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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159023
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20241031BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20241031BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20241031BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20241031BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241031BHJP
【FI】
A01D67/00 L
A01D41/12 A
B60K6/46 ZHV
B60K6/40
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074746
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】藤川 涼平
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
3D202
3D235
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA03
2B074DD02
2B074DF01
2B074DF07
2B076AA03
2B076BA04
2B076CF02
3D202AA00
3D202AA07
3D202EE23
3D235AA13
3D235AA24
3D235BB17
3D235BB33
3D235CC15
3D235CC32
3D235DD01
3D235DD11
3D235DD21
3D235FF44
(57)【要約】
【課題】従来、動力源としてエンジンに加えてバッテリと電動モータを搭載したコンバインがある。然しながら、刈取装置、エンジン及びバッテリ等の重量物が機体前側に配置されているので、機体前後バランスが悪く、適切な走行及び収穫作業が行ない難いものであった。そこで、機体前後バランスを向上し、適切な走行及び収穫作業が行なえる収穫機を提供する。
【解決手段】クローラ走行装置2L,2Rを装備した走行車台1の前部に刈取搬送部7を設け、走行車台1上に脱穀部6及びグレンタンク5を設けた収穫機において、機体後部に走行アクチュエータ13L,13R及びバッテリ12を設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体後側に走行アクチュエータ13L,13Rからの駆動力を受ける駆動回転体24L,24Rを設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体前側に遊動回転体29L,29Rを設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ走行装置(2L,2R)を装備した走行車台(1)の前部に刈取搬送部(7)を設け、走行車台(1)上に脱穀部(6)及びグレンタンク(5)を設けた収穫機において、機体後部に走行アクチュエータ(13L,13R)及びバッテリ(12)を設け、クローラ走行装置(2L,2R)の機体後側に走行アクチュエータ(13L,13R)からの駆動力を受ける駆動回転体(24L,24R)を設け、クローラ走行装置(2L,2R)の機体前側に遊動回転体(29L,29R)を設けたことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
走行アクチュエータ(13L,13R)からクローラ走行装置(2L,2R)に伝動する走行伝動ケース(15L,15R)を走行車台(1)に水平姿勢で配置し、バッテリ(12)を脱穀部(6)とグレンタンク(5)の左右間に配置し、バッテリ(12)の前端部よりも機体前側に唐箕(9)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
走行アクチュエータ(13L,13R)からクローラ走行装置(2L,2R)に伝動する走行伝動ケース(15L,15R)を走行車台(1)に水平姿勢で配置し、バッテリ(12)を機体左右方向に配置し、バッテリ(12)の前端部よりも機体前側に唐箕(9)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項4】
脱穀部(6)の後側に作業アクチュエータ(14)と作業伝動ケース(45)を設け、脱穀部(6)の前側に刈取搬送部(7)及び脱穀部(6)を駆動する伝動機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項5】
バッテリ(12)を筒状のバッテリケース(12a)内に収納して機体に着脱自在に装着し、バッテリケース(12a)が伝熱性の高い物質で構成され、スリットが設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の収穫機。
【請求項6】
走行車台(1)の前側で左右一側方に操縦者が搭乗する操縦部(3)を設け、操縦部(3)のフロントカバー(60)の機体内側に設けた延設部(60a)の内部に制御基板(61)を設けたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動力源としてエンジンに加えてバッテリと電動モータを搭載したコンバインがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-005905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈取装置、エンジン及びバッテリ等の重量物が機体前側に配置されているので、機体前後バランスが悪く、適切な走行及び収穫作業が行ない難いものであった。
【0005】
本発明の目的は、機体前後バランスを向上し、適切な走行及び収穫作業が行なえる収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、クローラ走行装置2L,2Rを装備した走行車台1の前部に刈取搬送部7を設け、走行車台1上に脱穀部6及びグレンタンク5を設けた収穫機において、機体後部に走行アクチュエータ13L,13R及びバッテリ12を設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体後側に走行アクチュエータ13L,13Rからの駆動力を受ける駆動回転体24L,24Rを設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体前側に遊動回転体29L,29Rを設けた収穫機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、機体後部に走行アクチュエータ13L,13R及びバッテリ12を設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体後側に走行アクチュエータ13L,13Rからの駆動力を受ける駆動回転体24L,24Rを設け、クローラ走行装置2L,2Rの機体前側に遊動回転体29L,29Rを設けたので、走行車台1の前部に設けた刈取搬送部7による前バランスを解消して、機体の前後バランスが改善され、左右クローラ走行装置2L,2Rの泥押しを緩和し湿田での走行性能が向上する。
【0008】
請求項2記載の発明は、走行アクチュエータ13L,13Rからクローラ走行装置2L,2Rに伝動する走行伝動ケース15L,15Rを走行車台1に水平姿勢で配置し、バッテリ12を脱穀部6とグレンタンク5の左右間に配置し、バッテリ12の前端部よりも機体前側に唐箕9設けた請求項1に記載の収穫機である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、走行アクチュエータ13L,13Rからクローラ走行装置2L,2Rに伝動する走行伝動ケース15L,15Rを走行車台1に水平姿勢で配置したので、走行伝動ケース15L,15Rが脱穀部6やグレンタンク5等と干渉せず、メンテナンススペースが確保しやすくなり、また、走行車台1後部にコンパクトに配置できる。
【0010】
また、バッテリ12を脱穀部6とグレンタンク5の左右間に配置したので、機体後部に重量バランスを寄せつつ左右方向の重量バランスの偏りを生じさせないので、作業姿勢の安定化が図られる。
【0011】
また、バッテリ12の前端部よりも機体前側に唐箕9設けたので、後方に向けて発生させる搬送風の一部をバッテリ12に当てて冷却に用いることができ、バッテリ12の過熱が抑えられ、稼働時間やバッテリ12の寿命が長くなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、走行アクチュエータ13L,13Rからクローラ走行装置2L,2Rに伝動する走行伝動ケース15L,15Rを走行車台1に水平姿勢で配置し、バッテリ12を機体左右方向に配置し、バッテリ12の前端部よりも機体前側に唐箕9設けた請求項1に記載の収穫機である。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、走行アクチュエータ13L,13Rからクローラ走行装置2L,2Rに伝動する走行伝動ケース15L,15Rを走行車台1に水平姿勢で配置し、バッテリ12を機体左右方向に配置したので、走行伝動ケース15L,15Rが脱穀部6やグレンタンク5等と干渉せず、メンテナンススペースが確保しやすくなり、また、走行車台1後部にコンパクトに配置できる。
【0014】
また、バッテリ12の前端部よりも機体前側に唐箕9設けたので、後方に向けて発生させる搬送風の一部をバッテリ12に当てて冷却に用いることができ、バッテリ12の過熱が抑えられ、稼働時間やバッテリ12の寿命が長くなる。
【0015】
請求項4記載の発明は、脱穀部6の後側に作業アクチュエータ14と作業伝動ケース45を設け、脱穀部6の前側に刈取搬送部7及び脱穀部6を駆動する伝動機構を設けた請求項1に記載の収穫機である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、脱穀部6の後側に作業アクチュエータ14と作業伝動ケース45を設け、脱穀部6の前側に刈取搬送部7及び脱穀部6を駆動する伝動機構を設けたので、部品点数の削減が図られると共に、脱穀部6及び刈取搬送部7を同じ速度で作動させることができ、脱穀精度の向上が図れる。
【0017】
請求項5記載の発明は、バッテリ12を筒状のバッテリケース12a内に収納して機体に着脱自在に装着し、バッテリケース12aが伝熱性の高い物質で構成され、スリットが設けられている請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の収穫機である。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、バッテリ12を筒状のバッテリケース12a内に収納して機体に着脱自在に装着しているので、藁屑や土砂等の夾雑物がバッテリ12に接触して過度に発熱したり、端子部に夾雑物が接触して通電を妨げたりすることを防止でき、バッテリ12の寿命が長くなる。また、バッテリ12が機体にバッテリケース12aごと着脱可能としたことにより、交換作業の能率が向上する。
【0019】
また、バッテリケース12aが伝熱性の高い物質で構成されているので、バッテリ12の冷却効率がよく、過熱により通電が停止して作業が中断されることを防止でき、作業能率の低下が防止される。
【0020】
更に、バッテリケース12aにスリットが設けられているので、夾雑物の進入を塞ぎつつバッテリ12を効率よく冷却できる。
【0021】
請求項6記載の発明は、走行車台1の前側で左右一側方に操縦者が搭乗する操縦部3を設け、操縦部3のフロントカバー60の機体内側に設けた延設部60aの内部に制御基板61を設けた請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の収穫機である。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、走行車台1の前側で左右一側方に操縦者が搭乗する操縦部3を設け、操縦部3のフロントカバー60の機体内側に設けた延設部60aの内部に制御基板61を設けたので、フロントカバー60の前後幅を狭くできて、座席に着座した操縦者の操縦スペースを広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態にかかる汎用コンバインの側面図である。
図2】同上汎用コンバインの背面図である。
図3】同上汎用コンバインの左右走行電動モータによる駆動伝動部の概略図である。
図4】同上汎用コンバインのグレンタンクの説明用正面図である。
図5】同上汎用コンバインのバッテリの他の配置例を説明する概略平面図である。
図6】同上汎用コンバインの他の例を示す側面図である。
図7】同上汎用コンバインの他の例を示す側面図である。
図8】同上汎用操縦部の他の例を示す概略斜視図である。
図9】同上汎用コンバインの操縦部の他の例を示す概略平面図である。
図10】同上汎用コンバインの操縦部の他の例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の収穫機の一実施形態である汎用コンバインについて添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0025】
図1図3に示すように、汎用コンバインは、走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2L,2Rを配設し、走行車台1上には右側前部に座席付きの操縦部3、操縦部3の後方下部にはエンジン4、エンジン4の後方には穀粒収納用のグレンタンク5をそれぞれ配設している。
【0026】
走行車台1の左側部に脱穀部6を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部6及びグレンタンク5の後方に排稾処理装置8を設けている。
【0027】
エンジン4を例えばガソリンエンジンとし、このエンジン4で発電機を駆動し、発電機で発電した電力をバッテリ12に蓄電し、走行アクチュエータとしての左右走行電動モータ13L,13Rや作業アクチュエータとしての作業電動モータ14等に電力を供給する。
【0028】
左右走行電動モータ13L,13Rは、左右走行伝動ケース15L,15Rを介して左右クローラ走行装置2L,2Rを各々駆動する。
【0029】
左右走行電動モータ13L,13R及び左右走行伝動ケース15L,15Rは、機体後部である走行車台1後部に設けられている。
【0030】
左右走行伝動ケース15L,15Rには、内部に各々減速ギヤ機構10L,10Rが設けられ、左右走行電動モータ13L,13Rの駆動力が各々減速ギヤ機構10L,10Rを介して左右車軸23L,23R、駆動回転体としての左右駆動スプロケット24L,24Rを経て左右クローラ走行装置2L,2Rを駆動する。
【0031】
そして、左右走行伝動ケース15L,15Rは、脱穀部6後部の下方位置に前後方向を向いて走行車台1に水平姿勢で設けている。
【0032】
従って、左右走行伝動ケース15L,15Rを水平姿勢で設けることにより、左右走行電動モータ13L,13R及び左右走行伝動ケース15L,15Rが脱穀部6や排出オーガ50の縦オーガ50aと干渉しないので、メンテナンススペースが確保しやすくなり、また、走行車台1後部にコンパクトに配置できる。
【0033】
なお、左右走行電動モータ13L,13Rには、各々左右モータ駆動装置11L,11Rが設けられている。
【0034】
バッテリ12は、筒状のバッテリケース12a内に収められて、機体後部である走行車台1後部に左右方向に設けられ、バッテリケース12a内に収めたまま着脱できる。
【0035】
また、バッテリ12は、その前方に設けた脱穀部6の唐箕9から導風ダクト9aを介して唐箕風を受けて冷却される構成としている。
【0036】
なお、バッテリケース12aは、伝熱性の高い物質で構成し、冷却風が入り込む部分にスリットを形成している。
【0037】
従って、バッテリ12を筒状のバッテリケース12a内に収納したことにより、藁屑や土砂等の夾雑物がバッテリ12に接触して過度に発熱したり、端子部に夾雑物が接触して通電を妨げたりすることを防止できるので、バッテリ12の寿命が長くなる。
【0038】
また、バッテリケース12aの伝熱性を高いものとすることにより、冷却風等を当ててバッテリ12を冷却することができるので、過熱により通電が停止して作業が中断されることがなく、作業能率の低下が防止される。
【0039】
更に、バッテリケース12aの冷却風が入り込む部分にスリットを形成していることにより、夾雑物の進入を塞ぎつつ冷却風でバッテリ12を効率よく冷却できるので、過熱による作業の中断が防止される。
【0040】
左右クローラ走行装置2L,2Rは、左右クローラ走行フレーム26L,26R後側に設けた左右駆動スプロケット24L,24R、前側に設けた遊動回転体としての左右遊動スプロケット29L,29R、複数の下部左右転輪30L,30Rを支架して、左右クローラ31L,31Rを巻回して構成される。
【0041】
従って、左右走行電動モータ13L,13R、左右走行伝動ケース15L,15R及びバッテリ12を機体後部である走行車台1後部に設けたので、走行車台1の前側部に設けた昇降自在の刈取搬送部7による前バランスを解消して、機体の前後バランスが改善され、左右クローラ走行装置2L,2Rの泥押しを緩和し湿田での走行性能が向上する。
【0042】
また、脱穀部6の搖動棚の後方スペースを阻害せずに左右走行電動モータ13L,13R、左右走行伝動ケース15L,15R及びバッテリ12を配置することができる。
【0043】
そして、バッテリ12交換時には、バッテリ12をバッテリケース12a内に収めたまま機体後方に着脱できるので、交換作業が容易で交換の手間がかからない。
【0044】
また、図4に示すように、グレンタンク5内部の上下中央位置に籾センサ40を設け、グレンタンク5内に穀粒が半分程度貯留されたことを検出する。
【0045】
グレンタンク5は機体の右側位置に配置されているので、グレンタンク5に穀粒が半分以上に貯留されると機体右側に重心が大きく移動する為に機体の左旋回が適切に行われ難くなる。
【0046】
そこで、制御装置は、左右走行電動モータ13L,13Rを正転させて前進走行している時に籾センサ40がグレンタンク5に穀粒が半分以上に貯留されたことを検出すると、操縦部3に設けた操向レバーを左旋回に操作すると、左走行電動モータ13Lをゆっくり逆転させて左クローラ走行装置2Lをゆっくり逆転し左旋回を援助し、スリップを防止して圃場の破損を防止し適切な左旋回が行なえる。
【0047】
作業電動モータ14は、モータ駆動装置を装備し、脱穀部6の後側に設けられている。
【0048】
そして、作業電動モータ14は、作業伝動ケース45内の伝動機構を介して扱胴46の扱胴軸46aを後部から回転駆動する。
【0049】
そして、扱胴軸46a前部から伝動機構を介して脱穀部6の唐箕9等の他の部材を駆動すると共に、刈取搬送部7を駆動する。
【0050】
従って、機体後部である脱穀部6の後部に脱穀部6及び刈取搬送部7を駆動する作業電動モータ14及び作業伝動ケース45を設けたので、前述のように左右走行電動モータ13L,13R、左右走行伝動ケース15L,15R及びバッテリ12を機体後部である走行車台1後部に設けた構成とあわせて、走行車台1の前側部に設けた昇降自在の刈取搬送部7の前バランスを解消して、機体の前後バランスが改善され、左右クローラ走行装置2L,2Rの泥押しを緩和し湿田での走行性能が向上する。
【0051】
また、作業電動モータ14にて脱穀部6及び刈取搬送部7を駆動することにより、部品点数の削減が図られると共に、脱穀部6及び刈取搬送部7を同じ速度で作動させることができ、脱穀精度の向上が図れる。
【0052】
なお、バッテリ12を機体後部である走行車台1後部の左端部に設けても良い。
【0053】
図5はバッテリ12を機体後部の脱穀部6の右機枠とグレンタンク5から穀粒を機外排出する排出オーガ50の縦オーガ50a間に配置した例を示す。
【0054】
脱穀部6と排出オーガ50の縦オーガ50aの左右間にバッテリ12を配置したことにより、機体後部に重量バランスを寄せつつ左右方向の重量バランスの偏りを生じさせないので、作業姿勢の安定化が図られる。
【0055】
なお、脱穀部6とバッテリ12間に隔壁を設けて、完全に分離する構成とすれば、バッテリ12への藁屑等の侵入を防止できて更に良い。
【0056】
また、バッテリ12は、その前方に設けた脱穀部6の唐箕9から導風ダクト9aを介して唐箕風を受けて冷却される構成としているので、前記実施形態と同様にバッテリ12のオーバーヒートを防止して、稼働時間やバッテリ12の寿命が長くなり、作業停止を抑制できる。
【0057】
図6は、バッテリ12及び左右走行伝動ケース15L,15Rを機体後部に縦方向に設けた(垂直状に設けた)例を示す。
【0058】
図7は、左右走行電動モータ13L,13R、左右走行伝動ケース15L,15R及び左右駆動スプロケット24L,24Rを左右クローラ走行装置2L,2R後部の内周部に水平状に配置した例を示す。
【0059】
なお、左右走行電動モータ13L,13R及び左右走行伝動ケース15L,15Rは機体後部に配置し、バッテリ12を脱穀部6前部の走行車台1上に左右方向に設けても良い。
【0060】
以上要するに、左右走行電動モータ13L,13Rにて左右クローラ走行装置2L,2Rを駆動し、作業電動モータ14にて脱穀部6や刈取搬送部7等の作業部を駆動した電動化により、燃料使用量低減及び排気ガス削減による環境改善が図れる。
【0061】
また、電動化による振動及び騒音低減により、長時間作業の疲労低減が図れる。
【0062】
また、左右走行電動モータ13L,13Rによる左右クローラ走行装置2L,2Rの駆動により、速度制御、正逆転制御及び停止制御の容易化が図れる。
【0063】
また、電動化による伝動ギヤ、油圧部品、油圧ホース類の削減により、組立て作業の容易化及びコストダウンが図れる。
【0064】
そして、左右走行電動モータ13L,13R、左右走行伝動ケース15L,15R、脱穀部6や刈取搬送部7を駆動する作業電動モータ14、作業伝動ケース45及びバッテリ12を機体後部である走行車台1後部に設けたので、走行車台1の前側部に設けた昇降自在の刈取搬送部7の前バランスを解消して、機体の前後バランスが改善され、左右クローラ走行装置2L,2Rの泥押しを緩和し湿田での走行性能が向上する。
【0065】
<他の実施形態>
図8図10に基づいて、エンジン4で左右クローラ走行装置2L,2Rや脱穀部6・刈取搬送部7等の作業部を駆動する形態の収穫機の操縦部3の詳細構成を説明する。
【0066】
操縦部3のフロントカバー60を機体中央部まで機体左に向けて延設し、該延設部60a内に制御装置の制御基板61を設ける。
【0067】
操縦部3のフロントカバー60を機体中央部まで機体左に向けて延設した延設部60a内に制御装置の制御基板61を設けたので、座席に着座した操縦者の足元スペース62を広くできる(操縦スペースを広くできる)と共に、フロントカバー60の前後幅を狭くできて、軽量化が図れて前後バランスの向上により機体姿勢の安定化、燃費の向上、湿田走行性の向上が図れる。
【0068】
また、フロントカバー60中央部の上面にはフロントパネル(メインモニタ)63、延設部60a上面にはDPFの状況やSCRの情報を表示するサブモニタ64を設ける。
【0069】
そして、フロントカバー60右端前側及び延設部60a左端前側には、刈取搬送部7を照らす左右作業灯65を設ける。
【0070】
従って、フロントカバー60右端前側及び延設部60a左端前側に刈取搬送部7を照らす左右作業灯65を設けているので、操縦部3にいる操縦者が容易に左右作業灯65の角度調節を行なえると共に、強固な構成のフロントカバー60に左右作業灯65を設けることにより、振動による左右作業灯65のライトバルブの破損を防止できる。
【0071】
そして、延設部60aを含めたフロントカバー60背面には、着脱自在にカバー66を設けて、制御装置の制御基板61やフロントパネル(メインモニタ)63やサブモニタ64や操向レバー67ーの支持部等を保護する。
【0072】
そして、フロントカバー60の延設部60aから機体後方に向けてサイドカバー68を設けている。
【0073】
サイドカバー68上面には、主変速レバー(HSTレバー)69、副変速レバー70及びサイドモニタ71等が設けられている。
【0074】
主変速レバー(HSTレバー)69は、クランク状のガイド溝90に沿って前後操作され、ガイド溝90の前後中央部のクランク部90aに操作した時中立となり、クランク部90aから前の前溝90bに前方操作するほど前進増速となり、クランク部90aから後の後溝90cに後方操作するほど後進増速となる。
【0075】
副変速レバー70は、直線状のガイド溝91に沿って前後操作され、高速の移動速と低速の作業速に変速する。
【0076】
そして、副変速レバー70のガイド溝91は、主変速レバー(HSTレバー)69のガイド溝90の前溝90bの側方に平行に設けられている。
【0077】
また、副変速レバー70は、主変速レバー(HSTレバー)69に近づくように屈曲して構成され、副変速レバー70の把持部が主変速レバー(HSTレバー)69の把持部に近接した位置となっている。
【0078】
従って、副変速レバー70のガイド溝91が主変速レバー(HSTレバー)69のガイド溝90の前溝90bの側方に平行に設けられ、副変速レバー70が主変速レバー(HSTレバー)69に近づくように屈曲して構成され、副変速レバー70の把持部が主変速レバー(HSTレバー)69の把持部に近接した位置となっているので、操縦者が主変速レバー(HSTレバー)69と副変速レバー70を把持する操作が容易で操作性が良い。
【0079】
サイドモニタ71は、DPFの状況やSCRの情報を表示する。
【0080】
フロントカバー60とサイドカバー68の連結部に左端基部が固定され、フロントカバー60上面及び右側面に沿って延び、右下端部がステップフロア73の右側面を構成するステップフレーム74に固定されたステンレス製の丸パイプよりなる手摺72が設けられている。
【0081】
従って、手摺72がフロントカバー60とステップフロア73を連結する強度メンバーとなり、剛性が向上する。
【0082】
また、手摺72のフロントカバー60とサイドカバー68の連結部に固定された左端基部は、フロントパネル(メインモニタ)63とサブモニタ64の間に位置し、両モニタ63,64に対する視界を妨害しない配置となっている。
【0083】
フロントカバー60前面下部のステップフレーム74前面板を大きくして、分割及び着脱容易化して、内蔵されたバッテリやオイルタンクを前方からも脱着可能にするとメンテナンス作業が容易となる。
【0084】
また、ステップフレーム74右側面に開口74aを設け、該開口74a下辺に乗降ステップ75の上端部を前後方向の枢支軸76にて回動自在に支持する。
【0085】
そして、乗降ステップ75は、下端部に一段目の下ステップ75aを設け、上端部の枢支軸76部に二段目の上ステップ75bを設ける。
【0086】
従って、乗降ステップ75は、機体右側下方に張り出した使用状態と機体内側上方に収納した収納状態に枢支軸76まわりに回動して変更できる。
【0087】
また、機体右側下方に張り出した使用状態にした時に、二段目の上ステップ75bがステップフレーム74右側面の開口74aの下辺部にあるので、操縦者が機体に乗降する際に二段目の上ステップ75bに載せた足先が開口74a内に入るようになるので、乗降が容易に行なえる。
【0088】
また、ステップフレーム74右側面に開口74aが設けられているので、ステップフレーム74内に配置したバッテリやオイルタンクの冷却効果が向上する。
【0089】
操縦部3の後部右側にノブボルトにて開閉自在に設けたエンジンカバー77内の後部上部位置にECU78とラジエータリザーブタンク79を設けて、エンジンカバー77を開けると容易にメンテナンスが行なえる。
【0090】
操縦部3後部の座席支持フレーム80にエアクリーナステー81の基部を固定して一体化し、該エアクリーナステー81の上部にエアクリーナ82を設ける。
【0091】
従って、座席支持フレーム80に一体化したエアクリーナステー81にエアクリーナ82を設けたので、軽量化が図れ、且つ、エアクリーナ82の位置が安定した支持が行なえる。
【0092】
なお、上記の操縦部3の構成は、前記図1図7に示す電動式の汎用コンバインに適用しても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 走行車台
2L,2R クローラ走行装置
3 操縦部
5 グレンタンク
6 脱穀部
7 刈取搬送部
9 唐箕
12 バッテリ
12a バッテリケース
13L,13R 走行アクチュエータ(左右走行電動モータ)
14 作業アクチュエータ(作業電動モータ)
15L,15R 走行伝動ケース
24L,24R 駆動回転体(左右駆動スプロケット)
29L,29R 遊動回転体(左右遊動スプロケット)
45 作業伝動ケース
60 フロントカバー
60a 延設部
61 制御基板
図1
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図10