(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159014
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装袋ユニット、包装食品の調理方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074730
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄飛
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA06
3E013BA30
3E013BB12
3E013BE01
3E013BF71
3E013BG12
(57)【要約】
【課題】包装袋の内容物の電子レンジでの加熱の均一性を高める。
【解決手段】本発明によれば、電子レンジ用の包装袋ユニットであって、前記包装袋ユニットは、包装袋と、変位補助部を備え、前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、前記変位補助部は、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに変形して前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニットが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ用の包装袋ユニットであって、
前記包装袋ユニットは、包装袋と、変位補助部を備え、
前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、
前記変位補助部は、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに変形して前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記変位補助部は、回復温度以上に加熱されると原形状に復帰する性質を有する形状記憶部材を備え、
前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記形状記憶部材が前記原形状に復帰することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記変位補助部は、加熱によって膨張する性質を有する膨張性部材を備え、
前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記膨張性部材が膨張することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記変位補助部は、原形状から変形した状態の弾性部材と、前記弾性部材の復元を規制する規制部材とを備え、
前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記規制部材による規制が解除されて前記弾性部材が前記原形状に復帰することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記変位補助部は、前記包装袋の前記周面部を押し上げるか、又は前記包装袋を取り囲む外装の周面部を押し上げることによって、前記包装袋の前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
【請求項6】
包装食品の調理方法であって、
加熱工程を備え、
前記包装食品は、請求項1~請求項5の何れか1つに記載の包装袋ユニットと、前記包装袋に収容された食品とを備え、
前記加熱工程では、電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、前記加熱中に前記変位補助部を変形させることによって前記周面部の傾斜角度を変化させる、調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋ユニット及び包装食品の調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の内容物を収容して、電子レンジにより加熱可能な包装袋が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物を包装袋内に収容した状態で内容物を電子レンジで加熱すると、内容物は必ずしも均一に加熱されず、加熱の均一性を高めることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、包装袋の内容物の電子レンジでの加熱の均一性を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]電子レンジ用の包装袋ユニットであって、前記包装袋ユニットは、包装袋と、変位補助部を備え、前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、前記変位補助部は、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに変形して前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
[2][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記変位補助部は、回復温度以上に加熱されると原形状に復帰する性質を有する形状記憶部材を備え、前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記形状記憶部材が前記原形状に復帰することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
[3][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記変位補助部は、加熱によって膨張する性質を有する膨張性部材を備え、前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記膨張性部材が膨張することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
[4][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記変位補助部は、原形状から変形した状態の弾性部材と、前記弾性部材の復元を規制する規制部材とを備え、前記包装袋ユニットは、前記電子レンジでの加熱に伴って前記規制部材による規制が解除されて前記弾性部材が前記原形状に復帰することによって前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
[5][1]~[4]の何れか1つに記載の包装袋ユニットであって、前記変位補助部は、前記包装袋の前記周面部を押し上げるか、又は前記包装袋を取り囲む外装の周面部を押し上げることによって、前記包装袋の前記周面部の傾斜角度を変化させるように構成される、包装袋ユニット。
[6]包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、[1]~[5]の何れか1つに記載の包装袋ユニットと、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記加熱工程では、電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、前記加熱中に前記変位補助部を変形させることによって前記周面部の傾斜角度を変化させる、調理方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装袋と変位補助部を備える包装袋ユニットが提供される。変位補助部は、加熱によって変形して、包装袋の周面部の傾斜角度を変化させるように構成されている。周面部の傾斜角度を変化させることによって、内容物が変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりする。このため、本発明によれば、包装袋の内容物の加熱の均一性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態の包装袋ユニット50の斜視図である。
【
図2】
図2Aは、
図1の包装袋ユニット50の左右方向の中央面を通る断面図である。
図2Bは、
図2Aの状態から形状記憶部材51aが原形状に復帰するように変形して周面部21が押し上げられた後の状態を示す。
【
図3】
図1の包装袋ユニット50に含まれる包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。
図3Bは、開封された状態における包装袋1の斜視図である。
【
図6】
図6Aは、本発明の第2実施形態の包装袋ユニット50の斜視図である。
図6Bは、
図6Aの包装袋ユニット50の幅方向の中央面を通る断面図である。
【
図7】
図7A~
図7Bは、
図6Bの状態から膨張性部材51bが膨張して周面部21が押し上げられた後の状態を示す。
【
図8】本発明の第3実施形態の包装袋ユニット50の斜視図である。
【
図9】
図9Aは、
図8の包装袋ユニット50の左右方向の中央面を通る断面図である。
図9Bは、
図9Aの状態から弾性部材51c1が原形状に復帰して外装52の周面部52aが押し上げられた後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態の包装袋ユニット50
図1~
図5を用いて、本発明の第1実施形態の包装袋ユニット50について説明する。
図1~
図2に示すように、本実施形態の包装袋ユニット50は、包装袋1と、変位補助部51を備える。包装袋1は、互いに対向する前面部3及び背面部4を有する周面部21を備える。変位補助部51は、包装袋ユニット50を電子レンジで加熱したときに、
図2A~
図2Bに示すように、変形して周面部21の傾斜角度を変化させるように構成される。以下、各構成について説明する。
【0011】
1-1.包装袋1
図3~
図5に示すように、包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用の包装袋である。包装袋1は、底面部2と、底面部2から立ち上げるように設けられた周面部21を備える。周面部21は、互いに対向する前面部3および背面部4を備える。前面部3および背面部4は、その左右方向の端部(以下、側端ともいう)において互いに溶着されている。底面部2は、前面部3および背面部4と溶着(ヒートシール)されている。このように、底面部2と、前面部3と、背面部4が互いに溶着されることによって、フィルムが袋状となっている。なお、
図3Aに示すように、内部に内容物を収容した場合には、包装袋1の上端に上端溶着部16が設けられ、包装袋1が封止される。
【0012】
本開示では、
図4の上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。具体的には、底面部2側を背面、前面部3(および背面部4)側を前面とする。また、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。さらに、前面部3側を前側、背面部4側を後側とする。
【0013】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。前面下部3aは、底面部2に溶着されている。
図5に示すように、前面下部3aと前面上部3bは、互いに折り返された状態で、前面下部3aと前面上部3bの内面同士を重ね合わされて形成された合掌部10において溶着されている。
【0014】
図3~
図4に示すように、包装袋1の周面部21には開封部24が設けられている。開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封することができる。
【0015】
包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における上側の切り取り部5と、上側の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて切り取り部5を除くことによって容器状の本体部6が得られる。
図3Bに示すように、本体部6には、開口7が形成されている。本体部6は、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用される。
【0016】
開封部24は、合掌部10よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0017】
図4は、包装袋1を平面視において示す図である。平面視とは、包装袋1内に内容物が含まれていない状態で包装袋1を平たくし、その状態で包装袋1の前面部3に垂直な方向から見ることを意味する。
図4に示すように、包装袋1は、左右方向の中心線を基準として線対称となるように形成されている。
【0018】
包装袋1には、蒸気抜きシール部11が形成されている。蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気によって包装袋1内の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。蒸気抜きシール部11は、エンドシール部17を介して側端溶着部12に連結される。
【0019】
包装袋1の側端には、前面部3と背面部4を溶着する側端溶着部12が設けられている。これにより、前面部3と背面部4は、前後方向に固定されている。さらに、包装袋1の下端には、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着する下端溶着部13が設けられている。
【0020】
下端溶着部13は、中央線Eより下端側に設けられた溶着部であって、包装袋1の側端および下端(
図4において、1点鎖線で囲まれた領域)において、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着している。また、中央線Eより下端側には、側端溶着部12内に固定部15がもうけられている。固定部15では、底面部2に開口部が設けられており、前面部3と背面部4が溶着されている。このような構造によって、
図1に示すように、包装袋1は、左右方向における中央部の下端(以下、中央部下端ともいう)が前後方向に開くことができるが、左右方向における側部の下端(以下、側部下端ともいう)では前後方向に開かないようになっている。
【0021】
図4に示すように、下端溶着部13は、1対の勾配部13aと、中央部13bを備える。勾配部13aは、包装袋1の側端から中央部下端に向けて、勾配をつけて(斜めに)溶着されている箇所である。このように、勾配部13aを設けることにより、中央線Eからの下端溶着部13までの距離が、側端から左右方向中央部に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
【0022】
中央部13bは、1対の勾配部13aの間に設けられ、直線状に形成されている。中央部13bを直線状に設けることにより、本体部6を食器として使用しやすくなる。
【0023】
勾配部13aの外側には、エアポケット14が設けられている。エアポケット14は三角形状に形成され、下端溶着部13における溶着で外部に排出しきれなかった空気が残留する空間である。エアポケット14を設けることにより、下端溶着部13内の残留空気がエアポケット14に集まることとなり、溶着の強度が向上する。
【0024】
ここで、周面部21を構成するフィルムおよび底面部2を構成するフィルムは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0025】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0026】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層は、紙層を備えてもよく、紙層のみで構成してもよく、紙層と上述の樹脂層を積層して構成したものであってもよい。
【0027】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材を用いたドライラミネートでもよい。
【0028】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0029】
一例として、本実施形態では、基材層:延伸ナイロン(25μm)/印刷層/接着層(ドライラミネート)/シーラント層:LLDPE(60μm)といった構成となっている。
【0030】
1-2.変位補助部51
変位補助部51は、包装袋ユニット50を電子レンジで加熱したときに変形して周面部21の傾斜角度を変化させるように構成される。変位補助部51は、包装袋1に固定されていてもいなくてもよく、一点で固定されていても二点以上で固定されていてもよい。本実施形態では、変位補助部51は、回復温度以上に加熱されると原形状に復帰する性質を有する形状記憶部材51aを備える。形状記憶部材51aは、形状記憶材料で構成することができる。形状記憶材料は、形状記憶特性を有する材料であり、形状記憶合金、形状記憶ポリマーなどで構成される。
【0031】
形状記憶部材51aは、原形状が
図2Bに示すように包装袋1を立設させることができる形状であり、二次形状が
図2Aに示すように折り畳まれた形状になっている。包装袋ユニット50を電子レンジで加熱したときに形状記憶部材51aも一緒に加熱されて回復温度以上になると、形状記憶部材51aが二次形状から原形状に変化し、その際に、形状記憶部材51aが周面部21を押し上げることによって、周面部21の傾斜角度を変化させることができる。回復温度は、例えば、50~100℃であり、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。回復温度が低すぎると加熱開始前に形状記憶部材51aが原形状に復帰してしまう虞があり、回復温度が高すぎると加熱時に形状記憶部材51aが原形状に復帰しない虞がある。
【0032】
図2Aに示すように、周面部21の傾斜角度αは、前面部3と背面部4の中央面Pの、水平面に対する傾斜角度を意味する。加熱開始時の周面部21の傾斜角度は、例えば、0~45度であり、5~40度が好ましく、10~35度がさらに好ましい。傾斜角度αは、具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。また、加熱完了時の周面部21の傾斜角度は、例えば、50~130度であり、60~120度が好ましく、70~110度がさらに好ましく、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0033】
また、包装袋1は、加熱開始時は、
図2Aに示すようにしぼんだ状態になっており、
図2Bに示すように、加熱に伴って内容物が気化して包装袋1内の内圧が上昇して膨張する。
【0034】
このため、本実施形態の包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1が徐々に膨張しながら形状記憶部材51aによって周面部21が押し上げられて
図2Bに示す状態となる。この際に、周面部21の傾斜角度が変化することによって、包装袋1の内容物が変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりするので、内容物の加熱の均一性を高められる。また、包装袋1は、自立性を有しているので、加熱完了後は、包装袋1を食器として用いて内容物を食しやくなっている。。
【0035】
形状記憶部材51aは、包装袋1に固定されていてもいなくてもよく、一点で固定されていても二点以上で固定されていてもよい。一例では、形状記憶部材51aは、一端51a1が周面部21の下端21a近傍に固定されており、他端51a2が一端51a1よりも、周面部21の上端21bに近い位置に固定されている。他端51a2の固定位置は、下端21aと上端21bの中央よりも上端21b側であることが好ましい。形状記憶部材51aは、一端51a1又は他端51a2のみが包装袋1に固定されていてもよい。
【0036】
2.第2実施形態の包装袋ユニット50
図6~
図7を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の包装袋ユニット50は、変位補助部51の構成の違いが第1実施形態との主な相違点であり、その他の点は、第1実施形態に類似する。従って、第1実施形態での説明は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0037】
本実施形態では、変位補助部51は、加熱によって膨張する性質を有する膨張性部材51bを供える。電子レンジでの加熱に伴って膨張性部材51bが膨張することによって周面部21の傾斜角度を変化させることができる。
【0038】
膨張性部材51bとしては、膨張性袋や発泡性部材が挙げられる。膨張性袋は、加熱によって膨張可能な袋であり、例えば、加熱によって気体を発生させる物資が内部51b1に封入された袋が挙げられる。加熱によって気体を発生させる物資としては、加熱によって気化する物質や、加熱によって分解して気体を発生させる物質が挙げられる。非加熱時には膨張せず、加熱時には膨張するようにすべく、沸点又は分解温度は、50~100℃が好ましく、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。加熱によって気化する物質としては、水やアルコール(例えばメタノールやエタノール)が挙げられる。袋は、非膨張時にはたるんだ状態になっていて、たるみが解消されることによって膨張するものであってもよく、非膨張時にたるんでおらず、膨張時には袋が延伸するものであってもよい。後者の場合、袋は、例えば、ゴムで構成される。発泡性部材は、加熱に伴って発泡することによって体積が増大する部材である。何れの場合でも、膨張性部材51bが周面部21を押し上げることによって、周面部21の傾斜角度を変化させることができる。
【0039】
加熱による膨張性部材51bの膨張倍率は、例えば、2~20倍であり、3~10倍が好ましい。この倍率は、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0040】
本実施形態の包装袋ユニット50は、加熱前には、
図6Bの状態になっており、包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1と膨張性部材51bがそれぞれ膨張することによって、包装袋1が徐々に膨張しながら膨張性部材51bによって周面部21が押し上げられて
図7Aに示す状態を経て、
図7Bに示す状態となる。この際に、周面部21の傾斜角度が変化することによって、包装袋1の内容物が変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりするので、内容物の加熱の均一性を高められる。また、包装袋1は、自立性を有しているので、加熱完了後は、包装袋1を食器として用いて内容物を食しやくなっている。
【0041】
膨張性部材51bは、包装袋1に固定されていてもいなくてもよく、一点で固定されていても二点以上で固定されていてもよい。一例では、膨張性部材51bは、一端51b2が周面部21の下端21a近傍に固定されている。
【0042】
3.第3実施形態の包装袋ユニット50
図8~
図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の包装袋ユニット50は、包装袋1及び変位補助部51の構成の違いが第1実施形態との主な相違点であり、その他の点は、第1実施形態に類似する。従って、第1実施形態での説明は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0043】
本実施形態では、包装袋1は、底面部2を有さず、包装袋1の下端においても、前面部3及び背面部4が直接溶着されている。この包装袋1は、単体では、自立性を有していないが、包装袋1を取り囲む外装52が設けられており、外装52が自立性を有するため、包装袋1を外装52内に配置することによって、自立可能になっている。蒸気抜きシール部11の構成は、第1実施形態と同様である。
【0044】
変位補助部51は、原形状から変形した状態の弾性部材51c1と、弾性部材51c1の復元を規制する規制部材51c2とを備える。弾性部材51c1は、原形状が
図9Bに示すように包装袋1を立設させることができる形状であり、二次形状が
図9Aに示すように原形状から変形した形状になっている。弾性部材51c1は、原形状から圧縮変形されていても、引張変形されていてもよい。何れの場合でも、弾性部材51c1は、復元力によって原形状へ復帰しようとする。規制部材51c2は、弾性部材51c1の、原形状への復元を規制する。一例では、
図8及び
図9Aに示すように、弾性部材51c1は圧縮変形した状態になっており、弾性部材51c1には、
図9Bに示す原形状に復帰しようとする復元力が働いている。一方、弾性部材51c1は、規制部材51c2によって原形状への復帰が規制されているので、圧縮変形した状態が維持されている。
【0045】
規制部材51c2は、電子レンジでの加熱に伴って規制部材51c2による規制を解除するように構成されている。一例では、規制部材51c2は、第1実施形態で説明した形状記憶材料で構成されており、加熱に伴って規制部材51c2の温度が回復温度以上になると、
図9Bに示すように、規制部材51c2が原形状に復帰し、それによって、規制部材51c2と弾性部材51c1の係合が解除されて弾性部材51c1が規制されなくなり、弾性部材51c1が原形状に復帰する。
【0046】
別の例では、規制部材51c2は、加熱によって剛性が低下する素材で構成されており、弾性部材51c1の剛性が低下して弾性部材51c1の復元力に抗することができなくなると、規制部材51c2による規制が解除されて、弾性部材51c1が原形状に復帰する。
【0047】
また、別の例では、規制部材51c2は、接着性を有する素材で構成されており、規制部材51c2の接着力によって弾性部材51c1が原形状に復帰することが規制されていてもよい。この場合、加熱によって接着力が低下して弾性部材51c1の復元力に抗することができなくなると、規制部材51c2による規制が解除されて、弾性部材51c1が原形状に復帰する。
【0048】
規制部材51c2による規制が解除される温度は、例えば、50~100℃であり、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0049】
本実施形態の包装袋ユニット50は、加熱前には、
図8及び
図9Aの状態になっており、包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1が徐々に膨張しながら、規制部材51c2による規制が解除され、この解除に伴って弾性部材51c1が原形状に復帰し、その際に、弾性部材51c1によって外装52の周面部52aが押し上げられて、
図9Bに示す状態となる。この際に、周面部21の傾斜角度が変化することによって、包装袋1の内容物が変位又は変形したり、内容物に照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりするので、内容物の加熱の均一性を高められる。また、包装袋1は、外装52に支持されることで自立性を有しているので、加熱完了後は、包装袋1を食器として用いて内容物を食しやくなっている。
【0050】
弾性部材51c1は、包装袋1に固定されていてもいなくてもよく、一点で固定されていても二点以上で固定されていてもよい。一例では、弾性部材51c1は、一端51c3が周面部52aの上端52a1近傍に固定されている。
【0051】
4.他の実施形態の包装袋ユニット50
以上、実施形態について説明してきたが、本開示における技術的思想は、以下の態様においても採用することができる。
・第1~第3実施形態の内容は、互いに組み合わせることができ、各実施形態の構成要素は、互いに置換することができる。例えば、第1実施形態の包装袋1と第3実施形態の変位補助部51を組み合わせてたり、第3実施形態の包装袋1と第1実施形態の変位補助部51を組み合わせたりしてもよい。
・第3実施形態の変位補助部51は、弾性部材51c1と同形状の形状記憶部材であってもよい。この場合、規制部材51c2は不要であり、第1実施形態と同様の原理で、変位補助部51が周面部52aを押し上げることができる。
・第3実施形態では、包装袋1を外装52内に配置することによって自立性を確保しているが、外装52を省略して、変位補助部51によって包装袋1を支持して自立性を持たせるようにしてもよい。
・第1~第2実施形態の包装袋1として、第3実施形態で開示しているものを採用してもよい。この場合、変位補助部51によって包装袋1を支持して自立性を持たせてもよく、外装52も一緒に採用して、外装52によって包装袋1を自立可能としてもよい。
・第1~第3実施形態の包装袋1として、前面部3及び背面部4の間に側面部を備え、側面部に対して前面部3と背面部4のそれぞれが溶着された構成のもの(つまり、マチ付きの包装袋)を採用してもよい。
・第1~第3実施形態の包装袋1として、合掌部10を備えないものを採用してもよい。
・第1~第3実施形態の包装袋1として、蒸気抜きシール部11が、合掌部10以外の部分に設けられたもの(例えば、前面部3及び背面部4の溶着部に蒸気抜きシール部11を設けたもの)を採用してもよい。
【0052】
5.包装食品の調理方法
本発明の一実施形態の包装食品の調理方法は、加熱工程を備える。この方法が調理対象とする包装食品は、上記実施形態の包装袋ユニット50と、包装袋1に収容された食品とを備える。上記加熱工程では、電子レンジにより包装袋1に収容された前記食品の加熱を開始し、加熱中に変位補助部51を変形させることによって周面部21の傾斜角度を変化させる。この方法によれば、食品の加熱の均一性を高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 :包装袋
2 :底面部
3 :前面部
3a :前面下部
3b :前面上部
4 :背面部
5 :切り取り部
6 :本体部
7 :開口
10 :合掌部
11 :蒸気抜きシール部
12 :側端溶着部
13 :下端溶着部
13a :勾配部
13b :中央部
14 :エアポケット
15 :固定部
16 :上端溶着部
17 :エンドシール部
21 :周面部
21a :下端
21b :上端
24 :開封部
24a :引裂開始部
24b :切り取り線
50 :包装袋ユニット
51 :変位補助部
51a :形状記憶部材
51a1 :一端
51a2 :他端
51b :膨張性部材
51b1 :内部
51b2 :一端
51c1 :弾性部材
51c2 :規制部材
51c3 :一端
52 :外装
52a :周面部
52a1 :上端
E :中央線
P :中央面