(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159019
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電力制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20241031BHJP
G06F 1/32 20190101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F3/06
G06F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074741
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】524132520
【氏名又は名称】日立ヴァンタラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 正法
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011EA10
5B011EB07
5B011LL11
(57)【要約】
【課題】
電力制御を容易かつ迅速に行い得る電力制御装置及び方法を提案する。
【解決手段】
電力制御を行う際の電力要件を受け付け、受け付けた電力要件に従って対象機器の電力制御を行う際に、対象装置の各部品の性能ごとの消費電力、及び、対象装置の装置構成に基づいて、複数段階に区分された対象機器の消費電力の範囲とそれぞれ対応付けられた各省電力レベルにおける各部品の性能をそれぞれ定めた省電力レベル管理情報を作成し、受け付けた電力要件として指定された対象装置の消費電力の上限値又は省電力レベルに基づき、省電力レベル管理情報を参照して、各部品の性能を、電力要件に応じた省電力レベルの性能にそれぞれ設定するようにした。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
性能を下げることにより消費電力を抑制可能な部品が1又は複数搭載された対象装置の電力制御を行う電力制御装置において、
前記電力制御を行う際の電力要件を受け付ける管理インタフェース部と、
前記管理インタフェース部が受け付けた前記電力要件に従って前記対象装置の電力制御を行う電力制御部と
を備え、
前記電力制御部は、
前記対象装置の各前記部品の性能ごとの消費電力、及び、前記対象装置の装置構成に基づいて、複数段階に区分された前記対象装置の消費電力範囲とそれぞれ対応付けられた各省電力レベルにおける各前記部品の性能をそれぞれ定めた省電力レベル管理情報を作成し、
前記管理インタフェース部が受け付けた前記電力要件として指定された前記対象装置の消費電力の上限値又は前記省電力レベルに基づき、前記省電力レベル管理情報を参照して、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定する
ことを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記対象装置は、
上位装置に対してデータをリード/ライトするための記憶領域を提供するストレージ装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、
前記電力要件として前記対象装置の消費電力の上限値が指定された場合には、各前記部品の性能を、前記対象機器の消費電力の範囲内に当該上限値を含む前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記電力要件として、
前記対象装置の負荷が予め定められた閾値以下の低負荷時に当該対象装置の消費電力を削減する低負荷時自動電力削減機能の有効/無効を指定することができ、
前記電力制御部は、
前記低負荷時自動電力削減機能が有効に指定された場合には、各前記部品の性能を最低の性能にそれぞれ設定する一方、
前記対象機器の負荷を監視し、当該負荷が閾値を超えた場合には、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ再設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、
前記省電力レベルにおける前記部品の部品種別ごとの性能をそれぞれ定めた前記省電力レベル管理情報を作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記電力制御部は、
各前記部品の性能をすべて最大とした場合における合計消費電力を部品品種ごとにそれぞれ算出する第1の算出処理と、合計消費電力が最大の前記部品種別の性能を1段階下げた場合の前記対象装置の消費電力を算出する第2の算出処理とを、前記対象装置の消費電力が対象とする前記省電力レベルの電力範囲内となるまで繰り返し、前記対象装置の消費電力が対象とする前記省電力レベルの電力範囲内となったときの各前記部品種別の性能を、当該対象とする省電力レベルにおける各前記部品種別の性能と決定するようにして前記省電力レベル管理情報を作成する
ことを特徴とする請求項5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
性能を下げることにより消費電力を抑制可能な部品が1又は複数搭載された対象装置の電力制御を行う電力制御装置により実行される電力制御方法であって、
前記電力制御を行う際の電力要件を受け付ける第1のステップと、
受け付けた前記電力要件に従って前記対象装置の電力制御を行う第2のステップと
を備え、
前記第2のステップにおいて、前記電力制御装置は、
前記対象装置の各前記部品の性能ごとの消費電力、及び、前記対象装置の装置構成に基づいて、複数段階に区分された前記対象装置の消費電力範囲とそれぞれ対応付けられた各省電力レベルにおける各前記部品の性能をそれぞれ定めた省電力レベル管理情報を作成し、
受け付けた前記電力要件として指定された前記対象装置の消費電力の上限値又は前記省電力レベルに基づき、前記省電力レベル管理情報を参照して、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定する
ことを特徴とする電力制御方法。
【請求項8】
前記対象装置は、
上位装置に対してデータをリード/ライトするための記憶領域を提供するストレージ装置である
ことを特徴とする請求項7に記載の電力制御方法。
【請求項9】
前記第2のステップにおいて、前記電力制御装置は、
前記電力要件として前記対象装置の消費電力の上限値が指定された場合には、各前記部品の性能を、前記対象機器の消費電力の範囲内に当該上限値を含む前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の電力制御方法。
【請求項10】
前記電力要件として、
前記対象装置の負荷が予め定められた閾値以下の低負荷時に当該対象装置の消費電力を削減する低負荷時自動電力削減機能の有効/無効を指定することができ、
前記第2のステップにおいて、前記電力制御装置は、
前記低負荷時自動電力削減機能が有効に指定された場合には、各前記部品の性能を最低の性能にそれぞれ設定する一方、
前記対象機器の負荷を監視し、当該負荷が閾値を超えた場合には、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ再設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の電力制御方法。
【請求項11】
前記第2のステップにおいて、前記電力制御装置は、
前記省電力レベルにおける前記部品の部品種別ごとの性能をそれぞれ定めた前記省電力レベル管理情報を作成する
ことを特徴とする請求項7に記載の電力制御方法。
【請求項12】
前記電力制御装置は、
各前記部品の性能をすべて最大とした場合における合計消費電力を部品品種ごとにそれぞれ算出する第1の算出処理と、合計消費電力が最大の前記部品種別の性能を1段階下げた場合の前記対象装置の消費電力を算出する第2の算出処理とを、前記対象装置の消費電力が対象とする前記省電力レベルの電力範囲内となるまで繰り返し、前記対象装置の消費電力が対象とする前記省電力レベルの電力範囲内となったときの各前記部品種別の性能を、当該対象とする省電力レベルにおける各前記部品種別の性能と決定するようにして前記省電力レベル管理情報を作成する
ことを特徴とする請求項11に記載の電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力制御装置及び方法に関し、例えば、ストレージ装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への関心等からストレージ装置にも省電力化が求められている。また性能を落としてでも電力を下げたいというニーズも存在する。
【0003】
従来、ストレージ装置の消費電力を削減する電力削減方法として、データマイグレーションになどによりドライブの電力を削減したり、ストレージ装置がアイドル状態にあるときにCPU(Central Processing Unit)の動作周波数を下げるなどの方法が提案されている。例えば、特許文献1では、負荷が低い場合にストレージ装置内部のデバイスを省電力モードに遷移させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、データマイグレーションによる電力削減方法によると、データマイグレーションに相応の時間を要し、さらにはデータマイグレーションのための事前の準備やアプリケーションのスケジュール作成が必要となる問題があった。またデータのマイグレーションにも電力を消費するという問題もあった。
【0006】
またCPUの動作周波数を下げる電力削減方法によると、ホストからのI/O(Input/Output)などの外部から与えられる負荷や、ガベージコレクションなどのストレージ装置内で行われる内部処理を制御できない限り電力削減を保証できないという問題があった。
【0007】
このように従来提案されている電力削減技術では、電力制御を容易かつ迅速には行い難いという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、電力制御を容易かつ迅速に行い得る電力制御装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、性能を下げることにより消費電力を抑制可能な部品が1又は複数搭載された対象装置の電力制御を行う電力制御装置において、前記電力制御を行う際の電力要件を受け付ける管理インタフェース部と、前記管理インタフェース部が受け付けた前記電力要件に従って前記対象機器の電力制御を行う電力制御部とを設け、前記電力制御部が、前記対象装置の各前記部品の性能ごとの消費電力、及び、前記対象装置の装置構成に基づいて、複数段階に区分された前記対象機器の消費電力の範囲とそれぞれ対応付けられた各省電力レベルにおける各前記部品の性能をそれぞれ定めた省電力レベル管理情報を作成し、前記管理インタフェース部が受け付けた前記電力要件として指定された前記対象装置の消費電力の上限値又は前記省電力レベルに基づき、前記省電力レベル管理情報を参照して、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定するようにした。
【0010】
また本発明においては、性能を下げることにより消費電力を抑制可能な部品が1又は複数搭載された対象装置の電力制御を行う電力制御装置により実行される電力制御方法であって、前記電力制御を行う際の電力要件を受け付ける第1のステップと、受け付けた前記電力要件に従って前記対象機器の電力制御を行う第2のステップとを設け、前記第2のステップにおいて、前記電力制御装置は、前記対象装置の各前記部品の性能ごとの消費電力、及び、前記対象装置の装置構成に基づいて、複数段階に区分された前記対象機器の消費電力の範囲とそれぞれ対応付けられた各省電力レベルにおける各前記部品の性能をそれぞれ定めた省電力レベル管理情報を作成し、受け付けた前記電力要件として指定された前記対象装置の消費電力の上限値又は前記省電力レベルに基づき、前記省電力レベル管理情報を参照して、各前記部品の性能を、前記電力要件に応じた前記省電力レベルの性能にそれぞれ設定するようにした。
【0011】
本発明の電力制御装置及び方法によれば、事前の準備やスケジュール作成などを必要とすることなく、対象機器の消費電力を迅速に削減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力制御を容易かつ迅速に行い得る電力制御装置及び方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態によるストレージシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】電力要件参照・変更画面の画面構成例を示す図である。
【
図3】装置構成管理テーブルの構成を示す図表である。
【
図4】消費電力管理テーブルの構成を示す図表である。
【
図5】省電力レベル管理テーブルの構成を示す図表である。
【
図6】設定電力要件管理テーブルの構成を示す図表である。
【
図7】管理API部の機能の説明に供する図表である。
【
図8】電力要件設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】省電力レベル管理テーブル作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】部品毎性能レベル処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】低負荷時自動電力削減要否判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)本実施の形態によるストレージシステムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態のストレージシステムを示す。このストレージシステム1は、1又は複数のホストコンピュータ2と、管理端末3と、ストレージ装置4とを備えて構成される。
【0016】
ホストコンピュータ2は、ストレージ装置4の上位装置であり、サーバ装置などの汎用のコンピュータ装置から構成される。ホストコンピュータ2は、ユーザ操作や実装されたプログラムからの要求に応じて必要なデータをストレージ装置4にリード/ライトする。
【0017】
管理端末3は、ストレージ装置4の管理者が使用するコンピュータ装置である。管理端末3は、管理者の操作や実装されたプログラムからの要求に応じてストレージ装置4に対して必要なAPI(Application Programming Interface)の呼び出しを行ったり、ストレージ装置4から与えられた画面データに基づいて、
図2について後述する電力要件参照・変更画面20などの各種GUI(Graphical User Interface)画面を表示する。
【0018】
ストレージ装置4は、ホストコンピュータ2に対してデータをリード/ライトするための記憶領域を提供する記憶装置である。ストレージ装置4は、各ホストコンピュータ2にそれぞれ対応させて設けられたホストインタフェース10、CPU11、メモリ12及びスイッチ13と、複数のドライブ14と、通信装置15と、これらホストインタフェース10、CPU11、メモリ12、スイッチ13、ドライブ14及び通信装置15間を相互に接続する内部パス16とを備えて構成される。
【0019】
ホストインタフェース10は、例えばNIC(Network Interface Card)などから構成され、ストレージ装置4が図示しないネットワークを介してホストコンピュータ2と通信する際のプロトコル制御などを行う。
【0020】
CPU11は、ストレージ装置4全体の動作制御を司るプロセッサである。またメモリ12は、例えば揮発性の半導体メモリなどから構成され、CPU11のワーキングメモリとして利用される。一部のドライブ14に格納されたプログラムや情報がストレージ装置4の起動時や必要時にメモリ12に読み出され、メモリ12に呼び出されたプログラムをCPU11が実行することにより、後述のようなストレージ装置4全体としての各種処理が実行される。
【0021】
ドライブ14は、例えばハードディス装置やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の大容量の記憶装置から構成され、ホストコンピュータ2からのデータをリード/ライトするための記憶領域を提供する。
【0022】
スイッチ13は、CPU11及び各ドライブ14間に接続された切替え装置であり、CPU11の指示に従ってCPU11の接続先のドライブ14を切り替える。これによりCPU11は、所望するドライブ14が提供する記憶領域にデータをリード/ライトすることができる。
【0023】
通信装置15は、例えばLAN(Local Area Network)カードなどから構成され、図示しないLAN等を介して接続された管理端末3との通信時におけるプロトコル制御を行う。
【0024】
(2)本実施の形態による電力制御機能
次に、ストレージ装置4に実装された本実施の形態の電力制御機能について説明する。これに際して、まず、管理者がストレージ装置4の電力制御のためにそのストレージ装置4に対して事前に設定する各種要件(以下、これを電力要件と呼ぶ)の内容について説明する。
【0025】
本実施の形態のストレージシステム1の場合、管理者は、管理端末3を操作することにより、ストレージ装置4の消費電力の上限値又はストレージ装置4の省電力レベルと、低負荷時に自動的に消費電力量を下げる機能(以下、これを低負荷時自動電力削減機能と呼ぶ)の有効/無効とを、かかる電力要件として設定することができる。
【0026】
なお、ここでの「省電力レベル」とは、ストレージ装置4を構成する部品のうち、ホストインタフェース10、CPU11、メモリ12、ドライブ14及び内部パス16など、その性能を低下させることで消費電力を抑制可能な部品(以下、これを消費電力抑制可能部品と呼ぶ)の性能を低下させることによりストレージ装置4を省電力化させる際の省電力のレベルをいう。
【0027】
省電力レベルは、ストレージ装置4の複数段階に区分された消費電力の電力範囲とそれぞれ対応させて定義される。なお、ここでの「ストレージ装置の消費電力」とは、そのストレージ装置4に搭載されたすべての消費電力抑制可能部品の消費電力の合計値をいう。以下においても同様である。本実施の形態の場合、かかる省電力レベルとして、レベル0~レベル3の4つのレベルが定義されるものとする。
【0028】
レベル0は、ストレージ装置4内の各消費電力抑制可能部品の性能を最大限に発揮させる(つまり各消費電力抑制可能部品の性能を一切落とさない)省電力レベルである。以下においては、省電力レベルがレベル0の場合のストレージ装置4の消費電力が1500W~1800W程度であるものとする。
【0029】
またレベル1は、ストレージ装置4を構成する消費電力抑制可能部品のうちの一部又は全部の性能を低下させる省電力レベルであり、ストレージ装置4の消費電力が例えば1200W~1500Wに抑制される。
【0030】
さらにレベル2は、ストレージ装置4を構成する消費電力抑制可能部品のうちの一部又は全部の性能をレベル1よりもさらに低下させる省電力レベルであり、ストレージ装置4の消費電力が例えば1000W~1200Wに抑制される。
【0031】
さらにレベル3は、ストレージ装置4を構成する消費電力抑制可能部品のうちの一部又は全部の性能をレベル2よりもさらに低下させる省電力レベルであり、ストレージ装置4の消費電力が例えば0W~1000Wに抑制される。
【0032】
また低負荷時自動電力削減機能における「低負荷時」とは、所定期間(例えば5分間)におけるホストコンピュータ2からのI/O数が予め設定された閾値以下の状態を指す。本実施の形態の場合、「消費電力量を下げる」方法として、ストレージ装置4に登載されたすべての消費電力抑制可能部品の性能を最低レベルに引き下げる方法が適用される。
【0033】
図2は、所定操作により管理端末3に表示させ得る電力要件参照・変更画面20の画面構成例を示す。この電力要件参照・変更画面20は、管理者が、ストレージ装置4に現在設定されている電力要件の設定内容を参照したり、その設定内容を変更するための画面である。
【0034】
この
図2に示すように、電力要件参照・変更画面20は、現在設定表示領域21と、設定変更領域22と、OKボタン23及びキャンセルボタン24とを備えて構成される。
【0035】
そして現在設定表示領域21には、ストレージ装置4に現在設定されている電力要件の設定内容が表示される。
図2では、電力要件として、ストレージ装置4の消費電力の上限値と、低負荷時自動電力削減機能の設定値(ここでは「有効」)とがそのストレージ装置4に設定されているときの表示例が示されている。
【0036】
また設定変更領域22には、ストレージ装置4の1つ目の電力要件である通常時のストレージ装置4の電力制御方法(以下、これを通常時電力制御方法と呼ぶ)の選択肢として用意された第1~第3の電力制御方法にそれぞれ対応させて、第1~第3のラジオボタン25A~25Cが表示される。
【0037】
第1の電力制御方法は、ストレージ装置4の電力要件の設定を無効とする(つまりストレージ装置4の消費電力を抑制しない)電力制御方法である。管理者は、第1のラジオボタン25Aをクリックするようにしてその表示状態を選択状態に遷移させることにより、ストレージ装置4に設定する通常時電力制御方法として第1の電力制御方法を指定することができる。
【0038】
また第2の電力制御方法は、管理者が指定した上限値以下となるようにストレージ装置4の消費電力を制御する電力制御方法である。このため設定変更領域22には、第2のラジオボタン25Bと対応させてテキストボックス26が設けられている。
【0039】
そして管理者は、ストレージ装置4の消費電力の上限値として所望する数値をこのテキストボックス26内に入力すると共に、第2のラジオボタン25Bをクリックするようにしてその表示状態を選択状態に遷移させることにより、ストレージ装置4に設定する通常時電力制御方法として第2の電力制御方法を指定することができる。
【0040】
さらに第3の電力制御方法は、ストレージ装置4の消費電力を管理者が指定した省電力レベルに設定する電力制御方法である。本実施の形態の場合、上述のようにストレージ装置の省電力レベルとして、レベル0~レベル3の4つのレベルがある。
【0041】
そして設定変更領域22には、第3のラジオボタン25Cと対応させてプルダウンメニューボタン27が設けられている。また、このプルダウンメニューボタン27をクリックしたときに表示される図示しないプルダウンメニューには4つの省電力レベルの名称(レベル0~レベル3)が表記されている。そして、これら4つの省電力レベルの名称の中から所望する省電力レベルの名称を選択することによって、ストレージ装置4に設定する省電力レベルとしてその省電力レベルを指定できるようになされている。このとき指定された省電力レベルがプルダウンメニューボタン27の左側に配置された省電力レベル表示ボックス28に表示される。
【0042】
かくして管理者は、上述のようにしてストレージ装置4に設定する省電力レベルとして所望する省電力レベルを指定すると共に、第3のラジオボタン25Cをクリックするようにしてその表示状態を選択状態に遷移させることにより、ストレージ装置4に設定する通常時電力制御方法として第3の電力制御方法を指定することができる。
【0043】
さらに設定変更領域22には、チェックボックス29が設けられており、このチェックボックス29をクリックするようにして当該チェックボックス29内にチェックマーク29Aを表示させることにより、ストレージ装置4に設定すべきもう1つの電力要件である上述の低負荷時自動電力削減機能の設定値として、「有効」を指定することができるようになされている。
【0044】
そして管理者は、上述のようにしてストレージ装置4に設定する通常時電力制御方法として第1~第3の電力制御方法の中から所望する電力制御種別を指定すると共に、必要に応じてストレージ装置4の消費電力の上限値や省電力レベルを指定し、さらに低負荷時自動電力削減機能の有効/無効を指定した上でOKボタン23をクリックすることにより、これらの指定内容を電力要件情報としてストレージ装置4に送信させることができる。
【0045】
また管理者は、キャンセルボタン24をクリックすることによって、それまでに電力要件参照・変更画面20上で行った各種の指定をすべて破棄した上で、この電力要件参照・変更画面20を閉じさせることができる。
【0046】
一方、ストレージ装置4は、かかる電力要件情報が管理端末3から与えられると、この電力要件情報の内容に従って、各消費電力抑制可能部品の動作モードを電力要件情報の内容に従った性能レベルの動作モードにそれぞれ設定することにより、管理者により指定された上限値以内又は管理者により指定された省電力レベルの範囲内に自身の消費電力を抑制する。以下においては、このようなストレージ装置4の機能を本実施の形態の電力制御機能と呼ぶ。
【0047】
このような本実施の形態の電力制御機能を実現するための手段として、ストレージ装置4のメモリ12には、
図1に示すように、管理情報として装置構成管理テーブル30、消費電力管理テーブル31、省電力レベル管理テーブル32及び設定電力要件管理テーブル33が格納され、プログラムとして電力制御部34、管理GUI部35及び管理API部36が格納されている。
【0048】
装置構成管理テーブル30は、ストレージ装置4に搭載された各消費電力抑制可能部品を管理するために利用されるテーブルであり、事前に作成されてストレージ装置4に与えられる。
【0049】
この装置構成管理テーブル30は、
図3に示すように、部品種別欄30A、搭載位置欄30B及び部品種類欄30Cを備えて構成される。装置構成管理テーブル30では、部品種別欄30Aの1つのレコード(行)が、ストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品の1つの種別(以下、これを部品種別と呼ぶ)に対応する。
【0050】
そして部品種別欄30Aには、ストレージ装置4に実装された消費電力抑制可能部品の対応する部品種別が格納される。
【0051】
また搭載位置欄30B及び部品種類欄30Cは、それぞれ対応する部品種別の消費電力抑制可能部品が搭載されたスロットにそれぞれ対応させて区分されている。そして区分された各搭載位置欄30Bには、それぞれ対応するスロットの番号が格納され、区分された各部品種類欄30Cには、それぞれ対応するスロットに搭載された対応する部品種別の消費電力抑制可能部品の種類(以下、これを部品種類と呼ぶ)が格納される。
【0052】
従って、
図3の例の場合、例えば「Host I/F(ホストインタフェース)」という部品種別の消費電力抑制可能部品については、「#0」及び「#1」というスロットにそれぞれ搭載されたホストインタフェースの部品種類がいずれも転送速度が32Gbpsのファイバーチャネル(「32Gbps Fibre Channel」)であり、「#2」及び「#3」というスロットにそれぞれ搭載された部品種類がいずれも転送速度が100GbpsのiSCSI(「100Gbps iSCSI」)であることが示されている。
【0053】
消費電力管理テーブル31は、ストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品の部品種類ごとに、その性能レベルごとの消費電力が格納されたテーブルであり、事前に作成されてストレージ装置4に与えられる。
【0054】
この消費電力管理テーブル31は、部品種別欄31A、部品種類欄31B及び性能レベル毎消費電力欄31Cを備えて構成される。消費電力管理テーブル31では、部品種別欄31Aの1つのレコード(行)が1つの消費電力抑制可能部品の部品種別に対応する。
【0055】
そして部品種別欄31Aには、対応する消費電力抑制可能部品の部品種別がそれぞれ格納される。
図4では、消費電力抑制可能部品として、ストレージ装置4に「Host I/F」、「メモリ」、「ドライブ」、「CPU」及び「内部パス」が実装されていることが示されている。
【0056】
また部品種類欄31B及び性能レベル毎消費電力欄31Cは、対応する部品種別の消費電力抑制可能部品の実際にストレージ装置4に搭載された部品種類にそれぞれ対応させて区分されている。
【0057】
そして区分された各部品種類欄31Bには、それぞれ対応する消費電力抑制可能部品の対応する部品種類が格納される。
図4では、例えば「Host I/F」という消費電力抑制可能部品に関しては、「32Gbps Fibre Channel」という部品種類の「Host I/F」と、「100Gbps iSCSI」という部品種類の「Host I/F」とが実際にストレージ装置4に搭載されていることが示されている。
【0058】
さらに区分された各性能レベル毎消費電力欄31Cには、それぞれ対応する部品種別及び対応する部品種類の消費電力抑制可能部品の幾つかの性能レベルの動作モードごとの消費電力が格納される。
【0059】
図4では、例えば「Host I/F」の「32Gbps Fibre Channel」という消費電力抑制可能部品は、性能レベルが「0」(例えば、性能が370kIOPS)の動作モードでは消費電力が「24W」、性能レベルが「1」(例えば、性能が210kIOPS)の動作モードでは消費電力が「18W」、性能レベルが「2」(例えば、性能が110kIOPS)の動作モードでは消費電力が「8W」であることが示されている。
【0060】
また
図4では、「メモリ」の「64GB」という消費電力抑制可能部品は、性能レベルが「0」(データをリード/ライトできる通常状態)の動作モードでは消費電力が「10W」、性能レベルが「1」(データを保持しているがアクセスできない状態)の動作モードでは消費電力が「2W」であることが示されている。
【0061】
さらに
図4では、「ドライブ」の「8TB SSD」という消費電力抑制可能部品は、性能が「0」(パワーステートが最も高い状態)の動作モードでは消費電力が「18W」、性能が「1」(パワーステートが次に高い状態)の動作モードでは消費電力が「12W」、性能が「2」(パワーステートが下から2番目に高い状態)の動作モードでは消費電力が「8W」、性能が「3」(パワーステートが最も低い状態)の動作モードでは消費電力が「6W」であることが示されている。
【0062】
さらに
図4では、「CPU」という消費電力抑制可能部品は、動作周波数が「3.0GHz」の動作モードでは消費電力が「200W」、動作周波数が「2.4GHz」の動作モードでは消費電力が「160W」、動作周波数が「1.8GHz」の場合には消費電力が「130W」、動作周波数が「1.2GHz」の動作モードでは消費電力が「90W」であることが示されている。
【0063】
さらに
図4では、「内部パス」という消費電力抑制可能部品は、性能レベルが「0」(例えば、パスを4本使用する状態)の動作モードでは消費電力が「10W」、性能レベルが「1」(例えば、パスを3本使用する状態)の動作モードでは消費電力が「8W」、性能レベルが「2」(例えば、パスを1本使用する状態)の動作モードでは消費電力が「4W」であることが示されている。
【0064】
なお、消費電力管理テーブル31における各部品種別の各部品種類の性能レベルごとの消費電力は、その部品メーカが発表している消費電力を適用しても、また事前に計測したものを適用してもよい。
【0065】
省電力レベル管理テーブル32は、省電力レベルごとに各消費電力抑制可能部品の性能レベルをそれぞれどの性能レベルに設定すべきかといった情報が格納されたテーブルである。後述のように電力制御部34により作成される。
【0066】
この省電力レベル管理テーブル32は、
図5に示すように、省電力レベル欄32A及び消費電力欄32Bと、ストレージ装置4に実装された消費電力抑制可能部品の部品種別ごとの状態欄32Cとを備えて構成される。省電力レベル管理テーブル32では、1つのレコード(行)が1つの省電力レベルに対応する。
【0067】
そして省電力レベル欄32Aには、対応する省電力レベルの名称が格納され、消費電力欄32Bには、対応する省電力レベルにおけるストレージ装置4の消費電力の範囲が格納される。また各状態欄32Cには、それぞれ対応する省電力レベルが管理者により指定された場合に、対応する部品種別の消費電力抑制可能部品に対して設定すべき性能レベルが格納される。
【0068】
従って、
図5の例の場合、省電力レベルが「Lv0」の場合には、ストレージ装置4の消費電力が「1500~1800」Wに抑制され、そのときCPU11(
図1)は動作周波数が「3.0GHz」の動作モード、内部パス16(
図1)は性能レベルが「0」の動作モード、ドライブ14(
図1)は性能レベルが「0」の動作モード、ホストインタフェース10(
図1)は性能レベルが「0」の動作モード、メモリ12(
図1)は性能レベルが「0」の動作モードにそれぞれ設定すべきことが示されている。
【0069】
設定電力要件管理テーブル33は、
図2について上述した電力要件参照・変更画面20を用いて管理者が設定した電力要件の設定内容を管理するために利用されるテーブルであり、
図6に示すように、消費電力上限値/省電力レベル欄33A及び低負荷時自動電力削減機能欄33Bを備えて構成される。
【0070】
そして消費電力上限値/省電力レベル欄33Aには、管理者が設定した電力要件がストレージ装置4の消費電力の上限値である場合(管理者が設定した電力制御方法が上述の第2の電力制御方法である場合)には、その上限値を超えない電力範囲の省電力レベルの値が格納され、管理者が設定した電力要件が省電力レベルである場合(管理者が設定した電力制御方法が上述の第3の電力制御方法である場合)には、その省電力レベルの値が格納される。
【0071】
また低負荷時自動電力削減機能欄33Bには、管理者が設定した低負荷時自動電力削減機能の設定値を表す情報が格納される。
図6の例では、管理者が低負荷時自動電力削減機能を有効と指定した場合には「有効」、無効と指定した場合には「無効」が格納される。
【0072】
従って、
図6の例の場合、管理者が、電力要件として、省電力レベルを「2」に設定し、低負荷時自動電力削減機能については「無効」に設定したことが示されている。
【0073】
一方、電力制御部34(
図1)は、上述した本実施の形態の電力制御機能に関する各種処理を実行する機能を有するプログラムである。また管理GUI部35は、管理端末3からの要求に応じて
図2について上述した電力要件参照・変更画面20の画面データをその管理端末3に送信する機能を有する機能を有するプログラムである。この画面データに基づいて、管理端末3に
図2の電力要件参照・設定画面20が表示される。
【0074】
さらに管理API部36は、管理端末3から与えられた各種の要求や指示をストレージ装置4に実装された対応するプログラムに引き渡し、そのプログラムから通知されたその要求や指示の処理結果を管理端末3に送信する機能を有するプログラムである。
【0075】
この管理API部36は、かかる本実施の形態の電力制御機能に関連して、例えば
図7に示すような「状態取得」、「電力制御方法設定」、「低負荷時電力削減機能設定」及び「低負荷時電力削減機能設定値取得」などの機能を備える。
【0076】
「状態取得」機能は、管理端末3が
図2について上述した電力要件参照・変更画面20を表示する際などに、その管理端末3から、現在のストレージ装置4の電力要件の設定内容を取得すべき旨の現在電力要件取得要求が与えられたときに実行される機能である。管理API部36は、この機能により、その現在電力要件取得要求を電力制御部34に引き渡し、その結果として電力制御部34から通知されるそのときストレージ装置4に設定されている電力制御方法(上述の第1~第3の電力制御方法)と、その設定値とを応答として管理端末3に送信する。
【0077】
なお、ここでの「電力制御方法の設定値」とは、電力制御方法として上述の第2の電力制御方法がストレージ装置4に設定されている場合はストレージ装置4の消費電力の上限値であり、電力制御方法として上述の第3の電力制御方法がストレージ装置4に設定されている場合は省電力レベルである。
【0078】
また「電力制御方法設定」機能は、上述の電力要件情報が管理端末3から与えられたときに実行される機能である。管理API部36は、この機能により、その電力要件情報に含まれるストレージ装置4に設定すべき電力制御方法(第1、第2又は第3の電力制御方法)及び設定値を入力して電力制御部34に引き渡す。また管理API部36は、その結果として電力制御部34から通知されるその設定が成功したか又は失敗したかの処理結果を管理端末3に送信する。
【0079】
「低負荷時電力削減機能設定」機能も、上述の電力要件情報が管理端末3から与えられたときに実行される機能である。管理API部36は、この機能により、その電力要件情報に含まれる低負荷時電力削減機能の設定値(ON/OFF)を電力制御部34に引き渡す。また管理API部36は、その結果として電力制御部34から通知されるその設定が成功したか又は失敗したかの処理結果を管理端末3に送信する。
【0080】
さらに「低負荷時電力削減設定値取得」機能は、上述の現在電力要件取得要求が管理端末3から与えられたときに実行される機能である。管理API部36は、この機能により、その現在電力要件取得要求を電力制御部34に引き渡し、その結果として電力制御部34から通知されるそのときの低負荷時電力削減機能の設定値を管理端末3に送信する。
【0081】
(3)本実施の形態の電力制御機能に関連して実行される各種処理
次に、かかる電力制御機能に関連してストレージ装置4内部において実行される各種処理の処理手順について説明する。なお、以下においては、各種処理の処理主体を「プログラム(電力制御部34)」として説明するが、実際上は、その「プログラム」に基づいてCPU11がその処理を実行することは言うまでもない。
【0082】
(3-1)電力要件設定処理
図8は、
図2について上述した電力要件参照・変更画面20上で管理者が指定したストレージ装置4の消費電力の上限値又は省電力レベルと、低負荷時自動電力削減機能の設定値(有効/無効)とが電力要件情報として管理端末3からストレージ装置4に与えられた場合にストレージ装置4の電力制御部34(
図1)により実行される一連の処理(以下、これを電力要件設定処理と呼ぶ)の流れを示す。
【0083】
ストレージ装置4がかかる電力要件情報を受信すると、この電力要件情報に含まれる、ストレージ装置4に設定すべき電力制御方法(第1、第2又は第3の電力制御方法)及び設定値と、低負荷時電力削減機能の設定値とが管理API部36から電力制御部34に引き渡される。
【0084】
そして電力制御部34は、これら電力制御方法及び設定値と、低負荷時電力削減機能の設定値とを受領すると、この
図8に示す電力要件設定処理を開始し、まず、管理者により指定された電力制御方法がストレージ装置4の消費電力の上限値の指定(第2の電力制御方法)であるか否かを判断する(S1)。そして電力制御部34は、この判断で否定結果を得ると、ステップS3に進む。
【0085】
これに対して電力制御部34は、ステップS1の判断で肯定結果を得ると、省電力レベル管理テーブル32(
図5)の各レコードの消費電力欄32B(
図5)を参照して、ストレージ装置4の消費電力が管理者により指定された上限値以下となる省電力レベルを選択する(S2)。
【0086】
例えば電力制御部34は、管理者により指定されたストレージ装置4の消費電力の上限値が「1200W」であった場合には省電力レベルとして「Lv2」を選択し、管理者により指定されたストレージ装置4の消費電力の上限値が「1300W」であった場合には省電力レベルとして「Lv1」を選択する。
【0087】
続いて、電力制御部34は、現在のストレージ装置4に設定されている省電力レベルを更新する(S3)。
【0088】
具体的に、電力制御部34は、ステップS1から直接ステップS3に進んだ場合には、設定電力要件管理テーブル33に登録されている省電力レベルを、管理API部36から引き渡された省電力レベルに更新する。また電力制御部34は、ステップS2からステップS3に進んだ場合には、設定電力要件管理テーブル33に登録されている省電力レベルを、ステップS2で選択した省電力レベルに更新する。
【0089】
さらに電力制御部34は、装置構成管理テーブル30(
図3)を参照して、ストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品のすべての部品種別を特定し、上述のようにして設定電力要件管理テーブル33上で更新した省電力レベルにおけるこれらの部品品種ごとの性能レベルを省電力レベル管理テーブル32(
図5)からそれぞれ取得する。そして電力制御部34は、各部品品種の消費電力抑制可能部品の動作モードを、上述のようにして取得した対応する性能レベルに応じた動作モードにそれぞれ設定する。
【0090】
次いで、電力制御部34は、設定電力要件管理テーブル33を参照して、ストレージ装置4において、現在、低負荷自動電力削減機能が「有効」に設定されているか否かを判断する(S4)。そして電力制御部34は、この判断で肯定結果を得ると、この電力要件設定処理を終了する。
【0091】
これに対して、電力制御部34は、ステップS4の判断で否定結果を得ると、ステップS3で更新した後の省電力レベルにおける各消費電力抑制可能部品の部品種別ごとの性能レベルを省電力レベル管理テーブル32からそれぞれ取得する(S5)。
【0092】
また電力制御部34は、装置構成管理テーブル30(
図3)を参照してストレージ装置4内の各消費電力抑制可能部品の搭載位置をそれぞれ確認し、これらの消費電力抑制可能部品の動作モードを、ステップS5で取得したその消費電力抑制可能部品の部品品種の性能レベルに応じた動作モードに設定する(S6)。そして電力制御部34は、この後、この電力制御処理を終了する。
【0093】
(3-2)省電力レベル管理テーブル作成処理
一方、
図9は、ストレージ装置4が初めて稼動したときや、ホストインタフェース10の交換又はドライブ14の増設などのストレージ装置4の構成変更があった後、最初に稼働したときなどに電力制御部34により実行される省電力レベル管理テーブル作成処理の処理の流れを示す。電力制御部34は、この
図9に示す処理手順に従って
図5について上述した省電力レベル管理テーブル32(
図5)を作成する。
【0094】
実際上、電力制御部34は、上述のタイミングでこの
図5に示す省電力レベル管理テーブル作成処理を開始すると、まず、装置構成管理テーブル30(
図3)及び消費電力管理テーブル31(
図4)を参照して、ストレージ装置4に搭載されたすべての消費電力抑制可能部品の性能を最高にした場合におけるストレージ装置4の消費電力を最大電力値として算出する(S10)。
【0095】
具体的に、電力制御部34は、装置構成管理テーブル30からストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品をすべて取得し、これらの消費電力抑制可能部品ごとに、その性能を最高にした場合の消費電力(
図4において性能レベルが「0」のときの消費電力)を消費電力管理テーブル31(
図4)からそれぞれ取得し、取得したこれらの消費電力抑制可能部品の消費電力を合算することにより、かかる最大電力値を算出する。
【0096】
続いて、電力制御部34は、装置構成管理テーブル30及び消費電力管理テーブル31を参照して、ストレージ装置4に搭載されたすべての消費電力抑制可能部品の性能を最低にした場合におけるストレージ装置4の消費電力を最小消費電力値として算出する(S11)。
【0097】
具体的に、電力制御部34は、装置構成管理テーブル30からストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品をすべて取得し、これらの消費電力抑制可能部品ごとに、その性能を最低にした場合の消費電力(
図4において性能レベルの数値がその部品種別及び部品種類で最大のときの消費電力)を消費電力管理テーブル31からそれぞれ取得し、取得したこれらの消費電力抑制可能部品の消費電力を合算することにより、かかる最小電力値を算出する。
【0098】
次いで、電力制御部34は、ステップS10で算出した最大電力値と、ステップS11で算出した最小電力値との間の中間の電力値を中間電力値として幾つか算出し(S12)、この後、各省電力レベルの電力範囲をそれぞれ決定する(S13)。
【0099】
具体的に、電力制御部34は、最大電力値から最も大きい中間電力値までをレベル0の省電力レベルの電力範囲とし、その中間電力値から次に大きい中間電力値までをレベル1の省電力レベルの電力範囲とし、……、最も小さい中間電力値から最小電力値までをレベルが最も大きい省電力レベルの電力範囲とするようにして、各省電力レベルの電力範囲を決定する。
【0100】
さらに電力制御部34は、省電力レベルごとに、ストレージ装置4の消費電力がその省電力レベルの電力範囲内に収まるように各消費電力抑制可能部品の性能レベルをそれぞれ算出し、省電力レベルごとに、算出した各消費電力抑制可能部品の性能レベルと、その省電力レベルの電力範囲とを省電力レベル管理テーブル32にそれぞれ登録する(S14)。そして電力制御部34は、この後、この省電力レベル管理テーブル作成処理を終了する。
【0101】
なお、ステップS14における電力制御部34の具体的な一連の処理(以下、これを部品毎性能レベル算出処理と呼ぶ)の処理内容を
図10に示す。電力制御部34は、省電力レベル管理テーブル作成処理のステップS14に進むと、この
図10に示す部品毎性能レベル算出処理を開始する。
【0102】
そして電力制御部34は、まず、ストレージ装置4に搭載されたすべての消費電力抑制可能部品の性能を最大とした状態を初期状態として、初期状態におけるこれら消費電力抑制可能部品の部品種別ごとの消費電力の合計値(以下、これを合計消費電力と呼ぶ)をそれぞれ算出する(S20)。
【0103】
続いて、電力制御部34は、合計消費電力が最も大きい部品種別を1つ選択し(S21)、ストレージ装置4に搭載されたステップS21で選択した部品種別(以下、これを選択部品種別と呼ぶ)のすべての消費電力抑制可能部品の性能レベルを1段階下げた場合のストレージ装置4の消費電力を算出する(S22)。
【0104】
次いで、電力制御部は、ステップS22で算出したストレージ装置4の消費電力が、そのとき対象とする省電力レベルの省電力レベルの電力範囲内にあるか否かを判断する(S23)。なお、最初のステップS23で対象とする省電力レベルは、レベル0の省電力レベルである。
【0105】
電力制御部34は、この判断で否定結果を得るとステップS21に戻り、この後、ステップS23で肯定結果を得るまでステップS21~ステップS23の処理を繰り返す。この繰返し処理により、ステップS22で算出されるストレージ装置4の消費電力が徐々に少なくなっていく。
【0106】
そして電力制御部34は、やがてステップS22で算出したストレージ装置4の消費電力が、そのとき対象としている省電力レベルの電力範囲を超えて1段階下の省電力レベルの電力範囲内に入ることによりステップS23で肯定結果を得ると、そのときの部品種別ごとの消費電力抑制可能部品の性能レベルをそれぞれ特定する(S24)。
【0107】
また電力制御部34は、現在対象としている省電力レベルについて、ステップS24で特定した部品種別ごとの性能レベルと、当該省電力レベルの電力範囲とを省電力レベル管理テーブル32に登録する(S25)。さらに電力制御部34は、すべての省電力レベルについてステップS22~ステップS25の処理を実行し終えたか否かを判断する(S26)。
【0108】
そして電力制御部34は、この判断で否定結果を得ると、それまで対象としていた省電力レベルよりも1段階下の省電力レベル(電力範囲が1段階下の省電力レベル)を次の対象に切り替え(S27)、この後、ステップS21~ステップS27処理を上述と同様に実行する。
【0109】
さらに電力制御部34は、以上のステップS21~ステップS27の処理を、ステップS26で肯定結果を得るまで同様に実行する。この繰返し処理により、各省電力レベルにおける消費電力抑制可能部品の部品種別ごとの性能レベルがそれぞれ特定されて省電力レベル管理テーブル32に登録されていく。
【0110】
そして電力制御部34は、やがてすべての省電力レベルにおける消費電力抑制可能部品の部品種別ごとの性能レベルを省電力レベル管理テーブル32に登録し終えることによりステップS26で肯定結果を得ると、この部品毎性能レベル算出処理を終了する。
【0111】
(3-3)低負荷時自動電力削減要否判定処理
他方、
図11は、電力制御部34により定期的(例えば5分~10分周期)に実行される低負荷時自動電力削減要否判定処理の流れを示す。電力制御部34は、この
図11に示す処理手順に従って、ストレージ装置4の負荷を定期的に監視し、監視結果に基づいて各消費電力抑制可能部品の性能レベルを適宜変更する。
【0112】
実際上、電力制御部34は、この低負荷時自動電力削減要否判定処理を開始すると、まず、設定電力要件管理テーブル33(
図6)を参照して、ストレージ装置4の低負荷時自動電力削減機能が、現在、「有効」に設定されているか否かを判断する(S30)。そして電力制御部34は、この判断で否定結果を得るとこの低負荷時自動電力削減要否判定処理を終了する。
【0113】
これに対して、電力制御部34は、ステップS30の判断で肯定結果を得ると、ストレージ装置4の現在の負荷が大きい(低負荷時ではない)か否かを判断する(S31)。そして電力制御部34は、この判断で肯定結果を得ると、各消費電力抑制可能部品の動作モードを、そのときストレージ装置4に設定されている省電力レベルに応じた性能レベルの動作モードにそれぞれ再設定し(S32)、この後、この低負荷時自動電力削減要否判定処理を終了する。
【0114】
具体的に、電力制御部34は、設定電力要件管理テーブル33を参照して、ストレージ装置4に現在設定されている省電力レベルを取得する。また電力制御部34は、装置構成管理テーブル30(
図3)を参照して、ストレージ装置4に搭載された消費電力抑制可能部品のすべての部品種別を特定し、上述のようにして取得した省電力レベルにおけるこれらの部品品種ごとの性能レベルを省電力レベル管理テーブル32(
図5)からそれぞれ取得する。そして電力制御部34は、各部品品種の消費電力抑制可能部品の動作モードを、上述のようにして取得した対応する性能レベルに応じた動作モードにそれぞれ設定し、この後、この低負荷時自動電力削減要否判定処理を終了する。
【0115】
これに対して、電力制御部34は、ステップS31の判断で否定結果を得ると、ストレージ装置4が、低負荷時自動電力削減機能が解除(OFF)にされた状態の通常稼動中であり、かつ、低負荷の状態にあるか否かを判断する(S33)。そして電力制御部34は、この判断で否定結果を得ると、この低負荷時自動電力削減要否判定処理を終了する。
【0116】
これに対して、電力制御部34は、ステップS44の判断で肯定結果を得ると、ストレージ装置4に搭載されたすべての消費電力抑制可能部品の動作モードを、それぞれ性能が最も低い性能レベルに対応した動作モードに再設定し(S34)、この後、この低負荷時自動電力削減要否判定処理を終了する。
【0117】
(4)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態のストレージ装置4では、電力制御部34が、管理端末3から電力要件が通知された場合に、省電力レベル管理テーブル32を参照して、各消費電力抑制可能部品の動作モードを、その電力要件に応じた省電力レベルのその省電力抑制可能部品について定められた性能レベルに対応する動作モードに設定する。
【0118】
従って、本ストレージ装置4によれば、事前の準備やスケジュール作成などを必要とすることなく、ストレージ装置の消費電力を管理者により指定された省電力レベルに迅速に遷移させることができる。よって本ストレージ装置4によれば、電力制御を容易かつ迅速に行うことができる。
【0119】
また電力制御部34は、かかる電力要件において低負荷時自動電力削減機能が「有効」に設定されている場合には、各消費電力抑制可能部品の動作モードをそれぞれ性能レベルが最低の動作モードに設定する一方、ストレージ装置4の負荷を定期的に監視する。そして電力制御部34は、かかる負荷が閾値を超過した場合には、各消費電力抑制可能部品の動作モードを、管理端末から通知された電力要件に応じた省電力レベルのその省電力抑制可能部品について定められた性能レベルに対応する動作モードに設定する一方、ストレージ装置4の負荷が再度閾値以下となった場合には、各消費電力抑制可能部品の動作モードをそれぞれ性能レベルが最低の動作モードに戻す。
【0120】
従って、本ストレージ装置4によれば、ホストからのI/O(Input/Output)などの外部から与えられる負荷や、ガベージコレクションなどのストレージ装置内で行われる内部処理を抑制することなく、ストレージ装置の消費電力の削減を容易に行うことができる。
【0121】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、省電力レベルをレベル0~レベル3の4段階定義するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、省電力レベルを3段階又は5段階以上定義するようにしてもよい。
【0122】
また上述の実施の形態においては、本発明をストレージ装置4の電力制御に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の対象装置に広く適用することができる。
【0123】
さらに上述の実施の形態においては、電力制御部34をストレージ装置4に実装するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる電力制御部34をストレージ装置4とは別に設けられたコンピュータ装置に実装し、ストレージ装置4の電力制御をストレージ装置4の外部から行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、性能を下げることにより消費電力を抑制可能な部品が1又は複数搭載された装置の電力制御に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1……ストレージシステム、2……ホストコンピュータ、3……管理端末、4……ストレージ装置、10……ホストインタフェース、11……CPU、12……メモリ、13……スイッチ、14……ドライブ、16……内部パス、20……電力要件参照・変更画面、30……装置構成管理テーブル、31……消費電力管理テーブル、32……省電力レベル管理テーブル、33……設定電力要件管理テーブル、34……電力制御部、35……管理GUI部、36……管理API部。