(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159030
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置におけるシャッターケース
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074754
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敦司
(57)【要約】
【課題】シャッターケース7のケース下面板10に開設の点検口Sを開閉する点検板11の揺動軸を簡単に取り付けることができるようにする。
【解決手段】額縁部10aの縦板部10acと、点検口Sに設けられる点検板11の縦板部11aとの互いに対向する部位同士を、隙間Yがある状態でリベット12を介して取り付け、該リベット12を点検板11の揺動軸に構成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、該巻き取り体を覆蓋するシャッターケースを備え、
該シャッターケースのケース面板に額縁部によって四角形状の点検口を形成し、
該点検口を、額縁部の一端縁側に揺動自在に軸支される点検板を介して開閉できるように構成してなる建物用シャッター装置において、
前記点検板を揺動自在に軸支する揺動軸を、額縁部と点検板との互いに対向する部位同士が貫通取り付けされるリベットとしたことを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項2】
リベットによる貫通取り付けは、互いに対向する部位同士が軸心方向に離間可能な隙間のある状態での貫通取り付けであることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【請求項3】
点検板は、シャッターケースのケース正面板又はケース下面板であることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや工場、倉庫、あるいは住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターケースの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部の開閉をするため、建物用のシャッター装置が建て付けられることがあるが、斯かるシャッター装置としては、ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に設けられ、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)等の各種の部材装置を用いて構成されるが、斯かるシャッター装置のなかには、巻き取り体が外部から視認される露出状態で設けられることがあり、このような場合、巻き取り体をシャッターケースで覆蓋することが一般に試みられている。
そしてこのように巻き取り体をシャッターケースで覆蓋した場合に、巻き取り体の回転駆動をする電動式の開閉機や該開閉機の駆動制御をする制御部等の部材装置も巻き取り体と共にシャッターケースに覆蓋されることになるが、これらの部材装置は、定期的なメンテナンスをすることが要求され、そこで例えばケース正面板やケース下面板に形成した四角形状の額縁部によって点検口を形成し、該点検口に、一端縁部が揺動自在に軸支された点検板によって開閉できるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものは、点検板を、蝶番を介して揺動自在に軸支する構成であるため、蝶番を点検板と額縁部との両者に取り付ける作業が必要になる。
また、蝶番を溶着するものとしたときには、溶着痕の仕上げ作業が要求されるだけでなく熱歪みによってシャッターケースに歪みが出るという問題がある。また蝶番を下面板にビス固定することも提唱されるが、下面板およびケースフレームが共に肉薄であることもあって強度のある確実な取り付けができない惧れがあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、該巻き取り体を覆蓋するシャッターケースを備え、該シャッターケースのケース面板に額縁部によって四角形状の点検口を形成し、該点検口を、額縁部の一端縁側に揺動自在に軸支される点検板を介して開閉できるように構成してなる建物用シャッター装置において、前記点検板を揺動自在に軸支する揺動軸を、額縁部と点検板との互いに対向する部位同士が貫通取り付けされるリベットとしたことを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項2の発明は、リベットによる貫通取り付けは、互いに対向する部位同士が軸心方向に離間可能な隙間のある状態での貫通取り付けであることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
請求項3の発明は、点検板は、シャッターケースのケース正面板又はケース下面板であることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターケースである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、点検板は、額縁部に取り付けするためのリベットが揺動軸となって開閉操作できることになる結果、点検板の揺動取り付けが簡略化され、作業性の向上が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、点検板と額縁部とがリベットを介して揺動取り付けされる場合に、該揺動取り付けされる部位同士が軸心方向に離間可能な隙間のある状態での取り付けとなる結果、リベットにより取り付けたものでありながら、円滑な点検板の開閉操作ができることになる。
請求項3の発明とすることにより、点検板を、ケース正面板又はケース下面板に開閉自在に取り付けることが簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(A)(B)はシャッタースの正面図、平面図である。
【
図4】シャッターケースの機械室部位の底面図である。
【
図5】シャッターケースの機械室部位の縦断面図である。
【
図7】(A)(B)は点検口の底面図、側面図である。
【
図8】(A)(B)は点検板の揺動軸部位の底面図、縦断面図である。
【
図9】(A)(B)(C)は揺動軸となるリベットを取り付ける手順を示した作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン3、開口部Eの上方に配され、シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体4、該巻き取り体4の開閉駆動をするべく開口部E上方の左右何れか一方に配される電動式の開閉機5等の各種の部材装置を備えて構成されていること等は何れも従来通りである。
そしてシャッター装置1には、巻き取り体4、電動式の開閉機5、該開閉機5と巻き取り体4とのあいだを連動連結する無端の動力伝動体(チェーン)6等、開口部E上方に配される各種の部材装置を覆蓋するため矩形形状をしたシャッターケース7が設けられている。
【0009】
前記シャッターケース7は、ケース上面板(天井板)8、ケース正面板(前面板)9、ケース下面板(底面板)10等の各種のケース面板を備えて矩形形状に構成されるが、本実施の形態のシャッターケース7は、前記開閉機5が配設される左右方向一方の機械室M側のケース部位が前方に向けて突出した変則型の矩形形状に構成されている。勿論、シャッターケース7としては、機械室Mの対応するケース部位が突出したものでなく、機械室Mと非機械室Zの両ケース部位が面一状に形成されたものであっても本発明を実施することができる。
そしてこれらケース面板を用いて構成されるシャッターケース7は、ケース正面板9がケース正面に着脱自在に取り付けられ、さらに機械室M部位のケース下面板10に点検口(点検窓)Sを開設するため四角形状の額縁部10aが設けられ、該額縁部10aに、点検口Sを開閉するための点検板11が設けられたものになっており、以下、この構成について詳述する。
このものではケース正面板9は、上端縁部9aが逆レ字形に形成されてケース上面板8に係脱自在に係止し、上端縁部9a以外の残りの端縁部は磁石(一部がビスによる着脱の場合もある。)17によって着脱取り付けされる構成になっている。
【0010】
前記ケース下面板10に設けられる額縁部10aは、ケース下面板10に点検口Sを形成するべく切り欠き形成された開口の四周縁部に、リベット(本発明の「リベット」とは異なるもの。)10bを介してケース下面板10に固定されるが、前記額縁部10aは、ケース下面板10の上面に当てがわれた状態で前記リベット10bによって固定される下面板部10aaと、該下面板部10aaの点検口S側端縁から上方に向けて折曲される縦板部10abと、該縦板部10abの上端縁から点検口S側に向けて折曲される上面板部10acとによって形成されている。
【0011】
一方、点検板11は、前記額縁部10aの縦板部10acと上面板部10adとによって形成される逆L字形のスペースに遊嵌状に嵌入することで閉鎖姿勢に格納されるよう寸法設定されたものであって、点検板11の四周縁部には、前記閉鎖姿勢になった状態で、額縁部10aの縦板部10acに互いに対向するよう上方に向けて縦板部11aが形成されたものとなっている。
そして本発明が実施された点検板11は、四周の縦板部11aのうち、左右両側の点検板側縦板部11aと額縁部10aの左右の縦板部10acとの後端縁部同士が、互いに左右に対向する部位となってそのケース奥側の端縁部同士にリベット(本発明の「リベット」に相当する。)12が貫通取り付けされたものとなっているが、該リベット12が点検板11の揺動軸となって点検板11の揺動自在な開閉操作ができるように構成されている。
因みに点検板11には錠装置13が設けられていて閉鎖姿勢に維持できるように構成されている。
【0012】
前記リベット12は、汎用のブラインドリベットを用いたものであって、
図9に示すように、一端にフランジ12cが形成されたリベット本体12aに点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとが貫通する状態でマンドレル部12bを引き抜くことにより、マンドレル部12bの頭部12dがリベット本体12aの他端部を拡張変形してフランジ部12eが形成されることで、両フランジ部12c、12eのあいだに点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとの固定部材同士が挟持状に取り付けられることになるが、本実施の形態においては、リベット12を点検板11の揺動軸に構成するため、両フランジ部12c、12eの対向間隔が、点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとの合算した板厚よりも大きくなる、つまりリベット12が、互いに対向する点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとが軸心方向に離間可能な隙間Yのある状態で貫通取り付けされたものとなっており、これによって点検板11は、前記リベット12を揺動支軸として開閉操作ができるように構成されている。
【0013】
因みにリベット12を、前記隙間Yを存する状態で貫通取り付けする手法としては、例えば
図9に示すように、マンドレル部12bを引き抜く側となる額縁部側縦板部10acに、フランジ12cと間隙を存する状態で当て部材13を当てがった状態でマンドレル部12bを引き抜いてリベット止めをすることで、リベット12は、フランジ部12cが当て部材13に当接する遊嵌状態でのリベット止めとなり、このようにして隙間Yを存する状態でのリベット止めが簡単にできることになる。
【0014】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターケース7のケース下面板10に点検口Sが形成され、該点検口Sから機械室M内のメンテナンスができるものであるが、この場合に点検口Sの開閉をするため設けられる点検板11は、点検口Sの四周縁となる額縁部10aに揺動自在に軸支されたものとなるが、そのための揺動軸が、互いに対向する点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとに貫通取り付けされるリベット12となっている。この結果、揺動軸の取り付けが簡単になって作業性が向上する。
【0015】
しかもこのリベット12は、該リベット12によって貫通取り付けされる点検板側縦板部11aと額縁部側縦板部10acとが軸心方向に離間可能な隙間Yのある状態での貫通取り付けとなっており、この結果、点検板11は、前記リベット12を揺動支軸として無理のない開閉操作ができることになる。
【0016】
尚、本実施の形態では点検板11をケース下面板10に設けたが、ケース下面板10以外のケース正面板9等の必要において要求される他のケース面板についても、同様にしてリベット12を揺動軸とした点検板11を設ける構成にしても本発明を実施することができるが、点検板として実質的に機能させるためにはケース下面板10とケース正面板9の両ケース面板であることが好適といえる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、ビルや工場、倉庫、あるいは住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターケースとして利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 シャッター装置
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
7 シャッターケース
9 ケース正面板
10 ケース下面板
10a 額縁部
10ac 縦板部
11 点検板
11a 縦板部
12 リベット
S 点検口