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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159108
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】床用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074885
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001PA03
2E001PA05
2E001PA11
(57)【要約】

【課題】 落ち葉やゴミにより目地プレートの摺動が阻害されることを防止でき、安全に地震による揺れ動きを確実に吸収できる床用目地装置を提供すること。
【解決手段】一方の躯体と他方の躯体と目地部を塞ぐ床用目地装置において、一方の躯体に設けられ、かつ前後方向に延在する支持レールと、他方の躯体に設けられた目地プレート支持部と、一端部が支持レールに前後方向にスライド移動可能に支持され、一方、他端部が前記目地プレート支持部に支持される目地プレートと、目地プレートの前後方向の端部に略当接するように設けられ、かつ支持レールを覆うと共に前後方向に伸縮可能なカバー部材とで構成され、カバー部材は、相対的にスライド可能な複数個のカバー部材本体を備え、隣り合うカバー部材本体の少なくとも一部が常時重なり合い、地震時にカバー部材本体が支持レールよりも外方へ突出しないように設けられている床用目地装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体と目地部を塞ぐ床用目地装置において、
前記一方の躯体に設けられ、かつ前後方向に延在する支持レールと、前記他方の躯体に設けられた目地プレート支持部と、一端部が前記支持レールに前後方向にスライド移動可能に支持され、一方、他端部が前記目地プレート支持部に支持される目地プレートと、前記目地プレートの前後方向の端部に略当接するように設けられ、かつ前記支持レールを覆うと共に前後方向に伸縮可能なカバー部材とで構成され、
前記カバー部材は、相対的にスライド可能な複数個のカバー部材本体を備え、隣り合う前記カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なり合い、地震時に前記カバー部材本体が前記支持レールよりも外方へ突出しないように設けられている床用目地装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記目地プレートの側面に一端部が常時略当接する一方のカバー部材本体と、一端部側が常時前記支持レールの突出端部と略面一となるように前記支持レールの突出端部側を覆うように設けられた他方のカバー部材本体と、前記一方のカバー部材本体と前記他方のカバー部材本体の間に設けられた中間カバー部材本体とで構成され、前記一方及び他方のカバー部材本体は、前記一方の躯体又は前記支持レールに設けられたカバー部材支持部に前後方向に摺動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床用目地装置。
【請求項3】
前記カバー部材本体の端部付近には、隣り合う前記カバー部材本体同士が互いに分離しないように係止部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「一方の躯体3と他方の躯体4と目地部2を塞ぐ床用目地装置1において、前記一方の躯体3に設けられ、かつ前後方向に延在する支持レール5と、前記他方の躯体4に設けられた目地プレート支持部6と、一端部が前記支持レールに前後方向にスライド移動可能に支持され、一方、他端部が前記目地プレート支持部に支持される目地プレート7と、前記目地プレートの前後方向の端部に設けられ、かつ前記支持レールの上面の全体を覆うカバー部材20とで構成される床用目地装置」が知られている(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
このような床用目地装置では、地震によって一方の躯体と左右の躯体が左右方向に揺れ動いた場合だけでなく、前後方向に揺れ動いた場合であっても目地プレートが前後方向にスライド移動し地震による揺れ動きを吸収することができるとともに、支持レールの上面を覆うカバー部材を備えることにより、この部位に落ち葉やゴミがたまることを効率よく防止できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、地震によって左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた際に、カバー部材が支持レールよりも外方へ突出してしまい、設置場所によっては外方へ突出したカバー部材が他の構造物等に衝突するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7252676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、落ち葉やゴミにより目地プレートの摺動が阻害されることを防止でき、安全に地震による揺れ動きを確実に吸収できる床用目地装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0008】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体と目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられ、かつ前後方向に延在する支持レールと、前記他方の躯体に設けられた目地プレート支持部と、一端部が前記支持レールに前後方向にスライド移動可能に支持され、一方、他端部が前記目地プレート支持部に支持される目地プレートと、前記目地プレートの前後方向の端部に略当接するように設けられ、かつ前記支持レールを覆うと共に前後方向に伸縮可能なカバー部材とで構成され、前記カバー部材は、相対的にスライド可能な複数個のカバー部材本体を備え、隣り合う前記カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なり合い、地震時に前記カバー部材本体が前記支持レールよりも外方へ突出しないように設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の床用目地装置の前記カバー部材は、前記目地プレートの側面に一端部が常時略当接する一方のカバー部材本体と、一端部側が常時前記支持レールの突出端部と略面一となるように前記支持レールの突出端部側を覆うように設けられた他方のカバー部材本体と、前記一方のカバー部材本体と前記他方のカバー部材本体の間に設けられた中間カバー部材本体とで構成され、前記一方及び他方のカバー部材本体は、前記一方の躯体又は前記支持レールに設けられたカバー部材支持部に前後方向に摺動可能に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の床用目地装置の前記カバー部材本体の端部付近には、隣り合う前記カバー部材本体同士が互いに分離しないように係止部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、支持レールを覆うカバー部材は、相対的にスライド可能な複数個のカバー部材本体を備えているので、落ち葉やゴミにより目地プレートの摺動が阻害されることを防止できる。したがって、安全に地震による揺れ動きを確実に吸収できる床用目地装置を提供することができる。
(2)また、支持レールよりも外方へ突出しないように複数個のカバー部材本体を設けているので、地震時にカバー部材が支持レールよりも外方へ突出して構造物や人等に衝突することを確実に防止することができる。
したがって、より安全に地震による揺れ動きを吸収することができる。
(3)請求項2に記載の発明においても、前記(1)~(2)と同様の作用効果を得られるとともに、カバー部材本体をよりコンパクトにすることができ、より容易に施工することができる。
(4)請求項3に記載の発明においても、前記(1)~(3)と同様の作用効果を得られるとともに、簡単な構造で隣り合うカバー部材本体の少なくとも一部が常時重なりあうように設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図10は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の床用目地装置の平面図。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3図1の3-3線に沿う断面図。
図4】カバー部材の説明図。
図5】地震で目地部が狭くなった状態の説明図。
図6】地震で目地部が広くなった状態の説明図。
図7】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
図8】第2の実施形態の床用目地装置の平面図。
図9図8の9-9線に沿う断面図。
図10図8の10-10線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、図1を参照にすると、1は目地部2を介して左右に設けられた一方の躯体3と他方の躯体4間に設置される床用目地装置である。
【0014】
なお、左右方向とは図1における左右方向であり、前後方向とは図1における上(後)下(前)方向をいい、上下方向とは図2における上下方向をいう。
【0015】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0016】
この床用目地装置1は、例えば図1乃至図3に示すように、一方の躯体3に設けられ、前後方向に延在する支持レール5と、前記他方の躯体4に設けられた目地プレート支持部6と、一端部が前記支持レール5に前後方向(支持レール5の延在方向)にスライド移動可能に支持され、他端部が前記目地プレート支持部6に支持される目地プレート7と、前記目地プレート7の前後方向の端部に一端部が略当接するように設けられ、かつ前記支持レール5を覆うと共に前後方向に伸縮可能なカバー部材8とで構成されている。
【0017】
ここで「略当接する」とは、接触している場合だけでなく、僅かな間隙を有して設けられている場合も含むものである。
【0018】
一方の躯体3には、目地部2側の床面に前後方向に延在する断面視略クランク形状の支持レール5が設けられている。この支持レール5の水平状態の支持部11には、ローラー等の滑動部材9が設けられ、この滑動部材9に支持されるように前後方向に延在するバー状の目地プレート支持体10が支持される。両躯体3、4の目地部(間隙)を塞ぐ目地プレート7は、例えば目地プレート支持体10に支持されており、目地プレート7は、やや厚みがある長板状の目地プレート支持体10を介して、その一端部が支持レール5の支持部11に間接的に支持されている。
【0019】
前記目地プレート支持体10は、前記支持レール5の支持部11に略係合する角柱状又は両端部が閉塞された角パイプ状等の断面形状に形成されている。なお、その両端部は目地プレート7の前後方向の端部と略面一となっていることが望ましい。また目地プレート支持体10は、目地プレート7の前後方向の端部よりも前後方向にそれぞれ突出していてもよい。さらに、本実施形態においては、この目地プレート支持体10には、目地プレート7を取り付けるための係止杭14が複数個固定されている。
【0020】
ここで、本発明の「目地プレート7の前後方向に端部」とは、複数個の目地プレート7を用いる場合には、この複数個の目地プレート7のうち、端部に位置する目地プレート7の前方の端部(7a)又は後方の端部(7b)をいう。すなわち、最も前方側に位置する目地プレート7の前方側の端部7aと最も後方側に位置する目地プレート7の後方側の端部7bが「目地プレート7の前後方向の端部」となる。
【0021】
他方の躯体4の床面には目地プレート7の他端部が左右方向にスライド移動可能な凹所状の目地プレート支持部6が形成されている。この目地プレート支持部6の目地部2と反対側の端部には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、目地プレート7の他端部が乗り上げる乗り上げ傾斜面12が形成されている。
【0022】
次に、目地プレート7は、例えば図2で示すように、浅皿状の目地プレート本体13と、前記目地プレート本体13の一端部側の両側部に設けられ、前記目地プレート支持体10に固定された係止杭14が挿入される1対の下部が開口した筒状の杭ケース15と、前記目地プレート本体13に充填されたセメントやモルタル等の充填部材16と、前記充填部材16の上部を覆うように設けられた化粧板17と、目地プレート本体13の他端部にヒンジ部材18を介して設けられたカバープレート19とで構成されている。
【0023】
ところで、図1で示すように、本実施形態のように複数個の目地プレート7によって目地部2を塞ぐ場合には、中間に位置する目地プレート7にはカバー部材8が設けられない。
【0024】
カバー部材8は、本実施形態においては、例えば図4に示すように、断面形状が略アングル状で前後方向に延在するレール状のカバー部材本体20を複数個用い、これらの部材の一部が入れ子式に構成されており、常時支持レール5の上面及び目地部側の面の全体を覆うように設けられている。したがって、前後方向(支持レール5の延在方向)に伸縮可能である。
【0025】
なお、カバー部材8は支持レール5を覆うことができる形状であればどのような形状でもよく、例えば断面形状が略クランク形状や円弧状、略角パイプ状等に形成してもよい。
【0026】
さらに、相対的にスライド可能な複数個のカバー部材本体を備えるカバー部材8の構成について、図4を参照にして具体的に説明する。
【0027】
すなわち、カバー部材8は、前記目地プレート7の側面に一端部が常時略当接する一方のカバー部材本体20aと、一端部側が常時前記支持レールの突出端部と略面一となるように前記支持レールの突出端部側を覆うように設けられた他方のカバー部材本体20bと、前記一方のカバー部材本体と前記他方のカバー部材本体の間に設けられた単数又は複数の中間カバー部材本体20c(本実施形態では単数)とで構成されており、このカバー部材本体20a、20b、20cのうち、隣り合う前記カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なり合い、前記支持レール5の上部を覆うことができ、かつ、地震時に前記カバー部材本体20a、20b、20cが前記支持レール5の突出端部よりも外方へ突出しないように設けられている。本実施形態では、断面視において一方のカバー部材本体20aの一辺の長さが最も小さく、他方のカバー部材本体20bの一辺の長さが最も大きいアングル状に形成されており、カバー部材本体20a、20b、20cが入れ子構造のように組み合わせられている。
【0028】
カバー部材8を複数個のカバー部材本体20で構成することで目地プレート7の前後方向の移動値の2倍以下の長さのカバー部材本体20を用いても支持レール5の上部を塞ぐことができ、本実施形態のように3つ以上のカバー部材本体20で構成することにより、3分の1以上の長さがあれば支持レール5の上部を塞ぐことができる。なお、本実施形態では、3つのカバー部材本体20でカバー部材8を構成しているが、4つ以上のカバー部材本体20を用いてカバー部材8を構成してもよし、2つのカバー部材本体20でカバー部材8を構成してもよい。
【0029】
ところで、本実施形態では、一方のカバー部材本体20aには係合部(図示せず)が形成され、この係合部に目地プレート7の前方又は後方側の端部に係合ピン(図示せず)が挿入されて連結されている。この係合ピンは係合部に地震時に目地プレート7の他端部が上方にせり上がった場合でも、一方のカバー部材本体20aがほとんど位置変位しないように連結されていることが望ましい。なお、目地プレート7の側面にカバー部材8の一端部を略当接させる手段としては、本実施形態のように係合ピン等で連結してもよいし、バネ等の付勢力を利用してカバー部材本体20aの一端部を目地プレート7側へ押圧してもよい。また、地震時に目地プレート7の他端部側が上方へせり上がらないような構成の場合には目地プレート7の側面にカバー部材8の一端部を固定してもよい。バネの付勢力で一方のカバー部材本体20aを押圧する場合、バネの他端部を他方のカバー部材本体20bに接続し、他方のカバー部材本体20bを支持レール5の他端部側へ押圧してもよい。この場合他方のカバー部材本体20bが支持レール5の突出端部よりも外方へ突出しないようにストッパーを設けると良い。
このカバー部材本体20は、前記一方の躯体3又は前記支持レール5に設けられたカバー部材支持部21に前後方向に摺動可能に設けられている。このカバー部材支持部21は、略アングル状のレールで、1つのカバー部材本体20に対して1つのカバー部材支持部21が設けてもよいし、1つのレール状の部材ですべてのカバー部材本体20を支持してもよい。
【0030】
このカバー部材支持部21にも滑動部材9を設けてカバー部材8を支持してもよく、滑動部材9を設けず、単に前後方向へのスライド移動をガイドできるものとしてもよい。
【0031】
なお、カバー部材8を一方のカバー部材本体20a及び他方のカバー部材本体20bのみで構成する場合は、カバー部材支持部21を設けず、一方のカバー部材本体20aを目地プレート7の側面に取り付けるとともに、他方のカバー部材本体20bを支持レール5に固定することで常時支持レール5の上部をカバー部材8で覆うことができる。
【0032】
このカバー部材本体20の端部付近には、隣り合う前記カバー部材本体20と互いに係止状態となり分離することを防止する係止部22がそれぞれ形成されており、隣り合う前記カバー部材本体20の少なくとも一部が常時重なり合うようにカバー部材本体20の移動を制限するとともに、地震時に目地プレート7が前後方向にスライド移動した際に、中間カバー部材本体20cとの間に開口が生じることなく支持レール5の上部を塞ぐことができる。
【0033】
ところで、本実施形態においては、カバー部材8の前後方向の端部には、前記カバー部材8と支持レール5の前後方向の端部の隙間を略閉塞する垂直の蓋体23が設けられている。この垂直の蓋体23は、支持レール5の前後方向の端部又はカバー部材8に固定されており、このような蓋体23を設けることにより、風で飛ばされる落ち葉等が入り込むことを確実に防止できる。支持レール5に蓋体23を固定した場合、この蓋体23にカバー部材支持部21からカバー部材本体20が脱落することを防止するストッパーの機能を持たせてもよい。また、カバー部材8に蓋体23を固定する場合には、蓋体23が支持レール5の前後方向の端部に略当接するように設けるとよい。
【0034】
地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図5に示すように、目地プレート7の他端部が目地プレート支持部6の乗り上げ傾斜面12により目地プレート7の他端部が上方にせり上がり地震による揺れ動きを吸収する。
【0035】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図6に示すように、目地プレート7の他端部が目地プレート支持部6の上面を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0036】
地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動くと、図7に示すように目地プレート7は支持レール5上を前後方向にスライド移動し地震による揺れ動きを吸収する。このとき、複数個の目地プレート7は目地プレート支持体10に設けられた係止杭14によって一端部が取り付けられているので、複数個の目地プレート7と目地プレート支持体10とが一体となって前後方向にスライド移動する。
【0037】
この時、後方側のカバー部材8は、目地プレート支持体10と同調して前後方向にスライド移動するが、前方側のカバー部材8は隣り合うカバー部材本体20の重なり幅が小さくなるように全体として伸長し、後方側のカバー部材8は、隣り合うカバー部材本体20の重なり幅が大きくなるように全体として収縮して地震による揺れ動きを吸収する。これにより、地震による揺れ動き時においても支持レール5が開口することなく地震による揺れ動きを吸収することができる。
【0038】
地震による揺れ動きが終了すると自動的に目地プレート7やカバー部材8等は通常状態に復帰するとともにカバー部材本体20も通常状態に自動的に復帰する。
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9乃至図11に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
図9乃至図11示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一端部側の底部に複数個の滑動部材9を備えた板状の目地プレート7Aを用いるとともに、この目地プレート7Aの一端部を、目地プレート支持体10を介さず支持レール5で支持した点で、このような目地プレート7Aを用いた床用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0040】
なお、本発明の実施形態では、カバー部材本体に係止部を備え、隣り合う前記カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なりあうように構成したが、例えばリンク部材を用いて、このリンク部材の枢支部とカバー部材本体を接続して隣り合う前記カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なりあうようにしてもよいし、カバー部材本体をそれぞれ所定のバネ力のバネで付勢して、カバー部材本体の位置を制御し、カバー部材本体の少なくとも一部が常時重なりあうように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1、1A:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:支持レール、 6:目地プレート支持部、
7、7A:目地プレート、 8:カバー部材、
9:滑動部材、 10:目地プレート支持体、
11:支持部、 12:乗り上げ傾斜面、
13:目地プレート本体、 14:係止杭、
15:杭ケース、 16:充填部材、
17:化粧板、 18:ヒンジ部材、
19:カバープレート、 20:カバー部材本体、
21:カバー部材支持部、 22:係止部、
23:蓋体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10