(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159106
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】搬送システムおよび容器の搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 59/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65G59/06 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074883
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219750
【氏名又は名称】東海高熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上羽 孝佳
(72)【発明者】
【氏名】小野 敦樹
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA04
(57)【要約】
【解決課題】処理対象物を収納する容器の破損を防ぎつつ効率的に搬送できる搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システムは、互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物を収納可能に構成されるとともに、差込部を差し込み可能な凹部を有する複数の容器と、前記複数の容器を送ることが可能な搬送路と、前記差込部を有し、前記凹部に対して前記差込部を差し込んで前記容器を前記搬送路から持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な支持部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物を収納可能に構成されるとともに、差込部を差し込み可能な凹部を有する複数の容器と、
前記複数の容器を送り方向に送ることが可能な搬送路と、
前記差込部を有し、前記凹部に対して前記差込部を差し込んで前記容器を前記搬送路から持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な支持部材と、
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記搬送路と前記複数の容器との間に介在され、貫通孔を有するとともに前記上下方向に重ね合わされた前記複数の容器を載置可能な台板と、
前記貫通孔を貫通した状態で前記複数の容器を支持可能なピンと、
を備え、
前記容器は、開口部と、前記開口部に隣接して設けられた前記凹部と、を有し、
前記搬送路は、複数のローラを備え、前記ローラ同士の間には隙間が設けられ、
前記ピンは、上下方向に移動可能かつ前記隙間を貫通して前記複数の容器を支持可能である請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記支持部材は、
上側の前記容器を持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な第1アーム部と、
下側の前記容器を持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な第2アーム部と、
を有し、
前記差込部は、
前記第1アーム部に設けられる第1差込片と、
前記第2アーム部に設けられる第2差込片と、
を有する請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送路の上流側に、前記容器内の前記処理対象物を処理する装置を備える請求項2に記載の搬送システム。
【請求項5】
互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物を収納可能に構成されるとともに、第1アーム部および第2アーム部のいずれかを差し込み可能な凹部を有する複数の容器と、
前記複数の容器を送ることが可能な搬送路と、
上側の前記容器を持ち上げたり前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な前記第1アーム部と、
下側の前記容器を持ち上げたり前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な前記第2アーム部と、
前記搬送路と前記複数の容器との間に介在され、貫通孔を有するとともに前記上下方向に重ね合わされた前記複数の容器を載置可能な台板と、
上下方向に移動可能かつ前記貫通孔を貫通した状態で前記複数の容器を支持可能なピンと、
を備える搬送システムを用いた容器の搬送方法であって、
前記ピンにより前記複数の容器を支持して前記搬送路から持ち上げ、
前記ピンにより前記搬送路から持ち上げられた前記複数の容器のうち上側の前記容器を前記第1アーム部により持ち上げ、
前記ピンにより前記搬送路から持ち上げられた前記複数の容器のうち下側の前記容器を前記第2アーム部により持ち上げ、
前記ピンは前記貫通孔から離脱し、
前記搬送路は前記台板を送り方向に送り、
前記ピンは前記下側の容器を支持するとともに、前記第2アーム部は前記下側の容器を開放し、
前記ピンは前記下側の容器を前記搬送路上に置いた後に、前記搬送路は前記下側の容器を送り方向に送り、
前記ピンは前記上側の容器を支持するとともに、前記第1アーム部は前記上側の容器を開放し、
前記ピンは前記上側の容器を前記搬送路上に置いた後に、前記搬送路は前記上側の容器を送り方向に送る、容器の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的に搬送可能な搬送システムおよび容器の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このロボットアームは、対象物を把持するハンド機構と、ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、処理対象物を入れた容器をロボットアームで把持しようとすると、容器が破損してしまう可能性がある。一方で、容器を効率よく搬送したいというニーズも存在する。
従って、本発明の目的は、処理対象物を収納する容器の破損を防ぎつつ効率的に搬送できる搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の搬送システムは、
互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物を収納可能に構成されるとともに、差込部を差し込み可能な凹部を有する複数の容器と、
前記複数の容器を送り方向に送ることが可能な搬送路と、
前記差込部を有し、前記凹部に対して前記差込部を差し込んで前記容器を前記搬送路から持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な支持部材と、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)の搬送システムは、(1)記載の搬送システムであって、
前記搬送路と前記複数の容器との間に介在され、貫通孔を有するとともに前記上下方向に重ね合わされた前記複数の容器を載置可能な台板と、
前記貫通孔を貫通した状態で前記複数の容器を支持可能なピンと、
を備え、
前記容器は、開口部と、前記開口部に隣接して設けられた前記凹部と、を有し、
前記搬送路は、複数のローラを備え、前記ローラ同士の間には隙間が設けられ、
前記ピンは、上下方向に移動可能かつ前記隙間を貫通して前記複数の容器を支持可能である。
【0007】
また、本発明(3)の搬送システムは、(2)記載の搬送システムであって、
前記支持部材は、
上側の前記容器を持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な第1アーム部と、
下側の前記容器を持ち上げたり、前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な第2アーム部と、
を有し、
前記差込部は、
前記第1アーム部に設けられる第1差込片と、
前記第2アーム部に設けられる第2差込片と、
を有する。
【0008】
また、本発明(4)の搬送システムは、(2)記載の搬送システムであって、
前記搬送路の上流側に、前記容器内の前記処理対象物を処理する装置を備える。
【0009】
また、本発明(5)の容器の搬送方法は、
互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物を収納可能に構成されるとともに、第1アーム部および第2アーム部のいずれかを差し込み可能な凹部を有する複数の容器と、
前記複数の容器を送ることが可能な搬送路と、
上側の前記容器を持ち上げたり前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な前記第1アーム部と、
下側の前記容器を持ち上げたり前記容器の持ち上げを解除したりすることが可能な前記第2アーム部と、
前記搬送路と前記複数の容器との間に介在され、貫通孔を有するとともに前記上下方向に重ね合わされた前記複数の容器を載置可能な台板と、
上下方向に移動可能かつ前記貫通孔を貫通した状態で前記複数の容器を支持可能なピンと、
を備える搬送システムを用いた容器の搬送方法であって、
前記ピンにより前記複数の容器を支持して前記搬送路から持ち上げ、
前記ピンにより前記搬送路から持ち上げられた前記複数の容器のうち上側の前記容器を前記第1アーム部により持ち上げ、
前記ピンにより前記搬送路から持ち上げられた前記複数の容器のうち下側の前記容器を前記第2アーム部により持ち上げ、
前記ピンは前記貫通孔から離脱し、
前記搬送路は前記台板を送り方向に送り、
前記ピンは前記下側の容器を支持するとともに、前記第2アーム部は前記下側の容器を開放し、
前記ピンは前記下側の容器を前記搬送路上に置いた後に、前記搬送路は前記下側の容器を送り方向に送り、
前記ピンは前記上側の容器を支持するとともに、前記第1アーム部は前記上側の容器を開放し、
前記ピンは前記上側の容器を前記搬送路上に置いた後に、前記搬送路は前記上側の容器を送り方向に送る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理対象物を収納する容器の破損を防ぎつつ効率的に搬送できる搬送システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の搬送システムを含む連続炉を上方向から模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示す搬送システムを縦方向に切断して示した断面図である。
【
図3】
図1に示す搬送システムの容器を
図4のF3-F3線の位置で切断して示した断面図である。
【
図4】
図1に示す搬送システムの容器を示す平面図である。
【
図5】
図1に示す搬送システムの台板を
図6のF5-F5線の位置で切断して示した断面図である。
【
図6】
図1に示す搬送システムの台板を示す平面図である。
【
図7】
図1に示す搬送システムの昇降部を示した正面図である。
【
図8】
図1に示す搬送システムの昇降部を示した平面図である。
【
図9】
図1に示す搬送システムの一部を破断して示した断面図である。
【
図10】
図9に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図11】
図10に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図12】
図11に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図13】
図12に示すA-A´線の位置で搬送システムを切断して示した断面図である。
【
図14】
図12に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図15】
図14に示すA-A´線の位置で搬送システムを切断して示した断面図である。
【
図16】
図14に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図17】
図16に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図18】
図17に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図19】
図18に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図20】
図19に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【
図21】
図20に示す搬送システムの次の工程を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の搬送システムを含む連続式製造設備の実施形態について説明する。本実施形態の連続式製造設備は、例えば粉末材料を順次処理し循環式の搬送機構を持つ連続式製造設備である。この連続式製造設備に用いられる分離機構(搬送システム)は、二段重ねされた容器を一段ずつ取り出して下流方向(送り方向)に送ることができるものである。
[実施形態]
【0013】
図1に本発明の搬送システムを模式的に示す。連続製造設備11は、環状をなした搬送機構12上に、各機能を持った複数の機構(ユニット)を離散的に配置して構成されている。
【0014】
連続製造設備11は、環状をなして
図1に矢印で示す送り方向(下流方向)に容器16を送る搬送機構12と、処理対象物13を処理する処理機構14と、二段重ねの容器16を一段ずつに分離して送る搬送システム18(分離機構)と、容器16から処理後の処理対象物13を回収する回収機構と、容器16と台板22とを検査する検査機構と、容器16に新しい処理対象物13を投入する投入機構と、処理対象物13が投入された容器16をロボットを介して二段重ねにする重ね合わせ機構と、これらの各機構(ユニット)を統括制御するコンピュータで構成される制御部26と、を備える。
【0015】
搬送機構12は、複数のローラ27を有し、複数のモータにローラ27が回転駆動されることで容器16および後述する台板22を送り方向に送ることができる。
【0016】
制御部26を構成するコンピュータは、一般的なコンピュータで構成される。すなわち、当該コンピュータは、CPU、ROM、RAM、およびハードディスクドライブを有する。当該コンピュータは、SSDを有していてもよい。コンピュータは、上記した連続製造設備11の各部の状態を表示するディスプレイを有する。
【0017】
図2を参照して、連続製造設備11に含まれる搬送システム18(分離機構)の詳細について説明する。搬送システム18は、上記した環状の搬送機構12の一部を構成する搬送路31と、搬送路31の周囲を取り囲むように設けられたケーシング32と、搬送路31上を送られる台板22と、台板22上に二段重ねで送られる容器16と、容器16を搬送路31から持ち上げたり容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な支持部材33と、支持部材33に設けられる差込部34と、容器16を下側から持ち上げたり容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な昇降部35と、を備える。この搬送システム18(搬送路31)の上流側に、容器16内の処理対象物13を処理する処理機構14が位置している。
【0018】
搬送路31は、モータで回転駆動される複数のローラ27を含んでいる。ローラ27同士の間には、隙間27Aを有する。この隙間27Aには、後述する昇降部35のピン54を通すことができる。
【0019】
図2に示すように、支持部材33は、一般的な産業ロボットで構成される。すなわち、支持部材33は、二段重ねの容器16の上側の容器16を持ち上げることが可能な第1アーム部41と、二段重ねの容器16の下側の容器16を持ち上げることが可能な第2アーム部42と、を有する。差込部34は、第1アーム部41の先端に設けられる第1差込片44と、第2アーム部42の先端に設けられる第2差込片46と、を有する。第1差込片44は、扁平な板状に形成され、二段重ねされた容器16のうち、下側の容器16の凹部16Aに差し込むことができる。これによって、二段重ねされた容器16のうち、上側の容器16を持ち上げることができる。第2差込片46は、扁平な板状に形成され、二段重ねされた容器16のうち、下側の容器16の下側に差し込むことができる。これによって、二段重ねされた容器16のうち、下側の容器16を持ち上げることができる。
【0020】
第1アーム部41は、図示しないシリンダー等のアクチュエータによって、
図2に示す上下方向UDおよび容器16の幅方向Wに移動可能に構成されている。第2アーム部42は、図示しないシリンダー等のアクチュエータによって、
図2に示す上下方向UDおよび容器16の幅方向Wに移動可能に構成されている。第2アーム部42は、第1アーム部41とは独立に上下方向UDおよび幅方向Wに移動可能に構成されている。
【0021】
図3、
図4に示すように、容器16は、上方から見て略方形の箱状をなしている。容器16は、上方に向けて解放した開口部51と、開口部51に隣接して設けられた複数の凹部16Aと、を有する。本実施形態において、複数の凹部16Aのそれぞれは、開口部51から方形に切り欠くように形成した切欠きとして形成されている。
図2に示すように、容器16の内側に、処理対象物13が収納されている。凹部16Aには、第1アーム部41(第1差込片44)および第2アーム部42(第2差込片46)のいずれかを差し込み可能であってよい。
【0022】
図5、
図6に示すように、台板22は、平板状に形成されている。台板22は、厚み方向に貫通するように設けられた複数の貫通孔22Aを有する。
図9に示すように、台板22上に容器16が載置される。
【0023】
図7、
図8に示すように、昇降部35は、平板状の台座53と、台座53から起立するように設けられた複数のピン54と、を有する。昇降部35は、金属材料によって一体的に形成されている。
【0024】
図9に示すように、搬送路31は、複数のローラ27を有している。複数のローラ27のそれぞれは、図示しないモータの駆動によって回転して、下流方向に台板22および容器16を送ることができる。
【0025】
図1を参照して、連続製造設備11での処理対象物13の処理の流れについて説明する。台板22および容器16は、搬送機構12によって、検査機構23、投入機構24、重ね合わせ機構25、処理機構14、搬送システム18(分離機構)、および回収機構21の順に、巡回するように送られる。以下の動作は、すべて制御部26からの統括的な制御の下でなされる。
【0026】
台板22と、台板22上に載置された空の容器16は、検査機構23によって検査される。なお、検査機構23を通る際には、台板22に対して一段重ねで容器16が載置される。
【0027】
検査機構23において、台板22及び空の容器16に異常がないと判断された場合には、投入機構24において容器16内に処理対象物13が投入される。処理対象物13が投入された容器16は、重ね合わせ機構において上下方向に2段に重ね合わせられる。
【0028】
2段に重ね合わせられた容器16は、処理機構14において処理がなされる。このとき、容器16は、縦方向に2段重ねで送られる。これによって、容器16内の処理対象物13の処理がなされる。
【0029】
搬送システム18(分離機構)において、台板22が容器16の下側から取り出されて下流に送られるとともに、2段重ねになった容器16も1段ずつ送られる。経路12に設けられた回収機構21において、処理された処理対象物13を容器16から回収する。台板22および回収機構21で空になり下流に送られた容器16は、経路12に設けられた検査機構23に送られて、そこで異常がないか検査される。以下は、上記と同様の手順で台板22、容器16、および処理対象物13が連続処理装置11内を循環する。
【0030】
続いて、
図9~
図21を参照して、搬送システム18(分離機構)での処理の詳細について説明する。
図9に示すように、搬送路31のローラ27が回転することで、台板22および台板22上に2段重ねで載置された容器16が矢印で示される送り方向(下流方向)に送られる。
【0031】
台板22および容器16が搬送システム18の所定位置に到達すると、
図10に示すように搬送路31のローラ27が停止する。
図11に示すように、昇降部35を矢印で示すように上昇させる。昇降部35のピン54は、台板22の貫通孔22Aを貫通して2段重ねの容器16を持ち上げる。
【0032】
図12に示すように、第1アーム部41が矢印で示すように、2段重ねされた上側の容器16を持ち上げることができる位置まで下降する。
図13に示すように、第1アーム部41が容器16の幅方向の内側に移動して、第1差込片44を上側の容器16の下側且つ下側の容器16の凹部16A内に差し込む。同様に、第2アーム部42が容器16の幅方向の内側に移動して、第2差込片46を下側の容器16の下側に差し込む。
【0033】
図14、
図15に示すように、第1アーム部41が矢印に示すように上昇して、上側の容器16を上方に持ち上げる。これと同時に、昇降部35が矢印で示すように下降することで、下側の容器16が第2アーム部42によって支持されるようになる。
図16に示すように、この状態で搬送路31のローラ27が回転して、台板22のみを矢印で示す下流方向に送る。
【0034】
続いて、
図17に矢印で示すように、昇降部35が上昇して下側の容器16をピン54で支持する。これと略同時に、第2アーム部42が幅方向外側に退避する。
図18に矢印で示すように、昇降部35が下降して下側の容器16を搬送路31上に置く。
図19に示すように、搬送路31のローラ27が回転駆動して下側の容器16を矢印で示す下流方向に送る。
【0035】
下側の容器16の下流方向への移動が完了した後に、
図20に示すように、昇降部35が上昇して上側の容器をピンで支持する。これと略同時に、第2アーム部42が幅方向外側に退避する。
図21に示すように、昇降部35が下降して上側の容器16を搬送路31上に置く。これと同時に、第1アーム部41が上昇して初期位置まで戻る。この状態で、搬送路31は、上側の容器16を下流側に送ることができる。
【0036】
本実施形態では、搬送システム18(分離機構)によって台板22、上側の容器16、および下側の容器16を、それぞれ単独で分離するように下流方向に送ることができる。このため、さらに下流における回収機構21での処理対象物13の回収などの作業を円滑に行うことができる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。搬送システム18は、互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物13を収納可能に構成されるとともに、差込部34を差し込み可能な凹部16Aを有する複数の容器16と、複数の容器16を送ることが可能な搬送路31と、差込部34を有し、凹部16Aに対して差込部34を差し込んで容器16を搬送路31から持ち上げたり、容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な支持部材33と、を備える。
【0038】
この構成によれば、支持部材33によって上側に重ねられた容器16を持ち上げることで、下側に位置する容器16を一段ずつ取り出して搬送路31で送ることができる。これによって、一段ずつ取り出された容器16から、容器16内の処理対象物13を円滑に取り出すことができる。また、支持部材33は、容器16をつかんで保持するのではなく、容器16を差込部34で持ち上げるようにしているため、容器16が破損してしまう危険を極力低減して、容器16の長寿命化を実現できる。また、支持部材33の構成を簡略化して製造コストを低減できる。
【0039】
搬送システム18は、搬送路31と複数の容器16との間に介在され、貫通孔22Aを有するとともに前記上下方向に重ね合わされた複数の容器16を載置可能な台板22と、貫通孔22Aを貫通した状態で複数の容器16を支持可能なピン54と、を備え、容器16は、開口部51と、開口部51に隣接して設けられた凹部16Aと、を有し、搬送路31は、複数のローラ27を備え、ローラ27同士の間には隙間27Aが設けられ、ピン54は、上下方向に移動可能かつ隙間27Aを貫通して複数の容器16を支持可能である。
【0040】
この構成によれば、凹部16Aを開口部51に隣接して設けた場合でも、台板22を貫通して容器16を持ち上げたピン54の作用によって、最下段に位置する容器16を持ち上げることができる。
【0041】
支持部材33は、上側の容器16を持ち上げたり、容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な第1アーム部41と、下側の容器16を持ち上げたり、容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な第2アーム部42と、を有し、差込部34は、第1アーム部41に設けられる第1差込片44と、第2アーム部42に設けられる第2差込片46と、を有する。
【0042】
この構成によれば、第1アーム部41(第1差込片44)と第2アーム部42(第2差込片46)とによって、上側の容器16と下側の容器16とを別々のタイミングでリリースすることができる。これによって、搬送路31上に容器16を一段ずつ取り出して送ることができる。
搬送システム18は、搬送路31の上流側に、容器16内の処理対象物13を焼成処理する炉を備える。
【0043】
この構成によれば、容器16および処理対象物13を、支持部材33によって搬送路31上に一段ずつ取り出して送ることができる。
【0044】
搬送システム18は、互いに上下方向に重ね合わせられ、且つ内部に処理対象物13を収納可能に構成されるとともに、第1アーム部41又は第2アーム部42を差し込み可能な凹部16Aを有する複数の容器16と、複数の容器16を送ることが可能な搬送路31と、上側の容器16を持ち上げたり容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な第1アーム部41と、下側の容器16を持ち上げたり容器16の持ち上げを解除したりすることが可能な第2アーム部42と、搬送路31と複数の容器16との間に介在され、貫通孔22Aを有するとともに前記上下方向に重ね合わされた複数の容器16を載置可能な台板22と、上下方向に移動可能かつ貫通孔22Aを貫通した状態で複数の容器16を支持可能なピン54と、を備える。当該搬送システム18を用いた容器の搬送方法は、ピン54により複数の容器16を支持して搬送路31から持ち上げ、ピン54により搬送路31から持ち上げられた複数の容器16のうち上側の容器16を第1アーム部41により持ち上げ、ピン54により搬送路31から持ち上げられた複数の容器16のうち下側の容器16を第2アーム部42により持ち上げ、ピン54は貫通孔22Aから離脱し、搬送路31は台板22を送り方向に送り、ピン54は下側の容器16を支持するとともに、第2アーム部42は下側の容器16を開放し、ピン54は下側の容器16を搬送路31上に置いた後に、搬送路31は下側の容器16を送り方向に送り、ピン54は上側の容器16を支持するとともに、第1アーム部41は上側の容器16を開放し、ピン54は上側の容器16を搬送路31上に置いた後に、搬送路31は上側の容器16を送り方向に送る。
【0045】
この構成によれば、上下方向に重ねられた容器16を第1アーム部41および第2アーム部42によって一段ずつ取り出して搬送路31で送ることができる。これによって、一段ずつ取り出された容器16から、容器16内の処理対象物13を円滑に取り出すことができる。また、第1アーム部41および第2アーム部42は、容器16をつかんで保持するのではなく、容器16を差込部34で持ち上げるようにしているため、容器16が破損してしまう危険を極力低減できる。また、支持部材33の構成を簡略化できる。
【0046】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。すなわち、本実施形態では、凹部16Aを容器16の開口部51の近傍に設けているが、凹部16Aの配置はこれに限られるものではない。容器16の底部に凹部16Aを設け、この凹部16Aに差込部34を差し込んで容器16を持ち上げるようにしても当然によい。
【符号の説明】
【0047】
11 連続処理装置
12 搬送機構
13 処理対象物
16 容器
16A 凹部
18 搬送システム
22 台板
22A 貫通孔
27 ローラ
27A 隙間
31 搬送路
33 支持部材
34 差込部
35 昇降部
41 第1アーム部
42 第2アーム部
44 第1差込片
46 第2差込片
51 開口部
53 台座
54 ピン