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特開2024-159086中継装置、通信端末情報管理方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159086
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】中継装置、通信端末情報管理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/58 20220101AFI20241031BHJP
【FI】
H04L61/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074848
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 美波
(72)【発明者】
【氏名】八木 敬太
(72)【発明者】
【氏名】西原 友美
(72)【発明者】
【氏名】西浦 誠志郎
(57)【要約】
【課題】効率の良い通信を維持しつつ、アドレス変換テーブルを効率的に運用する中継装置を提供する。
【解決手段】中継装置102は、通信端末との間で通信を行う第1通信部201と、任意の通信装置との間で通信を行う第2通信部203と、時刻情報を提供する計時部205と、第1通信部201が受信した通信端末の送信元MACアドレスおよび送信元IPアドレス、ならびに、当該通信端末と接続を開始したタイミングで提供された時刻情報である記憶開始時刻を通信端末ごとに紐付けた通信端末情報を記憶するアドレス変換テーブルを備える記憶部206と、通信データに含まれる送信元MACアドレスを、アドレス変換テーブルに基づいて変換する変換部202と、通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定し、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末の死活の判定を行う判定部204と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の通信端末と有線通信を介して接続され、無線ネットワークとの間を中継する中継装置であって、
前記通信端末との間で通信データの授受を行う第1通信部と、
前記無線ネットワークを介して任意の通信装置との間で通信データの授受を行う第2通信部と、
時刻情報を提供する計時部と、
前記第1通信部が受信した通信端末の送信元MACアドレスおよび送信元IPアドレス、ならびに、当該通信端末と接続を開始したタイミングで提供される時刻情報である記憶開始時刻を通信端末ごとに紐付けた通信端末情報を記憶するアドレス変換テーブルを備える記憶部と、
前記第1通信部または前記第2通信部が受信した通信データに含まれる送信元MACアドレスを、前記アドレス変換テーブルに基づいて変換する変換部と、
前記アドレス変換テーブルに記憶された前記通信端末情報について、前記通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定し、前記第1の所定時間が経過したと判定した前記通信端末情報に対応する前記通信端末の死活の判定を行う判定部と、
を備え、
前記記憶部は、前記死活の判定により通信できないと判定された前記通信端末の前記通信端末情報を前記アドレス変換テーブルから削除する、
中継装置。
【請求項2】
前記判定部は、さらに、
前記第1の所定時間が経過したと判定した前記通信端末情報に対応する前記通信端末を特定し、
当該特定された通信端末に機器確認フレームを送信するよう前記第1通信部に通知し、
前記第1通信部から当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを第2の所定時間内に受信できたか否かの通知を受けることで前記通信端末の死活の判定を行う、
請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記判定部は、さらに、
前記第1通信部を介して、前記アドレス変換テーブルに記憶されていない前記通信端末からの通信データを受信した場合、新たな通信端末情報を記憶するとすれば、前記アドレス変換テーブルの記憶容量が記憶部における最大記憶容量以上になるか否かを判定し、
最大記憶容量以上になると判定した場合は、前記アドレス変換テーブルに記憶された少なくとも一部の前記通信端末情報に対応する通信端末に対し機器確認フレームを送信するよう第1通信部に通知し、
前記第1通信部から当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを受信できたか否かの通知を受けることで前記通信端末の死活の判定を行う、
請求項1に記載の中継装置。
【請求項4】
1または複数の通信端末と有線通信を介して接続され、無線ネットワークとの間を中継する中継装置における通信端末情報管理方法であって、
前記通信端末から受信する通信データが備える通信データアドレス情報のMACアドレスおよびIPアドレスの情報を、当該通信端末と接続を開始したタイミングを示す記憶開始時刻と通信端末ごとに紐付けて、通信端末情報としてアドレス変換テーブルに記憶するステップと、
前記アドレス変換テーブルに記憶された前記通信端末情報について、前記通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定するステップと、
前記第1の所定時間が経過したと判定した前記通信端末情報に対応する前記通信端末の死活を判定するステップと、
前記判定部の前記死活の判定により通信できないと判定された前記通信端末の前記通信端末情報を前記アドレス変換テーブルから削除するステップと、
を含む、通信端末情報管理方法。
【請求項5】
前記アドレス変換テーブルに記憶されていない前記通信端末からの通信データを受信した場合、新たな通信端末情報を記憶するとすれば、前記アドレス変換テーブルの記憶容量が記憶部における最大記憶容量以上になるか否かを判定するステップと、
最大記憶容量以上になると判定した場合は、前記アドレス変換テーブルに記憶された少なくとも一部の前記通信端末情報に対応する通信端末に対し機器確認フレームを送信するステップと、
当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを受信できたか否かの通知を受けることで前記通信端末の死活の判定を行うステップと、をさらに含む、
請求項4に記載の通信端末情報管理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の通信端末情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、通信端末情報管理方法、および、そのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信プロトコル等を変換しながら有線インタフェースと、無線インタフェースとの間の通信を中継する中継装置が知られている。中継装置は、例えばユーザが使用する通信端末が有線基地局装置等のネットワーク機器を介して接続されるサーバ装置等に送信する通信データを中継する。この様な中継装置は、有線インタフェース側に接続されている機器(例えば通信端末等)から受信した通信データの宛先に係るフィールドを中継装置が取得し、当該取得したフィールドに含まれる送信元のMAC(Media Access Control)アドレスを自機のMACアドレスに書き換え、無線インタフェースから無線通信リンク経由で基地局装置(例えばアクセスポイント等)に通信データを送信する。中継装置は、通信端末のMACアドレスと、通信端末に設定されたIP(Internet Protocol)アドレスとを対にした情報(以下、通信端末情報とも呼ぶ)を対応情報テーブル(以下、アドレス変換テーブルとも呼ぶ)上に記憶し、基地局装置から通信端末が備えるIPアドレスを宛先とする通信データを受信した場合においても、中継装置は当該受信したIPアドレスと対になるMACアドレスを特定することができ、その結果中継装置に接続されている通信端末に通信データを送信することができる。特許文献1にはこのようなアドレス変換を行う中継装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-051531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、中継装置は、自装置が備える記憶装置(例えばメモリー)の容量が潤沢でない場合、前述のアドレス変換テーブルに通信端末情報を記憶できる数には限度がある(上限がある)。そこで、アドレス変換テーブルを効率的に運用するために、所定の時間(以下、第1の所定時間と言う)が経過後、通信が行われていない通信端末に係る機器情報を削除する(揮発させる)ことによって、適切に通信端末情報を管理することで、通信端末情報を保存する領域を適切に確保したい場合がある。このため、中継装置のアドレス変換テーブルにおいて、通信端末情報を記憶する期間(本実施の形態の第1の所定時間に相当する)が経過した後、通信端末から中継装置に通信が行われた場合、中継装置は通信端末情報を再度記憶する必要があり、通信が遅延し得る問題がある。また、第1の所定時間が経過後、基地局装置に接続された機器(例えばサーバ装置等)から通信端末に向けて通信を開始する場合、中継装置はアドレス変換テーブルに変換対象となる通信端末情報が存在しないため、通信データを通信端末に送信することができず、前述と同じく通信が遅延し得る問題があり、効率の良い通信ができない。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は効率の良い通信を維持しつつ、アドレス変換テーブルを効率的に運用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る中継装置は、1または複数の通信端末と有線通信を介して接続され、無線ネットワークとの間を中継する中継装置であって、通信端末との間で通信データの授受を行う第1通信部と、無線ネットワークを介して任意の通信装置との間で通信データの授受を行う第2通信部と、時刻情報を提供する計時部と、第1通信部が受信した通信端末の送信元MACアドレスおよび送信元IPアドレス、ならびに、当該通信端末と接続を開始したタイミングで提供される時刻情報である記憶開始時刻を通信端末ごとに紐付けた通信端末情報を記憶するアドレス変換テーブルを備える記憶部と、第1通信部または第2通信部が受信した通信データに含まれる送信元MACアドレスを、アドレス変換テーブルに基づいて変換する変換部と、アドレス変換テーブルに記憶された通信端末情報について、通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定し、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末の死活の判定を行う判定部と、を備え、記憶部は、死活の判定により通信できないと判定された通信端末の通信端末情報をアドレス変換テーブルから削除する。
【0007】
これによれば、中継装置は、アドレス変換テーブルに記憶された通信端末情報について、通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定し、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末の死活の判定を行うことで、死活の判定により通信できないと判定された通信端末のみの通信端末情報をアドレス変換テーブルから削除することができ、自装置が備える記憶装置の容量を有効的に活用しつつ、通信を維持する必要がある通信端末の通信端末情報までもアドレス変換テーブルから一律に削除されることにより生じ得る通信遅延を抑制できる。
【0008】
また、判定部は、さらに、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末を特定し、当該特定された通信端末に機器確認フレームを送信するよう第1通信部に通知し、第1通信部から当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを第2の所定時間内に受信できたか否かの通知を受けることで通信端末の死活の判定を行う。
【0009】
これによれば、中継装置は、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末を特定し、当該特定された通信端末に機器確認フレームを送信し、当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを第2の所定時間内に受信できたか否かの通知を受けることで通信端末の死活の判定ができ、アドレス変換テーブル通信を維持する必要がある通信端末を具体的に知ることができる。
【0010】
また、判定部は、さらに、第1通信部を介して、アドレス変換テーブルに記憶されていない通信端末からの通信データを受信した場合、新たな通信端末情報を記憶するとすれば、アドレス変換テーブルの記憶容量が記憶部における最大記憶容量以上になるか否かを判定し、 最大記憶容量以上になると判定した場合は、アドレス変換テーブルに記憶された少なくとも一部の通信端末情報に対応する通信端末に対し機器確認フレームを送信するよう第1通信部に通知し、第1通信部から当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを受信できたか否かの通知を受けることで前記通信端末の死活の判定を行う。
【0011】
これによれば、中継装置は、アドレス変換テーブルに記憶されていない通信端末からの通信データを受信した場合、新たな通信端末情報を記憶する必要が生じるが、その際アドレス変換テーブルが通信端末情報を記憶できる最大記憶容量以上になるか否かを判定し、最大記憶容量以上になると判定した場合はアドレス変換テーブルに記憶されたすべての通信端末情報に対応する通信端末に対し機器確認フレームを送信する。これにより、中継装置は確認フレームに対する通信端末の応答の有無に基づいてアドレス変換テーブルのいずれの通信端末情報を削除するべきかを判定することができ、アドレス変換テーブルから不要な通信端末情報のみを削除し、新規の通信端末情報を追加することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る通信端末情報管理方法は、1または複数の通信端末と有線通信を介して接続され、無線ネットワークとの間を中継する中継装置における通信端末情報管理方法であって、通信端末から受信する通信データが備える通信データアドレス情報のMACアドレスおよびIPアドレスの情報を、当該通信端末と接続を開始したタイミングを示す記憶開始時刻と通信端末ごとに紐付けて、通信端末情報としてアドレス変換テーブルに記憶するステップと、アドレス変換テーブルに記憶された通信端末情報について、通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定するステップと、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末の死活を判定するステップと、判定部の死活の判定により通信できないと判定された通信端末の通信端末情報をアドレス変換テーブルから削除するステップと、を含む。
【0013】
これによれば、上記中継装置と同様の効果を奏する。
【0014】
また、上記通信端末情報管理方法は、アドレス変換テーブルに記憶されていない通信端末からの通信データを受信した場合、新たな通信端末情報を記憶するとすれば、アドレス変換テーブルの記憶容量が記憶部における最大記憶容量以上になるか否かを判定するステップと、最大記憶容量以上になると判定した場合は、アドレス変換テーブルに記憶された少なくとも一部の通信端末情報に対応する通信端末に対し機器確認フレームを送信するステップと、当該機器確認フレームに対する応答である応答フレームを受信できたか否かの通知を受けることで通信端末の死活の判定を行うステップと、をさらに含む。
【0015】
これによれば、上記中継装置と同様の効果を奏する。
【0016】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、1または複数の通信端末と有線通信を介して接続され、無線ネットワークとの間を中継する中継装置における通信端末情報管理方法であって、通信端末から受信する通信データが備える通信データアドレス情報のMACアドレスおよびIPアドレスの情報を、当該通信端末と接続を開始したタイミングを示す記憶開始時刻と通信端末ごとに紐付けて、通信端末情報としてアドレス変換テーブルに記憶するステップと、アドレス変換テーブルに記憶された通信端末情報について、通信端末情報を記憶しておく第1の所定時間が経過したか否かを判定するステップと、第1の所定時間が経過したと判定した通信端末情報に対応する通信端末の死活を判定するステップと、判定部の死活の判定により通信できないと判定された通信端末の通信端末情報をアドレス変換テーブルから削除するステップとを含む、通信端末情報管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0017】
これによれば、上記中継装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、中継装置は、不要な通信端末情報のみをアドレス変換テーブルから適宜削除することで、自装置が備える記憶装置の容量を有効的に活用しつつ、アドレス変換テーブルから通信を維持する必要がある通信端末の通信端末情報が無作為に削除されることにより生じ得る遅延も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る中継装置が備える各機能の関係を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る中継装置が備えるアドレス変換テーブルの一例を示す。
図4a図4aは、本発明の実施の形態に係る中継装置がアドレスの変換を行う前の通信データフレーム通信データアドレス情報に含まれるアドレス情報の一例を示す。
図4b図4bは、本発明の実施の形態に係る中継装置がアドレスの変換を行った後の通信データフレーム通信データアドレス情報に含まれるアドレス情報の一例を示す。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る中継装置においてアドレス変換テーブルに記憶されている通信端末情報において第1の所定時間が経過した場合における処理を示すシーケンス図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る中継装置においてアドレス変換テーブルに新たに通信端末情報を追加しようとする場合における処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発


明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0021】
(実施の形態)
本実施の形態において、通信を維持したい通信端末の死活の確認を行い、不要となった通信端末に関する情報を記憶装置から削除することで、自装置が備える記憶装置の容量を有効的に活用しつつ、通信が遅延することを抑制できる、中継装置等について説明する。
【0022】
先ず、図1を用いて、本実施の形態に係る通信システム100について説明する。図1は、本実施の形態に係る通信システム100の構成を示す模式図である。図1に示されるように、通信システム100は、通信端末101と、中継装置102と、無線通信リンク103と、基地局装置104と、サーバ装置105と、通信リンク106と、通信リンク107とを備える。通信システム100は、通信端末101とサーバ装置105との間で、中継装置102および基地局装置104を介してデータの授受を行う通信システムである。
【0023】
通信端末101は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3等の有線通信規格に準拠する有線通信インタフェースを備える端末であり、例えばPC(Personal Computer)、MFP(Multi Function Printer)、POS(Point Of Sale)端末や、産業機械(例えばCNC(Computer Numerical Control)機器等)等が通信リンク106を介して中継装置102と接続される。通信端末101は、中継装置102および基地局装置104を介してサーバ装置105との間で通信データ(例えばデータフレーム等)の授受を行う。なお、本実施の形態では、図1に示されるように中継装置102に1台の通信端末101が接続されている様子を図示しているが、これに限定されず、中継装置102には例えばレイヤ2スイッチ等を介して複数の他の通信端末が接続されてもよい。
【0024】
中継装置102は、通信リンク106と無線通信リンク103との間の通信を中継する通信装置である。中継装置102は、IEEE802.3等の有線通信規格に準拠する有線通信インタフェースおよびIEEE802.11ac等の無線通信規格に準拠する無線通信インタフェースを備え、当該2つのインタフェース間を通信プロトコルや通信データの種別を変換することで通信データの授受を行い、通信リンク106と無線通信リンク103との間の通信を中継する。
【0025】
無線通信リンク103は、例えばIEEE802.11ac等の無線通信規格に準拠した無線通信により実現される無線ネットワーク等の無線通信経路である。
【0026】
基地局装置104は、IEEE802.11ac等の無線通信規格に準拠した無線インタフェースを備える通信装置である。基地局装置104は、例えば無線通信リンク103に係る無線通信経路の接続等を管理するアクセスポイント等である。基地局装置104は、無線通信インタフェースおよび有線通信インタフェースを備え、無線通信リンク103と、通信リンク107との間の通信を中継する。なお、基地局装置104は、必ずしも有線通信インタフェースを備える必要はない。
【0027】
サーバ装置105は、例えばWEBサーバやNAS(Network Attached Storage)サーバ等である。サーバ装置は、有線通信インタフェースを備え、通信リンク107を介して基地局装置104と接続される。サーバ装置105は、通信端末101との間で通信データを授受し、HTTP(Hyper Text Transport Protocol)等によるサービスや、記憶領域の提供等のサービスを通信端末101に対して提供する。なお、サーバ装置は、有線通信インタフェースの代わりに無線通信インタフェースを備え、通信リンク107を介して基地局装置104と接続されてもよい。また、本実施の形態では、図1に示されるように、基地局装置104に1台のサーバ装置105が接続されている様子を示しているが、これに限定されず、基地局装置104には例えばレイヤ2スイッチ等を介してサーバ装置105とは異なる複数のサーバ装置が接続されてもよい。
【0028】
通信リンク106は、IEEE802.3等の有線通信規格に準拠した有線ケーブル等による有線通信経路である。通信リンク106は通信端末101および中継装置102を接続する。
【0029】
通信リンク107は、IEEE802.3等の有線通信規格に準拠した有線ケーブル等による有線通信経路である。通信リンク107はサーバ装置105および基地局装置104を接続する。なお、本実施の形態では通信リンク107は、有線通信経路として説明するがこれに限定されず、例えばIEEE802.11ac等の無線通信規格に準拠した無線通信経路により実現されてもよい。
【0030】
次に図2を用いて、本実施の形態に係る中継装置が備える各機能について説明する。図2は、本実施の形態に係る中継装置102の構成を示すブロック図である。
【0031】
図2に示されるように、中継装置102は、第1通信部201と、変換部202と、第2通信部203と、判定部204と、計時部205と、記憶部206とを備える。中継装置102が備える上記各機能は、中継装置102が備えるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶装置(例えば、eMMC(Embedded Multi Media Card)、HDD(Hard Disk Driveや、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置)、および、通信モジュール等のハードウェアにより実現される。具体的には、記憶装置等に格納されたプログラムをCPUが読み出してこれらハードウェアと協調しつつ実行することにより実現される。また、第1通信部201、変換部202、および、第2通信部203の間において行われる通信データの授受は、それぞれの機能部が処理可能な通信プロトコルによる通信データの種別に応じて適宜変換し行われる。
【0032】
第1通信部201は、IEEE802.3規格等に準拠する有線通信インタフェースであり、通信端末101と、中継装置102との間の通信データの授受を行う。第1通信部201は、通信端末101から送信された通信データを受信すると、変換部202に当該受信した通信データを転送する。また、第1通信部201は、変換部202から転送された通信データを通信端末101に送信する。また、第1通信部201は、判定部204(後述する)の通知を基にアドレス変換テーブル300に記憶された通信端末情報に対応する特定またはすべての通信端末101に対して機器確認フレームを送信し、その応答である応答フレームを受信したか否かを判定部204に通知する。
【0033】
変換部202は、通信データに含まれる送信先または送信元アドレスを、アドレス変換テーブル300(後述する)に基づいて適宜書き換える処理(アドレス変換)を行う。具体的には変換部202は、記憶部206が記憶するアドレス変換テーブル300のMACアドレスおよびIPアドレスの対となる通信端末情報に基づき、第1通信部および第2通信部に係る通信に適した宛先を示すアドレスとなるように、送信先アドレスを適宜書き換える。また、変換部202は、通信端末101から受信した通信データが、アドレス変換テーブル300に記憶されていない新規のMACアドレスおよびIPアドレスの一対を含む場合に、当該MACアドレスおよびIPアドレスの一対を新規の通信端末情報としてアドレス変換テーブルに追加する。このように、通信データの送信先アドレスを書き換えることで異なる通信リンクの間で通信データを中継する。変換部202は通信データのアドレスの変換を終えると当該通信データを第2通信部に転送する。なお、アドレス変換の一例の詳細については後述する。
【0034】
第2通信部203は、IEEE802.11ac規格等に準拠する無線通信インタフェースであり、中継装置102と基地局装置104との間で通信データの授受を行う。第2通信部203は、変換部202によりアドレス変換が完了した通信データを受信すると、当該通信データを基地局装置104に送信する。また、第2通信部203は、基地局装置104から通信データを受信すると当該通信データを変換部202に転送する。
【0035】
判定部204は、計時部205が計時する時刻情報を取得し、アドレス変換テーブル300に記憶された複数の識別子それぞれの記憶開始時刻を参照し、通信端末情報を記憶しておく期間(第1の所定時間)が経過したか否かを判定する。判定部204は、第1の所定時間が経過したと判定した場合、当該通信端末情報に対応する通信端末101に対して死活の判定を行うための通信フレームである機器確認フレーム(後述する)を送信するように第1通信部201に通知し、当該通信端末101の死活について判定を行う(詳細は後述する)。なお、第1の所定時間が経過したか否かの判定については、アドレス変換テーブル300に記憶された複数の通信端末101の記憶開始時刻から第1の所定時間が経過したか否かにより判定されてもよいし、計時部が計時している特定の時刻が到来したことを契機に第1の所定時間が経過したと判定してもよい。
【0036】
また、判定部204は、第1通信部201または第2通信部203から受信した通信データに含まれる送信先または送信元アドレスを参照することにより、新たな通信端末101に係る通信端末情報をアドレス変換テーブル300に追加する必要が生じた場合に、アドレス変換テーブル300が通信端末情報を記憶できる最大記憶容量以上になるか否かを判定する。言い換えると、判定部204は、アドレス変換テーブル300の通信端末情報を記憶する領域が飽和状態に達するか否かを判定する。判定部204は、アドレス変換テーブル300が最大記憶容量以上になると判定した場合には、第1通信部201を介してアドレス変換テーブル300に記憶された通信端末情報に対応するすべての通信端末101に対して機器確認フレームを送信し、第1通信部201の通知を基に当該通信端末の死活について判定を行い(後述する)、その判定の結果を記憶部206に通知する。
【0037】
通信端末101に対する死活の確認および判定は、具体的には、判定部204は、アドレス変換テーブル300に記憶されている通信端末情報に基づいて通信端末101を特定し、当該特定した通信端末101に対して第1通信部201を介して機器確認フレームを送信する。通信端末101は、機器確認フレームを受信すると、当該送信された機器確認フレームに対する応答として、応答フレーム(例えばACK(Acknowledgement)通知等)を中継装置102に送信する。第1通信部201は、通信端末101に向けて機器確認フレームを送信後、応答フレームを受信するとこの旨を判定部204に通知する。これにより、判定部204は、中継装置102に通信端末101が接続されていると判定することができる。一方、第1通信部201は、通信端末101に向けて機器確認フレームを送信後、電源が切れている、または、通信経路のどこかで接続が切れている等によって応答フレームが所定の時間(第2の所定時間)を経過しても受信できない場合には、判定部204にその旨(応答フレームを受信していない旨)を通知する。このことから、判定部204は、中継装置102に通信端末101と通信できない(接続されていない)と判定することができる。
【0038】
計時部205は、時刻情報を計時する。計時部205は例えばRTC(Real Time Clock)等により実現され、中継装置102の他の処理部からの要求により計時している時刻情報を提供する。なお、時刻情報は、12時制または24時制に基づく時刻が計時されてもよいし、中継装置102の電源が投入されてから経過した経過時間を計時してもよい。
【0039】
記憶部206は、アドレス変換テーブル300を備える。記憶部206は、第1通信部201が受信した通信データに含まれる通信端末101のMACアドレスと、IPアドレスと、記憶開始時刻とを紐付けた「通信端末情報」をアドレス変換テーブル300に記憶(格納)する。また、判定部204の判定結果(通知)に基づいて、アドレス変換テーブル300の記憶内容のうち、特定の通信端末情報を削除する。
【0040】
次に、図3を用いて、本実施の形態に係る中継装置が備えるアドレス変換テーブルについて説明する。
【0041】
図3は、中継装置102が備えるアドレス変換テーブル300の一例を示す。ここでは、対象とする通信端末が複数台存在する場合であって、そのうち3台分の通信端末情報を明示している。図3に示されるように、アドレス変換テーブル300は、識別子フィールド301と、MACアドレスフィールド302と、IPアドレスフィールド303と、記憶開始時刻フィールド304と、を備える。
【0042】
識別子フィールド301には、MACアドレス、IPアドレス、および、記憶開始時刻をひとまとまり(一対または紐づけた)の情報とした通信端末情報を個々に識別する識別子が記憶されている。当該識別子は、例えば10進数や16進数等の数値、アルファベット等の文字、またはこれら数値および文字の構成により表現され、新規で通信端末情報を記憶する際に逐次任意の識別子を付与する。
【0043】
MACアドレスフィールド302には、中継装置102に接続される通信端末101が備えるMACアドレスが記憶されている。
【0044】
IPアドレスフィールド303には、中継装置102に接続される通信端末101に付与されたIPアドレスが記憶されている。
【0045】
記憶開始時刻フィールド304は、通信端末情報がアドレス変換テーブル300に追加されたタイミング(時点)を示す時刻情報(記憶開始時刻とも呼ぶ)が記憶されている。記憶開始時刻は、中継装置102が備える計時部205により、通信端末情報がアドレス変換テーブル300に追加されたタイミングで計時された時刻である。記憶開始時刻フィールド304に記憶されている時刻情報は、例えば現在時刻、または、中継装置102の電源が投入時から経過した時間が用いられる。
【0046】
このように、図3に示されるアドレス変換テーブル300には、通信端末の送信元MACアドレスおよび送信元IPアドレス、ならびに、当該通信端末と接続を開始したタイミングで提供される時刻情報である記憶開始時刻を通信端末ごとに紐付けた通信端末情報が記憶される。
【0047】
(実施の形態に係るフローの説明)
次に図5を用いて、本実施の形態に係る中継装置102が、任意の通信端末情報において第1の所定時間が経過したことにより、アドレス変換テーブル300に対して行う一連の処理について説明する。図5の処理フローは、アドレス変換テーブル300に記憶されている1または複数の通信端末情報のいずれかにおいて、第1の所定時間が経過したことを契機に実行される。なお、図5では、通信端末101と中継装置102との間で行われる通信データの授受において行われる一連の処理を前提に説明する。
【0048】
ステップS501は、判定部204がアドレス変換テーブル300に記憶されている特定の1または複数の通信端末情報それぞれに対して第1の所定時間が経過したか否かを判定するステップである。第1の所定時間が経過したと判定した場合にはステップS502を実行し(ステップS501のYes)、第1の所定時間が経過していないと判定した場合にはステップS501を繰り返し実行第1の所定時間が経過する(ステップS501のNo)。
【0049】
ステップS502は、第1通信部201がステップS501にて第1の所定時間が経過したと判定された特定の通信端末101の死活の確認を行うために、機器確認フレームを当該通信端末101に送信するステップである。
【0050】
ステップS503は、判定部204が、第1通信部201を介して、機器確認フレームの送信先である特定の通信端末101から応答フレームを第2の所定時間内に受信したか否かを判定するステップである。判定部204は、第1通信部201が特定の通信端末101から応答フレームを受信した場合にはステップS505を実行し(ステップS503のYes)、特定の通信端末101から第2の所定時間が経過しても応答フレームを受信しなかった場合にはステップS504を実行する(ステップS503のNo)。
【0051】
ステップS504は、記憶部206がステップS503にて応答フレームを受信しなかった特定の通信端末101に係る通信端末情報をアドレス変換テーブル300から削除するステップである。
【0052】
ステップS505は、記憶部206がアドレス変換テーブル300に記憶されている特定の通信端末101に係る通信端末情報の記憶期間を延長するステップである。具体的には、例えば、判定部204が特定の通信端末101から応答フレームを受信したと判定した場合に、特定の通信端末情報の記憶開始時刻304をステップS503にて応答フレームを受信した時点の時刻に更新することによって、実質、特定の通信端末情報の記憶期間を延長する。
【0053】
ステップS506は、判定部204が、第1の所定時間が経過したすべての通信端末に対して死活の判定を完了したか否かを判定するステップである。判定部204は、アドレス変換テーブル300に記憶されている対象(即ち、第1の所定時間が経過した通信端末101)となるすべての通信端末に対して死活の判定が完了したと判定した場合には再びステップS501を実行し、通信端末情報に係る第1の所定時間が経過を待機する(ステップS506のYes)。一方、対象となるすべての通信端末に対して死活の判定が完了していない場合(つまり、未だ確認するべき通信端末が残っていると判定した場合)には、アドレス変換テーブル300に記憶されている対象の通信端末のうち、既に判定が完了した対象の通信端末を除いた通信端末を指定し、再びステップS502を実行する(ステップS506のNo)。
【0054】
本実施の形態では、図5に示すように、ステップS502からステップS506を実行して第1の所定時間が経過したすべての通信端末に対して死活の確認および判定を行う例で説明したが、例えば、ステップS501にて第1の所定時間が経過した特定の通信端末101すべてを対象として、ステップS502にて一度に死活の確認を行ってもよい。例えば、ステップS502にて第1通信部201が特定の通信端末101すべてに向けてブロードキャスト通信にて機器確認フレームを送信することで、死活の確認を行ってもよい。
【0055】
次に図6を用いて、本実施の形態に係る中継装置102が通信端末101からアドレス変換テーブル300に記憶されていない新しいMACアドレスまたはIPアドレスを含む通信データを受信した場合に行われる、アドレス変換テーブル300に記憶している通信端末情報の削除に係る一連の処理を説明する。なお、図6では、通信端末101と中継装置102との間で行われる通信データの授受において行われる一連の処理を前提に説明する。
【0056】
ステップS601は、第1通信部201が通信端末101から通信データを受信するステップである。具体的には、第1通信部201は、アドレス変換テーブル300に記憶されていない新しいMACアドレスまたはIPアドレスを有する通信端末101から通信データを受信する。当該受信を契機に図6に係る処理を開始する。
【0057】
ステップS602は、判定部204がステップS601で受信した通信データに含まれるMACアドレスまたはIPアドレスを基に新たな通信端末101に係る通信端末情報をアドレス変換テーブル300に追加する必要が生じた場合に、係る情報を追加で記憶したとすればアドレス変換テーブル300の記憶容量が通信端末情報を記憶できる最大記憶容量以上になるか否かを判定するステップである。判定部204は、最大記憶容量以上になる(または超過する)と判定した場合にはステップS603を実行し(ステップS602のYes)、最大記憶容量以上にならない(達しない)と判定した場合には、ステップS607を実行する(ステップS602のNo)。
【0058】
ステップS603は、第1通信部201が、アドレス変換テーブル300に記憶されている通信端末101の死活の確認を行うために機器確認フレームをアドレス変換テーブル300に記憶されているすべての通信端末101に送信するステップである。機器確認フレームは、ブロードキャストでもよいし、マルチキャストあるいはユニキャストでもよい。
【0059】
ステップS604は、判定部204が通信端末101から応答フレームを受信したか否かを判定するステップである。通信端末101から応答フレームを受信しなかった場合にはステップS605を実行し(ステップS604のNo)、通信端末101から応答フレームを受信した場合には、ステップS606を実行する(ステップS604のYes)。なお、ステップS606を実行する前に、応答フレームを受信した通信端末に対して、ステップS505に述べたのと同様の処理により通信端末情報における記憶時間を延長させてもよい。
【0060】
ステップS605は、記憶部206がアドレス変換テーブル300に記憶されている通信端末情報のうち、判定部204にて行われる死活の判定で応答フレームを所定の時間(第2の所定時間)内に受信しなかったと判定された特定の通信端末101に係る通信端末情報を削除するステップである。
【0061】
ステップS606は、判定部204がアドレス変換テーブル300に記憶されているすべての通信端末情報に対応する通信端末の死活の確認を完了したか否かを判定するステップである。判定部204は、当該すべての通信端末に対して死活の確認が完了したと判定した場合には再びステップS602を実行し(ステップS606のYes)、未だ確認するべき通信端末が存在すると判定した場合にアドレス変換テーブル300に記憶されている通信端末情報のうち、既に確認が完了した通信端末を除いた通信端末を指定し、再びステップS603を実行する(ステップS606のNo)。
【0062】
ステップS607は、記憶部206が第1通信部201により応答フレームを受信された通信端末101のMACアドレス、IPアドレス、および、計時部205が計時する記憶開始時刻をひとまとまり(一対または紐づけた)の情報とした新たな通信端末をアドレス変換テーブル300に記憶するステップである。
【0063】
本実施の形態では、図6に示すように、ステップS602からステップS606を実行して、アドレス変換テーブル300が通信端末情報を記憶できる最大記憶容量に達するか否かを判定し、アドレス変換テーブル300の記憶容量を確保するために、通信端末に対して死活の確認を行う例で説明したが、例えば、ステップS603にて、アドレス変換テーブル300に記憶されているすべての通信端末101に対し一度の死活の確認で行ってもよい。例えば、ステップS603にて第1通信部201が当該すべての通信端末101に向けてブロードキャスト通信にて機器確認フレームを送信することで、死活の確認を行ってもよい。
【0064】
なお、通信端末101に対する死活の確認するための処理(ステップS603)は、アドレス変換テーブル300に記憶されているすべての通信端末ではなく、その少なくとも一部、例えば、予め決められた特定の通信端末に対してのみ行われてもよい。例えば、通信システム100の管理者がゲストユーザに中継装置102を一時的に利用させたい場合には、機器確認フレームにより意図的に死活の確認を行い、優先的にアドレス変換テーブル300から通信端末情報を削除することで、通信システム100を効率的に運用することができる。ここで、予め決められた特定の通信端末とは、例えば、ゲストユーザが用いる通信端末等の時限的に通信システム100を利用することが予想される通信端末等である。
【0065】
また、ステップS603~S605を、すべての通信端末ではなく、1台ずつ行ったあと、都度ステップS602による記憶容量確認を行い、容量が確保可能になったところで、新規通信端末のアドレスを記憶してもよい。
【0066】
ここからは、図4を用いて、通信端末からサーバ装置に向けて通信データを送信する場合に中継装置102が行うアドレス変換の一例を説明する。図4aおよび図4bは、中継装置102が行うアドレス変換の一例である。なお、以下図4aおよび図4bを総称して図4と呼び、401aおよび401bを総称して401と呼び、402aおよび402bを総称して402と呼び、403aおよび403bを総称して403と呼ぶ。
【0067】
図4は、本発明の実施の形態に係る中継装置がアドレスの変換を行う前後の通信データフレーム通信データ宛先テーブルに含まれるアドレス情報の一例を示す。より具体的に図4は、通信データのヘッダ部分等に含まれるアドレス情報の一例を示す。通信データアドレス情報400は、中継装置102や基地局装置104が通信データの転送を行う際に参照され、中継装置102や基地局装置104が通信データを中継する際に適宜書き換えが行われる。具体的には、図4aには通信データを通信端末101からサーバ装置105に向けて送信する場合の一例(アドレスの変換を行う前)が示されている。図4bには、図4aの通信データを受信した中継装置102が、当該受信した通信データが備える通信データアドレス情報の各種情報をサーバ装置105に向けて中継するために適した情報に書き換えた後(アドレスの変換を行った後)の一例が示されている。
【0068】
ここで、本実施の形態では、通信端末101はMACアドレス「84:25:3f:00:00:01」を備え、中継装置102はMACアドレス「84:25:3f:00:00:32」を備え、基地局装置104はMACアドレス「84:25:3f:00:00:80」を備え、サーバ装置105はMACアドレス「84:25:3f:00:00:64」を備えるものとする。また、通信端末101はIPアドレス「192.168.56.4」を付与されており、サーバ装置105はIPアドレス「192.168.56.8」を付与されているものとする。
【0069】
図4に示されるように、通信データアドレス情報400は、種別情報401、MACアドレス情報402、およびIPアドレス情報403を備える。
【0070】
通信データアドレス情報400は、通信データの送信先および送信元の通信端末を特定するためのMACアドレスおよび当該通信端末に付与されたIPアドレスを対にした情報を含む。中継装置102および基地局装置104は、通信データアドレス情報400が持つ当該MACアドレスおよびIPアドレスの情報に基づいて通信データを授受する。
【0071】
MACアドレス情報402は、通信端末101またはサーバ装置105等の通信データを送信する機器が備えるMACアドレスを示している。具体的には、図4aに示されるように、通信データを通信端末101からサーバ装置105に向けて送信する場合、MACアドレス情報402aは、送信元である通信端末101のMACアドレスを示し、送信先であるサーバ装置105が接続されている基地局装置104のMACアドレスを示している。また、図4bに示されるように、中継装置102が通信データアドレス情報の情報を更新した後の場合、MACアドレス情報402bは、送信元である中継装置102のMACアドレスを示し、送信先であるサーバ装置105が接続されている基地局装置104のMACアドレスを示している。
【0072】
IPアドレス情報403は、通信端末101またはサーバ装置105等の通信データを送信する機器に付与されたIPアドレスを示している。具体的には、図4aおよびbに示されるように、IPアドレス情報403aおよび403b共に、通信端末101のIPアドレスを示し、送信先であるサーバ装置105のIPアドレスを示している。
【0073】
ここから、通信端末101から送信された通信データが中継装置102を中継しサーバ装置105に送信されるまでの中継装置102で行われるアドレス変換について説明する。
先ず、中継装置102は通信端末101から通信データを受信すると、通信データに含まれる通信データアドレス情報400aを読取り、通信データの宛先に係る情報を取得する。具体的には、中継装置102は通信データアドレス情報400aを読み取ると、種別情報401を参照し、送信先とされているMACアドレス情報およびIPアドレス情報を参照する。中継装置102が備える第2通信部203が通信データを送信する際の宛先として当該MACアドレス情報およびIPアドレス情報を通信データが備える通信データアドレス情報400に設定し、これに基づいて第2通信部203は通信データを基地局装置104に送信する。
【0074】
次に中継装置102はMACアドレス情報402aに含まれる通信端末101のMACアドレス「84:25:3f:00:00:01」をアドレス変換テーブル300が備えるMACアドレスフィールド302に記憶し、IPアドレス情報403aに含まれる通信端末101のIPアドレス「192.168.56.4」をアドレス変換テーブル300が備えるIPアドレスフィールド303にそれぞれ紐づけて通信端末情報として記憶する。中継装置102は、アドレス変換テーブル300に通信データの送信元である通信端末101に関する通信端末情報を基に、通信データアドレス情報400aのMACアドレス情報402aのうち、送信元のMACアドレスを「84:25:3f:00:00:32」に書き換え、通信データの通信データアドレス情報400b(図4b)に更新する。次に中継装置102は、更新した通信データアドレス情報400bを含む通信データを基地局装置104に送信する。
【0075】
基地局装置104は、通信データアドレス情報400bを含む通信データを受信すると、自機が備えるアドレス変換テーブルの情報と、当該受信した通信データアドレス情報400bが持つIPアドレス情報403bに含まれる送信先IPアドレス情報「192.168.56.8」とを照合し、サーバ装置105を特定する。同様にアドレス変換テーブルから特定したサーバ装置105の情報を基にしてMACアドレス情報402bを自装置である「84:25:3f:00:00:80」からサーバ装置105のMACアドレス「84:25:3f:00:00:64」に書き換えることで、通信データをサーバ装置105に送信する。このようにして、通信端末101から送信された通信データは中継装置102を経由してサーバ装置105に送信する。
【0076】
なお、サーバ装置105から送信された通信データが中継装置102を中継し通信端末101に送信されるまでの通信については、サーバ装置105を送信元とし通信端末101を送信先とすることで、図4の説明で述べたアドレスの変換処理を適宜適用できるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
以上、上述したとおり、本発明の実施の形態に係る中継装置102は、通信端末101が送信した通信データに含まれるMACアドレス、IPアドレス、および、計時部205が計時する記憶開始時刻をひとまとまり(一対または紐づけた)の情報とした通信端末情報をアドレス変換テーブル300に記憶する。中継装置102は、計時部205が計時する時刻と、対象となる識別子(通信端末の通信端末情報)の記憶開始時刻とを比較し、第1の所定時間が経過した場合に、当該通信端末情報に対して第1の所定時間が経過したと判定するものの、従来技術の様に当該通信端末情報を機械的(無作為)に削除するのではなく、通信端末情報に対応する通信端末101に対して機器確認フレームを送信し、当該機器確認フレームに対する応答フレームを第2の所定時間の間に受信できない通信端末101に係る通信端末情報のみをアドレス変換テーブル300から削除する。
【0078】
また、本発明の実施の形態に係る中継装置102は、新たな通信端末101に係る通信端末情報をアドレス変換テーブル300に追加する必要が生じた場合に、アドレス変換テーブルが飽和状態になると判定すると、アドレス変換テーブル300に記憶されている通信端末情報に対応するすべての通信端末101に機器確認フレームを送信する。中継装置102は、当該機器確認フレームに対する応答フレームを第2の所定時間の間に受信しなかった通信端末101に係る通信端末情報をアドレス変換テーブル300から削除する。これにより、本発明の実施の形態に係る中継装置102は、不要な通信端末情報のみをアドレス変換テーブル300から削除することができる。
【0079】
このようにして、本発明の実施の形態に係る中継装置は、アドレス変換テーブルに記憶される不必要な通信端末情報を適宜削除することで、自装置が備える記憶装置(メモリー)の容量を有効的に活用しつつ、通信を維持したい通信端末に向けて通信を開始する場合にアドレス変換テーブルに通信端末情報が存在しないことにより生じる遅延も抑制できる。
【0080】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記憶媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インタネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、複数の通信端末が接続される中継装置等に適用され得る。
【符号の説明】
【0082】
100 通信システム
101 通信端末
102 中継装置
103 無線通信リンク
104 基地局装置
105 サーバ装置
106、107 通信リンク
201 第1通信部
202 変換部
203 第2通信部
204 判定部
205 計時部
206 記憶部
300 アドレス変換テーブル
301 識別子フィールド
302 MACアドレスフィールド
303 IPアドレスフィールド
304 記憶開始時刻フィールド
400a、400b 通信データアドレス情報
401a、401b 種別情報
402a、402b MACアドレス情報
403a、403b IPアドレス情報
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6