(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015902
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】輸液制御装置、管理システム、保持装置、輸液制御システム、及び管理方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240130BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240130BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20240130BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20240130BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20240130BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/168 514
A61M5/168 550
A61M5/172
A61M5/14 500
A61G12/00 E
G16H20/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118280
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 めい
(72)【発明者】
【氏名】出水 俊
(72)【発明者】
【氏名】小宮 和磨
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 克哉
【テーマコード(参考)】
4C066
4C341
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066HH07
4C066QQ02
4C066QQ15
4C066QQ25
4C066QQ45
4C066QQ52
4C066QQ56
4C066QQ73
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
4C341LL10
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】輸液時に患者と医療従事者とが互いに通話しやすくなるようにする。
【解決手段】輸液制御装置は、チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する検出部と、前記検出部により得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整する制御部であって、外部の端末装置との音声通話を制御する制御部と、前記患者の音声を第1音声として取得する入力部と、前記入力部により取得された第1音声を第1音声データに変換するとともに、入力された第2音声データを第2音声に変換する変換部と、前記変換部により得られた第2音声を前記患者に向けて出力する出力部と、前記音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記変換部から取得して前記外部の端末装置に送信するとともに、前記第2音声データを前記外部の端末装置から受信して前記変換部に入力する通信部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する検出部と、
前記検出部により得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整する制御部であって、外部の端末装置との音声通話を制御する制御部と、
前記患者の音声を第1音声として取得する入力部と、
前記入力部により取得された第1音声を第1音声データに変換するとともに、入力された第2音声データを第2音声に変換する変換部と、
前記変換部により得られた第2音声を前記患者に向けて出力する出力部と、
前記音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記変換部から取得して前記外部の端末装置に送信するとともに、前記第2音声データを前記外部の端末装置から受信して前記変換部に入力する通信部と
を備える輸液制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声通話の開始を要求する要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御し、前記要求データに応じて前記音声通話の開始を承諾する応答データが前記通信部により受信されると、前記音声通話を開始する請求項1に記載の輸液制御装置。
【請求項3】
前記入力部は、前記音声通話の開始を要求する前記患者の操作を受け付け、
前記制御部は、前記入力部により受け付けられた操作に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項2に記載の輸液制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項2に記載の輸液制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記音声通話の開始を命令する命令データが前記通信部により受信されると、前記命令データに応じて前記音声通話を開始する請求項1に記載の輸液制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、得られた判定結果を前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項5に記載の輸液制御装置。
【請求項7】
箱状の筐体を更に備え、
前記入力部は、前記筐体に収容され、前記第1音声を取得するマイクロフォンを含み、
前記出力部は、前記筐体に収容され、前記第2音声を出力するスピーカを含み、
前記マイクロフォン及び前記スピーカは、前記筐体の、前記輸液剤が点滴される際の下端に相当する位置に配置される請求項1に記載の輸液制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の輸液制御装置と、
ナースコールを着信するとともに、前記輸液制御装置と前記音声通話を行う端末装置と
を備える管理システム。
【請求項9】
チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出して得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整する少なくとも1つの輸液制御装置を保持する保持部と、
外部の端末装置との音声通話を制御する制御部と、
前記患者の音声を第1音声として取得する入力部と、
前記入力部により取得された第1音声を第1音声データに変換するとともに、入力された第2音声データを第2音声に変換する変換部と、
前記変換部により得られた第2音声を前記患者に向けて出力する出力部と、
前記音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記変換部から取得して前記外部の端末装置に送信するとともに、前記第2音声データを前記外部の端末装置から受信して前記変換部に入力する通信部と
を備える保持装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記音声通話の開始を要求する要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御し、前記要求データに応じて前記音声通話の開始を承諾する応答データが前記通信部により受信されると、前記音声通話を開始する請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記入力部は、前記音声通話の開始を要求する前記患者の操作を受け付け、
前記制御部は、前記入力部により受け付けられた操作に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項10に記載の保持装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの輸液制御装置は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置からの通知に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項10に記載の保持装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記音声通話の開始を命令する命令データが前記通信部により受信されると、前記命令データに応じて前記音声通話を開始する請求項9に記載の保持装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの輸液制御装置は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、得られた判定結果を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置からの通知に応じて、前記判定結果を前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する請求項13に記載の保持装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置が前記音声通話を行う機能を持っていると判定すると、前記少なくとも1つの輸液制御装置を制御して当該機能を無効化する請求項9に記載の保持装置。
【請求項16】
前記保持部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置として、複数の輸液制御装置を保持する請求項9に記載の保持装置。
【請求項17】
請求項9から請求項16のいずれか1項に記載の保持装置と、
前記少なくとも1つの輸液制御装置と
を備える輸液制御システム。
【請求項18】
請求項17に記載の輸液制御システムと、
ナースコールを着信するとともに、前記保持装置と前記音声通話を行う端末装置と
を備える管理システム。
【請求項19】
輸液制御装置が、チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出して得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整し、
前記輸液制御装置又は前記輸液制御装置を保持する保持装置が、前記患者の音声を第1音声として取得し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第1音声を第1音声データに変換し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、外部の端末装置との音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記外部の端末装置に送信するとともに、第2音声データを前記外部の端末装置から受信し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第2音声データを第2音声に変換し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第2音声を前記患者に向けて出力する管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸液制御装置、管理システム、保持装置、輸液制御システム、及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安定した流量で患者に輸液するために輸液ポンプ又は輸液コントローラが使用される。輸液ポンプは、フィンガーによるチューブのしごきで薬液を送り出す。輸液ポンプのメリットとしては、流量精度が高く、厳密な輸液の流量の管理が可能になること、及びハイリスク液含め、多くの薬剤に対して使用可能であることが挙げられる。輸液コントローラは、電動クレンメによる自然滴下式の機械制御を行う。輸液コントローラのメリットとしては、気圧以上の陽圧がかからないため、血管に優しく、血管外漏出リスクが小さいこと、及び輸液ポンプと比べてコンパクトであることが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、発光部と受光部とを有する液位検出部と、警報部を有する本体とにより構成され、液位検出部が電源部と連結され、警報部がナースコールを経てナースセンターに連結されるとともに警報ランプ及び警報ブザーに連結された輸液管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入院中の患者は、入院又は検査で病状にショックを受けていたり、生活環境変化によって不安を感じやすくなっていたりする。特に輸液時は、コミュニケーション又は声掛けが不足すると、患者の不安感が増大しやすい。患者はナースコールで看護師を呼び出すこともできるが、ルーム単位のナースコールの場合、夜間又は食事中など、状況によっては遠慮してしまうことがある。
【0006】
本開示の目的は、輸液時に患者と医療従事者とが互いに通話しやすくなるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の幾つかの態様を以下に示す。
【0008】
[1]
チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する検出部と、
前記検出部により得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整する制御部であって、外部の端末装置との音声通話を制御する制御部と、
前記患者の音声を第1音声として取得する入力部と、
前記入力部により取得された第1音声を第1音声データに変換するとともに、入力された第2音声データを第2音声に変換する変換部と、
前記変換部により得られた第2音声を前記患者に向けて出力する出力部と、
前記音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記変換部から取得して前記外部の端末装置に送信するとともに、前記第2音声データを前記外部の端末装置から受信して前記変換部に入力する通信部と
を備える輸液制御装置。
【0009】
[2]
前記制御部は、前記音声通話の開始を要求する要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御し、前記要求データに応じて前記音声通話の開始を承諾する応答データが前記通信部により受信されると、前記音声通話を開始する[1]に記載の輸液制御装置。
【0010】
[3]
前記入力部は、前記音声通話の開始を要求する前記患者の操作を受け付け、
前記制御部は、前記入力部により受け付けられた操作に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[2]に記載の輸液制御装置。
【0011】
[4]
前記制御部は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[2]に記載の輸液制御装置。
【0012】
[5]
前記制御部は、前記音声通話の開始を命令する命令データが前記通信部により受信されると、前記命令データに応じて前記音声通話を開始する[1]に記載の輸液制御装置。
【0013】
[6]
前記制御部は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、得られた判定結果を前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[5]に記載の輸液制御装置。
【0014】
[7]
箱状の筐体を更に備え、
前記入力部は、前記筐体に収容され、前記第1音声を取得するマイクロフォンを含み、
前記出力部は、前記筐体に収容され、前記第2音声を出力するスピーカを含み、
前記マイクロフォン及び前記スピーカは、前記筐体の、前記輸液剤が点滴される際の下端に相当する位置に配置される[1]から[6]のいずれか1項に記載の輸液制御装置。
【0015】
[8]
[1]から[7]のいずれか1項に記載の輸液制御装置と、
ナースコールを着信するとともに、前記輸液制御装置と前記音声通話を行う端末装置と
を備える管理システム。
【0016】
[9]
チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出して得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整する少なくとも1つの輸液制御装置を保持する保持部と、
外部の端末装置との音声通話を制御する制御部と、
前記患者の音声を第1音声として取得する入力部と、
前記入力部により取得された第1音声を第1音声データに変換するとともに、入力された第2音声データを第2音声に変換する変換部と、
前記変換部により得られた第2音声を前記患者に向けて出力する出力部と、
前記音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記変換部から取得して前記外部の端末装置に送信するとともに、前記第2音声データを前記外部の端末装置から受信して前記変換部に入力する通信部と
を備える保持装置。
【0017】
[10]
前記制御部は、前記音声通話の開始を要求する要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御し、前記要求データに応じて前記音声通話の開始を承諾する応答データが前記通信部により受信されると、前記音声通話を開始する[9]に記載の保持装置。
【0018】
[11]
前記入力部は、前記音声通話の開始を要求する前記患者の操作を受け付け、
前記制御部は、前記入力部により受け付けられた操作に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[10]に記載の保持装置。
【0019】
[12]
前記少なくとも1つの輸液制御装置は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置からの通知に応じて、前記要求データを前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[10]に記載の保持装置。
【0020】
[13]
前記制御部は、前記音声通話の開始を命令する命令データが前記通信部により受信されると、前記命令データに応じて前記音声通話を開始する[9]に記載の保持装置。
【0021】
[14]
前記少なくとも1つの輸液制御装置は、前記輸液剤が点滴されている間、前記輸液剤の投与量又は投与時間を計測し、設定された投与量又は投与時間までの残りが閾値以下になったと判定すると、得られた判定結果を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置からの通知に応じて、前記判定結果を前記外部の端末装置に送信するよう前記通信部を制御する[13]に記載の保持装置。
【0022】
[15]
前記制御部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置が前記音声通話を行う機能を持っていると判定すると、前記少なくとも1つの輸液制御装置を制御して当該機能を無効化する[9]から[14]のいずれか1項に記載の保持装置。
【0023】
[16]
前記保持部は、前記少なくとも1つの輸液制御装置として、複数の輸液制御装置を保持する[9]から[15]のいずれか1項に記載の保持装置。
【0024】
[17]
[9]から[16]のいずれか1項に記載の保持装置と、
前記少なくとも1つの輸液制御装置と
を備える輸液制御システム。
【0025】
[18]
[17]に記載の輸液制御システムと、
ナースコールを着信するとともに、前記保持装置と前記音声通話を行う端末装置と
を備える管理システム。
【0026】
[19]
輸液制御装置が、チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出して得られた検出結果に基づき、前記チューブを押圧する押圧機構を制御して前記輸液剤の滴下速度を調整し、
前記輸液制御装置又は前記輸液制御装置を保持する保持装置が、前記患者の音声を第1音声として取得し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第1音声を第1音声データに変換し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、外部の端末装置との音声通話の開始から終了までの間、前記第1音声データを前記外部の端末装置に送信するとともに、第2音声データを前記外部の端末装置から受信し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第2音声データを第2音声に変換し、
前記輸液制御装置又は前記保持装置が、前記第2音声を前記患者に向けて出力する管理方法。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、輸液時に患者と医療従事者とが互いに通話しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の実施形態に係る管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る輸液制御装置の適用例を示す斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るナースコールシステムの第1構成例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るナースコールシステムの第2構成例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るナースコールシステムの第3構成例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るステータス表示の例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るタスク管理表の例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る輸液制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態の変形例に係る管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】本開示の実施形態の変形例に係る輸液制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態について、図を参照して説明する。
【0030】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0031】
図1を参照して、本実施形態に係る管理システム10の構成を説明する。
【0032】
管理システム10は、少なくとも1つの輸液制御装置20と、ナースコールシステム30と、少なくとも1つの管理装置40とを備える。ナースコールシステム30は、少なくとも1つの端末装置31と、少なくとも1つの表示装置32とを備える。輸液制御装置20は、ネットワーク50を介して端末装置31、表示装置32、及び管理装置40と通信を行う。管理装置40は、ネットワーク50を介して端末装置31及び表示装置32と通信を行ってもよい。
【0033】
輸液制御装置20、端末装置31、表示装置32、及び管理装置40は、本実施形態では病院などの医療施設で使用されるが、介護施設など、他の種類の施設で使用されてもよい。輸液制御装置20は、安定した流量で患者に輸液するための機械制御を行う装置であり、例えば、輸液コントローラである。端末装置31は、看護師などの医療従事者により使用される装置であり、例えば、ナースコール端末、PDA端末、携帯電話機、又はスマートフォンである。「PDA」は、personal digital assistantの略語である。表示装置32は、看護師などの医療従事者に向けて情報を表示する装置であり、例えば、タブレット又はモニタ付きPCである。「PC」は、personal computerの略語である。管理装置40は、電子カルテなどのデータを管理する装置であり、例えば、電子カルテ端末である。
【0034】
ネットワーク50は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの任意の組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク50は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0035】
図1を参照して、本実施形態に係る輸液制御装置20の構成を説明する。
【0036】
輸液制御装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、変換部24と、入力部25と、出力部26と、検出部27と、押圧機構28とを備える。
【0037】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部21は、輸液制御装置20の各部を制御しながら、輸液制御装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0038】
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM、ROM、又はフラッシュメモリである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。フラッシュメモリは、例えば、SSDである。「SSD」は、solid-state driveの略語である。磁気メモリは、例えば、HDDである。「HDD」は、hard disk driveの略語である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、輸液制御装置20の動作に用いられるデータと、輸液制御装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0039】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G規格、若しくは5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、IEEE802.11などの無線LAN通信規格に対応したインタフェース、又はEthernet(登録商標)などの有線LAN通信規格に対応したインタフェースである。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th generationの略語である。「5G」は、5th generationの略語である。「IEEE」は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略称である。通信部23は、端末装置31、表示装置32、及び管理装置40と通信を行う。通信部23は、輸液制御装置20の動作に用いられるデータを受信し、また輸液制御装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0040】
変換部24は、アナログデジタル変換回路と、DSPなどの信号処理回路と、デジタルアナログ変換回路とを含む。「DSP」は、digital signal processorの略語である。変換部24は、増幅器を更に含んでもよい。変換部24は、音声のアナログ信号をデジタルデータに変換し、また音声のデジタルデータをアナログ信号に変換する。
【0041】
入力部25は、マイクロフォン25Aを含む。入力部25は、他の入力用インタフェースを更に含んでもよい。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、又はディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンである。入力部25は、輸液制御装置20の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。マイクロフォン25Aは、患者の音声を第1音声V1として取得する。
【0042】
出力部26は、スピーカ26Aを含む。出力部26は、他の出力用インタフェースを更に含んでもよい。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electroluminescentの略語である。出力部26は、輸液制御装置20の動作によって得られるデータを出力する。スピーカ26Aは、看護師などの医療従事者の音声を第2音声V2として出力する。
【0043】
検出部27は、少なくとも1つのセンサを含む。センサは、例えば、赤外線センサなどの光センサ、又は超音波センサである。検出部27は、輸液剤の液滴を検出する。
【0044】
押圧機構28は、電動クレンメを含む。電動クレンメによれば、輸液バッグと人体との高低差、輸液セットの針の太さ、液体の粘度、又は輸液バッグの経時的な液面高さの変化に起因する流量の不安定化を回避することができる。押圧機構28は、輸液制御装置20に備えられる代わりに、外部機構として輸液制御装置20に接続されてもよい。
【0045】
輸液制御装置20の少なくとも一部の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、輸液制御装置20の少なくとも一部の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、輸液制御装置20の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを輸液制御装置20として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って輸液制御装置20の動作を実行することにより輸液制御装置20として機能する。
【0046】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0047】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0048】
輸液制御装置20の一部又は全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、輸液制御装置20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0049】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0050】
輸液制御装置20の検出部27は、チューブ12を通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する。輸液制御装置20の押圧機構28は、チューブ12を押圧する。輸液制御装置20の制御部21は、検出部27により得られた検出結果に基づき、押圧機構28を制御して輸液剤の滴下速度を調整する。
【0051】
輸液制御装置20の制御部21は、外部装置である端末装置31との音声通話VCを制御する。輸液制御装置20の入力部25は、第1音声V1を取得する。輸液制御装置20の変換部24は、入力部25により取得された第1音声V1を第1音声データD1に変換する。輸液制御装置20の通信部23は、音声通話VCの開始から終了までの間、第1音声データD1を変換部24から取得して端末装置31に送信するとともに、第2音声データD2を端末装置31から受信して変換部24に入力する。変換部24は、入力された第2音声データD2を第2音声V2に変換する。輸液制御装置20の出力部26は、変換部24により得られた第2音声V2を患者に向けて出力する。
【0052】
本実施形態によれば、輸液時に患者と医療従事者とが互いに通話しやすくなる。例えば、入院中の患者がルーム単位のナースコールの使用を遠慮してしまう状況でも、患者と看護師とが必要に応じて個別に通話することができる。
【0053】
図2を参照して、輸液制御装置20の適用例を説明する。
【0054】
この例では、輸液制御装置20は、箱状の筐体20Aを更に備える。筐体20Aには、マイクロフォン25A及びスピーカ26Aが収容されている。筐体20Aには、検出部27及び押圧機構28も少なくとも部分的に収容されている。筐体20Aには、制御部21、記憶部22、通信部23、及び変換部24が更に収容されていてもよい。筐体20Aには、輸液制御装置20の電源として電池が更に収容されていてもよい。
【0055】
マイクロフォン25Aは、筐体20Aの、輸液剤が点滴される際の下端20Dに相当する位置に配置されている。そのため、患者が寝ているときにマイクロフォン25Aが患者の音声を取得しやすい。これは、患者が寝ているときは輸液制御装置20が患者の顔よりも高い位置にあると考えられるからである。マイクロフォン25Aは、より具体的には、筐体20Aの下端20Dのエッジ部分に配置されている。そのため、患者が徒歩又は車椅子で移動しているときでもマイクロフォン25Aが患者の音声を取得しやすい。これは、患者が移動しているときは輸液制御装置20が患者の顔よりも低い位置又は顔と同じくらいの高さにあると考えられるからである。
【0056】
スピーカ26Aも、筐体20Aの、輸液剤が点滴される際の下端20Dに相当する位置に配置されている。そのため、患者が寝ているときにスピーカ26Aから出力される音声が聞こえやすい。スピーカ26Aも、より具体的には、筐体20Aの下端20Dのエッジ部分に配置されている。そのため、患者が徒歩又は車椅子で移動しているときでもスピーカ26Aから出力される音声が聞こえやすい。
【0057】
図2に示した例では、点滴筒11及びチューブ12を介して患者の体内に生理食塩水又は栄養剤などの液体が注入される。筐体20Aは、点滴筒11を収容する点滴筒収容部20Bと、チューブ12の上端周辺部分を収容するチューブ収容部20Cとを有する。
【0058】
点滴筒11は、流入部11Aと、滴下部11Bと、流出部11Cとを有する。流入部11A、滴下部11B、及び流出部11Cは、鉛直方向下側に向けてこの順に並ぶように配置される。流出部11Cは、チューブ12の上端部に連結する。輸液バッグなどの液体容器から流入部11Aを通って点滴筒11内に流入した液体は、滴下部11B内で滴下し、流出部11Cを通って点滴筒11内から流出し、チューブ12を通って患者の体内に注入される。滴下部11B内で滴下する液体の滴下量は、患者の体内に注入される液体の流量、すなわち、輸液の流量に一致する。
【0059】
検出部27は、滴下部11B内で滴下する液体を検出する。押圧機構28は、電動クレンメとして機能するのであれば、どのように構成されていてもよいが、
図2に示した例では、カム28Aと、押圧部材28Bと、電動モータ28Cと、減速機28Dとを有する。制御部21は、検出部27の検出結果に応じて、電動モータ28Cの出力軸の回転方向、回転位置、及び回転速度を制御することで、カム28Aの回転を制御する。減速機28Dは、電動モータ28Cの出力軸の回転を、回転数を落としてカム28Aに伝える。電動モータ28Cによれば、カム28Aを360°などの広い角度範囲で使用でき、角度も制御しやすい。カム28Aの外周面は、カム28Aの回転に伴って回転軸線Oを中心に回転する。押圧部材28Bは、カム28Aの外周面によって押圧されることでチューブ12の対象部分12Aを押圧する。チューブ12の対象部分12Aは、押圧部材28Bによって片側から押圧されることで窄められて流量が減少するように、チューブ収容部20C内で移動を制限される。押圧部材28Bは、チューブ12の対象部分12Aを窄めて流量を減少させるように対象部分12Aに対して前進可能、かつチューブ12の対象部分12Aをその弾性力によって膨らませて流量を増加させるように対象部分12Aに対して後退可能に、筐体20Aに保持される。
【0060】
具体的には、制御部21は、検出部27の検出結果に応じて、カム28Aを周方向一方側と周方向他方側とに択一的に回転させる。カム28Aが周方向他方側に回転すると、カム28Aの外周面と押圧部材28Bの後端部との接点での半径が増加することにより、押圧部材28Bの前端部に作用するチューブ12からの反力に抗して押圧部材28Bの後端部がカム28Aの外周面によって押圧される。その結果、押圧部材28Bが前進する。一方、カム28Aが周方向一方側に回転すると、カム28Aの外周面と押圧部材28Bの後端部との接点での半径が減少することにより、チューブ12からの押圧力によって押圧部材28Bが後退する。押圧部材28Bの後退動作を助けるために、押圧部材28Bを後退方向に付勢するバネなどの付勢部材を設けてもよい。
【0061】
図3を参照して、ナースコールシステム30の第1構成例を説明する。
【0062】
第1構成例では、ナースコールシステム30は、端末装置31及び表示装置32のほかに、多機能電話機33と、ボード型親機34と、呼出しボタン35Aと、表示灯35Bと、復旧ボタン35Cと、移動通信用基地局などのアンテナ装置36と、PBXなどの電話制御装置37と、ナースコール制御装置38と、スイッチなどのネットワーク機器39とを備える。「PBX」は、private branch exchangeの略語である。
【0063】
端末装置31は、看護師によって保持される。表示装置32、多機能電話機33、及びボード型親機34は、ナースステーションに設置される。表示装置32は、例えば、ボード型親機34の横に設置される。呼出しボタン35A、表示灯35B、及び復旧ボタン35Cは、病室、トイレ、又はその両方に設置される。アンテナ装置36及び電話制御装置37は、ナースステーション又はナースステーション近傍に設置される。ナースコール制御装置38及びネットワーク機器39は、医療施設内のサーバ室など、任意の場所に設置される。
【0064】
患者が呼出しボタン35Aを押すと、ナースコールの要求が呼出しボタン35Aからネットワーク機器39を介してナースコール制御装置38に送られるとともに、表示灯35Bが点灯する。ナースコール制御装置38は、ナースコールの要求を受けると、端末装置31及びボード型親機34に同時に通知を送る。端末装置31は、電話制御装置37及びアンテナ装置36を介して通知を受けると、着信音、バイブレーション、又はその両方でナースコールの着信を看護師に知らせる。ボード型親機34は、ネットワーク機器39を介して通知を受けると、着信音でナースコールの着信を看護師に知らせる。看護師が端末装置31又はボード型親機34でナースコールを受けると、患者及び看護師が互いに通話可能となる。看護師が病室又はトイレに駆けつけ、復旧ボタン35Cを押すと、表示灯35Bが消灯する。
【0065】
多機能電話機33は、電話制御装置37に接続しており、少なくとも内線電話に使用される。端末装置31は、ナースコールだけでなく、内線電話にも使用されてよい。
【0066】
図4を参照して、ナースコールシステム30の第2構成例を説明する。
【0067】
第2構成例では、ナースコールシステム30は、端末装置31及び表示装置32のほかに、多機能電話機33と、呼出しボタン35Aと、表示灯35Bと、復旧ボタン35Cと、移動通信用基地局などのアンテナ装置36と、PBXなどの電話制御装置37とを備える。
【0068】
端末装置31は、看護師によって保持される。表示装置32及び多機能電話機33は、ナースステーションに設置される。呼出しボタン35A、表示灯35B、及び復旧ボタン35Cは、病室、トイレ、又はその両方に設置される。アンテナ装置36は、ナースステーション又はナースステーション近傍に設置される。電話制御装置37は、医療施設内の任意の場所に設置される。
【0069】
患者が呼出しボタン35Aを押すと、ナースコールの要求が呼出しボタン35Aから電話制御装置37及びアンテナ装置36を介して端末装置31に送られるとともに、表示灯35Bが点灯する。端末装置31は、ナースコールの要求を受けると、着信音、バイブレーション、又はその両方でナースコールの着信を看護師に知らせる。看護師が端末装置31でナースコールを受けると、患者及び看護師が互いに通話可能となる。看護師が病室又はトイレに駆けつけ、復旧ボタン35Cを押すと、表示灯35Bが消灯する。
【0070】
多機能電話機33は、第1構成例と同様に、電話制御装置37に接続しており、少なくとも内線電話に使用される。端末装置31は、ナースコールだけでなく、内線電話にも使用されてよい。
【0071】
図5を参照して、ナースコールシステム30の第3構成例を説明する。
【0072】
第3構成例では、ナースコールシステム30は、端末装置31及び表示装置32のほかに、多機能電話機33と、呼出しボタン35Aと、表示灯35Bと、復旧ボタン35Cと、無線LAN用アクセスポイントなどのアンテナ装置36と、PBXなどの電話制御装置37と、ルーターなどのネットワーク機器39とを備える。
【0073】
端末装置31は、看護師によって保持される。表示装置32及び多機能電話機33は、ナースステーションに設置される。呼出しボタン35A、表示灯35B、及び復旧ボタン35Cは、病室、トイレ、又はその両方に設置される。アンテナ装置36及び電話制御装置37は、ナースステーション又はナースステーション近傍に設置される。ネットワーク機器39は、医療施設内のサーバ室など、任意の場所に設置される。
【0074】
患者が呼出しボタン35Aを押すと、ナースコールの要求が呼出しボタン35Aからネットワーク機器39及びアンテナ装置36を介して端末装置31に送られるとともに、表示灯35Bが点灯する。端末装置31は、ナースコールの要求を受けると、着信音、バイブレーション、又はその両方でナースコールの着信を看護師に知らせる。看護師が端末装置31でナースコールを受けると、患者及び看護師が互いに通話可能となる。看護師が病室又はトイレに駆けつけ、復旧ボタン35Cを押すと、表示灯35Bが消灯する。
【0075】
多機能電話機33は、第1構成例及び第2構成例と同様に、電話制御装置37に接続しており、少なくとも内線電話に使用される。端末装置31は、電話制御装置37には接続しないが、ナースコールだけでなく、IPネットワーク経由の内線電話にも使用されてよい。「IP」は、Internet Protocolの略語である。
【0076】
第1構成例から第3構成例のいずれにおいても、患者の輸液が開始すると、輸液制御装置20の制御部21は、患者の輸液時間、輸液量、及び輸液の残時間など、輸液のステータスに関する情報を表示装置32に送信するよう通信部23を制御する。表示装置32は、輸液のステータスに関する情報を受信すると、
図6に示すように、受信した情報を表示する。第3構成例では、同様の情報が端末装置31にも送信されてよい。端末装置31は、輸液のステータスに関する情報を受信すると、受信した情報を表示する。
【0077】
患者の輸液の残時間が5分などの予め設定された時間になると、輸液制御装置20の制御部21は、音声通話VCの開始を要求する要求データD3を端末装置31に送信するよう通信部23を制御する。端末装置31は、要求データD3を受信すると、ナースコールの着信時と同様に、着信音、バイブレーション、又はその両方で音声通話VCの着信を看護師に知らせる。看護師が端末装置31で音声通話VCを受けると、端末装置31は、要求データD3に応じて音声通話VCの開始を承諾する応答データD4を輸液制御装置20に送信する。輸液制御装置20の制御部21は、応答データD4が通信部23により受信されると、音声通話VCを開始する。その結果、患者及び看護師が互いに通話可能となる。例えば、看護師は、「A.A.さん、X分後に見に行きますね」などの声掛けを行うことができる。患者も、「はい、お願いします」などの返事をすることができる。
【0078】
患者の輸液の残時間が5分などの予め設定された時間になると、表示装置32は、タスク管理表を自動更新し、
図7に示すように、更新後のタスク管理表を輸液の残時間のアラートとともに表示する。タスク管理表は、例えば、当日における各患者の輸液終了予定時刻、及び各患者の輸液が実際に終了したかどうかなどの情報を含む。アラートは、例えば、「A.A.5分前」などのメッセージ、警告ランプの点灯、警告音、又はこれらの任意の組合せを含む。第3構成例では、同様のタスク管理表が端末装置31で確認できてもよい。
【0079】
患者の輸液時間、輸液量、又は滴下速度など、輸液の設定が端末装置31から輸液制御装置20に対して遠隔で行えてもよい。
【0080】
図8を参照して、本実施形態に係る輸液制御装置20の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る管理方法に相当する。
【0081】
ステップS101において、輸液制御装置20の検出部27は、チューブ12を通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する。
【0082】
ステップS102において、輸液制御装置20の制御部21は、ステップS101で検出部27により得られた検出結果に基づき、押圧機構28を制御して輸液剤の滴下速度を調整する。滴下速度は、検出された液滴の数を時間で割ることにより求められる。
【0083】
ステップS103において、輸液制御装置20の制御部21は、第1イベントE1が発生したかどうかを判定する。具体的には、制御部21は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与時間を計測する。制御部21は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になったかどうかによって、第1イベントE1が発生したかどうかを判定する。すなわち、制御部21は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になっていない場合に、第1イベントE1が発生していないと判定する。制御部21は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になった場合に、第1イベントE1が発生したと判定する。閾値T1は、5分などの固定値として一律に設定されてもよいし、又は患者別若しくは輸液の種類別など、個別に設定されてもよい。
【0084】
一変形例として、輸液制御装置20の制御部21は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与量を計測してもよい。制御部21は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になったかどうかによって、第1イベントE1が発生したかどうかを判定してもよい。すなわち、制御部21は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になっていない場合に、第1イベントE1が発生していないと判定してもよい。制御部21は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になった場合に、第1イベントE1が発生したと判定してもよい。閾値T2は、固定値として一律に設定されてもよいし、又は個別に設定されてもよい。
【0085】
別の変形例として、輸液制御装置20の制御部21は、音声通話VCの開始を要求する患者の操作R1が入力部25により受け付けられたかどうかによって、第1イベントE1が発生したかどうかを判定してもよい。すなわち、制御部21は、操作R1が行われていない場合に、第1イベントE1が発生していないと判定してもよい。制御部21は、操作R1が行われた場合に、第1イベントE1が発生したと判定してもよい。操作R1は、マイクロフォン25Aを介して音声で行われてもよいし、又は他の入力用インタフェースを介して行われてもよい。
【0086】
ステップS103で第1イベントE1が発生していないと判定された場合、すなわち、第1イベントE1が検出されていない場合は、ステップS103の処理が再び実行される。ステップS103で第1イベントE1が発生したと判定された場合、すなわち、第1イベントE1が検出された場合は、ステップS104の処理が実行される。
【0087】
ステップS104において、輸液制御装置20の制御部21は、端末装置31との音声通話VCを開始する。具体的には、制御部21は、音声通話VCの開始を要求する要求データD3を端末装置31に送信するよう通信部23を制御する。制御部21は、要求データD3に応じて音声通話VCの開始を承諾する応答データD4が通信部23により受信されると、音声通話VCを開始する。
【0088】
輸液制御装置20のマイクロフォン25Aは、第1音声V1を取得する。第1音声V1は、患者の音声である。輸液制御装置20の変換部24は、マイクロフォン25Aにより取得された第1音声V1を第1音声データD1に変換する。第1音声データD1は、患者の音声のデジタルデータである。輸液制御装置20の通信部23は、音声通話VCの開始から終了までの間、第1音声データD1を変換部24から取得して端末装置31に送信するとともに、第2音声データD2を端末装置31から受信して変換部24に入力する。第2音声データD2は、看護師などの医療従事者の音声のデジタルデータである。変換部24は、入力された第2音声データD2を第2音声V2に変換する。第2音声V2は、医療従事者の音声である。輸液制御装置20のスピーカ26Aは、変換部24により得られた第2音声V2を患者に向けて出力する。
【0089】
ステップS105において、輸液制御装置20の制御部21は、第2イベントE2が発生したかどうかを判定する。具体的には、制御部21は、音声通話VCの終了を要求する患者の操作R2が入力部25により受け付けられたかどうかによって、第2イベントE2が発生したかどうかを判定する。すなわち、制御部21は、操作R2が行われていない場合に、第2イベントE2が発生していないと判定する。制御部21は、操作R2が行われた場合に、第2イベントE2が発生したと判定する。操作R2は、マイクロフォン25Aを介して音声で行われてもよいし、又は他の入力用インタフェースを介して行われてもよい。
【0090】
ステップS105で第2イベントE2が発生していないと判定された場合、すなわち、第2イベントE2が検出されていない場合は、ステップS105の処理が再び実行される。ステップS105で第2イベントE2が発生したと判定された場合、すなわち、第2イベントE2が検出された場合は、ステップS106の処理が実行される。
【0091】
ステップS106において、輸液制御装置20の制御部21は、端末装置31との音声通話VCを終了する。
【0092】
ステップS103及びステップS104では、輸液制御装置20からの要求をトリガにして音声通話VCが自動的に開始されるが、端末装置31からの命令をトリガにして音声通話VCが開始されてもよい。そのような変形例において、輸液制御装置20の制御部21は、音声通話VCの開始を命令する命令データD5が通信部23により受信されると、命令データD5に応じて音声通話VCを開始する。具体的には、制御部21は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与時間を計測する。制御部21は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になったと判定すると、得られた判定結果を端末装置31に送信するよう通信部23を制御する。あるいは、制御部21は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与量を計測してもよい。制御部21は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になったと判定すると、得られた判定結果を端末装置31に送信するよう通信部23を制御してもよい。端末装置31は、判定結果を受信すると、仮に閾値T1が5分であるとすれば、「A.A.5分前」などのアラートを表示、又は音声で出力する。音声通話VCの開始を要求する看護師の操作R3が端末装置31で行われると、命令データD5が端末装置31から輸液制御装置20に送信される。制御部21は、命令データD5が通信部23により受信されると、命令データD5に応じて音声通話VCを開始する。操作R3は、端末装置31のマイクロフォンを介して音声で行われてもよいし、又は端末装置31の他の入力用インタフェースを介して行われてもよい。
【0093】
本実施形態は、移動距離の削減、患者の安心感向上、及び医療従事者の業務効率化などの効果を奏する。患者が入院中の場合だけでなく、患者が在宅の場合も輸液管理がしやすいため、看護師又は介護士などのスタッフのタスク管理がしやすくなる。輸液制御装置20は、災害時の通信手段としても利用できる。輸液制御装置20は、医療従事者が不足している地域において特に有用である。輸液制御装置20は、コンパクトかつ軽量なものとすることができるため、扱いやすい。輸液制御装置20は、人材が不足しがちな介護施設での中心静脈栄養にも活用でき、低コスト化も期待できる。液制御装置20は、認知症患者の徘徊にも対応可能である。
【0094】
以下では、より具体的な効果について説明する。
【0095】
本実施形態によれば、医療従事者の業務過多又は負担過多による見逃しを防止しやすくなる。例えば、看護師が5人から10人程度の患者をかかえていても、輸液制御装置20から輸液状況を看護師に知らせることができるため、看護師が病室外から患者全員の投薬状況を同時に監視することができる。タスク管理表アプリケーションとの連携も可能であるため、スムーズなタスク管理が可能となる。必要時に「A.A.5分前」などのアラートが出力されるため、薬剤管理対応の見逃し可能性も低減できる。
【0096】
本実施形態によれば、患者の心理状態も改善しやすくなる。例えば、輸液制御装置20の通話機能を活用した会話が可能であるため、患者の不安感を取り除くことができる。夜間でも個別通話が可能である。トイレなど、病室外への移動時にも個別通話が可能である。
【0097】
本実施形態によれば、災害発生時に患者の避難状況に関する情報も取得しやすくなる。例えば、輸液制御装置20の通話機能を活用した会話が可能であるため、病棟から避難した患者が無事かどうか、避難場所はどこか、又は病状、投薬状況、心理状況、若しくは周囲の状況はどうかを確認することができる。通信インフラが利用できなくなったときのために、輸液制御装置20にアナログ無線機を搭載してもよい。患者の位置を細かく確認できるように、輸液制御装置20にGNSS受信機を搭載してもよい。「GNSS」は、global navigation satellite systemの略語である。GNSSは、例えば、GPS、QZSS、BDS、GLONASS、又はGalileoである。「GPS」は、Global Positioning Systemの略語である。「QZSS」は、Quasi-Zenith Satellite Systemの略語である。QZSSの衛星は、準天頂衛星と呼ばれる。「BDS」は、BeiDou Navigation Satellite Systemの略語である。「GLONASS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。
【0098】
図9を参照して、本実施形態の変形例に係る管理システム10Aの構成を説明する。
図1に示した管理システム10の構成と同様の部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0099】
管理システム10は、輸液制御システム13と、ナースコールシステム30と、少なくとも1つの管理装置40とを備える。輸液制御システム13は、少なくとも1つの保持装置60と、少なくとも1つの輸液制御装置20、少なくとも1つの輸液制御装置20E、又はその両方とを備える。保持装置60は、ネットワーク50を介して端末装置31、表示装置32、及び管理装置40と通信を行う。
【0100】
保持装置60、輸液制御装置20、及び輸液制御装置20Eは、本変形例では病院などの医療施設で使用されるが、介護施設など、他の種類の施設で使用されてもよい。保持装置60は、輸液制御装置20、輸液制御装置20E、又はその両方を保持する装置である。輸液制御装置20Eは、音声通話VCを行う機能FCを輸液制御装置20から省いた装置である。
【0101】
図9を参照して、本変形例に係る保持装置60の構成を説明する。
【0102】
保持装置60は、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、変換部64と、入力部65と、出力部66と、保持部67とを備える。
【0103】
制御部61は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。専用回路は、例えば、ASICである。制御部61は、保持装置60の各部を制御しながら、保持装置60の動作に関わる処理を実行する。
【0104】
記憶部62は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM、ROM、又はフラッシュメモリである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。フラッシュメモリは、例えば、SSDである。磁気メモリは、例えば、HDDである。記憶部62は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部62には、保持装置60の動作に用いられるデータと、保持装置60の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0105】
通信部63は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G規格、若しくは5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、IEEE802.11などの無線LAN通信規格に対応したインタフェース、又はEthernet(登録商標)などの有線LAN通信規格に対応したインタフェースである。通信部63は、端末装置31、表示装置32、及び管理装置40と通信を行う。通信部63は、輸液制御装置20、輸液制御装置20E、又はその両方と通信を行ってもよい。通信部63は、保持装置60の動作に用いられるデータを受信し、また保持装置60の動作によって得られるデータを送信する。
【0106】
変換部64は、アナログデジタル変換回路と、DSPなどの信号処理回路と、デジタルアナログ変換回路とを含む。変換部64は、増幅器を更に含んでもよい。変換部64は、音声のアナログ信号をデジタルデータに変換し、また音声のデジタルデータをアナログ信号に変換する。
【0107】
入力部65は、マイクロフォン65Aを含む。入力部65は、他の入力用インタフェースを更に含んでもよい。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、又はディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンである。入力部65は、保持装置60の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。マイクロフォン65Aは、患者の音声を第1音声V1として取得する。
【0108】
出力部66は、スピーカ66Aを含む。出力部66は、他の出力用インタフェースを更に含んでもよい。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部66は、保持装置60の動作によって得られるデータを出力する。スピーカ66Aは、看護師などの医療従事者の音声を第2音声V2として出力する。
【0109】
保持部67は、輸液制御装置20、輸液制御装置20E、又はその両方を保持する機構を含む。そのような機構としては、例えば、ラックを使用することができる。保持部67は、複数の輸液制御装置を連結して保持する構造を有していてもよい。
【0110】
保持装置60の少なくとも一部の機能は、本変形例に係るプログラムを、制御部61としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、保持装置60の少なくとも一部の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、保持装置60の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを保持装置60として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って保持装置60の動作を実行することにより保持装置60として機能する。
【0111】
保持装置60の一部又は全ての機能が、制御部61としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、保持装置60の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0112】
【0113】
保持装置60の保持部67は、輸液制御装置20、輸液制御装置20と同様に、チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出して得られた検出結果に基づき、チューブを押圧する押圧機構を制御して輸液剤の滴下速度を調整する輸液制御装置20E、又はその両方を保持する。
【0114】
保持装置60の制御部61は、外部装置である端末装置31との音声通話VCを制御する。保持装置60の入力部65は、第1音声V1を取得する。保持装置60の変換部64は、入力部65により取得された第1音声V1を第1音声データD1に変換する。保持装置60の通信部63は、音声通話VCの開始から終了までの間、第1音声データD1を変換部64から取得して端末装置31に送信するとともに、第2音声データD2を端末装置31から受信して変換部64に入力する。変換部64は、入力された第2音声データD2を第2音声V2に変換する。保持装置60の出力部66は、変換部64により得られた第2音声V2を患者に向けて出力する。
【0115】
本変形例によれば、輸液制御装置20Eに音声通話VCを行う機能FCがなくても、輸液時に患者と医療従事者とが互いに通話しやすくなる。
【0116】
図10を参照して、本変形例に係る輸液制御システム13の動作を説明する。この動作は、本変形例に係る管理方法に相当する。
【0117】
ステップS201において、保持装置60の制御部61は、保持部67により保持されている輸液制御装置が音声通話VCを行う機能FCを持っているかどうかを判定する。具体的には、制御部61は、近距離無線通信に対応したインタフェースなど、通信部63を介して、保持部67により保持されている輸液制御装置から発信された、機能FCを持っていることを示す信号を受信したかどうかによって、その輸液制御装置が機能FCを持っているかどうかを判定する。
【0118】
ステップS201で保持装置60の保持部67により保持されている輸液制御装置が機能FCを持っていると判定された場合、すなわち、輸液制御装置20が保持部67により保持されていると判定された場合は、ステップS202の処理が実行される。ステップS201で保持装置60の保持部67により保持されている輸液制御装置が機能FCを持っていないと判定された場合、すなわち、輸液制御装置20Eのみが保持部67により保持されていると判定された場合は、ステップS203の処理が実行される。
【0119】
ステップS202において、保持装置60の制御部61は、保持部67により保持されている輸液制御装置20を制御して機能FCを無効化する。具体的には、制御部61は、近距離無線通信に対応したインタフェースなど、通信部63を介して、マイクロフォン25Aをオフにするよう輸液制御装置20に命令する。
【0120】
ステップS203において、保持部67により保持されている輸液制御装置は、チューブを通じて患者に点滴される輸液剤の液滴を検出する。
【0121】
ステップS204において、保持部67により保持されている輸液制御装置は、ステップS201で得られた検出結果に基づき、押圧機構を制御して輸液剤の滴下速度を調整する。
【0122】
ステップS205において、保持装置60の制御部61は、第1イベントE1が発生したかどうかを判定する。具体的には、保持部67により保持されている輸液制御装置は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与時間を計測する。保持部67により保持されている輸液制御装置は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になったと判定すると、制御部61に通知する。あるいは、保持部67により保持されている輸液制御装置は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与量を計測してもよい。保持部67により保持されている輸液制御装置は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になったと判定すると、制御部61に通知してもよい。制御部61は、通知を受けると、第1イベントE1が発生したと判定する。あるいは、制御部61は、音声通話VCの開始を要求する患者の操作R1が入力部65により受け付けられたかどうかによって、第1イベントE1が発生したかどうかを判定してもよい。
【0123】
ステップS205で第1イベントE1が発生していないと判定された場合、すなわち、第1イベントE1が検出されていない場合は、ステップS205の処理が再び実行される。ステップS205で第1イベントE1が発生したと判定された場合、すなわち、第1イベントE1が検出された場合は、ステップS206の処理が実行される。
【0124】
ステップS206の処理については、輸液制御装置20の各部の代わりに、保持装置60の各部が動作して実行される点を除き、
図8に示したステップS104の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0125】
ステップS207及びステップS208の処理については、輸液制御装置20の各部の代わりに、保持装置60の各部が動作して実行される点を除き、
図8に示したステップS105及びステップS106の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
ステップS205及びステップS206では、保持装置60からの要求をトリガにして音声通話VCが自動的に開始されるが、端末装置31からの命令をトリガにして音声通話VCが開始されてもよい。そのような変形例において、保持装置60の制御部61は、音声通話VCの開始を命令する命令データD5が通信部63により受信されると、命令データD5に応じて音声通話VCを開始する。具体的には、保持部67により保持されている輸液制御装置は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与時間を計測する。保持部67により保持されている輸液制御装置は、設定された投与時間までの残りが閾値T1以下になったと判定すると、制御部61に通知する。あるいは、保持部67により保持されている輸液制御装置は、輸液剤が点滴されている間、輸液剤の投与量を計測してもよい。保持部67により保持されている輸液制御装置は、設定された投与量までの残りが閾値T2以下になったと判定すると、制御部61に通知してもよい。制御部61は、通知を受けると、得られた判定結果を端末装置31に送信するよう通信部63を制御する。端末装置31は、判定結果を受信すると、仮に閾値T1が5分であるとすれば、「A.A.5分前」などのアラートを表示、又は音声で出力する。音声通話VCの開始を要求する看護師の操作R3が端末装置31で行われると、命令データD5が端末装置31から保持装置60に送信される。制御部61は、命令データD5が通信部63により受信されると、命令データD5に応じて音声通話VCを開始する。
【0127】
本変形例とは別の変形例として、保持装置60の制御部61は、音声通話VCを行う機能FCをそれぞれ持つ複数の輸液制御装置が保持部67により保持されている場合に、当該複数の輸液制御装置のうち1つの輸液制御装置を選択し、選択した輸液制御装置に対してはマイクロフォンをオンにするよう命令し、残りの輸液制御装置に対してはマイクロフォンをオフにするよう命令してもよい。そして、制御部61は、保持装置60のマイクロフォン65Aをオフにしてもよい。
【0128】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
10,10A 管理システム
11 点滴筒
11A 流入部
11B 滴下部
11C 流出部
12 チューブ
12A 対象部分
13 輸液制御システム
20,20E 輸液制御装置
20A 筐体
20B 点滴筒収容部
20C チューブ収容部
20D 下端
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 変換部
25 入力部
25A マイクロフォン
26 出力部
26A スピーカ
27 検出部
28 押圧機構
28A カム
28B 押圧部材
28C 電動モータ
28D 減速機
30 ナースコールシステム
31 端末装置
32 表示装置
33 多機能電話機
34 ボード型親機
35A 呼出しボタン
35B 表示灯
35C 復旧ボタン
36 アンテナ装置
37 電話制御装置
38 ナースコール制御装置
39 ネットワーク機器
40 管理装置
50 ネットワーク
60 輸液制御装置
61 制御部
62 記憶部
63 通信部
64 変換部
65 入力部
65A マイクロフォン
66 出力部
66A スピーカ