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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159003
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/10 20060101AFI20241031BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01F12/10 D
A01D41/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074706
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 光瑠
(72)【発明者】
【氏名】久岡 泰裕
【テーマコード(参考)】
2B074
【Fターム(参考)】
2B074AA02
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD05
2B074AD06
2B074BA07
2B074GC02
(57)【要約】
【課題】圃場で刈り取り走行が行なえるように圃場の一部を手作業で穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を人手で脱穀装置のフィードチェン前部に載置して脱穀を行なう手扱ぎ作業がある。穀稈を人手で駆動中のフィードチェンに近付けるのは経験が無いと困難であり、手などが巻き込まれる危険な作業であった。そこで、本発明は、容易に且つ安全に穀稈を脱穀装置の脱穀部搬送装置に供給することができる手扱ぎ作業アタッチメントを提供して、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行えるようにしたコンバインを提供する。
【解決手段】刈取装置から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置82と脱穀部搬送装置に接続して移送装置82を移送作動状態にする駆動部83にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント80を装備する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置(4)から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置(3)に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置(12)を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置(82)と脱穀部搬送装置(12)に接続して移送装置(82)を移送作動状態にする駆動部(83)にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント(80)を装備したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
手扱ぎ作業アタッチメント(80)の移送装置(82)がステー(81)に回転自在に設けた一対の搬送回転体(82b,82b)に伝動ベルト(82c)及び移送体(82d)を巻回して構成し、駆動部(83)がステー(81)に回動自在に設けた回動アーム(83b)に入力ギア(83c)とプーリ(83d)を一体回転自在に枢支して構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
手扱ぎ作業アタッチメント(80)の移送装置(82)がステー(81)に回転自在に設けた一対の搬送回転体(82b,82b)に伝動ベルト(82c)及び移送体(82d)を巻回して構成し、駆動部(83)が搬送回転体(82b)を駆動回転する電動モータ(90)と該電動モータ(90)の駆動を入り切りするモータ駆動スイッチ(91)で構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
ステー(81)が複数のステー部材(81a,81b)を伸縮自在に連結し、ステー(81)に回転自在に設けた一対の搬送回転体(82b,82b)の端部に伸縮自在の把持アーム(84)の端部を装着したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
脱穀装置(3)の側面を覆うカバー(3a)の脱穀部搬送装置(12)前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー(3c)を設け、該開閉カバー(3c)を開いて水平状態で固定する固定機構を設け、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー(3c)を手扱ぎ作業アタッチメント(80)の載置台とし、開閉カバー(3c)の内方を手扱ぎ作業アタッチメント(80)の収納部としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項6】
開閉カバー(3c)を外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー(3c)が外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン(62)の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置(12)の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御することを特徴とする請求項5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置によって刈取られた穀桿を脱穀装置に供給する脱穀部搬送装置を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
進入経路や圃場内で刈り取り走行が行なえるように圃場の一部を手作業で穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を人手で脱穀装置のフィードチェン前部に載置して脱穀を行なう手扱ぎ作業がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-046865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀稈を人手で駆動中のフィードチェンに近付けるのはかなりの経験が無いと困難であると共に、手などが巻き込まれる危険な作業であった。
【0005】
また、フィードチェンに投入する穀稈の量も作業者の技量によって異なるので、少量ずつしか投入されないとその作業時間が長くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、容易に且つ安全に穀稈を脱穀装置の脱穀部搬送装置に供給することができる手扱ぎ作業アタッチメントを提供して、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行えるようにしたコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、刈取装置4から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置3に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置12を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置82と脱穀部搬送装置12に接続して移送装置82を移送作動状態にする駆動部83にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント80を装備したコンバインである。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、穀稈を載置して移送する移送装置82と脱穀部搬送装置12に接続して移送装置82を移送作動状態にする駆動部83にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント80を装備したので、脱穀部搬送装置12から離れた側から作業者が穀稈を手扱ぎ作業アタッチメント80に載置することにより、脱穀部搬送装置12に手を近付ける必要が無く、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行なうことができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83がステー81に回動自在に設けた回動アーム83bに入力ギア83cとプーリ83dを一体回転自在に枢支して構成した請求項1に記載のコンバインである。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83がステー81に回動自在に設けた回動アーム83bに入力ギア83cとプーリ83dを一体回転自在に枢支して構成したので、駆動部83の入力ギア83cを脱穀部搬送装置12に係合させることで、駆動力を得つつ脱穀部搬送装置12の搬送速度に合わせて移送装置82を駆動させることができ、穀稈の詰まりの発生が防止されると共に脱穀を安定して行うことができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83が搬送回転体82bを駆動回転する電動モータ90と該電動モータ90の駆動を入り切りするモータ駆動スイッチ91で構成した請求項1に記載のコンバインである。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83が搬送回転体82bを駆動回転する電動モータ90と該電動モータ90の駆動を入り切りするモータ駆動スイッチ91で構成したので、手扱ぎ作業アタッチメント80を脱穀装置3に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置12に沿わせ、作業者がモータ駆動スイッチ91を操作して電動モータ90の駆動を入りにしたときに穀稈が脱穀部搬送装置12へ送られ、作業者の意図しないタイミングでの穀稈の脱穀装置3への引き込みを防止でき、作業の安全性が確保できる。
【0013】
請求項4記載の発明は、ステー81が複数のステー部材81a,81bを伸縮自在に連結し、ステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bの端部に伸縮自在の把持アーム84の端部を装着した請求項2または請求項3に記載のコンバインである。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または請求項3に記載の発明による効果に加えて、テー81が複数のステー部材81a,81bを伸縮自在に連結し、ステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bの端部に伸縮自在の把持アーム84の端部を装着したので、一対の搬送回転体82b,82bの距離を変えて移送体82dの張力を調節でき、移送体82dの弛みにより穀稈が脱穀部搬送装置12に運ばれ難くなるような事態を防止できる。
【0015】
請求項5記載の発明は、脱穀装置3の側面を覆うカバー3aの脱穀部搬送装置12前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー3cを設け、該開閉カバー3cを開いて水平状態で固定する固定機構を設け、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー3cを手扱ぎ作業アタッチメント80の載置台とし、開閉カバー3cの内方を手扱ぎ作業アタッチメント80の収納部とした請求項1に記載のコンバインである。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、脱穀装置3の側面を覆うカバー3aの脱穀部搬送装置12前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー3cを設け、該開閉カバー3cを開いて水平状態で固定する固定機構を設け、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー3cを手扱ぎ作業アタッチメント80の載置台としたので、水平状に固定された開閉カバー3cに手扱ぎ作業アタッチメント80を載置して安全に且つ作業性良く手扱ぎ作業が行なえる。
【0017】
また、開閉カバー3cの内方を手扱ぎ作業アタッチメント80の収納部としたので、手扱ぎ作業アタッチメント80を開閉カバー3c内に収納しておくことができ、圃場に手扱ぎ作業アタッチメント80を持ち込むのを忘れることが防止できる。
【0018】
請求項6記載の発明は、開閉カバー3cを外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー3cが外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン62の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置12の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御する請求項5に記載のコンバインである。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項5に記載の発明による効果に加えて、開閉カバー3cを外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー3cが外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン62の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置12の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御するので、通常作業と手扱ぎ作業の切替え操作が不要となると共に、切替え忘れによる作業能率や作業精度が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかるコンバインの側面図である。
図2】同上コンバインの平面図である。
図3】同上コンバインの脱穀装置の要部の側面図である。
図4】同上脱穀装置の側断面図である。
図5】同上コンバインの要部の正面図である。
図6】同上脱穀部搬送装置の斜視図である。
図7】同上コンバインの手扱ぎ作業アタッチメントの平面図である。
図8】同上手扱ぎ作業アタッチメントの斜視図である。
図9】同上手扱ぎ作業アタッチメントの要部の斜視図である。
図10】同上手扱ぎ作業アタッチメントの要部を分解した斜視図である。
図11】同上手扱ぎ作業アタッチメントの他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態のコンバインについて図面を参照しつつ詳述する。
【0022】
なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に説明するが、これらにより本発明が限定されるものではない。
【0023】
<全体構成>
図1及び図2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下方には圃場を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。
【0024】
脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。
【0025】
また、機体フレーム1の上方右側には操縦者が搭乗する操縦席6が設けられ、操縦席6の下側にはエンジン62を搭載するエンジンルーム8が設けられている。
【0026】
<刈取装置4>
図1図3に示すように、刈取装置4は、刈取後フレーム28と、刈取後フレーム28の先端部に左右方向に横設された刈取伝動ケース29と、刈取伝動ケース29から上方向に立設された連結フレーム29Aによって形成された主枠となる刈取りフレーム30に取付けられている。
【0027】
刈取後フレーム28の基部は、機体フレーム1の立設された左右一対の懸架台35,35の上部に回動可能に軸支された横伝動筒36の右側に偏倚した部位に取付けられている。
【0028】
刈取装置4は、前側下部に設けられた植立穀稈を分草する分草杆31と、分草杆31の後方に設けられた倒伏した植立穀稈を引き起こす引起装置32と、引起装置32の後方の下部に設けられた植立穀稈の株元を切断する刈刃装置33と、引起装置32と刈刃装置33の後方に設けられた刈取穀稈を脱穀装置3の一側に設けられた脱穀部搬送装置12へ向けて搬送する搬送装置34とを備えている。
【0029】
搬送装置34は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置34Aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置34Bから構成されており、また、この搬送装置34から脱穀部搬送装置12へ引継ぐ際の穀桿の落下を防止するために、脱穀部搬送装置12の前端部の右側部には、搬送装置34の後端部から扱室50の前端部に亘って、支持体37が設けられている。
【0030】
図6に示すように、刈取装置4のフレーム4Aの後端部には、前側補助挟扼杆を取付けるブラケット38Cと、前側補助挟扼杆の変形量を検出する穀桿センサ34Cを取付けるブラケット38Dが設けられている。なお、フレーム4Aの前端部は、刈取りフレーム30の刈取伝動ケース29の左側に立設された連結フレーム29Aに装着され、前部から後部に向かって後上がり傾斜し、後端部は、フィードチェン12Bの前側上方に臨んでいる。
【0031】
前側補助挟扼杆は、バネ板等からなる上側補助挟扼杆と下側補助挟扼杆を有して構成されている。上側補助挟扼杆の前端部は、フレーム4Aの終端部に装着されたブラケット38Cにボルト等の締結部材によって取付けられており、後端部は、フィードチェン12Bの始端部に延設している。また、下側補助挟扼杆の前端部は、下側から上側補助挟扼杆を覆うようにフレーム4Aの終端部に装着されたブラケット38Cにボルト等の締結部材によって取付けられており、後端部は、挟持杆12Cの前側まで延設している。
【0032】
なお、上側補助挟扼杆と下側補助挟扼杆の左右方向の幅は、フィードチェン12Bの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、下側補助挟扼杆は、フィードチェン12Bの左右の外プレートの間に上載されている。
【0033】
穀桿センサ34Cは、フレーム4Aの終部に装着されたブラケット38Dにボルト等の締結部材によって取付けられている。なお、穀桿センサ34Cは、ブラケット38Dに前後方向に2個の穀桿センサ34C,34Cを並設するのが好適である。
【0034】
前側に配置された穀桿センサ34Cは、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿が有無を検知する。すなわち、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿が有る場合には、上側補助挟扼杆の後端部が上方に向かって移動し、上側補助挟扼杆の後端部が前側に配置された穀桿センサ34Cを押圧する。一方、穀桿が無い場合には、上側補助挟扼杆の後端部は、フィードチェン12Bの始端部に延設した状態を維持する。
【0035】
後側に配置された穀桿センサ34Cは、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿の詰まりを検知する。すなわち、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿がフィードチェン12Bの前側に詰まった場合には、下側補助挟扼杆の後端部が上方に向かって移動し、下側補助挟扼杆の中間部が後側に配置された穀桿センサ34Cを押圧する。一方、穀桿の詰まりが無い場合には、下側補助挟扼杆の後端部は、フィードチェン12Bの上側に載置した状態を維持する。なお、特に、後側に配置された穀桿センサ34Cの出力値に応じてフィードチェン12Bの搬送速度を切り換えるのが好適である。
【0036】
また、刈取装置4の搬送終端部側から後方に向けて延出された手扱ぎ規制部材40と、該手扱ぎ規制部材40の前部を上下回動自在に支持する支持部を設け、手扱ぎ規制部材40を下方向に回動させて該手扱ぎ規制部材40の後部と挟持杆12Aの前部との間隔を縮小してフィードチェン12Bの前部への手扱ぎ穀稈の載置が規制される規制状態と、手扱ぎ規制部材40を上方向に回動操作して手扱ぎ規制部材40の後部と挟持杆12Aの前部との間隔を拡大してフィードチェン12Bの前部への手扱ぎ穀稈の載置が許容される非規制状態とに切り換え可能な構成としている。
【0037】
図3図5に示すように、左側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。懸架台35の左側の前部には、横伝動筒36の左側部を軸支する横伝動フレーム35Cの基部を回転可能に支持する上下方向に延設したフィードチェン回動軸35Bが設けられている。
【0038】
また、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動して刈取装置4の分草杆31、引起装置32等の装置の保守・点検作業を容易に行なうために、横伝動フレーム35Cは、正面視において基部から先端部に下方向に凸部を有する円弧状に形成されている。なお、後述するように、穀桿を搬送する脱穀部搬送装置12もフィードチェン回動軸35Bを中心として回動する。
【0039】
右側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。該懸架台35の上端部には、横伝動筒36の右側部を軸支する支持部材35Dが取付けられている。支持部材35Dは、略半円弧状に分割された前側支持部材と、後側支持部材とで構成されている。横伝動筒36の右側部を軸支する場合には、前後側支持部材を係合し、刈取装置4又はトランスミッション65のメンテナンスを行うために、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動させて、刈取装置4を左側方へ移動させる場合には、前後側支持部材の係合を外して横伝動筒36を前方に引き出す。また、左右の懸架台35,35の変形等に対する剛性を高めるために、左右の懸架台35,35の上下方向の中間部には連結フレーム35Eが架設されている。
【0040】
エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸に支持されたプーリ(図示省略)を介して、横伝動筒36に内装された横伝動軸36Aの右端部に支持されたプーリ36Bに伝動される。なお、横伝動軸36Aに伝動された回転は、刈取後フレーム28及び刈取伝動ケース29に内装された伝動軸(図示省略)を介して、刈取装置4の引起装置32、刈刃装置33、搬送装置34等に伝動される。
【0041】
また、エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、トランスミッション65を介して、走行装置2の左右のクローラに伝動される。
【0042】
<脱穀装置3>
図4に示すように、脱穀装置3は、前側の上部に穀稈の脱穀を行う扱室50を備え、扱室50の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室51を備えている。
【0043】
扱室50には、複数の扱歯を有する扱胴55が前後壁50A,50Cに軸支された扱胴軸に支持されている。
【0044】
そして、扱室50の前壁50Aの左側下部には穀稈供給口26Aが開孔され、左壁50Bの下部には扱胴55に沿って扱ぎ口26Bが開孔され、後壁50Cの左側下部には排藁口26Cが開孔されている。
【0045】
また、扱室50の左側には扱ぎ口26Bに沿って穀桿の株元を挟持して後方に搬送する脱穀部搬送装置12が並設され、脱穀部搬送装置12によって搬送された脱穀が完了した排藁穀桿は、脱穀部搬送装置12の後方に設けられた排藁搬送装置58に引き継がれてさらに後方に搬送された後、一対の排藁カッター59によって裁断され外部に排出される。
【0046】
選別室51の上部には、揺動選別装置52が設けられ、選別室51の下部には揺動選別装置52の前部のシーブに空気を送風する第一唐箕53Aと、揺動選別装置から漏下する穀粒を回収する一番受樋53Bと、揺動選別装置の後部のシーブに空気を送風する第二唐箕53Cと、揺動選別装置から漏下する枝梗等が付着した穀粒である二番物を回収する二番受樋53Dとが前側から順に設置されている。一番受樋53Bで回収された穀粒は、一番受樋53Bに内装された一番移送螺旋53bによってグレンタンク5に移送され、二番受樋53Dで回収された穀粒等は、二番受樋53Dに内装された二番移送螺旋53dによって二番処理室に移送される。
【0047】
扱室50の右側の後部は、排塵処理室に連通し、排塵処理室の内部には、外周面にスクリュー羽根体を備える排塵処理胴57が前後方向に軸支され、排塵処理室の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室が設けられている。二番処理室の内部には外周面に間欠螺旋羽根を備える二番処理胴56が軸支されている。また、揺動選別棚の後方上側には、脱穀・選別時に発生する藁屑等を吸引し機外に排出する排塵ファン48が配置されている。
【0048】
<脱穀部搬送装置12>
図3に示すように、脱穀部搬送装置12は、上側に位置する挟持杆12Aと、下側に位置するフィードチェン12Bを備えている。
【0049】
挟持杆12Aは、扱室50の扱胴カバー50Dに対してスプリング等の付勢手段14によってフィードチェン12B側に付勢されている。
【0050】
フィードチェン12Bは、上側チェンレール18Aの前後端部にそれぞれ回転自在に支持された張設輪17B,17Bと、張設輪17B,17Bの間に設けられた駆動スプロケット17Aに巻回されて駆動される無端のチェンである。
【0051】
上側チェンレール18Aに上載された作用側のフィードチェン12Bは、前側から後方に向かって移動する過程で挟持杆12Aと穀稈の株元を挟持する。
【0052】
扱胴カバー50Dの側面には、手扱ぎ作業を行なっている補助作業者が手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度調整を容易に行って作業性及び安全性を高めるために、調速ダイヤル6Aが設けられている。
【0053】
側面視において、挟持杆12Aは、扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜に設けられている。作用側のフィードチェン12Bを上載する上側チェンレール18Aは、横軸伝動筒36の前方の前端から後上がり傾斜した後、緩やかに後上がり傾斜して扱室50の穀稈供給口26Aの前方に至った後、挟持杆12Aと対向して扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜する。その後、排藁口26Cから後方に水平に延在した後、後下がり傾斜して穂先搬送装置34Aの前端部の後方の後端に至る。
【0054】
非作用側のフィードチェン12Bを上載する下側チェンレール18Bは、駆動スプロケット17Aにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の上方の前端から後上がり傾斜して後端に至っている。なお、下側チェンレール18Bの後端は、後側の張設輪17Bの前方であって排藁口26Cの下方に設けられている。
【0055】
下側チェンレール18Bの前端部には、非作用側のフィードチェン12Bを下側チェンレール18Bの前端部よりも下方に設けられた駆動スプロケット17Aに誘導するガイド18Dが着脱自在に取付けられている。ガイド18Dは、カウンタ軸71の上方に設けられ円弧状に形成されている。
【0056】
下側チェンレール18Bの下側には、レール連結プレート18Cによって上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bを支持する支持フレーム19が設けられている。すなわち、フィードチェン12Bは支持フレーム19によって支持されている。また、上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bに連結される連結プレート18Eには、穀稈搬送中のフィードチェン12Bから落下する藁屑が前記選別室51の駆動部に落下することを防止するための藁屑ガイド板(図示省略)が取り付けられている。
【0057】
支持フレーム19の前端部は、ブラケット19Bにボルト等によって取付けられたプレート19Aに取付けられ、ブラケット19Bは、左側の懸架台35に設けられたフィードチェン回動軸35Bの上下端部に回転自在に取付けられている。なお、フィードチェン回動軸35Bを中心としてフィードチェン12Bの回動時に、フィードチェン12Bの先端部の機体内側への入り込みを低減するために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン12Bを巻回する前側の張設輪17Bの後側近傍に立設されている。
【0058】
支持フレーム19は、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等との干渉を防止するために、側面視において、前端部からフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aとギヤボックス68の出力軸68Bの間を後方に向かって延在した後、第1変速モータの前方で略90度湾曲して上方に向かって延在する。そして、カウンタ軸71の前方を上方に向かって延在した後、ガイド18Dの下側から下側チェンレール18Bの下側に沿って後上がり傾斜して、略下側チェンレール18Bの前後方向の中央部に至っている。
【0059】
これによって、フィードチェン12B、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等の保守・点検を行なう場合には、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bを中心にして回動させて、フィードチェン12Bの後部を脱穀装置3の本体から離間させることにより容易に行なうことができる。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の保守・点検を容易に行なうために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の前部よりも前側に立設されている。
【0060】
側面視において、前側の張設輪17Bは、刈取装置4にエンジン62の回転を伝動する横軸伝動筒36の前方近傍に設けられ、後側の張設輪17Bは穂先搬送装置34Aの前端部の後方近傍に設けられている。駆動スプロケット17Aは、前後方向にあっては前後側の張設輪17B,17Bの間であって前側の張設輪17B側に偏倚して配置されており、横軸伝動筒36とフィードチェン12Bにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の略中央に位置する。また、上下方向にあってはカウンタ軸71と下側チェンレール18B等を支持する後方に向かって延在する支持フレーム19の略中央に位置する。また、前側の張設輪17Bと駆動スプロケット17Aの間には、テンションスプロケット17Cが設けられている。
【0061】
これにより、フィードチェン12Bは、駆動スプロケット17Aから上方に向かって移動した後、テンションスプロケット17Cに沿って移動して前側の張設輪17Bに至り、前側の張設輪17Bから上側チェンレール18Aの上側を後側の張設輪17Bに向かって移動する。その後、フィードチェン12Bは、後側の張設輪17Bから前方の下側チェンレール18Bに向かって移動した後、下側チェンレール18Bの後端から下側チェンレール18Bの上側を前側のガイド18Dに移動した後、ガイド18Dに沿って移動して駆動スプロケット17Aに至っている。
【0062】
エンジン62の回転は、カウンタ軸71を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動され、ギヤボックス68で増減速された後に、脱穀部搬送装置12の駆動スプロケット17Aと接続される出力軸68Bに伝動される。
【0063】
カウンタ軸71に伝動された回転は、扱胴55に伝動されると共に、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動される。
【0064】
フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動された回転は、ギヤボックス68に伝動されて、ギヤボックス68のギヤによって増減速されて出力軸68Bに伝動される。出力軸68Bに伝動された回転は、フィードチェン12Aの駆動スプロケット17Aに伝動される。
【0065】
<ナローガイド20>
コンバインの左側である未刈取側には側部に沿って、図2に示すように、コンバインの外側に張り出す張出姿勢と、内側に収納される収納姿勢に切替え可能なナローガイド20が設けられている。
【0066】
ナローガイド20は、間接状態に連結された前側部20Aと後側部20Bからなり、前側部20Aの前端部は、最左側の分草体31の後側の分草フレームの前端部に回動自在に枢支され、後側部20Bの後端部は、機体フレーム1の左側の側部に設けた支持部材によって前後方向に移動自在に支持されている。また、ナローガイド20は、リンク構造を備える切替手段(図示省略)によって張出姿勢と収納姿勢に切替えられる。
【0067】
なお、モードスイッチ6Bが接続されて通常の刈取りモードから手扱ぎモード時には、手扱ぎ作業を行なう補助作業者とナローガイド20の接触を防止するために、ナローガイド20は収納姿勢に維持される。
【0068】
なお、扱胴カバー50Dの側面には、フィードチェン12Bの速度の増減を行なう調速ダイヤル6Aと、手扱モードへの切り換えを行なうモードスイッチ6Bと、フィードチェン12Bを後側から前側に向かって逆回転させる逆転スイッチ6Cと、フィードチェン12Bの駆動を緊急停止する停止スイッチ6Dが設けられている。
【0069】
<操縦席6>
操縦席6の左側には、走行用油圧式無段変速装置66を遠隔操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には植立穀桿の倒伏状態に応じてトランスミッション65内の伝動機構に備えた有段式の副変速装置を切換操作する副変速レバー15が設けられ、脱穀装置3及び刈取装置4等の作業部の駆動を入り切りする刈脱レバー21が設けられている。
【0070】
<手扱ぎ作業アタッチメント80>
図7図10に基づいて、手扱ぎ作業を行なう場合に用いる手扱ぎ作業アタッチメント80について説明する。
【0071】
進入経路や圃場内で刈り取り走行が行なえるように圃場の一部を手作業で穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を人手で脱穀装置3のフィードチェン12B前部に載置して脱穀を行なう手扱ぎ作業があるが、穀稈を人手で駆動中のフィードチェン12Bに近付けるのはかなりの経験が無いと困難であると共に、手などが巻き込まれる危険な作業であった。
【0072】
また、フィードチェン12Bに投入する穀稈の量も作業者の技量によって異なるので、少量ずつしか投入されないとその作業時間が長くなってしまう。
【0073】
そこで、本発明は、容易に且つ安全に穀稈をフィードチェン12Bに載せることができる手扱ぎ作業アタッチメント80を提供して、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行えるようにする。
【0074】
手扱ぎ作業アタッチメント80は、ステー81、移送装置82、駆動部83及び把持アーム84にて構成される。
【0075】
ステー81は、2枚のステー部材としての平板81a,81bより構成される、
そして、2枚の平板81a,81bには、長手方向に長孔81c,81cが設けられ、該長孔81c,81cにボルトを挿通しナットにて固定している。従って、ナットを緩めて2枚の平板81a,81bを長孔81c,81cの長さ分だけ長手方向にスライド移動させて長手方向の長さが調節自在となっている。
【0076】
移送装置82は、ステー81の2枚の平板81a,81b外端部にベアリング82a,82aにて基部が回転自在に支持された2つの搬送回転体としての回転ロール82b,82b、2つの回転ロール82b,82b基部間に張設された伝動ベルト82c及び2つの回転ロール82b,82b間に張設された移送体としての移送用平ベルト82dにて構成される。
【0077】
駆動部83は、ステー81の平板81aに回動自在に支持された基部支持軸83aを有する回動アーム83bの先端に入力ギアとしての平ギア83cとプーリ83dを一体回転自在に枢支して構成される。
【0078】
そして、回動アーム83bを基部支持軸83aまわりにステー81から離れる方向(矢印イ方向)に回動付勢するスプリングを設けている。
【0079】
なお、平ギア83cは、後述のようにフィードチェン12Bに係合させるとフィードチェン12Bの作動にて回転し、該平ギア83cの回転にて同軸のプーリ83dが回転し、該プーリ83dが移送装置82の伝動ベルト82cに圧接し伝動ベルト82cを回転駆動し、2つの回転ロール82b,82bが回転されて移送用平ベルト82dが移送回転作動する。
【0080】
把持アーム84は、2つのL型杆体84a,84bにて構成される。
【0081】
片方の杆体84a一端部には筒体84cが固着され、他方の杆体84b一端部が該筒体84a内に嵌入して、2つのL型杆体84a,84bが伸縮自在の把持部84dとなっている。
【0082】
そして、2つのL型杆体84a,84bの他端部84e,84eは、ステー81にベアリング82a,82aにて基部が回転自在に支持された2つの回転ロール82b,82bの先端部に設けたベアリング82a,82a内に挿通している。
【0083】
従って、ステー81の2枚の平板81a,81bを固定しているナットを緩めて2枚の平板81a,81bを長孔81c,81cの長さ分だけ長手方向にスライド移動させて長手方向の長さを調節して、2つの回転ロール82b,82b間隔を調節して移送用平ベルト82dを張った状態にして、再びナットを締めて2枚の平板81a,81bを固定する時、把持アーム84の2つのL型杆体84a,84bが伸縮自在の把持部84dとなっているので、該移送用平ベルト82dを張る調節が適切に行える。
【0084】
<手扱ぎ作業アタッチメント80を用いた手扱ぎ作業>
脱穀装置3外側を覆うカバー3aには、フィードチェン12B前端部の下方位置に上辺を前後方向の枢支軸3bにて枢支して下辺が上方に回動して開く平板状の開閉カバー3cが設けられている。
【0085】
そして、該開閉カバー3cを上方に回動させて開いて水平状態で固定する固定機構を設けており、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー3cが手扱ぎ作業アタッチメント80を載置する台として機能する。
【0086】
また、開閉カバー3cを開いた内方は、収納部が構成されており、手扱ぎ作業アタッチメント80を収納することができる。
【0087】
また、カバー3aは、脱穀装置3の機枠に着脱自在であるが、前部に差し込み用突起3dを設けて機枠に設けた穴部に係合させ中間部と後部に周知の開閉係合取手3e,3eを設けて装着している。
【0088】
なお、開閉カバー3cの裏面にゴムマットを貼設して、開閉カバー3c上辺の枢支軸3bを抜き差し自在にすることにより、枢支軸3bを抜いて開閉カバー3cを取り外して裏返して再び枢支軸3bを差して開閉カバー3cを裏返しで取り付けて、外側方に開いた水平状に固定して台とすれば、ゴムマットが載置する手扱ぎ作業アタッチメント80底面に接当することになるので、手扱ぎ作業アタッチメント80が安定した載置状態となり、更に適切な手扱ぎ作業が行なえる。
【0089】
また、開閉カバー3cを外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー3cが外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン62の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置12の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御すると、通常作業と手扱ぎ作業の切替え操作が不要となると共に、切替え忘れによる作業能率や作業精度が低下することを防止できる。
【0090】
以下に、手扱ぎ作業の手順を説明する。
【0091】
コンバインを停車して駐車ブレーキペダルを踏み込んでロックし、刈取装置4を圃場面に接地するまで下降させ、ナローガイド20を張出姿勢から機体内側に収納した収納姿勢にし、手扱ぎ規制部材40を上方向に回動操作してフィードチェン12Bの前部への手扱ぎ穀稈の載置が許容される非規制状態に切り換え、カバー3aの開閉カバー3cを上方に回動させて開いて水平状態で固定し、刈脱レバー21にて脱穀装置3及び刈取装置4等の作業部を駆動する。
【0092】
この時、扱胴カバー50D側面の調速ダイヤル6Aを操作して、手扱ぎ作業を行なう作業者が手扱ぎ作業が適切に行えるようにフィードチェン12Bの速度調整をする。
【0093】
そして、作業者は、コンバインのフィードチェン12Bの前部近くに立って、手扱ぎ作業アタッチメント80の把持部84dを把持して水平にした開閉カバー3c上に載置し、手扱ぎ作業アタッチメント80の平ギア83cをフィードチェン12Bに係合させる。
【0094】
すると、フィードチェン12Bの作動にてプーリ83dが回転し、該プーリ83dの回転にて伝動ベルト82cが回転し、2つの回転ロール82b,82bの回転にて移送用平ベルト82dが移送回転作動する。
【0095】
そこで、作業者は、穀稈を取って手扱ぎ作業アタッチメント80の移送用平ベルト82d上に載置すると、穀稈は移送用平ベルト82dにてフィードチェン12B前端部上に移送され、フィードチェン12B及び挟持杆12Aにて穀稈の株元が挟持されて脱穀装置3内に搬送されて脱穀処理される。
【0096】
従って、手扱ぎ作業アタッチメント80を用いて手扱ぎ作業を行なうと、容易に且つ安全に穀稈をフィードチェン12Bに載せることができ、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行える。
【0097】
また、手扱ぎ作業アタッチメント80の駆動部83の平ギア83cをフィードチェン12Bに係合させることで、駆動力を得つつフィードチェン12Bの搬送速度に合わせて移送用平ベルト82dを駆動させることができ、穀稈の詰まりの発生が防止されると共に脱穀を安定して行うことができる。
【0098】
なお、手扱ぎ作業アタッチメント80を水平にした開閉カバー3c上に載置するのに換えて、手扱ぎ作業アタッチメント80のステー81に手扱ぎ規制部材40に係止する吊り部を設けて、該吊り部を手扱ぎ規制部材40に係止させた状態で平ギア83cをフィードチェン12Bに係合させて移送用平ベルト82dを移送回転作動させて手扱ぎ作業を行なうようにしても良い。
【0099】
<他の実施形態>
図11は、手扱ぎ作業アタッチメント80の他の実施形態を示す斜視図である。
【0100】
移送装置82の駆動手段として駆動部83として電動モータ90を設けている。
【0101】
電動モータ90は、バッテリを装備し、その駆動軸が回転ロール82bを駆動回転することにより、移送装置82の移送用平ベルト82dが移送回転作動する。
【0102】
電動モータ90は、把持部84dに設けたモータ駆動スイッチ91により駆動入り切り操作される。
【0103】
手扱ぎ作業時の使用方法は、手扱ぎ作業アタッチメント80の把持部84dを把持して水平にした開閉カバー3c上に載置し、モータ駆動スイッチ91により電動モータ90を駆動させて、移送用平ベルト82dが移送回転作動する。
【0104】
そこで、作業者は、穀稈を取って手扱ぎ作業アタッチメント80の移送用平ベルト82d上に載置すると、穀稈は移送用平ベルト82dにてフィードチェン12B前端部上に移送され、フィードチェン12B及び挟持杆12Aにて穀稈の株元が挟持されて脱穀装置3内に搬送されて脱穀処理される。
【符号の説明】
【0105】
3 脱穀装置
3a カバー
3c 開閉カバー
4 刈取装置
12 脱穀部搬送装置
62 エンジン
80 手扱ぎ作業アタッチメント
81 ステー
81a ステー部材(平板)
81b ステー部材(平板)
82 移送装置
82b 搬送回転体(回転ロール)
82c 伝動ベルト
82d 移送体(移送用平ベルト)
83 駆動部
83b 回動アーム
83c 入力ギア(平ギア)
83d プーリ
84 把持アーム
90 電動モータ
91 モータ駆動スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置(4)から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置(3)に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置(12)を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置(82)と脱穀部搬送装置(12)に接続して移送装置(82)を移送作動状態にする駆動部(83)にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント(80)を装備し
脱穀装置(3)の側面を覆うカバー(3a)の脱穀部搬送装置(12)前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー(3c)を設け、
手扱ぎ作業アタッチメント(80)は、移送用平ベルト(82d)を有し、
外側方に開いている水平状態の開閉カバー(3c)上にある手扱ぎ作業アタッチメント(80)の移送用平ベルト(82d)に載置された穀稈は、脱穀部搬送装置(12)に移送されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
開閉カバー(3c)を外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー(3c)が外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン(62)の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置(12)の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御することを特徴とする請求項に記載のコンバイン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1の本発明は、刈取装置(4)から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置(3)に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置(12)を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置(82)と脱穀部搬送装置(12)に接続して移送装置(82)を移送作動状態にする駆動部(83)にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント(80)を装備し、
脱穀装置(3)の側面を覆うカバー(3a)の脱穀部搬送装置(12)前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー(3c)を設け、
手扱ぎ作業アタッチメント(80)は、移送用平ベルト(82d)を有し、
外側方に開いている水平状態の開閉カバー(3c)上にある手扱ぎ作業アタッチメント(80)の移送用平ベルト(82d)に載置された穀稈は、脱穀部搬送装置(12)に移送されることを特徴とするコンバインである。
第2の本発明は、開閉カバー(3c)を外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー(3c)が外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン(62)の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置(12)の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御することを特徴とする第1の本発明のコンバインである。
本発明に関連する第1の発明は、刈取装置4から搬送される穀稈を引き継いで脱穀装置3に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置12を設けたコンバインにおいて、穀稈を載置して移送する移送装置82と脱穀部搬送装置12に接続して移送装置82を移送作動状態にする駆動部83にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント80を装備したコンバインである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に関連する第1の発明によれば、穀稈を載置して移送する移送装置82と脱穀部搬送装置12に接続して移送装置82を移送作動状態にする駆動部83にて構成される手扱ぎ作業アタッチメント80を装備したので、脱穀部搬送装置12から離れた側から作業者が穀稈を手扱ぎ作業アタッチメント80に載置することにより、脱穀部搬送装置12に手を近付ける必要が無く、手扱ぎ作業が容易に作業性良く且つ安全に行なうことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83がステー81に回動自在に設けた回動アーム83bに入力ギア83cとプーリ83dを一体回転自在に枢支して構成した本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明に関連する第2の発明によれば、本発明に関連する第1の発明による効果に加えて、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83がステー81に回動自在に設けた回動アーム83bに入力ギア83cとプーリ83dを一体回転自在に枢支して構成したので、駆動部83の入力ギア83cを脱穀部搬送装置12に係合させることで、駆動力を得つつ脱穀部搬送装置12の搬送速度に合わせて移送装置82を駆動させることができ、穀稈の詰まりの発生が防止されると共に脱穀を安定して行うことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明に関連する第3の発明は、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83が搬送回転体82bを駆動回転する電動モータ90と該電動モータ90の駆動を入り切りするモータ駆動スイッチ91で構成した本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に関連する第3の発明によれば、本発明に関連する第1の発明による効果に加えて、手扱ぎ作業アタッチメント80の移送装置82がステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bに伝動ベルト82c及び移送体82dを巻回して構成し、駆動部83が搬送回転体82bを駆動回転する電動モータ90と該電動モータ90の駆動を入り切りするモータ駆動スイッチ91で構成したので、手扱ぎ作業アタッチメント80を脱穀装置3に穀稈を搬送する脱穀部搬送装置12に沿わせ、作業者がモータ駆動スイッチ91を操作して電動モータ90の駆動を入りにしたときに穀稈が脱穀部搬送装置12へ送られ、作業者の意図しないタイミングでの穀稈の脱穀装置3への引き込みを防止でき、作業の安全性が確保できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明に関連する第4の発明は、ステー81が複数のステー部材81a,81bを伸縮自在に連結し、ステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bの端部に伸縮自在の把持アーム84の端部を装着した本発明に関連する第2または第3の発明のコンバインである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明に関連する第4の発明によれば、本発明に関連する第2または第3の発明による効果に加えて、テー81が複数のステー部材81a,81bを伸縮自在に連結し、ステー81に回転自在に設けた一対の搬送回転体82b,82bの端部に伸縮自在の把持アーム84の端部を装着したので、一対の搬送回転体82b,82bの距離を変えて移送体82dの張力を調節でき、移送体82dの弛みにより穀稈が脱穀部搬送装置12に運ばれ難くなるような事態を防止できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明に関連する第5の発明は、脱穀装置3の側面を覆うカバー3aの脱穀部搬送装置12前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー3cを設け、該開閉カバー3cを開いて水平状態で固定する固定機構を設け、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー3cを手扱ぎ作業アタッチメント80の載置台とし、開閉カバー3cの内方を手扱ぎ作業アタッチメント80の収納部とした本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明に関連する第5の発明によれば、本発明に関連する第1の発明による効果に加えて、脱穀装置3の側面を覆うカバー3aの脱穀部搬送装置12前端部の下方位置に外側方に向けて開閉自在の開閉カバー3cを設け、該開閉カバー3cを開いて水平状態で固定する固定機構を設け、該外側方に開いて水平状に固定された開閉カバー3cを手扱ぎ作業アタッチメント80の載置台としたので、水平状に固定された開閉カバー3cに手扱ぎ作業アタッチメント80を載置して安全に且つ作業性良く手扱ぎ作業が行なえる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、開閉カバー3cの内方を手扱ぎ作業アタッチメント80の収納部としたので、手扱ぎ作業アタッチメント80を開閉カバー3c内に収納しておくことができ、圃場に手扱ぎ作業アタッチメント80を持ち込むのを忘れることが防止できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明に関連する第6の発明は、開閉カバー3cを外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー3cが外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン62の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置12の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御する本発明に関連する第5の発明のコンバインである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明に関連する第6の発明によれば、本発明に関連する第5の発明による効果に加えて、開閉カバー3cを外側方に開いたことを検出するセンサを設けて、該センサの開閉カバー3cが外側方に開いたことの検出にて制御装置がエンジン62の回転数を手扱ぎ作業に適した低速の所定の回転数に制御する、または、脱穀部搬送装置12の搬送速度を手扱ぎ作業に適した所定の低速に制御するので、通常作業と手扱ぎ作業の切替え操作が不要となると共に、切替え忘れによる作業能率や作業精度が低下することを防止できる。