(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159012
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】酸化触媒システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20241031BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/24 L
F01N11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074725
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭三
(72)【発明者】
【氏名】小野 芳幸
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA19
3G091AB02
3G091BA08
3G091CA07
3G091DC03
3G091EA02
3G091EA17
3G091FB01
3G091HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】酸化触媒よりも下流側に設けられる機器の熱損傷を抑制する。
【解決手段】内燃機関からの排ガスラインに設けられ、排ガスを酸化させる酸化触媒と、酸化触媒による酸化反応により昇温した排ガスである浄化ガスと、排ガスラインの酸化触媒よりも上流側を流れる排ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器と、排ガスラインの酸化触媒よりも下流側から浄化ガスを抜き出して熱交換器に導くための浄化ガス導入ラインと、熱交換器から排ガスラインの浄化ガス導入ラインとの接続部である第1接続部よりも下流側に浄化ガスを戻すための浄化ガス戻しラインと、排ガスラインの酸化触媒よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を取得するように構成された浄化ガス温度取得装置と、浄化ガス温度取得装置により取得される浄化ガスの温度に応じて、熱交換器に導かれる浄化ガスの流量を調整するように構成された浄化ガス流量調整装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排ガスが流れる排ガスラインに設けられ、前記排ガスを酸化させるように構成された酸化触媒と、
前記酸化触媒による酸化反応により昇温した前記排ガスである浄化ガスと、前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも上流側を流れる前記排ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器と、
前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも下流側から前記浄化ガスを抜き出して前記熱交換器に導くための浄化ガス導入ラインと、
前記熱交換器から前記排ガスラインの前記浄化ガス導入ラインとの接続部である第1接続部よりも下流側に前記浄化ガスを戻すための浄化ガス戻しラインと、
前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも下流側を流れる前記浄化ガスの温度を取得するように構成された浄化ガス温度取得装置と、
前記浄化ガス温度取得装置により取得される前記浄化ガスの温度に応じて、前記熱交換器に導かれる前記浄化ガスの流量を調整するように構成された浄化ガス流量調整装置と、を備える、
酸化触媒システム。
【請求項2】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記浄化ガス温度取得装置により取得される前記浄化ガスの温度が前記浄化ガスの目標温度に近づくように前記熱交換器に導かれる前記浄化ガスの流量を調整するように構成された、
請求項1に記載の酸化触媒システム。
【請求項3】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記浄化ガス温度取得装置により取得される前記浄化ガスの温度が前記目標温度よりも高い場合において、前記熱交換器に導かれる前記浄化ガスの流量を減少させるように構成された、
請求項2に記載の酸化触媒システム。
【請求項4】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記内燃機関の負荷が所定負荷よりも高い場合において、前記負荷が増加したときに前記浄化ガスの前記目標温度を上げるように構成された、
請求項2又は3に記載の酸化触媒システム。
【請求項5】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記内燃機関の負荷が所定負荷よりも高い場合において、前記負荷が減少したときに前記浄化ガスの前記目標温度を下げるように構成された、
請求項2又は3に記載の酸化触媒システム。
【請求項6】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記浄化ガス導入ラインに設けられ、前記浄化ガス導入ラインを開閉する第1の開閉ダンパと、
前記浄化ガス導入ラインの前記第1の開閉ダンパよりも下流側に設けられ、前記排ガスラインから前記浄化ガス導入ラインに前記浄化ガスを吸い出すための誘引ファンと、を含む、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の酸化触媒システム。
【請求項7】
前記浄化ガス流量調整装置は、
前記排ガスラインの前記第1接続部よりも下流側、且つ前記浄化ガス戻しラインとの接続部である第2接続部よりも上流側に設けられ、前記排ガスラインを開閉する第2の開閉ダンパを含む、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の酸化触媒システム。
【請求項8】
前記浄化ガス温度取得装置は、
前記排ガスラインの前記第1接続部よりも上流側を流れる前記浄化ガスの温度を取得するように構成された、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の酸化触媒システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸化触媒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化触媒システムは、内燃機関から排出される排ガスを酸化させるための酸化触媒を含む酸化触媒装置を備えるものである。例えば、液化天然ガス等の排ガス成分に未燃分のメタンが含まれる燃料により、内燃機関を運転する場合には、排ガス中のメタンを除去するために、内燃機関の下流側にメタン酸化触媒が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記メタン酸化触媒の効率向上のため、メタン酸化触媒を予熱することが行われることがある。メタン酸化触媒を予熱すると、メタン酸化触媒を通過した排ガスの温度が高くなりすぎる虞がある。メタン酸化触媒を通過した排ガスの温度が高すぎると、メタン酸化触媒よりも排ガスの流れ方向下流側に設けられる機器に熱損傷が生じる虞がある。特に、既存の内燃機関の下流側にメタン酸化触媒を追設した場合には、メタン酸化触媒よりも排ガスの流れ方向下流側に設けられる機器は、メタン酸化触媒における酸化反応により生じた排ガスの温度上昇が考慮されていないため、上記機器に熱損傷が生じる可能性が高い。上記機器の熱損傷を抑制するため、排ガスの温度制御を行う必要がある。
【0005】
特許文献1には、酸化触媒における酸化反応により生じた熱を用いて酸化触媒に導入される排ガスを予熱する構造が開示されている。なお、特許文献1には、酸化触媒よりも下流側の排ガスの温度制御に関する記載はされていないため、酸化触媒よりも下流側に設けられる機器の熱損傷を防止できるかが定かではない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、酸化触媒よりも排ガスの流れ方向下流側に設けられる機器の熱損傷を抑制できる酸化触媒システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る酸化触媒システムは、
内燃機関から排出される排ガスが流れる排ガスラインに設けられ、前記排ガスを酸化させるように構成された酸化触媒と、
前記酸化触媒による酸化反応により昇温した前記排ガスである浄化ガスと、前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも上流側を流れる前記排ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器と、
前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも下流側から前記浄化ガスを抜き出して前記熱交換器に導くための浄化ガス導入ラインと、
前記熱交換器から前記排ガスラインの前記浄化ガス導入ラインとの接続部である第1接続部よりも下流側に前記浄化ガスを戻すための浄化ガス戻しラインと、
前記排ガスラインの前記酸化触媒よりも下流側を流れる前記浄化ガスの温度を取得するように構成された浄化ガス温度取得装置と、
前記浄化ガス温度取得装置により取得される前記浄化ガスの温度に応じて、前記熱交換器に導かれる前記浄化ガスの流量を調整するように構成された浄化ガス流量調整装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、酸化触媒よりも排ガスの流れ方向下流側に設けられる機器の熱損傷を抑制できる酸化触媒システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る酸化触媒システムを備える内燃機関システムの概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る酸化触媒システムを備える内燃機関システムの概略図である。
【
図3】
図1に示される酸化触媒システムにおける第1の開閉ダンパの開度制御の一例を示すブロック線図である。
【
図4】
図2に示される酸化触媒システムにおける第2の開閉ダンパの開度制御の一例を示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
(内燃機関システム)
図1及び
図2の各々は、本開示の一実施形態に係る酸化触媒システム2を備える内燃機関システム1の概略図である。内燃機関システム1は、
図1及び
図2に示されるように、酸化触媒システム2と、内燃機関11と、内燃機関11から排出される排ガスが流れる排ガスライン12と、を備える。内燃機関システム1は、内燃機関11の出力軸に接続され、内燃機関11が発生させる動力により発電する発電機15をさらに備えていてもよい。すなわち、内燃機関11は、発電用のエンジンであってもよい。排ガスライン12は、排ガスを流通させるための流路を形成するものであり、例えば、配管によって形成される。
【0012】
以下の説明では、単に上流側と呼ぶ場合、方向の説明にかかる部位や領域における流体の主たる流れの方向に沿った上流側を指すものとする。同様に、以下の説明では、単に下流側と呼ぶ場合、方向の説明にかかる部位や領域における流体の主たる流れの方向に沿った下流側を指すものとする。
【0013】
(酸化触媒システム)
幾つかの実施形態に係る酸化触媒システム2は、内燃機関システム1に搭載される。酸化触媒システム2は、
図1及び
図2に示されるように、酸化触媒装置3と、触媒ケーシング4と、熱交換器5と、浄化ガス導入ライン13と、浄化ガス戻しライン14と、を備える。
【0014】
(酸化触媒装置)
酸化触媒装置3は、
図1及び
図2に示されるように、排ガスに含まれる成分(排ガス成分)の少なくとも1つの酸化を促進させる酸化触媒31を含む。図示される実施形態では、内燃機関11は、例えば、液化天然ガスのような排ガス成分に未燃分のメタンが含まれることがある燃料により運転が行われる。酸化触媒31は、排ガスに含まれるメタンの酸化を促進させるメタン酸化触媒を含む。なお、酸化触媒装置3は、酸化触媒31だけでなく、酸化触媒31を支持する触媒担体を含んでいてもよい。
【0015】
(触媒ケーシング)
触媒ケーシング4は、
図1及び
図2に示されるように、排ガスライン12に設けられ、酸化触媒31を含む酸化触媒装置3を収容するようになっている。図示される実施形態では、触媒ケーシング4は、鉛直方向に沿って延在する角筒状に形成され、排ガスが流れる内部空間40を有するケーシング本体部41を含む。触媒ケーシング4の内部(内部空間40)を流れる排ガスは、鉛直方向における下方から上方に流れる。
【0016】
酸化触媒装置3は、内部空間40に配置され、触媒ケーシング4の内部を流れる排ガスの流れ方向に交差する方向(図示例では、触媒ケーシング4の内部を流れる排ガスの流れ方向に直交する水平方向)に沿って延在している。内部空間40は、酸化触媒装置3により区画された二つの空間40A、40Bを含む。すなわち、内部空間40は、酸化触媒装置3よりも排ガスの流れ方向の上流側の第1内部空間40Aと、酸化触媒装置3よりも排ガスの流れ方向の下流側の第2内部空間40Bと、を含む。
【0017】
ケーシング本体部41は、鉛直方向における下方側の端部に、ケーシング本体部41の外部から第1内部空間40Aに排ガスを導入するための排ガス導入口42が形成されている。ケーシング本体部41は、鉛直方向における上方側の端部に、第2内部空間40Bからケーシング本体部41の外部に排ガスを排出するための排ガス排出口43が形成されている。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、排ガスライン12は、内燃機関11から触媒ケーシング4に排ガスを導くための上流側排ガスライン12Aと、触媒ケーシング4から排ガスの流れ方向における下流側に排ガスを導くための下流側排ガスライン12Bと、を含む。上流側排ガスライン12Aは、内燃機関11に上流端が接続され、触媒ケーシング4の排ガス導入口42に下流端が接続されている。下流側排ガスライン12Bは、触媒ケーシング4の排ガス排出口43に上流端が接続されている。
【0019】
内燃機関11から排出された排ガスは、排ガスライン12を流れて排ガス導入口42から第1内部空間40Aに導かれる。第1内部空間40Aに導かれた排ガスは、酸化触媒装置3を通過する際に酸化触媒装置3に含まれる酸化触媒31により、排ガス成分の少なくとも1つ(例えば、メタン)の酸化が促進される。酸化触媒装置3を通過した排ガスは、排ガス排出口43からケーシング本体部41の外部(下流側排ガスライン12B)に排出される。
【0020】
排ガスは、酸化触媒装置3を通過するときに、酸化触媒31による酸化反応により昇温する。例えば、熱交換器5を備えない酸化触媒システム2において第1内部空間40Aを流れる排ガスが約400℃である場合に、酸化触媒31による酸化反応により昇温して第2内部空間40Bを流れる排ガスは、約440℃になる。
【0021】
(熱交換器)
熱交換器5は、酸化触媒装置3を通過して酸化触媒31による酸化反応により昇温した排ガスである浄化ガスと、排ガスライン12の酸化触媒装置3よりも上流側を流れる排ガスとの間で熱交換を行うように構成されている。熱交換器5は、浄化ガスの熱エネルギを回収するための熱交換器である。熱交換器5における熱交換により浄化ガスが冷却されるとともに、排ガスライン12の酸化触媒装置3よりも上流側を流れる排ガスが加熱される。
【0022】
例えば、熱交換器5に導かれる排ガスが約400℃である場合に、熱交換器5における排ガスと浄化ガスとの間の熱交換により排ガスが約410℃に昇温される。そして、熱交換器5を通過した排ガスは、酸化触媒31による酸化反応によりさらに昇温するため、第2内部空間40Bを流れる排ガスは、約450℃になる。浄化ガスは、熱交換器5における排ガスとの熱交換により約450℃から約425℃まで降温する。
【0023】
図示される実施形態では、熱交換器5は、排ガスライン12の酸化触媒装置3よりも上流側に設けられ、内部流路を浄化ガスが流れる少なくとも1つの伝熱管51を含む。伝熱管51の周囲には、酸化触媒装置3に導入される前の排ガスが流れるようになっている。
図1及び
図2に示される実施形態では、上述した少なくとも1つの伝熱管51は、第1内部空間40Aに配置されており、伝熱管51を流れる浄化ガスの熱エネルギが、第1内部空間40Aを流れる排ガスに伝達されるようになっている。
【0024】
上述した少なくとも1つの伝熱管51の一端には、伝熱管51に外部から浄化ガスを導入するための浄化ガス導入口が形成されている。上述した少なくとも1つの伝熱管51の他端には、伝熱管51から外部に浄化ガスを排出するための浄化ガス排出口が形成されている。
【0025】
(入口ガスダクト、出口ガスダクト)
図示される実施形態では、酸化触媒システム2は、触媒ケーシング4の外部に取り付けられる入口ガスダクト21と、触媒ケーシング4の外部に取り付けられる出口ガスダクト22と、をさらに備える。上述した少なくとも1つの伝熱管51が複数の伝熱管51を含む場合において、複数の伝熱管51の夫々は、浄化ガス導入口が共通の入口ガスダクト21に接続され、浄化ガス排出口が共通の出口ガスダクト22に接続される。
【0026】
(浄化ガス導入ライン、浄化ガス戻しライン)
浄化ガス導入ライン13は、排ガスライン12の酸化触媒装置3よりも下流側から浄化ガスを抜き出して熱交換器5に導くための流路を形成するものである。浄化ガス戻しライン14は、熱交換器5から排ガスライン12の浄化ガス導入ライン13との接続部である第1接続部P1よりも下流側に浄化ガスを戻すための流路を形成するものである。浄化ガス導入ライン13及び浄化ガス戻しライン14の夫々は、例えば、配管によって形成される。
【0027】
図示される実施形態では、浄化ガス導入ライン13は、上流端が下流側排ガスライン12Bの第1接続部P1に接続され、下流端が入口ガスダクト21に接続されている。浄化ガス戻しライン14は、上流端が出口ガスダクト22に接続され、下流端が下流側排ガスライン12Bの第1接続部P1よりも下流側の接続部である第2接続部P2に接続されている。浄化ガス導入ライン13を介して上述した少なくとも1つの伝熱管51に導かれた浄化ガスは、浄化ガス戻しライン14を介して排ガスライン12の触媒ケーシング4よりも下流側に導かれる。
【0028】
(浄化ガス温度取得装置、浄化ガス流量調整装置)
幾つかの実施形態に係る酸化触媒システム2は、
図1及び
図2に示されるように、浄化ガス温度取得装置6と、浄化ガス流量調整装置7と、をさらに備える。浄化ガス温度取得装置6は、排ガスライン12の酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を取得するように構成されている。
【0029】
浄化ガス流量調整装置7は、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度である測定温度MTに応じて、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を調整するように構成されている。浄化ガス流量調整装置7は、酸化触媒31を活性化させるために、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を増加させる。熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量の増加に伴い、酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度が高くなる。そして、浄化ガス流量調整装置7は、酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度が目標値を超えた場合には、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を構成する配管等の機器を保護するため、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を減らし、酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を下げるようになっている。具体的には、浄化ガス流量調整装置7により熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を調整することで、第2内部空間40Bを流れる浄化ガスの温度を下げることができる。これにより、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を流れる浄化ガスの温度も下げることができ、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を構成する配管等の機器の熱損傷を抑制できる。排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を構成する配管等の機器として、煙道、サイレンサ、火の粉や火花の飛散を防止するスパークアレスタ等が挙げられる。
【0030】
上記の構成によれば、浄化ガス流量調整装置7により、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTに応じて、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を調整することで、酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できる。これにより、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を構成する配管等の機器の耐熱温度を上昇させなくても、該機器の浄化ガスの熱による損傷を抑制することが可能となる。
【0031】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、上述した浄化ガス温度取得装置6は、排ガスライン12の酸化触媒31よりも下流側、且つ第1接続部P1よりも上流側を流れる浄化ガスの温度を取得するように構成されている。浄化ガス温度取得装置6は、触媒ケーシング4の第2内部空間40Bに設けられ、第2内部空間40Bを流れる浄化ガスの温度を測定してもよいし、下流側排ガスライン12Bの第1接続部P1より上流側の位置に設けられて、該位置を流れる浄化ガスの温度を測定してもよい。浄化ガス温度取得装置6は、浄化ガスの温度を測定するように構成された温度センサを含んでいてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、浄化ガス温度取得装置6による浄化ガスの温度の取得位置が、排ガスライン12の酸化触媒31よりも下流側、且つ第1接続部P1よりも上流側となる。すなわち、浄化ガス温度取得装置6により、第2内部空間40B近傍の浄化ガスの温度を直接的に取得できる。浄化ガス流量調整装置7による浄化ガスの流量調整において、浄化ガス温度取得装置6による取得される第2内部空間40B近傍の浄化ガスの温度を用いることで、排ガスライン12の酸化触媒31よりも下流側、且つ第1接続部P1よりも上流側を流れる浄化ガスの温度を、より確実に上述した耐熱温度以下に保つことができる。これにより、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を上述した耐熱温度以下に保つことができ、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を構成する機器の浄化ガスの熱による損傷を抑制できる。
【0033】
(第1の開閉ダンパ、誘引ファン)
幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、
図1に示されるように、浄化ガス導入ライン13に設けられ、浄化ガス導入ライン13を開閉する第1の開閉ダンパ81と、浄化ガス導入ライン13の第1の開閉ダンパ81よりも下流側に設けられ、排ガスライン12から浄化ガス導入ライン13に浄化ガスを吸い出すための誘引ファン82と、を含む。
【0034】
誘引ファン82は、不図示の発電機等から電力が供給されることで駆動し、浄化ガス導入ライン13の下流側に浄化ガスを送るようになっている。
【0035】
上記の構成によれば、酸化触媒システム2の排圧に余裕がない場合、すなわち、浄化ガス導入ライン13を流れる浄化ガスと、排ガスライン12の浄化ガス戻しライン14との接続部である第2接続部P2よりも下流側を流れる浄化ガスとの間の圧力差が小さなものである場合であっても、誘引ファン82により、熱交換器5に浄化ガスを確実に導くことができる。また、第1の開閉ダンパ81の開閉により熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量調整が可能である。
【0036】
幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、
図2に示されるように、排ガスライン12の第1接続部P1よりも下流側、且つ浄化ガス戻しライン14との接続部である第2接続部P2よりも上流側に設けられ、排ガスライン12を開閉する第2の開閉ダンパ83を含む。
【0037】
上記の構成によれば、酸化触媒システム2の排圧に余裕がある場合、すなわち、浄化ガス導入ライン13を流れる浄化ガスと、排ガスライン12の第2接続部P2よりも下流側を流れる浄化ガスとの間の圧力差が大きなものである場合には、上述した誘引ファン82のような、熱交換器5に浄化ガスを送るための機器を要さない。すなわち、第2の開閉ダンパ83の開閉により熱交換器5に浄化ガスを送ることができるとともに、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量調整が可能である。この場合には、上記浄化ガスを送るための機器を要さないので、酸化触媒システム2の構造を簡単なものとすることができる。
【0038】
上述した第1の開閉ダンパ81及び第2の開閉ダンパ83の夫々は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0039】
(浄化ガスの流量調整)
図3は、
図1に示される酸化触媒システム2における第1の開閉ダンパ81の開度制御の一例を示すブロック線図である。
図4は、
図2に示される酸化触媒システム2における第2の開閉ダンパ83の開度制御の一例を示すブロック線図である。幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTが浄化ガスの目標温度TTに近づくように熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を調整するように構成されている。
【0040】
図示される実施形態では、
図1~
図4に示されるように上述した浄化ガス流量調整装置7は、第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83の運転を制御するように構成された制御装置(コントローラ)70をさらに含む。制御装置70は、第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83を制御するための電子制御ユニットである。制御装置70は、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置、I/Oインターフェース、通信インターフェースなどからなるマイクロコンピュータとして構成されている。制御装置70は、例えば上記メモリの主記憶装置にロードされたプログラムの命令に従ってCPUが動作(例えばデータの演算など)することで、制御装置70が備える各機能部における制御を実現してもよい。
【0041】
制御装置70は、
図3及び
図4に示されるように、浄化ガス温度取得部71Aと、ダンパ開度出力部72と、PID制御部73と、制御値変換部74と、を備える。浄化ガス温度取得部71Aは、浄化ガス温度取得装置6から信号(測定温度MTに関する信号)を受信可能に接続され、浄化ガス温度取得装置6から浄化ガスの測定温度MTに関する信号等の情報が送られるようになっている。PID制御部73は、浄化ガス温度取得部71Aが取得した浄化ガスの測定温度MTが、浄化ガスの目標温度TTに近づくようにPID制御(フィードバック制御)動作を行うようになっている。制御値変換部74は、PID制御部73が出力した制御値を第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83に対する開度指示値に変換する。ダンパ開度出力部72は、第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83に信号(開度指示値に関する信号)を送信可能に接続され、第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83に対して上記開度指示値を送るようになっている。第1の開閉ダンパ81又は第2の開閉ダンパ83は、ダンパ開度出力部72から送られた開度指示値に応じた開度に開度変更を行うようになっている。
【0042】
上記の構成によれば、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTを浄化ガスの目標温度TTに近付けることで、第2接続部P2よりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できるとともに、熱交換器5を通過した排ガスにより、酸化触媒31を性能発揮できる温度に昇温できる。
【0043】
幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTが目標温度TTよりも高い場合において、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を減少させるように構成されている。
【0044】
図示される実施形態では、PID制御部73は、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTが目標温度TTよりも高い場合において、第1の開閉ダンパ81の開度を小さくするような出力値、又は、第2の開閉ダンパ83の開度を大きくするような出力値を出力するように構成されている。PID制御部73は、浄化ガス温度取得装置6により取得される浄化ガスの温度MTが目標温度TTよりも低い場合において、第1の開閉ダンパ81の開度を大きくするような出力値、又は、第2の開閉ダンパ83の開度を小さくするような出力値を出力するように構成されている。
【0045】
上記の構成によれば、浄化ガスの取得温度MTが目標温度TTよりも高い場合に、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を減少できる。熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を減少させ、熱交換器5において排ガスに回収される浄化ガスの熱エネルギを減らすことで、酸化触媒31よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を低下させることができる。これにより、酸化触媒31よりもよりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できる。
【0046】
内燃機関11の種類や仕様によっては、内燃機関11の負荷ELと排ガス温度とが以下のような傾向となるようなものもある。すなわち、内燃機関11から排出される排ガスは、内燃機関11の負荷ELが所定負荷(例えば、75%)以下の領域では、負荷ELの上昇とともに排ガス温度も上昇する傾向となるようなものがあり、また、内燃機関11の負荷ELが上記所定負荷を超える領域では、負荷ELの上昇とともに排ガス温度が低下する傾向となるようなものがある。
【0047】
(目標温度調整)
幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、内燃機関11の負荷ELが所定負荷(例えば、75%)よりも高い場合において、負荷ELが増加したときに、浄化ガスの目標温度TTを上げるように構成されている。なお、浄化ガス流量調整装置7は、負荷ELが所定負荷よりも高い領域において、負荷ELの増加とともに浄化ガスの目標温度TTを漸次的に上げてもよいし、負荷ELが所定負荷よりも高い領域を複数に区分し、区分された領域毎に浄化ガスの目標温度TTを段階的に上げてもよい。
図3及び
図4に示されるように、浄化ガス流量調整装置7は、内燃機関11の負荷ELを取得する負荷取得部71Bと、負荷取得部71Bにおいて取得される負荷ELに応じて、目標温度TTを調整するように構成された目標温度調整部75と、をさらに含んでいてもよい。浄化ガス流量調整装置7の上述した負荷ELの増加に伴う目標温度TTの上昇制御、及び後述する負荷ELの減少に伴う目標温度TTの減少制御は、目標温度調整部75により行われるようになっていてもよい。負荷取得部71Bは、内燃機関11や発電機15等から負荷ELに関する信号等の情報が送られるようになっている。
【0048】
上記の構成によれば、内燃機関11の負荷ELが所定負荷よりも高い場合に負荷ELが増加すると、内燃機関11からの排ガス温度が下がり、排ガス温度の減少分だけ酸化触媒31による酸化反応の効率が低下する。この場合において、浄化ガス流量調整装置7により浄化ガスの目標温度TTを上げ、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を増やすことで、酸化触媒31に導かれる排ガス温度を上げることができ、酸化触媒31による酸化反応の効率を向上できる。
【0049】
幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、内燃機関11の負荷ELが所定負荷(例えば、75%)よりも高い場合において、負荷ELが減少したときに、浄化ガスの目標温度TTを下げるように構成されている。なお、浄化ガス流量調整装置7は、負荷ELが所定負荷よりも高い領域において、負荷ELの減少とともに浄化ガスの目標温度TTを漸次的に下げてもよいし、負荷ELが所定負荷よりも高い領域を複数に区分し、区分された領域毎に浄化ガスの目標温度TTを段階的に下げてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、内燃機関11の負荷ELが所定負荷よりも高い場合に負荷ELが減少すると、内燃機関11からの排ガス温度が上がり、排ガス温度の上昇分だけ酸化触媒31による酸化反応の効率が高くなる。この場合において、浄化ガス流量調整装置7により浄化ガスの目標温度TTを下げ、熱交換器5に導かれる浄化ガスの流量を減らすことで、酸化触媒31に導かれる排ガス温度を下げることができ、酸化触媒31よりも浄化ガスの流れ方向下流側に設けられる機器の熱損傷を確実に防止できる。
【0051】
なお、幾つかの実施形態では、上述した浄化ガス流量調整装置7は、負荷ELの変化に関わらず、目標温度TTが一定温度になっていてもよい。
【0052】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0053】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0054】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0055】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る酸化触媒システム(2)は、
内燃機関(11)から排出される排ガスが流れる排ガスライン(12)に設けられ、前記排ガスを酸化させるように構成された酸化触媒(31)と、
前記酸化触媒(31)による酸化反応により昇温した前記排ガスである浄化ガスと、前記排ガスライン(12)の前記酸化触媒(31)よりも上流側を流れる前記排ガスとの間で熱交換を行うように構成された熱交換器(5)と、
前記排ガスライン(12)の前記酸化触媒(31)よりも下流側から前記浄化ガスを抜き出して前記熱交換器(5)に導くための浄化ガス導入ライン(13)と、
前記熱交換器(5)から前記排ガスライン(12)の前記浄化ガス導入ライン(13)との接続部である第1接続部(P1)よりも下流側に前記浄化ガスを戻すための浄化ガス戻しライン(14)と、
前記排ガスライン(12)の前記酸化触媒(31)よりも下流側を流れる前記浄化ガスの温度を取得するように構成された浄化ガス温度取得装置(6)と、
前記浄化ガス温度取得装置(6)により取得される前記浄化ガスの温度(MT)に応じて、前記熱交換器(5)に導かれる前記浄化ガスの流量を調整するように構成された浄化ガス流量調整装置(7)と、を備える。
【0056】
上記1)の構成によれば、浄化ガス流量調整装置(7)により、浄化ガス温度取得装置(6)により取得される浄化ガスの温度(MT)に応じて、熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量を調整することで、酸化触媒(31)よりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できる。これにより、排ガスライン(12)の第2接続部(P2)よりも下流側を構成する機器の耐熱温度を上昇させなくても、該機器の浄化ガスの熱による損傷を抑制することが可能となる。
【0057】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記浄化ガス温度取得装置(6)により取得される前記浄化ガスの温度(MT)が前記浄化ガスの目標温度(TT)に近づくように前記熱交換器(5)に導かれる前記浄化ガスの流量を調整するように構成された。
【0058】
上記2)の構成によれば、浄化ガス温度取得装置(6)により取得される浄化ガスの温度(MT)を浄化ガスの目標温度(TT)に近付けることで、第2接続部(P2)よりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できるとともに、熱交換器(5)を通過した排ガスにより、酸化触媒(31)を性能発揮できる温度に昇温できる。
【0059】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記浄化ガス温度取得装置(6)により取得される前記浄化ガスの温度(MT)が前記目標温度(TT)よりも高い場合において、前記熱交換器(5)に導かれる前記浄化ガスの流量を減少させるように構成された。
【0060】
上記3)の構成によれば、浄化ガスの取得温度(MT)が目標温度(TT)よりも高い場合に、熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量を減少できる。熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量を減少させ、熱交換器(5)において排ガスに回収される浄化ガスの熱エネルギを減らすことで、酸化触媒(31)よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を低下させることができる。これにより、酸化触媒(31)よりも下流側を流れる浄化ガスの温度の過剰な上昇を抑制できる。
【0061】
4)幾つかの実施形態では、上記2)又は3)に記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記内燃機関(11)の負荷(EL)が所定負荷よりも高い場合において、前記負荷(EL)が増加したときに前記浄化ガスの前記目標温度(TT)を上げるように構成された。
【0062】
上記4)の構成によれば、内燃機関(11)の負荷(EL)が所定負荷よりも高い場合に負荷(EL)が増加すると、内燃機関(11)からの排ガス温度が下がり、排ガス温度の減少分だけ酸化触媒(31)による酸化反応の効率が低下する。この場合において、浄化ガス流量調整装置(7)により浄化ガスの目標温度(TT)を上げ、熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量を増やすことで、酸化触媒(31)に導かれる排ガス温度を上げることができ、酸化触媒(31)による酸化反応の効率を向上できる。
【0063】
5)幾つかの実施形態では、上記2)又は3)に記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記内燃機関(11)の負荷(EL)が所定負荷よりも高い場合において、前記負荷(EL)が減少したときに前記浄化ガスの前記目標温度(TT)を下げるように構成された。
【0064】
上記5)の構成によれば、内燃機関(11)の負荷(EL)が所定負荷よりも高い場合に負荷(EL)が減少すると、内燃機関(11)からの排ガス温度が上がり、排ガス温度の上昇分だけ酸化触媒(31)による酸化反応の効率が高くなる。この場合において、浄化ガス流量調整装置(7)により浄化ガスの目標温度(TT)を下げ、熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量を減らすことで、酸化触媒(31)に導かれる排ガス温度を下げることができ、酸化触媒(31)よりも浄化ガスの流れ方向下流側に設けられる機器の熱損傷を確実に防止できる。
【0065】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)までの何れかに記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記浄化ガス導入ライン(13)に設けられ、前記浄化ガス導入ライン(13)を開閉する第1の開閉ダンパ(81)と、
前記浄化ガス導入ライン(13)の前記第1の開閉ダンパ(81)よりも下流側に設けられ、前記排ガスライン(12)から前記浄化ガス導入ライン(13)に前記浄化ガスを吸い出すための誘引ファン(82)と、を含む。
【0066】
上記6)の構成によれば、酸化触媒システム(2)の排圧に余裕がない場合であっても、誘引ファン(82)により、熱交換器(5)に浄化ガスを確実に導くことができる。また、第1の開閉ダンパ(81)の開閉により熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量調整が可能である。
【0067】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から5)までの何れかに記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス流量調整装置(7)は、
前記排ガスライン(12)の前記第1接続部(P1)よりも下流側、且つ前記浄化ガス戻しライン(14)との接続部である第2接続部(P2)よりも上流側に設けられ、前記排ガスライン(12)を開閉する第2の開閉ダンパ(83)を含む。
【0068】
上記7)の構成によれば、酸化触媒システム(2)の排圧に余裕がある場合には、上述した誘引ファン(82)のような、熱交換器(5)に浄化ガスを送るための機器を要さない。すなわち、第2の開閉ダンパ(83)の開閉により熱交換器(5)に浄化ガスを送ることができるとともに、熱交換器(5)に導かれる浄化ガスの流量調整が可能である。この場合には、上記浄化ガスを送るための機器を要さないので、酸化触媒システム(2)の構造を簡単なものとすることができる。
【0069】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から7)までの何れかに記載の酸化触媒システム(2)であって、
前記浄化ガス温度取得装置(6)は、
前記排ガスライン(12)の前記第1接続部(P1)よりも上流側を流れる前記浄化ガスの温度を取得するように構成された。
【0070】
上記8)の構成によれば、浄化ガス温度取得装置(6)による浄化ガスの温度の取得位置が、排ガスライン(12)の酸化触媒(31)よりも下流側、且つ第1接続部(P1)よりも上流側となる。すなわち、浄化ガス温度取得装置(6)により、第2内部空間(40B)近傍の浄化ガスの温度を直接的に取得できる。浄化ガス流量調整装置(7)による浄化ガスの流量調整において、浄化ガス温度取得装置(6)による取得される第2内部空間(40B)近傍の浄化ガスの温度を用いることで、排ガスライン(12)の酸化触媒(31)よりも下流側、且つ第1接続部(P1)よりも上流側を流れる浄化ガスの温度を、より確実に上述した耐熱温度以下に保つことができる。これにより、排ガスライン(12)の第2接続部(P2)よりも下流側を流れる浄化ガスの温度を上述した耐熱温度以下に保つことができ、排ガスライン(12)の第2接続部(P2)よりも下流側を構成する機器の浄化ガスの熱による損傷を抑制できる。
【符号の説明】
【0071】
1 内燃機関システム
2 酸化触媒システム
3 酸化触媒装置
4 触媒ケーシング
5 熱交換器
6 浄化ガス温度取得装置
7 浄化ガス流量調整装置
11 内燃機関
12 排ガスライン
12A 上流側排ガスライン
12B 下流側排ガスライン
13 浄化ガス導入ライン
14 浄化ガス戻しライン
15 発電機
21 入口ガスダクト
22 出口ガスダクト
31 酸化触媒
40 内部空間
40A 第1内部空間
40B 第2内部空間
41 ケーシング本体部
42 排ガス導入口
43 排ガス排出口
51 伝熱管
70 制御装置
71A 浄化ガス温度取得部
71B 負荷取得部
72 ダンパ開度出力部
73 PID制御部
74 制御値変換部
75 目標温度調整部
81 第1の開閉ダンパ
82 誘引ファン
83 第2の開閉ダンパ
EL 内燃機関の負荷
MT 浄化ガスの測定温度
P1 第1接続部
P2 第2接続部
TT 目標温度