、かつ上下方向に貫いて容器本体内に連通する供給孔が形成されたピストンと、ピストンを下方付勢状態で上方移動可能に支持する付勢部材と、供給孔を閉塞し、貯留空間内の負圧時に供給孔を開く下部弁体と、シリンダ内において貯留空間の外側に位置する部分に差し込まれ、ピストンの被係合部を押し上げる操作レバーと、を備え、操作レバーは、被係合部に被係合部の下方から当接する押上部を有する差込部と、差込部に連結されるとともに、シリンダ内から突出したレバー部と、を備え、操作レバーは、回転軸回りに回転可能に設けられ、操作レバーの回転軸回りの回転移動に伴い、押上部および被係合部が互いに当接した状態で、ピストンが上下動する吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の吐出器では、レバー部の押し始めに、ピストンの静止摩擦力(最大摩擦力)が作用するため、レバー部の始動時操作荷重を軽くすることについて改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吐出器のレバー部の始動時操作荷重を軽くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る吐出器は、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間、及び、前記貯留空間内の内容物を吐出する吐出孔を備えるポンプ部と、第1の支点を備え、前記第1の支点を中心とする上下方向の回動に伴って前記貯留空間を拡縮させる第1のレバー部と、第2の支点を備え、前記第2の支点を中心とする上下方向の回動に伴って前記第1のレバー部を上下方向に回動させる第2のレバー部と、を備え、前記第2のレバー部を操作する前の状態において、前記第1のレバー部の前記第1の支点から、前記第2のレバー部の力点側の端部までの第1の距離は、前記第1のレバー部の前記第1の支点から、前記第1のレバー部の力点側の端部までの第2の距離よりも長い。
【0007】
本発明に係る吐出器によれば、第2のレバー部に指をかけ、第2の支点を中心に第2のレバー部を上下方向に回動させると、第1のレバー部が第1の支点を中心に上下方向に回動し、ポンプ部の貯留空間を拡縮させる。ポンプ部の貯留空間が収縮すると、貯留空間内が正圧になり、貯留空間内の内容物が吐出される。一方、ポンプ部の貯留空間が拡張すると、貯留空間内が負圧になり、容器本体内の内容物が貯留空間内に供給される。
第2のレバー部を操作する前の状態において、第1のレバー部の第1の支点から、第2のレバー部の力点側の端部までの第1の距離は、第1のレバー部記第1の支点から、第1のレバー部の力点側の端部までの第2の距離よりも長い。このため、第2のレバー部の力点側の端部を操作したときの方が、第1のレバー部の力点側の端部を操作したときよりも、第1のレバー部を回転させるトルクが大きくなる。このように、第1のレバー部にて軽減した力点の操作荷重を、さらに第2のレバー部にて軽減することにより、ピストンの静摩擦力にて最も摩擦力が増える際の始動時操作荷重を軽減できる。
【0008】
(2)前記第2のレバー部を操作して前記貯留空間を収縮させる間、前記第2のレバー部の作用点は、前記第1のレバー部との当接状態を維持しながら、前記第2のレバー部を操作する前の状態よりも、前記第1の支点から離れていってもよい。
【0009】
この場合には、第2のレバー部の作用点が、第1のレバー部に沿って第1の支点から離れていくため、レバー部の操作荷重が徐々に増えていく。つまり、レバー部の操作始めが最も操作荷重が軽くなる。
【0010】
(3)前記第1のレバー部及び前記第2のレバー部は、径方向のうち前記吐出孔が配置される前後方向に延び、前記第2の支点は、前記第1の支点よりも上方、且つ、前記前後方向において前記第1のレバー部の力点側の端部よりも前記第1の支点側に配置されていてもよい。
【0011】
この場合には、第1のレバー部の上方に第2のレバー部を配置し、上下方向から見たレバー部の設置スペースを小さくすることで、吐出器をコンパクトにできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吐出器によれば、レバー部の始動時操作荷重を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出器の縦断面図である。
図2図1に示す吐出器の平面図である。
図3図1に示す吐出器において、レバー部を操作した状態を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る吐出器の縦断面図である。
図5図4に示す吐出器の平面図である。
図6図4に示す吐出器において、レバー部を操作した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、吐出器の各実施形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
吐出器1は、図1に示すように、容器本体Wから内容物を吸い上げて吐出する押上式のポンプ部2と、ポンプ部2を操作するレバー部(第1のレバー部3及び第2のレバー部4)と、を備えている。ポンプ部2は、容器本体W内の内容物が貯留される貯留空間A、及び、貯留空間A内の内容物を吐出する吐出孔Bを備えている。
【0016】
ポンプ部2は、シリンダ10と、閉塞壁20と、吐出弁30と、吐出ヘッド40と、ピストン50と、付勢部材60と、下部弁体70と、を備え、内容物が充填された容器本体Wの口部W1に、装着キャップCを介して取り付けられる。内容物としては、例えば、衣料用液体洗剤、柔軟剤、若しくは自動食洗機用液体洗剤などが挙げられる。なお、吐出器1は、閉塞壁20を備えなくてもよい。
【0017】
シリンダ10、閉塞壁20、吐出弁30、吐出ヘッド40、およびレバー部(第1のレバー部3及び第2のレバー部4)は、例えばポリプロピレンで形成され、ピストン50は、例えばポリエチレンで形成され、付勢部材60、および下部弁体70は、例えば金属材料で形成されている。なお、付勢部材60、および下部弁体70は、合成樹脂材料で形成されてもよい。
【0018】
シリンダ10、ピストン50、および付勢部材60は、共通軸Oと同軸に配設されている。以下、共通軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、共通軸Oに交差する方向を径方向といい、共通軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
シリンダ10は、上下方向に延びる筒状に形成されている。シリンダ10は、内容物が貯留される貯留空間Aを有している。シリンダ10は、有底筒状の本体筒11と、本体筒11より小径に形成されるとともに、本体筒11の底壁を上下方向に貫く供給筒12と、を備えている。貯留空間Aは、口部W1の上方に位置している。
【0020】
本体筒11は、口部W1から上方に向けて突出している。本体筒11の下端部は、口部W1内に挿入されている。本体筒11に、径方向の外側に向けて突出したフランジ部が形成されており、フランジ部が、容器本体Wの口部W1の上端開口縁と装着キャップCとにより上下方向に挟まれることで、吐出器1が口部W1に固定される。
【0021】
供給筒12の上部は、本体筒11の底壁から上方に突出している。供給筒12の上部は、本体筒11の上端部より下方に位置している。供給筒12の上部の内周面に、上下方向の全長にわたって連続して延びる縦溝13が形成されている。
【0022】
供給筒12の下部は、本体筒11の底壁から下方に突出している。供給筒12の上部の直径は、供給筒12の下部の直径より大きくなっている。供給筒12のうち、本体筒11の底壁との接続部分には、供給筒12内と容器本体W内とを連通する外気導入孔14が形成されている。
【0023】
閉塞壁20は、貯留空間Aの上端開口を閉塞している。閉塞壁20の外周縁部には、下方に向けて延び、シリンダ10の本体筒11に外嵌された外嵌筒21が形成されている。外嵌筒21は、下端部同士が連結され、かつ上端が開口した二重筒状に形成されている。
【0024】
閉塞壁20には、上下方向に貫き、貯留空間Aに連通する流出孔22が形成されている。流出孔22は、共通軸Oと同軸に配設されている。流出孔22の内周面には、上方に向かうに従い流出孔22の内径を大きくする第1弁座面23が形成されている。
【0025】
第1弁座面23は、流出孔22の内周面のうちの上部に形成され、流出孔22の内周面の下部は、上下方向に真直ぐ延びている。閉塞壁20における径方向の中央部(以下、隆起筒24という)は、上方に向けて隆起した有頂筒状に形成されており、その頂壁に流出孔22が形成されている。
【0026】
閉塞壁20には、閉塞壁20の下面が上方に向けて窪み、かつ頂壁が流出孔22より上方に位置する有頂筒状のエア貯留部25が形成されている。なお、閉塞壁20にエア貯留部25を形成しなくてもよい。
【0027】
エア貯留部25内の上部には、貯留空間A内に内容物が充填された状態でも、空気を残留させておくことが可能になり、後述のようにレバー部(第1のレバー部3及び第2のレバー部4)を操作してピストン50を上昇させ、貯留空間Aの内圧を上昇させる際、エア貯留部25内の空気が圧縮することにより、レバー部の始動時の操作荷重を低減することができる。
【0028】
吐出ヘッド40は、有頂筒状に形成され、外嵌筒21に嵌合されている。吐出ヘッド40は、閉塞壁20の上面を覆っている。吐出ヘッド40には、流出孔22からの内容物を吐出する吐出孔Bが形成されている。吐出孔Bは、径方向のうち、共通軸Oに対してエア貯留部25が位置している側の反対側に向けて開口している。
【0029】
以下、径方向のうち、吐出孔Bが開口する向きを前方といい、この逆向きを後方といい、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0030】
吐出ヘッド40には、閉塞壁20の隆起筒24に外嵌され、かつ吐出孔Bに連通した連結筒41が形成されている。連結筒41は、吐出ヘッド40の頂壁の下面から下方に向けて延びている。吐出ヘッド40の頂壁の下面において、連結筒41の内側に位置する部分に、下方に向けて突出した規制突起42が形成されている。
【0031】
規制突起42には、図3に示すように、上昇端位置に達した吐出弁30が突き当たる。規制突起42は、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。規制突起42は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。規制突起42は、連結筒41の内周面に連結されている。規制突起42のうち、径方向の外側部分は、径方向の内側部分より下方に向けて突出している。規制突起42のうち、径方向の外側部分は連結筒41に連結され、径方向の内側部分は吐出弁30と上下方向で対向している。
【0032】
ピストン50は、シリンダ10の本体筒11内に上下摺動可能に嵌合されるとともに、貯留空間Aの下端開口を閉塞している。ピストン50には、上下方向に貫いて容器本体W内に連通する供給孔51が形成されている。ピストン50において、貯留空間Aの内面を画成する部分における供給孔51の開口周縁部に、供給孔51に向かうに従い下方に向けて延びる第2弁座面52が形成されている。
【0033】
図示の例では、ピストン50は、下方に向かうに従い縮径した多段の筒状に形成され、最も下方に位置する下筒部53は有底筒状に形成されている。ピストン50において、シリンダ10の内周面を摺動する摺動筒部54は、最も上方に位置している。
【0034】
ピストン50は、摺動筒部54と下筒部53との間に位置する部分に設けられ、表裏面が上下方向を向く環板状の段部55(被係合部)を備えている。段部55は、共通軸Oと同軸に配設されている。段部55は、供給筒12の上端開口縁を径方向に跨いでいる。段部55における径方向の内端部から下筒部53が下方に向けて延びている。
【0035】
下筒部53の底壁には、下方に向けて延びる外側シール筒56および内側シール筒57が形成されている。外側シール筒56は、内側シール筒57の上部を径方向の外側から囲っている。内側シール筒57の下部は、外側シール筒56より下方に位置している。外側シール筒56は、供給筒12の上部内に上下摺動可能に嵌合され、内側シール筒57は、供給筒12の下部内に上下摺動可能に嵌合されている。
【0036】
供給孔51は、下筒部53の底壁を上下方向に貫き、容器本体W内と貯留空間A内とを連通する。第2弁座面52は、下筒部53の底壁の上面における供給孔51の開口周縁部に形成され、径方向の内側に向かうに従い下方に向けて延びている。下筒部53の底壁の上面のうち、第2弁座面52の外周縁に連なる外周縁部は、上方を向く平坦面となっている。
【0037】
下部弁体70は、供給孔51を閉塞し、貯留空間A内の負圧時に供給孔51を開放する。下部弁体70は、第2弁座面52に上方に向けて離反可能に着座した球体となっている。下部弁体70の材質は、例えばステンレス、若しくはポリプロピレンが好ましい。
【0038】
ピストン50には、支持部材80が設けられている。なお、支持部材80は、ピストン50と一体に形成されてもよい。支持部材80の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。支持部材80は、ピストン50内において、摺動筒部54と下筒部53との間に位置する部分に嵌合された有頂筒状の装着部81と、装着部81の頂壁から上方に向けて延びる有頂筒状の案内部82と、装着部81の頂壁から下方に向けて延びる抜け止め突起83と、を備えている。
【0039】
装着部81および案内部82それぞれの周壁には、径方向のうちの一方向に貫く連通開口が形成されている。図示の例では、連通開口は、装着部81および案内部82それぞれの周壁を左右方向に貫いている。案内部82の頂壁は環状に形成されている。案内部82の頂壁の内周縁部は、案内部82の周壁の内周面より径方向の内側に張り出している。
【0040】
抜け止め突起83は、ピストン50の下筒部53内に挿入されている。抜け止め突起83は、上下方向から見て十字状を呈する。抜け止め突起83に、第2弁座面52から上方に離反した下部弁体70が突き当たることで、下部弁体70が下筒部53内から離脱することが規制される。
【0041】
付勢部材60は、ピストン50を下方付勢状態で上方移動可能に支持している。付勢部材60は、コイルスプリングとなっている。付勢部材60の材質は、例えばステンレス、若しくはポリアセタールコポリマーが好ましい。付勢部材60の上端部は、閉塞壁20の隆起筒24内に挿入され、かつ閉塞壁20の下面に当接している。付勢部材60の下部内に、支持部材80の案内部82が挿入されている。付勢部材60の下端部が、支持部材80における装着部81の頂壁の上面に当接している。
【0042】
吐出弁30は、閉塞壁20の流出孔22に挿入された状態で上下動可能に設けられ、流出孔22を開閉する。吐出弁30は、軸部31および弁本体32を備え、共通軸Oと同軸に配設されている。吐出弁30は、有底筒状に形成されている。なお、吐出弁30は、中実の棒体であってもよい。
【0043】
軸部31は、上下方向に延び、支持部材80の案内部82内に上下動可能に挿入されている。軸部31の下端部には、案内部82の頂壁の内周縁部に、この頂壁の下方から当接した係止突起が径方向外側に突設されている。吐出弁30は、係止突起および案内部82を介して付勢部材60により下方に付勢されている。
【0044】
弁本体32は、閉塞壁20の第1弁座面23に対して上下方向に接近、および離反可能に設けられている。弁本体32の外周面は、上方に向かうに従い外径が大きくなる円錐面状に形成されている。弁本体32の外周面における下端部は、流出孔22の内周面より径方向の内側に位置している。弁本体32の上端部は、吐出弁30が上昇端位置に位置したときに、吐出ヘッド40の規制突起42に突き当たる。
【0045】
第1のレバー部3は、シリンダ10内において貯留空間Aの外側に位置する部分に差し込まれ、ピストン50の段部55(被係合部)を押し上げる。第1のレバー部3の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0046】
第1のレバー部3は、ピストン50の段部55に対し下方から当接する差込部91と、差込部91に連結されるとともに、シリンダ10内から突出した第1のレバー本体92と、を備え、第1の回転軸93回りに回転可能に設けられている。図示の例では、第1のレバー部3は、上下方向から見て前後方向に延びるとともに、第1のレバー本体92は、シリンダ10内から後方に突出している。
【0047】
差込部91は、シリンダ10の本体筒11の後部を前後方向に貫通し、本体筒11内において、貯留空間Aより下方に差し込まれている。差込部91は、ピストン50の下筒部53を左右方向に挟む一対の板体を備えている。これらの板体は、表裏面が左右方向を向き、かつ前後方向に長い長方形状に形成されている。
【0048】
また、一対の板体は、左右方向から見て斜め上前方に向けて突の曲線状を呈する。これらの板体は、ピストン50の段部55の下面における前後方向の中央部に当接する。差込部91は、第1のレバー部3の第1の回転軸93回りの回転移動に伴い、段部55の下面における前後方向の中央部に限って、段部55に対する一対の板体の当接位置が前後方向に摺動する。
【0049】
一対の板体における後端部には、左右方向の外側に向けて突出した第1の回転軸93が設けられている。第1の回転軸93は左右方向(回転軸方向)に延び、第1のレバー部3が第1の回転軸93回りに回転すると、差込部91および段部55が互いに当接した状態で、ピストン50が上下動する。
【0050】
第1のレバー本体92は、差込部91における一対の板体を左右方向に連結するとともに、シリンダ10の本体筒11内から、閉塞壁20の外嵌筒21の後方に向けて突出している。第1のレバー本体92は、上下方向から見て前後方向に長い長方形状を呈し、かつ左右方向から見てS字状に湾曲した板状に形成されている。
【0051】
第1のレバー本体92の前端部は、左右方向から見て斜め下後方に向けて突の曲線状を呈する。第1のレバー本体92の後端部は、左右方向から見て斜め上前方に向けて突の曲線状を呈する。第1のレバー本体92の後端部の上面が、このような湾曲形状を有することで、後述する第2のレバー部4の下面に沿って移動(摺動)し易くなっている。
【0052】
上記構成の第1のレバー部3においては、第1の回転軸93が第1の支点3Aとなり、第1のレバー本体92の後端部が第1の力点3Bとなり、差込部91が第1の作用点3Cとなっている。なお、第1のレバー本体92の後端部は、第1のレバー部3の力点側の端部3bともいう。また、差込部91は、第1のレバー部3の作用点側の端部ともいう。第1の支点3Aから第1の力点3Bまでの距離D1は、第1の支点3Aから第1の作用点3Cまでの距離D2よりも長い。
【0053】
第2のレバー部4は、第1のレバー部3の上方に位置し、第1のレバー部3の力点側の端部3bを押し下げる。第2のレバー部4の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。第2のレバー部4は、前端部4aに設けられた第2の回転軸102と、第2の回転軸102から後方に延びる第2のレバー本体101と、を備えている。
【0054】
第2のレバー部4は、図2に示すように、上下方向から見て前後方向に延びている。第2のレバー部4の前端部4aには、左右方向の外側に向けて第2の回転軸102が突設されている。第2の回転軸102は、グリップ部110に設けられた軸受部111に左右方向に延びる軸回りに回転可能に支持されている。
【0055】
軸受部111は、左右方向に対向して一対で設けられている。軸受部111には、第2の回転軸102の他に、第1の回転軸93が左右方向に延びる軸回りに回転可能に支持されている。図1に示すように、第2の回転軸102は、第1の回転軸93より上方、且つ、第1の回転軸93に対して僅かに後方に位置している。
【0056】
第2のレバー本体101は、第2の回転軸102から後方に向けて延びている。第2のレバー本体101は、上下方向から見て前後方向に長い長方形状を呈し、かつ左右方向から見て直線状の板状に形成されている。第2のレバー本体101において、外嵌筒21の外周面と径方向で対向可能な上面には、リブ103が設けられている。
【0057】
リブ103は、第2のレバー本体101における左右方向の中央部に設けられている。リブ103は、前後方向に延び、かつ表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。リブ103は、左右方向から見て四角形状を呈する。図1において、リブ103の前端縁は、外嵌筒21の外周面に当接している。この状態が、第2のレバー部4を操作する(押し下げる)前の始動位置となっている。
【0058】
この始動位置から第2のレバー部4を押し下げ、第2の回転軸102回りに回転させると、第2のレバー本体101の下面に第1のレバー部3の力点側の端部3bが当接した状態で、第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられる。第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられると、第1のレバー部3が第1の回転軸93回りに回転し、ピストン50の段部55が差込部91によって押し上げられる。
【0059】
上記構成の第2のレバー部4においては、第2の回転軸102が第2の支点4Aとなり、第2のレバー本体101の後端部が第2の力点4Bとなり、第2のレバー本体101の下面における第1のレバー部3との当接箇所が第2の作用点4Cとなっている。なお、第2のレバー本体101の後端部は、第2のレバー部4の力点側の端部4bともいう。第2のレバー部4の力点側の端部4bは、第1のレバー部3の力点側の端部3bよりも後方に位置する。
【0060】
第2の支点4Aから第2の力点4Bまでの距離D3は、第2の支点4Aから第2の作用点4Cまでの距離D4よりも長い。また、図1に示すように、第2のレバー部4を操作する前の状態において、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。
【0061】
ここで、外嵌筒21には、後方に向かうに従い下方に向けて延びるグリップ部110が形成されている。グリップ部110は、レバー部(第1のレバー部3および第2のレバー部4)を左右方向に挟む一対の側壁と、一対の側壁同士を連結し、第1のレバー本体92の下方からレバー部に対向する連結壁と、を備えている。
【0062】
グリップ部110の一対の側壁の対向面には、図2に示すように、上述した一対の軸受部111が形成されている。図1に示すグリップ部110の連結壁の前方を向く面は、第2のレバー部4の力点側の端部4bを親指で押し込む際、他の指が揃うように湾曲している。
【0063】
次に、吐出器1の作用について説明する。
【0064】
第2のレバー部4の力点側の端部4bに親指を置き、かつ他の指をグリップ部110の連結壁に沿わせた状態で、親指により第2のレバー部4を第2の回転軸102回りに下方に向けて押し込む。そうすると、第2のレバー本体101の下面によって、第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられる。
【0065】
第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられると、第1のレバー部3が第1の回転軸93回りに回転し、差込部91がピストン50の段部55の下面を上方に突き上げる。これにより、図3に示されるように、ピストン50が、付勢部材60を上下方向に圧縮させながら、シリンダ10内を上方に向けて移動し、貯留空間Aの内圧が上昇する。
【0066】
この過程において、吐出弁30が上方に向けて移動し、弁本体32が閉塞壁20の第1弁座面23から上方に離反する。これにより、貯留空間Aの内容物が、流出孔22から流出し、吐出ヘッド40の連結筒41内を通して吐出孔Bから吐出される。この際、外側シール筒56および内側シール筒57は、供給筒12内に嵌合した状態に保たれ、シリンダ10の本体筒11内のうち、貯留空間Aの外側に位置する部分は、供給筒12における縦溝13および外気導入孔14を通して、容器本体W内に連通する。
【0067】
そして、第2のレバー部4を開放すると、付勢部材60の復元力によりピストン50が下方移動し、ピストン50の段部55により差込部91が押し下げられ、第1のレバー部3が第1の回転軸93回りに回転しつつ復元移動すると共に、第1のレバー部3の端部3bによって押し上げられた第2のレバー部4が、第2の回転軸102回りに回転しつつ復元移動する。
【0068】
この過程において、貯留空間Aが拡張して負圧になり、吐出弁30が下方に移動して弁本体32が第1弁座面23に当接し、下部弁体70が第2弁座面52から上方に離反する。これにより、供給孔51が開放され、容器本体W内の内容物が、シリンダ10の供給筒12内、および供給孔51を通して貯留空間Aに供給される。この際、外気が、シリンダ10の本体筒11内のうち、貯留空間Aの外側に位置する部分と、供給筒12における縦溝13および外気導入孔14と、を通して、容器本体W内に供給される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、第2のレバー部4に指をかけ、第2の支点4Aを中心に第2のレバー部4を上下方向に回動させると、第1のレバー部3が第1の支点3Aを中心に上下方向に回動し、ポンプ部2の貯留空間Aを拡縮させることができる。ポンプ部2の貯留空間Aが収縮すると、貯留空間A内が正圧になり、貯留空間A内の内容物が吐出される。一方、ポンプ部2の貯留空間Aが拡張すると、貯留空間A内が負圧になり、容器本体W内の内容物が貯留空間A内に供給される。
【0070】
第2のレバー部4を操作する前の状態において、図1に示すように、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3記第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。このため、第2のレバー部4の力点側の端部4bを操作したときの方が、第1のレバー部3の力点側の端部3bを操作したときよりも、第1のレバー部3を回転させるトルクが大きくなる。このように、第1のレバー部3にて軽減した力点の操作荷重を、さらに第2のレバー部4にて軽減することにより、ピストンの静摩擦力にて最も摩擦力が増える際の始動時操作荷重を軽減できる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器1は、容器本体W内の内容物が貯留される貯留空間A、及び、貯留空間A内の内容物を吐出する吐出孔Bを備えるポンプ部2と、第1の支点3Aを備え、第1の支点3Aを中心とする上下方向の回動に伴って貯留空間Aを拡縮させる第1のレバー部3と、第2の支点4Aを備え、第2の支点4Aを中心とする上下方向の回動に伴って第1のレバー部3を上下方向に回動させる第2のレバー部4と、を備え、第2のレバー部4を操作する前の状態において、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。この構成によれば、レバー部の始動時操作荷重を軽くすることができる。
【0072】
また、本実施形態では、第2のレバー部4を操作して貯留空間Aを収縮させる間、第2のレバー部4の第2の作用点4Cは、第1のレバー部3との当接状態を維持しながら、第2のレバー部4を操作する前の状態よりも、第1の支点3Aから離れていく(図3参照)。この構成によれば、第2のレバー部4の第2の作用点4Cが、第1のレバー部3に沿って第1の支点3Aから離れていくため、レバー部の操作荷重が徐々に増えていく。つまり、レバー部の操作始めが最も操作荷重が軽くなる。
【0073】
また、本実施形態では、第1のレバー部3及び第2のレバー部4は、径方向のうち吐出孔Bが配置される前後方向に延び、第2の支点4Aは、第1の支点3Aよりも上方、且つ、前後方向において第1のレバー部3の力点側の端部3bよりも第1の支点3A側に配置されている。この構成によれば、第1のレバー部3の上方に第2のレバー部4を配置し、上下方向から見たレバー部の設置スペースを小さくすることで、吐出器1をコンパクトにできる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0075】
第2実施形態の吐出器1は、図4に示すように、吐出ヘッド40を押し下げて内容物を吐出する押下式のポンプ部2を備えている。押下式のポンプ部2の内部構成は周知であるためその説明を割愛するが、シリンダ10内に貯留空間Aが設けられ、吐出ヘッド40の押し下げにより貯留空間Aを加圧し、貯留空間A内の内容物を吐出孔Bから吐出させる構成となっている。
【0076】
第2実施形態の第1のレバー部3は、吐出ヘッド40の前方且つ吐出孔Bの下方に位置する第1の回転軸93と、第1の回転軸93から後方に向かって延び、吐出ヘッド40の上方を覆う第1のレバー本体92と、を備えている。第1のレバー本体92の前端部には、吐出ヘッド40のノズルが前後方向に貫通して配置される第1の凹部95が形成されている。
【0077】
第1のレバー本体92は、図5に示すように、上下方向から見て前後方向に延びるとともに、第1の凹部95を形成し吐出ヘッド40のノズルを左右方向に挟む一対の板体を備えている。これらの板体は、表裏面が左右方向を向き、かつ前後方向に長い長方形状に形成されている。一対の板体には、左右方向の外側に向けて突出した第1の回転軸93が設けられている。
【0078】
第1のレバー本体92の下面には、図4に示すように、吐出ヘッド40の頂部に上方から当接する当接部96が形成されている。当接部96は、表裏面が左右方向を向き、かつ上下方向に長い長方形状に形成されている。当接部96の後端縁は、左右方向から見て斜め下後方に向けて突の曲線状を呈する。
【0079】
上記構成の第1のレバー部3においては、第1の回転軸93が第1の支点3Aとなり、第1のレバー本体92の後端部が第1の力点3Bとなり、当接部96が第1の作用点3Cとなっている。なお、第1のレバー本体92の後端部は、第1のレバー部3の力点側の端部3bともいう。第1の支点3Aから第1の力点3Bまでの距離D1は、第1の支点3Aから第1の作用点3Cまでの距離D2よりも長い。
【0080】
第2実施形態の第2のレバー部4は、前端部に設けられた第2の回転軸102と、第2の回転軸102から後方に延びる第2のレバー本体101と、を備えている。第2の回転軸102は、第1の回転軸93の斜め上後方(吐出ヘッド40の頂壁付近)に設けられている。第2のレバー本体101には、第1のレバー部3の力点側の端部3bが前後方向に差し込まれる第2の凹部105が形成されている。
【0081】
第2のレバー部4は、図5に示すように、上下方向から見て前後方向に延びるとともに、第2の凹部105を形成し、第1のレバー部3を左右方向に挟む一対の板体を備えている。これらの板体は、表裏面が上下方向を向き、かつ前後方向に長い長方形状に形成されている。一対の板体には、左右方向の外側に向けて突出した第2の回転軸102が設けられている。
【0082】
上記構成の第2のレバー部4においては、図4に示すように、第2の回転軸102が第2の支点4Aとなり、第2のレバー本体101の後端部が第2の力点4Bとなり、第2のレバー本体101の第2の凹部105(第1のレバー部3との当接箇所)が第2の作用点4Cとなっている。なお、第2のレバー部4の力点側の端部4bは、第1のレバー部3の力点側の端部3b(第2の作用点4C)よりも後方に位置する。
【0083】
第2の支点4Aから第2の力点4Bまでの距離D3は、第2の支点4Aから第2の作用点4Cまでの距離D4よりも長い。また、第2のレバー部4を操作する前の状態において、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。
【0084】
グリップ部110には、吐出ヘッド40の前方まで延在した前壁部に、切欠部112が形成されている。切欠部112は、前方から見て略U字状に形成され、吐出ヘッド40の押し下げ時にノズルとの干渉を避けるようになっている。
【0085】
次に、吐出器1の作用について説明する。
【0086】
第2のレバー部4の力点側の端部4bに親指を置き、かつ他の指をグリップ部110に沿わせた状態で、親指により第2のレバー部4を第2の回転軸102回りに下方に向けて押し込む。そうすると、第2のレバー本体101の第2の凹部105によって、第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられる。
【0087】
第1のレバー部3の力点側の端部3bが押し下げられると、図6に示すように、第1のレバー部3が第1の回転軸93回りに回転し、吐出ヘッド40が押し下げられる。これにより、シリンダ10の貯留空間A内の内容物が、吐出ヘッド40の吐出孔Bから吐出される。
【0088】
そして、第2のレバー部4を開放すると、吐出ヘッド40の復元力により第1のレバー部3が押し上げられるとともに、第1のレバー部3の端部3bによって第2のレバー部4が第2の回転軸102回りに回転しつつ復元移動する。これにより、容器本体W内の内容物が、シリンダ10の貯留空間A内に供給される。
【0089】
以上説明したように、第2実施形態の吐出器1においても、第2のレバー部4を操作する前の状態において、第1のレバー部3の第1の支点3Aから、第2のレバー部4の力点側の端部4bまでの距離D5(第1の距離)は、第1のレバー部3記第1の支点3Aから、第1のレバー部3の力点側の端部3bまでの距離D1(第2の距離)よりも長い。このため、第2のレバー部4の力点側の端部4bを操作したときの方が、第1のレバー部3の力点側の端部3bを操作したときよりも、第1のレバー部3を回転させるトルクが大きくなる。このように、第1のレバー部3にて軽減した力点の操作荷重を、さらに第2のレバー部4にて軽減することにより、ピストンの静摩擦力にて最も摩擦力が増える際の始動時操作荷重を軽減できる。
【0090】
また、第2実施形態においても、第2のレバー部4を操作して貯留空間Aを収縮させる間、第2のレバー部4の第2の作用点4Cは、第1のレバー部3との当接状態を維持しながら、第2のレバー部4を操作する前の状態よりも、第1の支点3Aから離れていく(図6参照)。この構成によれば、第2のレバー部4の第2の作用点4Cが、第1のレバー部3に沿って第1の支点3Aから離れていくため、レバー部の操作荷重が徐々に増えていく。つまり、レバー部の操作始めが最も操作荷重が軽くなる。
【0091】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
例えば、第1実施形態において、第2のレバー部4の第2の支点4Aを、前後方向において第1の支点3Aに対し、第1のレバー部3の力点側の端部3bよりも後方に配置してもよい。この場合、第2のレバー部4の作用点側の前端部4aを前方に延ばし、この前端部4aで第1のレバー部3の力点側の端部3bを押し下げることで、第1のレバー部3の差込部91を突き上げてもよい。但し、この場合、上下方向から見たレバー部の設置スペースが前後方向に大きくなるため、図1に示すようにレバー部を上下に配置するとよい。
【0093】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…吐出器、2…ポンプ部、3…第1のレバー部、3A…第1の支点、3b…端部、3B…第1の力点、3C…第1の作用点、4…第2のレバー部、4a…前端部、4A…第2の支点、4b…端部、4B…第2の力点、4C…第2の作用点、10…シリンダ、11…本体筒、12…供給筒、13…縦溝、14…外気導入孔、20…閉塞壁、21…外嵌筒、22…流出孔、23…第1弁座面、24…隆起筒、25…エア貯留部、30…吐出弁、31…軸部、32…弁本体、40…吐出ヘッド、41…連結筒、42…規制突起、50…ピストン、51…供給孔、52…第2弁座面、53…下筒部、54…摺動筒部、55…段部、56…外側シール筒、57…内側シール筒、60…付勢部材、70…下部弁体、80…支持部材、81…装着部、82…案内部、83…突起、91…差込部、92…第1のレバー本体、93…第1の回転軸、94…補助突起、95…第1の凹部、96…当接部、101…第2のレバー本体、102…第2の回転軸、103…リブ、105…第2の凹部、110…グリップ部、111…軸受部、112…切欠部、A…貯留空間、B…吐出孔、C…装着キャップ、D1…距離、D2…距離、D3…距離、D4…距離、D5…距離、O…共通軸、W…容器本体、W1…口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6