(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159114
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ロボットシステム、ロボット、及びロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241031BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20241031BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241031BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20241031BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G08B27/00 A
G08G1/00 X
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074897
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】氷室 福
【テーマコード(参考)】
5C087
5H181
5H301
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C087AA12
5C087AA23
5C087AA32
5C087DD04
5C087DD13
5C087DD31
5C087DD33
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG68
5C087GG82
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF14
5H181FF33
5H181LL09
5H301AA02
5H301AA10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD16
5H301DD17
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK19
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】災害が発生した際に、適切にロボットを避難させる。
【解決手段】ロボットシステムは、対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムであって、前記管理装置は、前記対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる防災指示発信部を備え、前記ロボットは、前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部と、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムであって、
前記管理装置は、前記対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる防災指示発信部を備え、
前記ロボットは、
前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部と、
前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御部と
を備えるロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット制御部は、前記点滅周波数が閾値以上であるか否かに応じて、左右の前記避難方向を決定して前記ロボットを自律移動させる
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記防災誘導設備には、前記対象施設内に設置されている電子掲示板が含まれ、
前記防災指示発信部は、前記対象施設に災害が発生した際に、前記対象施設の防災情報と、前記災害の発生場所及び被害情報を含む災害情報とに基づいて、避難経路を生成し、生成した前記避難経路に基づく避難指示情報を示す二次元コードを、前記電子掲示板に表示させ、
前記ロボット制御部は、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が撮像した撮像画像に含まれる前記二次元コードが示す前記避難指示情報に基づいて、前記ロボットを自律移動させる
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記防災誘導設備には、一定の周波数の音響による警報を発生する警報器が含まれ、
前記防災指示発信部は、前記対象施設に災害が発生した際に、前記災害の発生場所及び危険場所の付近にある前記警報器に、前記警報を発生させ、
前記ロボットは、前記警報を収音する収音部を備え、
前記ロボット制御部は、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記ロボットの移動に伴うドップラー効果を用いて、前記収音部が収音した前記警報の周波数の変化から前記危険場所の方向を判定し、前記危険場所の方向を避けるように、前記ロボットを自律移動させる
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記防災指示発信部は、無線通信により、前記対象施設内に、避難が不要であることを示す避難不要情報を一定間隔で発信し、
前記ロボットは、前記無線通信により、通信可能な通信部を備え、
前記ロボット制御部は、前記通信部により、前記避難不要情報を一定期間受信できなかった場合に、前記対象施設に災害が発生したと検知する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる防災指示発信部を備え、前記対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムのロボットであって、
前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部と、
前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御部と
を備えるロボット。
【請求項7】
対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムのロボット制御方法であって、
前記管理装置が、前記対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる誘導指示発信ステップと、
前記ロボットが、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御ステップと
を含むロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム、ロボット、及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、施設内でロボットを使用するロボットシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような従来のロボットシステムでは、災害が発生した際に、ロボットを災害の発生場所から緊急避難させるために、例えば、無線通信などの通信手段を用いて、避難支援を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術のロボットシステムでは、災害が発生した際に、例えば、無線通信などの通信手段が使用できない場合や、災害により通路が寸断され、事前に決められた避難経路で移動できない場合に、ロボットを適切に避難させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、災害が発生した際に、適切にロボットを避難させることができるロボットシステム、ロボット、及びロボット制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムであって、前記管理装置は、前記対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる防災指示発信部を備え、前記ロボットは、前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部と、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御部とを備えるロボットシステムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる防災指示発信部を備え、前記対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムのロボットであって、前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部と、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御部とを備えるロボットである。
【0008】
また、本発明の一態様は、対象施設を管理する管理装置と、前記対象施設内を自律移動可能なロボットとを備えるロボットシステムのロボット制御方法であって、前記管理装置が、前記対象施設に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、前記対象施設内に設置されている誘導灯を点滅させる誘導指示発信ステップと、前記ロボットが、前記対象施設に災害が発生したことを検知した場合に、前記誘導灯を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部が前記誘導灯を撮像した撮像画像に基づいて、前記誘導灯が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した前記点滅周波数に応じた前記避難方向に、前記ロボットを自律移動させるロボット制御ステップとを含むロボット制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、災害が発生した際に、適切にロボットを避難させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態によるロボットシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における二次元コードを用いたロボットの自律避難の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態における誘導灯を用いたロボットの自律避難の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態における警報器を用いたロボットの自律避難の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態によるロボットシステムの管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態によるロボットシステムのロボットの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるロボットシステム、ロボット、及びロボット制御方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるロボットシステム1の一例を示す概略ブロック図である。
【0012】
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10と、電子掲示板21と、誘導灯22と、警報器23と、管理装置30とを備える。
ロボットシステム1は、対象施設F1内に配置されているロボット10を管理するシステムであり、対象施設F1に災害が発生した際に、ロボット10を緊急避難させる。ここで、対象施設F1は、ビル、等の建物、商業施設、公共施設、医療施設、学校、等である。
【0013】
なお、
図1に示す例では、説明の都合上、ロボット10、電子掲示板21、誘導灯22、及び警報器23のそれぞれを、1台で記載しているが、ロボットシステム1は、これらの構成を対象施設F1内に複数備えているものとする。
【0014】
電子掲示板21は、対象施設F1内の通路等に設置されている掲示板であり、例えば、デジタルサイネージ表示装置などである。電子掲示板21は、表示部(不図示)を備えており、各種情報を表示部に表示可能である。また、電子掲示板21は、通信部(不図示)を備えており、通信部を介して、管理装置30から受信した各種情報を表示部に表示可能である。電子掲示板21は、避難誘導設備の一例である。
【0015】
誘導灯22は、例えば、避難口誘導灯、通路誘導灯、等であり、対象施設F1内の通路等に設置されている。誘導灯22は、一定の周波数(点滅周波数)で点滅可能である。誘導灯22は、点滅周波数を変更可能であり、例えば、閾値以上(1Hz(ヘルツ)以上))の周波数と、閾値未満(1Hz未満)の周波数との2種類を切り替えて点滅可能である。誘導灯22は、通信部(不図示)を備えており、通信部を介して、管理装置30からの指示を受信し、点滅点灯、及び点滅周波数を変更可能である。誘導灯22は、避難誘導設備の一例である。
【0016】
警報器23は、対象施設F1内に設置され、警報として、一定の周波数の音響であるサイレンを出力可能な装置である。警報器23は、例えば、対象施設F1に災害が発生した際に、災害の発生場所及び危険場所の付近にある場合に、一定の周波数のサイレンを出力(放音)する。警報器23は、通信部(不図示)を備えており、通信部を介して、管理装置30からの指示を受信し、サイレンを出力(放音)可能である。警報器23は、避難誘導設備の一例である。
【0017】
管理装置30は、対象施設F1を管理する装置であり、例えば、対象施設F1内の管理センタ、等に設置されている。管理装置30は、通信部31と、入力部32と、表示部33と、管理記憶部34と、管理制御部35とを備える。
【0018】
通信部31は、例えば、無線LAN(Local area network)などの無線通信を行う通信デバイスである。通信部31は、上述したロボット10、電子掲示板21、誘導灯22、及び警報器23のそれぞれと、無線通信により、データ通信を行う。
【0019】
入力部32は、例えば、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、等の入力装置である。入力部32は、管理装置30を操作するための各種情報を、例えば、管理者から受け付ける。
【0020】
表示部33は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、等の表示装置である。表示部33は、管理装置30を操作するための各種情報、災害が発生時の各種情報、等を表示する。
【0021】
管理記憶部34は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、管理装置30が利用する各種情報を記憶する。管理記憶部34は、ロボット情報記憶部341と、誘導設備情報記憶部342と、施設情報記憶部343とを備える。
【0022】
ロボット情報記憶部341は、対象施設F1内に設置されているロボット10に関する管理情報を記憶する。ロボット情報記憶部341は、例えば、ロボット10を識別するロボット識別情報と、ロボット10の種類(例えば、機種名、等)と、設置場所(配置場所)と、などを対応付けて記憶する。なお、ロボット情報記憶部341は、ロボット10の位置情報を記憶してもよい。
【0023】
誘導設備情報記憶部342は、例えば、電子掲示板21、誘導灯22、及び警報器23、等の避難誘導設備に関する管理情報を記憶する。誘導設備情報記憶部342は、例えば、避難誘導設備を識別する設備識別情報と、避難誘導設備の種類と、設置場所と、を対応付けて記憶する。
【0024】
施設情報記憶部343は、対象施設F1に関する情報を記憶する。施設情報記憶部343は、例えば、対象施設F1の地図情報、避難経路情報、等を記憶する。
【0025】
管理制御部35は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、管理装置30を統括的に制御する。管理制御部35は、ロボット10及び各種誘導設備(電子掲示板21、誘導灯22、及び警報器23、等)を管理するとともに、対象施設F1内に災害が発生した際に、利用者の避難誘導の指示を行うとともに、各種誘導設備を制御し、ロボット10を自律避難させる。管理制御部35は、防災指示発信部351を備える。
【0026】
防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、ロボット10を自律避難させる各種制御を行う。防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、例えば、対象施設F1の防災情報と、災害の発生場所及び被害情報を含む災害情報とに基づいて、避難経路を生成し、生成した避難経路に基づく避難指示情報を示す二次元コードを、電子掲示板21に表示させる。
【0027】
具体的に、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、管理制御部35が発信する避難指令、施設防災情報(避難経路、等)、及びリアルタイムの災害情報(発生場所、被害状況)に基づいて、情報を集約し、各電子掲示板21の設置場所付近からの避難先及び避難経路を算出する。防災指示発信部351は、算出した避難先及び避難経路を含む避難情報を、二次元コードに変換して、当該二次元コードを、各電子掲示板21に表示させる指示を、通信部31を介して発信する。
【0028】
ここで、二次元コードには、例えば、QRコード(登録商標)の他に、その他のマトリックス式二次元コード(マトリックスコード)や複数段のスタック式のバーコード、等であってもよい。
また、災害情報は、不図示のセンサ類(火災センサ、等)、外部からの通報情報、管理者による入力部32から入力情報として、取得されてもよい。
【0029】
また、二次元コードの示す避難情報には、避難先及び避難経路の他に、例えば、避難時に必要とする経由地点、防災誘導設備のチェックポイント、ロボット10の移動制限情報(走行速度、発信音、画面表示、等)、及び緊急性の必要に応じたロボット10の緊急停止指令及び待機場所などが含まれてもよい。
【0030】
また、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、例えば、避難方向に応じて、周波数を変更して、対象施設F1内に設置されている誘導灯22を点滅させる。
【0031】
具体的に、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、管理制御部35が発信する避難指令、施設防災情報(避難経路、等)、及びリアルタイムの災害情報(発生場所、被害状況)に基づいて、情報を集約し、各誘導灯22の設置場所付近からの避難先及びロボット10の避難方向を算出する。防災指示発信部351は、各ロボット10の避難方向に応じて、点滅周波数を変更して、各誘導灯22を点滅させる。
【0032】
例えば、ロボット10を右方向に移動させる場合に、防災指示発信部351は、点滅周波数を、例えば、閾値以上(例えば、1Hz以上)にして、誘導灯22を点滅させる指示を、通信部31を介して発信する。また、例えば、ロボット10を左方向に移動させる場合に、防災指示発信部351は、点滅周波数を、例えば、閾値未満(例えば、1Hz未満)にして、誘導灯22を点滅させる指示を、通信部31を介して発信する。
【0033】
また、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、災害の発生場所及び危険場所の付近にある警報器23に、一定の周波数のサイレンである警報を発生させる。防災指示発信部351は、災害情報に基づいて、対象施設F1内の災害の発生場所及び危険場所を特定し、特定した災害の発生場所及び危険場所の付近にある警報器23に対して、サイレンを出力(放音)させる指示を、通信部31を介して発信する。
【0034】
また、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、管理制御部35が発信する避難指令、施設防災情報(避難経路、等)、及びリアルタイムの災害情報(発生場所、被害状況)に基づいて、情報を集約し、各ロボット10の場所付近からの避難先及び避難経路を算出する。防災指示発信部351は、各ロボット10に、避難先及び避難経路を含む避難情報を示す指示を、通信部31を介して発信する。
【0035】
また、防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生していない場合に、無線通信により、対象施設F1内に、避難が不要であることを示す避難不要情報を一定間隔で発信する。すなわち、防災指示発信部351は、避難不要情報を、通信部31を介して定期的に発信する。
【0036】
ロボット10は、対象施設F1内を自律移動可能なロボット10であって、通信部11と、撮像部12と、収音部13と、駆動機構14と、記憶部15と、ロボット制御部16とを備える。
【0037】
通信部11は、管理装置30の通信部31と無線通信により通信可能な通信デバイスであり、管理装置30とロボット10との間で、データ通信を行う。
【0038】
撮像部12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含むデジタルカメラであり、電子掲示板21及び誘導灯22を含む防災誘導設備を撮像可能なように、ロボット10に搭載されている。撮像部12は、ロボット10を自律移動させる際に、撮像画像により、通路や障害物の検出に用いられるとともに、対象施設F1に災害が発生した際に、電子掲示板21及び誘導灯22を撮像可能である。
【0039】
収音部13は、ロボット10に搭載されたマイクであり、例えば、警報器23が放音するサイレン(警報)を収音可能である。
駆動機構14は、例えば、モードなどの駆動部(不図示)及び移動のための車輪(不図示)、等の含み、ロボット10を自律移動させるための機構である。駆動機構14は、ロボット制御部16による指令により、制御される。
【0040】
記憶部15は、ロボット10が利用する各種情報を記憶する。記憶部15は、施設情報記憶部151を備える。
施設情報記憶部151は、対象施設F1内の地図情報、等のロボット10が対象施設F1内を自律移動するために必要な情報を記憶する。
【0041】
ロボット制御部16は、例えば、CPUを含むプロセッサであり、ロボット10を統括的に制御する。ロボット制御部16は、通信部11を介して、管理装置30からの指令(指示)を受信するとともに、撮像部12から撮像画像を取得し、収音部13から音情報を取得し、これらの取得情報に基づいて、駆動機構14を制御して、ロボット10の自律移動を制御する。
【0042】
ロボット制御部16は、通信部11により、管理装置30からの避難不要情報を一定期間(例えば、10秒)受信できなかった場合に、対象施設F1に災害が発生したと検知する。すなわち、ロボット制御部16は、通信部11により、定期的に避難不要情報を受信している場合に、対象施設F1に災害が発生していないと判定し、通常状態の自律移動の制御を行う。
【0043】
また、ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、撮像部12が撮像した撮像画像に含まれる電子掲示板21の二次元コードが示す避難指示情報に基づいて、ロボット10を自律移動させる。ここで、
図2を参照して、二次元コードを用いたロボット10の自律避難の処理について説明する。
【0044】
図2は、本実施形態における二次元コードを用いたロボットの自律避難の一例を示す図である。
図2に示すように、電子掲示板21が表示する二次元コードを含む撮像画像を撮像部12が撮像する。ロボット制御部16は、当該撮像画像を取得し、二次元コードが示す避難情報(例えば、避難場所及び避難経路)に基づいて、駆動機構14を制御して、ロボット10を自律移動させる。
【0045】
なお、避難情報には、ロボット10が障害物等で通行できない通路や危険場所がリアルタイムの動的情報として含まれており、ロボット制御部16は、これらの情報に基づいて、通行できない通路や危険場所を避けて、ロボット10を避難場所に自筒的に避難させる。
【0046】
図1の説明に戻り、ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、撮像部12が誘導灯22を撮像した撮像画像に基づいて、誘導灯22が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した点滅周波数に応じた避難方向に、ロボット10を自律移動させる。ロボット制御部16は、点滅周波数が閾値以上(例えば、1Hz以上)であるか否かに応じて、左右の避難方向を決定してロボット10を自律移動させる。ここで、
図3を参照して、誘導灯22を用いたロボット10の自律避難の処理について説明する。
【0047】
図3は、本実施形態における誘導灯22を用いたロボット10の自律避難の一例を示す図である。
図3に示すように、誘導灯22を含む撮像画像を撮像部12が撮像する。ロボット制御部16は、連続的に当該撮像画像を取得し、当該撮像画像に基づいて、誘導灯22が点滅する点滅周波数を算出する。すなわち、ロボット制御部16は、連続的に撮像した撮像画像の照度変化から点滅周波数を算出する。ロボット制御部16は、点滅周波数が閾値以上(例えば、1Hz以上)である場合に、駆動機構14を制御して、ロボット10を右に避難(右方向に自律移動)させる。また、ロボット制御部16は、点滅周波数が閾値未満(例えば、1Hz未満)である場合に、駆動機構14を制御して、ロボット10を左に避難(左方向に自律移動)させる。
【0048】
再び、
図1の説明に戻り、ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、ロボット10の移動に伴うドップラー効果を用いて、収音部13が収音したサイレン(警報)の周波数の変化から危険場所の方向を判定し、危険場所の方向を避けるように、ロボット10を自律移動させる。ここで、
図4を参照して、警報器23を用いたロボット10の自律避難の処理について説明する。
【0049】
図4は、本実施形態における警報器23を用いたロボット10の自律避難の一例を示す図である。
図4に示すように、警報器23から出力(放音)された一定の周波数のサイレンを、収音部13が収音して、ロボット制御部16は、収音したサイレンのドップラー効果を用いて、サイレンの発生源(音源)の方向を特定する。
【0050】
ここで、音源に対して、ドップラー効果では、ロボット10が移動する際に、ロボット10か観測した音の周波数Fは、論理的に、以下の式(1)により表される。
【0051】
周波数F = (V-u)/λ ・・・ (1)
【0052】
ここで、Vは、音速を示し、λは、音(サイレン)の波長を示している。また、uは、ロボット10の移動速度を示している。
すなわち、音源(サイレンの発生場所)から離れる場合(u>0)、観測された周波数Fは小さくなる。一方、音源へ近づく場合(u<0)、観測された周波数Fは大きくなる。
【0053】
ロボット制御部16は、収音部13が収音したサイレンの周波数と、上述した式(1)とを用いて、サイレンの発生源(音源)の方向(危険場所の方向)を判定する。ロボット制御部16は、サイレンの発生源(音源)の方向(危険場所の方向)に基づいて、サイレンの発生源(音源)の方向(危険場所の方向)を避けるように(遠ざかるように)、ロボット10を自律移動させる。
【0054】
次に、図面を参照して、本実施形態によるロボットシステム1の動作について説明する。
まず、
図5を参照して、本実施形態における管理装置30の動作について説明する。
図5は、本実施形態によるロボットシステム1の管理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
図5に示すように、管理装置30の管理制御部35は、災害が発生したか否かを判定する(ステップS101)。管理制御部35は、例えば、不図示のセンサ類(火災センサ、等)、外部からの通報情報、管理者による入力部32から入力情報として、災害情報を取得し、災害情報により、対象施設F1に災害が発生したか否かを判定する。管理制御部35は、災害が発生した場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、管理制御部35は、災害が発生していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0056】
ステップS102において、管理制御部35の防災指示発信部351は、防災設備情報及び災害情報を取得する。防災指示発信部351は、誘導設備情報記憶部342から防災設備情報を取得するとともに、上述した災害情報(災害の発生場所及び被害状況)を取得する。
【0057】
次に、防災指示発信部351は、避難先及び避難経路を生成する(ステップS103)。防災指示発信部351は、管理制御部35が発信する避難指令、施設情報記憶部343が記憶する施設防災情報(避難経路、等)、及びリアルタイムの災害情報(発生場所、被害状況)に基づいて、情報を集約し、各電子掲示板21の設置場所付近からの避難先及び避難経路、各ロボット10の避難先及び避難経路、等を算出する。
【0058】
次に、防災指示発信部351は、無線通信で、避難先及び避難経路をロボット10に
送信する(ステップS104)。防災指示発信部351は、各ロボット10の避難先及び避難経路を含む避難情報(避難指示情報)を、通信部31を介して、各ロボット10に発信する。
【0059】
次に、防災指示発信部351は、避難先及び避難経路に基づく避難指示情報を示す二次元コードを生成する(ステップS105)。防災指示発信部351は、各電子掲示板21の設置場所付近からの避難先及び避難経路に基づく避難指示情報を示す二次元コードを生成する。
【0060】
次に、防災指示発信部351は、二次元コードを電子掲示板21に表示させる(ステップS106)。防災指示発信部351は、二次元コードを、通信部31を介して、各電子掲示板21に送信し、各電子掲示板21に二次元コードを表示させる。
【0061】
次に、防災指示発信部351は、避難経路に応じて、各誘導灯22に対する避難方向
を決定する(ステップS107)。防災指示発信部351は、各ロボット10の避難先及び避難経路に基づいて、各誘導灯22における避難方向を決定する。
【0062】
次に、防災指示発信部351は、避難方向に応じて、各誘導灯22の点滅周波数を変更して点滅させる(ステップS108)。防災指示発信部351は、避難方向が右方向である場合に、点滅周波数を閾値以上(1Hz以上)に変更して、誘導灯22を点滅させる指示を、通信部31を介して、誘導灯22に発信する。また、防災指示発信部351は、避難方向が左方向である場合に、点滅周波数を閾値未満(1Hz未満)に変更して、誘導灯22を点滅させる指示を、通信部31を介して、誘導灯22に発信する。
【0063】
次に、防災指示発信部351は、災害の発生場所及び危険場所付近の警報器23に一定周波数のサイレンを出力させる(ステップS109)。防災指示発信部351は、災害の発生場所及び危険場所付近の警報器23に、サイレンを出力させる指示を、通信部31を介して発信する。ステップS109の処理後に、防災指示発信部351は、処理をステップS101に戻す。
【0064】
次に、
図6を参照して、本実施形態におけるロボット10の動作について説明する。
図6は、本実施形態によるロボットシステム1のロボット10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図6に示すように、ロボット10のロボット制御部16は、一定間隔の情報を受信したか否かを判定する(ステップS201)。ロボット制御部16は、通信部11により、避難不要情報を一定間隔で受信したか否かを判定する。ロボット制御部16は、避難不要情報を一定間隔で受信した場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、ロボット制御部16は、避難不要情報を一定間隔で受信しなかった(一定期間受信できなかった)場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS204に進める。
【0066】
ステップS202において、ロボット制御部16は、避難指示情報を受信したか否かを判定する。ロボット制御部16は、通信部11を介して、例えば、避難場所及び避難経路を含む避難指示情報を受信したか否かを判定する。ロボット制御部16は、避難指示情報を受信した場合(ステップS202:YES)に、処理をステップS203に進める。また、ロボット制御部16は、避難指示情報を受信していない場合(ステップS202:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0067】
ステップS203において、ロボット制御部16は、受信した避難指示情報に基づいて、ロボット10を自律移動させる。すなわち、ロボット制御部16は、避難指示情報に含まれる避難場所及び避難経路により、駆動機構14を制御して、ロボット10を自律移動により避難させる。ステップS203の処理後に、ロボット制御部16は、処理をステップS201に戻す。
【0068】
ステップS204において、ロボット制御部16は、付近の電子掲示板21があるか否かを判定する。ロボット制御部16は、撮像部12による撮像画像や、施設情報記憶部151が記憶する対象施設F1の地図情報に基づいて、付近の電子掲示板21があるか否かを判定する。ロボット制御部16は、付近の電子掲示板21がある場合(ステップS204:YES)に、処理をステップS205に進める。また、ロボット制御部16は、付近の電子掲示板21がない場合(ステップS204:NO)に、処理をステップS207に進める。
【0069】
ステップS205において、ロボット制御部16は、電子掲示板21に移動し、二次元コードを撮像する。ロボット制御部16は、駆動機構14を制御して、電子掲示板21の前に、ロボット10を移動させるとともに、撮像部12が撮像した二次元コードを含む撮像画像を取得する。
【0070】
次に、ロボット制御部16は、二次元コードが示す避難指示情報に基づいて、ロボット10を自律移動させる(ステップS206)。ロボット制御部16は、二次元コードが示す避難指示情報(避難場所及避難経路を含む情報)に基づいて、駆動機構14を制御して、ロボット10を自律移動させて避難させる。ステップS206の処理後に、ロボット制御部16は、処理をステップS201に戻す。
【0071】
また、ステップS207において、ロボット制御部16は、付近に誘導灯22があるか否かを判定する。ロボット制御部16は、例えば、撮像部12による撮像画像や、施設情報記憶部151が記憶する対象施設F1の地図情報に基づいて、付近に誘導灯22があるか否かを判定する。ロボット制御部16は、付近に誘導灯22がある場合(ステップS207:YES)に、処理をステップS208に進める。また、ロボット制御部16は、付近に誘導灯22がない場合(ステップS207:NO)に、処理をステップS210に進める。
【0072】
ステップS208において、ロボット制御部16は、誘導灯22の点滅を検出したか否かを判定する。ロボット制御部16は、誘導灯22が含まれる撮像画像の照度変化により、誘導灯22の点滅を検出する。ロボット制御部16は、誘導灯22の点滅を検出した場合(ステップS208:YES)に、処理をステップS209に進める。また、ロボット制御部16は、誘導灯22の点滅を検出していない場合(ステップS208:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0073】
ステップS209において、ロボット制御部16は、検出した点滅周波数から避難方向を決定し、ロボットを自律移動させる。ロボット制御部16は、例えば、点滅周波数か閾値以上(1Hz以上)である場合に、右方向に、ロボット10を自律移動させ、例えば、点滅周波数か閾値未満(1Hz未満)である場合に、左方向に、ロボット10を自律移動させる。ステップS209の処理後に、ロボット制御部16は、処理をステップS201に戻す。
【0074】
また、ステップS210において、ロボット制御部16は、サイレンの音を収音したか否かを判定する。ロボット制御部16は、収音部13により、警報器23が出力するサイレンの音を収音したか否かを判定する。ロボット制御部16は、サイレンの音を収音した場合(ステップS210:YES)に、処理をステップS211に進める。また、ロボット制御部16は、サイレンの音を収音していない場合(ステップS210:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0075】
ステップS211において、ロボット制御部16は、収音したサイレンの周波数から避難方向を決定し、ロボット10を自律移動させる。ロボット制御部16は、収音部13が収音したサイレンにより算出した周波数と、上述した式(1)を用いて、ドップラー効果を利用して、避難方向を決定する。ロボット制御部16は、駆動機構14を制御して、避難方向に、ロボット10を自律移動させて避難させる。ステップS211の処理後に、ロボット制御部16は、処理をステップS201に戻す。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によるロボットシステム1は、対象施設F1を管理する管理装置30と、対象施設F1内を自律移動可能なロボット10とを備えるロボットシステム1であって、管理装置30は、防災指示発信部351を備え、ロボット10は、撮像部12と、ロボット制御部16とを備える。防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、対象施設F1内に設置されている誘導灯22を点滅させる。撮像部12は、誘導灯22を含む防災誘導設備を撮像可能である。ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、撮像部12が誘導灯22を撮像した撮像画像に基づいて、誘導灯22が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した点滅周波数に応じた避難方向に、ロボット10を自律移動させる。
【0077】
これにより、本実施形態によるロボットシステム1は、誘導灯22の点滅周波数により、ロボット10の避難方向を適切に決定できるため、災害が発生した際に、適切にロボット10を避難させることができる。本実施形態によるロボットシステム1は、例えば、無線通信などの通信手段が使用できない場合や、災害により通路が寸断され、事前に決められた避難経路で移動できない場合であっても、適切にロボット10を避難させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、ロボット制御部16は、点滅周波数が閾値以上(例えば、1Hz以上)であるか否かに応じて、左右の避難方向を決定してロボット10を自律移動させる。
【0079】
これにより、本実施形態によるロボットシステム1は、点滅周波数が閾値以上(例えば、1Hz以上)であるか否かという簡易な手法により、適切にロボット10を避難させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、防災誘導設備には、対象施設F1内に設置されている電子掲示板21が含まれる。防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、対象施設F1の防災情報と、災害の発生場所及び被害情報を含む災害情報とに基づいて、避難経路を生成し、生成した避難経路に基づく避難指示情報を示す二次元コードを、電子掲示板21に表示させる。ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、撮像部12が撮像した撮像画像に含まれる二次元コードが示す避難指示情報に基づいて、ロボット10を自律移動させる。
【0081】
これにより、本実施形態によるロボットシステム1は、電子掲示板21に二次元コードを表示させて、ロボット制御部16は、二次元コードが示す避難指示情報に基づいて、ロボット10を自律移動させるため、簡易な手法により、さらに適切にロボット10を避難させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、防災誘導設備には、一定の周波数の音響による警報を発生する警報器23が含まれる。防災指示発信部351は、対象施設F1に災害が発生した際に、災害の発生場所及び危険場所の付近にある警報器23に、警報を発生させる。ロボット10は、警報を収音する収音部13を備える。ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、ロボット10の移動に伴うドップラー効果を用いて、収音部13が収音した警報の周波数の変化から危険場所の方向を判定し、危険場所の方向を避けるように、ロボット10を自律移動させる。
【0083】
これにより、本実施形態によるロボットシステム1では、ロボット制御部16は、ドップラー効果を用いて、危険場所の方向を避けるように、ロボット10を自律移動させるため、簡易な手法により、さらに適切にロボット10を避難させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、防災指示発信部351は、無線通信により、対象施設F1内に、避難が不要であることを示す避難不要情報を一定間隔で発信する。ロボット10は、無線通信により、通信可能な通信部11を備える。ロボット制御部16は、通信部11により、避難不要情報を一定期間受信できなかった場合に、対象施設F1に災害が発生したと検知する。
【0085】
これにより、本実施形態によるロボットシステム1は、災害時に、無線通信ができないことも想定して、対象施設F1に災害が発生したことを検知するため、例えば、無線通信などの通信手段が使用できない場合であっても、適切にロボット10を避難させることができる。
【0086】
また、本実施形態によるロボット10は、対象施設F1に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、対象施設F1内に設置されている誘導灯22を点滅させる防災指示発信部351を備え、対象施設F1を管理する管理装置30と、対象施設F1内を自律移動可能なロボット10とを備えるロボットシステム1のロボット10であって、撮像部12と、ロボット制御部16とを備える。撮像部12は、誘導灯22を含む防災誘導設備を撮像可能である。ロボット制御部16は、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、撮像部12が誘導灯22を撮像した撮像画像に基づいて、誘導灯22が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した点滅周波数に応じた避難方向に、ロボット10を自律移動させる。
これにより、本実施形態によるロボット10は、上述したロボットシステム1と同様の効果を奏し、災害が発生した際に、適切にロボット10を避難させることができる。
【0087】
また、本実施形態によるロボット制御方法は、対象施設F1を管理する管理装置30と、対象施設F1内を自律移動可能なロボット10とを備えるロボットシステム1のロボット制御方法であって、誘導指示発信ステップと、ロボット制御ステップとを含む。誘導指示発信ステップにおいて、管理装置30が、対象施設F1に災害が発生した際に、避難方向に応じて、周波数を変更して、対象施設F1内に設置されている誘導灯22を点滅させる。ロボット制御ステップにおいて、ロボット10が、対象施設F1に災害が発生したことを検知した場合に、誘導灯22を含む防災誘導設備を撮像可能な撮像部12が誘導灯22を撮像した撮像画像に基づいて、誘導灯22が点滅している周波数である点滅周波数を検出し、検出した点滅周波数に応じた避難方向に、ロボット10を自律移動させる。
これにより、本実施形態によるロボット制御方法は、上述したロボットシステム1と同様の効果を奏し、災害が発生した際に、適切にロボット10を避難させることができる。
【0088】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、電子掲示板21、誘導灯22、及び警報器23は、管理装置30と無線通信により通信する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、有線LANや専用インタフェース、等の有線インタフェースにより通信するようにしてもよい。
【0089】
また、上記の実施形態において、管理装置30は、1台の装置である例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数の装置(例えば、複数のサーバ装置)により構成されてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態において、電子掲示板21、及び誘導灯22は、管理装置30からの指示により、電子掲示板21に二次元コードを表示する処理、及び誘導灯22を点滅させる処理を実行する例を説明したが、これに限定されるものではない。電子掲示板21、及び誘導灯22は、例えば、ロボット10と同様に、一定期間、避難不要情報を受信できなかった場合に、電子掲示板21に二次元コードを表示する処理、及び誘導灯22を点滅させる処理を実行するようにしてもよい。
【0091】
また、上記の実施形態において、誘導灯22の点灯周波数を2種類に変更する例を説明したが、これに限定されるものではなく、避難方向(移動方向)に応じて、3種類以上に変更するようにしてもよい。
【0092】
なお、上述したロボットシステム1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したロボットシステム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述したロボットシステム1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0093】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線、仮想デスクトップの通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…ロボットシステム、10…ロボット、11,31…通信部、12…撮像部、13…収音部、14…駆動機構、15…記憶部、16…ロボット制御部、21…電子掲示板、22…誘導灯、23…警報器、30…管理装置、32…入力部、33…表示部、34…管理記憶部、35…管理制御部、341…ロボット情報記憶部、342…誘導設備情報記憶部、151,343…施設情報記憶部、F1…対象施設