(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159052
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】蓄電装置、蓄電装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20241031BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241031BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20241031BHJP
B60L 58/18 20190101ALN20241031BHJP
【FI】
G01R31/00
H02J7/02 F
B60L50/60
B60L58/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074790
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智則
【テーマコード(参考)】
2G036
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA12
2G036BA37
2G036BB08
5G503BB02
5G503FA06
5G503FA07
5G503GD03
5G503GD05
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC28
5H125CC01
5H125CD01
5H125FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2つの蓄電装置(蓄電池)と、2つの蓄電装置が着脱可能に搭載される電力装置とを備える蓄電池管理システムが開示されている。2つの蓄電装置の各々は、蓄電部を有する。蓄電装置の起動処理に時間がかかる。従って、蓄電装置の起動処理を効率よく且つ短時間で完了するような改善の余地があった。
【解決手段】バッテリ及びその制御方法では、バッテリの外部から送信される情報、又は、該バッテリの外部を流れる情報を取得し、取得した情報から他通信用IDを抽出する。また、該バッテリに対して自通信用IDが付与される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部を有する蓄電装置であって、
該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得部と、
取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出部と、
該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部と、
を備える、蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置において、
前記抽出部は、該蓄電装置以外の他の蓄電装置の情報の送信元情報である他送信元情報を抽出し、
前記付与部は、前記抽出部が抽出した前記他送信元情報に基づいて、前記自送信元情報を付与する、蓄電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電装置において、
前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、事前に設定された前記送信元情報の優先度規則に基づいて、前記抽出部が抽出した前記他送信元情報の優先度よりも前記優先度規則上の優先度が低い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与する、蓄電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蓄電装置において、
前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、前記抽出部が複数の前記他送信元情報を抽出した場合に、前記抽出部が抽出した複数の前記他送信元情報のうち、前記優先度規則上の優先度が最も低い前記他送信元情報よりも優先度が低い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与する、蓄電装置。
【請求項5】
請求項2に記載の蓄電装置において、
前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、前記取得部が前記情報を取得しない場合に、又は、前記抽出部が前記送信元情報を抽出しない場合に、事前に設定された前記送信元情報の優先度規則に基づいて、前記優先度規則上の優先度が最も高い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与する、蓄電装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電装置において、
該蓄電装置の状態を、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続可能な活性状態、又は、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続不能な非活性状態に切り替える活性処理部をさらに備え、
前記活性処理部は、前記蓄電装置の外部の活性指令部から送られた指令によって、前記活性状態又は前記非活性状態に切り替えるように設けられる、蓄電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電装置において、
該蓄電装置以外の他の蓄電装置が存在するときに、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが前記非活性状態である場合に、前記活性指令部は、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とに対して、時間差を有して前記指令を送るように設けられる、蓄電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電装置において、
該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが電力装置に装着されている場合に、前記電力装置に装着されている該蓄電装置及び前記他の蓄電装置の総数を示す装着数情報と、前記抽出部が抽出した複数の前記送信元情報とに基づいて、該蓄電装置と前記他の蓄電装置との各々に前記自送信元情報が付与されたか否かを判定する判定部と、
該蓄電装置と前記他の蓄電装置との各々に前記自送信元情報が付与されたことを前記判定部が判定したときに、前記判定部の判定結果を該蓄電装置の外部に通知する通知部と、
をさらに備える、蓄電装置。
【請求項9】
請求項1に記載の蓄電装置において、
前記付与部は、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる前記自送信元情報を付与する、蓄電装置。
【請求項10】
請求項9に記載の蓄電装置において、
前記固有識別情報は、文字列であり、
前記付与部は、前記文字列のうちの一部の文字列を前記自送信元情報として付与する、蓄電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の蓄電装置において、
少なくとも前記自送信元情報を含んだ送信情報を該蓄電装置の外部に送信する送信部をさらに備える、蓄電装置。
【請求項12】
請求項11に記載の蓄電装置において、
前記送信部は、任意の送信開始時期及び任意の送信周期のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、前記送信情報を送信し、
前記送信開始時期及び前記送信周期のうちの少なくともいずれか一方は、前記文字列のうちの前記一部の文字列以外の他の文字列に基づいて定められる、蓄電装置。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載の蓄電装置において、
該蓄電装置の状態を、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続可能な活性状態、又は、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続不能な非活性状態に切り替える活性処理部をさらに備え、
前記活性処理部は、前記蓄電装置の外部の活性指令部から送られた指令によって、前記活性状態又は前記非活性状態に切り替えるように設けられる、蓄電装置。
【請求項14】
請求項13に記載の蓄電装置において、
該蓄電装置以外の他の蓄電装置が存在するときに、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが前記非活性状態である場合に、前記活性指令部は、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とに対して、同時に前記指令を送るように設けられる、蓄電装置。
【請求項15】
蓄電部を有する蓄電装置であって、
該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部を備え、
前記付与部は、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる前記自送信元情報を付与する、蓄電装置。
【請求項16】
蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、
該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得ステップと、
取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップの抽出結果に基づいて、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与ステップと、
を有する、蓄電装置の制御方法。
【請求項17】
蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、
該蓄電装置に対して、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与するステップを有する、蓄電装置の制御方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の蓄電装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムを記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置、蓄電装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの蓄電装置(蓄電池)と、2つの蓄電装置が着脱可能に搭載される電力装置とを備える蓄電池管理システムが開示されている。2つの蓄電装置の各々は、蓄電部を有する。
【0003】
2つの蓄電装置を起動させる場合、電力装置は、サブバッテリから供給される電力に基づき、起動信号(活性化信号)を生成する。電力装置は、サブバッテリから供給される電力に基づき生成した起動信号を、2つの蓄電装置を起動させるための起動指令として、2つの蓄電装置への出力を開始する(特許文献1の
図4のSA11参照)。これにより、2つの蓄電装置は、電力装置からの起動信号に基づき、非活性状態から活性状態に切り替わり、初期化処理をそれぞれ行う(特許文献1の
図4のSB11、SB12、SC11、SC12参照)。なお、非活性状態は、蓄電装置の内部の蓄電部と、該蓄電装置の外部とが電気的に接続不能な状態である。活性状態は、蓄電装置の内部の蓄電部と、該蓄電装置の外部とが電気的に接続可能な状態である。
【0004】
初期化処理の完了後、電力装置は、2つの蓄電装置への起動信号の供給を停止する(特許文献1の
図4のSA13参照)。これにより、2つの蓄電装置は、活性状態から非活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSB13、SC13参照)。
【0005】
次に、電力装置は、一方の蓄電装置への起動信号の供給を再開する(特許文献1の
図4のSA21参照)。これにより、一方の蓄電装置は、非活性状態から活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSB21参照)。なお、他方の蓄電装置は、非活性状態を維持する。
【0006】
次に、電力装置は、活性状態の一方の蓄電装置に対して、蓄電装置を識別するための識別情報、例えば、識別番号を付与する(特許文献1の
図4のSA22、SB22参照)。識別番号の付与後、電力装置は、一方の蓄電装置への起動信号の供給を停止する(特許文献1の
図4のSA23参照)。これにより、一方の蓄電装置は、活性状態から非活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSB23参照)。
【0007】
次に、電力装置は、他方の蓄電装置への起動信号の供給を再開する(特許文献1の
図4のSA31参照)。これにより、他方の蓄電装置は、非活性状態から活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSC31参照)。なお、一方の蓄電装置は、非活性状態を維持する。
【0008】
次に、電力装置は、活性状態の他方の蓄電装置に対して、識別番号を付与する(特許文献1の
図4のSA32、SC32参照)。識別番号の付与後、電力装置は、他方の蓄電装置への起動信号の供給を停止する(特許文献1の
図4のSA33参照)。これにより、他方の蓄電装置は、活性状態から非活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSC33参照)。
【0009】
次に、電力装置は、2つの蓄電装置への起動信号の供給を再開する(特許文献1の
図4のSA41参照)。これにより、2つの蓄電装置は、非活性状態から活性状態に切り替わる(特許文献1の
図4のSB41、SC41参照)。これにより、2つの蓄電装置の起動処理が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の技術では、識別番号の誤付与を回避するため、2つの蓄電装置を活性状態又は非活性状態に交互に切り替えながら、起動処理を実行する。
【0012】
また、特許文献1の技術では、識別番号の付与の完了後、蓄電装置は、識別番号の付与が完了したことを電力装置に通知しない。そのため、特許文献1では、一方の蓄電装置のみが活性状態にある期間(特許文献1の
図4のSB21からSB23までの期間)と、他方の蓄電装置のみが活性状態にある期間(特許文献1の
図4のSC31からSC33までの期間)とを十分に長く確保している。特許文献1では、上記の各期間(固定時間)が長く確保されることで、識別番号の付与を確実に完了させている。
【0013】
このように、特許文献1の技術では、蓄電装置の起動処理に時間がかかる。従って、蓄電装置の起動処理を効率よく且つ短時間で完了するような改善の余地があった。
【0014】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様は、蓄電部を有する蓄電装置であって、前記蓄電装置は、該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得部と、取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出部と、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部と、を備える。
【0016】
本発明の第2の態様は、蓄電部を有する蓄電装置であって、前記蓄電装置は、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部を備え、前記付与部は、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる前記自送信元情報を付与する。
【0017】
本発明の第3の態様は、蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、前記制御方法は、該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得ステップと、取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップの抽出結果に基づいて、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与ステップと、を有する。
【0018】
本発明の第4の態様は、蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、前記制御方法は、該蓄電装置に対して、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与するステップを有する。
【0019】
本発明の第5の態様は、第3の態様又は第4の態様の前記蓄電装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0020】
本発明の第6の態様は、前記プログラムを記憶する記憶媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電力装置から蓄電装置に識別情報の付与を指示しなくても、該蓄電装置自らが、該蓄電装置の外部の情報に基づいて、該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する。従って、本発明では、蓄電装置を効率よく且つ短時間で起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、複数のバッテリを搭載した車両の斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態でのBMUのブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3のBMUに設けられたIDテーブルの説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態でのBMUのブロック図である。
【
図9】
図9は、
図8のBMUに設けられた送信開始時刻テーブルの説明図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態の他の動作を示すタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、第1実施形態に係るバッテリ10(蓄電装置)を搭載した車両12の斜視図である。
【0024】
車両12は、三輪の電気自動車である。車両12は、車体14と、前輪16と、後輪18とを備える。前輪16は、車体14の前部の中央に設けられている。後輪18は、車体14の後部の左右に設けられている。
【0025】
車体14の後部には、電力装置20が配置されている。電力装置20には、複数のバッテリ10が着脱可能に搭載されている。電力装置20と複数のバッテリ10とによって電力システム22が構成される。従って、
図1は、車両12に電力システム22が適用された場合を図示している。なお、
図1では、4個のバッテリ10が電力装置20に装着されている。以下の説明では、4個のバッテリ10を第1バッテリ24、第2バッテリ26、第3バッテリ28及び第4バッテリ30と呼称する場合がある。
【0026】
なお、第1バッテリ24~第4バッテリ30の各々は、別途の作業工具等を用いることなく、電力装置20に対して着脱可能であることが好ましい。また、電力装置20には、不図示の複数のスロットが設けられてもよい。4個のバッテリ10は、電力装置20のスロットに対して着脱可能に装着される。
【0027】
車両12は、
図2に示す駆動モータ32をさらに備える。電力装置20は、4個のバッテリ10(
図1参照)から電力を取り出し、取り出した電力を駆動モータ32に供給する。駆動モータ32は、電力装置20から供給される電力によって駆動する。駆動モータ32が駆動することで、
図1に示す左右の後輪18が回転し、車両12が走行する。
【0028】
なお、車両12は、電気自動車等の電動車両、ハイブリッド車両のように、駆動モータ32が搭載される車両であればよい。従って、電力システム22は、三輪の電気自動車に限定されることはない。電力システム22は、一輪、二輪、三輪、四輪等の各種の車両に適用可能である。この場合、車両12の種別等に応じて、電力装置20に搭載されるバッテリ10の個数が決定される。
【0029】
複数のバッテリ10の各々は、車両12から取り外した状態で、外部の不図示の充電装置によって充電される。すなわち、バッテリ10は、充放電可能な蓄電装置である。例えば、着脱式のリチウムイオンバッテリのバッテリパックがバッテリ10として好適である。
【0030】
また、電力システム22は、車両12に適用される場合に限定されない。電力システム22は、複数のバッテリ10から駆動モータ32等の負荷に電力を供給する各種の電源システムに適用可能である。従って、電力システム22は、車両、飛行体等を含む各種の移動体、各種の電子機器において、負荷に電力を供給可能な電源システムに適用可能である。
【0031】
図2は、電力システム22の回路構成図である。
図2では、4個のバッテリ10のうち、第1バッテリ24及び第4バッテリ30の内部の回路構成が図示されている。なお、第1バッテリ24~第4バッテリ30の回路構成は、同じ構成である。従って、
図2において、第1バッテリ24~第4バッテリ30の説明では、主として、第1バッテリ24及び第4バッテリ30の回路構成について説明する。第2バッテリ26及び第3バッテリ28については、説明を簡略化するか、説明を省略する。そのため、第2バッテリ26及び第3バッテリ28の構成について説明する場合には、第1バッテリ24及び第4バッテリ30のうちのいずれか一方のバッテリの構成要素を用いて説明する。
【0032】
電力装置20は、スイッチ34、電力変換部36及びECU(Electronic Control Unit)38を有する。
【0033】
第1バッテリ24~第4バッテリ30は、電力変換部36の入力側(1次側)に対して直列に接続されている。すなわち、電力変換部36の入力側に対して、第1バッテリ24、第2バッテリ26、第3バッテリ28及び第4バッテリ30が順に直列に接続されている。詳しくは、第1バッテリ24の正極は、電力線40を介して、電力変換部36の入力側の正極に接続されている。第1バッテリ24の負極は、第2バッテリ26の正極に接続されている。第2バッテリ26の負極は、第3バッテリ28の正極に接続されている。第3バッテリ28の負極は、第4バッテリ30の正極に接続されている。第4バッテリ30の負極は、電力線42を介して、電力変換部36の入力側の負極に接続されている。
【0034】
電力線40には、スイッチ34が配置されている。スイッチ34は、コンタクタ、半導体スイッチ等のスイッチング素子である。スイッチ34は、ECU38から信号線44を介して送信される制御信号によって、オン状態又はオフ状態に切り替わる。詳しくは、スイッチ34がオン状態である場合、第1バッテリ24~第4バッテリ30は、電力変換部36に対して電気的に直列に接続される。これにより、第1バッテリ24~第4バッテリ30から電力変換部36に直流電力が供給される。
【0035】
スイッチ34がオフ状態である場合、第1バッテリ24~第4バッテリ30は、電力変換部36と電気的に非接続状態となる。
【0036】
電力変換部36の出力側(2次側)には、駆動モータ32が電気的に接続されている。電力変換部36は、インバータを含むモータコントローラである。電力変換部36は、第1バッテリ24~第4バッテリ30から供給される直流電力を交流電力に変換する。これにより、車両12の負荷である駆動モータ32は、変換後の交流電力の供給によって動作する。駆動モータ32が発電機として機能する場合、電力変換部36は、駆動モータ32が発電した交流電力を直流電力に変換する。これにより、変換後の直流電力は、第1バッテリ24~第4バッテリ30に供給(充電)される。
【0037】
ECU38は、活性指令部46、管理部48、記憶部50及び通信部52を有する。
【0038】
活性指令部46は、サブバッテリ54から供給される電力に基づき、起動信号である活性化信号(指令)を生成する。サブバッテリ54は、車両12(
図1参照)に備わる補機用のバッテリ(直流電源)である。活性化信号は、第1バッテリ24~第4バッテリ30を起動させるための指令信号である。
【0039】
例えば、活性指令部46は、信号線56を介して、第1バッテリ24に活性化信号を供給(出力)する。また、活性指令部46は、信号線58を介して、第4バッテリ30に活性化信号を供給(出力)する。第1バッテリ24~第4バッテリ30の各々は、活性化信号の供給を受けて、非活性状態から活性状態に切り替わる。活性指令部46から第1バッテリ24~第4バッテリ30への活性化信号の供給が停止すると、第1バッテリ24~第4バッテリ30の各々は、活性状態から非活性状態に切り替わる。各信号線56、58は、互いに異なる配線である。従って、活性指令部46は、第1バッテリ24~第4バッテリ30を個別に活性化(起動)させることができる。
【0040】
なお、非活性状態は、第1バッテリ24~第4バッテリ30の内部の各バッテリ本体60、62(蓄電部)と、第1バッテリ24~第4バッテリ30の外部とが電気的に接続不能な状態である。従って、非活性状態では、第1バッテリ24~第4バッテリ30の内部の各バッテリ本体60、62から外部への電力の出力が不能である。
【0041】
また、活性状態は、第1バッテリ24~第4バッテリ30の内部の各バッテリ本体60、62と外部とが電気的に接続可能な状態である。従って、活性状態では、第1バッテリ24~第4バッテリ30の内部の各バッテリ本体60、62から外部への電力の出力が可能である。
【0042】
車両12は、CAN(Controller Area Network)等の通信線64(通信網)を備える。通信部52は、通信線64を介して、活性状態にある第1バッテリ24~第4バッテリ30との間で、デジタル信号の送受信(CAN通信)が可能である。通信部52と、活性状態にあるバッテリ10とがCAN通信を行う場合、通信部52と、活性状態のバッテリ10とは、所定のデータフレームのフォーマットに従い、デジタル信号の送受信を行う。つまり、第1バッテリ24~第4バッテリ30は、活性状態であるときにCAN通信が可能である。第1バッテリ24~第4バッテリ30は、非活性状態であるときには、CAN通信が不能である。なお、CAN通信については、周知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0043】
記憶部50は、ECU38の動作プログラム及び各種のデータ等を格納する。管理部48は、記憶部50に記憶された動作プログラムを読み出し実行することで、電力装置20の各部を制御する。具体的には、管理部48は、活性指令部46及び通信部52を制御する。また、管理部48は、スイッチ34のオンオフを制御する。
【0044】
車両12は、不図示のアクセルペダルと、アクセルペダルセンサ66と、報知部68とをさらに備える。アクセルペダルセンサ66は、車両12の運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出する。管理部48は、アクセルペダルセンサ66の検出結果(踏み込み量)をユーザの要求出力とみなし、該要求出力に基づき、活性状態の第1バッテリ24~第4バッテリ30及び電力変換部36を制御する。管理部48は、報知部68を介して、各種の情報を外部に報知する。
【0045】
上記のように、第1バッテリ24~第4バッテリ30は、同じ構成を有する。詳しくは、第1バッテリ24は、バッテリ本体60、BMU70、スイッチ72、絶縁部74、トランシーバ76、電源部78及びコネクタ80を有する。また、第4バッテリ30は、バッテリ本体62、BMU82、スイッチ84、絶縁部86、トランシーバ88、電源部90及びコネクタ92を有する。
【0046】
第1バッテリ24及び第4バッテリ30の各々において、バッテリ本体60、62は、直列に接続された複数のセルから構成される。バッテリ本体60、62は、2次電池である。スイッチ72、84は、コンタクタ、半導体スイッチ等のスイッチング素子である。スイッチ72、84は、バッテリ本体60、62と直列に設けられている。スイッチ72、84は、BMU70、82からの制御によって導通状態が決定される。BMU70、82は、バッテリ本体60、62の状態を検出し、検出した状態をECU38等に通知する。この場合、BMU70、82の動作状態は、ECU38等からの制御によって決定される。BMU70、82は、決定された動作状態に従って、スイッチ72、84の導通状態を制御する。
【0047】
絶縁部74、86は、BMU70、82とトランシーバ76、88との間に設けられる光カプラ等である。絶縁部74、86は、BMU70、82とコネクタ80、92とを電気的に絶縁する。具体的には、絶縁部74、86は、コネクタ80、92のA端子94、96からBMU70、82に向けて供給される活性化信号を電気的に絶縁して変換する。絶縁部74、86は、変換後の活性化信号をBMU70、82に供給する。なお、A端子94、96は、信号線56、58を介してECU38に接続される。
【0048】
トランシーバ76、88は、コネクタ80、92と絶縁部74、86との間に設けられている。トランシーバ76、88は、BMU70、82とECU38との間の通信に利用する信号を変換して双方向に中継する。この場合、トランシーバ76、88に接続されるコネクタ80、92のB端子98、100及びC端子102、104は、通信線64に接続される。電源部78、90は、バッテリ本体60、62から電力の供給を受け、BMU70、82及び絶縁部74、86等に電力の一部を供給する。電源部78、90は、BMU70、82と同様に、絶縁部74、86によってコネクタ80、92と電気的に絶縁されている。
【0049】
コネクタ80、92は、上記のように、複数の信号端子を有する。これらの信号端子は、第1バッテリ24及び第4バッテリ30の各々を制御するための信号を授受する。具体的には、コネクタ80、92を介して授受される信号には、活性化信号と、BMU70、82がECU38と通信するための信号とが含まれる。コネクタ80、92は、これらの信号端子の他に、接地端子106、108等を有する。なお、コネクタ80、92は、光学的に信号を授受してもよい。
【0050】
BMU70、82は、第1バッテリ24及び第4バッテリ30の充放電の状況、バッテリ本体60、62の蓄電量、温度等を監視する。BMU70、82は、監視結果をECU38と共有する。また、BMU70、82は、ECU38からの制御指令、又は、上記の監視結果に基づき、スイッチ72、84等を制御することで、バッテリ本体60、62と外部との充放電を制御する。
【0051】
上記のように、トランシーバ76、88は、BMU70、82とECU38との間で、双方向に中継する。トランシーバ76、88は、活性指令部46から活性化信号が供給されている状態において動作する。
【0052】
BMU70、82は、プロセッサ等のコンピュータである。
図3に示すように、BMU70、82は、記憶部110、112(記憶媒体)に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、活性制御部114、116、電池制御部118、120、監視部122、124(抽出部、判定部)、ID付与部126、128(付与部)及び通信処理部130、132(取得部、通知部、送信部)の機能を実現する。また、記憶部110、112は、IDテーブル134、136及びID格納部138、140を有する。
【0053】
すなわち、第1バッテリ24のBMU70は、IDテーブル134及びID格納部138を有する記憶部110と、活性制御部114と、電池制御部118と、監視部122と、ID付与部126と、通信処理部130とを有する。また、第4バッテリ30のBMU82は、IDテーブル136及びID格納部140を有する記憶部112と、活性制御部116と、電池制御部120と、監視部124と、ID付与部128と、通信処理部132とを有する。
【0054】
活性制御部114、116は、ECU38(
図2参照)から供給される活性化信号に基づいて、第1バッテリ24及び第4バッテリ30の状態を、バッテリ本体60、62と外部とを電気的に接続不能な非活性状態から、バッテリ本体60、62と外部とを電気的に接続可能な活性状態に切り替えるための制御を行う。具体的には、活性制御部114、116は、活性化信号の供給を受けて、スイッチ72、84をオンさせる。また、活性制御部114、116は、活性化信号の供給が停止したときに、スイッチ72、84をオフさせる。従って、非活性状態では、バッテリ本体60、62から外部への電力の出力が不能である。また、活性状態では、バッテリ本体60、62から外部への電力の出力が可能となる。
【0055】
詳しくは、活性制御部114、116は、活性化信号が有意な状態であることを検出したときに、スイッチ72、84をオンさせることで、第1バッテリ24及び第4バッテリ30を活性状態に切り替える。例えば、活性制御部114、116は、活性化信号の信号レベルがサブバッテリ54から出力される電圧と同等の信号レベルであるときに、活性化信号が有意な状態(活性化信号が供給されている状態)とみなして、スイッチ72、84をオンさせる。
【0056】
また、活性制御部114、116は、活性化信号が有意でない状態になったことを検出することで、自己のバッテリ10である第1バッテリ24及び第4バッテリ30を非活性状態に切り替える。例えば、活性制御部114、116は、活性化信号の信号レベルが閾値未満のレベル(略0レベル)となったときに、活性化信号が有意でない状態(活性化信号が供給されていない状態)とみなして、スイッチ72、84をオフさせる。
【0057】
このように、活性制御部114、116とスイッチ72、84とは、自己のバッテリ10である第1バッテリ24及び第4バッテリ30を活性状態又は非活性状態に切り替える活性処理部142、144(
図2参照)として機能する。
【0058】
電池制御部118、120は、例えば、バッテリ本体60、62の各セルの状態(電圧、SOC等)の変化を検出し、各セルの充電状態が均一になるように調整する。また、電池制御部118、120は、ECU38からの制御等により、スイッチ72、84を制御して、第1バッテリ24及び第4バッテリ30を利用可能な活性状態にする。
【0059】
通信処理部130、132は、自己のバッテリ10(第1バッテリ24及び第4バッテリ30)が非活性状態から活性状態に切り替わることで、通信線64との間で、信号又は情報の送受信が可能である。つまり、通信処理部130、132は、自己のバッテリ10が活性状態であるときに、通信線64との間で、信号又は情報の送受信を行う。この場合、通信処理部130、132は、通信線64を介して、ECU38との間で、所定のプロトコルに従ってCAN通信が可能である。例えば、通信処理部130、132は、自己のバッテリ10の充放電を制御するための情報を、ECU38との間で通信する。
【0060】
また、通信処理部130、132は、自己のバッテリ10が活性状態であるときに、自己のバッテリ10の外部から送信される情報、又は、自己のバッテリ10の外部を流れる情報を取得する。通信線64には、各種の情報が流れている。通信処理部130、132は、通信線64を介して自己のバッテリ10宛に送信される情報を取得する。あるいは、通信処理部130、132は、通信線64を流れている情報を取得する。
【0061】
通信線64を流れる各種の情報には、後述する通信用ID(
図4参照)が含まれている場合がある。通信用IDは、通信線64を流れる情報の送信元を識別するためのID(送信元情報)として、該情報に付与されている。すなわち、通信用IDは、CAN通信にて情報を送るときに該情報に付与されるID(CAN ID)である。
【0062】
通信線64を流れる各種の情報には、自己のバッテリ10から通信線64に送信される情報(送信情報)と、自己のバッテリ10以外の他のバッテリ10から通信線64に送信される情報(送信情報)とが含まれる。以下の説明では、自己のバッテリ10から通信線64に送信される送信情報を、自送信情報と呼称する場合がある。また、他のバッテリ10から通信線64に送信される送信情報を、他送信情報と呼称する場合がある。
【0063】
自送信情報には、自己のバッテリ10を識別するための通信用ID(自送信元情報)が含まれる。該通信用IDは、自送信元情報の送信元が自己のバッテリ10であることを示す情報である。また、他送信情報には、他のバッテリ10を識別するための通信用ID(他送信元情報)が含まれる。該通信用IDは、他送信元情報の送信元が他のバッテリ10であることを示す情報である。以下の説明では、自送信情報に含まれる通信用IDを自通信用IDと呼称する場合がある。また、他送信情報に含まれる通信用IDを他通信用IDと呼称する場合がある。
【0064】
監視部122、124は、自己のバッテリ10が活性状態であるときに、BMU70、82内の各部を監視する。例えば、監視部122、124は、自己のバッテリ10が活性状態であるときに、通信処理部130、132が通信線64を介して取得する情報(通信線64を流れる送信情報)を監視する。
【0065】
具体的には、監視部122、124は、通信処理部130、132が通信線64を介して取得した他送信情報から、他通信用IDを抽出する。なお、通信処理部130、132は、自送信情報を通信線64に送信した後、通信線64を介して自送信情報を取得することも可能である。この場合、監視部122、124は、通信処理部130、132が通信線64を介して取得した自送信情報から、自通信用IDを抽出可能である。
【0066】
ID付与部126、128は、自己のバッテリ10が活性状態であるときに、自己のバッテリ10に対して、該自己のバッテリ10を識別するためのIDを付与する。この場合、ID付与部126、128は、監視部122、124の監視結果に基づき、IDテーブル134、136を参照して、IDを付与する。ID付与部126、128は、付与したIDをID格納部138、140に格納する。
【0067】
図4は、IDテーブル134、136の説明図である。IDテーブル134、136には、事前に設定された複数の通信用IDと複数の付番用IDとが格納されている。なお、付番用IDは、電力装置20(
図1及び
図2参照)に装着される複数のバッテリ10を個々に区別するために便宜的に付与されるバッテリ10の番号を示す。
【0068】
IDテーブル134、136には、1つの通信用IDと1つの付番用IDとを組とする、複数の組のIDが格納されている。上記のように、電力装置20には、4個のバッテリ10が装着されている。そのため、
図4には、事前に設定された4つの組の通信用ID及び付番用IDが格納されている。なお、電力装置20(
図1及び
図2参照)に装着されるバッテリ10の個数(装着数)が変化する場合、装着数の変化に応じて、IDテーブル134、136に格納される組の数も変更される。
【0069】
図4に示すように、通信用ID及び付番用IDは、例えば、16進数で表現されるIDである。
図4において、通信用IDの上位2桁には、16進数を示す「0x」の接頭辞が付記されている。そのため、IDテーブル134、136には、「061」~「064」の16進数の通信用IDが格納されている。なお、IDテーブル134、136に格納されている通信用IDの「0x061」~「0x064」と、
図5等に図示されている「0x61」~「0x64」とは同義である。付番用IDの上位1桁目には、「#」の番号記号が付記されている。付番用IDの上位2桁目及び3桁目には、16進数を示す「0x」の接頭辞が付記されている。そのため、IDテーブル134、136には、「01」~「04」の16進数の付番用IDが格納されている。
【0070】
上記のように、監視部122、124(
図3参照)は、通信処理部130、132が取得した送信情報(他送信情報)から他通信用IDを抽出する。ID付与部126、128は、IDテーブル134、136を参照して、監視部122、124が抽出した他通信用IDとは異なる通信用IDを自通信用IDに決定し、決定した自通信用IDを自己のバッテリ10に付与する。
図4に示すように、IDテーブル134、136には、通信用IDと付番用IDとが紐付けられている。ID付与部126、128(
図3参照)は、決定又は付与した自通信用IDに対応する付番用IDを自己のバッテリ10の付番用IDに決定し、決定した付番用IDを自己のバッテリ10(
図1及び
図2参照)に付与する。ID付与部126、128は、自通信用IDに対応する付番用IDを決定(特定)することで、自己のバッテリ10が4個のバッテリ10のうちの何番のバッテリ10であるのかを把握することができる。付与された自通信用ID及び付番用IDは、ID格納部138、140に格納される。
【0071】
また、IDテーブル134、136では、IDの付与に関して、以下のような優先度規則に従って、IDが格納されている。IDテーブル134、136では、上から下に向かって優先度が低くなる。換言すれば、IDテーブル134、136では、上の組であるほど、IDの付与に関する優先度が高い。4個のバッテリ10では、活性状態に切り替わった順に、IDテーブル134、136の上の組から順にIDが決定されて付与される。最初に活性状態に切り替わったバッテリ10には、IDテーブル134、136の1番上の組のIDが付与される。これにより、1番上の組のIDが付与されたバッテリ10は、1番のバッテリ10となる。以下同様に、2番目~4番目に活性状態に切り替わったバッテリ10には、IDテーブル134、136の上から2番目~4番目の組のIDが付与される。これにより、2番目~4番目の組のIDが付与されたバッテリ10は、2番~4番のバッテリ10となる。
【0072】
さらに、1番のバッテリ10の後に2番~4番のバッテリ10が起動するので、1番のバッテリ10は、全てのバッテリ10を管理可能なマスタのバッテリ10となる。具体的には、2番~4番のバッテリ10にIDが付与された後、1番のバッテリ10の通信処理部130、132は、2番~4番のバッテリ10からの送信情報(他送信情報)を取得することができる。1番のバッテリ10の監視部122、124は、2番~4番のバッテリ10の送信情報から2番~4番のバッテリ10の通信用ID(他通信用ID)を抽出することができる。該監視部122、124は、抽出した各他通信用IDを確認することで、全てのバッテリ10にIDが付与されたことを把握することができる。すなわち、該監視部122、124は、全てのバッテリ10の起動処理が完了したことを把握することができる。なお、バッテリ10の起動処理とは、活性化信号を受けて活性状態に切り替わり、IDの付与後、通信処理部130、132での情報の取得、自通信用IDを含む自送信情報の送信等が開始されるまでのバッテリ10(のBMU70、82)内の処理をいう。
【0073】
この場合、電力装置20に装着されたバッテリ10の総数を示す装着数情報が、ECU38から1番のバッテリ10に送信されてもよい。これにより、1番のバッテリ10の監視部122、124は、装着数情報と、抽出した各他通信用IDとに基づき、全てのバッテリ10の起動処理が完了したか否かを判定する。全てのバッテリ10の起動処理が完了したと判定した場合、監視部122、124は、全てのバッテリ10の起動処理が完了したことを示す起動完了情報を、通信処理部130、132からECU38に送信する。
【0074】
また、1番のバッテリ10の監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した送信情報から通信用IDを抽出したときに、抽出した通信用IDに基づき、各バッテリ10に対してIDが正常に付与されているか否かを判定する。監視部122、124は、少なくとも一部のバッテリ10に対してIDが正常に付与されていない場合には、IDの付与に関するエラーが発生したと判定する。この場合、監視部122、124は、エラーの発生を示す情報を、通信処理部130、132からECU38に送信する。
【0075】
このように、複数のバッテリ10を起動させる場合、ECU38は、複数のバッテリ10に活性化信号のみ送信する。ECU38は、複数のバッテリ10に対してIDの付与を指示しない。複数のバッテリ10の各々では、活性状態に切り替わったときに、ECU38から指示を受けることなく、自己のバッテリ10に対してIDを自動的に付与する。
【0076】
また、複数のバッテリ10を起動させる場合、ECU38は、複数のバッテリ10に対してランダムに活性化信号を供給してもよい。上記のように、電力装置20には複数のスロットが設けられ、各スロットにバッテリ10が装着されている。そのため、ECU38は、各スロットの番号順に該各スロットに装着されているバッテリ10に対して活性化信号を供給してもよい。
【0077】
上記のように、IDテーブル134、136に示す優先度規則に従ってIDが決定されて付与される。すなわち、活性状態に切り替わったバッテリ10から順にIDが決定されて付与される。そのため、第1バッテリ24が1番のバッテリ10(マスタのバッテリ10)になるとは限らない。第2バッテリ26、第3バッテリ28及び第4バッテリ30のいずれかが1番のバッテリ10になる場合もあり得る。
【0078】
図5は、第1実施形態の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、一例として、第1バッテリ24及び第2バッテリ26(
図2参照)を順に起動させる場合について説明する。なお、
図5の動作では、第3バッテリ28及び第4バッテリ30は非活性状態に維持される。また、
図5の説明では、
図3で説明した第4バッテリ30のBMU82の構成要素を用いて、第2バッテリ26の構成要素を説明する。
【0079】
時点t0において、ECU38の活性指令部46は、第1バッテリ24への活性化信号の供給を開始する。第1バッテリ24は、活性化信号の供給を受けて、非活性状態から活性状態に切り替わる。
【0080】
第1バッテリ24の監視部122は、時点t0より、通信線64に他通信用IDが流れているか否かの監視を開始する。具体的には、該監視部122は、通信処理部130が取得した情報(他送信情報)から他通信用IDを抽出できるか否かを判定する。
【0081】
上記のように、第1バッテリ24が最初に活性状態に切り替わっているが、第1バッテリ24の通信処理部130は、送信情報(自送信情報)の送信を開始していない。また、第2バッテリ26は、まだ非活性状態であるので、送信情報(他送信情報)を通信線64に流していない。そのため、該通信処理部130は、他送信情報を取得することができない。従って、監視部122は、他通信用IDを抽出することができない。
【0082】
これにより、時点t0から時間Ts1経過した時点t1において、第1バッテリ24の監視部122は、自通信用ID及び他通信用IDを抽出できないと判定する。ID付与部126は、監視部122の判定結果を受けて、IDテーブル134(
図4参照)を参照し、1番上の組のID(「0x061」の通信用ID、「#0x01」の付番用ID)を第1バッテリ24のIDに決定し、決定したIDを第1バッテリ24に付与する。
【0083】
通信処理部130は、「0x061」の通信用ID(自通信用ID)を含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。これにより、通信線64には、第1バッテリ24からの送信情報(自送信情報)が流れる。
【0084】
時点t0から時間Td(Td>Ts1)経過した時点t2において、活性指令部46は、第2バッテリ26への活性化信号の供給を開始する。第2バッテリ26は、活性化信号の供給を受けて、非活性状態から活性状態に切り替わる。
【0085】
第2バッテリ26の監視部124は、時点t2より、通信線64に第1バッテリ24の通信用IDが流れているか否かの監視を開始する。具体的には、第2バッテリ26の監視部124は、通信処理部132が取得した情報(第1バッテリ24の送信情報)から第1バッテリ24の通信用IDを抽出できるか否かを判定する。
【0086】
上記のように、第1バッテリ24が送信情報(第1バッテリ24の自送信情報)の送信を開始しているため、第2バッテリ26の通信処理部132は、第1バッテリ24の送信情報を取得することができる。第2バッテリ26の監視部124は、取得された第1バッテリ24の送信情報から、該第1バッテリ24の通信用ID(第1バッテリ24の自通信用ID)を抽出する。
【0087】
時点t2から時間Ts2経過した時点t3において、第2バッテリ26の監視部124は、第1バッテリ24の通信用IDが「0x061」であるので、IDテーブル136の1番上の組のIDが第1バッテリ24に付与されていると判定することができる。次に、該監視部124は、第1バッテリ24の送信情報以外の他送信情報を第2バッテリ26の通信処理部132が取得していないため、IDテーブル136の上から2番目の組のIDが付与されていないと判定する。
【0088】
第2バッテリ26のID付与部128は、監視部124の判定結果を受けて、IDテーブル136を参照し、上から2番目の組のID(「0x062」の通信用ID、「#0x02」の付番用ID)を第2バッテリ26のIDに決定し、決定したIDを第2バッテリ26に付与する。
【0089】
第2バッテリ26の通信処理部132は、「0x062」の通信用ID(第2バッテリ26の自通信用ID)を含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。これにより、通信線64には、第2バッテリ26からの自送信情報が流れる。
【0090】
このように、ECU38の活性指令部46は、第1バッテリ24と第2バッテリ26とに対して、時間差を有して活性化信号を送っている。これにより、通信用IDの衝突を回避させつつ、第1バッテリ24と第2バッテリ26とを起動させることが可能となる。
【0091】
図6は、第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
図6の主体は、複数のバッテリ10(
図1及び
図2参照)のBMU70、82(
図3参照)である。
【0092】
ステップS1でバッテリ10が非活性状態から活性状態に切り替わった場合(ステップS1:YES)、ステップS2(取得ステップ)において、通信処理部130、132は、通信線64を流れる情報(送信情報)の取得を開始する。
【0093】
ステップS3(抽出ステップ)において、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した送信情報から、IDテーブル134、136(
図4参照)の1番上の通信用IDである「0x061」を抽出できるか否かを判定する。
【0094】
ステップS3において、「0x061」を抽出できない場合、監視部122、124は、優先度規則上の優先度が最も高い「0x061」が受信されていないと判定する(ステップS3:NO)。すなわち、監視部122、124は、通信線64には送信情報(通信用ID)が流れていないと判定する。つまり、監視部122、124は、どのバッテリ10にも通信用IDが付与されていないので、送信情報が通信線64に流れていないと判定する。その後、BMU70、82は、ステップS4に進む。
【0095】
ステップS4(付与ステップ)において、ID付与部126、128は、監視部122、124での上記の監視結果を踏まえ、IDテーブル134、136を参照して、IDテーブル134、136の1番上の組のID(「0x061」の通信用ID、「#0x01」の付番用ID)を自己のバッテリ10のIDに決定し、決定したIDを自己のバッテリ10に対して付与する。これにより、自己のバッテリ10のIDが確定すると共に、該自己のバッテリ10は、1番のバッテリ10(マスタのバッテリ10)となる。
【0096】
ステップS5において、通信処理部130、132は、ID付与部126、128が付与した「0x061」の通信用ID(自通信用ID)を自送信情報に含めて、該自送信情報の通信線64への送信を開始する。また、通信処理部130、132は、通信線64を介してECU38との通信を開始する。これにより、通信処理部130、132は、ECU38から装着数情報を取得することが可能となる。
【0097】
ステップS6において、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10にIDが付与されたか否かを判定する。具体的には、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した装着数情報と、通信処理部130、132が取得した送信情報に含まれる通信用IDとに基づいて、全てのバッテリ10に通信用IDが付与されたか否かを判定する。
【0098】
ステップS5に続くステップS6では、マスタのバッテリ10のみにIDが付与されている。そのため、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10にIDが付与されていないと判定する(ステップS6:NO)。
【0099】
その後、電力装置20(を構成する各バッテリ10)は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返し実行する。
【0100】
上記のステップS3において、「0x061」の通信用IDが受信できた場合(ステップS3:YES)、監視部122、124は、優先度規則上の優先度が最も高い通信用IDが、他のバッテリ10の通信用IDとして既に付与されていると判定する。その後、監視部122、124は、ステップS7(抽出ステップ)に進む。
【0101】
ステップS7において、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した送信情報から、IDテーブル134、136の上から2番目の通信用IDである「0x062」を抽出できるか否かを判定する。
【0102】
ステップS7において、「0x062」を抽出できない場合、監視部122、124は、「0x062」が受信されていないと判定する(ステップS7:NO)。すなわち、監視部122、124は、どのバッテリ10にも「0x062」が付与されていないと判定する。その後、BMU70、82は、ステップS8(付与ステップ)に進む。
【0103】
ステップS8において、ID付与部126、128は、監視部122、124での上記の監視結果を踏まえ、IDテーブル134、136を参照して、IDテーブル134、136の上から2番目の組のID(「0x062」の通信用ID、「#0x02」の付番用ID)を自己のバッテリ10のIDに決定し、決定したIDを自己のバッテリ10に対して付与する。これにより、自己のバッテリ10のIDが確定すると共に、該自己のバッテリ10は、2番のバッテリ10となる。
【0104】
ステップS9において、通信処理部130、132は、ID付与部126、128が付与した「0x062」の通信用ID(自通信用ID)を自送信情報に含めて、該自送信情報の通信線64への送信を開始する。
【0105】
ステップS9後のステップS6において、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10にIDが付与されたか否かを再度判定する。該監視部122、124は、通信処理部130、132が1番目のバッテリ10の送信情報及び2番目のバッテリ10の送信情報しか受信できないので、全てのバッテリ10にIDが付与されていないと判定する(ステップS6:NO)。
【0106】
その後、電力装置20は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返し実行する。
【0107】
上記のステップS7において、「0x062」の通信用IDが受信できた場合(ステップS7:YES)、監視部122、124は、「0x061」及び「0x062」の双方が他のバッテリ10の通信用IDとして既に付与されていると判定する。その後、監視部122、124は、
図7のステップS10(抽出ステップ)に進む。
【0108】
ステップS10において、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した送信情報から、IDテーブル134、136の上から3番目の通信用IDである「0x063」を抽出できるか否かを判定する。
【0109】
ステップS10において、「0x063」を抽出できない場合、監視部122、124は、「0x063」が受信されていないと判定する(ステップS10:NO)。すなわち、監視部122、124は、どのバッテリ10にも「0x063」が付与されていないと判定する。その後、BMU70、82は、ステップS11(付与ステップ)に進む。
【0110】
ステップS11において、ID付与部126、128は、監視部122、124での上記の監視結果を踏まえ、IDテーブル134、136を参照して、IDテーブル134、136の上から3番目の組のID(「0x063」の通信用ID、「#0x03」の付番用ID)を自己のバッテリ10のIDに決定し、決定したIDを自己のバッテリ10に対して付与する。これにより、自己のバッテリ10のIDが確定すると共に、該自己のバッテリ10は、3番のバッテリ10となる。
【0111】
ステップS12において、通信処理部130、132は、ID付与部126、128が付与した「0x063」の通信用ID(自通信用ID)を自送信情報に含めて、該自送信情報の通信線64への送信を開始する。
【0112】
ステップS12後の
図6のステップS6において、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10にIDが付与されたか否かを再度判定する。該監視部122、124は、通信処理部130、132が1番~3番のバッテリ10の送信情報しか受信できないので、全てのバッテリ10にIDが付与されていないと判定する(ステップS6:NO)。
【0113】
その後、電力装置20は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返し実行する。
【0114】
図7のステップS10において、「0x063」の通信用IDが受信できた場合(ステップS10:YES)、監視部122、124は、「0x061」~「0x063」が他のバッテリ10の通信用IDとして既に付与されていると判定する。その後、監視部122、124は、ステップS13(抽出ステップ)に進む。
【0115】
ステップS13において、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した送信情報から、IDテーブル134、136の1番下の通信用IDである「0x064」を抽出できるか否かを判定する。
【0116】
ステップS13において、「0x064」を抽出できない場合、監視部122、124は、「0x064」が受信されていないと判定する(ステップS13:NO)。すなわち、監視部122、124は、どのバッテリ10にも「0x064」が付与されていないと判定する。その後、BMU70、82は、ステップS14(付与ステップ)に進む。
【0117】
ステップS14において、ID付与部126、128は、監視部122、124での上記の監視結果を踏まえ、IDテーブル134、136を参照して、IDテーブル134、136の1番下の組のID(「0x064」の通信用ID、「#0x04」の付番用ID)を自己のバッテリ10のIDに決定し、決定したIDを自己のバッテリ10に対して付与する。これにより、自己のバッテリ10のIDが確定すると共に、該自己のバッテリ10は、4番のバッテリ10となる。
【0118】
ステップS15において、通信処理部130、132は、ID付与部126、128が付与した「0x064」の通信用ID(自通信用ID)を自送信情報に含めて、該自送信情報の通信線64への送信を開始する。
【0119】
ステップS15後の
図6のステップS6において、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10にIDが付与されたか否かを再度判定する。該監視部122、124は、通信処理部130、132が1番~4番のバッテリ10の各送信情報を受信しているので、全てのバッテリ10にIDが付与されていると判定する(ステップS6:YES)。その後、監視部122、124は、ステップS16に進む。
【0120】
ステップS16において、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、全てのバッテリ10の起動処理が完了したことを示す起動完了情報を、通信処理部130、132からECU38に送信(通知)する。
【0121】
なお、
図7のステップS13において、「0x064」の通信用IDが受信できた場合(ステップS13:YES)、監視部122、124は、ステップS17に進む。ステップS17において、監視部122、124は、「0x064」が付与されていないのに、「0x064」が受信されたので、何らかのエラーが発生していると判定する。その後、電力装置20は、
図6のステップS6に進む。電力装置20は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を再度実行する。
【0122】
あるいは、
図7のステップS17後、
図6のステップS16に進んでもよい。この場合、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、エラーが発生したことをECU38に通知する。
【0123】
なお、第1実施形態では、IDの付与に関して、下記のようにエラーの発生を判定してもよい。
【0124】
IDテーブル134、136に格納されていない通信用IDが受信された場合には、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、エラーが発生したと判定してもよい(ステップS17)。例えば、装着数情報が「4」である場合に、5番のバッテリ10を示す通信用IDが受信された場合、該監視部122、124は、エラーが発生したと判定する。この例では、マスタのバッテリ10以外の他のバッテリ10の監視部122、124でも、上記の判定を行うことが可能である。
【0125】
また、複数のバッテリ10に通信用ID及び付番用IDが付与される場合に、IDの欠番が発生する場合には、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、エラーが発生したと判定してもよい。例えば、1番、3番及び4番の各バッテリ10の通信用IDを抽出できても、2番のバッテリ10の通信用IDを抽出できない場合、該監視部122、124は、エラーが発生したと判定する。
【0126】
さらに、抽出される通信用IDの数が装着数情報の示す数よりも少ない状態が一定時間継続する場合には、マスタのバッテリ10の監視部122、124は、エラーが発生したと判定してもよい。例えば、装着数情報の示す数が「4」である場合に、1番及び2番の各バッテリ10の通信用IDしか抽出することができない場合には、該監視部122、124は、エラーが発生したと判定する。
【0127】
なお、上記の説明では、ID付与部126、128は、監視部122、124が通信用ID(送信元情報)を抽出できたときに、自己のバッテリ10に対してID(自通信用ID及び付番用ID)を決定し、決定したIDを付与する。第1実施形態は、通信用IDを抽出した場合に限定されない。第1実施形態において、ID付与部126、128は、監視部122、124での通信用IDの抽出結果に基づいて、自己のバッテリ10に対して自通信用ID及び付番用IDを付与してもよい。これにより、ID付与部126、128は、監視部122、124が通信用IDを抽出できない場合でも、自己のバッテリ10に対して自通信用ID及び付番用IDを付与することができる。
【0128】
あるいは、ID付与部126、128は、通信処理部130、132での送信情報の取得結果に基づいて、自己のバッテリ10に対して自通信用ID及び付番用IDを付与してもよい。これにより、ID付与部126、128は、通信処理部130、132が送信情報を取得した場合、又は、通信処理部130、132が送信情報を取得できなかった場合、のいずれにおいても、自己のバッテリ10に対して自通信用ID及び付番用IDを付与することができる。
【0129】
また、上記の説明では、優先度規則がIDの付与に関する規則であることを説明した。上記のように、活性状態に切り替わったバッテリ10から順に、IDが付与され、その後、該バッテリ10から通信線64への送信情報の送信が開始される。換言すれば、各バッテリ10は、優先度規則に従って、通信線64での送信情報の送信を開始する。そのため、優先度規則は、通信線64を流れる送信情報の送信順の規則とみなすこともできる。
【0130】
また、上記の説明では、どのバッテリ10も通信用IDが付与されておらず、且つ、通信処理部130、132が情報を取得しないか、又は、監視部122、124が通信用IDを抽出しないときには、優先度規則上の優先度が最も高いIDを自己のバッテリ10のIDに決定して付与する場合について説明した。第1実施形態では、ID付与部126、128は、どのバッテリ10も通信用IDが付与されていないときに、通信処理部130、132での情報の取得結果、又は、監視部122、124での通信用IDの抽出結果に基づいて、優先度規則上の優先度が最も高いIDを自己のバッテリ10のIDに決定して付与してもよい。
【0131】
また、上記の説明では、IDテーブル134、136に格納されている通信用ID及び付番用IDが16進数で表現されるIDである場合について説明した。通信用ID及び付番用IDは、他の進数で表現されるID、任意の文字列等であってもよい。例えば、通信用ID及び付番用IDが2進数で表現されるIDであってもよい。
【0132】
第1実施形態は、以下の効果を有する。
【0133】
図3~
図7に示すように、第1実施形態では、電力装置20からバッテリ10にIDの付与を指示しなくても、該バッテリ10自らが、該バッテリ10の外部の情報に基づいて、該バッテリ10の情報の送信元情報(識別情報)である自通信用ID及び付番用IDを付与する。従って、第1実施形態では、バッテリ10を効率よく且つ短時間で起動することができる。
【0134】
監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した情報から他通信用IDを抽出する。ID付与部126、128は、抽出された他通信用IDに基づいて自通信用IDを付与する。これにより、他通信用IDとは異なる通信用IDを自通信用IDとして付与することが可能となる。この結果、自通信用IDを含む自送信情報をバッテリ10の外部に送信したときに、自通信用IDと他通信用IDとが衝突することを回避することができる。
【0135】
通信用IDが格納されたIDテーブル134、136に優先度規則が適用されている。これにより、優先度規則上の優先度が高い通信用IDから順に自通信用IDを付与することができる。そのため、自通信用IDが付与されていないときに、他通信用IDが抽出された場合には、抽出された他通信用IDよりも優先度規則上の優先度が高い通信用IDは、既に自通信用IDとして付与済みであることを把握することができる。従って、抽出された他通信用IDよりも優先度規則上の優先度が低い通信用IDをバッテリ10の自通信用IDとして付与することができる。これにより、他通信用IDとは異なる通信用IDを自通信用IDとして確実に付与することができる。この結果、自通信用IDを含む自送信情報をバッテリ10の外部に送信したときに、自通信用IDと他通信用IDとが衝突することを確実に回避することができる。
【0136】
複数の他通信用IDが抽出されている場合には、抽出された複数の他通信用IDのうち、優先度規則上の優先度が最も低い他通信用IDよりも優先度がさらに低い通信用IDがバッテリ10の自通信用IDとして付与される。これにより、複数の他通信用IDが抽出される場合に、各他通信用IDとは異なる通信用IDが自通信用IDとして付与される。この結果、自通信用IDを含む自送信情報をバッテリ10の外部に送信したときに、自通信用IDと複数の他通信用IDとが衝突することを回避することができる。
【0137】
自通信用IDがバッテリ10に付与されておらず、且つ、通信処理部130、132が情報を取得しないか、又は、監視部122、124が通信用IDを抽出しない場合には、どの通信用IDも自通信用IDとして付与されていない可能性が高い。また、どの通信用IDもバッテリ10の外部に流れていない可能性が高い。このような場合には、IDテーブル134、136での優先度規則上、優先度が最も高い通信用IDが自通信用IDとしてバッテリ10に付与される。これにより、該バッテリ10が最初に自通信用IDが付与されるバッテリ10(マスタのバッテリ10)となる。
【0138】
バッテリ10の外部の活性指令部46から送られた活性化信号(指令)によって、バッテリ10が活性状態又は非活性状態に切り替わるので、該バッテリ10を容易に起動させることができる。また、バッテリ10が活性状態に切り替わった後に、バッテリ10では、BMU70、82の通信処理部130、132、監視部122、124及びID付与部126、128が動作を開始する。これにより、バッテリ10の外部に依存することなく、該バッテリ10が自立して自通信用ID及び付番用IDを付与することができる。また、従来と比較して、バッテリ10をより短時間で起動させることができる。
【0139】
活性指令部46から各バッテリ10に活性化信号(指令)が時間差で供給されるので、各バッテリ10は、異なる時刻に活性状態に切り替わる。これにより、後に活性状態に切り替わったバッテリ10は、先に活性状態に切り替わったバッテリ10から外部に送信される通信用ID(他通信用ID)とは異なる通信用IDを、自通信用IDとして付与することができる。この結果、複数のバッテリ10の間で、通信用IDが衝突することを効率よく且つ確実に回避することができる。
【0140】
(マスタのバッテリ10の)監視部122、124は、装着数情報と、抽出した複数の通信用IDとに基づいて、各バッテリ10に自通信用IDが付与されたか否かを判定することができる。これにより、各バッテリ10に自通信用IDが付与されたと判定した場合には、各バッテリ10での自通信用IDの付与の完了をバッテリ10の外部に通知することができる。
【0141】
第2実施形態に係るバッテリ200について、
図8~
図13を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係るバッテリ200において、第1実施形態に係るバッテリ10(
図1~
図7参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0142】
第2実施形態に係るバッテリ200では、該バッテリ200のシリアルID(固有識別情報)に基づいて定められる通信用IDと、付番用IDとを自己のバッテリ200のIDに決定し、決定したIDを自己のバッテリ200に付与する。シリアルIDは、バッテリ200に固有のIDである。シリアルIDは、例えば、バッテリ200の製造時に付与されるシリアル番号である。具体的には、シリアルIDは、32桁の16進数(HEX)で表記される文字列である。
【0143】
この場合、シリアルID自体を通信用IDとすれば、桁数が大きいため、通信線64の送信容量を圧迫する可能性がある。すなわち、CANプロトコルの規定(例えば、CAN2.0B)では、CAN IDの桁数は、標準フォーマットで11桁、拡張フォーマットで29桁である。そのため、シリアルID自体を通信用IDとした場合には、該通信用IDが規定のデータフォーマットに入りきらない可能性がある。
【0144】
そこで、第2実施形態では、シリアルIDを構成する文字列のうちの一部の文字列を通信用IDとしてバッテリ200に付与する。具体的には、シリアルIDは、所定長さの文字列である。第2実施形態では、該所定長さの文字列のうちの一部、例えば、下7桁の文字列を通信用IDとして付与する。このようにすれば、通信線64の送信容量を圧迫することなく、通信用IDを簡単且つ容易に付与することができる。
【0145】
以下の説明では、16進数で表現されるシリアルIDの文字列のうち、下7桁の文字列を通信用IDに決定して付与する場合について説明する。
【0146】
但し、シリアルIDを構成する文字列のうちの一部の文字列を通信用IDに決定して付与した場合、複数のバッテリ200の間で同じ通信用IDが送信され、送信情報(通信用ID)が衝突する可能性がある。そのため、第2実施形態では、同じ通信用IDが付与されている場合には、通信用IDの衝突を回避するため、一方の通信用IDを構成する文字列の一部を変更する。
【0147】
以下に、第2実施形態に係るバッテリ200の構成及び作用について説明する。
【0148】
図8は、第2実施形態に係るバッテリ200のBMU70、82のブロック図である。第2実施形態において、BMU70、82の記憶部110、112には、シリアルIDテーブル202、204、送信開始時刻テーブル206、208及びID格納部138、140が格納されている。すなわち、バッテリ200である第1バッテリ24において、記憶部110は、シリアルIDテーブル202、送信開始時刻テーブル206及びID格納部138を有する。バッテリ200である第4バッテリ30において、記憶部112は、シリアルIDテーブル204、送信開始時刻テーブル208及びID格納部140を有する。
【0149】
シリアルIDテーブル202、204には、電力装置20(
図1及び
図2参照)に装着可能な全てのバッテリ200のシリアルIDが格納されている。
【0150】
送信開始時刻テーブル206、208は、送信情報の送信開始時刻(送信開始時期)が格納されている。詳しくは、送信開始時刻テーブル206、208には、バッテリ200の起動時刻(非活性状態から活性状態に切り替わる時刻)に対する送信情報の送信開始の遅延時間が格納されている。従って、バッテリ200は、該バッテリ200の起動時刻から遅延時間だけ経過した時刻より、送信情報の送信を開始する。
【0151】
図9は、送信開始時刻テーブル206、208の説明図である。送信開始時刻テーブル206、208には、シリアルIDのうちの最上位3桁の文字列と、遅延時間(送信開始ディレイ)とを組とする、複数の組が格納されている。通信処理部130、132(
図8参照)は、バッテリ200の起動時刻から、該上位3桁の文字列に対応する遅延時間だけ経過した時刻より、自送信情報の送信を開始する。なお、送信開始時刻テーブル206、208に格納されている最上位3桁の文字列は、シリアルIDテーブル202、204に格納されている複数のシリアルIDのうち、対応するシリアルIDと紐付けられている。
【0152】
図9において、例えば、シリアルIDのうちの最上位3桁の文字列が「0x0」の場合、該シリアルIDのバッテリ200において、該バッテリ200の起動時刻に対する自送信情報の遅延時間は、10msとなる。従って、該バッテリ200の起動時刻から10ms経過した時刻より、自送信情報の送信が開始される。
【0153】
図8のID格納部138、140には、自己のバッテリ200に付与された自通信用IDと付番用IDとが格納される。上記のように、複数のバッテリ200の間で通信用IDの衝突が発生する場合には、ID格納部138、140には、衝突を回避するために一部の文字列が変更された自通信用IDが格納される。
【0154】
図10は、第2実施形態の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、一例として、第1バッテリ24及び第2バッテリ26(
図1及び
図2参照)を同時に起動させる場合について説明する。なお、
図10の動作では、第1バッテリ24及び第2バッテリ26の各シリアルIDの最上位3桁の文字列を「0x0」とする。また、
図10の動作では、第1バッテリ24及び第2バッテリ26には、互いに異なる文字列が自己のバッテリ10の通信用IDとして決定され付与される。また、
図10の動作では、第3バッテリ28及び第4バッテリ30は非活性状態に維持される。また、
図10の説明では、第4バッテリ30のBMU82(
図8参照)の構成要素を用いて、第2バッテリ26の構成要素を説明する。
【0155】
時点t10において、ECU38の活性指令部46(
図2参照)は、第1バッテリ24及び第2バッテリ26への活性化信号の供給をそれぞれ開始する。すなわち、活性指令部46は、第1バッテリ24及び第2バッテリ26に対する活性化信号の供給を同時に開始する。これにより、第1バッテリ24及び第2バッテリ26は、活性化信号の供給を受けて、非活性状態から活性状態に切り替わる。
【0156】
このときに、第1バッテリ24及び第2バッテリ26のID付与部126、128(
図8参照)は、シリアルIDテーブル202、204を参照し、自己のバッテリ200のシリアルIDのうちの下7桁の文字列を自通信用IDに決定して付与(設定)する。この場合、第1バッテリ24のID付与部126は、シリアルIDのうちの下7桁の「FFFFFFF」を自通信用IDに決定し、ID格納部138に格納(設定)する。第2バッテリ26のID付与部128は、シリアルIDのうちの下7桁の「1FFFFFF」を自通信用IDに決定し、ID格納部140に格納(設定)する。
【0157】
第1バッテリ24及び第2バッテリ26の監視部122、124は、シリアルIDテーブル202、204及び送信開始時刻テーブル206、208(
図9参照)を参照し、自己のバッテリ200のシリアルIDのうちの最上位3桁の文字列に対応する遅延時間を検索する。上記のように、第1バッテリ24及び第2バッテリ26の各シリアルIDの最上位3桁の文字列は、「0x0」である。送信開始時刻テーブル206、208において、最上位3桁の文字列が「0x0」である場合、バッテリ200の起動時刻に対する遅延時間は、10msである。従って、監視部122、124は、t10から時間Ts3(Ts3=10ms)経過した時点t11において、自送信情報の送信を開始することを決定する。
【0158】
時点t11において、第1バッテリ24及び第2バッテリ26の通信処理部130、132は、自通信用IDを含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。時点t11以降、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得する他送信情報から他通信用IDを抽出し、抽出した他通信用IDと自通信用IDとの衝突が発生しているか否かを監視する。上記のように、第1バッテリ24の通信用IDである「FFFFFFF」と、第2バッテリ26の通信用IDである「1FFFFFF」とが異なるので、通信用IDの衝突は発生しない。従って、監視部122、124は、ID格納部138、140に格納されている通信用IDを、自己のバッテリ200の自通信用IDとして確定させる。
【0159】
また、ID付与部126、128は、自通信用IDに対応する付番用IDを決定して付与する。この場合、第1バッテリ24及び第2バッテリ26の各通信用IDのうち、第2バッテリ26の通信用IDである「1FFFFFF」は、第1バッテリ24の通信用IDである「FFFFFFF」よりも小さい。そのため、第2バッテリ26のID付与部128は、番号の小さい「1FFFFFF」に対応して、自己のバッテリ200の付番用IDとして「0x01」を決定し付与する。つまり、第2バッテリ26が1番のバッテリ200となる。また、第1バッテリ24のID付与部126は、番号の大きい「FFFFFFF」に対応して、自己のバッテリ200の付番用IDとして「0x02」を決定し付与する。つまり、第1バッテリ24が2番のバッテリ200となる。
【0160】
図11は、第2実施形態の他の動作を示すタイミングチャートである。なお、
図11の動作では、第1バッテリ24(
図1及び
図2参照)のシリアルIDの最上位3桁の文字列が「0x0」であり、第2バッテリ26のシリアルIDの最上位3桁の文字列が「0x1」である。また、
図11の動作では、第1バッテリ24及び第2バッテリ26には、当初は、互いに同じ文字列の通信用IDである「FFFFFFF」が付与される場合について説明する。また、
図11の動作では、第3バッテリ28及び第4バッテリ30は非活性状態に維持される。さらに、
図11の説明では、第4バッテリ30のBMU82(
図8参照)の構成要素を用いて、第2バッテリ26の構成要素を説明する。
【0161】
時点t20において、ECU38の活性指令部46(
図2参照)は、第1バッテリ24及び第2バッテリ26に対する活性化信号の供給を同時に開始する。これにより、第1バッテリ24及び第2バッテリ26は、活性化信号の供給を受けて、非活性状態から活性状態に切り替わる。
【0162】
第1バッテリ24及び第2バッテリ26のID付与部126、128は、シリアルIDテーブル202、204を参照し、自己のバッテリ200のシリアルIDのうちの下7桁の文字列を自通信用IDに決定して付与(設定)する。この場合、第1バッテリ24及び第2バッテリ26のID付与部126、128は、シリアルIDのうちの下7桁の「FFFFFFF」を自通信用IDに決定し、ID格納部138、140に格納(設定)する。
【0163】
第1バッテリ24及び第2バッテリ26の監視部122、124は、シリアルIDテーブル202、204及び送信開始時刻テーブル206、208(
図9参照)を参照し、自己のバッテリ200のシリアルIDのうちの最上位3桁の文字列に対応する遅延時間を検索する。上記のように、第1バッテリ24のシリアルIDの最上位3桁の文字列は、「0x0」である。送信開始時刻テーブル206、208において、最上位3桁の文字列が「0x0」である場合、バッテリ200の起動時刻に対する遅延時間は、10msである。従って、第1バッテリ24の監視部122は、時点t20から時間Ts4(Ts4=10ms)経過した時点t21において、自送信情報の送信を開始することを決定する。また、第2バッテリ26のシリアルIDの最上位3桁の文字列は、「0x1」である。送信開始時刻テーブル206、208において、最上位3桁の文字列が「0x1」である場合、バッテリ200の起動時刻に対する遅延時間は、20msである。従って、第2バッテリ26の監視部124は、時点t20から時間Ts5(Ts5=20ms)経過した時点t22において、自送信情報の送信を開始することを決定する。
【0164】
時点t21において、第1バッテリ24の通信処理部130は、自通信用IDを含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。第2バッテリ26の監視部124は、通信処理部132が取得する第1バッテリ24の送信情報から該第1バッテリ24の通信用IDを抽出し、抽出した該通信用ID(他通信用ID)と、自通信用IDとの衝突が発生しているか否かを監視する。
【0165】
上記のように、第1バッテリ24及び第2バッテリ26の各通信用IDは、「FFFFFFF」であるので、通信用IDの衝突が発生する可能性がある。従って、第2バッテリ26の監視部124は、ID格納部140に格納されている自通信用IDの変更をID付与部128に促す。
【0166】
第2バッテリ26のID付与部128は、監視部124の監視結果を受けて、ID格納部140に格納されている自通信用IDの一部変更を行う。具体的には、該ID付与部128は、「FFFFFFF」について、上位1桁の「F」を「1」に変更し、「1FFFFFF」に更新する。
【0167】
時点t22において、第2バッテリ26の通信処理部132は、自通信用IDを含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。この場合、該通信処理部132は、「1FFFFFF」の自通信用IDを含む自送信情報を通信線64に送信する。第1バッテリ24の通信用IDである「FFFFFFF」と、第2バッテリ26の通信用IDである「1FFFFFF」とが異なるので、通信用IDの衝突は発生しない。この結果、監視部124は、ID格納部140に格納されている通信用IDを、自己のバッテリ200の自通信用IDとして確定させる。
【0168】
なお、ID付与部126、128は、自通信用IDに対応する付番用IDを決定して付与する。上記のように、第1バッテリ24が最初に活性状態に切り替わるので、ID付与部126は、第1バッテリ24の付番用IDとして「0x01」を決定し付与する。また、第2バッテリ26が2番目に活性状態に切り替わるので、ID付与部128は、第2バッテリ26の付番用IDとして「0x01」を決定し付与する。
【0169】
図12は、第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
図12の主体は、複数のバッテリ200のBMU70、82(
図8参照)である。
【0170】
ステップS21でバッテリ200が非活性状態から活性状態に切り替わった場合(ステップS21:YES)、ステップS22において、通信処理部130、132は、通信線64(
図2参照)を流れる情報(送信情報)の取得を開始する。
【0171】
ステップS23において、ID付与部126、128は、シリアルIDテーブル202、204を参照して、自通信用IDを仮決定して付与(設定)する。仮設定された自通信用IDは、ID格納部138、140に格納(設定)される。
【0172】
ステップS24において、監視部122、124は、シリアルIDテーブル202、204及び送信開始時刻テーブル206、208(
図9参照)を参照して、自送信情報の送信開始時刻(自己のバッテリ200の起動時刻に対する遅延時間)を設定する。あるいは、監視部122、124は、任意の送信周期で自送信情報を送信する場合、該自送信情報の送信周期を設定してもよい。あるいは、監視部122、124は、自送信情報の送信開始時刻及び送信周期の双方を設定してもよい。
【0173】
なお、ステップS24において、監視部122、124は、自己のバッテリ200の起動時間を調整してもよい。なお、起動時間は、バッテリ200の起動時刻から、通信処理部130、132での情報の受信開始までの時間である。
【0174】
ステップS25において、監視部122、124は、自己のバッテリ200の起動時刻から遅延時間経過するまでの計時を開始する。また、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得する他送信情報から他通信用IDを抽出する。
【0175】
自己のバッテリ200の起動時刻から遅延時間経過したときに(ステップS26:YES)、監視部122、124は、ステップS27に進む。ステップS27において、監視部122、124は、他通信用IDと、ID格納部138、140に格納されている自通信用IDとが重複しているか否かを判定する。
【0176】
他通信用IDと自通信用IDとが重複している場合(ステップS27:YES)、監視部122、124は、該自通信用IDを含む自送信情報を通信処理部130、132から通信線64に送信すると、自送信情報(自通信用ID)と他送信情報(他通信用ID)との衝突が発生すると判断する。監視部122、124は、ID付与部126、128に対して自通信用IDの変更を促す。
【0177】
ステップS28において、ID付与部126、128は、監視部122、124の監視結果に基づき、自通信用IDの一部を変更して、ID格納部138、140に格納されている自通信用IDを更新する。
【0178】
なお、ステップS27において、他通信用IDと自通信用IDとが重複しない場合(ステップS27:NO)、自送信情報(自通信用ID)と他送信情報(他通信用ID)との衝突は発生しない。この場合には、ステップS28はスキップされる。
【0179】
ステップS29において、通信処理部130、132は、ID格納部138、140に格納された自通信用IDを含む自送信情報の通信線64への送信を開始する。
【0180】
図13のステップS30において、監視部122、124(
図8参照)は、自送信情報の送信によって、電力装置20(
図1及び
図2参照)内にエラーが発生していないか否かを判定する。具体的には、監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した他送信情報から他通信用IDを抽出し、他通信用IDと自通信用IDとの間で衝突が発生していないか否かを判定する。
【0181】
エラーが発生していない場合(ステップS30:YES)、ステップS31において、他通信用IDと自通信用IDとの間で衝突が発生していないので、ID格納部138、140に格納されている自通信用IDが自己のバッテリ200の自通信用IDとして確定する。
【0182】
ステップS32において、監視部122、124は、全てのバッテリ200について、通信用IDが確定したか否かを判定する。該監視部122、124は、通信処理部130、132が取得した他送信情報から他通信用IDを抽出することができる。従って、該監視部122、124は、全ての他のバッテリ200の他通信用IDを抽出したときに、全ての通信用IDが確定したと判定する(ステップS32:YES)。
【0183】
なお、ステップS32の処理は、マスタのバッテリ200の監視部122、124が行ってもよい。あるいは、各バッテリ200の監視部122、124が行ってもよい。
【0184】
ステップS33において、ID付与部126、128は、ID格納部138、140に格納された自通信用IDに対応する付番用IDを設定する。設定された付番用IDは、ID格納部138、140に格納される。
【0185】
ステップS34において、ID付与部126、128は、自己のバッテリ200でのIDの設定が完了したことを示すフラグを立てる。
【0186】
ステップS30において、エラーが発生している場合(ステップS30:NO)、監視部122、124は、ステップS35に進む。ステップS35において、監視部122、124は、
図12及び
図13の処理が所定回数を超えたか否かを判定する。
【0187】
ステップS35において、所定回数を超えていない場合(ステップS35:NO)、バッテリ200は、
図12のステップS21に戻り、ステップS21以降の処理を繰り返し行う。あるいは、ステップS35において、所定回数を超えていない場合(ステップS35:NO)、バッテリ200は、
図12のステップS27に戻り、ステップS27以降の処理を繰り返し行ってもよい。
【0188】
図13のステップS35において、所定回数を超えた場合(ステップS35:YES)、監視部122、124は、ステップS36に進む。ステップS36において、監視部122、124は、エラーの発生を確定させる。
【0189】
上記の説明では、16進数で表現される7桁のIDを通信用IDに使用した場合について説明した。第2実施形態では、16進数で表現される8桁のIDを通信用IDに使用してもよい。あるいは、通信線64の通信容量を圧迫しないのであれば、16進数で表現される10桁以上のIDを通信用IDに使用してもよい。例えば、16進数で表現される29桁の文字列を通信用IDに使用してもよい。あるいは、シリアルIDの文字列のうち、任意の複数の桁の文字列を通信用IDに使用してもよい。
【0190】
また、上記の説明では、シリアルIDテーブル202、204、送信開始時刻テーブル206、208、及び、ID格納部138、140に格納される各IDが16進数で表現されるIDである場合について説明した。各IDは、他の進数で表現されるID、任意の文字列等であってもよい。例えば、各IDが2進数で表現されるIDであってもよい。シリアルIDが2進数のIDである場合、シリアルIDの文字列のうち、例えば、32桁(32ビット)の文字列を通信用IDに使用してもよい。
【0191】
第2実施形態は、以下の効果を有する。
【0192】
図8~
図13に示すように、第2実施形態においても、電力装置20からバッテリ200にIDの付与を指示しなくても、該バッテリ200自らが、該バッテリ200の外部の情報に基づいて、該バッテリ200の識別情報である自通信用ID及び付番用IDを付与する。従って、第2実施形態でも、バッテリ200を効率よく且つ短時間で起動することができる。
【0193】
シリアルIDは、バッテリ200の製造時等に該バッテリ200に付与される固有のIDである。従って、シリアルIDに基づいて自通信用IDを定め、定めた自通信用IDをバッテリ200に付与することで、該バッテリ200に自通信用IDを簡単且つ確実に付与することができる。
【0194】
シリアルIDを構成する文字列のうちの一部の文字列が自通信用IDとして付与される。これにより、バッテリ200に自通信用IDを容易且つ簡単に付与することができる。
【0195】
少なくとも自通信用IDを含んだ自送信情報が通信処理部130、132からバッテリ200の外部に送信されるので、送信元が該バッテリ200である自送信情報を該バッテリ200の外部に容易に送信することができる。
【0196】
自送信情報は、送信開始時刻及び送信周期のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、通信処理部130、132からバッテリ200の外部に送信される。また、送信開始時刻及び送信周期のうちの少なくともいずれか一方は、シリアルIDを構成する文字列のうち、一部の文字列以外の他の文字列に基づいて定められる。これにより、自送信情報を送信する前に、バッテリ200の外部を流れている情報から他通信用IDを抽出し、抽出した他通信用IDと、送信しようとする自送信情報に含まれる自通信用IDとが重複した情報であるか否かを判定することが可能となる。従って、抽出した他通信用IDと自通信用IDとが重複した情報である場合には、該自通信用IDを一部変更することで、他通信用IDと自通信用IDとの衝突を回避することが可能となる。
【0197】
バッテリ200の外部の活性指令部46から送られた活性化信号(指令)によって、バッテリ200が活性状態又は非活性状態に切り替わるので、該バッテリ200を容易に起動させることができる。また、バッテリ200が活性状態に切り替わった後に、バッテリ200では、BMU70、82の通信処理部130、132、監視部122、124及びID付与部126、128が動作を開始する。これにより、バッテリ200の外部に依存することなく、該バッテリ200が自立して自通信用ID及び付番用IDを付与することができる。また、従来と比較して、バッテリ200をより短時間で起動させることができる。
【0198】
活性指令部46から各バッテリ200に活性化信号(指令)が同時に送られるので、各バッテリ200は、同じ時刻に活性状態に切り替わる。これにより、従来と比較して、バッテリ200をさらに短時間で起動させることができる。また、自通信用IDがシリアルIDに基づいて定められるIDであるため、各バッテリ200が同時に活性状態に切り替わり、自通信用IDが付与された場合でも、通信用IDの衝突の発生を抑制することが可能となる。
【0199】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0200】
(付記1)
蓄電部(60、62)を有する蓄電装置(10、24、26、28、30、200)であって、前記蓄電装置は、該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得部(130、132)と、取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出部(122、124)と、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部(126、128)と、を備える。
【0201】
本発明によれば、電力装置から蓄電装置に識別情報の付与を指示しなくても、該蓄電装置自らが、該蓄電装置の外部の情報に基づいて、該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する。従って、本発明では、蓄電装置を効率よく且つ短時間で起動させることができる。
【0202】
(付記2)
付記1に記載の蓄電装置において、前記抽出部は、該蓄電装置以外の他の蓄電装置の情報の送信元情報である他送信元情報を抽出し、前記付与部は、前記抽出部が抽出した前記他送信元情報に基づいて、前記自送信元情報を付与してもよい。
【0203】
取得部が取得した情報から他送信元情報を抽出し、抽出した他送信元情報に基づいて自送信元情報が付与される。これにより、他送信元情報とは異なる情報を自送信元情報として付与することが可能となる。この結果、自送信元情報を蓄電装置の外部に送信したときに、自送信元情報と他送信元情報とが衝突することを回避することができる。
【0204】
(付記3)
付記2に記載の蓄電装置において、前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、事前に設定された前記送信元情報の優先度規則に基づいて、前記抽出部が抽出した前記他送信元情報の優先度よりも前記優先度規則上の優先度が低い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与してもよい。
【0205】
送信元情報に優先度規則が適用されているので、優先度規則上の優先度が高い送信元情報から順に自送信元情報を付与することができる。そのため、自送信元情報が付与されていないときに、他送信元情報が抽出された場合には、抽出された他送信元情報よりも優先度規則上の優先度が高い送信元情報は、既に自送信元情報として付与済みであることを把握することができる。従って、抽出された他の送信元情報よりも優先度規則上の優先度が低い送信元情報を蓄電装置の自送信元情報として付与すればよい。これにより、他送信元情報とは異なる送信元情報を自送信元情報として確実に付与することができる。この結果、自送信元情報を蓄電装置の外部に送信したときに、自送信元情報と他送信元情報とが衝突することを確実に回避することができる。
【0206】
(付記4)
付記3に記載の蓄電装置において、前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、前記抽出部が複数の前記他送信元情報を抽出した場合に、前記抽出部が抽出した複数の前記他送信元情報のうち、前記優先度規則上の優先度が最も低い前記他送信元情報よりも優先度が低い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与してもよい。
【0207】
複数の他送信元情報が抽出されている場合には、抽出された複数の他送信元情報のうち、優先度規則上の優先度が最も低い他送信元情報よりも優先度がさらに低い送信元情報が蓄電装置の自送信元情報として付与される。これにより、複数の他の送信元情報が抽出される場合でも、各他送信元情報とは異なる送信元情報が自送信元情報として付与される。この結果、自送信元情報を蓄電装置の外部に送信したときに、自送信元情報と複数の他送信元情報とが衝突することを回避することができる。
【0208】
(付記5)
付記2に記載の蓄電装置において、前記付与部は、前記自送信元情報が付与されていないときに、前記取得部が前記情報を取得しない場合に、又は、前記抽出部が前記送信元情報を抽出しない場合に、事前に設定された前記送信元情報の優先度規則に基づいて、前記優先度規則上の優先度が最も高い前記送信元情報を前記自送信元情報として付与してもよい。
【0209】
自送信元情報が蓄電装置に付与されておらず、且つ、取得部が情報を取得しないか、又は、抽出部が送信元情報を抽出しない場合には、どの送信元情報も自送信元情報として付与されていない可能性が高い。また、どの送信元情報も蓄電装置の外部に流れていない可能性が高い。このような場合には、優先度規則上の優先度が最も高い送信元情報が自送信元情報として蓄電装置に付与される。これにより、該蓄電装置が最初に自送信元情報が付与される蓄電装置となる。
【0210】
(付記6)
付記1~5のいずれかに記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、該蓄電装置の状態を、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続可能な活性状態、又は、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続不能な非活性状態に切り替える活性処理部(142、144)をさらに備え、前記活性処理部は、前記蓄電装置の外部の活性指令部(46)から送られた指令によって、前記活性状態又は前記非活性状態に切り替えるように設けられてもよい。
【0211】
蓄電装置の外部の活性指令部から送られた指令によって、蓄電装置が活性状態又は非活性状態に切り替わるので、該蓄電装置を容易に起動させることができる。また、蓄電装置が活性状態に切り替わった後に、蓄電装置では、取得部、抽出部及び付与部が動作を開始する。これにより、蓄電装置の外部に依存することなく、該蓄電装置が自立して自送信元情報を付与することができる。また、従来と比較して、蓄電装置をより短時間で起動させることができる。
【0212】
(付記7)
付記6に記載の蓄電装置において、該蓄電装置以外の他の蓄電装置が存在するときに、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが前記非活性状態である場合に、前記活性指令部は、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とに対して、時間差を有して前記指令を送るように設けられてもよい。
【0213】
活性指令部から蓄電装置及び他の蓄電装置に指令が時間差で供給されるので、蓄電装置及び他の蓄電装置は、異なる時刻に活性状態に切り替わる。これにより、後に活性状態に切り替わった蓄電装置は、先に活性状態に切り替わった蓄電装置から外部に送信される送信元情報(他送信元情報)とは異なる送信元情報を、自送信元情報として付与することができる。この結果、複数の蓄電装置の間で、送信元情報が衝突することを効率よく且つ確実に回避することができる。
【0214】
(付記8)
付記7に記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが電力装置(20)に装着されている場合に、前記電力装置に装着されている該蓄電装置及び前記他の蓄電装置の総数を示す装着数情報と、前記抽出部が抽出した複数の前記送信元情報とに基づいて、該蓄電装置と前記他の蓄電装置との各々に前記自送信元情報が付与されたか否かを判定する判定部(122、124)と、該蓄電装置と前記他の蓄電装置との各々に前記自送信元情報が付与されたことを前記判定部が判定したときに、前記判定部の判定結果を該蓄電装置の外部に通知する通知部(130、132)と、をさらに備えてもよい。
【0215】
装着数情報と、抽出された複数の送信元情報とに基づいて、各蓄電装置に自送信元情報が付与されたか否かを判定することができる。これにより、各蓄電装置に自送信元情報が付与されたと判定した場合には、各蓄電装置での自送信元情報の付与の完了を蓄電装置の外部に通知することができる。
【0216】
(付記9)
付記1に記載の蓄電装置において、前記付与部は、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる前記自送信元情報を付与してもよい。
【0217】
固有識別情報は、蓄電装置の製造時等に該蓄電装置に付与される固有の識別情報である。従って、固有識別情報に基づいて自送信元情報を定め、定めた自送信元情報を蓄電装置に付与することで、該蓄電装置に自送信元情報を簡単且つ確実に付与することができる。
【0218】
(付記10)
付記9に記載の蓄電装置において、前記固有識別情報は、文字列であり、前記付与部は、前記文字列のうちの一部の文字列を前記自送信元情報として付与してもよい。
【0219】
固有識別情報を構成する文字列のうちの一部の文字列が自送信元情報として付与される。これにより、蓄電装置に自送信元情報を容易且つ簡単に付与することができる。
【0220】
(付記11)
付記10に記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、少なくとも前記自送信元情報を含んだ送信情報を該蓄電装置の外部に送信する送信部(130、132)をさらに備えてもよい。
【0221】
少なくとも自送信元情報を含んだ送信情報が送信部から蓄電装置の外部に送信されるので、送信元が蓄電装置である送信情報を該蓄電装置の外部に容易に送信することができる。
【0222】
(付記12)
付記11に記載の蓄電装置において、前記送信部は、任意の送信開始時期及び任意の送信周期のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、前記送信情報を送信し、前記送信開始時期及び前記送信周期のうちの少なくともいずれか一方は、前記文字列のうちの前記一部の文字列以外の他の文字列に基づいて定められてもよい。
【0223】
送信情報は、送信開始時期及び送信周期のうちの少なくともいずれか一方に基づいて、送信部から蓄電装置の外部に送信される。また、送信開始時期及び送信周期のうちの少なくともいずれか一方は、固有識別情報を構成する文字列のうち、一部の文字列以外の他の文字列に基づいて定められる。これにより、送信情報を送信する前に、蓄電装置の外部を流れている情報から他送信元情報を抽出し、抽出した他送信元情報と、送信しようとする送信情報に含まれる自送信元情報とが重複した情報であるか否かを判定することが可能となる。従って、抽出した他送信元情報と自送信元情報とが重複した情報である場合には、該自送信元情報を一部変更することで、他送信元情報と自送信元情報との衝突を回避することが可能となる。
【0224】
(付記13)
付記9~12のいずれかに記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、該蓄電装置の状態を、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続可能な活性状態、又は、前記蓄電部と前記蓄電装置の外部とを電気的に接続不能な非活性状態に切り替える活性処理部をさらに備え、前記活性処理部は、前記蓄電装置の外部の活性指令部から送られた指令によって、前記活性状態又は前記非活性状態に切り替えるように設けられてもよい。
【0225】
蓄電装置の外部の活性指令部から送られた指令によって、蓄電装置が活性状態又は非活性状態に切り替わるので、該蓄電装置を容易に起動させることができる。また、蓄電装置が活性状態に切り替わった後に、蓄電装置では、取得部、抽出部及び付与部が動作を開始する。これにより、蓄電装置の外部に依存することなく、該蓄電装置が自立して自送信元情報を付与することができる。また、従来と比較して、蓄電装置をより短時間で起動させることができる。
【0226】
(付記14)
付記13に記載の蓄電装置において、該蓄電装置以外の他の蓄電装置が存在するときに、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とが前記非活性状態である場合に、前記活性指令部は、該蓄電装置と前記他の蓄電装置とに対して、同時に前記指令を送るように設けられてもよい。
【0227】
活性指令部から蓄電装置及び他の蓄電装置への指令が同時に送られるので、蓄電装置及び他の蓄電装置は、同じ時刻に活性状態に切り替わる。これにより、従来と比較して、蓄電装置をさらに短時間で起動させることができる。また、自送信元情報が固有識別情報に基づいて定められる情報であるため、蓄電装置と他の蓄電装置とが同時に活性状態に切り替わり、自送信元情報が付与された場合でも、送信元情報の衝突の発生を抑制することが可能となる。
【0228】
(付記15)
蓄電部を有する蓄電装置であって、前記蓄電装置は、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与部を備え、前記付与部は、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる前記自送信元情報を付与する。
【0229】
本発明によれば、電力装置から蓄電装置に識別情報の付与を指示しなくても、該蓄電装置自らが、該蓄電装置の外部の情報に基づいて、該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する。従って、本発明では、蓄電装置を効率よく且つ短時間で起動させることができる。
【0230】
(付記16)
蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、前記制御方法は、該蓄電装置の外部から送信される情報、又は、該蓄電装置の外部を流れる情報を取得する取得ステップ(S2)と、取得した前記情報から該情報の送信元情報を抽出する抽出ステップ(S3、S7、S10、S13)と、前記抽出ステップの抽出結果に基づいて、該蓄電装置に対して該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する付与ステップ(S4、S8、S11、S14)と、を有する。
【0231】
本発明によれば、電力装置から蓄電装置に識別情報の付与を指示しなくても、該蓄電装置自らが、該蓄電装置の外部の情報に基づいて、該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する。従って、本発明では、蓄電装置を効率よく且つ短時間で起動させることができる。
【0232】
(付記17)
蓄電部を有する蓄電装置の制御方法であって、前記制御方法は、該蓄電装置に対して、該蓄電装置の固有識別情報に基づいて定められる該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与するステップ(S23、S27、S28、S31)を有する。
【0233】
本発明によれば、電力装置から蓄電装置に識別情報の付与を指示しなくても、該蓄電装置自らが、該蓄電装置の外部の情報に基づいて、該蓄電装置の情報の送信元情報である自送信元情報を付与する。従って、本発明では、蓄電装置を効率よく且つ短時間で起動させることができる。
【0234】
(付記18)
付記16又は17に記載の蓄電装置の制御方法をコンピュータ(70、82)に実行させるためのプログラムである。
【0235】
(付記19)
付記18に記載のプログラムを記憶する記憶媒体(110、112)である。
【0236】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0237】
10、200…バッテリ(蓄電装置)
60、62…バッテリ本体(蓄電部)
70、82…BMU(コンピュータ)
110、112…記憶部(記憶媒体)
122、124…監視部(抽出部)
126、128…ID付与部(付与部)
130、132…通信処理部(取得部)