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特開2024-159084プログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置
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  • 特開-プログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159084
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】プログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241031BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G08G1/00 X
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074845
(22)【出願日】2023-04-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501493358
【氏名又は名称】株式会社セック
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲也
【テーマコード(参考)】
3F022
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3F022LL07
3F022MM04
5H181AA27
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL09
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG06
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】移動体の種類に関わらず、当該移動体が円滑に移動可能な大域経路を探索することができるプログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プログラムは、移動体10を現在の第1地点Aから、目標到達点となる第2地点Bまで移動させる制御を制御装置3に実行させるプログラムである。このプログラムは、第1地点Aでの移動体10の進行方向を規制する第1規制部1と、第2地点Bに対する移動体10の進入方向を規制する第2規制部2とを仮想的に設定する設定工程と、第1地点Aおよび第2地点Bを含む地図に関する地図情報332と、第1規制部1と、第2規制部2とに基づいて、第1地点Aから第2地点Bまで移動体10が移動する大域経路GRを探索する探索工程と、制御装置3に実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動する移動体を現在の第1地点から、目標到達点となる第2地点まで移動させる制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1地点での前記移動体の進行方向を規制する第1規制部と、前記第2地点に対する前記移動体の進入方向を規制する第2規制部とを仮想的に設定する設定工程と、
前記第1地点および前記第2地点を含む地図に関する地図情報と、前記第1規制部と、前記第2規制部とに基づいて、前記第1地点から前記第2地点まで前記移動体が移動する大域経路を探索する探索工程と、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記移動体が前記第2地点に到達するまで、前記第1地点が変化するごとに、または、所定時間が経過するごとに、前記設定工程と前記探索工程とを繰り返して前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記設定工程では、前記第1規制部として、前記移動体を囲み、該移動体の正面方向に向かってに開口する第1開口部を有する第1壁部を設定することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1壁部の形状および大きさのうちの少なくとも一方を変更可能とすることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1開口部の大きさを変更可能とすることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記設定工程では、前記第2規制部として、前記第2地点を囲み、該第2地点に対する前記移動体の進入が可能な方向と反対方向に向かって開口した第2開口部を有する第2壁部を設定することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第2壁部の形状および大きさのうちの少なくとも一方を変更可能とすることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第2開口部の大きさを変更可能とすることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記移動体が前記大域経路を移動するときの前記移動体の速度を演算する演算工程を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記移動体は、障害物を検出する検出部を備えるものであり、
前記探索工程では、前記検出部での検出結果と、前記地図情報と、前記第1規制部と、前記第2規制部とに基づいて、前記大域経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
自律移動する移動体を現在の第1地点から、目標到達点となる第2地点まで移動させる制御を行う方法であって、
前記第1地点での前記移動体の進行方向を規制する第1規制部と、前記第2地点に対する前記移動体の進入方向を規制する第2規制部とを仮想的に設定する設定工程と、
前記第1地点および前記第2地点を含む地図に関する地図情報と、前記第1規制部と、前記第2規制部とに基づいて、前記第1地点から前記第2地点まで前記移動体が移動する大域経路を探索する探索工程と、を有することを特徴とする移動体の制御方法。
【請求項12】
自律移動する移動体を現在の第1地点から、目標到達点となる第2地点まで移動させる制御を行う装置であって、
前記第1地点での前記移動体の進行方向を規制する第1規制部と、前記第2地点に対する前記移動体の進入方向を規制する第2規制部とを仮想的に設定する設定工程と、
前記第1地点および前記第2地点を含む地図に関する地図情報と、前記第1規制部と、前記第2規制部とに基づいて、前記第1地点から前記第2地点まで前記移動体が移動する大域経路を探索する探索工程と、を実行することを特徴とする移動体の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイクストラ法やA*アルゴリズム等のアルゴリズムは、与えられた環境地図において、移動経路を求めるアルゴリズムであり、自律走行ロボットの移動制御に用いられる。このアルゴリズムにより、自律走行ロボットを、例えば現在位置から、障害物等を回避して、ゴールとなる任意の目標位置に到達可能な経路を探索することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、経路探索では、例えば、自律走行ロボットの現在の姿勢角や、目標位置での自律走行ロボットの姿勢角を考慮していない場合、下記のような問題が生じる。例えば自律走行ロボットの後方に目標位置が設定された場合には、自律走行ロボットの現在位置から目標位置に向かって、例えば最短距離となる大域経路が探索される。その際、自律走行ロボットは、超信地旋回可能であれば、現在位置で超信地旋回を行って、目標位置に向かう姿勢角を維持しつつ、走行する。これにより、自律走行ロボットは、大域経路に沿って走行して、目標位置に到達することができる。これに対し、自律走行ロボットが超信地旋回不可の場合は、自律走行ロボットの後方に伸びる大域経路に沿って自律走行ロボットを走行させたり、その走行時の走行速度を求めたりすることが困難であった。また、目標位置での姿勢角が、現在位置から見て手前側を向かせるような目標姿勢角である場合、自律走行ロボットは、超信地旋回可能であれば、大域経路に沿って走行して目標位置に到達した後に、超信地旋回を行うことにより、目標姿勢角に合わせることができる。これに対し、自律走行ロボットが超信地旋回不可の場合は、目標位置に到達したとしても、その後、目標姿勢角に合わせることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、移動体の種類に関わらず、当該移動体が円滑に移動可能な大域経路を探索することができるプログラム、移動体の制御方法および移動体の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、自律移動する移動体を現在の第1地点から、目標到達点となる第2地点まで移動させる制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第1地点での前記移動体の進行方向を規制する第1規制部と、前記第2地点に対する前記移動体の進入方向を規制する第2規制部とを仮想的に設定する設定工程と、前記第1地点および前記第2地点を含む地図に関する地図情報と、前記第1規制部と、前記第2規制部とに基づいて、前記第1地点から前記第2地点まで前記移動体が移動する大域経路を探索する探索工程と、前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体の種類に関わらず、当該移動体が円滑に移動可能な大域経路を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】移動体の移動状態を示す平面図である。
図2図1に示す移動体のブロック図である。
図3】移動体を移動させる制御プログラムを示すフローチャートである。
図4】第1規制部の第1変形例を示す図である。
図5】第1規制部の第2変形例を示す図である。
図6】第2規制部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態や変形例について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態や変形例に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態や変形例に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、実施形態や変形例のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図3を参照して、第1実施形態について説明する。図1は、移動体の移動状態を示す平面図である。図2は、図1に示す移動体のブロック図である。図1に示すように、移動体10は、XY平面上で、現在の第1地点Aから、目標到達点となる第2地点Bまで自律移動(自律走行)可能な移動体である。この移動体10は、例えば、AGV(Automated Guided Vehicle)であり、物流倉庫の搬送台車として用いられる。なお、図1では、移動体10が第2地点Bに到達するまで、移動体10に移動に伴って第1地点Aが経時的に変化している。そして、任意の時間での現在の第1地点Aが第1地点A1、第1地点A2、第1地点A3、第1地点A4、第1地点A5の順に図示されている。また、第1地点A1~第1地点A5での移動体10の姿勢も図示されている。第1地点A1~第1地点A5では、一例として、移動体10の任意の中心を決定して、当該中心と各第1地点Aとが重なった状態となっている。
【0011】
図2に示すように、移動体10は、移動体10を制御する制御装置(移動体の制御装置)3と、移動体10を移動させる移動機構部4と、障害物を検出する検出部5とを備える。制御装置3は、情報処理装置としてのコンピュータであり、大域経路探索部31、狭域経路探索部32、記憶部33を有する。大域経路探索部31は、第1地点Aおよび第2地点Bを含む地図に関する地図情報332と、後述する第1規制部1および第2規制部2とに基づいて、第1地点Aから第2地点Bまで移動体10が移動する大域経路(走行経路)GRを算出する、すなわち、探索することができる(探索工程)。大域経路GRの探索する方法としては、特に限定されず、例えば、ダイクストラ法やA*アルゴリズム等のアルゴリズムを用いる方法が挙げられる。狭域経路探索部32は、移動体10が大域経路GRを移動するときの移動体10の速度を演算する、大域経路探索部31が検索した大域経路GRに沿って移動体10を走行させるための移動機構部4の作動条件を算出する(演算工程)。「移動機構部4の作動条件」とは、例えば、後述する移動機構部4の各ホイールにおける並進速度と回転速度との組み合わせである速度条件のことである。なお、制御装置3では、例えばCPUが、大域経路探索部31として機能するとともに、狭域経路探索部32として機能する。また、大域経路GRの探索の実行周期と、移動体10の速度演算の実行周期とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。大域経路GRの探索の実行周期と、移動体10の速度演算の実行周期とが異なっている場合には、例えば、大域経路GRの探索を1秒に1回に実行し、移動体10の速度演算を1秒に5回に実行することができる。
【0012】
記憶部33には、プログラム331と、地図情報332とが記憶される。プログラム331は、移動体10を第1地点Aから第2地点Bまで移動させる制御(移動体の制御方法)を制御装置3のCPUに実行させる制御プログラムである。なお、制御装置3では、例えば記憶部33が主記憶装置、補助記憶装置を有し、移動体10を第1地点Aから第2地点Bまで移動させる制御を実行する際に、補助記憶装置に記憶されたプログラム331が主記憶装置にロードされて、CPUによって実行される。地図情報332は、移動体10が例えばAGVであり、物流倉庫の搬送台車として用いられる場合には、物流倉庫内の物の配置やどこに壁があるか等の環境地図に関する地図情報である。なお、地図情報332には、第1地点Aおよび第2地点Bも含まれている。また、地図情報332は、例えば、予めROM等に記憶されて組み込まれたものであってもよいし、サーバ等の外部装置から取得された(ダウンロードされた)ものであってもよいし、制御装置3でSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等を用いて生成されたものであってもよい。このように地図情報332の取得方法については、特に限定されない。また、制御装置3では、移動体10の自己位置推定を行うことができる。自己位置推定は、例えば、GPSからの情報に基づいて行われてもよいし、地図情報332に基づいて行われてもよい。このように自己位置推定方法については、特に限定されない。また、制御装置3は、図2に示す構成では移動体10に内蔵されているが、これに限定されず、例えば、移動体10と通信可能に接続されるサーバ等の外部装置であってもよい。
【0013】
制御装置3は、移動機構部4および検出部5の作動を制御する。移動機構部4は、移動体10を移動させるものである。移動機構部4の構成としては、特に限定されず、例えば、移動体10の本体の下部に設けられた複数のホイールと、各ホイールを回転駆動させる複数のモータとを有する構成とすることができる。移動体10は、複数のモータが各ホイールの回転速度を制御することにより、任意の速度で、かつ、任意の方向に移動することができる。検出部5は、障害物等を検出するものであり、例えば、距離センサや接触センサ等で構成される。そして、大域経路探索部31は、地図情報332、第1規制部1、第2規制部2の他に、さらに検出部5での検出結果を追加して、これらに基づいて、大域経路GRを探索することができる。これにより、障害物を回避した大域経路GRを探索することができる。
【0014】
移動体10は、前述したように移動機構部4の各ホイールが回転することにより移動可能であるが、移動機構部4の構成によっては、超信地旋回が可能であったり、超信地旋回が不可能であったりする。一方、大域経路探索部31は、移動体10が超信地旋回可能であるか否かに関わらず、地図情報332に基づいて、第1地点A(第1地点A1)から第2地点Bまで移動体10が移動する大域経路として、最短経路となる大域経路GR’を探索することとなる。しかしながら、移動体10は、超信地旋回が不可能な場合、第1地点A1で図1に示す姿勢となっているならば、大域経路GR’に沿った移動は不可能である。
【0015】
そこで、移動体10(プログラム331)は、移動体10が超信地旋回可能であるか否かに関わらず、すなわち、移動体10の種類に関わらず、当該移動体10が円滑に移動可能な大域経路GRを探索可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。ここでは一例として、図1に示すように、移動体10は、スタート地点である第1地点A1からゴール地点(目標地点)である第2地点Bまで移動することとする。なお、移動体10は、超信地旋回が不可能なものとする。前述したように、図1では、移動体10が第2地点Bに到達するまで、移動体10に移動に伴って第1地点Aが経時的に第1地点A1~第1地点A5の順に変化する。スタート地点である第1地点A1での移動体10の姿勢は、移動体10の正面が図1中の左斜め下側を向いている。また、ゴール地点である第2地点Bでの移動体10の姿勢も、移動体10の正面が図1中の左斜め下側を向くこととする。
【0016】
図3は、移動体を移動させる制御プログラムを示すフローチャートである。図3に示すように、ステップS301では、制御装置3は、第1地点A1での移動体10の進行方向(姿勢角)を規制する第1規制部1と、第2地点Bに対する移動体10の進入方向(姿勢角)を規制する第2規制部2とを仮想的に設定する(設定工程)。なお、第1規制部1と第2規制部2とに関する情報は、予め記憶部33に記憶されていたり、プログラム331に組み込まれていたりする。そして、これらの情報は、ステップS301を実行する際に呼び出されて、地図情報332に一時的に書き加えられる。前述したように、第1地点A1での移動体10の姿勢は、移動体10の正面が図1中の左斜め下側を向いている。また、移動体10は、超信地旋回が不可能である。従って、第1規制部1は、第1地点A1での移動体10の進行方向を図1中の左斜め下側に向かわせるものとなる。第1規制部1としては、特に限定されないが、例えば本実施形態では、移動体10を囲む第1壁部11が設定される。第1壁部11には、移動体10の正面方向に向かって開口する第1開口部12が形成されている。また、第1壁部11は、移動体10の側面に対向する2つの側壁部13と、移動体10の背面に対向する1つの背面壁部14とを有する。2つの側壁部13の間に第1開口部12が形成される。なお、側壁部13の全長L13、第1開口部12の幅W12(2つの側壁部13の離間距離)等については、移動体10の全長や幅、移動体10の最小旋回半径等に基づいて決定される。また、第1規制部1は、移動体10が移動しても、当該移動体10に追従して設定される。
【0017】
前述したように、第2地点Bでの移動体10の姿勢は、移動体10の正面が図1中の左斜め下側を向くことになっている。従って、第2規制部2は、第2地点Bに対する移動体10の進入方向を図1中の左斜め下側に向かわせるものとなる。第2規制部2としては、特に限定されないが、例えば本実施形態では、第2地点Bを囲む第2壁部21が設定される。第2壁部21には、第2地点Bに対する移動体10の進入が可能な方向と反対方向、すなわち、図1中の右斜め上側に向かって開口した第2開口部22が形成されている。また、第2壁部21は、第2地点Bに移動体10が進入した際、当該移動体10の側面に対向する2つの側壁部23と、移動体10の背面に対向する1つの背面壁部24とを有する。2つの側壁部23の間に第2開口部22が形成される。なお、側壁部23の全長L23、第2開口部22の幅W22(2つの側壁部23の離間距離)等については、移動体10の全長や幅、移動体10の最小旋回半径等に基づいて決定される。また、第2規制部2は、移動体10が移動の有無に関わらず、当該移動体10が第2地点Bに到達するまで設定され続ける。
【0018】
図3に示すように、ステップS302では、制御装置3(大域経路探索部31)は、地図情報332と、第1地点A1での第1規制部1と、第2規制部2とに基づいて、第1地点A1から第2地点Bまで移動体10が移動する大域経路GRを探索する(探索工程)。また、この探索に伴って、制御装置3(狭域経路探索部32)は、移動体10が大域経路GRを移動するときの移動体10の速度を演算する(演算工程)。なお、本実施形態では、探索工程と演算工程とを1つのステップで実行しているが、これに限定されず、異なるステップで実行することもできる。
【0019】
ステップS303では、制御装置3は、移動機構部4を制御して、探索工程で検索された大域経路GR上を、演算工程で演算された移動体10の速度で移動体10を移動させる。
【0020】
ステップS304では、制御装置3は、移動体10がゴール地点(目標地点)である第2地点Bに到達したか否かを判断する。例えばステップS304では、移動体10の任意の中心を決定して、当該中心と第2地点Bとが重なった状態となった場合に、移動体10が第2地点Bに到達したと判断される。そして、ステップS304での判断の結果、移動体10が第2地点Bに到達したと判断された場合には、処理は終了する。一方、ステップS304での判断の結果、移動体10が第2地点Bに到達していないと判断された場合には、処理はステップS301に戻り、それ以降の処理を順次実行する。
【0021】
例えば処理がステップS301に戻った場合、当該ステップS301では、制御装置3は、第1地点A2での移動体10の進行方向を規制する第1規制部1を仮想的に設定する。なお、第2規制部2については、前回のステップS301と同様に設定される。図1に示すように、第1地点A2での移動体10の姿勢は、移動体10の正面が図1中の右斜め上側を向いている。従って、第1地点A2での第1規制部1は、第1地点A2での移動体10の進行方向を図1中の右斜め上側に向かわせるものとなる。なお、第1地点A2での第1規制部1は、その姿勢が第1地点A1での第1規制部1の姿勢と異なること以外は、第1地点A1での第1規制部1と同じ構成である。
【0022】
ステップS302では、制御装置3は、地図情報332と、第1地点A2での第1規制部1と、第2規制部2とに基づいて、第1地点A2から第2地点Bまで移動体10が移動する大域経路GRを探索するとともに、移動体10の速度を演算する。このように大域経路GRおよび移動体10の速度は、ステップS302が実行されるごとに更新される。
【0023】
ステップS303では、制御装置3は、移動機構部4を制御して、ステップS302で取得された大域経路GRと移動体10の速度とに基づいて、移動体10を移動させる。
【0024】
ステップS304では、制御装置3は、移動体10が第2地点Bに到達したか否かを判断する。ステップS304での判断の結果、移動体10が第2地点Bに到達していないと判断された場合には、処理はステップS301に戻り、それ以降の処理を順次実行する。この場合、第1地点A3~第1地点A5でも、第1地点A1や第2地点A2での処理と同様の処理が実行される。このように制御装置3は、移動体10が第2地点Bに到達するまで、第1地点Aが変化するごとに、ステップS301~ステップS304を繰り返して実行する。なお、ステップS301~ステップS303を繰り返す処理は、第1地点Aが変化するごとに実行されるのに限定されず、所定時間が経過するごと(例えば1秒~5秒ごと)に実行されてもよい。
【0025】
このような制御により、超信地旋回が不可能な移動体10であっても、当該移動体10が円滑に移動可能な大域経路GRを探索することができる。なお、プログラム331で制御される移動体10としては、本実施形態では超信地旋回が不可能なものであるが、これに限定されず、超信地旋回可能なものであってもよい。以上のように、移動体10が超信地旋回可能であるか否かに関わらず、すなわち、移動体10の種類に関わらず、第1規制部1および第2規制部2を仮想的に設定するという簡単な構成で、第2地点Bまでの大域経路GRを円滑に探索することができる。また、移動体10の経由地点等の情報の追加を省略することができる。また、第1地点Aと第2地点Bとの位置関係や、第1規制部1と第2規制部2との大小関係にもよるが、第1規制部1と第2規制部2とが干渉してもよい。また、第1規制部1と第2規制部2とは、移動体10が第2地点Bに到達した後消失してもよい。
【0026】
<第1規制部の第1変形例>
以下、図4を参照して、第1規制部の第1変形例ついて説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。図4は、第1規制部の第1変形例を示す図である。図4に示すように、第1規制部1については、第1壁部11の形状および大きさのうちの少なくとも一方を変更することができるとともに、第1開口部12の大きさも変更することができる。具体的には、側壁部13の全長L13、第1開口部12の幅W12を、移動体10の全長や幅、移動体10の最小旋回半径等に応じて変更することができる。例えば、最小旋回半径が比較的大きい、すなわち、小回りが利かない移動体10の場合には、全長L13をより長く設定したり、幅W12をより小さく設定したりすることができる。なお、全長L13、幅W12の変更は、例えば、プログラム331の実行前に、当該プログラム331上で予め行われていてもよいし、変更操作画面上で行われてもよい。
【0027】
<第1規制部の第2変形例>
以下、図5を参照して、第1規制部の第2変形例について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。図5は、第1規制部の第2変形例を示す図である。図5に示すように、移動体10は、牽引車101と、牽引車101によって牽引される被牽引車102とで構成されている。このような移動体10の場合には、特に側壁部13の全長L13を、移動体10の全長や移動体10の最小旋回半径等に応じて変更するのが好ましい。
【0028】
<第2規制部の変形例>
以下、図6を参照して、第2規制部の変形例について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。図6は、第2規制部の変形例を示す図である。図6に示すように、第2規制部2については、第2壁部21の形状および大きさのうちの少なくとも一方を変更することができるとともに、第2開口部22の大きさも変更することができる。具体的には、側壁部23の全長L23、第2開口部22の幅W22を、移動体10の全長や幅、移動体10の最小旋回半径等に応じて変更することができる。例えば、最小旋回半径が比較的大きい、すなわち、小回りが利かない移動体10の場合には、全長L23をより長く設定したり、幅W22をより小さく設定したりすることができる。なお、全長L23、幅W22の変更は、例えば、プログラム331の実行前に、当該プログラム331上で予め行われていてもよいし、変更操作画面上で行われてもよい。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1規制部
2 第2規制部
3 制御装置(移動体の制御装置)
10 移動体
331 プログラム
332 地図情報
A 第1地点
B 第2地点
GR 大域経路(走行経路)
S301~S304 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6