(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159096
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光源、照明装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20241031BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241031BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20241031BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241031BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241031BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241031BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
H01L33/50
F21S2/00 439
F21V9/40 400
G09F9/00 336J
G09F9/00 336G
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074861
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦幸
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB06
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC53
2H391EA14
3K244AA01
3K244BA04
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA11
3K244DA16
3K244DA24
3K244EA02
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
5F142AA26
5F142CB13
5F142CG04
5F142CG05
5F142DA12
5F142DA22
5F142DA36
5F142DA65
5F142DA73
5F142HA01
5G435AA04
5G435BB12
5G435CC12
5G435EE27
5G435FF08
5G435GG26
5G435GG27
5G435HH06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】色味の差を視認され難くする。
【解決手段】光源15は、青色の波長領域に含まれる第1波長λ1が主発光波長とされる第1発光素子20と、青色の波長領域に含まれて第1波長λ1よりも長波長の第2波長λ2が主発光波長とされる第2発光素子21と、第1発光素子20に対して出光側に配される第1波長変換部25と、第2発光素子21に対して出光側に配される第2波長変換部26と、を備え、第1波長変換部25は、第1LED素子20から発せられた光を緑色の波長領域の緑色光に波長変換する第1緑色蛍光体25Aと、第1LED素子20から発せられた光を赤色の波長領域の赤色光に波長変換する第1赤色蛍光体25Bと、を含み、第2波長変換部26は、第2LED素子21から発せられた光を緑色光に波長変換する第2緑色蛍光体26Aと、第2LED素子21から発せられた光を赤色光に波長変換する第2赤色蛍光体26Bと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色の波長領域に含まれる第1波長が主発光波長とされる第1発光素子と、
前記青色の波長領域に含まれて前記第1波長よりも長波長の第2波長が主発光波長とされる第2発光素子と、
前記第1発光素子に対して出光側に配される第1波長変換部と、
前記第2発光素子に対して出光側に配される第2波長変換部と、を備え、
前記第1波長変換部は、前記第1発光素子から発せられた光を緑色の波長領域の緑色光に波長変換する第1緑色蛍光体と、前記第1発光素子から発せられた光を赤色の波長領域の赤色光に波長変換する第1赤色蛍光体と、を含み、
前記第2波長変換部は、前記第2発光素子から発せられた光を前記緑色光に波長変換する第2緑色蛍光体と、前記第2発光素子から発せられた光を前記赤色光に波長変換する第2赤色蛍光体と、を含んでおり、
前記第1波長変換部及び前記第2波長変換部は、前記第1緑色蛍光体、前記第1赤色蛍光体、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量と組成との少なくとも一方が異なる光源。
【請求項2】
前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有量は、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量よりも多い請求項1記載の光源。
【請求項3】
前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有量は、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量に対する比率が、1よりも大きく2.98よりも小さい請求項2記載の光源。
【請求項4】
前記第1赤色蛍光体に対する前記第1緑色蛍光体の含有量の比率が、前記第2赤色蛍光体に対する前記第2緑色蛍光体の含有量の比率よりも高い請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源。
【請求項5】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を収容する収容部と、
前記収容部内に充填されて前記第1発光素子を封止する第1封止部と、
前記収容部内に充填されて前記第2発光素子を封止する第2封止部と、を備え、
前記第1波長変換部は、前記第1封止部に含有され、
前記第2波長変換部は、前記第2封止部に含有される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源。
【請求項6】
前記第1封止部は、前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有濃度が、前記第2封止部における前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有濃度と等しく、
前記第1封止部は、前記第2封止部よりも充填量が多い請求項5記載の光源。
【請求項7】
前記第1波長変換部及び前記第2波長変換部は、前記第1緑色蛍光体、前記第1赤色蛍光体、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の組成が異なっており、
前記第1封止部及び前記第2封止部は、充填量が等しい請求項5記載の光源。
【請求項8】
前記収容部には、前記第1封止部と前記第2封止部とを仕切る仕切壁が設けられている請求項5記載の光源。
【請求項9】
前記収容部は、前記仕切壁を支持する底部と、前記底部から立ち上がって前記第1封止部及び前記第2封止部を取り囲む周壁と、を有し、
前記周壁は、平面視において方形の枠状をなしており、
前記仕切壁は、前記周壁における対角線に沿って延在するよう設けられており、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、いずれも長手状をなしていてその長手方向が前記仕切壁に並行するよう配される請求項8記載の光源。
【請求項10】
前記第1発光素子は、前記第1波長が420nm~450nmの範囲とされ、前記第2発光素子は、前記第2波長が450nm~480nmの範囲とされる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源と、
前記光源に対して出光側に配されて前記光源から発せられた光に光学作用を付与する光学部材と、を備える照明装置。
【請求項12】
前記光学部材は、前記光源の発光面と対向する入光端面を有し、前記光源からの光を導光する導光板を含んでおり、
前記光源は、前記入光端面に沿って複数が並んで配されている請求項11記載の照明装置。
【請求項13】
請求項11記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、光源、照明装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置に備わる照明装置及び光源の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、照明装置として発光装置が記載され、光源としてLEDが記載されている。特許文献1に記載された発光装置は、赤色光を発するLED103、緑色光を発するLED104、発光ピーク波長が470nmである青色光を発するLED105、及び105よりピーク波長が短波長である青色光を発するLED106をそれぞれ複数有している。LED105は、メラトニン抑制の効果により生体リズムに影響を与える青色光を発する。LED106は、LED105より短波長であるためにメラトニン抑制効果の弱い青色光を発する。発光装置においては、制御回路107により、LED105の点灯とLED106の点灯とを切り替えることにより、状況に応じて効果的に生体リズムを調整することが可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の発光装置は、発光ピーク波長が470nmである青色光を発するLED105と、ピーク波長が470nmよりも短波長である青色光を発するLED106と、を備える。LED105,106は、ピーク波長が異なるため、それが色味の差となって視認され易くなる、という問題があった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、色味の差を視認され難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる光源は、青色の波長領域に含まれる第1波長が主発光波長とされる第1発光素子と、前記青色の波長領域に含まれて前記第1波長よりも長波長の第2波長が主発光波長とされる第2発光素子と、前記第1発光素子に対して出光側に配される第1波長変換部と、前記第2発光素子に対して出光側に配される第2波長変換部と、を備え、前記第1波長変換部は、前記第1発光素子から発せられた光を緑色の波長領域の緑色光に波長変換する第1緑色蛍光体と、前記第1発光素子から発せられた光を赤色の波長領域の赤色光に波長変換する第1赤色蛍光体と、を含み、前記第2波長変換部は、前記第2発光素子から発せられた光を前記緑色光に波長変換する第2緑色蛍光体と、前記第2発光素子から発せられた光を前記赤色光に波長変換する第2赤色蛍光体と、を含んでおり、前記第1波長変換部及び前記第2波長変換部は、前記第1緑色蛍光体、前記第1赤色蛍光体、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量と組成との少なくとも一方が異なる。
【0007】
(2)また、上記光源は、上記(1)に加え、前記前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有量は、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量よりも多くてもよい。
【0008】
(3)また、上記光源は、上記(2)に加え、前記前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有量は、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有量に対する比率が、1よりも大きく2.98よりも小さくてもよい。
【0009】
(4)また、上記光源は、上記(1)から上記(3)のいずれかに加え、前記第1赤色蛍光体に対する前記第1緑色蛍光体の含有量の比率が、前記第2赤色蛍光体に対する前記第2緑色蛍光体の含有量の比率よりも高くてもよい。
【0010】
(5)また、上記光源は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記第1発光素子及び前記第2発光素子を収容する収容部と、前記収容部内に充填されて前記第1発光素子を封止する第1封止部と、前記収容部内に充填されて前記第2発光素子を封止する第2封止部と、を備え、前記第1波長変換部は、前記第1封止部に含有され、前記第2波長変換部は、前記第2封止部に含有されてもよい。
【0011】
(6)また、上記光源は、上記(5)に加え、前記第1封止部は、前記第1緑色蛍光体及び前記第1赤色蛍光体の含有濃度が、前記第2封止部における前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の含有濃度と等しく、前記第1封止部は、前記第2封止部よりも充填量が多くてもよい。
【0012】
(7)また、上記光源は、上記(5)に加え、前記第1波長変換部及び前記第2波長変換部は、前記第1緑色蛍光体、前記第1赤色蛍光体、前記第2緑色蛍光体及び前記第2赤色蛍光体の組成が異なっており、前記第1封止部及び前記第2封止部は、充填量が等しくてもよい。
【0013】
(8)また、上記光源は、上記(5)から上記(7)のいずれかに加え、前記収容部には、前記第1封止部と前記第2封止部とを仕切る仕切壁が設けられてもよい。
【0014】
(9)また、上記光源は、上記(8)に加え、前記収容部は、前記仕切壁を支持する底部と、前記底部から立ち上がって前記第1封止部及び前記第2封止部を取り囲む周壁と、を有し、前記周壁は、平面視において方形の枠状をなしており、前記仕切壁は、前記周壁における対角線に沿って延在するよう設けられており、前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、いずれも長手状をなしていてその長手方向が前記仕切壁に並行するよう配されてもよい。
【0015】
(10)また、上記光源は、上記(1)から上記(9)のいずれかに加え、前記第1発光素子は、前記第1波長が420nm~450nmの範囲とされ、前記第2発光素子は、前記第2波長が450nm~480nmの範囲とされてもよい。
【0016】
(11)本明細書に記載の技術に関わる照明装置は、上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の光源と、前記光源に対して出光側に配されて前記光源から発せられた光に光学作用を付与する光学部材と、を備える。
【0017】
(12)また、上記照明装置は、上記(11)に加え、前記光学部材は、前記光源の発光面と対向する入光端面を有し、前記光源からの光を導光する導光板を含んでおり、前記光源は、前記入光端面に沿って複数が並んで配されてもよい。
【0018】
(13)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(11)または上記(12)に記載の照明装置と、前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に記載の技術によれば、色味の差を視認され難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係る液晶表示装置の概略的な側面図
【
図2】実施形態1に係る液晶表示装置を構成する液晶パネル及びバックライト装置を示す断面図
【
図3】実施形態1に係るバックライト装置を構成するLED、LED基板及び導光板を示す平面図
【
図6】実施形態1に係る第1LED素子を点灯し、第2LED素子を非点灯とした場合のLEDの発光スペクトルを示すグラフ
【
図7】実施形態1に係る第1LED素子の発光量と、第2LED素子の発光量と、を同じにした場合のLEDの発光スペクトルを示すグラフ
【
図8】実施形態1に係る第2LED素子を点灯し、第1LED素子を非点灯とした場合のLEDの発光スペクトルを示すグラフ
【
図9】実施形態1に係る検証実験1の比較例1の実験結果であって、第1LED素子及び第2LED素子の発光スペクトルを示すグラフ
【
図10】実施形態1に係る検証実験1の実施例1の実験結果であって、第1LED素子及び第2LED素子の発光スペクトルを示すグラフ
【
図11】実施形態1に係る黒体軌跡及び色温度を記したCIE1931色度図
【
図12】実施形態1に係る検証実験2の実験結果を示すCIE1931色度図
【
図13】実施形態1に係る検証実験2の実験結果を示す表
【
図15】実施形態2に係るLED(第1LED素子及び第2LED素子)の発光スペクトルを示すグラフ
【
図16】実施形態2に係るLEDの発光スペクトルにおける青色光、緑色光及び赤色光の各ピーク強度を示す表
【
図17】実施形態2に係るG/R比率とR/G比率とを示す表
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図13によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置(表示装置)10を例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、上下方向については、
図1及び
図2を基準とし、且つ同図上側を表側とするとともに同図下側を裏側とする。
【0022】
液晶表示装置10は、
図1に示すように、画像を表示する液晶パネル(表示パネル)11と、液晶パネル11の裏側(背面側)に配されて液晶パネル11に表示のための光を照射するバックライト装置(照明装置)12と、を備える。液晶パネル11及びバックライト装置12は、表裏に重ねられた状態で所定の保持部材によって保持されている。
【0023】
液晶パネル11は、
図2に示すように、バックライト装置12に対して表側(出光側)に配されている。液晶パネル11は、互いに貼り合わせられる一対の基板11A,11Bと、一対の基板11A,11B間に封入された液晶層と、を有する。一対の基板11A,11Bのうち表側(正面側)が対向基板11Aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板11Bとされる。なお、対向基板11A及びアレイ基板11Bの各内面には、それぞれ配向膜が設けられている。また、対向基板11A及びアレイ基板11Bの各外面には、それぞれ偏光板11C,11Dが取り付けられている。
【0024】
液晶パネル11は、
図2に示すように、主面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAされ、表示領域AAを取り囲む外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。アレイ基板11Bは、対向基板11Aよりも大型となっていてその一部が対向基板11Aに対して側方に突き出す突き出し部11B1となっている。突き出し部11B1は、対向基板11Aにより覆われずに露出している。突き出し部11B1は、全域が非表示領域NAAであり、各種信号を供給するためのドライバ13及びフレキシブル基板14が実装されている。
【0025】
続いて、バックライト装置12について説明する。バックライト装置12は、
図1に示すように、液晶パネル11に向けて表示に用いられる光を照射する。バックライト装置12は、
図2に示すように、LED(光源)15と、LED15が載置されるLED基板(光源基板)16と、LED15からの光を導光する導光板(光学部材)17と、導光板17の裏側に配される反射シート(反射部材)18と、導光板17と液晶パネル11との間に介在する形で配される複数の光学シート(光学部材)19と、を少なくとも備える。バックライト装置12は、LED15の光が導光板17に対して片側からのみ入光される片側入光タイプのエッジライト型とされている。
【0026】
LED15は、
図2に示すように、LED基板16上に表面実装されている。LED15は、光を発する発光面15Aが、LED基板16側とは反対側(表側、導光板17側)を向いた、いわゆる頂面発光型とされている。LED15は、その光軸がY軸方向と一致している。ここで言う「光軸」とは、LED15における発光光のうち、発光強度が最も高い(ピークとなる)光の進行方向と一致する軸のことである。本実施形態では、LED15として、全体として白色を呈する白色光を発する白色LEDが用いられる。LED15の詳しい構成に関しては、後に改めて説明する。
【0027】
LED基板16は、合成樹脂材料からなる基材上に、多数本の配線パターンが形成された銅等の金属箔が積層された構成とされる。LED基板16は、
図2に示すように、液晶パネル11の主面と直交する主面を有する板状またはフィルム状をなしている。LED基板16は、一対の主面のうちの一方の主面が、導光板17の端面(後述する入光端面17A)と対向するよう配されている。LED基板16は、導光板17の端面の長手方向(X軸方向)に沿って延在する細長い帯状をなしている。LED基板16のうち、導光板17側を向いた主面には、LED15が表面実装されており、ここが実装面16Aとなっている。LED基板16の実装面16Aには、
図3に示すように、複数のLED15が一方向に並んで配されている。複数のLED15の並び方向は、実装面16Aの長手方向(X軸方向)と一致している。
図3には、LED15の数が8とされる場合が例示されているが、具体的なLED15の並び数は8以外であってもよい。複数のLED15は、X軸方向にほぼ一定の間隔を空けて1つの列をなす形で直線状に配列されている。
【0028】
導光板17は、ほぼ透明な合成樹脂材料(例えばPMMAなどのアクリル樹脂やポリカーボネートなど)からなり、屈折率が空気の屈折率よりも十分に高くされる。導光板17は、
図2に示すように、板状をなしており、その主面が液晶パネル11の主面に並行している。導光板17は、液晶パネル11及び光学シート19の直下に配されている。導光板17は、液晶パネル11の表示領域AAと重畳して配されている。
【0029】
導光板17の外周端面のうちの長辺側の一方の端面は、
図2に示すように、LED15の発光面15Aと対向する入光端面17Aとされる。入光端面17Aは、X軸方向及びZ軸方向に並行する横長な面であり、長さ方向がX軸方向(複数のLED15の並び方向)と一致し、幅方向がZ軸方向と一致している。また、入光端面17Aの法線方向が、Y軸方向と一致している。入光端面17Aには、LED15の発光面15Aから発せられた光が直接的に入射される。導光板17における一対の主面のうち、液晶パネル11及び光学シート19と対向状をなす表側の主面は、内部を導光した光を出射させる出光主面17Bとされる。導光板17における一対の主面のうち、反射シート18と対向状をなす裏側の主面は、反対主面17Cとされる。そして、導光板17は、LED15から導光板17へ向けて発せられた光を入光端面17Aから導入し、導入した光を内部で伝播させた後に、Z軸方向に沿って表側(出光側)へ向くよう立ち上げて出射させる機能を有する。
【0030】
反射シート18は、
図2に示すように、その主面が液晶パネル11や導光板17の各主面に並行し、導光板17の反対主面17Cを覆う形で配される。反射シート18は、優れた光反射性を有する。反射シート18は、導光板17の反対主面17Cから漏れた光を反射し、反射した光を表側、つまり出光主面17Bに向けて効率的に立ち上げることができる。
【0031】
光学シート19は、
図2に示すように、シート状をなしており、その主面が液晶パネル11及び導光板17の各主面に並行している。光学シート19は、Z軸方向について液晶パネル11と導光板17との間に介在する配置とされており、液晶パネル11における裏側の主面と、導光板17の出光主面17Bと、の間に挟まれている。光学シート19は、導光板17の出光主面17Bからの出射光に所定の光学作用を付与し、液晶パネル11に向けて出射させるなどの機能を有する。光学シート19は、1枚であってもよいが複数枚あってもよい。光学シート19には、例えば光を拡散させる拡散シート、光を集光するプリズムシート、反射型偏光シート等が含まれてもよい。
【0032】
続いて、LED15の詳しい構成について主に
図4及び
図5を用いて説明する。LED15は、
図4及び
図5に示すように、第1LED素子(第1発光素子)20及び第2LED素子(第2発光素子)21と、2つのLED素子20,21を収容する収容部22と、収容部22内に充填されて第1LED素子20を封止する第1封止部23と、収容部22内に充填されて第2LED素子21を封止する第2封止部24と、を有する。
【0033】
収容部22は、
図4及び
図5に示すように、全体として平面形状が方形とされ、表側に向けて開口した略有底筒型をなしている。収容部22は、底部22Aと、底部22Aの外周端部から立ち上がる周壁22Bと、底部22Aから立ち上がって周壁22Bに連なる仕切壁22Cと、を有する。底部22Aは、平面形状が横長の方形をなしている。周壁22Bは、平面に視て(発光面15A側から視て)横長で方形の枠状(筒状)をなしている。仕切壁22Cは、周壁22Bの長辺方向(Z軸方向)に沿って延在する平板状をなしており、周壁22Bの一対の短辺部に連ねられている。仕切壁22Cは、収容部22の内部空間を、周壁22Bの短辺方向(X軸方向)について2つの空間S1,S2に仕切っている。2つのLED素子20,21は、仕切壁22Cによって仕切られた収容部22内の2つの空間S1,S2に収容されており、X軸方向に沿って並ぶ配置とされる(
図3を参照)。2つのLED素子20,21は、いずれも横長で方形の長手状をなしており、その長手方向を周壁22Bの長辺方向(仕切壁22Cの延在方向)と一致させて配されている。第1封止部23及び第2封止部24は、いずれも光の透過性に優れた樹脂材料(例えば、エポキシ樹脂材料、シリコーン樹脂材料等)からなる。第1封止部23及び第2封止部24は、収容部22内に充填されることで、収容部22の開口部分を塞ぐとともに発光面15Aを構成する。第1封止部23は、収容部22内において第1LED素子20が収容される第1空間S1に充填されていて、第1LED素子20を封止する。第2封止部24は、収容部22内において第2LED素子21が収容される第2空間S2に充填されていて、第2LED素子21を封止する。
【0034】
第1LED素子20及び第2LED素子21は、いずれも青色の波長領域(約400nm~約500nm)の青色光を単色発光する青色LED素子とされる。第1LED素子20及び第2LED素子21は、主発光波長が異なっている。詳しくは、第1LED素子20は、青色の波長領域に含まれる第1波長λ1が主発光波長とされるのに対し(
図6を参照)、第2LED素子21は、青色の波長領域に含まれて第1波長λ1よりも長波長の第2波長λ2が主発光波長とされる(
図8を参照)。第1LED素子20の主発光波長である第1波長λ1は、例えば425nmとされる。第2LED素子21の主発光波長である第2波長λ2は、例えば480nmとされる。第1波長λ1と第2波長λ2との差は、例えば55nmである。
【0035】
LED15は、
図5に示すように、第1LED素子20から発せられた青色光の一部を波長変換する第1波長変換部25と、第2LED素子21から発せられた青色光の一部を波長変換する第2波長変換部26と、を有する。第1波長変換部25は、第1封止部23に含有されていて、第1LED素子20に対して出光側に配されている。第1波長変換部25は、第1LED素子20から発せられた青色光の一部を、緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光に波長変換する。第1波長変換部25は、組成として、青色光を緑色の波長領域(約500nm~約570nm)の緑色光に波長変換する第1緑色蛍光体25Aと、青色光を赤色の波長領域(約600nm~約780nm)の赤色光に波長変換する第1赤色蛍光体25Bと、を含む。第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bは、第1封止部23内において所定の含有濃度(分布濃度)でもって分散配合されている。第2波長変換部26は、第2封止部24に含有されていて、第2LED素子21に対して出光側に配されている。第2波長変換部26は、第2LED素子21から発せられた青色光の一部を、緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光に波長変換する。第2波長変換部26は、組成として、青色光を緑色光に波長変換する第2緑色蛍光体26Aと、青色光を赤色光に波長変換する第2赤色蛍光体26Bと、を含む。第2緑色蛍光体26及び第2赤色蛍光体26Bは、第2封止部24内において所定の含有濃度でもって分散配合されている。なお、
図5では、「○」によって第1緑色蛍光体25A及び第2緑色蛍光体26Aを図示し、「●」によって第1赤色蛍光体25B及び第2赤色蛍光体26Bを図示している。
【0036】
第1緑色蛍光体25A及び第2緑色蛍光体26Aとしては、例えばサイアロン系蛍光体が用いられる。サイアロン系蛍光体には、付活剤として希土類元素(例えばTb,Yg,Agなど)が用いられる。サイアロン系蛍光体としては、例えばβ-SiAlONが用いられる。β-SiAlONは、β型窒化ケイ素結晶にアルミニウムと酸素とが固溶した一般式Si6-zAlzOzN8-z(zは固溶量を示す)または(Si,Al)6(O,N)8により表される物質である。β-SiAlONには、付活剤として例えば希土類元素の一種であるEu(ユーロピウム)が用いられている。第1赤色蛍光体25B及び第2赤色蛍光体26Bとしては、例えば複フッ化物蛍光体が用いられる。複フッ化物蛍光体は、一般式A2MF6(MはSi、Ti、Zr、Hf、Ge及びSnから選ばれる1種以上、AはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる1種以上)により表される。複フッ化物蛍光体としては、例えば付活剤としてマンガンを用いたケイフッ化カリウム(K2SiF6:Mn)が用いられている。
【0037】
上記のような構成とされるLED15には、外部のLED制御回路(光源制御回路)が接続されており、LED制御回路によってLED15への給電と、LED15の駆動の制御と、がなされる。LED制御回路は、LED15に備わる第1LED素子20及び第2LED素子21に対して個別に給電するとともにそれぞれの発光量を個別に制御することができる。LED制御回路は、第1LED素子20及び第2LED素子21の各発光量を制御するにあたり、例えばPWM(Pulse Width Modulation)調光等を行う。具体的には、LED制御回路は、第1LED素子20及び第2LED素子21のそれぞれにパルス信号を供給し、第1LED素子20及び第2LED素子21のそれぞれにおける点灯期間と消灯期間(非点灯期間)との時間比率(デューティ比)を調整することで単位時間当たりの各発光量を個別に制御する。
【0038】
ここで、人間は、体内時計と呼ばれる計時機構に基づいて生体機能に関する周期現象を制御しており、周期現象の一つとしてサーカディアン(概日)リズムが知られている。このサーカディアンリズムは、体温、ホルモン分泌、睡眠・覚醒等の生体を維持する上で重要な機能に関するリズムである。このうちの睡眠・覚醒のリズムには、メラトニンの分泌量が深く関係しており、覚醒時にはメラトニン分泌量は抑えられている。このメラトニンの分泌量は、光による網膜への刺激が影響しており、光のうちの青色の波長領域に属する青色光の波長に依存する傾向にある。具体的には、網膜が470nm近傍の青色光によって刺激されると、メラトニンの分泌が最も抑制される傾向にある。従って、例えば、夜間に網膜が470nm近傍の青色光によって強く刺激されてメラトニンの分泌が阻害されると、睡眠・覚醒のリズムに乱れが生じ易くなり、睡眠障害等の体調不良を発症するおそれがある。
【0039】
その点、上記したLED制御回路によれば、例えば一日のうちの時間帯(例えば、朝、昼、夜、深夜等)や時刻に応じて第1LED素子20及び第2LED素子21の各発光量や発光量の比率を適宜に調整することが可能となる。具体的には、例えば、朝においては、LED制御回路によって第1LED素子20を消灯し、第2LED素子21を点灯させることで、液晶表示装置10を使用する人においてメラトニンの分泌を抑制し、覚醒を促すことができる。一方、例えば、夜や深夜においては、LED制御回路によって第1LED素子20を点灯させ、第2LED素子21を消灯することで、液晶表示装置10を使用する人においてメラトニンの分泌が阻害されるのを抑制し、就寝を促すことができる。このように、本実施形態に係る液晶表示装置10によれば、人間のサーカディアンリズムに適合した光を液晶パネル11に照射し、その光を利用した画像を液晶パネル11に表示することが可能となる。これにより、液晶表示装置10を使用する人の体内時計が乱され難くなり、睡眠障害等の体調不良を発症し難くなる。
【0040】
次に、LED15の発光スペクトルの具体例を
図6から
図8に示す。
図6から
図8における横軸が光の波長(単位は「nm」)とされ、縦軸が相対発光強度(無単位)とされる。
図6は、第1LED素子20を点灯し、第2LED素子21を非点灯とした場合のLED15の発光スペクトルである。
図6において、第1LED素子20は、点灯期間が100%とされるとともに消灯期間が0%とされるのに対し、第2LED素子21は、点灯期間が0%とされるとともに消灯期間が100%とされる。
図7は、第1LED素子20の発光量と、第2LED素子21の発光量と、を同じにした場合のLED15の発光スペクトルである。
図7において、第1LED素子20は、点灯期間が約50%とされるとともに消灯期間が約50%とされるのに対し、第2LED素子21は、点灯期間が約50%とされるとともに消灯期間が約50%とされる。
図8は、第2LED素子21を点灯し、第1LED素子20を非点灯とした場合のLED15の発光スペクトルである。
図8において、第1LED素子20は、点灯期間が0%とされるとともに消灯期間が100%とされるのに対し、第2LED素子21は、点灯期間が100%とされるとともに消灯期間が0%とされる。
【0041】
図6によれば、第1LED素子20のみを点灯させると、青色の波長領域においてピーク波長が425nmとされる青色光が発せられる。
図7によれば、第1LED素子20及び第2LED素子21を共に点灯させると、青色の波長領域においてピーク波長が425nm及び480nmの2つとされる青色光が発せられる。
図7によれば、青色の波長領域にある2つのピーク強度の個々の値は、赤色の波長領域にあるピーク強度よりも低いものの、青色の波長領域にある2つのピーク強度の和は、赤色の波長領域にあるピーク強度よりも高い。
図8によれば、第2LED素子21のみを点灯させると、青色の波長領域において主発光波長が480nmとされる青色光が発せられる。
図6から
図8に示されるように、LED制御回路によって第1LED素子20及び第2LED素子21の各発光量等を適宜に調整することで、青色光に係る発光スペクトルを制御することができる。
【0042】
上記したように本実施形態に係るLED15は、主発光波長が異なる2つのLED素子20,21を有している。このため、2つのLED素子20,21を共に発光させた場合、第1LED素子20から発せられた青色光と、第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と、第2波長変換部26によって波長変換された緑色光及び赤色光と、を加色混合して得られる色味と、に差が生じ、色味が分離したような「色ムラ」として視認されることが懸念される。特に、本実施形態では、LED15がエッジライト型のバックライト装置12に用いられるため、狭額縁化の進行に伴って色ムラが視認され易くなる傾向にある。
【0043】
そこで、本実施形態に係る第1波長変換部25及び第2波長変換部26は、
図5に示すように、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量が異なるよう構成されている。つまり、第1波長変換部25及び第2波長変換部26における第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量が異なるよう調整することで、第1LED素子20から発せられた青色光(一次光)と第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光(二次光)とを加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と第2波長変換部26によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を緩和することができる。これにより、第1LED素子20と第2LED素子21とで主発光波長が異なっていても、それが色味の差となって「色ムラ」が視認され難くなる。特に、このようなLED15を備えるエッジライト型のバックライト装置12においては、狭額縁化が進行しても、色ムラが視認され難くなって好適となる。これにより、液晶表示装置10に備わる液晶パネル11に表示される画像に係る表示品位が良好になる。
【0044】
詳しくは、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量は、
図5に示すように、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量が多い。このようにすれば、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bによって波長変換される緑色光及び赤色光は、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bによって波長変換される緑色光及び赤色光よりも多くなる。このことは、第1LED素子20から発せられた青色光のうちの第1波長変換部25によって波長変換されない青色光は、第2LED素子21から発せられた青色光のうちの第2波長変換部26によって波長変換されない青色光よりも少なくなることを意味する。従って、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を多くするほど、第1LED素子20から発せられた青色光と第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味は、青色味が弱められて緑色味及び赤色味が強められる傾向となる。このような傾向に基づき、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量よりも多くなるよう調整することで、第1LED素子20から発せられた青色光と第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と第2波長変換部26によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を好適に緩和することができる。
【0045】
具体的には、第1封止部23は、
図5に示すように、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有濃度が、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有濃度と等しい。つまり、第1波長変換部25及び第2波長変換部26は、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの組成が同じとされる。このことは、第1封止部23において単位体積当たりに含有される第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量が、第2封止部24において単位体積当たりに含有される第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と等しいことを意味する。そして、収容部22への第1封止部23の充填量は、第2封止部24の充填量よりも多い。本実施形態では、収容部22の第1空間S1及び第2空間S2の各容積が概ね等しいことから、第1空間S1における第1封止部23は、収容部22の第2空間S2における第2封止部24よりも高い。このようにすれば、第1封止部23及び第2封止部24の各充填量を調整することで、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量と、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と、の比率を容易に調整することができる。第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有濃度と、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有濃度と、が等しいので、第1封止部23及び第2封止部24の材料を共通化することが可能となる。これにより、第1封止部23及び第2封止部24の材料に係る管理が容易になるとともに調達コストの低減を図ることができる。
【0046】
次に、第1波長変換部25における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量と、第1波長変換部25によって波長変換される緑色光及び赤色光の光量と、の関係を検証するための検証実験1を行った。検証実験1では、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と等しくしたLEDを比較例1とし、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量よりも多くしたLED15を実施例1とした。比較例1及び実施例1の各LEDの構造は、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量を除いては、本段落以前に記載した通りである。実施例1においては、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量に対して第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量が1.73倍程度とされる。また、比較例1における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量は、実施例1における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と等しい。検証実験1では、比較例1のLEDと、実施例1のLED15と、について、それぞれ第1LED素子20のみを発光させた場合の発光スペクトルと、第2LED素子21のみを発光させた場合の発光スペクトルと、を測定した。実験結果は、
図9及び
図10に示す通りである。
図9は、比較例1のLEDにおける発光スペクトルである。
図10は、実施例1のLED15における発光スペクトルである。
図9及び
図10における横軸が光の波長(単位は「nm」)とされ、縦軸が相対発光強度(無単位)とされる。
図9及び
図10には、第1LED素子20を単独で発光させた場合の発光スペクトルと、第2LED素子21を単独で発光させた場合の発光スペクトルと、が併記されている。
図9及び
図10には、第1LED素子20の発光スペクトルが実線で図示され、第2LED素子21の発光スペクトルが一点鎖線で図示されている。なお、
図9及び
図10は、第1LED素子20の発光スペクトルに含まれる第1波長λ1のピーク強度と、第2LED素子21の発光スペクトルに含まれる第2波長λ2のピーク強度と、が「0.896」程度で等しくなるよう、規格化されている。
【0047】
図9によれば、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量が等しい比較例1では、第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光の光量と、第2波長変換部26によって波長変換された緑色光及び赤色光の光量と、がほぼ等しいことが分かる。
図10によれば、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量が第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量よりも多い実施例1では、第1波長変換部25によって波長変換された緑色光及び赤色光の光量が、第2波長変換部26によって波長変換された緑色光及び赤色光の光量よりも多いことが分かる。このように、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と、第1波長変換部25及び第2波長変換部26によって波長変換される緑色光及び赤色光の光量と、には、相関関係にあることが分かる。
【0048】
続いて、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を変化させるのに伴う発光光の色度の変化に関して知見を得るべく、下記の検証実験2を行った。検証実験2では、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量を一定とした上で、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量を変化させた。具体的には、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量に対する第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量の比率を「含有量比率」としたとき、含有量比率を「1」としたものを比較例1とし、含有量比率を「1.1」としたものを実施例2とし、含有量比率を「1.73」としたものを実施例1とし、含有量比率を「2.98」としたものを比較例2とし、含有量比率を「3」としたものを比較例3とした。このうち、比較例1は、検証実験1にて説明した比較例1と同一であり、実施例1は、検証実験1にて説明した実施例1と同一である。比較例1~3及び実施例1,2における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量は、全て等しく、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度に係るx値及びy値が(0.283,0.297)となるよう調整されている。第2LED素子21を単独で発光させたときの色度は、色温度が9300Kとなる色度と一致している。参考までに、
図11に、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会)1931色度図を示す。
図11には、黒体軌跡が色温度と共に記載されている。
図11の横軸のx軸及び縦軸のy軸がそれぞれ色度座標値であるx値及びy値を示す。
【0049】
そして、検証実験2では、比較例1~3及び実施例1,2における第1LED素子20をそれぞれ単独で発光させたときの色度を測定した。測定結果は、
図12及び
図13に示される通りである。
図12は、検証実験2の実験結果を示すCIE1931色度図である。
図12の横軸のx軸及び縦軸のy軸がそれぞれx値及びy値を示す。検証実験2では、比較例1~3及び実施例1,2において、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と、第1LED素子20を単独で発光させたときの色度と、をCIE1931色度図上にプロットし、これらの2つの色度の間の距離を算出した。
図13は、比較例1~3及び実施例1,2において、各LED素子20,21を単独で発光させたときの色度や上記した2つの色度の間の距離等の実験結果を示す表である。
図13の表の項目には、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量に対する第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量の比率を「含有量比率」とし、単独で発光したLED素子のことを「単独発光」とし、測定された色度に係るx値を「x値」とし、測定された色度に係るy値を「y値」とし、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と第1LED素子20を単独で発光させたときの色度との間の距離を「距離」としてそれぞれ記載した。
【0050】
図12及び
図13によれば、含有量比率が1から高くなるほど、色度に係るx値及びy値が共に大きくなる傾向にある、と言える。つまり、含有量比率が1から高くなるほど、青色味が弱められて緑色味及び赤色味が強められる傾向にある、とも言える。第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と第1LED素子20を単独で発光させたときの色度との間の距離は、含有量比率が1から高くなるに連れて次第に小さくなり、含有量比率が1.73のときに最小となり、含有量比率が1.73から高くなるに連れて次第に大きくなる傾向にある。含有量比率が「1」とされる比較例1において、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と第1LED素子20を単独で発光させたときの色度との間の距離は、0.09865程度とされる。含有量比率が「2.98」とされる比較例2は、上記した距離が比較例1と同一とされる。従って、「1<含有量比率<2.98」の範囲(実施例1,2)であれば、比較例1よりも上記した距離が小さくなり、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と第1LED素子20を単独で発光させたときの色度との色味の差が抑制されることが分かる。そして、含有量比率が「1.73」とされる実施例1において、上記した距離が最小の0.06151程度とされ、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度と第1LED素子20を単独で発光させたときの色度とに生じる色味の差が最も抑制されていることが分かる。
【0051】
以上説明したように本実施形態のLED(光源)15は、青色の波長領域に含まれる第1波長λ1が主発光波長とされる第1LED素子(第1発光素子)20と、青色の波長領域に含まれて第1波長λ1よりも長波長の第2波長λ2が主発光波長とされる第2LED素子(第2発光素子)21と、第1LED素子20に対して出光側に配される第1波長変換部25と、第2LED素子21に対して出光側に配される第2波長変換部26と、を備え、第1波長変換部25は、第1LED素子20から発せられた光を緑色の波長領域の緑色光に波長変換する第1緑色蛍光体25Aと、第1LED素子20から発せられた光を赤色の波長領域の赤色光に波長変換する第1赤色蛍光体25Bと、を含み、第2波長変換部26は、第2LED素子21から発せられた光を緑色光に波長変換する第2緑色蛍光体26Aと、第2LED素子21から発せられた光を赤色光に波長変換する第2赤色蛍光体26Bと、を含んでおり、第1波長変換部25及び第2波長変換部26は、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と組成との少なくとも一方が異なる。
【0052】
第1LED素子20から発せられた青色の波長領域の青色光は、一部が第1波長変換部25の第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bによって緑色の波長領域の緑色光、及び赤色の波長領域の赤色光に波長変換される。第2LED素子21から発せられた青色光は、一部が第2波長変換部26の第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bによって緑色光及び赤色光に波長変換される。第1LED素子20は、青色の波長領域に含まれる第1波長λ1を主発光波長とした青色光を発し、第2LED素子21は、青色の波長領域に含まれる第2波長λ2を主発光波長とした青色光を発する。第2波長λ2は、第1波長λ1よりも長波長であるから、第1LED素子20の発光量と第2LED素子21の発光量とを適宜に調整することで、サーカディアンリズムに適合した光を発することが可能となる。一方、第1LED素子20と第2LED素子21とで主発光波長が異なると、それが色味の差となって視認され易くなる、という問題がある。
【0053】
その点、第1波長変換部25及び第2波長変換部26は、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量と組成との少なくとも一方が異なっている。つまり、第1緑色蛍光体25A、第1赤色蛍光体25B、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bのにおける含有量と組成との少なくとも一方が異なるよう調整することで、第1LED素子20から発せられた青色光と、第1波長変換部25によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と、第2波長変換部26によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を緩和することができる。これにより、第1LED素子20と第2LED素子21とで主発光波長が異なっていても、それが色味の差となって視認され難くなる。
【0054】
また、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量は、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量よりも多い。このようにすれば、第1波長変換部25の第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bによって波長変換される光は、第2波長変換部26の第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bによって波長変換される光よりも多くなる。これにより、第1LED素子20から発せられた青色光と、第1波長変換部25によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と、第2波長変換部26によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を好適に緩和することができる。
【0055】
また、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bのの含有量は、第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量に対する比率が、1よりも大きく2.98よりも小さい。仮に、上記した比率が2.98よりも大きいと、色味の差が、比率が1の場合と同等かそれよりも大きくなる。その点、上記した比率を、1よりも大きく2.98よりも小さくすることで、比率が1の場合よりも色味の差を小さくすることができる。
【0056】
また、第1LED素子20及び第2LED素子21を収容する収容部22と、収容部22内に充填されて第1LED素子20を封止する第1封止部23と、収容部22内に充填されて第2LED素子21を封止する第2封止部24と、を備え、第1波長変換部25は、第1封止部23に含有され、第2波長変換部26は、第2封止部24に含有される。収容部22に収容された第1LED素子20及び第2LED素子21は、収容部22内に充填される第1封止部23及び第2封止部24によって封止される。第1LED素子20から発せられた青色の波長領域の青色光は、一部が第1封止部23に含有される第1波長変換部25によって緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光に波長変換される。第2LED素子21から発せられた青色の波長領域の青色光は、一部が第2封止部24に含有される第2波長変換部26によって緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光に波長変換される。
【0057】
また、第1封止部23は、第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有濃度が、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有濃度と等しく、第1封止部23は、第2封止部24よりも充填量が多い。このようにすれば、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有量が、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有量よりも多くなる。従って、第1波長変換部25によって波長変換される光は、第2波長変換部26によって波長変換される光よりも多くなる。これにより、第1LED素子20から発せられた青色光と、第1波長変換部25によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子21から発せられた青色光と、第2波長変換部26によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を好適に緩和することができる。また、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有濃度と、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有濃度と、が等しいので、第1封止部23及び第2封止部24の材料を共通化することが可能となる。
【0058】
また、収容部22には、第1封止部23と第2封止部24とを仕切る仕切壁22Cが設けられている。仕切壁22Cによって第1封止部23と第2封止部24とが混ざり合うことが避けられる。これにより、第1封止部23に含有される第1波長変換部25と、第2封止部24に含有される第2波長変換部26と、における各含有量や各組成を適切な状態に維持することができる。
【0059】
また、第1LED素子20は、第1波長λ1が420nm~450nmの範囲とされ、第2LED素子21は、第2波長λ2が450nm~480nmの範囲とされる。このように、第1波長λ1が420nm以上とされているので、仮に、第1波長を420nmよりも短波長とした場合に比べると、第1LED素子20から発せられる光に高エネルギー紫外線(HEV:High Energy Violet light)が含まれないから、網膜細胞等への悪影響を抑制することができる。第1波長λ1が420nm~450nmの範囲とされ、第2波長λ2が450nm~480nmの範囲とされているので、第1LED素子20を非発光とし、第2LED素子21を発光させれば、メラトニンの分泌を好適に抑制することができる。一方、第2LED素子21を非発光とし、第1LED素子20を発光させれば、メラトニンの分泌が阻害され難くなる。従って、例えば一日のうちの朝は、第1LED素子20を非発光として第2LED素子21を発光させ、夜は、第2LED素子21を非発光として第1LED素子20を発光させることで、人間のサーカディアンリズムに適合した光が得られる。
【0060】
また、本実施形態に係るバックライト装置(照明装置)12は、上記記載のLED15と、LED15に対して出光側に配されてLED15から発せられた光に光学作用を付与する光学部材である導光板17及び光学シート19と、を備える。このようなバックライト装置12によれば、LED15から発せられる光において色味の差が視認され難くなっているから、光学部材である導光板17及び光学シート19によって光学作用が付与された光においても色ムラが生じ難くなる。
【0061】
また、光学部材は、LED15の発光面15Aと対向する入光端面17Aを有し、LED15からの光を導光する導光板17を含んでおり、LED15は、入光端面17Aに沿って複数が並んで配されている。複数のLED15の各発光面15Aから発せられた光が導光板17の入光端面17Aに入射すると、導光板17内を導光された後に、導光板17から出射される。各LED15から発せられる光において色味の差が視認され難くなることで、導光板17から出射される光においても色ムラが生じ難くなる。
【0062】
また、本実施形態に係る液晶表示装置(表示装置)10は、上記記載のバックライト装置12と、バックライト装置12からの光を利用して表示を行う液晶パネル(表示パネル)11と、を備える。このような構成の液晶表示装置10によれば、バックライト装置12から液晶パネル11に照射される光に色ムラが生じ難くなっているから、高い表示品位を得ることができる。
【0063】
<実施形態2>
実施形態2を
図14から
図17によって説明する。この実施形態2では、第1波長変換部125及び第2波長変換部126の組成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0064】
本実施形態に係るLED115は、
図14に示すように、第1波長変換部125と第2波長変換部126とで第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの組成が異なるよう構成されている。詳しくは、第1波長変換部125における第1赤色蛍光体125Bに対する第1緑色蛍光体125Aの含有量の比率は、第2波長変換部126における第2赤色蛍光体126Bに対する第2緑色蛍光体126Aの含有量の比率よりも高い。逆に言うと、第1波長変換部125における第1緑色蛍光体125Aに対する第1赤色蛍光体125Bの含有量の比率率は、第2波長変換部126における第2緑色蛍光体126Aに対する第2赤色蛍光体126Bの含有量の比よりも低い。
【0065】
このようにすれば、第1波長変換部125に含まれる第1赤色蛍光体125Bによって波長変換される赤色光に対する、第1緑色蛍光体125Aによって波長変換される緑色光の光量の比率(G/R比率)が、第2波長変換部126に含まれる第2赤色蛍光体126Bによって波長変換される赤色光に対する、第2緑色蛍光体126Aによって波長変換される緑色光の光量の比率よりも高くなる。言い換えると、第1波長変換部125に含まれる第1緑色蛍光体125Aによって波長変換される緑色光に対する、第1赤色蛍光体125Bによって波長変換される赤色光の光量の比率(R/G比率)が、第2波長変換部126に含まれる第2緑色蛍光体126Aによって波長変換される緑色光に対する、第2赤色蛍光体126Bによって波長変換される赤色光の光量の比率よりも高くなる。従って、第1波長変換部125によって波長変換される緑色光及び赤色光は、第2波長変換部126によって波長変換される緑色光及び赤色光よりも緑色味が強められることになる。第2波長変換部126によって波長変換される緑色光及び赤色光は、第1波長変換部125によって波長変換される緑色光及び赤色光よりも赤色味が強められる、とも言える。このような傾向に基づき、第1波長変換部125の組成、つまり第1緑色蛍光体125Aと第1赤色蛍光体125Bとの含有比率と、第2波長変換部126の組成、つまり第2緑色蛍光体126Aと第2赤色蛍光体126Bとの含有比率と、が異なるよう調整されることで、第1LED素子120から発せられた青色光と第1波長変換部125によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、第2LED素子121から発せられた青色光と第2波長変換部126によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を好適に緩和することができる。これにより、第1LED素子120と第2LED素子121とで主発光波長が異なっていても、それが色味の差となって「色ムラ」が視認され難くなる。
【0066】
本実施形態では、第1封止部123及び第2封止部124は、
図14に示すように、収容部122への充填量が等しくなっている。このように、第1封止部123及び第2封止部124の充填量が等しくされることで、LED115の製造が容易になる。また、第1封止部123及び第2封止部124の表面であるLED115の発光面115Aを面一状にすることができる。このように、第1封止部123及び第2封止部124の充填量が等しくても、既述した通り第1波長変換部125及び第2波長変換部126における第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの組成が異なるよう調整されているので、第1LED素子120から発せられた青色光と第1波長変換部125によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、第2LED素子121から発せられた青色光と第2波長変換部126によって波長変換された緑色光及び赤色光とを加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を良好に緩和することができる。
【0067】
第1波長変換部125及び第2波長変換部126における第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの組成について、具体例を挙げて説明する。本実施形態に係るLED115では、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させたときの色度のx値及びy値が(0.283,0.297)で一致するよう、第1波長変換部125及び第2波長変換部126の組成が調整されている。つまり、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させたときの色度は、色温度が9300Kとなる色度と一致している。
【0068】
本実施形態に係るLED115の発光スペクトルは、
図15に示される通りである。
図15における横軸が光の波長(単位は「nm」)とされ、縦軸が相対発光強度(無単位)とされる。
図15には、第1LED素子120を単独で発光させた場合の発光スペクトルと、第2LED素子121を単独で発光させた場合の発光スペクトルと、が併記されている。
図15には、第1LED素子120の発光スペクトルが実線で図示され、第2LED素子121の発光スペクトルが一点鎖線で図示されている。なお、
図15は、第1LED素子120の発光スペクトルに含まれる第1波長λ1のピーク強度と、第2LED素子121の発光スペクトルに含まれる第2波長λ2のピーク強度と、が「0.896」程度で等しくなるよう、規格化されている。
図15によれば、第1LED素子120を単独で発光させた場合、青色光のピーク波長は、425nmであり、緑色光のピーク波長は、536nmであり、赤色光のピーク波長は、632nmである。また、第2LED素子121を単独で発光させた場合、青色光のピーク波長は、480nmであり、緑色光のピーク波長は、536nmであり、赤色光のピーク波長は、632nmである。
【0069】
図15に示されるLED115の発光スペクトルにおける青色光、緑色光及び赤色光の各ピーク強度を抽出し、
図16の表に記載した。
図16には、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させた場合の青色光のピーク強度と、緑色光のピーク強度と、赤色光のピーク強度と、が記載されている。
図16に記載された各光のピーク強度は、青色光のピーク強度を基準(1.0)とした相対値である。具体的には、
図16に示される緑色光のピーク強度は、
図15に示される相対発光強度に係る緑色光のピーク強度を、
図15に示される相対発光強度に係る青色光のピーク強度にて除して算出されている。同様に、
図16に示される赤色光のピーク強度は、
図15に示される相対発光強度に係る赤色光のピーク強度を、
図15に示される相対発光強度に係る青色光のピーク強度にて除して算出されている。さらには、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させた場合の赤色光に対する緑色光の光量の比率(G/R比率)と、緑色光に対する赤色光の光量の比率(R/G比率)と、を算出し、
図17の表に記載した。
図17に示されるG/R比率は、
図16に示される緑色光のピーク強度を、赤色光のピーク強度にて除して算出されている。R/G比率は、
図16に示される赤色光のピーク強度を、緑色光のピーク強度にて除して算出されている。
【0070】
図15及び
図16によれば、第1LED素子120を単独で発光させた場合の緑色光のピーク強度(0.32)が、第2LED素子121を単独で発光させた場合の緑色光のピーク強度(0.13)よりも大きい。一方、第1LED素子120を単独で発光させた場合の赤色光のピーク強度(0.58)が、第2LED素子121を単独で発光させた場合の赤色光のピーク強度(0.69)よりも小さい。緑色光のピーク強度は、第1緑色蛍光体125Aや第2緑色蛍光体126Aの含有量と相関関係がある。赤色光のピーク強度は、第1赤色蛍光体125Bや第2赤色蛍光体126Bの含有量と相関関係がある。そして、第1LED素子120を単独で発光させた場合のG/R比率(0.55)は、第2LED素子121を単独で発光させた場合のG/R比率(0.19)よりも高い。第1LED素子120を単独で発光させた場合のR/G比率(1.81)は、第2LED素子121を単独で発光させた場合のR/G比率(5.31)よりも低い。G/R比率は、第1赤色蛍光体125Bに対する第1緑色蛍光体125Aの含有量の比率や第2赤色蛍光体126Bに対する第2緑色蛍光体126Aの含有量の比率と相関関係がある。R/G比率は、第1緑色蛍光体125Aに対する第1赤色蛍光体125Bの含有量の比率や第2緑色蛍光体126Aに対する第2赤色蛍光体126Bの含有量の比率と相関関係がある。従って、本実施形態に係るLED115は、第1赤色蛍光体125Bに対する第1緑色蛍光体125Aの含有量の比率が、第2赤色蛍光体126Bに対する第2緑色蛍光体126Aの含有量の比率よりも高い、と言える。
【0071】
以上説明したように本実施形態によれば、第1赤色蛍光体125Bに対する第1緑色蛍光体125Aの含有量の比率が、第2赤色蛍光体126Bに対する第2緑色蛍光体126Aの含有量の比率よりも高い。このようにすれば、第1波長変換部125に含まれる第1赤色蛍光体125Bによって波長変換される赤色光に対する、第1緑色蛍光体125Aによって波長変換される緑色光の光量の比率が、第2波長変換部126に含まれる第2赤色蛍光体126Bによって波長変換される赤色光に対する、第2緑色蛍光体126Aによって波長変換される緑色光の光量の比率よりも高くなる。これにより、第1LED素子120から発せられた青色光と、第1波長変換部125によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子121から発せられた青色光と、第2波長変換部126によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を好適に緩和することができる。
【0072】
また、第1波長変換部125及び第2波長変換部126は、第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの組成が異なっており、第1封止部123及び第2封止部124は、充填量が等しい。第1封止部123及び第2封止部124の充填量が等しくされることで、当該LED115の製造が容易になる。第1封止部123及び第2封止部124は、充填量が等しくても、含有される第1波長変換部125及び第2波長変換部126における第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの組成が異なっているので、第1LED素子120から発せられた青色光と、第1波長変換部125によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、第2LED素子121から発せられた青色光と、第2波長変換部126によって波長変換された緑色の波長領域から赤色の波長領域までに含まれる光と、を加色混合して得られる色味と、に生じ得る差を良好に緩和することができる。
【0073】
<実施形態3>
実施形態3を
図18によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1からLED215の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0074】
本実施形態に係るLED215は、
図18に示すように、収容部222を構成する仕切壁222Cが、周壁222Bの短辺方向(X軸方向)に沿って延在する平板状をなしている。仕切壁222Cは、周壁222Bの一対の長辺部に連ねられている。仕切壁222Cは、収容部222の内部空間を、周壁222Bの長辺方向(Z軸方向)について2つの空間S1,S2に仕切っている。2つのLED素子220,221は、仕切壁222Cによって仕切られた収容部222内の2つの空間S1,S2に収容されており、Z軸方向に沿って並ぶ配置とされる。2つのLED素子220,221は、いずれも正方形に近い方形状をなしている。このような構成のLED215は、実施形態1に記載したLED15に比べると、各空間S1,S2及び各LED素子220,221におけるX軸方向についての寸法が大きく確保されるので、量産性に優れる。
【0075】
<実施形態4>
実施形態4を
図19によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1からLED315の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0076】
本実施形態に係るLED315は、
図19に示すように、収容部322を構成する仕切壁322Cが、周壁322Bの長辺方向(Z軸方向)及び短辺方向(X軸方向)の双方に対する斜め方向に沿って延在する平板状をなしている。仕切壁322Cは、平面に視て横長で方形の枠状をなす周壁322Bにおける対角線に沿って延在しており、周壁422Bにおける対角位置にある一対の角部に連ねられている。このような仕切壁322Cによって仕切られた収容部322の内部空間である2つの空間S1,S2は、いずれも平面から視て直角三角形状をなしている。このような空間S1,S2に収容される2つのLED素子320,321は、いずれも横長の長手状をなしており、その長手方向を周壁322Bの長辺方向と一致させて配されている。2つのLED素子320,321は、一部同士がZ軸方向についてオーバーラップする関係の配置とされる。このような構成のLED315は、実施形態1に記載したLED15に比べると、各空間S1,S2におけるX軸方向についての寸法が大きく確保されるので、量産性に優れる。
【0077】
<実施形態5>
実施形態5を
図20によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態4からLED415の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態4と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0078】
本実施形態に係るLED415は、
図20に示すように、第1LED素子420及び第2LED素子421の長手方向が、周壁422Bにおける対角線に沿って延在する仕切壁422Cに並行する構成とされる。このようにすれば、第1LED素子420と仕切壁422Cとの間の間隔が一定になるとともに、第2LED素子421と仕切壁422Cとの間の間隔が一定になる。従って、上記した実施形態1から実施形態4のように、第1LED素子及び第2LED素子の長手方向が、周壁422Bに並行する配置に比べると、第1LED素子420及び第2LED素子421を収容部422内に収容する際に仕切壁422Cに干渉する事態が生じ難くなる。これにより、収容部422の小型化を図る上で好適となる。
【0079】
以上説明したように本実施形態によれば、収容部422は、仕切壁422Cを支持する底部22A(
図5を参照)と、底部22Aから立ち上がって第1封止部423及び第2封止部424を取り囲む周壁422Bと、を有し、周壁422Bは、平面視において方形の枠状をなしており、仕切壁422Cは、周壁422Bにおける対角線に沿って延在するよう設けられており、第1LED素子420及び第2LED素子421は、いずれも長手状をなしていてその長手方向が仕切壁422Cに並行するよう配される。底部22Aと周壁422Bと仕切壁422Cとによって画定された2つの空間S1,S2に第1封止部423及び第2封止部424がそれぞれ充填される。長手状をなす第1LED素子420及び第2LED素子421は、長手方向が仕切壁422Cに並行するよう配されているから、仮に第1LED素子及び第2LED素子を長手方向が周壁422Bに並行するよう配した場合に比べると、第1LED素子420及び第2LED素子421を収容部422内に収容する際に仕切壁422Cに干渉する事態が生じ難くなる。これにより、収容部422の小型化を図る上で好適となる。
【0080】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0081】
(1)第1波長変換部25,125及び第2波長変換部26,126は、第1緑色蛍光体25A,125A、第1赤色蛍光体25B,125B、第2緑色蛍光体26A,126A及び第2赤色蛍光体26B,126Bの含有量と組成とが両方とも異なっていてもよい。
【0082】
(2)実施形態1に記載した構成において、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度は、9300K以外の色温度となる色度でもよい。また、第2LED素子21を単独で発光させたときの色度が、黒体軌跡上になくてもよい。
【0083】
(3)実施形態2に記載した構成において、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させたときの色度は、9300K以外の色温度となる色度でもよい。また、第1LED素子120及び第2LED素子121をそれぞれ単独で発光させたときの色度が、黒体軌跡上になくてもよい。
【0084】
(4)実施形態1に記載した構成において、第1封止部23及び第2封止部24の充填量を等しくし、第2封止部24における第2緑色蛍光体26A及び第2赤色蛍光体26Bの含有濃度を、第1封止部23における第1緑色蛍光体25A及び第1赤色蛍光体25Bの含有濃度よりも高くしてもよい。
【0085】
(5)実施形態2に記載した構成において、互いに組成が異なる第1波長変換部125及び第2波長変換部126における第1緑色蛍光体125A、第1赤色蛍光体125B、第2緑色蛍光体126A及び第2赤色蛍光体126Bの含有量が、等しくてもよい。
【0086】
(6)実施形態2に記載した構成に、実施形態3,4,5に記載した構成を組み合わせてもよい。
【0087】
(7)第1LED素子20,120,220,320,420の主発光波長である第1波長λ1は、420nm~450nmの範囲において適宜に変更可能である。同様に、第2LED素子21,121,221,321,421の主発光波長である第2波長λ2は、450nm~480nmの範囲において適宜に変更可能である。第1波長変換部25,125及び第2波長変換部26,126における含有量や組成は、第1波長λ1及び第2波長λ2の各数値に応じて適宜に変更すればよい。
【0088】
(8)各緑色蛍光体25A,125A,126A,126Aは、β-SiAlON以外の材料であってもよい。同様に、各赤色蛍光体25B,125B,26B,126Bは、ケイフッ化カリウム以外の材料であってもよい。
【0089】
(9)第1緑色蛍光体25A,125Aと第2緑色蛍光体26A,126Aとが異なる材料であってもよい。同様に、第1赤色蛍光体25B,125Bと第2赤色蛍光体26B,126Bとが異なる材料であってもよい。
【0090】
(10)LED15,115,215,315,415(第1LED素子20,120,220,320,420及び第2LED素子21,121,221,321,421)の発光スペクトルに係るスペクトル形状は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0091】
(11)LED15,115,215,315,415は、第1LED素子20,120,220,320,420及び第2LED素子21,121,221,321,421を複数ずつ有してもよい。
【0092】
(12)各波長変換部25,125,26,126には、黄色蛍光体が含まれてもよい。黄色蛍光体は、青色光を波長変換して、黄色の波長領域(約580nm~約600nm)の光である黄色光を発する。
【0093】
(13)LED15,115,215,315,415の収容部22,122,222,322,422における平面に視た形状や断面形状等は、適宜に変更可能である。例えば収容部22,122,222,322,422の平面形状が正方形、縦長の方形、台形、菱形等であってもよい。また、例えば、収容部22,122,222,322,422の周壁22B,222B,322B,422Bがラッパ状に傾斜した断面形状であってもよい。
【0094】
(14)光源として、LED15,115,215,315,415以外にも、有機EL(Electro Luminescence)等を用いてもよい。
【0095】
(15)バックライト装置12は、エッジライト型以外にも直下型であってもよい。
【0096】
(16)光学シート19の枚数、種類、積層順等は、適宜に変更可能である。
【0097】
(17)液晶パネル11は、透過型以外にも半透過型であってもよい。
【0098】
(18)液晶パネル11の表示モードは、VAモード、IPSモード等でもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…液晶表示装置(表示装置)、11…液晶パネル(表示パネル)、12…バックライト装置(照明装置)、15,115,215,315,415…LED(光源)、15A,115A…発光面、17…導光板(光学部材)、17A…入光端面、19…光学シート(光学部材)、20,120,220,320,420…第1LED素子(第1発光素子)、21,121,221,321,421…第2LED素子(第2発光素子)、22,122,222,322,422…収容部、22A…底部、22B,222B,322B,422B…周壁、22C,222C,322C,422C…仕切壁、23,123,423…第1封止部、24,124,424…第2封止部、25,125…第1波長変換部、25A,125A…第1緑色蛍光体、25B,125B…第1赤色蛍光体、26,126…第2波長変換部、26A,126A…第2緑色蛍光体、26B,126B…第2赤色蛍光体、λ1…第1波長、λ2…第2波長