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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159040
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/26 20060101AFI20241031BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20241031BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01J3/26
G01J3/02 S
G01J1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074771
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】大山 泰生
(72)【発明者】
【氏名】柴山 勝己
(72)【発明者】
【氏名】能野 隆文
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隆
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 有未
【テーマコード(参考)】
2G020
2G065
【Fターム(参考)】
2G020CC23
2G020CC27
2G020CC43
2G020CC56
2G020CD24
2G065AA13
2G065BA09
2G065BA12
2G065BA36
2G065BB22
2G065BB27
2G065BB30
2G065CA03
2G065CA08
2G065DA08
(57)【要約】
【課題】迷光が光検出器に入射するのを抑制することができる光検出装置を提供する。
【解決手段】光検出装置1は、開口20を有するパッケージ2と、開口20を塞いでいる光透過部16と、パッケージ2内に配置されており、方向Aにおいて互いの距離が可変である一対のミラー部を含むファブリペロー干渉フィルタ10と、パッケージ2内に配置された光検出器8と、パッケージ2外に位置している第1アパーチャ50を有する第1アパーチャ部51と、パッケージ2外に位置している第2アパーチャ60を有する第2アパーチャ部61と、を備える。第2アパーチャ60側に向いており且つ第1アパーチャ50を包囲している第1アパーチャ部51の表面52aは、光吸収性を有する。第1アパーチャ50側に向いており且つ第2アパーチャ60を包囲している第2アパーチャ部61の表面62bは、表面52aから離間しており、光吸収性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するパッケージと、
前記開口を塞いでいる光透過部と、
前記パッケージ内において前記開口及び前記光透過部に対して第1方向における一方の側に配置されており、前記第1方向において互いの距離が可変である一対のミラー部を含むファブリペロー干渉フィルタと、
前記パッケージ内において前記ファブリペロー干渉フィルタに対して前記第1方向における前記一方の側に配置された光検出器と、
前記パッケージ外において前記開口及び前記光透過部に対して前記第1方向における他方の側に位置している第1アパーチャを有する第1アパーチャ部と、
前記パッケージ外において前記第1アパーチャに対して前記第1方向における前記他方の側に位置している第2アパーチャを有する第2アパーチャ部と、を備え、
前記第2アパーチャ側に向いており且つ前記第1アパーチャを包囲している前記第1アパーチャ部の第1面は、光吸収性を有し、
前記第1アパーチャ側に向いており且つ前記第2アパーチャを包囲している前記第2アパーチャ部の第2面は、前記第1面から離間しており、光吸収性を有する、光検出装置。
【請求項2】
前記第1方向から見た場合に、前記第1アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1方向から見た場合に、前記第2アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1方向から見た場合に、前記第1アパーチャの外縁は、前記第2アパーチャの外縁の内側に位置しており、
前記第1方向から見た場合に、前記第2アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1アパーチャ部は、前記第1アパーチャを包囲している第1包囲部分を含み、
前記第1方向における前記第1アパーチャ部の位置決めは、前記第1包囲部分及び前記パッケージによって行われている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2アパーチャ部は、前記第2アパーチャを包囲している第2包囲部分と、前記第2包囲部分に接続されており、前記パッケージと嵌まり合っている嵌合部分と、を含み、
前記第1方向に垂直な第2方向における前記第2アパーチャ部の位置決めは、前記嵌合部分及び前記パッケージによって行われており、
前記第1方向における前記第2アパーチャ部の位置決めは、前記嵌合部分及び前記パッケージによって又は前記第2包囲部分及び前記第1包囲部分によって行われている、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第2方向における前記第1アパーチャ部の位置決めは、前記第1包囲部分及び前記嵌合部分によって行われている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第2アパーチャ部は、前記第1アパーチャと前記第2アパーチャとの距離が調整可能となるように前記パッケージに取り付けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第2面は、前記第2アパーチャの外縁から外側に離れるほど前記第1アパーチャ部に近付く傾斜面である、請求項1に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファブリペロー干渉フィルタを備える光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口を有するパッケージと、開口を塞いでいる光透過部と、パッケージ内に配置されており、互いの距離が可変である一対のミラー部を含むファブリペロー干渉フィルタと、パッケージ内に配置された光検出器と、を備える光検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光検出装置では、ファブリペロー干渉フィルタにおいて一対のミラー部の互いの距離が変化させられつつ、光透過部を介して入射した光のうち、一対のミラー部を透過した光が光検出器によって検出されることで、測定対象の光の分光スペクトルが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-141713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光検出装置では、迷光(例えば、一対のミラー部を透過しなかった光、一対のミラー部を斜めに透過した光)が光検出器に入射するのを如何に抑制し得るかが、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させる上で、極めて重要である。
【0005】
本発明は、迷光が光検出器に入射するのを抑制することができる光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光検出装置は、[1]「開口を有するパッケージと、前記開口を塞いでいる光透過部と、前記パッケージ内において前記開口及び前記光透過部に対して第1方向における一方の側に配置されており、前記第1方向において互いの距離が可変である一対のミラー部を含むファブリペロー干渉フィルタと、前記パッケージ内において前記ファブリペロー干渉フィルタに対して前記第1方向における前記一方の側に配置された光検出器と、前記パッケージ外において前記開口及び前記光透過部に対して前記第1方向における他方の側に位置している第1アパーチャを有する第1アパーチャ部と、前記パッケージ外において前記第1アパーチャに対して前記第1方向における前記他方の側に位置している第2アパーチャを有する第2アパーチャ部と、を備え、前記第2アパーチャ側に向いており且つ前記第1アパーチャを包囲している前記第1アパーチャ部の第1面は、光吸収性を有し、前記第1アパーチャ側に向いており且つ前記第2アパーチャを包囲している前記第2アパーチャ部の第2面は、前記第1面から離間しており、光吸収性を有する、光検出装置」である。
【0007】
上記[1]に記載の光検出装置では、パッケージ外において、第1アパーチャがパッケージの開口に対してファブリペロー干渉フィルタとは反対側に位置しており、第2アパーチャが第1アパーチャに対してファブリペロー干渉フィルタとは反対側に位置している。これにより、大きい入射角度を有する光が開口からパッケージ内に進行しにくくなる。更に、上記[1]に記載の光検出装置では、第2アパーチャ側に向いており且つ第1アパーチャを包囲している第1アパーチャ部の第1面が、光吸収性を有しており、第1アパーチャ側に向いており且つ第2アパーチャを包囲している第2アパーチャ部の第2面が、第1面から離間しており、光吸収性を有している。これにより、大きい入射角度を有する光が第1面及び第2面のそれぞれにおいて減衰されやすくなる。よって、上記[1]に記載の光検出装置によれば、迷光が光検出器に入射するのを抑制することができる。
【0008】
本発明の光検出装置は、[2]「前記第1方向から見た場合に、前記第1アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、上記[1]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[2]に記載の光検出装置によれば、迷光が光検出器に入射するのをより確実に抑制することができる。更に、開口からパッケージ内に進行する光の入射角度がより小さくなるため、測定対象の光の波長分析においてS/N比及び分解能を向上させることができる。
【0009】
本発明の光検出装置は、[3]「前記第1方向から見た場合に、前記第2アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、上記[1]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[3]に記載の光検出装置によれば、迷光が光検出器に入射するのをより確実に抑制することができる。更に、開口からパッケージ内に進行する光の入射角度がより小さくなるため、測定対象の光の波長分析においてS/N比及び分解能を向上させることができる。
【0010】
本発明の光検出装置は、[4]「前記第1方向から見た場合に、前記第1アパーチャの外縁は、前記第2アパーチャの外縁の内側に位置しており、前記第1方向から見た場合に、前記第2アパーチャの外縁は、前記開口の外縁の内側に位置している、上記[1]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[4]に記載の光検出装置によれば、迷光が光検出器に入射するのをより確実に抑制することができる。更に、開口からパッケージ内に進行する光の入射角度がより小さくなるため、測定対象の光の波長分析においてS/N比及び分解能を向上させることができる。
【0011】
本発明の光検出装置は、[5]「前記第1アパーチャ部は、前記第1アパーチャを包囲している第1包囲部分を含み、前記第1方向における前記第1アパーチャ部の位置決めは、前記第1包囲部分及び前記パッケージによって行われている、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の光検出装置」であってもよい。当該[5]に記載の光検出装置によれば、光検出装置の製造時に、開口と第1アパーチャとの距離をパッシブアライメントによって所定の距離とすることができる。
【0012】
本発明の光検出装置は、[6]「前記第2アパーチャ部は、前記第2アパーチャを包囲している第2包囲部分と、前記第2包囲部分に接続されており、前記パッケージと嵌まり合っている嵌合部分と、を含み、前記第1方向に垂直な第2方向における前記第2アパーチャ部の位置決めは、前記嵌合部分及び前記パッケージによって行われており、前記第1方向における前記第2アパーチャ部の位置決めは、前記嵌合部分及び前記パッケージによって又は前記第2包囲部分及び前記第1包囲部分によって行われている、上記[5]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[6]に記載の光検出装置によれば、光検出装置の製造時に、第2アパーチャの中心線をパッシブアライメントによって開口の中心線に一致させることができると共に、開口と第2アパーチャとの距離及び第1アパーチャと第2アパーチャとの距離のそれぞれをパッシブアライメントによって所定の距離とすることができる。
【0013】
本発明の光検出装置は、[7]「前記第2方向における前記第1アパーチャ部の位置決めは、前記第1包囲部分及び前記嵌合部分によって行われている、上記[6]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[7]に記載の光検出装置によれば、光検出装置の製造時に、第1アパーチャの中心線をパッシブアライメントによって第2アパーチャの中心線に一致させることができる。ここで、第2アパーチャの中心線は、上記[6]に記載の構成によって開口の中心線に一致しているため、結果として、第1アパーチャの中心線をパッシブアライメントによって開口の中心線に一致させることができる。
【0014】
本発明の光検出装置は、[8]「前記第2アパーチャ部は、前記第1アパーチャと前記第2アパーチャとの距離が調整可能となるように前記パッケージに取り付けられている、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の光検出装置」であってもよい。当該[8]に記載の光検出装置によれば、第1アパーチャと第2アパーチャとの距離を調整することで、測定対象の光の波長分析において光量と分解能とのバランスをとることができる。
【0015】
本発明の光検出装置は、[9]「前記第2面は、前記第2アパーチャの外縁から外側に離れるほど前記第1アパーチャ部に近付く傾斜面である、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の光検出装置」であってもよい。当該[9]に記載の光検出装置によれば、第2アパーチャ部のうち第2アパーチャを包囲している部分の強度が高くなるため、加工時に第2アパーチャ部に発生するひずみを抑制することができ、精度の良い第2アパーチャ部を得ることができる。また、パッケージ内に進入した迷光がパッケージ内で反射されてパッケージの開口及び第1アパーチャ部の第1アパーチャを介して外部に出てきた際に、当該迷光の一部が、傾斜面である第2面にて吸収されなかったとしても、傾斜面である第2面から外部に反射されやすくなるため、パッケージ内への当該迷光の一部の再入射を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、迷光が光検出器に入射するのを抑制することができる光検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の光検出装置の断面図である。
図2図1に示されるファブリペロー干渉フィルタの斜視図である。
図3図2に示されるIII-III線に沿ってのファブリペロー干渉フィルタの断面図である。
図4図1に示される光検出装置の平面図である。
図5】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図6】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図7】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図8】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図9】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図10】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図11】第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果を説明するための図である。
図12】変形例の光検出装置の断面図である。
図13】変形例の光検出装置の断面図である。
図14】変形例の光検出装置の断面図である。
図15図1に示される光検出装置を備える光検出システムの構成図である。
図16図15に示される光検出システムによる分光分析の結果を示す図である。
図17図15に示される光検出システムによる分光分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[光検出装置の構成]
【0019】
図1に示されるように、光検出装置1は、パッケージ2を備えている。パッケージ2は、ステム3及びキャップ4を有するCANパッケージである。キャップ4は、側壁5及び天壁6を含んでいる。側壁5及び天壁6は、金属材料によって一体で形成されている。天壁6は、筒状の側壁5の一方の開口を覆うように、側壁5と一体で形成されている。ステム3は、金属材料によって形成されている。ステム3は、筒状の側壁5の他方の開口を覆うように、側壁5に気密に接合されている。
【0020】
ステム3の内面3aには、配線基板7が固定されている。配線基板7の基板材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等である。配線基板7には、光検出器8、及びサーミスタ等の温度補償用素子(図示省略)が実装されている。光検出器8は、例えば、赤外線検出器である。赤外線検出器としては、例えば、InGaAs等が用いられた量子型センサ、サーモパイル又はボロメータ等が用いられた熱型センサ等を用いることができる。紫外、可視、近赤外の各波長域の光を検出する場合には、光検出器8として、例えば、シリコンフォトダイオード等を用いることができる。なお、光検出器8の受光領域は、一つの受光部を有する一つの光検出素子によって構成されていてもよいし、或いは、アレイ状に配置された複数の受光部を有する一つの光検出素子によって構成されていてもよい。また、光検出器8の受光領域は、複数の光検出素子によって構成されていてもよい。
【0021】
配線基板7上には、複数のスペーサ9が固定されている。各スペーサ9の材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等である。複数のスペーサ9上には、ファブリペロー干渉フィルタ10が固定されている。すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10は、複数のスペーサ9によって支持されている。ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aは、光検出器8の受光領域と向かい合っている。なお、スペーサ9は、配線基板7と一体で形成されていてもよい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10は、一つのスペーサ9によって支持されていてもよい。
【0022】
ステム3には、複数のリードピン11が固定されている。各リードピン11は、絶縁部材17によってステム3との間の電気的絶縁性及び気密性が確保された状態で、ステム3を貫通している。各リードピン11は、ワイヤ12を介して、配線基板7に設けられた電極パッド、光検出器8の端子、温度補償用素子の端子、及びファブリペロー干渉フィルタ10の端子のそれぞれと電気的に接続されている。光検出装置1では、複数のリードピン11を介して、光検出器8、温度補償用素子、及びファブリペロー干渉フィルタ10のそれぞれに対する電気信号の入出力等が実施される。
【0023】
パッケージ2は、開口20を有している。開口20は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aと向かい合うようにキャップ4の天壁6に形成されている。天壁6の内面6aには、光透過部材13が気密に接合されている。光透過部材13は、開口20を塞いでいる。光透過部材13は、互いに対向する光入射面13a及び光出射面13b、並びに、側面13cを有している。光透過部材13の光入射面13aは、開口20において天壁6の外面6bと略面一となっている。光透過部材13の側面13cは、キャップ4の側壁5の内面5aに接触している。このような光透過部材13は、開口20を下側にした状態でキャップ4の内側にガラスペレットを配置し、そのガラスペレットを溶融させることで、形成される。
【0024】
光透過部材13の光出射面13bには、光透過性を有する接着部材15によって、バンドパスフィルタ14が固定されている。バンドパスフィルタ14は、互いに対向する光入射面14a及び光出射面14b、並びに、側面14cを有している。バンドパスフィルタ14の側面14cは、キャップ4の側壁5の内面5aから離間している。一例として、バンドパスフィルタ14は、光透過材料(例えば、シリコン、ガラス等)によって矩形板状に形成された光透過部材と、当該光透過部材における開口20とは反対側の表面に形成された誘電体多層膜(例えば、TiO、Ta等の高屈折材料とSiO、MgF等の低屈折材料との組合せからなる多層膜)と、を含んでいる。なお、誘電体多層膜は、当該光透過部材における開口20側の表面に形成されていてもよい。
【0025】
本実施形態では、光透過部材13、接着部材15及びバンドパスフィルタ14によって、光透過部16が構成されている。つまり、光透過部16は、開口20を塞いでいる光透過部材13と、光透過部材13に対して開口20とは反対側に配置されたバンドパスフィルタ14と、を含んでいる。光透過部16の光入射面16aは、光透過部材13の光入射面13aであり、光透過部16の光出射面16bは、バンドパスフィルタ14の光出射面14bである。光透過部16の光出射面16bは、パッケージ2内に位置している。
【0026】
光検出装置1は、第1アパーチャ50を有する第1アパーチャ部51と、第2アパーチャ60を有する第2アパーチャ部61と、を備えている。第1アパーチャ50は、パッケージ2外において、開口20に対してファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に位置している光通過孔である。第2アパーチャ60は、パッケージ2外において、第1アパーチャ50に対してファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に位置している光通過孔である。第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61の詳細については後述する。
【0027】
本実施形態では、第2アパーチャ部61の第2アパーチャ60、第1アパーチャ部51の第1アパーチャ50、パッケージ2の開口20、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10a及び光検出器8の受光領域が、この順序で、方向(第1方向)Aに平行な直線L上に並んでいる。つまり、ファブリペロー干渉フィルタ10は、パッケージ2内において開口20及び光透過部16に対して方向Aにおける一方の側に配置されており、光検出器8は、パッケージ2内においてファブリペロー干渉フィルタ10に対して方向Aにおける一方の側に配置されている。また、第1アパーチャ50は、パッケージ2外において開口20及び光透過部16に対して方向Aにおける他方の側に位置しており、第2アパーチャ60は、パッケージ2外において第1アパーチャ50に対して方向Aにおける他方の側に位置している。方向Aから見た場合に、直線Lは、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50、開口20、光透過領域10a、及び光検出器8の受光領域のそれぞれの中心を通っている。
【0028】
以上のように構成された光検出装置1では、測定対象の光が、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50、開口20、及び光透過部16(すなわち、光透過部材13、接着部材15及びバンドパスフィルタ14)を通過して、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射すると、測定対象の光のうち所定の波長の光が、ファブリペロー干渉フィルタ10の一対のミラー部を透過する。ファブリペロー干渉フィルタ10の一対のミラー部を透過した光は、光検出器8の受光領域に入射して、光検出器8によって検出される。一例として、測定対象の光の分光スペクトルを得るために、光検出装置1では、ファブリペロー干渉フィルタ10に印加される電圧が変化させられつつ(すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10において一対のミラー部の互いの距離が変化させられつつ)、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aを透過した光が光検出器8によって検出される。
[ファブリペロー干渉フィルタの構成]
【0029】
図2に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10は、光透過領域10aを有している。一例として、ファブリペロー干渉フィルタ10は矩形板状を呈しており、光透過領域10aは円柱状を呈している。図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10は、一対のミラー部として、第1ミラー部35及び第2ミラー部36を含んでいる。第1ミラー部35及び第2ミラー部36は、方向Aにおいて互いの距離が可変である。第1ミラー部35及び第2ミラー部36は、方向Aにおいて向かい合っている。
【0030】
ファブリペロー干渉フィルタ10は、基板21を備えている。基板21における光入射側の表面21aには、反射防止層31、第1積層体32、中間層33及び第2積層体34がこの順序で積層されている。第1積層体32と第2積層体34との間には、枠状の中間層33によって空隙(エアギャップ)Sが形成されている。基板21の材料は、例えば、シリコン、石英、ガラス等である。基板21の材料がシリコンである場合、反射防止層31及び中間層33のそれぞれの材料は、例えば、酸化シリコン等である。中間層33の厚さは、例えば、設計中心波長の1/2の整数倍である。なお、中間層33の厚さは、必要に応じて、設計中心波長の1/2の整数倍よりも大きくされてもよい。
【0031】
第1積層体32のうち光透過領域10aに対応する部分は、第1ミラー部35として機能する。第1ミラー部35は、反射防止層31を介して基板21に支持されている。一例として、第1積層体32は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。第1ミラー部35を構成する各層の光学厚さは、例えば、設計中心波長の1/4の整数倍である。なお、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。
【0032】
第2積層体34のうち光透過領域10aに対応する部分は、空隙Sを介して第1ミラー部35と向かい合う第2ミラー部36として機能する。第2ミラー部36は、反射防止層31、第1積層体32及び中間層33を介して基板21に支持されている。一例として、第2積層体34は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。第2ミラー部36を構成する各層の光学厚さは、例えば、設計中心波長の1/4の整数倍である。なお、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。
【0033】
第2積層体34において空隙Sに対応する部分には、第2積層体34における空隙Sとは反対側の表面34aから空隙Sに至るように、複数の貫通孔34bが形成されている。複数の貫通孔34bは、第2ミラー部36の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。複数の貫通孔34bは、エッチングによって中間層33の一部を除去することで空隙Sを形成する際に、用いられたものである。
【0034】
第1ミラー部35には、光透過領域10aを包囲するように第1電極22が形成されている。第1ミラー部35には、光透過領域10aを含むように第2電極23が形成されている。第1電極22及び第2電極23のそれぞれは、ポリシリコン層の一部分に不純物をドープして当該一部分を低抵抗化することで、形成されている。第2電極23の大きさは、光透過領域10aの大きさと略同一である。
【0035】
第2ミラー部36には、第3電極24が形成されている。第3電極24は、方向Aにおいて、空隙Sを介して第1電極22及び第2電極23と向かい合っている。第3電極24は、ポリシリコン層の一部分に不純物をドープして当該一部分を低抵抗化することで、形成されている。
【0036】
ファブリペロー干渉フィルタ10では、第2電極23は、方向Aに垂直な方向において、第1電極22と同一平面上に位置している。第2電極23と第3電極24との距離は、第1電極22と第3電極24との距離と略同一である。方向Aから見た場合に、第2電極23は、第1電極22によって包囲されている。
【0037】
ファブリペロー干渉フィルタ10には、光透過領域10aを挟むように一対の端子25が設けられている。各端子25は、第2積層体34の表面34aから第1積層体32に至る貫通孔内に配置されている。各端子25は、配線22aを介して第1電極22と電気的に接続されている。
【0038】
ファブリペロー干渉フィルタ10には、光透過領域10aを挟むように一対の端子26が設けられている。各端子26は、第2積層体34の表面34aから中間層33に至る貫通孔内に配置されている。各端子26は、配線23aを介して第2電極23と電気的に接続されていると共に、配線24aを介して第3電極24と電気的に接続されている。なお、一対の端子26が光透過領域10aを挟んで並んでいる方向は、一対の端子25が光透過領域10aを挟んで並んでいる方向に垂直な方向である(図2参照)。
【0039】
第1積層体32には、一対のトレンチ27が形成されている。各トレンチ27は、配線23aのうち各端子26から方向Aに沿って延びる部分を包囲するように、環状に延在している。各トレンチ27は、第1電極22と配線23aとを電気的に絶縁している。第1積層体32には、トレンチ28が形成されている。トレンチ28は、第1電極22の内縁に沿って環状に延在している。トレンチ28は、第1電極22と第2電極23とを電気的に絶縁している。各トレンチ27,28内の領域は、絶縁材料で埋められていてもよいし、空隙であってもよい。
【0040】
第2積層体34には、一対のトレンチ29が形成されている。各トレンチ29は、各端子25を包囲するように環状に延在している。各トレンチ29は、各端子25と第3電極24とを電気的に絶縁している。各トレンチ29内の領域は、絶縁材料で埋められていてもよいし、空隙であってもよい。
【0041】
基板21における光出射側の表面21bには、反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44がこの順序で積層されている。反射防止層41及び中間層43は、それぞれ、反射防止層31及び中間層33と同様の構成を有している。第3積層体42及び第4積層体44は、それぞれ、基板21を基準として第1積層体32及び第2積層体34と対称の積層構造を有している。反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、基板21の反りを抑制する機能を有している。
【0042】
第3積層体42、中間層43及び第4積層体44には、光透過領域10aを含むように開口40aが形成されている。方向Aから見た場合に、開口40aの大きさは、光透過領域10aの大きさと略同一である。開口40aは、光出射側に開口しており、開口40aの底面は、反射防止層41に至っている。第4積層体44における光出射側の表面には、遮光層45が形成されている。遮光層45の材料は、例えば、アルミニウム等である。遮光層45の表面及び開口40aの内面には、保護層46が形成されている。保護層46の材料は、例えば、酸化アルミニウム等である。なお、保護層46の厚さを100nm以下(好ましくは、30nm程度)にすることで、保護層46による光学的な影響を無視することができる。
【0043】
以上のように構成されたファブリペロー干渉フィルタ10では、複数の端子25,26を介して第1電極22及び第3電極24に電圧が印加されることで第1電極22と第3電極24との間に電位差が発生すると、当該電位差に応じた静電気力が第1電極22と第3電極24との間に発生する。第1電極22と第3電極24との間に静電気力が発生することで第1ミラー部35に第2ミラー部36が引き付けられ、第1ミラー部35と第2ミラー部36との距離が調整される。このとき、第3電極24と同電位である第2電極23が補償電極として機能し、光透過領域10aにおいて第2ミラー部36が平坦に保たれる。このように、ファブリペロー干渉フィルタ10では、第1ミラー部35及び第2ミラー部36の互いの距離が可変とされている。ここで、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過する光の波長は、第1ミラー部35及び第2ミラー部36の互いの距離に依存する。したがって、第1電極22及び第3電極24に印加する電圧(第1電極22と第3電極24との間に発生する電位差)を調整することで、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過する光の波長を選択することができる。
[第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部の構成]
【0044】
図1に示されるように、第1アパーチャ部51は、板状の第1包囲部分52によって構成されている。第1包囲部分52は、方向Aから見た場合に第1アパーチャ50を連続的に包囲している。すなわち、本実施形態における第1アパーチャ部51は、パッケージ2とは別体として設けられた環状の部材である。第1アパーチャ部51は、天壁6の外面6b上に配置されている。第1包囲部分52は、互いに対向する一対の表面52a,52b、及び、側面52cを有している。表面(第1面)52aは、第2アパーチャ60側に向いた面であり、表面52bは、第2アパーチャ60とは反対側に向いた面である。表面52aは、方向Aから見た場合に第1アパーチャ50を連続的に包囲している。表面52bは、天壁6の外面6bに接触している。つまり、第1アパーチャ50は、開口20と連続している。本実施形態では、各表面52a,52bは、方向Aに垂直な平面である。
【0045】
第1アパーチャ部51の外表面のうち、少なくとも表面52aは、光吸収性を有している。一例として、アルミニウム、ステンレス鋼等によって形成された第1アパーチャ部51の少なくとも表面52aに、クロムメッキ、黒アルマイト処理、無電解ニッケルメッキ、黒色塗料の塗布等が施されることで(併せて、粗面化処理が施されてもよい)、少なくとも表面52aに、可視から近赤外の波長域の光に対する光吸収性が付与されている。本実施形態では、第1アパーチャ部51の外表面の全体に光吸収性が付与されている。これにより、表面52aにおいても全面に亘って光吸収性が付与されている。なお、光吸収性を有する面においては、入射した光の反射率は、例えば20%以下に抑えられる。当該反射率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。反射率に波長依存性や入射角依存性が見られる場合には、ファブリペロー干渉フィルタ10の使用波長帯において、反射率が、大まかな傾向としてこの数値内に収まっていればよい。例えば、代表的な入射角(例えば5°、30°、45°、60°)で反射率を測定し、それらの平均値が上記数値に含まれていればよい。
【0046】
第2アパーチャ部61は、板状の第2包囲部分62及び筒状の嵌合部分63によって構成されている。第2包囲部分62は、方向Aから見た場合に第2アパーチャ60を連続的に包囲している。嵌合部分63は、第2包囲部分62に接続されており、パッケージ2と嵌まり合っている。本実施形態では、嵌合部分63は、キャップ4の側壁5と嵌まり合っている。第2包囲部分62は、筒状の嵌合部分63におけるステム3とは反対側の開口を覆うように、嵌合部分63と一体で形成されている。第2包囲部分62は、互いに対向する一対の表面62a,62bを有している。表面62aは、第1アパーチャ50とは反対側に向いた面であり、表面(第2面)62bは、第1アパーチャ50側に向いた面である。表面62bは、方向Aから見た場合に第2アパーチャ60を連続的に包囲しており、第1アパーチャ部51の表面52aから、空隙を介して離間している。つまり、第2アパーチャ60は、第1アパーチャ50から離間している。本実施形態では、各表面62a,62bは、方向Aに垂直な平面である。本実施形態では、第1アパーチャ部51の表面52aと第2アパーチャ部61の表面62bとは、略平行である。
【0047】
第1アパーチャ部51の表面52aと第2アパーチャ部61の表面62bとの距離は、方向Aから見た場合における第1包囲部分52の幅(第1アパーチャ50の外縁から第1アパーチャ部51の外縁までの距離)よりも小さく、且つ、方向Aから見た場合における第2包囲部分62の幅(第2アパーチャ60の外縁から第2アパーチャ部61の外縁までの距離)よりも小さいことが好ましい。この場合、後述するように、表面52aと表面62aとの間に入り込んだ迷光が両表面の間で反射を繰り返すことで好適に減衰される。
【0048】
第2アパーチャ部61の外表面のうち、少なくとも表面62bは、光吸収性を有している。一例として、アルミニウム、ステンレス鋼等によって形成された第2アパーチャ部61の少なくとも表面62bに、クロムメッキ、黒アルマイト処理、無電解ニッケルメッキ、黒色塗料の塗布等が施されることで(併せて、粗面化処理が施されてもよい)、少なくとも表面62bに、可視から近赤外の波長域の光に対する光吸収性が付与されている。本実施形態では、表面62bの全面に亘って光吸収性が付与されている。
【0049】
図4に示されるように、方向Aから見た場合に、第1アパーチャ50の外縁50a及び第2アパーチャ60の外縁60aのそれぞれは、開口20の外縁20aの内側に位置している。方向Aから見た場合に、第1アパーチャ50の外縁50aは、第2アパーチャ60の外縁60aの内側に位置している。本実施形態では、方向Aから見た場合における開口20、第1アパーチャ50及び第2アパーチャ60のそれぞれの形状は、直線Lの位置を中心とする円形状である。
【0050】
図1に示されるように、方向Aに垂直な方向(第2方向)における第2アパーチャ部61の位置決めは、嵌合部分63及びパッケージ2によって行われている。具体的には、方向Aに垂直な方向における第2アパーチャ部61の位置決めは、嵌合部分63の内面63aとキャップ4の側壁5の外面5bとの嵌め合いによって行われている。方向Aにおける第2アパーチャ部61の位置決めは、嵌合部分63及びパッケージ2によって行われている。具体的には、方向Aにおける第2アパーチャ部61の位置決めは、嵌合部分63の端面63bと側壁5のフランジ部5cの表面5dとの接触によって行われている。端面63bは、筒状の嵌合部分63における第2包囲部分62とは反対側の端面である。フランジ部5cは、筒状の側壁5における天壁6とは反対側の端部に設けられた外向きのフランジ部であり、表面5dは、フランジ部5cにおける天壁6側の端面である。第2アパーチャ部61の位置決めが行われた状態で、第2アパーチャ部61は、例えば接着部材(図示省略)によって、パッケージ2に固定されている。なお、嵌合部分63は、方向Aに延在する複数の柱部によって構成されていてもよい。
【0051】
方向Aに垂直な方向における第1アパーチャ部51の位置決めは、第1包囲部分52及び嵌合部分63によって行われている。具体的には、方向Aに垂直な方向における第1アパーチャ部51の位置決めは、第1包囲部分52の側面52cと嵌合部分63の内面63aとの嵌め合いによって行われている。方向Aにおける第1アパーチャ部51の位置決めは、第1包囲部分52及びパッケージ2によって行われている。具体的には、方向Aにおける第1アパーチャ部51の位置決めは、第1包囲部分52の表面52bとキャップ4の天壁6の外面6bとの接触によって行われている。第1アパーチャ部51の位置決めが行われた状態で、第1アパーチャ部51は、例えば接着部材(図示省略)によって、パッケージ2に固定されている。
【0052】
第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61に関する寸法の一例は、次のとおりである。開口20の径は1.5mm程度であり、方向Aにおける開口20の幅は0.4mm程度である。第1アパーチャ50の径は650μm程度であり、方向Aにおける第1アパーチャ50の幅は8.2mm程度である。第2アパーチャ60の径は750μm程度であり、方向Aにおける第2アパーチャ60の幅は9mm程度である。開口20と第1アパーチャ50との距離は0.1mm程度であり、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離は2mm程度である。
[作用及び効果]
【0053】
光検出装置1では、パッケージ2外において、第1アパーチャ50がパッケージ2の開口20に対してファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に位置しており、第2アパーチャ60が第1アパーチャ50に対してファブリペロー干渉フィルタ10とは反対側に位置している。これにより、大きい入射角度を有する光が開口20からパッケージ2内に進行しにくくなる。更に、光検出装置1では、第2アパーチャ60側に向いており且つ第1アパーチャ50を包囲している第1アパーチャ部51の表面52aが、光吸収性を有しており、第1アパーチャ50側に向いており且つ第2アパーチャ60を包囲している第2アパーチャ部61の表面62bが、表面52aから離間しており、光吸収性を有している。これにより、大きい入射角度を有する光が各表面52a,62bにおいて減衰されやすくなる。よって、光検出装置1によれば、迷光が光検出器8に入射するのを抑制することができる。
【0054】
光検出装置1では、方向Aから見た場合に、第1アパーチャ50の外縁50aが第2アパーチャ60の外縁60aの内側に位置しており、第2アパーチャ60の外縁60aが開口20の外縁20aの内側に位置している。これにより、迷光が光検出器8に入射するのをより確実に抑制することができる。更に、開口20からパッケージ2内に進行する光の入射角度がより小さくなるため、測定対象の光の波長分析においてS/N比及び分解能を向上させることができる。
【0055】
光検出装置1では、方向Aに垂直な方向における第1アパーチャ部51の位置決めが第1包囲部分52及び嵌合部分63によって行われており、方向Aにおける第1アパーチャ部51の位置決めが第1包囲部分52及びパッケージ2によって行われている。これにより、光検出装置1の製造時に、第1アパーチャ50の中心線をパッシブアライメントによって第2アパーチャ60の中心線に一致させることができると共に、開口20と第1アパーチャ50との距離をパッシブアライメントによって所定の距離とすることができる。なお、パッケージ2の開口20、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10a及び光検出器8の受光領域のそれぞれは、方向Aから見た場合に直線Lがそれらの中心を通るように互いに位置決めされている。したがって、光検出装置1の製造時に、後述するように第2アパーチャ60の中心線が開口20の中心線に一致していれば、第1アパーチャ50の中心線をパッシブアライメントによってファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10a及び光検出器8の受光領域のそれぞれの中心線にも一致させることができる。
【0056】
光検出装置1では、方向Aに垂直な方向における第2アパーチャ部61の位置決めが嵌合部分63及びパッケージ2によって行われており、方向Aにおける第2アパーチャ部61の位置決めが嵌合部分63及びパッケージ2によって行われている。これにより、光検出装置1の製造時に、第2アパーチャ60の中心線をパッシブアライメントによって開口20の中心線に一致させることができると共に、開口20と第2アパーチャ60との距離及び第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離のそれぞれをパッシブアライメントによって所定の距離とすることができる。なお、パッケージ2の開口20、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10a及び光検出器8の受光領域のそれぞれは、方向Aから見た場合に直線Lがそれらの中心を通るように互いに位置決めされている。したがって、光検出装置1の製造時に、第2アパーチャ60の中心線をパッシブアライメントによってファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10a及び光検出器8の受光領域のそれぞれの中心線にも一致させることができる。
[第1アパーチャ部及び第2アパーチャ部による効果]
【0057】
第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61による効果について、図5図11を参照して、より詳細に説明する。なお、図5図11では、接着部材15及びワイヤ12の図示が省略されている。
【0058】
図5の(a)に示されるように、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aでは、大きい入射角度を有する光Nが、開口20からパッケージ2内に進行してパッケージ2の内面で反射され、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aを透過せずに、或いは、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aを斜めに透過して、光検出器8に入射する。それに対し、図5の(b)に示されるように、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えている光検出装置1では、大きい入射角度を有する光Nが、第2アパーチャ60を通過しても第1アパーチャ50を通過せず、各表面52a,62bにおいて反射されつつ減衰される。よって、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えている光検出装置1によれば、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べ、光検出器8への迷光の入射を抑制することができる。なお、光Nは、迷光となる光である。
【0059】
図6の(a)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50の径は、図6の(b)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50の径よりも大きい。この場合、図6の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれる。それに対し、図6の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれない。よって、第1アパーチャ50の径が小さい光検出装置1によれば、第1アパーチャ50の径が大きい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。ただし、第1アパーチャ50の径が大きい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。なお、光Mは、測定対象となる光である。
【0060】
図7の(a)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50の径は、図7の(b)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50の径よりも大きい。この場合、図7の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が大きくなる。それに対し、図7の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が小さくなる。よって、第1アパーチャ50の径が小さい光検出装置1によれば、第1アパーチャ50の径が大きい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。ただし、第1アパーチャ50の径が大きい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。
【0061】
図8の(a)に示される光検出装置1における第2アパーチャ60の径は、図8の(b)に示される光検出装置1における第2アパーチャ60の径よりも大きい。この場合、図8の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれる。それに対し、図8の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれない。よって、第2アパーチャ60の径が小さい光検出装置1によれば、第2アパーチャ60の径が大きい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。ただし、第2アパーチャ60の径が大きい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。
【0062】
図9の(a)に示される光検出装置1における第2アパーチャ60の径は、図9の(b)に示される光検出装置1における第2アパーチャ60の径よりも大きい。この場合、図9の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が大きくなる。それに対し、図9の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が小さくなる。よって、第2アパーチャ60の径が小さい光検出装置1によれば、第2アパーチャ60の径が大きい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。ただし、第2アパーチャ60の径が大きい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。
【0063】
図10の(a)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離は、図10の(b)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離よりも小さい。この場合、図10の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれる。それに対し、図10の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してパッケージ2内に進行する光Nに、大きい入射角度を有するものが含まれない。よって、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が大きい光検出装置1によれば、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が小さい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。ただし、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が小さい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析においてS/N比を向上させることができる。
【0064】
図11の(a)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離は、図11の(b)に示される光検出装置1における第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離よりも小さい。この場合、図11の(a)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が大きくなる。それに対し、図11の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ60、第1アパーチャ50及び開口20を通過してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射する光Mの入射角度が小さくなる。よって、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が大きい光検出装置1によれば、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が小さい光検出装置1に比べ、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。ただし、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が小さい光検出装置1によっても、第1アパーチャ部51及び第2アパーチャ部61を備えていない光検出装置1Aに比べれば、測定対象の光の波長分析において分解能を向上させることができる。
【0065】
上述したいずれの光検出装置1においても、パッケージ2内に進入した迷光がパッケージ2内で反射されてパッケージ2の開口30及び第1アパーチャ部51の第1アパーチャ50を介して外部に出てきた際に、当該迷光は、まず、光吸収性を有する第2アパーチャ部61の表面62bにて吸収され、続いて、光吸収性を有する第1アパーチャ部51の表面52aにて吸収され、各表面52a,62bでの反射が繰り返されることで減衰されていく。なお、仮に第2アパーチャ部61の表面62bが光吸収性を有していないと、迷光が表面62bにて反射されてパッケージ2内に再入射する可能性が高まってしまう。
[変形例]
【0066】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、方向Aにおける第2アパーチャ部61の位置決めは、第2アパーチャ部61の第2包囲部分62及び第1アパーチャ部51の第1包囲部分52によって行われていてもよい。その具体例として、図12に示される光検出装置1では、方向Aにおける第2アパーチャ部61の位置決めが、第2包囲部分62の表面62cと第1包囲部分52の表面52aとの接触によって行われている。表面62cは、表面62bに対して方向Aにおける一方の側に位置しており且つ方向Aにおける一方の側に向いた第2包囲部分62の表面であって、方向Aから見た場合に表面62bを包囲している表面である。図12に示される光検出装置1によれば、光検出装置1の製造時に、開口20と第2アパーチャ60との距離及び第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離のそれぞれをパッシブアライメントによって所定の距離とすることができる。
【0067】
第2アパーチャ部61は、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が調整可能となるようにパッケージ2に取り付けられていてもよい。その具体例として、図13の(a)に示される光検出装置1では、キャップ4の側壁5の外面に、ねじ5eが形成されており、第2アパーチャ部61の嵌合部分63の内面に、ねじ5eと螺合するねじ63cが形成されている。図13の(a)に示される光検出装置1では、キャップ4に対して第2アパーチャ部61が回転させられることで、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が調整される。また、図13の(b)に示される光検出装置1では、第2アパーチャ部61の嵌合部分63に少なくとも一つのねじ穴63dが形成されており、キャップ4の側壁5の外面5bに押し当てられる止めねじ64がねじ穴63dに螺合している。図13の(b)に示される光検出装置1では、止めねじ64が緩められて、キャップ4に対して第2アパーチャ部61が方向Aに移動させられることで、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が調整される。図13の(a)及び(b)に示される光検出装置1によれば、第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離を調整することで、測定対象の光の波長分析において光量と分解能とのバランスをとることができる。
【0068】
第2アパーチャ部61の表面62bは、方向Aに垂直な平面に限定されず、方向Aから見た場合に第2アパーチャ60を包囲している面であればよい。その具体例として、図14に示される光検出装置1では、第2アパーチャ部61の表面62bが、第2アパーチャ60の外縁から外側に離れるほど第1アパーチャ部51に近付く傾斜面となっている。この構成によれば、第2アパーチャ部61の第2包囲部分62(第2アパーチャ部61のうち第2アパーチャ60を包囲している部分)の強度が高くなるため、加工時に第2アパーチャ部61に発生するひずみを抑制することができ、精度の良い第2アパーチャ部61を得ることができる。また、パッケージ2内に進入した迷光がパッケージ2内で反射されてパッケージ2の開口30及び第1アパーチャ部51の第1アパーチャ50を介して外部に出てきた際に、当該迷光の一部が、傾斜面である表面62bにて吸収されなかったとしても、傾斜面である表面62bから外部に反射されやすくなるため、パッケージ2内への当該迷光の一部の再入射を抑制することができる。また、第1アパーチャ部51の表面52bは、方向Aに垂直な平面に限定されず、方向Aから見た場合に第2アパーチャ60を包囲している面であればよい。また、第1アパーチャ部51の表面52a及び第2アパーチャ部61の表面62bは、方向Aから見た場合に互いに重なっている領域において、互いに離間していればよい。
【0069】
第1包囲部分52及び表面52aは、方向Aから見た場合に第1アパーチャ50を断続的に(例えば、スリットを介して)包囲していてもよい。また、方向Aから見た場合に、第1アパーチャ50の外縁50aは、パッケージ2の開口20の外縁20aと一致していてもよいし、或いは、外縁20aの外側に位置していてもよい。また、方向Aから見た場合に、第1アパーチャ50の外縁50aは、第2アパーチャ60の外縁60aと一致していてもよいし、或いは、外縁60aの外側に位置していてもよい。また、第1アパーチャ50は、光透過部材によって塞がれていてもよい。また、第1アパーチャ50は、開口20から離間していてもよい。その場合、第1アパーチャ部51は、例えば、キャップ4の天壁6上に配置された状態で第1包囲部分52を支持している支持部分を含んでいてもよい。また、第1アパーチャ部51は、パッケージ2に取り付けられておらず、別の部材に取り付けられていてもよい。
【0070】
第2包囲部分62及び表面62bは、方向Aから見た場合に第2アパーチャ60を断続的に(例えば、スリットを介して)包囲していてもよい。また、方向Aから見た場合に、第2アパーチャ60の外縁60aは、パッケージ2の開口20の外縁20aと一致していてもよいし、或いは、外縁20aの外側に位置していてもよい。また、方向Aから見た場合に、第2アパーチャ60の外縁60aは、第1アパーチャ50の外縁50aと一致していてもよいし、或いは、外縁50aの内側に位置していてもよい。また、第2アパーチャ60は、光透過部材によって塞がれていてもよい。また、第2アパーチャ部61は、パッケージ2に取り付けられておらず、別の部材に取り付けられていてもよい。
【0071】
上述した実施形態では、光透過部16が、光透過部材13、接着部材15及びバンドパスフィルタ14によって構成されていたが、光透過部16は、光透過部材13のみによって構成されていてもよい。また、光透過部16は、パッケージ2の内面又は外面(具体的には、天壁6の内面又は外面)に配置された板状の部材であってもよい。つまり、光透過部16は、パッケージ2の開口20を塞いでいるものであればよい。
【0072】
パッケージ2の内面の少なくとも一部(すなわち、側壁5の内面5a、天壁6の内面6a、ステム3の内面3a等)に光吸収膜が形成されていてもよい。その場合、大きい入射角度を有する光が開口20からパッケージ2内に進行したとしても、パッケージ2の内面の少なくとも一部に形成された光吸収膜によって当該光を減衰させることができるため、迷光が光検出器8に入射するのを抑制することができる。
[光検出システムの構成]
【0073】
図15は、光検出装置1を備える光検出システム100の構成図である。図15に示されるように、光検出システム100は、光検出装置1と、光源110と、支持部120と、を備えている。支持部120の支持面120a上には試料200が配置される。本実施形態では、支持部120は、白色拡散板又は低反射板(低反射材質からなる板部材)である。光検出装置1及び光源110は、支持面120aと向かい合うように配置されている。光源110は、支持面120aに対して所定の入射角度を有する光軸A1に沿って光L1を出射する。光源110は、例えば、近赤外の波長域の光を出射する発光ダイオードである。光検出装置1は、支持面120aを正反射面とした場合に光軸A1の入射角度と等しい出射角度を有する光軸A2から外れた位置に配置されている。本実施形態では、光検出装置1は、直線Lが支持面120aに垂直となり且つ第2アパーチャ60が支持面120a側に向いた状態で、光軸A1と光軸A2との間に配置されている。
【0074】
以上のように構成された光検出システム100では、支持面120aでの光L1の正反射光L2が光検出装置1に入射しにくくなり、試料200の情報を含む拡散反射光L3が光検出装置1に入射しやすくなる。よって、光検出システム100によれば、試料200の情報を含む拡散反射光L3の波長分析においてS/N比及び分解能を向上させることができる。
【0075】
実施例の光検出システム及び比較例の光検出システムを用意し、ポリエステル板について分光分析を行った。実施例の光検出システムは、上述した光検出システム100と同様の構成を有し、支持面120aと試料200(すなわち、ポリエステル板)との間にアルミニウム箔を配置したものである。比較例の光検出システムは、光軸A2上に光検出装置1を配置した点のみにおいて、実施例の光検出システムと相違するものである。その結果、図16に示されるように、実施例の光検出システムによる分光分析の結果(実線)では、比較例の光検出システムによる分光分析の結果(破線)に比べ、波長1700nm以上の波長域において吸光度が減少した。このことから、実施例の光検出システムによれば、比較例の光検出システムに比べ、ポリエステル板の情報を含む光の波長分析においてS/N比及び分解能が向上しているといえる。なお、図16において、実施例の光検出システムによる分光分析の結果(実線)の吸光度は右側の縦軸で示されており、比較例の光検出システムによる分光分析の結果(破線)の吸光度は左側の縦軸で示されている。
【0076】
実施例1,2の光検出システムを用意し、ポリエステル板について分光分析を行った。実施例1の光検出システムは、上述した光検出システム100と同様の構成を有するものである。実施例2の光検出システムは、光検出装置1において第1アパーチャ50と第2アパーチャ60との距離が実施例1の光検出システムにおける当該距離よりも大きい点のみにおいて、実施例1の光検出システムと相違するものである。その結果、図17に示されるように、実施例2の光検出システムによる分光分析の結果(破線)では、実施例1の光検出システムによる分光分析の結果(実線)に比べ、吸光度に現れる起伏が顕著となった。このことから、実施例2の光検出システムによれば、実施例1の光検出システムに比べ、ポリエステル板の情報を含む光の波長分析において分解能が向上しているといえる。なお、図17において、実施例1の光検出システムによる分光分析の結果(実線)の吸光度は左側の縦軸で示されており、実施例2の光検出システムによる分光分析の結果(破線)の吸光度は右側の縦軸で示されている。
【符号の説明】
【0077】
1…光検出装置、2…パッケージ、8…光検出器、10…ファブリペロー干渉フィルタ、16…光透過部、20…開口、20a…外縁、35…第1ミラー部(ミラー部)、36…第2ミラー部(ミラー部)、50…第1アパーチャ、50a…外縁、51…第1アパーチャ部、52…第1包囲部分、52a…表面(第1面)、60…第2アパーチャ、60a…外縁、61…第2アパーチャ部、62…第2包囲部分、62b…表面(第2面)、63…嵌合部分、A…方向(第1方向)。
図1
図2
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