(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159050
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用ドアチェッカ
(51)【国際特許分類】
E05C 17/22 20060101AFI20241031BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E05C17/22 A
B60J5/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074788
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109738
【氏名又は名称】デルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】石原 裕也
(72)【発明者】
【氏名】小幡 哲也
(57)【要約】
【課題】軽量化と高品質化とを図ることができる車両用ドアチェッカを提供する。
【解決手段】車両用ドアチェッカ1は、チェックプレート13、ハウジング10、摺動ガイド16,17、弾性体18,19を備える。チェックプレート13は、凹凸面13aを有する長尺状のリンク部材である。摺動ガイド16,17は、ハウジングユニット11の収容空間11aに収容され、凹凸面13aに摺接してチェックプレート13をガイドする。弾性体18,19は、ハウジングユニット11の収容空間11aに収容され、摺動ガイド16,17を凹凸面13aに向けて弾性付勢する。ハウジングベース12およびハウジングユニット11は、ともに樹脂材料で形成されている。ハウジングベース12は、基部と基部から立ち上がるアーチ部とを有する。ハウジングユニット11は、ハウジングベース12の基部とアーチ部との間の空洞部分に挿入されて固定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディとドアとの間に取り付けられる車両用ドアチェッカであって、
長尺状のリンク部材であって、一方端が前記ボディまたは前記ドアの内の一方に取り付けられ、少なくとも一方の主面が凹凸面で構成されたチェックプレートと、
前記チェックプレートの挿通を許すように形成された筐体であって、前記ボディまたは前記ドアの内の他方に取り付けられるハウジングと、
前記ハウジングに対して前記チェックプレートが当該チェックプレートの長手方向に相対的に移動する際に、前記少なくとも一方の主面に摺接して前記チェックプレートをガイドする摺動ガイドと、
前記摺動ガイドが前記チェックプレートに当接する向きに前記摺動ガイドを弾性付勢する弾性体と、
を備え、
前記ハウジングは、
樹脂材料で形成された部材であって、一方の主面が前記ボディまたは前記ドアの内の前記他方に当接する基部と、前記基部における前記一方の主面とは反対側の他方の主面から立ち上がるように形成されたアーチ部と、が一体形成されてなる第1ハウジング部材と、
樹脂材料で形成された部材であって、前記摺動ガイドおよび前記弾性体が収容されるとともに、前記第1ハウジング部材における前記基部と前記アーチ部との間に形成された空洞部分に挿入されることで前記第1ハウジング部材に固定される第2ハウジング部材と、
を有する、
車両用ドアチェッカ。
【請求項2】
前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、
前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記2つの前記アーチ側壁のそれぞれに対向する2つの第2部材側壁を有し、
前記2つのアーチ側壁または前記2つの第2部材側壁の内の一方の側壁は、他方の側壁に向けて突出形成された第1くさび部を有し、
前記2つのアーチ側壁または前記2つの第2部材側壁の内の他方の側壁は、前記第1くさび部の嵌入を受け入れる凹部を有する、
請求項1に記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項3】
前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とし、前記第1ハウジング部材における前記基部から前記アーチ部が立ち上がる方向を第2方向とする場合に、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、前記第1方向における一端側の部分で結合されており、
前記第1ハウジング部材は、前記第1方向における前記一端側とは反対側の他端側の部分において、前記第1方向における前記一端側から他端側へと行くのに従って前記第2方向における前記基部の前記他方の主面から漸次離れるように形成された第1斜面を有する第2くさび部を備え、
前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への固定時に、前記第1くさび部の前記第1斜面に当接する第2斜面を有する第3くさび部を備える、
請求項1に記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項4】
前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、
前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記2つの前記アーチ側壁のそれぞれに対向する2つの第2部材側壁を有し、
前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とする場合に、
前記第2ハウジング部材の前記2つの第2部材側壁のそれぞれは、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第1方向に互いが離間するように配置されるとともに、前記第1方向で互いに対向する斜面を有する、第4くさび部および第5くさび部を有し、
前記第1ハウジング部材は、当該第1ハウジング部材への前記第2ハウジング部材の固定時に、前記第4くさび部および前記第5くさび部の少なくとも一方のくさび部に対して押圧力を付加可能な押圧付加部を有し、
前記第2ハウジング部材の前記第4くさび部および前記第5くさび部は、前記第1ハウジング部材への前記第2ハウジング部材の固定時に、前記第1ハウジング部材の前記押圧付加部からの押圧力を受けて前記少なくとも一方のくさび部が前記第2ハウジング部材から脱離し、互いの斜面同士が圧接状態となる、
請求項1に記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを結合する結合部材をさらに有する、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項6】
前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とし、前記第1ハウジング部材における前記基部から前記アーチ部が立ち上がる方向を第2方向とする場合に、
前記第2ハウジング部材は、前記第1方向に延在するとともに互いに対向する一対の側壁を有し、
前記第2ハウジング部材における前記一対の側壁のそれぞれは、前記第2方向における前記第1ハウジング部材の前記基部に向けて突出形成されるとともに、前記第1方向に延びる突条部を有し、
前記第1ハウジング部材の前記基部は、当該基部の前記他方の主面に、前記突条部の挿入を受け入れる溝部を有する、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項7】
前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記第1ハウジング部材における前記基部の前記他方の主面に対して対向配置される第2部材天井壁を有し、
前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第2ハウジング部材の前記第2部材天井壁および側壁の少なくとも一方に向けて突出形成された第1部材リブを有し、
前記第2ハウジング部材の前記第2部材天井壁は、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第1ハウジング部材の前記アーチ天井壁に向けて突出形成された第2部材リブを有し、
前記第1ハウジング部材の前記第1部材リブと、前記第2ハウジング部材の前記第2部材リブとは、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入によって、それぞれの少なくとも一部が潰された状態となる、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項8】
前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されるとともに、前記チェックプレートの挿通を許す挿通窓が開設されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、
前記チェックプレートは、当該チェックプレートの長手方向における前記一方端とは反対側の他方端にストッパを有し、
前記第1ハウジング部材における前記アーチ天井壁は、前記挿通窓を囲む縁部が、前記チェックプレートの移動端で前記ストッパの当接を受けるように形成されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項9】
前記第1ハウジング部材は、前記ボディまたは前記ドアの内の前記他方への取付けのためのボルトまたはナットからなる締結部材をさらに有し、
前記締結部材は、前記第1ハウジング部材の前記基部に対して固定されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項10】
前記弾性体は、コイルバネであり、
前記第2ハウジング部材は、当該第2ハウジング部材における前記摺動ガイドおよび前記弾性体を収容する空間に面する内壁面の一部に設けられた部位であって、前記コイルバネの座面位置の移動を規制するバネ座面位置規制部をさらに有する、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項11】
前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材の少なくとも一方は、前記チェックプレートにおける前記ハウジングを挿通する部分の側面に当接または近接するように配された部位であって、前記チェックプレートの移動時における、前記チェックプレートの長手方向および前記チェックプレートへの前記摺動ガイドの当接方向の双方に交差する方向への前記チェックプレートの振れを規制するチェックプレート側面規制部をさらに有する、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【請求項12】
前記摺動ガイドを前記チェックプレートの前記一方の主面に対する当接方向から平面視する場合に、
前記摺動ガイドは、前記第1ハウジング部材の前記基部の側とは反対側の部分の外縁が円弧形状をもって形成されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用ドアチェッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアチェッカに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用のドアチェッカが開示されている。特許文献1に開示のドアチェッカは、チェックリンクと、ハウジングと、一対のシューと、一対のコイルバネとを備える。チェックリンクは、長尺状の部材であって、凹凸形成されたディテント面を有する。チェックリンクの一端は、自動車のボディに取り付けられる。ハウジングは、金属製であってチェックリンクが挿通可能な貫通孔を有するケースと、ケースの開口側部分に固定され、チェックリンクが挿通可能な貫通孔を有する金属製のケースカバーとで構成されている。ハウジングは、ドアの内方に配され、ドアに取り付けられる。
【0003】
一対のシューは、ハウジング内に収容され、それぞれがチェックリンクのディテント面に当接するように配されている。一対のコイルバネは、ハウジング内に収容され、シューをチェックリンクのディテント面に向けて弾性付勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のドアチェッカでは、製品重量および品質の観点で改善が必要である。即ち、特許文献1のドアチェッカでは、ともに金属製のケースとケースカバーとでハウジングが構成されているので、製品重量が重くなるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1のドアチェッカでは、上述のように金属製のケースとケースカバーとでハウジングが構成されているため、ハウジング内部に収容されたコイルバネ(金属製)が伸長する際にケースやケースカバーの内面に接触して干渉音が発生するおそれがあるという品質上の問題もある。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、軽量化と高品質化とを図ることができる車両用ドアチェッカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両用ドアチェッカは、車両のボディとドアとの間に取り付けられる車両用ドアチェッカであって、チェックプレートと、ハウジングと、摺動ガイドと、弾性体と、を備える。前記チェックプレートは、長尺状のリンク部材であって、一方端が前記ボディまたは前記ドアの内の一方に取り付けられ、少なくとも一方の主面が凹凸面で構成されている。前記ハウジングは、前記チェックプレートの挿通を許すように形成された筐体であって、前記ボディまたは前記ドアの内の他方に取り付けられる。前記摺動ガイドは、前記ハウジングに対して前記チェックプレートが当該チェックプレートの長手方向に相対的に移動する際に、前記少なくとも一方の主面に摺接して前記チェックプレートをガイドする。前記弾性体は、前記摺動ガイドが前記チェックプレートに当接する向きに前記摺動ガイドを弾性付勢する。
【0009】
本態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記ハウジングは、第1ハウジング部材と、第2ハウジング部材と、を有する。前記第1ハウジング部材は、樹脂材料で形成された部材であって、一方の主面が前記ボディまたは前記ドアの内の前記他方に当接する基部と、前記基部における前記一方の主面とは反対側の他方の主面から立ち上がるように形成されたアーチ部と、が一体形成されてなる。前記第2ハウジング部材は、樹脂材料で形成された部材であって、前記摺動ガイドおよび前記弾性体が収容されるとともに、前記第1ハウジング部材における前記基部と前記アーチ部との間に形成された空洞部分に挿入されることで前記第1ハウジング部材に固定される。
【0010】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、ともに樹脂材料で形成された第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との組み合わせでハウジングが構成されているので、ともに金属製のケースとケースカバーとでハウジングが構成された上記特許文献1に開示のドアチェッカよりも軽量化を図ることができる。
【0011】
また、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材および第2ハウジング部材がともに樹脂材料で形成されているので、仮に金属製のコイルバネを弾性体として採用する場合であっても、コイルバネの伸張時における第1ハウジング部材や第2ハウジング部材との間での金属同士の干渉音が発生することはない。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングの内部にグリース等を充填しなくても弾性体の伸張時における金属同士の干渉音が発生することはなく、高い品質を有するものとすることができる。
【0012】
さらに、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材における基部とアーチ部とで形成される空洞部分に第2ハウジング部材が挿入されることで第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが組み合わされているので、第1ハウジング部材の上記空洞部分に挿入可能な範囲で種々のサイズの第2ハウジング部材を採用することができる。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、仕様が異なる弾性体や摺動ガイドに対しても、第2ハウジング部材のみを組み替えて対応が可能である。
【0013】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記2つの前記アーチ側壁のそれぞれに対向する2つの第2部材側壁を有し、前記2つのアーチ側壁または前記2つの第2部材側壁の内の一方の側壁は、他方の側壁に向けて突出形成された第1くさび部を有し、前記2つのアーチ側壁または前記2つの第2部材側壁の内の他方の側壁は、前記第1くさび部の嵌入を受け入れる凹部を有する、としてもよい。
【0014】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材におけるアーチ部の2つのアーチ側壁および第2ハウジング部材における2つの第2部材側壁の内の一方が第1くさび部を有し、他方が凹部を有するように構成されているので、第1ハウジング部材への第2ハウジング部材の組付け時に第1くさび部が凹部に嵌入されることになる。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材に対して第2ハウジング部材をガタつきなくより強固な固定が実現できる。
【0015】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とし、前記第1ハウジング部材における前記基部から前記アーチ部が立ち上がる方向を第2方向とする場合に、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、前記第1方向における一端側の部分で結合されており、前記第1ハウジング部材は、前記第1方向における前記一端側とは反対側の他端側の部分において、前記第1方向における前記一端側から他端側へと行くのに従って前記第2方向における前記基部の前記他方の主面から漸次離れるように形成された第1斜面を有する第2くさび部を備え、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への固定時に、前記第1くさび部の前記第1斜面に当接する第2斜面を有する第3くさび部を備える、としてもよい。
【0016】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1方向(前記空洞部分へのハウジングユニットの挿入方向)における他端側(第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが結合された一端側とは反対側)の部分において、第1ハウジング部材に第2くさび部が設けられ、第2ハウジング部材に第3くさび部が設けられているので、第1ハウジング部材への第2ハウジング部材の固定が強固になされる。即ち、第1方向の一端側の部分では第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが結合され、他端側の部分では斜面同士の当接で第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが固定されるので、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とのより強固な固定が実現される。
【0017】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記2つの前記アーチ側壁のそれぞれに対向する2つの第2部材側壁を有し、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とする場合に、前記第2ハウジング部材の前記2つの第2部材側壁のそれぞれは、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第1方向に互いが離間するように配置されるとともに、前記第1方向で互いに対向する斜面を有する、第4くさび部および第5くさび部を有し、前記第1ハウジング部材は、当該第1ハウジング部材への前記第2ハウジング部材の固定時に、前記第4くさび部および前記第5くさび部の少なくとも一方のくさび部に対して押圧力を付加可能な押圧付加部を有し、前記第2ハウジング部材の前記第4くさび部および前記第5くさび部は、前記第1ハウジング部材への前記第2ハウジング部材の固定時に、前記第1ハウジング部材の前記押圧付加部からの押圧力を受けて前記少なくとも一方のくさび部が前記第2ハウジング部材から脱離し、互いの斜面同士が圧接状態となる、としてもよい。
【0018】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、上記空洞部分への第2ハウジング部材の挿入前の状態で第2ハウジング部材に形成されていた第4くさび部および第5くさび部の内の少なくとも一方が、挿入の際に第1ハウジング部材の押圧付加部からの押圧力を受けて第2ハウジング部材から脱離して、第4くさび部と第5くさび部との斜面同士が圧接するように構成されている。よって、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とは、第4くさび部と第5くさび部との斜面同士の圧接により互いに強固に固定される。
【0019】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記ハウジングは、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを結合する結合部材をさらに有する、としてもよい。
【0020】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを結合する結合部品をハウジングが有するので、第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材のより確実な固定が可能である。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジング内での摺動ガイド作動時に発生する第1ハウジング部材に対する第2ハウジング部材のガタつきを抑制することが可能である。
【0021】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入方向を第1方向とし、前記第1ハウジング部材における前記基部から前記アーチ部が立ち上がる方向を第2方向とする場合に、前記第2ハウジング部材は、前記第1方向に延在するとともに互いに対向する一対の側壁を有し、前記第2ハウジング部材における前記一対の側壁のそれぞれは、前記第2方向における前記第1ハウジング部材の前記基部に向けて突出形成されるとともに、前記第1方向に延びる突条部を有し、前記第1ハウジング部材の前記基部は、当該基部の前記他方の主面に、前記突条部の挿入を受け入れる溝部を有する、としてもよい。
【0022】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第2ハウジング部材における一対の側壁のそれぞれが突条部を有し、第1ハウジング部材における基部が溝部を有するので、上記凹部に対して第3くさび部が嵌入しても第2ハウジング部材における一対の側壁同士の間隔が狭くなるのを抑制することができる。即ち、上記凹部に対して上記第3くさび部が嵌入されるため、第2ハウジング部材における一対の側壁のそれぞれに対しては、対向方向(第1方向および第2方向の双方に交差する方向)の内側に向けて反力が作用するが、溝部に対して突条部が挿入されているので一対の側壁のそれぞれが対向方向の内側に変形や移動するのが抑制される。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材への第2ハウジング部材のガタつきのない固定を実現しながら、第2ハウジング部材の収容空間が狭まるのを抑制することで、第2ハウジング部材に対する弾性体や摺動ガイドの干渉を抑制することができる。
【0023】
また、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第2ハウジング部材が突条部を有するので、当該第2ハウジング部材の成形時に発生した反り変形を矯正することができる。
【0024】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング部材への当該第2ハウジング部材の固定時に、前記第1ハウジング部材における前記基部の前記他方の主面に対して対向配置される第2部材天井壁を有し、前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第2ハウジング部材の前記第2部材天井壁および側壁の少なくとも一方に向けて突出形成された第1部材リブを有し、前記第2ハウジング部材の前記第2部材天井壁は、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入前の状態で、前記第1ハウジング部材の前記アーチ天井壁に向けて突出形成された第2部材リブを有し、前記第1ハウジング部材の前記第1部材リブと、前記第2ハウジング部材の前記第2部材リブとは、前記第1ハウジング部材の前記空洞部分への前記第2ハウジング部材の挿入によって、それぞれの少なくとも一部が潰された状態となる、としてもよい。
【0025】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材におけるアーチ部および第2ハウジング部材のそれぞれにリブ(第1部材リブ、第2部材リブ)が形成され、それぞれのリブが上記空洞部分への第2ハウジング部材の挿入時に少なくとも一部が潰された状態となるように構成されている。このため、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材に対して第2ハウジング部材をより強固に固定することができ、互いの間でのガタつきをより確実に抑制することができる。
【0026】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材の前記アーチ部は、前記基部の前記他方の主面に対して対向配置されるとともに、前記チェックプレートの挿通を許す挿通窓が開設されたアーチ天井壁と、当該アーチ天井壁の両側部と前記基部の前記他方の主面とを繋ぐ2つのアーチ側壁と、を有し、前記チェックプレートは、当該チェックプレートの長手方向における前記一方端とは反対側の他方端にストッパを有し、前記第1ハウジング部材における前記アーチ天井壁は、前記挿通窓を囲む縁部が、前記チェックプレートの移動端で前記ストッパの当接を受けるように形成されている、としてもよい。
【0027】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材のアーチ天井壁の上記縁部がチェックプレートのストッパに当接する部分として形成されているので、第1ハウジング部材でストッパの衝突荷重を受けることができる。このため、第2ハウジング部材が変形や破損するのを抑制することができる。
【0028】
ここで、上記特許文献1に開示のドアチェッカでは、ケースカバーにおける主面に対してケースにおける4つ側壁の端面が突き合せられた状態でケースカバーとケースとが組付けられているので、ストッパからの衝撃荷重はケースにおける4つ側壁の端面だけを伝達されることとなり、4つの側壁やケースカバーの主面における上記端面との当接部分が変形や破損することが懸念される。
【0029】
これに対して、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、ストッパからの衝撃荷重が、第1ハウジング部材のアーチ天井壁に入力される。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、ドアが全開とされた際においても、第2ハウジング部材の変形や破損が抑制される。
【0030】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材は、前記ボディまたは前記ドアの内の前記他方への取付けのためのボルトまたはナットからなる締結部材をさらに有し、前記締結部材は、前記第1ハウジング部材の前記基部に対して固定されている、としてもよい。
【0031】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、締結部材(ボルトまたはナット)を第1ハウジング部材の基部に固定する際に、予め防錆加工が施された締結部材を用いることで、当該車両用ドアチェッカの製造時における加工工程の増加や生産性の悪化を抑制することができ、製造コストの低減が可能である。即ち、従来のドアチェッカでは、金属製のケースに対してボルトを溶接で固定することになるが、この場合には、溶接品質の低下を防ぐために溶接後に防錆処理を施す必要があり、加工工程の増加や生産性の悪化を招くことになると考えられる。
【0032】
これに対して、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、基部に対して締結部材を固定する際に、予め防錆処理が施された締結部材を用いることで、該車両用ドアチェッカの製造工程であらためて締結部材やその周辺の防錆処理を行う必要がない。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、加工工程の増加や生産性の悪化を抑制することができ、製造コストの低減が可能である。なお、基部に対する締結部材の固定形態の一例として、インサート成形を採用することができる。
【0033】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記弾性体は、コイルバネであり、前記第2ハウジング部材は、当該第2ハウジング部材における前記摺動ガイドおよび前記弾性体を収容する空間に面する内壁面の一部に設けられた部位であって、前記コイルバネの座面位置の移動を規制するバネ座面位置規制部をさらに有する、としてもよい。
【0034】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第2ハウジング部材がバネ座面位置規制部を有するので、第2ハウジング部材の収容空間内でコイルバネが傾くのを抑制することができる。このため、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、コイルバネの傾きによる第1ハウジング部材や第2ハウジング部材の内壁面との干渉を抑制することができ、干渉音の発生をより確実に抑制することができる。ここで、上記特許文献1に開示のドアチェッカでは、ケースとケースカバーとで構成されたハウジング内に姿勢が何ら規制されない状態でコイルバネが収容されているので、組付け時コイルバネをケースの奥に入れすぎた時などに、コイルバネが傾く場合が生じ得る。このようにハウジング内でコイルバネが傾くと、金属製のハウジングの内面へのコイルバネの接触によって干渉音が発生することが懸念される。
【0035】
これに対して、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材および第2ハウジング部材がともに樹脂材料で形成されているので、金属同士の干渉音の発生はもとより、樹脂材料で形成された第1ハウジング部材および第2ハウジング部材の内壁面へのコイルバネの当接による干渉音の発生も防ぐことができる。
【0036】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記第1ハウジング部材および前記第2ハウジング部材の少なくとも一方は、前記チェックプレートにおける前記ハウジングを挿通する部分の側面に当接または近接するように配された部位であって、前記チェックプレートの移動時における、前記チェックプレートの長手方向および前記チェックプレートへの前記摺動ガイドの当接方向の双方に交差する方向への前記チェックプレートの振れを規制するチェックプレート側面規制部をさらに有する、としてもよい。
【0037】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、第1ハウジング部材および第2ハウジング部材の少なくとも一方がチェックプレート側面規制部を有するので、チェックプレートを両脇から挟み込むガイド部を摺動ガイドに設ける場合に比べて、該車両用ドアチェッカのサイズが大きくなるのを抑制することができる。
【0038】
上記態様に係る車両用ドアチェッカにおいて、前記摺動ガイドを前記チェックプレートの前記一方の主面に対する当接方向から平面視する場合に、前記摺動ガイドは、前記第1ハウジング部材の前記基部の側とは反対側の部分の外縁が円弧形状をもって形成されている、としてもよい。
【0039】
上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、摺動ガイドにおける上記反対側の部分(第1ハウジング部材の基部の側とは反対側の部分)の外縁が円弧形状をもって形成されているので、当該摺動ガイドにおける円弧形状の部分を囲む第2ハウジング部材の該当部分も円弧形状とすることが可能である。よって、上記態様に係る車両用ドアチェッカでは、サイズの大型化を抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0040】
上記の各態様に係る車両用ドアチェッカでは、軽量化と高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成を示す斜視図である。
【
図2】車両用ドアチェッカの構成を示す展開斜視図である。
【
図3】車両用ドアチェッカにおけるハウジングの構成を示す展開斜視図である。
【
図4】ハウジングを構成するハウジングユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】ハウジングユニットのくさび部とハウジングベースの凹部との嵌合状態を示す断面図である。
【
図6】ハウジングベースの基部へのボルトの固定構造を示す斜視図(一部断面図)である。
【
図7】(a)はハウジングベースの構成を示す斜視図であり、(b)はハウジングベースの天井壁に対してチェックプレートのストッパが当接した状態を示す斜視図である。
【
図8】(a)は本発明の第2実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングベースの構成を示す斜視図であり、(b)は本発明の第2実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングユニットの構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングベースの構成を示す斜視図であって、(a)は一方の斜め側方から見た斜視図、(b)は他方の斜め側方から見た斜視図である。
【
図10】(a)は本発明の第4実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングユニットの構成を示す斜視図であり、(b)はハウジングベースの構成を示す斜視図である。
【
図11】(a)は本発明の第5実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングユニットの構成を示す斜視図であり、(b)はハウジングベースに対してハウジングユニットを取り付けた状態を示す模式図である。
【
図12】本発明の第6実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングベースの構成を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第7実施形態に係る車両用ドアチェッカが備えるハウジングの構成を示す断面図である。
【
図14】ハウジングベースの構成を示す模式図である。
【
図15】
図13のXV-XV線断面における弾性体と摺動ガイドとを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0043】
[第1実施形態]
1.車両用ドアチェッカ1の構成
本発明の第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1の構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0044】
図1に示すように、車両用ドアチェッカ1は、ハウジング10とチェックプレート13と備える。ハウジング10は、チェックプレート13の移動方向(矢印Aで示す方向)に対して交差する方向に延びるように配設されている。ハウジング10は、ハウジングベース(第1ハウジング部材)12とハウジングユニット(第2ハウジング部材)11とを備える。
【0045】
図2に示すように、車両用ドアチェッカ1は、一対の摺動ガイド16,17と一対の弾性体18,19とも備える。一対の摺動ガイド16,17および一対の弾性体18,19は、ハウジングユニット11の収容空間11aに収容されている。
【0046】
摺動ガイド16,17は、チェックプレート13の長手方向におけるストッパ13bともう一方の端部13cとの間の部分に構成された凹凸面13aに当接する。摺動ガイド16,17は、ハウジング10に対してチェックプレート13が長手方向に相対的に移動する際(
図1の矢印Aで示す移動の際)にチェックプレート13の凹凸面13aに摺接してチェックプレート13をガイドする。
【0047】
弾性体18,19は、本実施形態では一例としてコイルバネであって、摺動ガイド16,17をチェックプレート13の凹凸面13aに摺接する向きに弾性付勢する。
【0048】
ハウジング10は、ハウジングベース12とハウジングユニット11とが結合部材20を用いて結合されている。ハウジングベース12は孔12aを有し、ハウジングユニット11は孔11bを有する。これらの孔11b,12aは、結合部材20の挿通を許す孔である。
【0049】
ハウジングベース12およびハウジングユニット11は、それぞれ樹脂材料で形成されている。本実施形態では、樹脂材料の一例であるガラス繊維強化ポリアミドやガラス繊維強化ポリプロピレンでハウジングベース12およびハウジングユニット11が形成されている。特に、ガラス繊維強化ポリプロピレンは、比重が比較的小さいため形成材料として採用することが望ましい。
【0050】
また、本実施形態では、結合部品20の一例として、スプリングピンが採用される。ただし、結合部品20として、リベットやネジなどを採用することもできる。さらに、ハウジングベース12とハウジングユニット11との結合には、スナップフィット結合や溶着などを採用することも可能である。
【0051】
図2に戻って、チェックプレート13における端部(一方端)13cには、ピン14を用いてブラケット15が取り付けられている。チェックプレート13の端部13cには貫通孔13dが開けられており、ブラケット15には貫通孔15aが開けられている。ピン14は、貫通孔13d,15aを挿通している。ブラケット15は、車両におけるボディまたはドアの一方に取り付けられる。
【0052】
図1および
図2に示すように、ハウジングベース12は、2本のボルト120を有する。ハウジング10は、ハウジングベース12のボルト120を用いて、ボディまたはドアの他方に取り付けられる。
【0053】
2.ハウジングベース12およびハウジングユニット11の構成
ハウジングベース12およびハウジングユニット11の構成について、
図3から
図5を用いて説明する。
【0054】
図3に示すように、ハウジングベース12は、平板形状を有する基部12eと、基部12eにおけるボルト120が延出する側とは反対側の面から立ち上がるように形成されたアーチ形状のアーチ部12bとが一体形成されてなる。アーチ部12bは、基部12eに間隔を空けて対向配置されたアーチ天井壁12cと、アーチ天井壁12cと基部12eとを繋ぐ2つのアーチ側壁12dとで構成されている。基部12eおよびアーチ天井壁12cのそれぞれは、チェックプレート13の挿通を許す挿通窓12h,12iを有する。各挿通窓12h,12iは、チェックプレート13の凹凸面13aが形成された部分(長手方向におけるストッパ13bと一方の端部13cとの間の部分)が干渉しないように形成されている。
【0055】
ハウジングユニット11は、4つの側壁11iと1つの天井壁(第2部材天井壁)11gとを有する。天井壁11gには、チェックプレート13の凹凸面13aが形成された部分(長手方向におけるストッパ13bと一方の端部13cとの間の部分)の挿通を許す挿通窓11cが開けられている。4つの側壁11iは、互いに対向する2つ側壁11i1と、互いに対向する2つ側壁11i2とを有する。この内、側壁11i1は、矢印B5のように、ハウジングベース12における基部12eとアーチ部12bとの間の空洞部分にハウジングユニット11を挿入した場合に、ハウジングベース12におけるアーチ側壁12dに対して対向する。即ち、ハウジングユニット11の2つの側壁11i1が、「第2部材側壁」に該当する。
【0056】
なお、
図4に示すように、ハウジングユニット11では、天井壁11gと対向する部分は、摺動ガイド16,17および弾性体18,19を収容する入口として開口されている。
【0057】
図3に戻って、ハウジングベース12のアーチ側壁12dのそれぞれは、各アーチ側壁12dの肉厚方向内側に向けて凹入するように形成された凹部12fを有する(矢印B1部分)。なお、
図3では、図示の都合上、一方のアーチ側壁12dの凹部12fだけを図示しているが、他方のアーチ側壁12dにも同様の凹部12fが形成されている。
【0058】
図3および
図4に示すように、ハウジングユニット11の側壁11i1のそれぞれは、互いの対向方向とは反対向きに突出するように形成されたくさび部(第1くさび部)11dを有する(矢印B2部分)。
図5に示すように、ハウジングベース12における基部12eとアーチ部12bとの間の空洞部分にハウジングユニット11を挿入した場合に、ハウジングユニット11のくさび部11dは、矢印Dのようにハウジングベース12の凹部12fに嵌入される。
【0059】
なお、ハウジングベース12におけるアーチ側壁12dに、互いの対向方向に向けて突出するくさび部を設け、ハウジングユニット11の側壁11iに、くさび部の嵌入を受け入れる凹部を設けてもよい。
【0060】
図3に戻って、ハウジングベース12の基部12eは、互いに平行に設けられた2条の溝部12gを有する(矢印B3,B4部分)。2条の溝部12gは、基部12eの幅方向に互いに間隔を空け、それぞれが基部12eの長手方向(第1方向)に沿って延びるように形成されている。
【0061】
一方、
図4に示すように、ハウジングユニット11における側壁11i1のそれぞれは、上記空洞部分へのハウジングユニット11の挿入方向に沿って設けられた突条部11fを有する(矢印C1~C4部分)。突条部11fは、側壁11i1の底縁部11eから天井壁11gとは反対側に向けて突出するように形成されている。
【0062】
図4に示すように、ハウジングユニット11の突条部11fは、ハウジングベース12の溝部12gに挿入される。これにより、くさび部11dが凹部12fに嵌入され、ハウジングベース12の側壁12dからの反力(矢印Dとは反対向きの力)がハウジングユニット11の側壁11i1に作用した場合にも、側壁11i1同士の間隔が狭くなるのを抑制できる。即ち、ハウジングベース12へハウジングユニット11を強固に取り付けながら、ハウジングユニット11の収容空間11aを確保することができる。
【0063】
3.ハウジングベース12の基部12eへのボルト120の固定構造
ハウジングベース12の基部12eへのボルト120の固定構造について、
図6を用いて説明する。
【0064】
図6に示すように、2本のボルト(締結部材)120は、樹脂材料で形成されたハウジングベース12の基部12eに対してインサート成形により固定されている。
【0065】
4.効果
本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、ともに樹脂材料で形成されたハウジングベース12とハウジングユニット11との組み合わせでハウジング10が構成されているので、ともに金属製のケースとケースカバーとでハウジングが構成された上記特許文献1に開示のドアチェッカよりも軽量化を図ることができる。
【0066】
また、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12およびハウジングユニット11がともに樹脂材料で形成されているので、金属製のコイルバネを弾性体18,19として採用する場合であっても、弾性体18,19の伸張時におけるハウジングベース12やハウジングユニット11との間での金属同士の干渉音が発生することはない。よって、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングの内部にグリース等を充填しなくても弾性体の伸張時における金属同士の干渉音が発生することはなく、高い品質を有するものとすることができる。
【0067】
さらに、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12における基部12eとアーチ部12bとで形成される空洞部分にハウジングユニット11が挿入されることでハウジングベース12とハウジングユニット11とが結合されているので、ハウジングベース12の上記空洞部分に挿入可能な範囲で種々のサイズのハウジングユニット11を採用することができる。よって、車両用ドアチェッカ1では、仕様が異なる弾性体18,19や摺動ガイド16,17に対しても、ハウジングベース12をそのまま用いながらハウジングユニット11のみを組み替えて対応が可能である。
【0068】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12とハウジングユニット11とを結合する結合部品20をハウジング10が有するので、ハウジングベース12に対するハウジングユニット11のより確実な固定が可能である。よって、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングユニット11の収納空間11aでの摺動ガイド16,17の移動や車両走行時の振動などによってもハウジングベース12に対するハウジングユニット11のガタつきを抑制することが可能である。
【0069】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、ハウジングユニット11の側壁11i1にくさび部(第1くさび部)11dが設けられ、ハウジングベース12のアーチ側壁12dに凹部12fが設けられているので、ハウジングベース12へのハウジングユニット11の組付け時(結合時)にくさび部11dが凹部12fに嵌入されることになる(
図5を参照)。よって、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12に対してよりガタつきなくハウジングユニット11を固定することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、ハウジングユニット11における側壁(第2部材側壁)11i1が突条部11fを有し、ハウジングベース12における基部12eが溝部12gを有するので、凹部12fへのくさび部11dの嵌入によっても第2部材側壁11i1同士の間隔が狭くなるのを抑制することができる。即ち、凹部12fに対してくさび部11dが嵌入されるため、第2部材側壁11i1のそれぞれには互いが対向する方向の内側(
図5の矢印Dとは反対側)に向けて反力が作用するが、溝部12gに対して突条部11fが挿入されることにより第2部材側壁11i1のそれぞれが対向方向の内側に変形や移動するのが抑制される。よって、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12へのハウジングユニット11のガタつきのない固定を実現しながら、ハウジング10内の空間(ハウジングユニット11の収容空間11a)が狭まるのを抑制することで、ハウジング10に対する弾性体18,19や摺動ガイド16,17の干渉を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、
図7(a)、(b)に示すように、ハウジングベース12のアーチ天井壁12cにおける挿通窓12iの周囲の縁部がチェックプレート13のストッパ13bに当接する部分として形成されているので(矢印E部分)、上記のように強固に固定されたハウジングベース12でストッパ13bの衝撃荷重を受けることができる。このため、ハウジングユニット11が変形や破損するのを抑制することができる。
【0072】
ここで、上記特許文献1に開示のドアチェッカでは、ケースにおける4側壁の端面に主面の縁部が当接する状態で配されたケースカバーにストッパの衝撃荷重がかかる構造となっている。このため、ストッパから入力された衝撃荷重はケースにおける4側壁の端面に伝達されることとなり、当該端面やこれに当接するケースカバーの縁部が変形や破損することが懸念される。
【0073】
これに対して、車両用ドアチェッカ1では、ハウジングベース12のアーチ部12bにストッパ13bの衝撃荷重が入力される。よって、車両用ドアチェッカ1では、ドアが全開とされた際においても、ハウジングユニット11が変形や破損するのを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース12はインサート成形されたボルト120を有するので、予め防錆加工が施されたボルト120を用いることで、当該車両用ドアチェッカの製造時における加工工程の増加や生産性の悪化を抑制することができ、製造コストの低減が可能である。即ち、従来のドアチェッカでは、金属製のケースに対してボルトを溶接で固定することになるが、この場合には、溶接品質の低下を防ぐために溶接後に防錆処理を施す必要があり、加工工程の増加や生産性の悪化を招くことになると考えられる。
【0075】
これに対して、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、インサート成形でボルト120を基部12eに固定しているので、予め防錆処理が施されたボルト120を用いることで、該車両用ドアチェッカの製造工程であらためてボルト120やその周辺の防錆処理を行う必要がない。よって、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、加工工程の増加や生産性の悪化を抑制することができ、製造コストの低減が可能である。
【0076】
なお、本実施形態では、ハウジングベース12の基部12eに対してインサート成形によりボルト120を一体成形することとしたが、本発明では、基部12eへのボルト120の取付け方法について、これに限定を受けるものではない。例えば、圧入などの他の方法を採用することも可能である。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る車両用ドアチェッカ1では、軽量化と高品質化を図ることができる。
【0078】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図8を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジングベース(第1ハウジング部材)22およびハウジングユニット(第2ハウジング部材)21の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、
図8では、ハウジングベース22およびハウジングユニット21だけを図示している。また、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0079】
図8(a)に示すように、ハウジングベース22におけるアーチ部のアーチ天井壁22cは、ハウジングユニット21の挿入方向(第1方向)に沿って延びるように形成された複数条の圧入リブ(第1部材リブ)22jを有する(矢印F1部分)。
【0080】
図8(b)に示すように、ハウジングユニット21の天井壁(第2部材天井壁)21gにおける挿通窓21cの周辺部分に、ハウジングベース22の空洞部分へのハウジングユニット21の挿入方向(第1方向)に沿って延びるように形成された複数条の圧入リブ(第2部材リブ)21hを有する(矢印F2部分)。
【0081】
ハウジングベース22の圧入リブ22jおよびハウジングユニット21の圧入リブ21hは、ハウジングベース22の空洞部分にハウジングユニット21を挿入することで、それぞれの少なくとも一部(少なくとも突出方向の先端部分)が潰された状態となる。
【0082】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース22およびハウジングユニット21のそれぞれが圧入リブ22j,21hを有する以外は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を有するので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース22におけるアーチ天井壁22cおよびハウジングユニット21の天井壁(第2部材天井壁)21gそれぞれに圧入リブ22j,21hが形成され、それぞれの圧入リブ22j,21hが空洞部分へのハウジングユニット21の挿入時に少なくとも一部が潰された状態となるように構成されているので、ハウジングベース22とハウジングユニット21との間に圧入リブ22j,21hが潰されることによる反力が働く。このため、本変形例に係る車両用ドアチェッカでは、より強固にハウジングベース22に対してハウジングユニット21を固定することができ、互いの間でのガタつきをより確実に抑制することができる。
【0084】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図9を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジングベース(第1ハウジング部材)23の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、
図9では、ハウジングベース22だけを図示している。また、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0085】
図9(a)、(b)に示すように、ハウジングベース23のアーチ部23bにおける両アーチ側壁23dは、ハウジングユニット11の挿入方向(第1方向)に沿って延びるように形成された圧入リブ(第2部材リブ)23kを有する(矢印G1,G2部分)。圧入リブ23kは、各側壁23dの内側面(側壁23dの対向方向内側の面)から突出するように形成されている。また、各圧入リブ23kは、側壁23dにおける天井壁23cに近い部分において、互いに平行に形成されている。
【0086】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカにおいて、ハウジングベース23の圧入リブ23kは、ハウジングベース23の空洞部分にハウジングユニット11を挿入することで、少なくとも一部(少なくとも突出方向の先端部分)が潰された状態となる。
【0087】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース23が圧入リブ23kを有する以外は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を有するので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0088】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース23の側壁23dに圧入リブ23kが形成されており、ハウジングベース23の空洞部分へのハウジングユニット11の挿入時に少なくとも一部が潰された状態となるように構成されているので、ハウジングベース23とハウジングユニット11との間に圧入リブ23kが潰されることによる反力が働く。このため、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでも、上記第2実施形態と同様に、より強固にハウジングベース23に対してハウジングユニット11を固定することができ、互いの間でのガタつきをより確実に抑制することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、ハウジングベース23の側壁23dに圧入リブ23kを設けることとしたが、上記第2実施形態におけるハウジングベース22の圧入リブ22jおよびハウジングユニット21の圧入リブ21hと組み合わせることも可能である。
【0090】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図10を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジングユニット(第2ハウジング部材)24およびハウジングベース(第1ハウジング部材)25の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、
図10では、ハウジングユニット24およびハウジングベース25を図示している。また、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0091】
図10(a)、(b)に示すように、ハウジングユニット24とハウジングベース25とは、それぞれの長手方向(第1方向)の一端側の部分で結合部品20により結合される。
図10(a)に示すように、ハウジングユニット24における長手方向に沿って延びる側壁24iのそれぞれは、長手方向における上記一端側とは反対側である他端側の部分にくさび部(第3くさび部)24jを有する(矢印H1部分)。ハウジングユニット24のくさび部24jは、上記第1方向における一端側から他端側へと行くのに従って、ハウジングベース25の基部の主面(アーチ部が立ち上がる側の主面)から漸次離れるように形成された斜面を有する。
【0092】
図10(b)に示すように、ハウジングベース25は、長手方向における上記一端側とは反対側である他端側の部分に、アーチ部の側壁に連続する端部側壁25lを有する。ハウジングベース25の端部側壁25lのそれぞれは、くさび部(第2くさび部)25mを有する(矢印H2部分)。ハウジングベース25のくさび部25mは、ハウジングベース25へのハウジングユニット24の固定時に、ハウジングユニット24のくさび部24jの斜面に当接するように形成された斜面を有する。
【0093】
ハウジングユニット24におけるくさび部24jの斜面と、ハウジングベース25におけるくさび部25mの斜面とは、ハウジングベース25に対してハウジングユニット24を結合部品20により結合した場合に互いに隙間なく当接する。
【0094】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングユニット24がくさび部24jを有し、ハウジングベース25がくさび部25mを有する以外は上記実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を有するので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0095】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース25にハウジングユニット24を結合した際にくさび部24jの斜面とくさび部25mの斜面とが隙間なく当接するように構成されているので、ハウジングベース25へのハウジングユニット24の固定がより強固になされる。
【0096】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図11を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジングユニット(第2ハウジング部材)26およびハウジングベース(第1ハウジング部材)27の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、
図11では、ハウジングユニット26およびハウジングベース27だけを図示している。また、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0097】
なお、
図11(a)には、ハウジングベース27への結合前におけるハウジングユニット26を示し、
図11(b)には、ハウジングユニット27へハウジングユニット26を結合した状態を示す。
【0098】
図11(a)に示すように、ハウジングユニット26における側壁(第2部材側壁)26iのそれぞれは、ハウジングベース27の空洞部分へハウジングユニット26を挿入する前の状態において、くさび部(第4くさび部)26kとくさび部(第5くさび部)26lとを有する(矢印I1,I2部分)。くさび部26kとくさび部26lとは、互いが空洞部分へのハウジングユニット26の挿入方向(第1方向)に互いに離間し、対向する斜面をそれぞれが有する。
【0099】
図11(b)に示すように、ハウジングベース27には、当該ハウジングベース27へのハウジングユニット26の固定時に、くさび部26lに対して押圧力をかける端壁(押圧付加部)27nが設けられている。また、ハウジングベース27には、端壁27nに繋がり、互いに対向する対向壁27p,27qが設けられている。
【0100】
ハウジングベース27にハウジングユニット26を固定する場合には、ハウジングベース27に対して矢印I3のようにハウジングユニット26を挿入して行く。この際、ハウジングユニット26のくさび部26kおよびくさび部26lは対向壁27pと対向壁27qとの間の間隙を進む。そして、ハウジングベース27に対してハウジングユニット26を所定の距離だけ挿入した時点で、くさび部26lが端壁27nに衝突する。さらにハウジングユニット26の挿入を進めると、端壁27nからの押圧力によりくさび部26lがハウジングユニット26の側壁26iから脱離する。
【0101】
さらにハウジングユニット26の挿入を進めて行くと、側壁26iから脱離したくさび部26lの一部がくさび部26kの下方に潜り込み(矢印I3部分)、これによりくさび部26kとくさび部26lとが対向壁27p,27qを対向方向に押し広げようとする。よって、本変形例に係る車両用ドアチェッカでは、くさび部26kとくさび部26lとの当接、および各くさび部26k,26lと対向壁27p,27qとの当接により、ハウジングベース27とハウジングユニット26とが圧接される。
【0102】
なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングユニット26がくさび部26k,26lを有し、ハウジングベース27が端壁27nおよび対向壁27p,27qを有する以外は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を有するので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0103】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図12を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカについては、ハウジングベース(第1ハウジング部材)29の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、
図12でも、ハウジングベース29だけを図示している。また、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0104】
図12に示すように、本実施形態でも、ハウジングベース29が樹脂材料を用いて形成されており、2つのナット(締結部材)290がインサート成形により基部に固定されている。
【0105】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングベース29がインサート成形により固定されたナット290を有する点に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を有するので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでも、ナット290がハウジングベース29の基部に対してインサート成形により固定する際に、予め防錆加工が施されたナット290を用いることで、当該車両用ドアチェッカの製造時における加工工程の増加や生産性の悪化を抑制することができ、製造コストの低減が可能である。
【0107】
なお、本実施形態においても、ハウジングベース29の基部に対してインサート成形によりナット290を一体成形することとしたが、本発明では、基部へのナット290の取付け方法について、これに限定を受けるものではなく、例えば、圧入などの他の方法を採用することも可能である。
【0108】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係る車両用ドアチェッカの構成について、
図13から
図15を用いて説明する。なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカについては、ハウジング30および摺動ガイド36,37の構成に特徴を有し、それ以外の構成は上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成を備える。このため、以下では、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同じ構成についての重ねての説明を省略する。
【0109】
図13に示すように、本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジング30と、チェックプレート13と、摺動ガイド36,37と、弾性体18,19とを備える。ハウジング30は、ハウジングベース(第1ハウジング部材)32とハウジングユニット(第2ハウジング部材)31との組み合わせをもって構成されている。本実施形態においても、ハウジングベース32およびハウジングユニット31は、樹脂材料(一例として、ガラス繊維強化ポリアミド、ガラス繊維強化ポリプロピレンなど)を用いて形成されている。ハウジングベース32の形状などについては、上記第1実施形態のハウジングベース12と同様である。
【0110】
ハウジングユニット31は、内壁面の一部の構造が上記第1実施形態のハウジングユニット11と相違する。具体的には、弾性体(コイルバネ)18,19における摺動ガイド36,37に当接する側とは反対側のバネ座面18a,19aが当接する部分およびその周辺部分が、当該バネ座面18,a,19aの位置を規制するバネ座面位置規制部31rとして構成されている(矢印J1,J2部分)。バネ座面位置規制部31rは、他の部分よりも内径が小径となるように形成されている。
【0111】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングユニット31がバネ座面位置規制部31rを有するので、ハウジング30内で弾性体(コイルバネ)18,19が傾くのを抑制することができる。このため、車両用ドアチェッカでは、弾性体18,19の傾きによるハウジングベース32やハウジングユニット32との干渉を抑制することができ、干渉音の発生をより確実に抑制することができる。
【0112】
次に、チェックプレート13とハウジングベース32との相互の関係について(
図13の矢印J3部分)、チェックプレート13に対して摺動ガイド36,37が当接する方向およびチェックプレート13の長手方向の双方向に交差(直交)する方向から見た
図14を用いて説明する。
【0113】
図14に示すように、本実施形態に係る車両用ドアチェッカにおいて、ハウジングベース32のアーチ部32bは、チェックプレート13における凹凸面13aが形成されたディテント部の側面13eに対して当接または近接するように形成されたチェックプレート側面規制部32rを有する。チェックプレート側面規制部32rは、互いに対向するように2箇所設けられており、チェックプレート13の両側面13eを挟むように配設されている。
【0114】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカは、ハウジングベース32にチェックプレート側面規制部32rを設けることにより、チェックプレー13トの振れ(チェックプレート13の長手方向およびチェックプレート13への摺動ガイド36,37の当接方向の双方に交差する方向の振れ)を規制できるとともに、チェックプレートを両脇から挟み込むガイド部を摺動ガイドに設ける場合に比べて、該車両用ドアチェッカのサイズが大きくなるのを抑制することができる。
【0115】
なお、本実施形態では、チェックプレート側面規制部32rをハウジングベース32に設けることとしたが、ハウジングユニット31にチェックプレート側面規制部を設けてもよい。この場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
【0116】
次に、摺動ガイド36,37の形状について、
図15を用いて説明する。なお、
図15では、摺動ガイド36だけを図示しているが、摺動ガイド37についても同様の形状を有する。
【0117】
本実施形態では、弾性体18,19としてコイルバネを採用することとしている。このため、
図15に示すように、弾性体18を軸芯方向から平面視する場合に、弾性体18は、外周18bが円形状を描く。
【0118】
摺動ガイド36は、ハウジングベース32における基部の側の外周が矩形状に形成されているのに対して、ハウジングベース32における基部の側とは反対側の外周(ユニット側外周)36aが円弧形状をもって形成されている。
【0119】
本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、摺動ガイド36,37のユニット側外周36aが円弧形状をもって形成されているので、当該摺動ガイド36,37における円弧形状の部分を囲むハウジングユニット31の該当部分も円弧形状とすることが可能である。よって、車両用ドアチェッカでは、サイズの大型化を抑制することが可能である。
【0120】
なお、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでは、ハウジングユニット31がバネ座面位置規制部31rとチェックプレート側面規制部32rとを有し、摺動ガイド36,37が円弧形状で形成されたユニット側外周36aを有することとしたが、本発明では、これらの内の少なくとも1つの特徴を備えることとすることもできる。これにより、上記の効果を得ることができる。
【0121】
また、本実施形態に係る車両用ドアチェッカでも、上記第1実施形態に係る車両用ドアチェッカ1と同様の効果を得ることもできる。
【0122】
[変形例]
上記第1実施形態から上記第7実施形態では、弾性体18,19の一例としてコイルバネを採用することとしたが、本発明では、弾性体の種類について、これに限定を受けるものではない。例えば、ゴムなどの弾性体を採用することもできる。
【0123】
また、上記第1実施形態から上記第7実施形態では、結合部品20の一例としてスプリングピンを採用することとしたが、本発明では、結合部品の種類について、これに限定を受けるものではない。例えば、リベット(ブラインドリベットを含む。)やボルトなどを結合部品として採用することもできる。また、本発明では、結合部品は必須の構成ではない。
【0124】
また、上記第1実施形態から上記第7実施形態では、例えば、チェックプレート13は、鉄など金属を芯材としつつ、ポリアミドなど樹脂材料を芯材の表面に被覆してなる中実の部品を採用している。ただし、本発明では、これに限定を受けるものではない。例えば、複数枚の長尺状板材を重ね合わせてなるチェックプレートや、穴部を設けて軽量化が図られたチェックプレートを採用することもできる。
【0125】
さらに、本発明では、上記第1実施形態から上記第7実施形態の各構成を任意に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 車両用ドアチェッカ
10,30 ハウジング
11,21,24,26,31 ハウジングユニット(第2ハウジング部材)
11d くさび部(第1くさび部)
12,22,23,25,27,29,32 ハウジングベース(第1ハウジング部材)
12b,23b アーチ部
12e 基部
12f 凹部
12g 溝部
13 チェックプレート
13b ストッパ
16,17,36,37 摺動ガイド
18,19 弾性体
21h 圧入リブ(第2部材リブ)
22j,23k 圧入リブ(第1部材リブ)
24j くさび部(第3くさび部)
25m くさび部(第2くさび部)
26k くさび部(第4くさび部)
26l くさび部(第5くさび部)
27n 端壁(押圧付加部)
31r バネ座面位置規制部
32r チェックプレート側面規制部
36a 円弧部
120 ボルト(締結部材)
290 ナット(締結部材)