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特開2024-159015包装袋ユニット、包装食品の調理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159015
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装袋ユニット、包装食品の調理方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074731
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄飛
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA30
3E013BB12
3E013BE01
3E013BF63
3E013BF64
3E013BF71
3E013BG12
(57)【要約】
【課題】包装袋の内容物の電子レンジでの加熱の均一性を高める。
【解決手段】本発明によれば、電子レンジ用の包装袋ユニットであって、前記包装袋ユニットは、包装袋を備え、前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、前記包装袋ユニットは、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに前記包装袋の内容物の重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化するように構成される、包装袋ユニットが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ用の包装袋ユニットであって、
前記包装袋ユニットは、包装袋を備え、
前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、
前記包装袋ユニットは、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに前記包装袋の内容物の重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化するように構成される、包装袋ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記包装袋を取り囲む外装を備え、
前記加熱前の状態において前記包装袋の下端を含む外装内部位が前記外装内に配置されており、
前記外装内部位は前記外装に固定されており、
前記包装袋の内容物のうち前記外装外に配置されていたものが、前記加熱に伴って前記包装袋が膨張する際に前記外装内部位に移動して前記重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記包装袋は、前記包装袋内の空間を第1空間と第2空間に分割する分割シール部を備え、
前記加熱に伴って前記分割シール部が剥離して第1空間の内容物が第2空間に移動して前記重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の包装袋ユニットであって、
前記加熱に伴って前記包装袋が膨張すると、前記包装袋の内容物が前記包装袋の下端に向かって移動して前記重心が移動すると共に前記包装袋の接地部が前記下端に向かって移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
【請求項5】
包装食品の調理方法であって、
加熱工程を備え、
前記包装食品は、請求項1~請求項4の何れか1つに記載の包装袋ユニットと、前記包装袋に収容された食品とを備え、
前記加熱工程では、電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、前記加熱中に前記重心を移動させることによって前記包装袋の姿勢を変化させる、調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋ユニット及び包装食品の調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の内容物を収容して、電子レンジにより加熱可能な包装袋が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-306426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物を包装袋内に収容した状態で内容物を電子レンジで加熱すると、内容物は必ずしも均一に加熱されず、加熱の均一性を高めることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、包装袋の内容物の電子レンジでの加熱の均一性を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]電子レンジ用の包装袋ユニットであって、前記包装袋ユニットは、包装袋を備え、前記包装袋は、互いに対向する前面部及び背面部を有する周面部を備え、前記包装袋ユニットは、前記包装袋ユニットを電子レンジで加熱したときに前記包装袋の内容物の重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化するように構成される、包装袋ユニット。
[2][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記包装袋を取り囲む外装を備え、前記加熱前の状態において前記包装袋の下端を含む外装内部位が前記外装内に配置されており、前記外装内部位は前記外装に固定されており、前記包装袋の内容物のうち前記外装外に配置されていたものが、前記加熱に伴って前記包装袋が膨張する際に前記外装内部位に移動して前記重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
[3][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記包装袋は、前記包装袋内の空間を第1空間と第2空間に分割する分割シール部を備え、前記加熱に伴って前記分割シール部が剥離して第1空間の内容物が第2空間に移動して前記重心が移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
[4][1]に記載の包装袋ユニットであって、前記加熱に伴って前記包装袋が膨張すると、前記包装袋の内容物が前記包装袋の下端に向かって移動して前記重心が移動すると共に前記包装袋の接地部が前記下端に向かって移動することによって前記包装袋の姿勢が変化する、包装袋ユニット。
[5]包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、[1]~[4]の何れか1つに記載の包装袋ユニットと、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記加熱工程では、電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、前記加熱中に前記重心を移動させることによって前記包装袋の姿勢を変化させる、調理方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装袋ユニットは、電子レンジで加熱したときに包装袋の内容物の重心が移動することによって包装袋の姿勢が変化するように構成されている。包装袋の姿勢を変化させることによって、内容物が変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりする。このため、本発明によれば、包装袋の内容物の加熱の均一性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、本発明の第1実施形態の包装袋ユニット50の斜視図である。図1Bは、図1Aの包装袋ユニット50の左右方向の中央面を通る断面図である。
図2図2A図2Bは、図1Bの状態から、包装袋1の膨張に伴って、包装袋1の上側部位1cが持ち上がって内容物Wが移動し、それによって内容物Wの重心が移動して包装袋1が立ち上がる状態を示す。
図3図1の包装袋ユニット50に含まれる包装袋1を平面視で示す図である。
図4図3中のA-A断面図である。
図5図5Aは、本発明の第2実施形態の包装袋ユニット50の斜視図である。図5Bは、図5Aの包装袋ユニット50の左右方向の中央面を通る断面図である。
図6図6A図6Bは、図5Bの状態から、包装袋1の膨張に伴って分割シール部1gが剥離することにより内容物Wが移動し、それによって内容物Wの重心が移動して包装袋1が立ち上がる状態を示す。
図7図7Aは、本発明の第3実施形態の包装袋ユニット50の平面図である。図7Bは、図7Aの包装袋ユニット50の左右方向の中央面を通る断面図である。
図8図8A図8Bは、図7Bの状態から、包装袋1の膨張に伴って内容物W及び接地部1iが下端1aに向かって移動し、それによって内容物Wの重心が移動して包装袋1が立ち上がる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態の包装袋ユニット50
図1図4を用いて、本発明の第1実施形態の包装袋ユニット50について説明する。図1図2に示すように、本実施形態の包装袋ユニット50は、包装袋1と、外装52を備える。包装袋1は、互いに対向する前面部3及び背面部4を有する周面部21を備える。包装袋ユニット50は、包装袋ユニット50を電子レンジで加熱したときに包装袋1の内容物Wの重心が移動することによって包装袋1の姿勢が変化するように構成される。以下、各構成について説明する。内容物Wは、液体、固体、液体と固体の混合物の何れであってもよい。内容物Wは、重力の作用によって移動可能な程度の粘度やサイズを有することが好ましい。
【0011】
1-1.包装袋1
図1図4に示すように、包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋である。本開示では、図3の上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。図3に示すように、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。
【0012】
包装袋1の周面部21は、前面部3および背面部4を有する。前面部3および背面部4は、その左右方向の端部に設けられた側端溶着部12と、下端に設けられた下端溶着部13と、上端に設けられた上端溶着部16において互いに溶着されており、内容物Wが包装袋1内に密閉されている。
【0013】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。図4に示すように、前面下部3aと前面上部3bは、互いに折り返された状態で、前面下部3aと前面上部3bの内面同士を重ね合わされて形成された合掌部10において溶着されている。
【0014】
図3に示すように、包装袋1の周面部21には開封部24が設けられている。開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封することができる。
【0015】
包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における上側の切り取り部5と、下側の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて切り取り部5を除くことによって容器状の本体部6が得られる。本体部6は、外装52で支持されて自立可能になっており、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用可能である。
【0016】
開封部24は、合掌部10よりも包装袋1の下端1aに近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0017】
包装袋1には、蒸気抜きシール部11が形成されている。蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気によって包装袋1内の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。蒸気抜きシール部11は、エンドシール部17を介して側端溶着部12に連結される。
【0018】
ここで、周面部21を構成するフィルムは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0019】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0020】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層は、紙層を備えてもよく、紙層のみで構成してもよく、紙層と上述の樹脂層を積層して構成したものであってもよい。
【0021】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材を用いたドライラミネートでもよい。
【0022】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0023】
一例として、本実施形態では、基材層:延伸ナイロン(25μm)/印刷層/接着層(ドライラミネート)/シーラント層:LLDPE(60μm)といった構成となっている。
【0024】
1-2.外装52
外装52は、包装袋1を取り囲むように構成される。外装52は、包装袋1を支持して自立可能とする程度の剛性を有することが好ましい。本実施形態では、加熱前の状態において包装袋1の下端1aを含む外装内部位1bが外装52内に配置されており、外装内部位1bが外装52に固定されていることが好ましい。本実施形態では、下端1aが外装52の内底52bに固定されているが、外装内部位1bの他の部位が外装52の内底52b又は他の部位に固定されていてもよい。
【0025】
包装袋1は、外装52の周壁52cをまたぐように配置されており、包装袋1の一部が周壁52cの外側に垂れ下がるように配置されている。包装袋1のうち周壁52cの外側に垂れ下がっている上側部位1cは、周壁52cの上端52c1よりも下側に配置されている。包装袋1の左右方向の中央の断面(図1Bの断面)での、下端1aと上端1dを結ぶ線の、水平面からの角度を包装袋1の傾斜角度とすると、図1Bの状態では、傾斜角度は、ほぼ0度である。なお、包装袋1の下端が前後に開くタイプの包装袋(いわゆるスタンディングパウチ)では、傾斜角度を決定するための下端の位置は、前面部3の下端と背面部4の下端の中央であるとする。
【0026】
ここで、本実施形態の包装袋ユニット50の作用効果について説明する。図1Bの状態から包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1の内圧が上昇して包装袋1が膨張する。包装袋1が膨張すると、図2Aに示すように、前面部3および背面部4に加わる張力によって上側部位1cが持ち上がって上側部位1cが上端52c1よりも高い位置になる。上側部位1cがこの高さにまで持ち上がると、内容物Wが重力の作用によって外装内部位1b内に移動する。内容物Wの移動に伴って上側部位1cが軽量化されて変位しやすくなり、図2Bの状態になるまで変位する。包装袋1の傾斜角度は、図2A状態では約45度であり、図2Bの状態では、90度である。加熱前後での傾斜角度の変化は、例えば、20~90度であり、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。加熱前の包装袋の傾斜角度は、例えば、0~45度であり、具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0027】
このように、本実施形態では、包装袋1の内容物Wのうち外装52外に配置されていたものが、加熱に伴って包装袋1が膨張する際に外装内部位1bに移動して内容物Wの重心が移動することによって包装袋1の姿勢が変化する(言い換えると、包装袋1の傾斜角度が変化する)。包装袋1の姿勢が変化する際に、内容物Wが変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりする。このため、本実施形態によれば、包装袋1の内容物Wの加熱の均一性が高められる。
【0028】
2.第2実施形態の包装袋ユニット50
図5図6を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の包装袋ユニット50は、内容物Wの重心を移動させる機構の違いが主な相違点であり、その他の点は、第1実施形態に類似する。従って、第1実施形態での説明は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0029】
本実施形態では、包装袋1は、包装袋1内の空間を第1空間1eと第2空間1fに分割する分割シール部1gを備え、加熱に伴って分割シール部1gが剥離して第1空間1eの内容物Wが第2空間1fに移動して内容物Wの重心が移動することによって包装袋1の姿勢が変化する。分割シール部1gは、蒸気抜きシール部11よりもシール強度が弱くなっており、蒸気抜きシール部11に蒸気流路が形成される前に分割シール部1gが剥離して第1及び第2空間1e,1fがつながる。
【0030】
包装袋1は、外装52内に収容されている。外装52は、外装本体52dと、ヒンジ部52eを介して外装本体52dに連結された外装蓋52fを供える。包装袋ユニット50の開封前は、外装本体52dと外装蓋52fが一体化して内部に包装袋1を収容しており、包装袋1を加熱する際には、外装本体52dと外装蓋52fの連結部のうちヒンジ部52e以外の部位を分離して包装袋1を露出させ、図5Bに示すように、外装蓋52fを台座として用いて外装本体52dを傾斜した状態で配置する。包装袋1を外装本体52d内に収容すると包装袋1も傾斜した状態になり、第1空間1eが第2空間1fよりも高い位置に配置される。図5Bでは、加熱前には内容物Wの全量が第1空間1eに配置されているが、内容物Wの一部が第2空間1fに配置されていてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態の包装袋ユニット50の作用効果について説明する。図5Bの状態から包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1の内圧が上昇して包装袋1が膨張する。包装袋1が膨張すると、図6Aに示すように、前面部3および背面部4に加わる張力によって分割シール部1gが剥離して、第1及び第2空間1e,1fがつながる。図5Bに示すように、第1空間1eは、第2空間1fよりも高い位置に配置されており、図6Aに示すように、第1及び第2空間1e,1fがつながると、重力の作用によって第1空間1e内の内容物Wが第2空間1fに移動する。内容物Wの移動に伴って包装袋1の下側に向かって内容物の重心が移動し、その結果、図6A図6Bに示すように、外装52と共に包装袋1が立ち上がる。包装袋1の傾斜角度は、図5Bの状態では約30度、図6Aの状態では約45度、図6Bの状態では90度である。
【0032】
このように、本実施形態では、加熱に伴って分割シール部1gが剥離して第1空間1eの内容物Wが第2空間1fに移動して内容物Wの重心が移動することによって包装袋1の姿勢が変化する(言い換えると、包装袋1の傾斜角度が変化する)。包装袋1の姿勢が変化する際に、内容物Wが変位又は変形したり、内容物が照射されるマイクロ波の強度分布が変化したりする。このため、本実施形態によれば、包装袋1の内容物Wの加熱の均一性が高められる。
【0033】
3.第3実施形態の包装袋ユニット50
図7図8を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の包装袋ユニット50は、内容物Wの重心を移動させる機構の違いが主な相違点であり、その他の点は、第1実施形態に類似する。従って、第1実施形態での説明は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0034】
本実施形態では、包装袋1は、筒状フィルム1hの下端1a及び上端1dに沿って下端溶着部13及び上端溶着部16を形成することによって包装袋1内に内容物Wを封止している。内容物Wは、1又は複数の固形物W1を含んでいることが好ましい。(各固形物W1の重量/内容物Wが入っていない状態の包装袋1の重量)の値は、1よりも大きく、5以上が好ましく、10以上がさらに好ましい。この値は、例えば、1.1~100倍であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。固形物W1が移動することによって、重心が移動しやすくなる。固形物W1は、図7Bに示すように、包装袋1が寝かされた状態で、包装袋1の内縁の水平方向の長さをLとし、包装袋1の下端1a側の内縁から全固形物の重心までの長さをL1とすると、L1/Lは、0.5以下が好ましく、0.3以下がさらに好ましい。このように固形物W1が下端1a側に偏って配置されていることによって、加熱時に包装袋1が立ち上がりやすくなる。L1/Lは、例えば0.1~0.5が好ましく、0.15~0.45がさらに好ましく、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。
【0035】
上端溶着部16には、蒸気抜きシール部11が設けられている。下端溶着部13は、包装袋1が起き上がるのを阻害しないように、上下方向の長さが短くなっていることが好ましい。下端溶着部13の上下方向の長さは、例えば、1~10mmであり、2~8mmが好ましい。この長さは、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。下端溶着部13の上下方向の長さは、上端溶着部16の上下方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0036】
ここで、本実施形態の包装袋ユニット50の作用効果について説明する。図7Bの状態から包装袋ユニット50を電子レンジで加熱すると、包装袋1の内圧が上昇して包装袋1が膨張する。本実施形態の包装袋1は、下端1a近傍の領域が変形しやすくなっているので、包装袋1が膨張すると、図8Aに示すように包装袋1が起き上がりながら、包装袋1の内容物Wが下端1aに向かって移動する。このため、内容物Wの重心が下端1aに向かって移動すると共に、包装袋1を載置する載置面Pとの接地部1iも下端1aに向かって移動し、最終的に図8Bに示すように、包装袋1が立ち上がる。このように、本実施形態の包装袋1は、接地部1iが徐々に移動しながら起き上がるように構成されている。接地部1iが移動しやすいように、加熱前の状態での接地部1iと下端1aの間の領域は、加熱前から外側に凸に湾曲しているか、加熱による包装袋1の膨張によって外側に凸に湾曲するように構成されていることが好ましい。包装袋1の傾斜角度は、図7Bの状態では0度、図8Aの状態では約30度、図8Bの状態では90度である。
【0037】
4.他の実施形態の包装袋ユニット50
以上、実施形態について説明してきたが、本開示における技術的思想は、以下の態様においても採用することができる。
・第1~第3実施形態の包装袋1として、前面部3及び背面部4の間に側面部を備え、側面部に対して前面部3と背面部4のそれぞれが溶着された構成のもの(つまり、マチ付きの包装袋)を採用してもよい。
・第1~第2実施形態の包装袋1として、合掌部10を備えないものを採用してもよい。
・第1~第2実施形態の包装袋1として、蒸気抜きシール部11が、合掌部10以外の部分に設けられたもの(例えば、前面部3及び背面部4の溶着部に蒸気抜きシール部11を設けたもの)を採用してもよい。
・第1~第3実施形態の包装袋1として、自立可能なもの(いわゆるスタンディングパウチ)を採用してもよい。
・第3実施形態の包装袋1として、蒸気抜きシール部11が上端溶着部16以外の部位に設けられたものであってもよい。
・第2実施形態の包装袋1は、外装52を用いずに傾斜させてもよい。例えば、包装袋1の上側を外装52以外の台座の上に載せたり、別の部材で吊り下げたりすることによって包装袋1を傾斜させてもよい。
・第1及び第2実施形態の包装袋1の内容物Wは、第3実施形態と同様に固形物W1を含むものであってもよい。
【0038】
5.包装食品の調理方法
本発明の一実施形態の包装食品の調理方法は、加熱工程を備える。この方法が調理対象とする包装食品は、上記実施形態の包装袋ユニット50と、包装袋1に収容された食品とを備える。上記加熱工程では、電子レンジにより包装袋1に収容された前記食品の加熱を開始し、前記加熱中に前記重心を移動させることによって包装袋1の姿勢を変化させる。この方法によれば、食品の加熱の均一性を高めることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 :包装袋
1a :下端
1b :外装内部位
1c :上側部位
1d :上端
1e :第1空間
1f :第2空間
1g :分割シール部
1h :筒状フィルム
1i :接地部
3 :前面部
3a :前面下部
3b :前面上部
4 :背面部
5 :切り取り部
6 :本体部
10 :合掌部
11 :蒸気抜きシール部
12 :側端溶着部
13 :下端溶着部
16 :上端溶着部
17 :エンドシール部
21 :周面部
24 :開封部
24a :引裂開始部
24b :切り取り線
50 :包装袋ユニット
52 :外装
52b :内底
52c :周壁
52c1 :上端
52d :外装本体
52e :ヒンジ部
52f :外装蓋
P :載置面
W :内容物
W1 :固形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8