IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太陽誘電株式会社の特許一覧

特開2024-159054部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法
<>
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図1
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図2
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図3
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図4
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図5
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図6
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図7
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図8
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図9
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図10
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図11
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図12
  • 特開-部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159054
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074792
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩二
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE29
5E353EE54
5E353HH46
5E353HH47
5E353HH48
5E353QQ03
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】バルクフィーダを形成する部品収納ケース内における電子部品の詰まりを解消することを課題とする。
【解決手段】部品収納ケースは、部品を収納し、バルクフィーダの一部となる。部品収納ケースは、磁力による吸引が可能な部品を多数個収納するための収納室と、前記部品収納ケースの一方側の側壁を形成し、内面に所定円軌道に沿うように下方から上方に向かって形成され、前記収納室内の前記部品を所定向きで収容し、収容した前記部品を上方に移動させる円弧溝を備えた蓋板と、前記蓋板と対向させて設けられ、前記円弧溝の開口部を閉塞する閉塞面を有し、前記円弧溝とともに前記部品の取出口へ前記部品を供給する供給通路を形成する閉塞部と、前記蓋板の前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる隙間形成機構とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納し、バルクフィーダの一部となる部品収納ケースであって、
磁力による吸引が可能な部品を多数個収納するための収納室と、
前記部品収納ケースの一方側の側壁を形成し、内面に所定円軌道に沿うように下方から上方に向かって形成され、前記収納室内の前記部品を所定向きで収容し、収容した前記部品を上方に移動させる円弧溝を備えた蓋板と、
前記蓋板と対向させて設けられ、前記円弧溝の開口部を閉塞する閉塞面を有し、前記円弧溝とともに前記部品の取出口へ前記部品を供給する供給通路を形成する閉塞部と、
前記蓋板の前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる隙間形成機構と、を備えた、
部品収納ケース。
【請求項2】
前記隙間形成機構は、前記内面から前記部品収納ケースの他方側の側壁方向に向かって延設され、前記内面を前記閉塞面から離れる方向に押し込み可能に設けられた押込み部を備え、当該押込み部の前記内面側と反対側の端部は、前記他方側の側壁に設けられた貫通孔を通じて、前記部品収納ケースの外部に露出している、
請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項3】
前記押込み部の前記内面側と反対側の端部は、前記他方側の側壁の外壁面よりも外側に突出している、
請求項2に記載の部品収納ケース。
【請求項4】
前記部品収納ケースは、前記供給通路の近傍に前記蓋板と前記閉塞部との接着部を備え、
前記押込み部は、前記供給通路を隔てて、前記接着部の反対側に位置している、
請求項2または3に記載の部品収納ケース。
【請求項5】
前記蓋板は、前記押込み部の近傍に、前記蓋板の一部分の剛性を低下させる剛性低下部を備えた、
請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項6】
前記剛性低下部は、貫通穴又は薄肉部である、
請求項5に記載の部品収納ケース。
【請求項7】
前記隙間形成機構は、前記部品収納ケースの外部に当該部品収納ケースとは別個に設けられた部材であって前記蓋板を前記閉塞部から遠ざける側に牽引する牽引部材が係合される被係合部を含む、
請求項1に記載の部品収納ケース。
【請求項8】
前記部品収納ケースは、前記供給通路の近傍に前記蓋板と前記閉塞部との接着部を備え、
前記被係合部は、前記供給通路を隔てて、前記接着部の反対側に位置している、
請求項7に記載の部品収納ケース。
【請求項9】
前記係合は、前記蓋板に形成され、前記牽引部材を挿し込み可能に設けられた挿込み孔である、
請求項7または8に記載の部品収納ケース。
【請求項10】
バルクフィーダの一部となる部品収納ケース内に形成された収納室内の部品を当該部品の取出口まで移動させる供給通路における前記部品の詰まりを解消する部品の詰まり解消方法であって、
前記供給通路は、
部品収納ケースの一方側の側壁を形成し、内面に所定円軌道に沿うように下方から上方に向かって形成され、前記収納室内の前記部品を所定向きで収容し、収容した前記部品を上方に移動させる円弧溝を備えた蓋板と、
前記蓋板と対向させて設けられ、前記円弧溝の開口部を閉塞する閉塞面を有する閉塞部を備え、
前記供給通路において前記部品の詰まりが発生したときに、
前記蓋板の前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる、
部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法。
【請求項11】
前記供給通路の近傍に設けられた前記蓋板と前記閉塞部との接着部を支点として、前記蓋板を前記閉塞部から遠ざける側に押し込みまたは牽引して、前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる、
請求項10に記載の部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品収納ケース及び部品収納ケースにおける部品のつまり解消方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マウンタ(部品搭載装置)への電子部品の供給手段としてバルクフィーダが知られている。バルクフィーダは、収納部に収納された電子部品を整列させる円弧溝を備えたケースを有することがある(例えば、特許文献1参照)。電子部品は、ケース内において、個別にパッケージされていないバラの状態、つまり、部品の一つ一つが独立し、それらの姿勢が不統一である状態で収納されている。特許文献1に開示されたバルクフィーダでは、円弧溝の開口の上部を閉塞した部分を設けることで電子部品をその取出口まで移動させる供給通路が形成されている。電子部品は、供給通路に沿って移動可能に設けられた永久磁石の磁力によって供給通路を通過して取出口まで移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-161342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケース内の収納部に上述のようなバラの状態で収納された電子部品は、供給通路に導入される過程で、供給通路の断面形状に応じた姿勢となる。しかしながら、電子部品は、その寸法公差や異物の混入等に起因してケースで詰まることが想定される。電子部品の詰まりは、特許文献1で開示されたバルクフィーダにおいても生じ得る。従来、このような電子部品の詰まりが生じた場合、詰まった電子部品を作業者が先細の工具で突くなどの対処しかできていない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、バルクフィーダを形成する部品収納ケース内における電子部品の詰まりを解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品収納ケースは、部品を収納し、バルクフィーダの一部となる部品収納ケースであって、磁力による吸引が可能な部品を多数個収納するための収納室と、前記部品収納ケースの一方側の側壁を形成し、内面に所定円軌道に沿うように下方から上方に向かって形成され、前記収納室内の前記部品を所定向きで収容し、収容した前記部品を上方に移動させる円弧溝を備えた蓋板と、前記蓋板と対向させて設けられ、前記円弧溝の開口部を閉塞する閉塞面を有し、前記円弧溝とともに前記部品の取出口へ前記部品を供給する供給通路を形成する閉塞部と、前記蓋板の前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる隙間形成機構と、を備えた態様とすることができる。
【0007】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記隙間形成機構は、前記内面から前記部品収納ケースの他方側の側壁方向に向かって延設され、前記内面を前記閉塞面から離れる方向に押し込み可能に設けられた押込み部を備え、当該押込み部の前記内面側と反対側の端部は、前記他方側の側壁に設けられた貫通孔を通じて、前記部品収納ケースの外部に露出している態様とすることができる。
【0008】
また、上記構成の部品収納ケースにおいて、前記押込み部の前記内面側と反対側の端部は、前記他方側の側壁の外壁面よりも外側に突出している態様とすることができる。
【0009】
さらに、前記部品収納ケースは、前記供給通路の近傍に前記蓋板と前記閉塞部との接着部を備え、前記押込み部は、前記供給通路を隔てて、前記接着部の反対側に位置している態様とすることができる。
【0010】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記蓋板は、前記押込み部の近傍に、前記蓋板の一部分の剛性を低下させる剛性低下部を備えた構成とすることができる。
【0011】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記剛性低下部は、貫通穴又は薄肉部である態様とすることができる。
【0012】
上記構成の部品収納ケースにおいて、前記隙間形成機構は、前記部品収納ケースの外部に当該部品収納ケースとは別個に設けられた部材であって前記蓋板を前記閉塞部から遠ざける側に牽引する牽引部材が係合される被係合部を含む態様とすることができる。
【0013】
また、上記構成の部品収納ケースにおいて、前記部品収納ケースは、前記供給通路の近傍に前記蓋板と前記閉塞部との接着部を備え、前記被係合部は、前記供給通路を隔てて、前記接着部の反対側に位置している態様とすることができる。
【0014】
さらに、上記構成の部品収納ケースにおいて、前記係合は、前記蓋板に形成され、前記牽引部材を挿し込み可能に設けられた挿込み孔である態様とすることができる。
【0015】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法は、バルクフィーダの一部となる部品収納ケース内に形成された収納室内の部品を当該部品の取出口まで移動させる供給通路における前記部品の詰まりを解消する部品の詰まり解消方法であって、前記供給通路は、部品収納ケースの一方側の側壁を形成し、内面に所定円軌道に沿うように下方から上方に向かって形成され、前記収納室内の前記部品を所定向きで収容し、収容した前記部品を上方に移動させる円弧溝を備えた蓋板と、前記蓋板と対向させて設けられ、前記円弧溝の開口部を閉塞する閉塞面を有する閉塞部を備え、前記供給通路において前記部品の詰まりが発生したときに、前記蓋板の前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる態様とすることができる。
【0016】
上記構成の部品収納ケースにおける部品の詰まり解消方法において、前記供給通路の近傍に設けられた前記蓋板と前記閉塞部との接着部を支点として、前記蓋板を前記閉塞部から遠ざける側に押し込みまたは牽引して、前記内面と前記閉塞面との間隔を拡げる態様とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書開示の発明によれば、バルクフィーダを形成する部品収納ケース内における電子部品の詰まりを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(A)は図2に示したバルクフィーダの供給対象となる部品の斜視図、図1(B)及び図1(C)は図2に示したバルクフィーダで供給対象となり得る部品の斜視図である。
図2図2は本実施形態の部品収納ケースがフィーダ本体に装着されたバルクフィーダの右側面図である。
図3図3(A)~図3(C)は、第1実施形態の部品収納ケースが搭載されるフィーダ本体の駆動部周辺を示す図であり、図3(A)は右側面図、図3(B)は正面図、図3(C)は上面図である。
図4図4は第1実施形態における第2歯車の右側面図である。
図5図5(A)は第1実施形態の部品収納ケースの右側面図出る。図5(B)は第1実施形態の部品収納ケースの上面図である。
図6図6(A)は第1実施形態の部品収納ケースのケース本体を示す右側面図である。図6(B)は第1実施形態の部品収納ケースの蓋板を示す右側面図である。
図7図7は第1実施形態の部品収納ケース内において、部品が移動する様子を示す説明図である。
図8図8(A)は図5におけるA-A線断面図であり、図8(B)は第1実施形態において主導によって詰まり解除ボタンを作動させる様子を示す図5におけるA-A線断面図である。
図9図9は第1実施形態において押し込みピンによって詰まり解除ボタンを作動させる様子を示す図5におけるA-A線断面図である。
図10図10は第2実施形態における供給通路の周辺を示す拡大図である。
図11図11は第2実施形態における牽引シャフトの斜視図である。
図12図12は第2実施形態における第2歯車の右側面図である。
図13図13は第2実施形態において、図5におけるA-A線に相当する位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。
【0020】
(第1実施形態)
まず、図1から図9を参照して第1実施形態について説明する。図1(A)は図2に示したバルクフィーダの供給対象となる部品の斜視図、図1(B)及び図1(C)は図2に示したバルクフィーダで供給対象となり得る部品の斜視図である。図2は本実施形態の部品収納ケースがフィーダ本体に装着されたバルクフィーダの右側面図である。図3(A)~図3(C)は、第1実施形態の部品収納ケースが搭載されるフィーダ本体の駆動部周辺を示す図であり、図3(A)は右側面図、図3(B)は正面図、図3(C)は上面図である。図4は第1実施形態における第2歯車の右側面図である。図5(A)は第1実施形態の部品収納ケースの右側面図出る。図5(B)は第1実施形態の部品収納ケースの上面図である。図6(A)は第1実施形態の部品収納ケースのケース本体を示す右側面図である。図6(B)は第1実施形態の部品収納ケースの蓋板を示す右側面図である。図7は第1実施形態の部品収納ケース内において、部品が移動する様子を示す説明図である。図8(A)は図5におけるA-A線断面図であり、図8(B)は第1実施形態において主導によって詰まり解除ボタンを作動させる様子を示す図5におけるA-A線断面図である。図9は第1実施形態において押し込みピンによって詰まり解除ボタンを作動させる様子を示す図5におけるA-A線断面図である。
【0021】
なお、以下の説明では、バルクフィーダ100及び部品収納ケース10の上下、前後及び左右を図2から図3(C)に示すように設定して説明することとする。左右方向は、後側から前側をみた状態を基準として設定されている。
【0022】
[バルクフィーダの供給対象となる部品]
先ず、図1(A)を参照して、図2に示したバルクフィーダ100の供給対象となり、バルクフィーダ100が備える部品収納ケース10に収納される部品について説明する。
【0023】
部品EC1は、図1(A)に示したように、長さL1>幅W1=高さH1の寸法関係を有する直方体形状を成す。この部品EC1の具体例は、長さL1が1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等といった小型のチップコンデンサやチップレジスタ等の電子部品である。何れの電子部品も強磁性体に属する材料を含む外部電極EC1aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、後記永久磁石113aの磁力による吸引が可能である。勿論、後記永久磁石113aの磁力による吸引が可能な同形状の部品であれば、電子部品以外の部品も供給対象となる。
【0024】
図1(B)及び図1(C)に示した部品EC2及びEC3は、後記円弧溝21の断面形状を変えることによって図2に示したバルクフィーダの供給対象となり得る部品である。図1(B)に示した部品EC2は長さL2>幅W2>高さH2の寸法関係を有する直方体形状を成し、図1(C)に示した部品EC3は長さL3>直径R3の寸法関係を有する円柱形状を成す。これら部品EC2及びEC3の具体例は、長さL2及びL3が1.6mm,1.0mm,0.6mm,0.4mm等といった小型のチップコンデンサやチップレジスタ等の電子部品である。何れの電子部品も強磁性体に属する材料を含む外部電極EC2a及びEC3aを有する他、種類によっては強磁性体に属する材料を含む内部導体を有していることから、後記永久磁石113aの磁力による吸引が可能である。勿論、後記永久磁石113aの磁力による吸引が可能な同形状の部品であれば、電子部品以外の部品も供給対象となり得る。
【0025】
また、図1(A)~図1(C)には部品として直方体形状及び円柱形状の部品EC1~EC3を示したが、後記永久磁石113aの磁力による吸引が可能な部品であれば、同図に示した形状に類似する形状を有する部品や球形の部品等も供給対象とすることが可能である。
【0026】
[バルクフィーダの一実施形態]
次に、図2図9を参照して、バルクフィーダ100について説明する。図2を参照すると、バルクフィーダ100は、フィーダ本体110と、このフィーダ本体110に装着される部品収納ケース10を備える。バルクフィーダ100は、不図示のマウンタ(部品搭載装置)に設置される。フィーダ本体110の下部には、バルクフィーダ100をマウンタへ装着するための結合ガイド部120を備えている。バルクフィーダ100は、上述のように、各種の部品に対応することができるが、以下の説明では、部品EC1を供給対象とする場合について説明する。
【0027】
<フィーダ本体>
図3(A)から図3(C)を参照すると、フィーダ本体110は、その前端側に駆動部111を備えている。駆動部111の右側には、部品収納ケース10が設置される台座部114が設けられている。駆動部111は台座部114に設置される部品収納ケース10内に収納された部品EC1をマウンタによって取り出し可能な状態とする。
【0028】
駆動部111は、第1歯車112と、この第1歯車112と噛み合う第2歯車113を備える。第1歯車112は、軸部材112aを介して駆動モータ112bと接続されている。図3(A)を参照すると、第2歯車113には、周方向に沿って等間隔に永久磁石113aが埋設されている。第2歯車113は、中心部に設けられた軸部材113bがフィーダ本体110に設けられた軸受部113cに回転可能に支持されることで、フィーダ本体110に取り付けられている。
【0029】
図4を参照すると、複数の永久磁石113aは、仮想の配置円113a1に沿って配置されている。配置円113a1の半径はRである。
【0030】
<部品収納ケース>
つぎに、図5(A)から図6(B)を参照すると、部品収納ケース10は、ケース本体11と蓋板20とを組み合わせることで形成されている。ケース本体11は、前側に設けられた外周壁11a1、上側に設けられた外周壁11a2、後側に設けられた外周壁11a3及び下側に設けられた外周壁11a4を備える。外周壁11a1~11a4は、枠状体を形成している。ケース本体11は、側壁12を備えている。側壁12は、枠状体の厚み方向(左右方向)の一方側(右側)に配置されている。これにより、ケース本体11は、左側が開放された形態を備えている。蓋板20は、ケース本体11の左側に配置され、ケース本体11の開放部分を塞ぐ。
【0031】
ケース本体11の内部には、円弧状のガイド面13aを備えた内周壁13が設けられている。内周壁13に囲まれた領域には、部品EC1の収納室14が形成されている。収納室14は、外周壁11a3に開口する部品導入口18と連通している。なお、部品導入口18は、収納室14内に部品EC1が導入された後、封止される。
【0032】
ケース本体11は、後に説明する供給通路30を形成する閉塞部として機能する肉厚部15を備える。肉厚部15は、蓋板20と対向する閉塞面15aを備える。肉厚部15には、左右方向に貫通し、側壁12の外壁面12aに開口した貫通孔15bが設けられている。ケース本体11は、4つの角部のそれぞれに、ネジ孔17が設けられている。
【0033】
蓋板20は、前後方向の中心部よりも前側に円弧溝21を備えている。円弧溝21の曲率半径は、永久磁石113aの配置円113a1の半径Rと概ね一致している。円弧溝21は、蓋板20の右面、つまり、蓋板20がケース本体11に組み付けられたときに内側に位置する内面20aに設けられている。蓋板20を左右方向で断面としたときの円弧溝21の断面形状は、矩形である。矩形の寸法は、部品EC1の寸法に対応させて設定されている。具体的に、図1(A)に示した部品EC1の端面対角寸法D1よりも僅かに大きく、且つ、長さL1よりも小さな幅及び深さを有する矩形である。円弧溝21は、断面における矩形に含まれる4辺のうちの3辺は面によって形成されており、内面20a側の残りの1辺は、開放され、開放口211(図8(B)参照)を形成している。なお、図1(B)に示した部品EC2を供給する場合には、部品EC2の高さH2よりも僅かに大きく、且つ、幅W2よりも小さな幅と、幅W2よりも僅かに大きな深さとを有する矩形とする。また、図1(C)に示した部品EC3を供給する場合には、部品EC3の直径R3よりも僅かに大きく、且つ、長さL3よりも小さな幅及び深さを有する矩形とする。
【0034】
円弧溝21は、蓋板20の下端側から前側を通り、上端側に向かって概ね180°に亘って形成されている。部品EC1は、後に詳細に説明するように、永久磁石113aの磁力によって、この円弧溝21に沿って蓋板20の上端側まで移動する。円弧溝21の上端側の端部には、部品EC1の取出口21aが形成されている。取出口21aは、円弧溝21の上方を開放することによって形成されている。
【0035】
蓋板20は、右面側にわずかに凸状に形成された接着リブ22を備えている。接着リブ22は、概ね、ケース本体11が備える内周壁13に対応させて設けられており、肉厚部15に対応する位置にも設けられている。接着リブ22は、内周壁13や肉厚部15に溶着されることで接着部16を形成する(図8(A)等参照)。接着リブ22は、内周壁13と同様に円弧状に形成された部分を備える。この円弧状の部分の曲率半径は、円弧溝21の曲率半径よりも大きい。これにより、蓋板20の前後方向の中心部よりも前側において、接着リブ22は、円弧溝21よりも前側に位置している。このような接着リブ22と接着される内周壁13の壁面は、部品EC1のガイド面13aとして機能する。
【0036】
蓋板20は、内面20aに、この内面20aを閉塞面15aから離れる方向に押し込み可能に設けられた押込み部としての詰まり解除ボタン23を備える。内面20aに形成された円弧溝21は、肉厚部15とともに部品EC1の供給通路30を形成する。部品EC1は供給通路30で詰まることがある。詰まり解除ボタン23は、この部品EC1の詰りを解消するときに操作される。詰まり解除ボタン23は、蓋板20がケース本体11に組み付けられた状態において、ケース本体11の側壁12側に向かって延設されている。詰まり解除ボタン23は、内面20aと反対側の端部が、側壁12の外周壁12aに開口した貫通孔15bを通じて部品収納ケース10の外部に露出するように設けられている。これにより、詰まり解除ボタン23は、部品収納ケース10の外部から操作することができる状態とされる。さらに、詰まり解除ボタン23は、側壁12の外壁面12aよりも外側に突出した状態とされている。これにより、詰まり解除ボタン23の操作性が向上し、例えば、マウンタなどの外部機器が備えたボタン操作機構によって操作することも可能となる。
【0037】
蓋板20は、上述のように、ケース本体11が備える肉厚部15に対応する位置に接着リブ22を備えている。図6(A)を参照すると、接着リブ22は、供給通路30(図5(A)参照)を形成する円弧溝21の近傍に及んでいる。具体的に、円弧溝21の上側に接着リブ22が設けられてる。これにより、供給通路30の上側に接着部16が形成される(図8(A)参照)。詰まり解除ボタン23は、円弧溝21、つまり、供給通路30を隔てて、接着リブ22(接着部16)の反対側に位置している。これにより、詰まり解除ボタン23を、内面20aが閉塞面15aから離れる方向に押し込むように操作することで、接着リブ22を支点として内面20aを閉塞面15aから遠ざけることができる。詰まり解除ボタン23は、内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げる隙間形成機構に含まれる。
【0038】
蓋板20は、詰まり解除ボタン30の下側に貫通穴24を備えている。貫通穴24は、蓋板20の左右方向、つまり、厚み方向に貫通している。貫通穴24は、蓋板20の一部分、具体的に、詰まり解除ボタン23の近傍かつ、円弧溝21の周辺の剛性を低下させる。詰まり解除ボタン23は、接着部16を支点として、蓋板20を弾性変形させることで、内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げる。貫通穴24は、蓋板20の一部の剛性を低下させることで、蓋板20を弾性変形させて、内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げ易くする。なお、貫通穴24の形状と特に限定されない。また、貫通穴24に代えて、薄肉部を備えた態様とすることもできる。
【0039】
蓋板20は、ケース本体11が備えるネジ孔17に対応する位置にネジ孔27を備えている。
【0040】
ケース本体11と蓋板20は、ケース本体11の左側に蓋板20が配置されるように相互に組み付けられる。これにより、円弧溝21の開放口211が閉塞面15aによって閉塞され、供給通路30が形成される。
【0041】
組み立てられた部品収納ケース10は、図2に示すように、フィーダ本体110に取り付けられ、バルクフィーダ100を形成する。部品収納ケース10が取り付けられたバルクフィーダ100の駆動部111(図3(A)等)を作動させると、図7において矢示1aで示すように第2歯車113が回転する。これにより、永久磁石113aに吸着された部品EC1が収納室14内の円弧溝21に沿って上方に向かって移動する。このとき、部品EC1は、複数個が重なった状態となっている。また、部品EC1の姿勢や向きも統一されていない。このような状態のEC1が供給通路30に到達すると、供給通路30の断面形状に適合する姿勢と向きの部品EC1が供給通路30内に取り込まれる。供給通路30内に取り込まれた部品EC1は、取出口21aまで移動する。取出口21aに到達した部品EC1は、不図示のマウンタが備える吸着ノズルによって吸着される。吸着された部品EC1は、マウンタによって、部品実装位置まで搬送される。
【0042】
[詰まり解消動作]
部品収納ケース10の収納室14に収納された部品EC1は、上述のように、取出口21aまで移動してマウンタによって取り出される。部品EC1の姿勢と向きは、供給通路30を通過する過程で取出口21aにおける所望の姿勢と向きに修正される(図8(A)参照)。その際、部品EC1は、供給通路30で詰まることがある。詰まりが生じたか否かは、マウンタ側の監視装置によって検出することができる。ここでは、監視装置の詳細な説明は省略する。
【0043】
まず、図8(B)を参照して、手動で詰まりを解消する動作について説明する。マウンタ側の監視装置によって詰まりが検出されたとき、作業者は、バルクフィーダ100から部品収納ケース10を取り外す。そして、詰まり解除ボタン23を、矢示1bの方向へ押し込む。これにより、蓋板20がその弾性によって、接着部16を支点として撓む。この結果、図8(B)に拡大して示すように、蓋板20の内面20aと閉塞面15aとの間隔が拡がる。これにより、供給通路30内で生じていた部品EC1の詰まりが解消される。作業者は、詰まり解除ボタン23を操作しながら部品収納ケース10の取出口21aを下方に向けることで、詰まっていた部品EC1を取り除くことができる。詰まっていた部品EC1を取り除いた後、部品収納ケース10を再びフィーダ本体110に取り付けることで、部品EC1の供給を継続することができる。
【0044】
つぎに、図9を参照して、自動で詰まりを解消する動作について説明する。自動で詰まりを解消する場合、例えば、マウンタに設置されたボタン操作機構としての押し込みピン150を作動させる。押し込みピン150は、外壁面12aに沿うように昇降移動することができる。押し込みピン150は、部品EC1の詰りが検出されたときに、矢示1cのように詰まり解除ボタン23に向かって降下し、詰まり解除ボタン23を押下する。押下された詰まり解除ボタン23は、接着部16を支点として矢示1dの方向に移動する。これにより、蓋板20がその弾性によって、接着部16を支点として撓む。この結果、図8(B)に拡大して示すように、蓋板20の内面20aと閉塞面15aとの間隔が拡がる。これにより、供給通路30内で生じていた部品EC1の詰まりが解消される。マウンタは、押し込みピン150を作動させた後、第2歯車113を回転させて、詰まっていた部品EC1を取出口21aまで移動させる。取出口21aまで移動した部品EC1は、不図示の吸着ノズルによって吸着され、取り除かれる。なお、詰まっていた部品EC1は、寸法誤差が大きかったり、形状に不備があったりすることが想定されるため、廃棄に回すことが望ましい。
【0045】
このように、本実施形態の部品収納ケース10によれば、部品EC1の詰りが検出されたときに、自動で詰まりを解消し、通常動作に復帰することができる。
【0046】
[効果]
本実施形態の部品収納ケース10は、供給通路30を形成する内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げる隙間形成機構として機能する詰まり解除ボタン23を備える。これにより、供給通路30における部品EC1の詰りを解消することができる。
【0047】
詰まり解除ボタン23は、部品収納ケース10の外部に露出しているので、部品収納ケース10の外側から操作することができ、部品EC1の詰りを解消することができる。
【0048】
詰まり解除ボタン23は、部品収納ケース10の側壁12の外壁面12aよりも外側に突出しているため、マウンタなどの外部機器が備えたボタン操作機構によって操作することができる。
【0049】
詰まり解除ボタン23は、供給通路30を隔てて、接着部16の反対側に位置しているので、接着部16を支点として蓋板20をその弾性によって撓ませ、内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げることができる。
【0050】
蓋板20は、詰まり解除ボタン23の近傍に貫通穴24を備えているので、蓋板20を撓み易くし、容易に内面20aと閉塞面15aとの間隔を拡げることができる。
【0051】
(第2実施形態)
つぎに、図10から図13を参照して、第2実施形態について説明する。図10は第2実施形態における供給通路30の周辺を示す拡大図である。図11は第2実施形態における牽引シャフト250の斜視図である。図12は第2実施形態における第2歯車213の右側面図である。図13は第2実施形態において、図5におけるA-A線に相当する位置における断面図である。なお、第1実施形態と共通する構成要素には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
第1実施形態は、詰まり解除ボタン23を操作して供給通路30における部品EC1の詰りを解消した。第2実施形態では、詰まり解除ボタン23に代えて、牽引シャフト250を用いる。牽引シャフト25は、蓋板220を肉厚部215から遠ざける側に牽引する牽引部材に相当する。牽引シャフト250は、外部機器に設置されており、蓋板220を、内面220aと閉塞面15aとの間隔を拡げるように牽引する。
【0053】
第2実施形態における蓋板220は、第1実施例と同様に貫通穴24を備えているが、第1実施例と異なり詰まり解除ボタン23を備えていない。この貫通穴24は、第1実施形態と同様に、剛性低下部として機能するとともに、貫通穴24の周囲は、牽引シャフト250が係合される被係合部として機能する。
【0054】
図11を参照すると、牽引シャフト250は、シャフト本体250aと、このシャフト本体250aの先端部に設けられた係合部250b備える。係合部250bは、長軸寸法をaとし、短軸寸法をb(a>b)とする楕円形状を備えている。シャフト本体250aは、係合部250bの中心点から長軸に沿う方向にオフセットさせて係合部250bに接続されている。牽引シャフト250は、シャフト本体250aが回転することで、長軸の向きが変化する。係合部250bは、図10に示すように、貫通穴24に挿入される。係合部250bは、貫通穴24に挿入されるとき、長軸が貫通穴24の長手方向に概ね一致する方向と一致する状態とされる。係合部250bが貫通穴24に挿入された後、シャフト本体250aを回転させ、長軸が貫通穴24の長手方向と交差する状態とする。これにより、係合部250bが貫通穴24の周辺に係合することができる。
【0055】
ここで、図12を参照して、第2実施形態における第2歯車213について説明する。第2歯車213は、第1実施形態の第2歯車113と同様に配置円113a1に沿って配置された永久磁石113aを備える。第2歯車213は、隣接する永久磁石113aの間に牽引シャフト250が挿通する挿通孔213aが設けられている。これにより、第2歯車213を隔てて、蓋板220の反対側に待機させておいた牽引シャフト250を、挿通孔213aを通じて、蓋板220に到達させることができる。
【0056】
このような第2実施形態における詰まりを解消する動作について、図13を参照して説明する。マウンタは、詰まりが検出されたときに、挿通孔213aの一つが待機中の牽引シャフト250の位置と一致するように第2歯車213を停止させる。第2歯車213が停止したら、牽引シャフト250を前進させる。牽引シャフト250は、係合部250bが挿通孔213a及び貫通穴24を通過する位置まで前進する。そして、牽引シャフト250を回転させる。これにより、係合部250bの状態を図10において点線で描いた状態から実線で描いた状態とする。その後、牽引シャフト250を矢示1fの方向に後退させる。これにより、蓋板220がその弾性によって、接着部16を支点として撓む。この結果、蓋板220の内面220aと閉塞面15aとの間隔が拡がる。これにより、供給通路30内で生じていた部品EC1の詰まりが解消される。
【0057】
その後、牽引シャフト250を、矢示1fとは班端側に僅かに前進させ、牽引シャフト250を回転させる。これにより、係合部250bを図10において点線で描かれた状態として、蓋板220との係合を解除する。係合が解除された牽引シャフト250は、待機位置まで戻される。
【0058】
マウンタは、牽引シャフト250を待機位置まで戻した後、第2歯車213を回転させて、詰まっていた部品EC1を取出口21aまで移動させる。取出口21aまで移動した部品EC1は、不図示の吸着ノズルによって吸着され、取り除かれる。
【0059】
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、部品EC1の詰りを解消することができる。
【0060】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0061】
10…部品収納ケース、11…ケース本体、11a1,11a2,11a3,11a4…外周壁、12…側壁、12a…外壁面、13…内周壁、13a…ガイド面、14…収納室、15,215…肉厚部(閉塞部)、15a…閉塞面、15b…貫通孔、16…接着部、20,220…蓋板、20a,220a…内面、21…円弧溝、21a…取出口、22…接着リブ、23…詰り解除ボタン、24…貫通穴、供給通路…30、100…バルクフィーダ、110…フィーダ本体、111…駆動部、112…第1歯車、112a…回転軸部、112b…駆動モータ、113,213…第2歯車、113a…永久磁石、113a1…配置円、113b…回転軸部、113c…軸受部、120…結合ガイド部、150…押し込みピン、213a…挿通孔、250…牽引シャフト、250a…シャフト本体、250b…係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13